第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第18期

第19期

決算年月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

5,836,415

7,174,418

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

598,790

107,626

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

557,782

74,724

包括利益

(千円)

543,792

74,818

純資産額

(千円)

681,447

2,413,775

総資産額

(千円)

4,331,093

5,233,717

1株当たり純資産額

(円)

125.71

111.81

1株当たり当期純利益

又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

33.10

4.13

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

15.6

46.1

自己資本利益率

(%)

104.3

4.8

株価収益率

(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

812,004

336,453

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

491,244

283,221

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,514,426

829,059

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,406,547

1,615,931

従業員数

(人)

306

330

(外、平均臨時雇用者数)

(-)

(-)

 (注)1.第18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また第1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。第19期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

2.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

3.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

4.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

5.当社は、2025年7月31日開催の取締役会決議により、2025年8月20日付で、普通株式1株につき400株の割合で株式分割を行っておりますが、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

6.前連結会計年度(第18期)及び当連結会計年度(第19期)の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人より監査を受けております。

7.第18期について、事業拡大に向けた人材採用を含む先行投資等を行っていることにより経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。また、同様の理由により営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっております。第19期の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなった要因は、「Winvoice」の稼働開始により、未収入金が増加したことによるものです。「Winvoice」の概要につきましては、「3 事業の内容(2)」をご参照ください。

(2)提出会社の経営指標等

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

1,055,318

1,552,098

2,955,121

3,719,931

4,867,108

経常損失(△)

(千円)

411,242

867,522

416,563

390,862

285,887

当期純損失(△)

(千円)

2,031,358

1,442,866

1,072,269

259,685

434,523

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

247,460

100,000

発行済株式総数

(株)

36,888

41,292

41,892

43,694

46,674

普通株式

 

32,188

33,137

33,137

33,789

33,919

A種優先株式

 

4,700

4,700

4,700

4,700

4,700

B種優先株式

 

3,455

3,455

3,455

3,455

B2種優先株式

 

600

600

600

C種優先株式

 

1,150

1,150

D種優先株式

 

2,850

純資産額

(千円)

237,831

973,092

203,166

821,513

2,044,593

総資産額

(千円)

1,789,583

2,914,410

2,539,351

4,124,162

4,599,294

1株当たり純資産額

(円)

1,724.95

24,901.40

50,138.57

117.69

131.59

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

59,874.34

37,221.52

25,623.18

15.41

24.01

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

13.3

33.4

7.7

19.7

44.4

自己資本利益率

(%)

411.7

238.6

183.6

51.5

30.4

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

(人)

71

104

138

173

203

(外、平均臨時雇用者数)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 (注)1.当社は配当を行っておりませんので、1株当たり配当額及び配当性向につきましては、それぞれ記載しておりません。

2.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

4.第15期から第19期については、事業拡大に向けた人材採用を含む先行投資等を行っていることに加え、一部の年度において、固定資産に係る減損損失、関係会社株式評価損、連結子会社との吸収合併による抱合株式消滅損等を計上したことにより、経常損失及び当期純損失を計上しております。

5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第16期の期首から適用しており、第16期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

7.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員を除く。)は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

8.第18期及び第19期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人より監査を受けております。

なお、第15期、第16期及び第17期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

9.当社は、2025年7月31日開催の取締役会決議により、2025年8月20日付で、普通株式1株につき400株の割合で株式分割を行っておりますが、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

10.当社は、2025年7月31日開催の取締役会決議により、2025年8月20日付で、普通株式1株につき400株の割合で株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりであります。

なお、第15期、第16期及び第17期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

1株当たり純資産額

(円)

△4.31

△62.25

△125.35

△117.69

△131.59

1株当たり当期純損失(△)

(円)

△149.69

△93.05

△64.06

△15.41

△24.01

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

年月

概要

2006年5月

㈱インフキュリオン設立

2010年4月

店舗向け決済サービス提供のため、㈱リンク・プロセシングを子会社として設立

2011年8月

スマートフォンを活用したクレジットカード決済サービス(mPOSサービス)Anywhereを提供開始

2012年9月

㈱リンク・プロセシングが、Anywhereにおける協業を目的に㈱NTTドコモと資本業務提携

2013年10月

㈱リンク・プロセシングが、Anywhereにおける協業を目的にユーシーカード㈱と資本業務提携

2014年2月

コンサルティング事業を分社化するため、㈱インフキュリオン コンサルティング準備会社(現 ㈱インフキュリオン コンサルティング)を設立

2014年4月

㈱インフキュリオン(現 ㈱インフキュリオン)から㈱インフキュリオン・グループへ商号変更

 

