当社は、本書提出日時点における親会社であるHamee株式会社(以下「Hamee」と言います。)のプラットフォーム事業を担う完全子会社であります。
Hameeは、連結子会社5社、非連結子会社1社、関連会社2社により構成されており、世界的にも成長が続いているイーコマース(以下「EC」と言います。)市場において、市場の変化に対応しつつ進化成長してまいりました。自らのクリエイティブ魂に火をつけ、プロダクト及びサービスを通じて顧客体験価値を最大化し、クリエイティブな炎を燃え上がらせることを体現することを目指し、Purpose/目的「クリエイティブ魂に火をつける」を掲げております。
主要なものとしては、スマートフォンケースやイヤホンケース等モバイルアクセサリーの商品企画・開発・製造、それら商品についてインターネット通信販売及び大手雑貨量販店等への卸販売を行う「コマース事業」と、主にEC事業者向けクラウド(SaaS)型EC Attractions「ネクストエンジン」(以下「ネクストエンジン」と言います。)の開発・提供を行う「プラットフォーム事業」を展開しております。
両事業の成長を背景に、Hameeは2015年4月に東証マザーズ市場(現グロース市場)に新規上場、2016年7月には市場第一部(現プライム市場)に市場変更するなど企業として順調に発展し、主力の自社企画商品であるスマートフォンケースの「iFace」は世界累計の販売個数が3,800万個(Hameeホームページより)を誇るまでになり、ネクストエンジンはECプラットフォームとして6,500社を超える顧客のEC店舗運営を支えるサービスに成長することができましたが、構造の大きく異なる二つの事業を単一の企業体として運営する中で下記のような課題を認識するにいたりました。
質の違う2つの事業の成長を最大限に担保するためには、意思決定プロセスの単純化や、労働環境、給与水準などをそれぞれの事業に合わせる必要があるものの、現組織体制では、企業グループとしての全体最適が優先されるため、事業ごとに単純化された意思決定プロセスを採用することができない、事業ごとに給与水準を自由に設計できないなど、効率化を推進するための課題の根本的な解決が困難となっており、それが非効率化に繋がっていると考えております。
現在の当社に対する市場からの評価は、ECや卸販売の売上比率の高さからコマース企業の側面が強調されたものになっていると認識しております。これに起因し、プラットフォーム事業に対してSaaS運営企業としての市場評価が適切に反映されず、株主価値を最大限に発揮できていないと考えております。
現在具体的な問題が生じている訳ではありませんが、成長戦略を描く際に全体最適を過度に意識した場合、取り得る選択肢の自由度が担保されず、成長戦略の実現に影響が生じる可能性も考えられます。
前述の三つの課題に対処するため、Hameeは次の取り組みを実行してまいりました。
・コマース事業を担う同社と、プラットフォーム事業を担う当社がそれぞれ単一事業に集中することで、経営環境の変化に対応するための事業戦略の立案・実行を迅速に行い、結果的に各事業の進化・成長を加速させ、株主利益の最大化を実現することを目的として、2022年8月にプラットフォーム事業をNE株式会社として分社化いたしました。
・それぞれの事業に特化したノウハウを有する取締役を代表に任命し経営責任を明確化したうえで、2社の継続的な成長を担保するために経営資源の最適な再配分(主に2社の特性に合わせた人材の再配置等)を実施いたしました。
・2社それぞれが企業価値の向上のため、自社の取扱い商品、サービス等の周辺分野において、次の収益の柱となるような新規事業を創出し続ける土壌を整備いたしました。
上記の取り組みでは解決しきれない、プラットフォーム事業に対する適正な評価の確保という課題に対し、独立した企業として市場から適正な評価を得ることで解決を図るため、Hameeは2023年7月14日付で、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。)第370条及び当社定款の規定に基づく取締役会の決議に替わる書面決議により、本スピンオフの準備を開始すること及び当社の上場の準備を開始することを決議いたしました。
本スピンオフは、株主の皆様に金銭分配請求権を付与しない現物配当(金銭以外の財産による配当)を予定しており、本スピンオフについては、株主の皆様の売買機会を確保する観点から、当社株式の株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)への上場を前提としております。そのため、本スピンオフ実施前に東証に新規上場申請を行う予定であり、東証の上場承認を得られること等を本スピンオフの条件といたします。
