第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

売上高

(千円)

872,799

1,165,284

1,216,601

1,683,982

2,197,804

経常損失(△)

(千円)

120,344

473,463

621,981

727,247

383,095

当期純損失(△)

(千円)

124,827

475,756

624,271

729,514

270,464

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

321,722

321,722

321,722

413,256

413,256

普通株式

(株)

224,725

224,725

224,725

224,725

224,725

A種優先株式

(株)

21,970

21,970

21,970

21,970

21,970

B種優先株式

(株)

75,027

75,027

75,027

75,027

75,027

C種優先株式

(株)

91,534

91,534

純資産額

(千円)

1,227,585

751,829

127,557

922,975

663,207

総資産額

(千円)

1,773,678

1,464,297

1,339,466

2,132,596

1,771,498

1株当たり純資産額

(円)

989.27

3,106.33

5,884.27

9,130.53

10,334.06

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純損失

(円)

388.00

1,478.78

1,940.41

1,880.98

654.47

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

69.2

51.3

9.5

43.3

36.8

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

694,208

343,214

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

5,623

1,152

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,413,313

179,184

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,723,100

1,199,549

従業員数

(人)

53

87

86

122

123

(外、平均臨時雇用者数)

(38)

(65)

(71)

(78)

(69)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、また、第9期から第13期については1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

3.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

5.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

6.1株当たり純資産額については、優先株式の払込金額を控除して計算しております。

7.第9期から第13期の自己資本利益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

8.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

9.第12期及び第13期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。

  なお、第9期、第10期及び第11期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

10.第9期、第10期及び第11期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに係る各項目を記載しておりません。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第11期の期首から適用しており、第11期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

12.第13期まで株式で調達した資金を用いて人材等の体制拡充含めた成長投資に充てており、損失を計上しております。

13.減資について

  株式発行と同時の資本金の額及び資本準備金の額の減少について

  当社は、2025年11月20日開催の取締役会において、新株式の発行(以下、「本件公募増資等」という)及び本件公募増資等と同時に、資本金の額を15億円(ただし、当該新株式発行により増加する資本金の額が15億円を下回る場合は、当該金額)、資本準備金の額を15億円(ただし、当該新株式発行により増加する資本準備金の額が15億円を下回る場合は、当該金額)をそれぞれ減少し、その他資本剰余金へ振り替えることを決議しております。上記資本金及び資本準備金の額の減少(以下、「本件減資等」という。)は、会社法第447条第1項及び第3項並びに第448条第1項及び第3項の規定に基づき資本金及び資本準備金の額の減少を上記のとおり行った上で、それぞれの全額をその他資本剰余金に振り替えるものです。本件減資等は、本件公募増資等と同時に、これにより増額する限度で行うものであるため、本件公募増資等の資本金の額及び資本準備金の額は、本件公募増資等前の資本金の額及び資本準備金の額をそれぞれ下回りません。当社が属するBtoB受発注プラットフォーム市場は、DX推進や人手不足を背景に中長期的な成長が見込まれる一方で、競争環境の激化や景気変動の影響を受けやすい側面も有しております。当社においては、成長領域への先行投資を継続しつつ、より柔軟な資本政策を可能とする財務基盤の構築が重要な経営課題であります。このような状況の中、当社としては、本件公募増資等によって財務基盤の強化及びこれに伴う投資余力の拡大等を図るとともに、併せて、本件減資等を実施することにより、当社の資本金の額は本件公募増資等後も引き続き1億円となるため、法人税法上の中小法人等として、過去10年以内に生じた繰越欠損金について課税所得の全額まで控除が可能となるなど、税法上、いわゆる中小企業向けの措置の適用を受けることが引き続き可能となります。これにより、本件公募増資等だけでなく、本件減資等についても、当社のキャッシュ・フローなどの財務基盤の強化及びこれに伴う投資余力の拡大等に資するものと考えております。また、当社としては、本件公募増資等本件減資等を通じて、財務基盤の強化及びこれに伴う投資余力の拡大等を図るとともに、増加する資本金及び資本準備金を資本剰余金に振り替えることは、将来的な選択肢としての株主への利益還元を含めた資本政策の柔軟性を確保することにも繋がると考えております。

14.2025年9月17日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。なお、第9期、第10期及び第11期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

 

