(はじめに)
伊澤タオル株式会社(以下「旧伊澤タオル」とする。)の創業者である伊澤正美はタオル事業を行うことを目的に、1970年10月に旧伊澤タオルの前身となる伊沢タオルを創業、1971年4月に伊沢タオル株式会社を設立し、大阪から東京へ活動の場を広げてきました。その後、1997年4月に二代目である伊澤正司(現 当社代表取締役社長)が経営を引き継いでからは、タオルのマスマーケットを意識したマーケティングやタオルの素材・製法に関する研究、ファブレスメーカー(注)であることの強みを活かしたアセットライトなビジネスによる低コストな経営を徹底することで順調に業績を伸ばしてまいりました。
会社を長期的に存続・発展させるためには、経営管理機能の強化が不可欠であると考え、事業パートナーとしてジャフコグループ株式会社(以下「JAFCO」とする。)を迎えました。
そしてJAFCOはレバレッジド・バイアウト(LBO)方式による旧伊澤タオル株式取得を目的として2021年6月にJAFCOを無限責任組合員とするジャフコSV6投資事業有限責任組合が設立した特別目的会社である株式会社伊澤タオルHD(以下「当社」とする。)を設立し、2021年8月に当社は旧伊澤タオルの株式を100%取得しました。その後伊澤正司が設立した伊澤キャピタルパートナーズ合同会社に当社の株式の25%を譲渡しております。また、2022年3月1日付で、当社を存続会社として旧伊澤タオル及びインタークラフト通商株式会社を吸収合併し、商号を伊澤タオル株式会社に変更しております。事業年度の期数は、2021年6月1日より開始する事業年度を第1期としております。
JAFCOは旧伊澤タオルの株式取得にあたり、取得資金を調達することを目的として、2021年8月に株式会社福岡銀行及び株式会社三井住友銀行から借入を実施しました。なお、LBOに伴う借入金については2023年8月に全額返済し、コーポレートローンへ借換えを行っており、LBO実施時の財務制限条項は解除しております。連帯保証及び担保提供もありません。なお、LBOに関与した旧伊澤タオル経営者である伊澤正司は、上場後も引き続き代表取締役社長として当社の成長にコミットしていきます。
当社は企業経営の健全性の観点からガバナンス体制の強化のため、2024年2月の臨時株主総会にて社外取締役を2名選任しております。また、2024年3月に任意の指名・報酬委員会を設置し、取締役会の構成、取締役の個別報酬の基本方針及び報酬制度の設計について協議するなど、更なるガバナンスの強化に努めております。
(注)ファブレスは「Fabrication facility less」の略であり、ファブレスメーカーは工場を所有せずに製造業としての活動を行う企業のこと。
(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2. 当社は2021年6月1日設立のため、第1期の会計期間は9ヶ月となっております。
3. 第1期はLBOローンの支払利息や買収のための調査費用等の発生により、経常損失及び当期純損失を計上しております。
4.第2期の経営指標等の大幅な変動は、2022年3月1日付で、当社の子会社であった旧伊澤タオル、インタークラフト通商株式会社の吸収合併を行い、純粋持株会社から事業会社に移行したことによるものであります。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第2期の期首から適用しており、第2期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
6.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
7.第1期及び第2期の1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
8.第1期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また1株当たり当期純損失のため記載しておりません。第2期、第3期及び第4期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
9.第1期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。
10.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
11.第1期及び第2期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
12.第3期及び第4期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、三優監査法人により監査を受けております。なお、第1期及び第2期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)に基づき算出した各数値を記載しており、当該数値については金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく三優監査法人の監査を受けておりません。
13.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者は存在しないため記載をしておりません。