㈱インフキュリオン・グループのコンサルティング事業を吸収分割の形でインフキュリオン コンサルティング準備会社へ承継し、純粋持株会社に移行

 

㈱リンク・プロセシングが、Anywhereにおける協業を目的に㈱ジェーシービーと資本業務提携

2014年7月

決済業界に関する出版事業を手掛ける㈱カード・ウェーブを完全子会社化

2015年10月

当社代表の丸山 弘毅が日本の決済・金融業界の発展を目的として一般社団法人Fintech協会を設立、代表理事に就任(現在はエグゼクティブアドバイザー)

2016年4月

SBIインベストメント㈱「FinTechファンド」を引受先とした第三者割当増資を実施

 

銀行API(注)を活用した消費者向けプロダクトの立上げを目的に㈱ネストエッグを子会社として設立

2016年12月

銀行APIを活用したFintechサービス「finbee」の提供開始

2017年10月

二次元コード決済のゲートウェイを提供する㈱アダプトネットワークスを設立

2018年3月

グループ経営体制の強化を目的として、株式交換等により㈱リンク・プロセシングを完全子会社化

2018年7月

経営の効率化を目的に㈱インフキュリオンが㈱カード・ウェーブを吸収合併

 

BaaS基盤を中心としたプロダクトの企画・開発・運用を目的に㈱インフキュリオンデジタルを設立

 

経済産業省が主導し、産官学連携による国内のキャッシュレス推進を目的として設立された一般社団法人キャッシュレス推進協議会の設立時理事として当社代表の丸山 弘毅が就任

2018年8月

BaaSプラットフォーム「Wallet Station」を提供開始

2020年4月

金融機関向けのBaaS基盤提供を目的に㈱エヌ・ティ・ティ・データと資本業務提携

2020年7月

「㈱インフキュリオン・グループ」の商号を「㈱インフキュリオン」に変更

子会社「㈱インフキュリオン」の商号を「㈱インフキュリオン コンサルティング」に変更

2020年10月

㈱Kyashより企業向けカード発行事業「Kyash Direct(キャッシュ ダイレクト)」を譲受

2020年11月

「㈱インフキュリオン」と「㈱インフキュリオンデジタル」を合併し、事業持株会社体制に移行

2021年3月

「Kyash Direct」を機能拡張及びリニューアルし、「Xard」として運用開始

2021年10月

株式交換等により㈱ネストエッグを完全子会社化

2022年11月

第三者型前払式支払手段発行者として 「Coke ON Wallet(コークオン ウォレット)」に参画

2023年7月

プリペイドチャージ連携サービス「CharG」を提供開始

2023年10月

請求書支払いプラットフォーム「Winvoice」を提供開始

2024年3月

Visaソリューションを活用したフルクラウド型アクワイアリングシステムの構築を開始

2024年4月

経営の効率化を目的に㈱インフキュリオンを存続会社として、子会社である㈱アダプトネットワークスを吸収合併

2024年8月

㈱三井住友銀行及び三井住友カード㈱と資本業務提携契約を締結

2024年9月

㈱三井住友フィナンシャルグループの完全子会社(㈱三井住友銀行及び三井住友カード㈱)を通じた増資引受け及び既存株主からの当社株式取得により、同社の持分法適用会社化

2025年4月

㈱三井住友フィナンシャルグループ、㈱三井住友銀行及び三井住友カード㈱が提供する法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk(トランク)」の開発への参画を発表

(注)API アプリケーションの機能や管理データ等を共有し利用できる仕組み

3【事業の内容】

(1)当社グループの概況

当社及び連結子会社3社(以下、総称して「当社グループ」という。)は、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げ、消費者向け(BtoC)から事業者間(BtoB)まで、あらゆる産業の事業者や金融機関に決済・金融機能を実装することにより、経済活動の変革を支える「決済イネーブラー」(注1)として事業を展開しております。

大手金融機関から新たにフィンテック(注2)市場に参入する新興企業まで、あらゆる事業者のフィンテック・パートナーとして、次世代型の決済システムを中心とした金融サービスを機能単位で柔軟に利用するためのプラットフォームを提供するとともに、当社プラットフォームの導入支援を含む決済・金融領域全般に関するコンサルティングサービスを提供しております。これまで国内の金融機関や大手企業で用いられてきた決済・金融基盤よりも柔軟性が高くコスト効率に優れた次世代型のインフラ提供者として、決済・金融領域を起点に、従来よりも効率的で利便性の高い社会の実現に貢献することを目指しております。

 

