第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第5期

第6期

第7期

第8期

第9期

決算年月

2021年1月

2022年1月

2023年1月

2024年1月

2025年1月

売上高

(千円)

1,852,402

3,237,679

5,445,171

8,390,259

11,258,349

経常利益

(千円)

583,759

677,456

1,253,595

2,257,205

3,176,700

当期純利益

(千円)

368,890

404,309

895,210

1,586,941

2,127,745

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

10,000

10,000

10,000

87,500

87,500

発行済株式総数

(株)

1,000,000

1,000,000

1,000,000

1,099,000

1,099,000

純資産額

(千円)

930,580

1,337,871

2,236,531

4,020,213

6,147,958

総資産額

(千円)

1,324,954

1,866,126

3,685,400

5,711,305

8,243,005

1株当たり純資産額

(円)

930.58

1,337.87

2,233.08

182.88

279.68

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

368.89

404.31

895.21

79.33

96.80

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

70.2

71.7

60.6

70.4

74.6

自己資本利益率

(%)

49.4

35.6

50.1

50.8

41.9

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

1,617,918

2,138,927

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

171,020

672,456

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

149,240

162,462

現金及び現金同等物

の期末残高

(千円)

3,880,003

5,509,087

従業員数

〔外、平均臨時雇用者数〕

(名)

31

46

78

127

155

-〕

13

22

24

23

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成していませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載していません。

2.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載していません。

3.持分法を適用した場合の投資利益について、当社は関連会社を有していないため、記載していません。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載していません。

5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載していません。

6.第8期及び第9期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けています。

なお、第5期、第6期及び第7期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けていません。

7.第5期、第6期及び第7期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載していません。

8.従業員数欄の[外書]は、臨時従業員(アルバイト)の年間平均人員です。

9.当社は2025年6月30日開催の取締役会決議により、2025年7月17日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っており、発行済株式総数は21,980,000株となっています。第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しています。

10.2025年7月17日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っています。

  そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第5期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

  なお、第5期、第6期及び第7期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けていません。

回次

第5期

第6期

第7期

第8期

第9期

決算年月

2021年1月

2022年1月

2023年1月

2024年1月

2025年1月

1株当たり純資産額

(円)

46.53

66.89

111.65

182.88

279.68

1株当たり当期純利益

(円)

18.44

20.22

44.76

79.33

96.80

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

事項

2016年2月

 

「HUMAN MADE」ブランドの紳士服、婦人服、子供服等各種衣料繊維製品及び装飾雑貨の製造、販売を目的に東京都渋谷区にオツモ株式会社を設立(資本金10,000千円)

2017年4月

Pharrell Williams氏(以下、「Pharrell氏」という。)が当社へ資本参画

2017年12月

 

HUMAN MADE OFFLINE STORE店オープン

本店を東京都目黒区中目黒三丁目22番1号に移転

2019年2月

HUMAN MADE ISETAN店オープン(2021年5月31日閉店)

2019年4月

米国発のファッションブランド「CACTUS PLANT FLEA MARKET」とCreator Projectをスタート

2019年5月

HUMAN MADE 1928店オープン

2019年11月

HUMAN MADE SHIBUYA PARCO店オープン

2020年7月

HUMAN MADE HARAJUKU店オープン

2021年5月

HUMAN MADE 1928 CAFE by BLUE BOTTLE COFFEE オープン

2021年6月

 

HUMAN MADE GENERIC STORE店オープン

㈱CURRY UPを吸収合併

2021年7月

 

HUMAN MADE OFFLINE STOREが中目黒から秀和外苑レジデンスへ移転

HUMAN MADE CAFE by BLUE BOTTLE COFFEE オープン

2022年10月

本店を東京都渋谷区代々木四丁目27番25号に移転

2022年11月

HUMAN MADE SHINSAIBASHI PARCO店オープン

2023年1月

グラフィック・デザイナーVERDY氏のプロジェクト「Wasted Youth」とCreator Projectをスタート

2023年3月

KAWS氏が当社アドバイザーに就任

2023年4月

米国発の音楽レーベル「Victor Victor Worldwide」とCreator Projectをスタート

2023年8月

Pharrell氏が当社アドバイザーに就任

HUMAN MADE SAPPORO店オープン

2023年9月

 

中国・上海にHUMAN MADE HUAIHAI店(現地パートナーによる運営)オープン

VERDY氏が当社クリエイティブパートナーに就任

2023年11月

OTSUMO PLAZA店オープン

2024年1月

 

長尾智明(以下、「NIGO氏」という。)が代表取締役CEO退任。当社クリエイティブディレクターとして起用

2024年4月

HUMAN MADE FUKUOKA店オープン

2024年5月

「オツモ株式会社」を「HUMAN MADE株式会社」に商号変更

2024年9月

 

韓国・ソウルにHUMAN MADE OFFLINE STORE SEOUL店(現地パートナーによる運営)オープン

CURRY UP REPULSE BAY店(現地パートナーによる運営)オープン

2024年10月

香港・レパルスベイにHUMAN MADE REPULSE BAY店(現地パートナーによる運営)オープン

2024年11月

「HUMAN MADE Inc. Official App」をリリース

2025年7月

本店を東京都品川区上大崎二丁目24番9号に移転

 