本スピンオフに係る詳細は以下のとおりです。
・Hameeと当社がそれぞれ最適な経営環境(スピーディーな意思決定プロセスやオフィス等の労働環境)のもとで課題解決に取り組み、事業の進化・成長を加速させ、中長期的な企業価値の一層の向上を目指す。
・グループ企業としての全体最適を意識することなく独立した企業としての判断により、成長戦略の自由度を担保したうえで業務提携やサービス展開の最善手を選択する機会を創出し、結果として2社の企業価値の総和が組織再編前の企業価値を超えることで、株主価値の最大化を実現する。
・Hameeと当社がそれぞれ上場企業として市場と対話することでガバナンスの明確化を図る。
・2社の経営陣が直接的に資本市場からのガバナンスを意識することで経営の健全性を担保する。
・2社が独立した企業となり事業を跨る全体最適を意識する必要性がなくなることで、各事業に特化したマネジメント層がそれぞれの企業において意思決定を迅速に行います。
本スピンオフにより当社株式を保有することとなるHamee株主に、当社株主としての売買機会を確保する観点から、当社は本スピンオフの実施に際し、東京証券取引所への上場を予定しております。
2025年10月31日(金)を基準日として、Hameeの同日最終の株主名簿に記録された株主の所有する同社普通株式1株につき、当社普通株式1株の割合をもって現物配当が行われる予定です。
本スピンオフは、法人税法第2条第12号の15の3に規定された適格株式分配に該当することを前提として行われるため、当社株式の現物配当に伴い、Hamee基準日株主にみなし配当課税が適用されることはないとされています(法人税法第24条第1項第3号、所得税法第25条第1項第3号)。
本スピンオフは、完全子法人の株式以外の資産が交付されない株式分配で、その株式が現物分配法人の発行済株式の総数に占める現物分配法人の各株主の有するその現物分配法人の株式の数の割合に応じて交付されるため、譲渡損益課税は生じず、繰り延べられることとなります(法人税法第61条の2第8項、租税特別措置法第37条の10第3項第3号、同第37条の11第3項)。
本スピンオフ後における、Hamee基準日株主の同社株式及び当社株式の税務上の各取得価額は、分配資産割合(株式分配に係る法人税法施行令第23条第1項第3号及び所得税法施行令第61条第2項第3号に規定する割合)を用いた以下の算式で求められる価額になるとされております(法人税法施行令第119条第1項第8号、所得税法施行令第113条の2第1項)。なお、本スピンオフにおける分配資産割合は、「株式分配直前の当社株式の帳簿価額」を「株式分配の日の属する事業年度の前事業年度の終了の時のHameeの資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額(前事業年度終了時から株式分配の直前までの資本金等の額及び一定の利益積立金の増減額を含む)」で除して求められる割合となります。
当社株式の1株当たりの取得価額(X)=Hamee株式の1株当たりの調整前取得価額(Y)×分配資産割合
本スピンオフ後のHamee株式の1株当たりの取得価額(Z)=(Y)-(X)
なお、取得価額の調整はあくまで税務上の取扱いであり、上記の税務上の取得価額が当社株式及び本スピンオフ後のHamee株式のそれぞれの株式価値を意味するものではありません。
※法人株主の場合、「取得価額」を「(税務上の)帳簿価額」と読み替えて計算する必要があります。これらの税務上の取扱いについては、Hamee基準日株主に必要となる税務上の手続き等を網羅してご説明しているものではなく、また、本スピンオフに関して日本以外の国における税務上の取扱いをご説明しているものでもありません。具体的な税務上の手続き及びHamee基準日株主における税務上の取扱いについては、Hamee基準日株主個々の事情によって異なりますので、自身の事情の下で、本スピンオフが税務上どのように取り扱われるかにつきましては、最寄りの税務署、税理士等にご確認ください。
本項目は、Hamee株式の取引に関する情報であり本募集及びオーバーアロットメントによる売出しにより当社株式を取得する投資家には直接関係ありませんが、本スピンオフに関する情報提供の観点から記載しております。