当社グループが事業を展開する決済・金融領域では、コロナ禍に端を発した社会構造の変革やデジタル化・キャッシュレス化の潮流により、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。また、国策による電子帳簿保存法の改正、インボイス制度開始のほか、近年のAI技術のめざましい発展によって企業のバックオフィス業務は定常業務の省力化やペーパーレス化をはじめとした効率化が急速に進んでおり、これらを実現する業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。

 

当社グループは創業以来、このような事業者の課題解決に向けて、決済手段の多様化や効率化を実現するプラットフォームの拡充に取り組んでまいりました。当社グループが提供するプラットフォームはクラウド上で構築されており、多様な外部システムと連携可能な拡張性に加えて、初期導入時及びメンテナンスにおけるコストメリットを有するという特徴があります。これにより現在では、消費者向け決済及び事業者間決済の双方にプラットフォームを提供する総合型の決済イネーブラーとしての事業基盤を築いております。

 

2024年8月には、事業者間決済領域において、事業者の経営改革やデジタル・トランスフォーメーション(以下、「DX」という。)を総合的に支援するプラットフォームの構築を目指し、株式会社三井住友銀行及び三井住友カード株式会社(以下、総称して「SMBCグループ」という。)との資本業務提携契約を締結し、2025年4月には、SMBCグループが提供する法人向けデジタル総合金融サービス「Trunk(トランク)」の開発への参画を発表いたしました。当社グループは、SMBCグループへの決済領域における専門的なナレッジ及びノウハウの提供のほか、AIを活用した先進的な決済基盤の開発を担うとともに、当社グループが持つ次世代カード発行プラットフォーム及び請求書支払いプラットフォームをSMBCグループの法人カードとシームレスに融合することで、決済・金融の枠にとどまらないソリューションを提供するなど、企業の経営を多角的に支援するプラットフォームの構築に取り組んでおります。

 

このように当社グループは、重厚なシステムを基盤に拡大してきた日本の決済・金融業界を変革し得る、優れた拡張性や連携性を有する軽量な決済プラットフォームを提供することで成長を続けてまいりました。あらゆる事業者を支える決済イネーブラーとして、日本全体の産業・サービスの競争力向上に貢献してまいります。

 

当社グループは、以下の3つの事業セグメントに区分し事業運営しております。以下に示す区分は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

セグメント名

事業内容

① ペイメントプラットフォーム事業

・国際ブランド(注3)カード発行プラットフォーム

・請求書のカード支払いプラットフォーム

・金融機関や大手企業におけるオリジナルPay(注4)を

 はじめとした自社決済手段構築プラットフォーム

② マーチャントプラットフォーム事業

・加盟店とカード会社等とを接続するための決済端末、

 決済アプリ、ゲートウェイの提供プラットフォーム

③ コンサルティング事業

・金融機関や大手企業に対する決済・金融領域における

 コンサルティングサービス

 

(2)事業及びサービスの概要

当社グループの事業は、事業持株会社である当社が中心となり、グループシナジーを追求しながら各事業を展開しております。各事業の内容は以下のとおりであります。

 

① ペイメントプラットフォーム事業

金融機関や事業者のサービスに、クラウド上で構築された当社グループの決済・金融ソリューションをAPIで接続し、機能を組み込むことにより、各社サービスへクレジットカード発行機能や、アプリへのキャッシュレス決済機能の搭載など、先進的な組込型のファイナンス機能をオープンプラットフォーム上で提供しております。

本事業は、株式会社インフキュリオン及び株式会社ネストエッグが提供しております。

 

0201010_001.jpg

 

(ⅰ)Wallet Station

「Wallet Station」は、金融機関自身のデジタル化やリテール企業におけるオリジナルPayをはじめとした自社決済手段の構築をサポートするためのプラットフォームを提供しております。金融機関においてはWallet Stationを活用することで、自身のデジタル化のみに留まらず、金融機関の顧客である事業会社、系列金融機関などに対するウォレット機能を提供することができます。また、導入企業は、二次元コード決済や個人間送金のみならず、会員管理からクーポンやポイントの発行まで行うことができるため、Wallet Stationを通じて自社の顧客経済圏を構築することが可能となります。

 

(ⅱ)Xard

「Xard」は、フィンテック企業、金融機関、SaaS(注5)事業者、WEBサービス事業者など、国際ブランドカードの発行ニーズがある法人顧客に対して、自社オリジナルの国際ブランドカード発行の基盤となるプラットフォームを提供しております。国際ブランドカードの発行においては、カード発行ライセンスの取得、プリペイドバリューとしてチャージされた残高の管理や明細照会、カード発行や決済に関わるミッションクリティカルなシステムプロセシング等、必要となるプロセスが多岐にわたりますが、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、国際ブランドカード発行プロセスに掛かる一連のプロセスやコストを大きく低減させることができます。