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

1株当たり純資産額

(円)

△98.93

△310.63

△588.43

△913.05

△1,033.41

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純損失

(円)

△38.80

△147.88

△194.04

△188.10

△65.45

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

 

2【沿革】

当社は代表取締役栗山規夫により、2012年10月に「受発注を変革するインフラを創る」をビジョンに設立されました。

2012年10月

株式会社ユニラボ(現 PRONI株式会社)を東京都目黒区にて創業

2014年2月

ビジネス比較・発注サイト「アイミツ」をリリース

2014年9月

「発注コンシェルジュサービス」をリリース

2014年11月

本社を品川区西五反田一丁目32番4号に移転

2016年2月

本社を品川区東五反田一丁目6番3号に移転

2020年7月

本社を東京都品川区東五反田三丁目20番14号に移転

2020年12月

アイミツにSaaSカテゴリーを追加

2021年4月

新サービス「アイミツCLOUD」リリース(現 PRONIアイミツ(現在、サービス・機能はPRONIアイミツへ統合・再編))

2022年12月

第4回日本サービス大賞・優秀賞を受賞(主催:公益財団法人日本生産性本部、後援:経済産業省)

2023年9月

リブランディングの実施。社名を「PRONI」へ、サービス名称を「PRONIアイミツ」へ変更

2024年5月

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)(注1)認証取得

 

(注1)ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、組織の情報資産を保護するために情報セキュリティを管理・維持する体制です。リスクアセスメントを行い、適切な管理策を実施し、継続的な改善を行うことで、機密性・完全性・可用性を確保します。ISO/IEC 27001などの国際規格に基づき運用されることで、信頼性が高まり、

ビジネスリスクの低減や法規制への対応が可能となります。

 

3【事業の内容】

(1)当社のパーパスと日本経済の状況

 当社は、「中小企業の挑戦を支援し、日本経済の再成長に貢献する」というパーパスと「受発注を変革するインフラを創る」というビジョンを掲げ、IT関連を中心としたサービス領域において、発注企業と受注企業の最適なマッチングの実現を目指すBtoB受発注プラットフォーム「PRONIアイミツ」を運営しております。

 当社では、発注企業の多様な発注ニーズや経営課題に対応できるよう、広範なサービス領域におけるマッチングを推進しておりますが、特にITサービスやSaaS(Software as a Service)ツール等のマッチングを通じた中小企業のデジタルトランスフォーメーション化(DX化)に注力し、日本社会の様々な「不(経営課題)」を解決し、中小企業及び日本経済の成長を後押しすることを目指しています。

 

 日本の中小企業が抱える経営上の「不(経営課題)」は多岐に亘りますが、当社では、主要なものを下記と考えております。

 ・人手不足

 ・営業力・販路開拓力の不足

 ・生産性の低さ

 

 このうち、「生産性の低さ」については、日本の労働生産性はOECDに加盟する38ヶ国中32位であり(注1)、その低さは日本経済の最大の課題の一つであると認識しています。日本の低生産性の大きな要因としては、企業数において日本全体の99%超を占める中小企業の労働生産性が大企業の50%程度に留まっていることが挙げられます(注2)。

 この状況から、当社は、中小企業の生産性の向上が日本経済の再成長の最大の鍵の一つであると考え、上記の課題のうち、特にDXを通じた生産性の向上の実現を目指しています。

 

(注1)公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較」

(注2)中小企業庁「中小企業白書」(2025年)、総務省統計局「令和3年経済センサス‐活動調査」(2021年)

 

(2)サービス概要

マッチング領域

 当社のBtoB受発注プラットフォームは、企業経営におけるあらゆる課題や業務に対応できるよう、広範な領域におけるマッチングを推進しております。具体的には、営業・マーケティングといった事業部門の強化のためのサービスやBPO(注1)から、経理・財務、人事・法務といった管理部門の専門業務まで多様な経営ニーズに対応しております。これらの広範なマッチング領域の中で、その中核をなしているのは、DX化に資するIT関連領域であり、SaaSツールやシステム開発等のサービスのマッチングが主要カテゴリーとなっております。なお、受注企業が提供するサービスに応じてカテゴリーを区分した運営を行っておりますが、当社が提供するサービスの基本的な構造は共通であるため、当社サービスや事業セグメントとしての区分はございません。

 