本スピンオフが実施される場合、分配基準日である2025年10月31日(金)のHamee基準日株主に対して、保有する同社株式1株当たり当社株式1株が交付されることとなり、権利付最終日は2025年10月29日(水)となります。そして、Hamee株式は2025年10月30日(木)が権利落ち日となり、理論上は同日付で当社株式の価値相当分だけHamee株式価値が調整されますが、他方でHamee基準日株主は2025年11月4日(火)に当社株式の分配を受けることとなります。
Hamee株式の権利落ちに際しては、分配基準日時点のHamee及び当社の保有自己株式数を除いた発行済株式総数が一致することから、以下の算式により、求められる1株当たり価格をHamee株式の基準値段として、2025年10月30日(木)に東京証券取引所における取引がなされる見込みです。なお、基準値段とは、制限値幅(1日のうちに変動可能な値段の幅)の基準となる値段のことを指し、2025年10月30日(木)に行われる各取引の実際の取引値段を指すものではありません。基準値段の算出方法等を含む売買の取扱いに関しては、改めて東京証券取引所から公表される予定です。
Hamee株式の権利落ち日(2025年10月30日(木))の基準値段=Hameeの権利付最終日(2025年10月29日(水))の株価終値-当社株式の公開価格
基準日株主であるHameeの創業者である樋口敦士及びその資産管理会社であるAOI株式会社は、本スピンオフにより当社株式を保有することとなりますが、本スピンオフ後もこれまでの現Hameeの株式と同様に、当社株式を長期的に保有する方針であり、当社株式について短期的に売却の意向はない旨をHameeが確認しております。
(注) 1.当社は、2022年5月に設立され、同年8月1日付でHamee株式会社のプラットフォーム事業について会社吸収分割の方法により継承しているため、第1期(2023年4月期)は2022年8月1日から2023年4月30日までの9か月間となっております。
2.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
5.当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。
6.前事業年度(第2期)及び当事業年度(第3期)の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けておりますが、第1期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、監査を受けておりません。
7.第1期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
8.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇 用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、1年間の平均人員を〔 〕内に外数で記載しております。
9.2023年3月31日付で株式1株につき40,000株の分割を行っております。
第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
10.2025年9月1日付で株式1株につき4.00025025株の分割を行っております。第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。
提出会社の設立時点の親会社であるHamee株式会社は、1998年5月22日に神奈川県小田原市において、モバイル周辺アクセサリーの企画・販売・ECを目的にマクロウィル有限会社として設立いたしました。
その後、2008年5月にEC事業の受発注・在庫・売上を一元管理するシステム「ネクストエンジン」のサービス提供を開始し、新たな事業の柱とするなど事業領域の拡張に努め、スマートフォンケース等モバイルアクセサリーの商品企画・開発・製造、それら商品についてインターネット通信販売及び大手雑貨量販店等への卸販売を行う「コマース事業」と、EC事業者向けクラウド(SaaS)型EC Attractions「ネクストエンジン」の開発・提供を行う「プラットフォーム事業」の二事業を展開するに至りました。
当社は、Hamee株式会社の「プラットフォーム事業」を吸収分割の方法により会社分割することを目的として2022年5月に同社の100%連結子会社として設立し、2022年8月に「プラットフォーム事業」を会社吸収分割により承継して事業を開始いたしました。
当社設立以後、現在までの沿革は次のとおりであります。
当社は世界的にも成長が続いているEC市場において、市場の変化に対応しつつ進化成長し続けてきたHamee株式会社から、同社のプラットフォーム事業を会社吸収分割の方法により承継し2022年8月に実質的な事業を開始いたしました。