14. 当社は2024年9月14日開催の取締役会決議により、2024年9月30日付で株式1株につき1,000株の割合で分割を行っております。第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)を算定しております。
また、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。なお、第1期及び第2期の数値(1株当たり配当額については第4期を除くすべての数値)については、三優監査法人の監査を受けておりません。
(参考)旧伊澤タオルの経営指標等
当社は2022年3月1日付で、当社の子会社であった旧伊澤タオル、インタークラフト通商株式会社の吸収合併を行いました。吸収合併以後の当社は、旧伊澤タオルの主たる業務を継続して行っているため、参考として旧伊澤タオルの経営指標等を記載しております。
(注) 1.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
2.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.株価収益率は、旧伊澤タオル株式が非上場であるため記載しておりません。
5.旧伊澤タオルはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
6.第50期から第52期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく三優監査法人の監査を受けておりません。
7. 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者は存在しないため記載しておりません。
(1)事業の特徴
当社は、消費者目線を第一として日用品としてのタオルの使い心地にこだわり続けており、「悩んだらこのタオルを買えば間違いない」というタオルのグローバル・スタンダードを創ることをビジョンに掲げております。小売店やキャラクターIP事業者へのタオル製品の企画・販売及びECサイト・Amazon内における自社ブランド「タオル研究所」を軸に、「タオル製品等の企画、製造及び販売」の単一セグメントで事業を展開しているファブレスメーカーです。
当社が事業領域としているタオル業界は、ギフト需要やイベント需要を除く生活需要領域です。当社の主な販売先は、CVS(コンビニエンスストア)、IP事業者(玩具メーカー)、EC事業者、DS(ディスカウントストア)、HC(ホームセンター)、GMS(総合スーパー)、DgS(ドラッグストア)等です。
当社は幅広いターゲット層に対し、ニーズに基づいた日用品タオルを生産する「ODM生産」(ODMは「Original Design Manufacturing」の略であり、委託側からの要望に基づいて製品の設計から製造までを一貫して行うこと)、IP企業と連携し高品質なキャラクタータオルを提供する「キャラクターIP製品」、自社ブランドを展開するB2Cビジネス「EC販売」の3分野に注力をしております。
とりわけ、EC販売において「タオル研究所」ブランドのタオルは、Amazonのタオル売れ筋ランキングで第一位から第三位(注)を占めており、多くの消費者に支持されております。「タオル研究所」では当社が独自に企画・開発したタオルを取り扱っており、そこで得た販売動向や消費者からの声などの情報を利用して、当社の各販売チャネルの製品開発にも反映させることで強みを発揮しております。
当社の特徴は大きく2点あります。1点目はファブレスモデルを採用している点です。当社は自社工場をもたず、主に海外の協力工場に製造委託をしております。製品の設計や製造工程の開発に関しては当社が担っており、詳細にわたって協力工場に指示をすることで品質を保証しつつ大量生産を可能としております。2点目はファブレスモデルを活かしつつ、研究・開発から、企画、製造委託、販売までの商流を一気通貫でマネジメントしている点です。これにより消費者のニーズを踏まえた機動的な生産に対応できる体制を整えております。
(注)2025年2月28日時点 出典:Amazonマーケットプレイス
https://www.amazon.co.jp/gp/bestsellers/kitchen/268267011
当社製品の商流における各工程の特徴については以下のとおりであります。
1.研究・開発
当社は、R&Dにも注力するタオルメーカーであり、従来の枠にとらわれない製造方法や素材、設計等新たな開発を実施しております。また、タオルの使い心地の数値化や、使いやすいタオルを科学的に実証、試作、検証することで開発力を高めております。タオルに関する特許取得にも注力しており、自社のみでの研究・開発にとどまらず、大学との共同研究、大手メーカーとの共同開発など、タオル専門の研究員が中心となって、素材・製法の両面から様々な開発・特許取得を進めております。高い技術力はタオルの製造・製法に関する特許取得にも結び付いており、2025年4月30日時点で18件の特許を保有しております。
2.企画
日本を代表する大手小売企業とのPB商品開発で培った企画ノウハウが社内に蓄積されており、数多くの製品の販売実績を背景とした製品企画が可能となっております。単発のアイデア製品に依存するのではなく、過去の販売データやベーシックながらも、長期的な大量販売が期待できる分野の企画力を強みとしております。
3.製造委託