受発注企業への提供価値

 発注企業は、マッチングによる発注を通じて、DX化やアウトソーシングによる人手不足の解消や生産性の向上を図ることができ、また、マーケティング支援サービスの導入や営業のアウトソーシング等による営業力や販路開拓力の強化が可能になると考えております。また、受注企業は、当社プラットフォームの活用を通じて、顧客獲得効率の改善や売上増の実現を図ることが可能です。

 

「データ×AI」を軸としたマッチングシステム

 具体的なマッチングプロセスとしては、発注企業が当社Webサイトやヒアリングを通じて要件情報を当社プラットフォームに登録すると、マッチングシステムが経営課題や発注要件を解析し、最適な受注企業候補を抽出するとともに、要件に合致した受注企業に案件情報が連携され、マッチングを実現します。

 このマッチングプロセスにおいては、AIや当社が創業来蓄積したマッチングデータベースが全面的に活用されており、最適なマッチングの実現を図るとともに、オペレーションの迅速化や企業間取引の効率化を促進することを目指しています。

 

DXコンシェルジュによるマッチング及び経営課題解決支援

 マッチングに際しては、DXコンシェルジュ(注2)をはじめとするサポートチームが発注企業の経営課題や発注要件をヒアリングし発注の伴走支援を行うことで、受発注企業双方にとって、より精緻且つ質の高いマッチングの実現を推進しております。

 また、DXコンシェルジュは、問い合わせのあった発注の要件を精査するのみならず、発注企業の経営課題の理解を通じて、新たな発注獲得や発注提案を行い、継続的に発注企業の経営課題の解決を目指しております。このように「データ×AI」が実現するマッチングの最適性・効率性と、DXコンシェルジュをはじめとする「人」の介在による質の高いサポートを融合させることで、受発注企業の経営課題に対し最適な解決策の提供を目指すプラットフォームを展開しております。

 

料金体系

 サービス利用に際しては、発注企業の利用料を無料とし、受注企業からはマッチング手数料やシステム利用料等を受領する仕組みを採用しております。受注企業の利用料は、受注企業が提供するサービス領域や領域ごとの発注数等の発注動向、受注企業の意向等に応じた多角的な料金体系を設計することで、受注企業の利便性及び満足度の向上、当社収益の安定化を図っております。

 

 具体的には、受注企業の利用料の形態は、①マッチング課金、②月額課金、③その他課金に大別されます。サービス領域に応じて設定される主たる料金体系は、SaaS領域においてはマッチング課金、他の役務サービス領域においては月額課金が中心となっております。役務サービス領域では、月額課金を中心としつつも、発注の動向や受注企業の意向に応じて、マッチング課金も選択的に設定されています。各料金体系の詳細及び特性は下記の通りであります。

 

 ①マッチング課金:当社プラットフォーム上で発注企業と受注企業のマッチングが成立した際に、受注企業に対して発生する従量型の利用料。マッチング課金の総額は、マッチング課金契約を結ぶ受注企業に対して、当社プラットフォームで実現されたマッチングの数に原則として連動

 ②月額課金:マッチングに伴うシステム利用料やメディア掲載料等を基礎とする月額固定型の利用料。いずれの利用料も実現されるマッチングの数には短期的には連動しないが、中長期的にはマッチングの数を中心とした当社プラットフォームの規模に連動

 ③その他課金:初期登録費用や一部の契約において発生するマッチング後の成約に伴う成約手数料等。原則、②月額課金に付随する形で販売される。いずれの利用料も実現されるマッチングの数には短期的には連動しないが、中長期的にはマッチングの数を中心とした当社プラットフォームの規模に連動

 

(注1)ビジネスプロセスアウトソーシング

(注2)発注企業へのヒアリングを通じて発注要件の把握や発注支援を行い、またヒアリング結果に基づく追加発注提案等を通じて経営支援を提供するチーム

 

中小企業の経営課題とDX化の導入状況

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(注)1. (株)野村総合研究所「中小企業の経営課題と公的支援ニーズに関するアンケート」

2. アンケート回答「構造的な人手不足」の具体的内容:人材の確保・育成、後継者の育成・決定

3. アンケート回答「営業力・販路開拓力の不足」の具体的内容:営業力・販売力の維持強化、国内の新規顧客・販路の開拓、海外の新規顧客・販路の開拓

4. アンケート回答「生産性が低い」の具体的内容:設備増強、設備更新、設備廃棄

5. 中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」

 