Hameeグループの共通ミッションである「クリエイティブ魂に火をつける」を体現するため、当社は新たに、「コマースに熱狂を。」をパーパス(自社の社会的な存在意義)と定め、コマースに関わるすべての人と「新しい熱狂」をつくりだすべく、主にEC事業者を対象として、その成長に伴走する各種のサービスを展開しております。
当社のメインとなるサービスで、主に自社サイトやECショッピングモール等でインターネット通販を展開するEC事業者向けに、ネットショップ運営に係る受注処理や在庫管理等の業務を可能な限り自動化すると同時に、管理システムの異なる複数のECモールのデータを自動で取り込むことで複数店舗の受注処理や在庫状況を一元管理できるクラウド(SaaS)型EC Attractions「ネクストエンジン」を開発・提供しております。
ネクストエンジンは、EC事業者に対して、メール自動対応、受注伝票一括管理、在庫自動連携(各店舗の在庫数を一致させる機能)、商品ページ一括アップロード等の機能を提供し、ネットショップ運営の業務プロセスの自動化を進め、EC事業者の経営効率向上を支援するクラウド(SaaS)型システムであります。異なるインターネットショッピングモールに出店した複数のネットショップの管理を一元化したり、複数のネットショップの在庫数表示を同期させたりする機能を持つことから、特に複数のネットショップを運営するEC事業者には利点があります。
ネクストエンジンには、メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」といいます。)があり、ユーザーはニーズに合わせて機能を使い分けることが可能となっております。メイン機能はEC事業者の利便性に資する標準的な機能がワンパッケージで搭載されており、アプリはそれ以上の、企業ごとに異なる店舗管理や店舗運営の方法に合致させるためのオプションと位置付けられています。
なお、ネクストエンジンのユーザーに対するサポート業務(問い合わせ対応等)については、コムテック株式会社に業務委託しており、当社の顧客対応チームであるカスタマーサクセスマネジメント部は、顧客であるEC事業者の効率的な業務運営に資する提案等を実施することで、事業的な成功を支援するというカスタマーサクセスの思想を追求しております。
ネクストエンジン事業の事業系統図は下記のとおりです。
EC事業者の成長に伴走するために、ネクストエンジンで受注管理、在庫管理といったバックオフィス業務の自動化、効率化を支援する一方で、コンサルティング事業では、6,500社を超えるネクストエンジンのユーザーの日々の受注処理や在庫管理を通じて得られる多くのデータ及び店舗運営に係るノウハウに基づくECコンサルティング、EC運営代行サービスを提供することで、クライアントであるEC事業者の売上支援を行っております。
具体的には、自社に所属しているコンサルタントのほか、パートナー企業やフリーランス等の外注先を活用しながら、顧客企業に対して主に下記のサービスを提供しております。なお、顧客企業については、ネクストエンジン契約企業以外も多く存在しており、コンサルティングサービスによる多店舗展開支援から、ネクストエンジン導入へとつながるケースもあります。
・ECコンサルティング
・EC出店・サイト構築コンサルティング
・EC運営代行サービス
・広告運営代行サービス
コンサルティング事業の事業系統図は下記のとおりです。
当事業は地方創生の観点から、地方自治体向けふるさと納税支援サービス及び伝統工芸品のEC販売事業を展開しております。
ふるさと納税事業における地方自治体の寄附受付から返礼品発送までのオペレーションが、EC事業者によるネットショップの運営とほぼ同様であることに着目し、ネクストエンジンを一部カスタマイズしたうえで業務自動化、効率化のツールとして活用が可能という当社の強みを発揮しながら、地方自治体のふるさと納税運営をサポートするサービスを提供しております。
自社で保有するECコンサルティングのナレッジを活用したSEO(検索エンジン最適化)対策、メールマガジン運用、広告プロモーション等、寄附額の拡大につながるような各種の支援施策を提供するなど、業務の効率化に留まらない付加価値の創出に努めております。
なお、返礼品の発送手配、ふるさと納税ページの更新、コールセンター業務(納税者からの問い合わせ対応等)については、パートナー企業を活用しております。
ふるさと納税支援サービスの事業系統図は下記のとおりです。
当社は、2024年4月に事業譲受によって日本国内における伝統工芸品のEC事業を取得いたしました。