 

(ⅲ)Winvoice

「Winvoice」は、法人間における請求書払いのクレジットカード決済を実現するために必要な業務プロセス、システムをワンストップで提供する請求書支払いプラットフォームを提供しております。導入企業は、経費精算や会計システムをはじめとした提供サービスに、Winvoiceを利用して機能を拡張することで低価格かつ迅速に請求書カード払いサービスを提供することができます。また、Winvoiceの利用企業は、請求書をクレジットカードにより支払うことによって、30日間から60日間支払いサイクルを延長できるほか、請求書をデジタルプラットフォーム上で一元管理することにより、請求書管理に要する業務負担を軽減することが可能となります。

 

 

そのほか、ペイメントプラットフォーム事業として以下のサービスを提供しております。

サービス名

サービス概要

CharG

自社オリジナルPayや地域通貨などに、銀行口座からのリアルタイムチャージやコンビニATMチャージなど希望にあわせた新たなチャージ手段を低コストかつ短期間で追加構築できる連携サービス

finbee

個人又はグループの貯金をサポートする自動貯金アプリサービス

ユーザーが貯金目標と貯金ルールを設定することで、ゲーム感覚で自動的に銀行口座からお金が貯金される

 

② マーチャントプラットフォーム事業

マーチャントプラットフォーム事業では、キャッシュレス社会の拡大に必要不可欠な要素である店舗のキャッシュレス化・デジタル化を推進するためのプラットフォームを展開しております。具体的には、あらゆるキャッシュレス手段を単一デバイスで解決するマルチ決済機能に加えて、継続課金業務や店頭オペレーションのデジタル化を実現する端末の提供、加盟店におけるキャッシュレス決済の処理等を行うアクワイアリングシステム(注6)の開発、運営などを行っております。

本事業は、株式会社インフキュリオン及び株式会社リンク・プロセシングが提供しております。

 

0201010_002.jpg

 

マーチャントプラットフォーム事業の主要プロダクトである「Anywhere」は、加盟店とカード会社等を接続するために必要な決済端末、決済アプリ、ゲートウェイまでをワンストップで提供しております。Anywhereには、加盟店のタブレットやスマートフォンと組み合わせて決済端末化する簡易型決済端末(mPOS)と、単体で利用可能な決済専用端末(EFT-POS)があり、加盟店の業種・業態・規模に応じて最適な決済端末を選択できるラインナップを揃えております。2025年8月時点において、国内で利用されるキャッシュレス決済手段39種に対応しており、POSレジ、顧客管理、予算管理といった他のAndroidアプリを搭載することで、加盟店のオペレーションを効率化する業務端末となっております。また、アプリなどフロントエンドシステムの開発のみならず、決済情報処理センターなどバックエンドシステムの開発及び24時間365日対応のヘルプデスクも含めて運用を行い、加盟店向けに安心・安全な決済処理サービスを提供しております。

2025年3月末現在、保険業界における保険外交員の決済端末やタクシーの車載タブレット用の端末等への導入が進んでおり、当社決済情報処理センター接続の稼働決済端末ID数は16万件以上となっております。

 

③ コンサルティング事業

当社グループは創業以来、金融機関や大手企業に対する決済・金融領域におけるコンサルティングサービスを提供しております。決済・金融領域と先端テクノロジーに精通した事業開発のプロフェッショナルチームにより、新規事業開発時の課題抽出から企画立案、実行までの各フェーズにおける支援を行うとともに、金融機関や大手企業と共創して社会のデジタル化の推進に取り組んでおります。また、コンサルティングサービスを起点として、ペイメントプラットフォーム事業及びマーチャントプラットフォーム事業で提供するプロダクトの導入に繋がる入口としても機能するなど、コンサルティングとプロダクト間におけるグループシナジーを発揮しております。

本事業は、株式会社インフキュリオンコン サルティングが提供しております。

 

(3)売上高の区分

当社グループの売上高は、サービス導入時や決済端末の販売に伴って受け取る「フロー収入」、固定額を定期的に受け取る月額基本料、及び決済処理金額等に応じて課金される従量型の収入で構成される「ストック収入」、コンサルティングサービスの対価として受け取る「コンサルティング収入」に区分されます。

2025年3月期時点で、フロー収入が連結売上高の約47%を占めておりますが、今後の業績成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において提供する各プロダクトは決済処理金額等の増加に伴いストック収入の割合が逓増する収益構造であるため、業容の拡大に伴う継続的な収益成長を見込んでおります。