PRONIのビジネス構造

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中小企業の経営課題をマッチングを通じて解決

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 当社事業の詳細と主な強みは以下のとおりです。

 

①BtoB総合プラットフォームとしての独自性と業界有数の事業規模

 当社は、受発注プラットフォームの提供を通じて、システム開発等のIT関連領域(SaaS、AI除く)、SaaS領域、AI領域(AIを活用したソフトウェアやITサービスを含む)、販促サービス領域、HR領域、オフィス総務領域等、幅広いサービスカテゴリーにおいて、発注企業と受注企業のマッチングを実現しています。当社では、一般的には特定の領域に特化するプラットフォーム事業者が多く、広範なカテゴリーにおいて横断的に総合型プラットフォームを運営する企業は少数に留まると認識していることから、当社プラットフォームはBtoB領域において、独自のポジショニングを確立していると考えています。

 また、当社プラットフォームは、累計64万件のマッチング実績(マッチング成立数:注1)を有し、発注企業数(注2)は24万社、課金受注企業数(注3)は1千社を超える規模に達しており(いずれも2025年9月時点)、当社では、事業規模は少なくとも業界有数と言えるものであると認識しております。

 この独自のポジショニングとプラットフォームとしての有数の事業規模は、当社事業領域における参入障壁として機能とするとともに、多くの利用企業が相乗効果的に集まることでマッチングの質や顧客体験の向上を実現し、更にプラットフォームが拡大する好循環を生んでいるものと考えています。

 加えて、総合型プラットフォームであるため、特定のカテゴリーで発注を行った企業が他のカテゴリーにおいても発注を行う余地が大きく、発注企業の経営課題に網羅的に対応することが可能であるとともに、追加的な発注獲得を通じたマッチング成立数の増大、更にはプラットフォームの成長を実現しやすい事業構造を有していると考えております。

 

(注1)マッチング成立:発注企業と受注企業の希望要件及び当社所定の確定ステータスを満たした上で、紹介が確定すること。受注企業に対しては、直接または間接的に課金の根拠となる。マッチング成立数は、マッチング成立の件数

(注2)当社との契約に基づき、発注会員としてのステータスを有する企業数

(注3)契約している受注企業のうち、25年1~9月の間に当社サービスの利用があり、課金が発生した企業の数

 

②大容量且つ詳細な一次情報を有するデータベース

 当社は創業以来、64万件を超えるマッチング実績と、継続的な受発注企業との連携を通じて、大容量かつ詳細な一次情報データを蓄積しています。

 このデータベースは、マッチングデータ(案件種別、取引規模、成立までの経緯等)のみに留まらず、発注企業の経営課題や発注ニーズ、受注企業の案件ニーズや企業規模・事業領域等、多岐にわたる情報を継続的に蓄積・更新しています。

 この豊富且つ多層的なデータベースは、最適なマッチングを実現するための企業の選定や、発注企業の新たな課題の特定と追加提案等の主要業務を支え、持続的な成長を生み出す強固なビジネス基盤を構成していると考えています。

 

③AIを活用した高精度なマッチングシステム

 当社のマッチングシステムは、ヒアリング等により把握した受発注企業双方の最新のニーズを、豊富なマッチング実績に基づくアルゴリズムと生成AIで解析し、双方にとって最適な出会いを追求しています。生成AIは、ニーズの抽出から候補提示に至る全工程を支える基盤として機能し、精度と迅速性の両立を支えています。

 実際のマッチングにおいては、まずヒアリングやwebフォームを通じて把握した双方のニーズをAIが構造化し、発注及び受注要件の抽出・整理を行います。これらのニーズのマッチングを行う際には、新たに把握したニーズのみならず、当社データベースとも照合を行い、過去の取引実績、企業規模、サービス提供体制、案件への対応可否、品質・納期の履行状況、各企業の経営課題等の多面的情報を総合的に評価して候補企業を選定します。これらの工程は生成AIにより処理され、案件ごとに最も適したビジネスパートナー候補を迅速に導出することで、満足度の高いマッチングの実現を追求しています。さらに、発注企業に対しては、単発のマッチング成立に留まらず、このシステムを通じて経営課題や将来的な発注ニーズを把握することで、継続的に追加の発注提案を行い、長期的な事業サポート及び経営課題解決を実現しています。