タオル製造は装置産業であり、製造工程において大型の機械(装置)を保有する工場が必要です。当社は自社工場をもたない代わりに、紡績・製織・加工・裁断・染色といった、糸から製品までのタオル製造の全工程を一貫して対応可能な装置を有する大規模工場へ委託しております。それにより、各製造工程を横断して製品開発を行うことで、顧客ニーズに対応した製品を製造できるようになります。また、高い生産効率からくるコスト競争力を持ち合わせている点も当社の強みであると考えております。また、当社は複数の大規模工場とのコネクションがあることから、製造するタオルに応じた工場を選定することで費用・製造時間両面での効率的な生産を可能にしております。
タオル製造においては、主原料である綿花の栽培や、製品染色等の工程で大量の工業排水が生じることなど、環境負荷が高く、工場はそれに対応するためのリソースが必要となります。当社は、自社工場を持たず、先に述べた大規模工場を製造委託先として複数起用することで、小規模な組織でありながら大規模な製造・販売までのバリューチェーンを手掛けることが可能となっております。委託先の選定にあたっては、工場基本情報、生産管理状況、品質管理状況、品質実績の4つの観点で評価をしております。これらの選定の際の基準に加えて、定期的な往査により工場を評価・教育する体制としております。さらに、複数の協力会社の設備を活用した製造が可能であることは、当社のタオル製造におけるイノベーションを促進し、当社の技術力向上に寄与しております。
4.販売
当社では、営業販売と購買を一体の組織としており、営業担当者が顧客の企画段階からコミュニケーションを重ねつつ、製造委託先ともスペックやコストを交渉し販売・仕入両面を一貫して担当しております。このような体制は営業の迅速さはもちろんのこと、顧客に対して製品詳細や過去データに基づいてより効果的な提案ができることにも繋がっております。また、当社では、過去の様々なODM製品の実績データを下に、価格×スペック×デザインのバランスを最適化するノウハウを社内システム化(IOPMS(注))しており、営業担当者が顧客の要望に応じた製品とその最適な価格を提案することが可能です。
(注)IOPMSは「Izawa Original Production Management System」の略称です。製品の設計図作成から顧客への納品まで、業界唯一のシステム化された管理体制を構築しており、従来のタオル製造を超えるクオリティーと、高いコストパフォーマンスを提供しております。
(2)製・商品及びサービスの特徴
1.ODM生産
当社の顧客であるCVS(コンビニエンスストア)、EC事業者、DS(ディスカウントストア)、HC(ホームセンター)、GMS(総合スーパー)、DgS(ドラッグストア)等において、日用品として購入しやすい価格のベーシックなタオルから、当社技術を生かした高価格設定のタオルまで、幅広いプロダクトを展開しております。価格ごとにマーケットが分けられているタオルマーケットですが、より多くの顧客層をターゲットに幅広いプロダクトを扱っていることが特徴です。
2.キャラクターIP製品
当社の顧客である大手玩具メーカー向けに、キャラクター柄を配したタオル製品や雑貨を供給しております。キャラクター製品は、その表現や配色等に関して著作権保有者及び販売元等のチェック体制が必要となりますが、当社のナレッジを活用しつつ管理体制を構築しており、ニーズに対して的確な製品を製造供給しております。キャラクター製品はプリント等の技術力を要する中で、当社の技術力の強みを活かしたプロダクトであると考えております。
3.EC販売
ECサイト・Amazonで自社ブランド「タオル研究所」のタオル製品を販売しております。Amazonにおけるフェイスタオル及びバスタオルの国内売上シェアは順調に拡大しており、消費者からの口コミも多く高い評価をいただいております。現在、機能・サイズ等の異なるバラエティに富んだラインアップを展開しており、今後もシリーズを追加することとしております。また、ECサイト・Amazonでは、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社、株式会社サンリオといった大手キャラクターライセンサーとのライセンス契約を締結し、「タオル研究所」ブランドとキャラクターのコラボ製品も展開しております。
以上の製品群の売上高比率は2025年2月期において、ODM生産が56.6%、キャラクターIP製品が26.5%、EC販売が16.9%となっております。
・事業系統図
(注) 1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2.特定子会社に該当する会社はありません。
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者は存在しないため記載をしておりません。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、タオル製品等の企画、製造及び販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。
(3) 管理職に占める女性労働者の割合
提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64条)の規定に基づき算出したものであります。
2.男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64条)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。