 

 

3 【事業の内容】

私たちHUMAN MADE Inc.は、人間の閃きと、人間の手が生み出すカルチャーの芽をマンガ、アニメ、ゲームに続く日本を代表するクリエイティブ産業に育てる会社です。当社は、「人間の閃きが生み出し、人間の手が創り出す輝きを、世界へ。」をミッションに掲げています。カルチャーを創り出し、世界中へ届けることによって人々の心を豊かにしていきます。同時に、クリエイターに対しても活躍の場を世界中に広げることを目指しています。

 

当社は、「過去と未来の融合」をテーマとしたオリジナリティあふれるさまざまなアイテムを展開しています。

品質の高い素材やディテールにこだわったもの作りによる商品価値の高いアパレル等の製品((a) プロダクト)を、クリエイティブに造詣の深い世界中の顧客にEC及び店舗チャネル中心に提供する((b) プレイス)ことで、国内外問わず一般のファンの皆様、アーティスト・クリエイター等の著名人から支持されていると考えています。

商品の元々の価値に加え、さまざまな著名人や企業ブランド等とのコラボレーションによりブランド価値がさらに向上し、売れ残りはほぼなく、値引きを一切行わない販売政策を採っています((c) プライス)。また、Instagram等のSNSを活用し費用をかけずにファンへの直接的な広告宣伝((d) プロモーション)が可能であり、これらの組み合わせにより高い利益率を実現しています。

当社のビジネスモデルのイメージ図は、以下となります。なお、当社はブランド事業の単一セグメントです。

 

 


 


 

 

(a) プロダクト(企画及び生産)

「HUMAN MADE」では、“The Future Is In The Past”のコンセプトのもと、ストリートに息づく大胆な発想に日本の妥協なきモノづくり精神と遊び心を織り交ぜ、付加価値の高い商品を企画・デザイン・生産しています。

 

(ⅰ)「HUMAN MADE」ブランドのアイテム

「HUMAN MADE」の商品は大きく分けてアパレルとライフスタイルに区分されます。

アパレルは衣料品、ライフスタイルはインテリア用品やタオル等、幅広い生活雑貨のアイテムで構成されています。

 

図表1:「HUMAN MADE」ブランドのアイテム


 

 

 

(ⅱ) クリエイター、アーティスト、ミュージシャン、国内外ブランド企業等とのコラボレーション

「HUMAN MADE」ブランドとして、「KAWS氏(注)1」、「VERDY氏(注)2」等のクリエイター等とのコラボレーションや、「NIKE」、「Levi`s」といった世界的ブランド企業とのコラボレーションにより、各種商品を展開しています。

(注) 1.KAWS(カウズ)氏は、1974年ニュージャージー生まれのアメリカのグラフィティ・アーティストです。1990年代初めにグラフィティ・アーティストとして頭角を現し、その後1993年から1996年まで School of Visual Artsで学んでおり、×印の目のキャラクターを用いた作品で広く知られ、著名ブランドとも数多くコラボレーションを行っています。

2.VERDY(ヴェルディ)氏は、関西出身の日本人であり、ストリート界で注目を集めている人気のグラフィックアーティストです。「Girls Don’t Cry(ガールズ ドント クライ)」や「Wasted Youth(ウエステッド ユース)」等のブランドを手掛けており、その個性的なロゴやテイストで根強い支持を集めています。

 

 

図表2:コラボレーションの一例


 

 

(b) プレイス(販売チャネル)

当社は直接お客様と接点を持つ自社ECと自社店舗をダイレクトチャネルと位置づけ、重視しています。ECと店舗で特性が異なるため、環境変化に応じて最適なバランスになるように商品の配分を調整しています。

補完的に海外店舗向けの卸売を行っていますが、これは自社チャネルを展開すると効率が悪化するエリアについて、卸売チャネルでカバーする方針によります。

当社の販売チャネル一覧は、以下になります。

 

・自社EC

自社ECはお客様から見た場合は在庫があれば気軽に購入できる利便性があること、当社から見た場合は後述するSNS等を活用したプロモーション戦略との相性が良いこと、低い固定費で効率よく運営ができること、グローバル展開がしやすいことが当社の事業戦略と整合的と考えています。なお、プラットフォーマーへの出店はせず、自社ECのみを運営する方針です。

グローバル展開しているSaaS型ECサービスを活用し、自社ECとして運用することで、低コストで世界の大多数の国に対して販売が可能となっています。

 

・自社店舗

「HUMAN MADE」ブランドの店舗として、日本国内においては、東京都内に3店舗、札幌・京都・大阪・福岡に1店舗ずつ、合計7店舗出店しています。同チャネルは「HUMAN MADE」の世界観を顧客に体験していただき、既存顧客を維持し、新規の顧客にファンになっていただく重要なチャネルと位置付けています。

店舗は、図表4に記載のとおり、4タイプで分類しており、ブランド価値を毀損することのないように展開しています。

 

 

図表3:店舗一覧


 

 