 また、マッチングの精度や迅速化に留まらないプラットフォームの付加価値を高める仕組みとしては、当社による商談日程の調整、発注企業に複数の受注企業を紹介する仕組みを通じた選定・成約の促進、受発注企業双方に対する人的サポート、プラットフォーム利用時の厳格なルールの適用等、多様な機能・サポートの提供を行い、利用企業の満足度の最大化を追求しています。

 

④DXコンシェルジュと発注チャネル

DXコンシェルジュ

 当社では、マッチング精度を向上させるため、原則として、DXコンシェルジュと呼ばれるスタッフが構成するサポートチームが、発注企業の詳細な要件をヒアリングし、最適な受注企業の紹介のみならず、発注に関する助言や情報提供を通じて発注の支援を行っています。

 また、DXコンシェルジュは、ヒアリングや継続的なサポートを通じて得られる一次情報をもとに、「誰に頼めばよいか分からない」「解決策が見えない」といった障壁を解消するとともに、発注企業が気づいていない新たな発注ニーズの発見や追加提案を行い、新たな発注の創出を通じた経営改善を行っています。特に当社は総合型のプラットフォームであるため、追加的な発注の余地や経営改善の幅が大きいことから、DXコンシェルジュチームの提案の効果が発揮されやすい事業構造にあり、持続的なマッチング規模の拡大に繋がっていると考えております。

 また、発注案件に対応する受注企業側においても、DXコンシェルジュが的確に発注企業の発注要件や発注確度、経営課題等を精査した上で、その発注案件を選定・対応できることから、受注企業も自社サービスやリソースに最適化された案件に出会う可能性が高まります。結果的に、受注企業の営業効率と成約率の向上が図られ、受注企業の満足度の向上及び継続利用に結びついていくことから、さらなるプラットフォームの拡大に繋がっていくものと考えています。

 

発注チャネル

 当社プラットフォームの発注チャネルは、ウェブ上のオウンドコンテンツやSEO経由のオンラインチャネルと、DXコンシェルジュや外部パートナー(注1)等によるオフラインチャネルに大別され、両チャネルが相互に補完、連携し合う形で発注の最大化を図っています。

 オンラインチャネルにおいては発注企業自らがウェブ経由で自発的且つ迅速に発注を行うシステムを構築しておりますが、オンラインチャネル経由で発注を行った企業に対しても、DXコンシェルジュによる継続サポートや提案活動を通じたオフラインチャネルによる追加発注を喚起しています。

 さらに、オフラインチャネルで発注した企業によるオンラインチャネルにおける自発的な発注の促進も行っており、このようにオンラインとオフラインが連続的に循環する複合的な発注創出サイクルを構築しています。このサイクルを通じて、利用企業の経営改善と当社プラットフォームの持続的な成長の両立を目指しています。

 

(注1)当社に対して発注企業の紹介や取り次ぎを行う提携企業

 

 なお、当社は、適合度の高いマッチングの実現や発注を通じた発注企業の経営課題解決など、マッチングの質や機能の向上に注力する観点から、マッチング後の商談やその後の交渉等当事者間については、原則として当事者間にて実施いただく仕組みを採用しています。他方で、当社は、マッチングの実現に加え、マッチングに際しての商談日程の調整及びアポイントの確定、成約の実現に向けてのサポートや助言、さらには商談前後の当事者間のトラブル等の対応についても、中核業務として定常的に実施しています。このように、適合度の高いマッチングの実現のみならず、成約率の向上やプラットフォームとしての健全性の確保も追求し、マッチングを軸とした付加価値の最大化を図ってまいります。

 

 

マッチング構造とマッチングシステム

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データ×AIが支える高精度なマッチングシステム

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PRONIの発注企業の属性

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(出典:2025年1月~9月において当社プラットフォームにて発生した発注内容より、発注件数に基づき、当社作成)

 

PRONIの受注企業の属性

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(出典:2025年1月~9月において当社プラットフォームにて課金が発生したサービスカテゴリーより当社作成)

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年10月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

158

(31)

34.0

2.2

6,293

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社はマッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2)労働組合の状況

 当社において労働組合は組成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。