実店舗を運営する中でEC運営に必要なノウハウを蓄積し、ネクストエンジンサービスの機能改善に活用すること、コンサルタントの経験値引き上げのために実店舗を運営する機会を社内に保持すること、ふるさと納税返礼品事業者の商品を当社が運営するEC店舗で取り扱うことで、販売機会の拡大につなげること等を目的としており、地方創生を支援するという共通の理念があることから、当該セグメントに含めております。
この事業では、日本全国の伝統工芸品を製作する職人等から様々な商品を仕入れ、自社(本店)サイト、Amazon、楽天市場等のEC店舗で販売しております。
2025年4月期末時点におけるネクストエンジンの契約社数は6,570社(前事業年度末比314社増)で、利用店舗数は53,602店(同3,131店増)、利用店舗の取引総額は1兆1,879億円(同762億円増、いずれも自社調べ)となっております。
ネクストエンジンの基本料金は、ユーザーであるEC事業者の受注件数に応じた従量課金制をとっており、ユーザーの事業規模に応じた料金体系となっております。ネクストエンジン上の各種アプリにつきましては、アプリごとの定額料金制(一部従量課金制)としております。
営業活動につきましては、EC事業者向けのイベント・セミナー等へ出展・参加し、当サービスを紹介して、興味を持っていただいたEC事業者に詳細を提案するという営業スタイルを主体に、契約見込み先に対する積極的な営業(コンサルテーション)を展開し、契約の獲得に繋げております。加えて、無料体験からの成約率を高めるための組織(アカウントマネジメント部)も編成しており、組織の役割を明確にすることで少人数でも効率的に契約件数を獲得することが可能な体制となっております。また、協力事業者(ユーザー及び代理店として「パートナー制度に関する利用規約」を締結している事業者等)に代理で営業活動を行っていただき、当サービスを紹介していただく「パートナー制度」も設けております。
ネクストエンジンのユーザーへのサポート業務は自社にログやノウハウが蓄積できる体制を構築したうえで顧客からの問い合わせ対応等の定型業務をアウトソーシングしております。また、従前はコールセンター業務を担っていた社員が、顧客のEC運営上の課題を把握し改善提案を行うことによって、顧客の事業成長を支援し、結果として事業撤退を理由に解約するケースを回避するなど解約率抑制に取り組むことで、継続的に顧客の事業的な成功を支援するというカスタマーサクセスの追求を行っております。
ネクストエンジンの開発は全て自社の開発部で行っております。ユーザーと同じ目線で、ユーザーの利便性を重視したシステムにしていくため、6,500社超のユーザーからのリクエストについては、要望の多いもの、利便性向上への効果が期待できるものから優先的に機能開発に取り組むほか、ECショッピングモール側のシステム変更等に対して、事前にモール側と連携を取りながら改修をすすめ、システム変更が実施されるタイミングで当社の対応も完了できるような開発体制を構築しております。
ネクストエンジンのAPI(注)を公開したことにより、ネクストエンジン上で自社及び外部ディベロッパーが開発した各種アプリの展開が可能となるなど、いわゆるプラットフォーム化が実現いたしました。これにより、顧客のニーズに合わせたネクストエンジンのカスタマイズが容易となり、小規模EC事業者から、大規模EC事業者まで、広範なユーザーのニーズに対応したサービス提供が可能となっております。
また、ユーザーが利用している外注先の倉庫事業者に対して、自動で出荷指示データを送るといった既存のアプリとネクストエンジンを連携させることにより、ユーザーの環境に合わせた効率的なシステム運用も可能となります。加えて、ユーザーが独自に開発したアプリを、ネクストエンジン上で販売することも可能になります。
(注)API(Application Programming Interface)とは、あるコンピュータプログラム(ソフトウエア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから簡単に呼び出して利用できるようにするインターフェース(窓口)のこと。ここでいうインターフェースとは、機能の呼び出し手順や記述方法などを定めた仕様を指す。APIが提供されている機能は独自にゼロから開発する必要がないため、プログラムの開発を効率的に行うことが可能になる。
(ⅱ)コンサルティング事業
ネクストエンジンの事業領域を受注処理や在庫管理といったバックオフィスから、商品ページの管理や広告の運営といったフロントオフィスに拡張することで、EC事業者の最強のパートナーとなることを目指し、ネットショップ運営に関する総合的なECコンサルティングサービスを提供しております。