コンサルティング収入は、80%以上が既存顧客からの12か月以内の継続的な受注に起因する売上となっており、ストック収入とあわせて、当社グループにおける安定的な収益基盤として位置付けております。

 

事業セグメント

売上高区分

主な内容

ペイメント

プラットフォーム事業

フロー収入

・初期導入時の開発等に伴う収入

・追加開発及び機能強化等の支援に伴う収入

ストック収入

・基本機能の使用対価として固定額で受領する基本料収入

・決済処理金額または件数に応じて課金する従量型収入

マーチャント

プラットフォーム事業

フロー収入

・決済端末の販売によって得られる収入

・端末の実用化に向けた開発に伴う収入

・その他システム開発に伴う収入

ストック収入

・基本機能の使用対価として固定額で受領する基本料収入

・決済処理金額または件数に応じて課金する従量型収入

コンサルティング事業

コンサルティング収入

・コンサルティングサービスの対価として顧客から受領

 する収入

 

(4)事業系統図

 当社グループの事業系統図は、次の通りであります。

0201010_003.jpg

 

(注1)イネーブラー(Enabler)

他社のビジネスが成長する上で不可欠なインフラ基盤の一部として機能し、後方支援をする立場・企業

(注2)フィンテック(FinTech)

金融を意味するファイナンス(Finance)と技術を意味するテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語。金融と情報技術を融合した金融工学分野の技術革新や関連するビジネス

(注3)国際ブランド

VISA、JCB、Mastercardなど世界中の国や地域で利用できるクレジットカードのブランド

(注4)オリジナルPay

スマートフォンやタブレットを用いた事業者独自の電子決済サービス

(注5)SaaS(Software as a Service)

インターネットを経由してソフトウエアを利用するサービス

(注6)アクワイアリングシステム

クレジットカードやデビットカードによる決済を受け付け、加盟店に売上金を支払うまでの処理を行うシステム

 

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱インフキュリオン コンサルティング

(注)3

東京都

千代田区

10,000

コンサルティング事業

100

管理業務受託に伴う経営指導料の受領等

役員の兼任

不動産の賃借

㈱リンク・プロセシング

(注)3

東京都

千代田区

100,000

マーチャント

プラットフォーム事業

100

管理業務受託に伴う経営指導料の受領等

役員の兼任

不動産の賃借

資金提供

㈱ネストエッグ

(注)3

東京都

千代田区

100,000

ペイメント

プラットフォーム事業

100

管理業務受託に伴う経営指導料の受領等

役員の兼任

不動産の賃借

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

㈱三井住友フィナンシャルグループ

(注)4、5

東京都

千代田区

(百万円)

2,345,960

銀行持株会社

被所有

29.0

(29.0)

資本業務提携

役員の受入(1名)

 (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

2.議決権の所有割合又は被所有割合の( )内は、間接所有割合を内数で示しております。

3.㈱インフキュリオン コンサルティング、㈱リンク・プロセシングについては、売上高(連結会社相互間の内部取引売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えており、特定子会社に該当します。㈱ネストエッグについては、資本金の額が当社の資本金の額の10%を超えており、特定子会社に該当します。

主要な損益情報等                                 (単位:千円)

 

㈱インフキュリオン

コンサルティング

㈱リンク・プロセシング

①売上高

1,560,947

1,806,063

②経常利益

395,699

22,938

③当期純利益

253,768

15,046

④純資産額

426,387

△45,932

⑤総資産額

673,959

905,389

4.有価証券報告書を提出しております。

5.㈱三井住友フィナンシャルグループは、同社の100%子会社である㈱三井住友銀行及び三井住友カード㈱がそれぞれ当社の議決権の14.5%保有する株主である為、その他の関係会社に該当しております。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年8月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ペイメントプラットフォーム事業

184

マーチャントプラットフォーム事業

73

コンサルティング事業

47

報告セグメント計

304

全社(共通)

54

合計

358

(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員を除く。)は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、株式会社インフキュリオンのコーポレート本部、Corporate Design本部、システム本部、内部監査室に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2025年8月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

234

36.4

2.8

7,016,222

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ペイメントプラットフォーム事業

179

マーチャントプラットフォーム事業

1

報告セグメント計

180

全社(共通)

54

合計

234

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員を除く。)は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、株式会社インフキュリオンのコーポレート本部、Corporate Design本部、システム本部、内部監査室に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

最近事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注2)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

96.6

76.6

116.5

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

3.会計年度にあわせ、2025年3月31日を基準に集計した数値を記載しております。

 

② 連結子会社

連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。