図表4:店舗タイプ

 


 

 

・卸売

欧州、中東、東南アジア等、海外において自社での販売を行うことで効率が低下するようなエリアについては、現地の高級百貨店・セレクトショップに対して卸売を行っています。

また、韓国、中国等の重要な拠点では、厳選したパートナーと契約し、HUMAN MADEブランドのみを扱うモノストアを出店しており、現在、中国、韓国、香港に各1店舗を出店しています。現地パートナーによって運営されている海外のHUMAN MADE店舗向けの売上は卸売上に含まれます。

 

・その他

その他として、飲食店舗の運営と保有するIPのライセンスアウトを行っています。

飲食店舗の運営は、当社のミッションである「人間の閃きが生み出し、人間の手が創り出す輝きを、世界へ。」を実現すべく、魅力的なライフスタイルの提案の一環として手がけています。

自社ブランドのカレーショップ「CURRY UP」及びBlue Bottle Coffee Japan合同会社との協業でHUMAN MADEブランドの店舗内に「BLUE BOTTLE COFFEE」の店舗を設置し、運営しています。

また、当社は自社IPのライセンスアウトを行っています。自社のブランドを展開することができないか、または自社で展開すると効率が悪化するような地域/商品カテゴリに対してライセンスアウトを行うことで収益化を図ることを目的としています。

 

(c) プライス

価格決定力は事業の収益力に与える影響が非常に大きい要素と認識しています。

まず、商品価格の決定にあたっては妥協のない商品を提供したいとの考えから、かかったコストに対して必要な利益等を勘案して価格を決定する考え方を基本としています。このような価格決定を行った場合、同じカテゴリの他社商品の市場価格との差が問題となりますが、価格差を上回る価値をお客様に提供し、お客様の信頼にこたえる方針です。

当社は、商品価値を維持・向上するにあたり、セールや値引き販売を行いません。また、需要見込みに対して供給数を絞り込むことで、一般的なアパレル会社が30%~40%のプロパー消化率と言われているところ、設立から一貫して100%のプロパー消化率(販売した商品のうち、定価で売れた商品の比率)を実現しています。加えて、商品消化率(発売した商品のうち、最終的に販売された商品の比率)もほぼ100%であり、プロパー消化率と合わせ、当社ブランドの人気度を表していると認識しています。

また、商品の企画・デザイン段階から素材等品質や風合い等に拘った商品を作り、お客様の満足度の高い商品を限定的に供給し、販売と同時に完売する(プレミア化)ことが基本的な流れとなっています。

常に需要全体に対して少な目に供給を行うことで、商品価値・価格の維持、適正な在庫量、保管コストの削減につながり、財務面でも在庫回転率や売上総利益率が高い要因の一つとなっています。

商品価値の維持・向上に関するイメージ図は、以下となります。

 


 

(d) プロモーション

当社は、テレビ、雑誌、インターネット等の広告枠を購入して商品広告を行うような一般的な手法は採用していません。クリエイター、アーティスト、ミュージシャンや全世界に向けてグローバルに事業を展開する企業とのコラボレーション等を通じて商品情報を発信しています。

クリエイターやアーティスト等はその分野において既に固有のファンから支持を受けている著名人が多く、グローバル企業とのコラボレーションも全世界における当社ブランドの知名度向上に寄与します。

これらの著名人及び企業は、自らの価値向上にもつながるプロモーションにも積極的に取り組んでくれるほか、グローバル企業側においてもブランドの価値向上や認知度向上につながる広告宣伝として積極的に実施する傾向にあります。「HUMAN MADE」のコアファンとなっている国内外のミュージシャンや俳優等のセレブリティは自身のSNS、InstagramやTikTok等さまざまな機会を通じて自発的な情報発信を行ってくれており、当社にとっての宣伝効果は高く「HUMAN MADE」ブランドの価値向上や認知度向上につながっています。

これらを通じて、当社としては多額のマーケティングコストをかけることなく、ブランド価値向上や顧客認知の増大につながっています。

なお、当社が使用する広告費の中身は、主にSNSで使用する動画制作費用や、ルックブックの撮影費用、プロモーションとして配布する商品原価費用等が大半を占めます。

以下は、当社のアドバイザー兼株主であるPharrell Williams氏(注)による着用及び情報発信の一例です。

 


 

 

(注) Pharrell Williams氏は、当社のアドバイザー兼株主であり、アメリカのアーティスト/プロデューサー/シンガーソングライター/慈善活動家/ファッション・デザイナー/起業家です。いままでに13のグラミー賞を受賞し、2つのアカデミー賞やゴールデングローブ賞、エミー賞にもノミネート。2023年には『LOUIS VUITTON』メンズクリエイティブ・ディレクター就任。2017年に当社に資本参画したのち、2023年に当社アドバイザーに就任しています。

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2025年9月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

190

32.4

2.1

6,092

22

 

(注) 1.当社は、ブランド事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3.従業員数欄の[外書]は、臨時従業員(アルバイト)の最近1年間の平均人員です。

 

(2) 労働組合の状況

当社において労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

最近事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

16.7

66.6

88.1

87.4

88.4

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。