ネットショップ店長経験者、メディア運営経験者、マーケター経験者など各分野においてスペシャリティーを発揮する自社所属のコンサルタントがチームで顧客のEC事業者を総合支援し、楽天市場、Yahoo!ショッピング、AmazonなどのECモールから自社サイトまで幅広く対応することが可能となっているほか、ネクストエンジンを使った効率的な受注運営代行も強みとなっております。
WEB広告等の媒体から流入する見込み顧客に対して、戦略策定、施策提案、やるべき事とその優先度が分かるレポートを無料で提供する1か月間のお試し期間を経て、担当コンサルタントによるフォローアップによって正式契約へと繋げるよう営業活動を展開しております。
なお、サービス価格(コンサルティング料金)は月額60,000円からとなっており、規模の小さいEC事業者でも導入しやすい価格設定となっております。
(ⅲ)ロカルコ事業
地方自治体向け、ふるさと納税運営の業務受託サービスとして、「寄附拡大」と「業務効率化」の二つの側面で全国の自治体に対して付加価値を提供しております。
寄附拡大については、ふるさと納税サイトのトップページ編集、バナー設置、返礼品画像編集等の掲載情報の充実化や、SEO(検索エンジン最適化)対策、メールマガジン運用、広告プロモーション等のECコンサルテーション、返礼品の開発等、外部の業務委託先とも連携した幅広いサポートが可能となっております。
業務効率化については、ネクストエンジンを活用した受注管理業務の自動化、カスタマーサポート業務の受託、寄附者への郵送書類の作成と発送等、地方自治体の業務負荷の低減に資するサービスを、外部の業務委託先とも連携して提供しております。
サービス価格は契約自体への寄附額に対して一定の料率を乗じる料金体系を基本としております。また、寄附者への郵送書類の作成については、作業数量に応じた従量課金制も一部採用しております。
営業活動につきましては、当社営業担当者による訪問といった営業活動が中心となっており、合わせて各自治体において実施される、ふるさと納税支援事業者を選定するプロポーザル(自治体が発注先企業を選ぶための方法の1つで、複数の企業の中から最も優れた提案をした企業を契約の候補者として選定する方式)実施情報を入手し、プロポーザルに参加するという方法で契約の獲得に努めております。
ふるさと納税支援サービス契約自治体へのサポート業務は、自社及びノウハウを有するパートナー企業等へのアウトソーシングにより提供しております。ふるさと納税の特性上、年末に業務が集中する傾向にあるため、閑散期の業務量をベースに自社リソースを確保し、繁忙期にアウトソーシングを活用することで、固定費の圧縮に努めております。
「ロカルコストア」の名称で、日本全国の伝統工芸品を仕入れ、自社(本店)サイト、Amazon、楽天市場等のEC店舗で販売する一般的なEC事業であります。既存の伝統工芸品のほか、自社企画によりアレンジした工芸品を製作、OEM供給いただくなど、商品開発にも注力しております。
なお、店舗運営には自社のクラウド(SaaS)型EC Attractions「ネクストエンジン」を使用して、効率的な店舗運営を行っております。
(注) 1.「主要な事業の内容」には、代表的な商材を記載しております。
2.有価証券報告書の提出会社であります。なお、本スピンオフにおいて、Hameeは保有する当社の全株式を現物配当(金銭以外の財産による配当)によりHamee株主に分配することを予定しているため、本スピンオフの分配実行日(2025年11月4日(火))においてHameeは当社の親会社ではなくなります。
3.2024年10月31日付で建物賃貸借契約を解約しております。
4.2024年7月25日付で兼任は解消しております。
(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、パート及び嘱託社員は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.当社設立後に入社した従業員以外は、Hameeへの入社日、Hameeコンサルティング株式会社への入社日を起算日として勤続年数を算出しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.全社(共通)は、全事業部に共通するビジネスサポート部門、デザイン部門、人事、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。