第二部 【企業情報】

第1 【企業の概況】

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2020年5月

2021年5月

2022年5月

2023年5月

2024年5月

売上高

(千円)

2,268,439

2,370,783

2,556,066

2,787,233

3,291,243

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

92,380

72,389

13,390

75,658

137,504

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

24,976

23,107

24,464

26,022

74,339

持分法を適用した場合の投資利益又は投資損失(△)

(千円)

11,865

101,908

758

60

145

資本金

(千円)

67,090

67,090

67,090

67,090

67,090

発行済株式総数

(株)

47,497

47,497

47,497

47,497

47,497

純資産額

(千円)

50,529

27,435

2,970

28,993

103,332

総資産額

(千円)

1,556,180

1,635,127

1,379,916

1,239,237

1,317,032

1株当たり純資産額

(円)

1,034.39

547.88

32.81

29.03

107.29

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は

当期純損失(△)

(円)

526.78

486.51

515.06

27.39

78.25

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

3.1

1.5

0.1

2.2

7.7

自己資本利益率

(%)

97.7

61.4

177.3

178.6

114.8

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

167,783

389,832

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

85,228

14,756

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

291,663

233,903

現金及び現金同等物の

期末残高

(千円)

381,300

522,473

従業員数
〔外、平均臨時雇用者数〕

(名)

171

173

183

202

203

―〕

―〕

―〕

―〕

―〕

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第17期の期首から適用しており、第17期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

3.第16期については、経常利益を計上しているものの、子会社の整理、売却を行ったことに伴い、特別損失として、子会社株式売却損及び子会社株式評価損を計上したため、当期純損失を計上しております。

4.第17期については、技術職人材確保及び広告宣伝等への投資を実施したことにより、経常損失及び当期純損失を計上しております。

5.持分法を適用した場合の投資利益について、ライフエイド少額短期保険株式会社は2020年12月に東日本少額短期保険株式会社へ事業譲渡いたしました。また、東日本少額短期保険株式会社は2021年5月に事業譲渡し、保有するすべての株式を売却しております。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できないことから、また、第16期及び第17期は当期純損失を計上しておりますので、記載しておりません。

7.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

8.当社株式は非上場であるため、株価収益率を記載しておりません。

9.第15期、第16期及び第17期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

10.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、パートタイマー及び契約社員等が従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

11.第18期及び第19期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、清友監査法人により監査を受けておりますが、第15期、第16期及び第17期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく、清友監査法人の監査を受けておりません。

12.当社は、2024年12月16日開催の取締役会決議により、2025年1月10日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っております。1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は当期純損失については、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。

13.当社は、2024年12月16日開催の取締役会決議により、2025年1月10日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っております。そこで、証券会員制法人札幌証券取引所の引受担当者宛通知「上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の作成上の留意点について」(平成20年4月18日付札証上審第50号)に基づき、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

  2020年5月

  2021年5月

  2022年5月

  2023年5月

  2024年5月

1株当たり純資産額

(円)

51.71

27.39

1.64

29.03

107.29

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

26.33

△24.32

△25.75

27.39

78.25

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

 

 

2 【沿革】

当社は、エレベーターやエスカレーター等の昇降機インフラ社会において、特定のメーカーに縛られることなく、多様な種類のメンテナンスに対応できる独立系の保守会社として、全国各地のニーズに応えたいという想いから、2006年2月に設立されました。それ以来、全国各地に支店及び出張所を拡大するとともに、災害時対応のIT活用等にも積極に取り組んでおります。

 

2006年2月

エレベーターの保守・管理業務の受託を目的として、東京都豊島区西池袋に、当社を設立(資本金15,000千円)

2006年8月

当社本社を東京都港区南青山に移転

2007年1月

当社本社を東京都港区芝に移転

2007年1月

エレベーターのリニューアル業務の受託を開始

2008年1月

当社本社を東京都大田区大森北に移転

2012年6月

当社本社を東京都品川区南大井に移転

2012年10月

アップルエレベーター株式会社(本社:青森県八戸市)から青森地区のエレベーター保守事業を譲り受け

2014年4月

当社基幹システム上で遠隔監視・災害対応を管理する「イージスモード」機能の運用開始

2014年11月

当社本社を東京都品川区南大井内で移転

2015年2月

有限会社平成エレベーター(本社:福岡県福岡市)から九州地区のエレベーター保守事業を譲り受け

2018年12月

建物管理事業を営むワンライフ株式会社(本社:東京都豊島区)を吸収合併

2019年5月

大阪地区でのエレベーター保守関連事業を目的として、エレベーターアクシス株式会社(本社:大阪府大阪市)を合弁設立

2021年7月

地震災害時WEB復旧要請システム「Qサポ」の提供開始

 

 

 

3 【事業の内容】

当社は、エレベーターやエスカレーター等の昇降機を対象として、「すべてのお客様にスペシャリティメンテナンスをフェアプライスで」をミッションとして、点検、監視、保守、部品交換等のメンテナンスやリニューアルサービスを提供しております。事業の遂行にあたっては、昇降機の品質及び性能の維持・向上、利用者の安心・安全の確保を最優先しつつ、高品質なサービスをリーズナブルかつ迅速に提供することを基本方針としております。

 

(1) 事業の特徴

当社の事業の主な特徴は、以下のとおりであります。

 

① リーズナブルな価格設定

当社設立当時のエレベーター等のメンテナンス業界において、メーカーは、それぞれ自社や系列のメンテナンス会社を通じて、自社の製品のみのメンテナンスを行うことが一般的であり、価格やサービス内容に競争原理も働きにくい状況であったと想定しております。

当社は、独立系メンテナンス専業会社であり、開発及び製造コストの負担が想定される上記のメーカー及びメーカー系のメンテナンス会社と比較して、リーズナブルな価格設定が可能であります。

 

② メーカー各社の昇降機に対応

当社は、独立系メンテナンス専業会社として、国内主要メーカーである三菱電機株式会社、株式会社日立製作所、東芝エレベータ株式会社、日本オーチス・エレベータ株式会社、フジテック株式会社の昇降機にオールマイティに対応したメンテナンスサービスを提供できます。

 

③ 全国拠点網による広範かつ迅速な営業及びサポート対応

当社は、本書提出日現在において、全国47支店及び出張所を構えており、広範な営業活動を行うとともに、これらの拠点近隣においては、災害発生等人命に関わる緊急時は、通報後速やかに現場到着できる体制を備えております。

 

④ トータルサービスの提供

当社は、保守業務において昇降機の点検を行った結果、経年劣化が著しい場合、装置の旧式化により時代のニーズに合わなくなった場合は、制御盤、巻上機、モーター等の主要装置のリニューアルを提案・実施することで、トータルなサービス提供が可能であります。

 

⑤ ITを活用した緊急時対応

当社は、災害や故障等の緊急時にタイムリーかつ適切に対処するため、ITを活用しております。具体的には、QRコードから利用者が当社技術員と直接やりとりできるシステムの提供、社内システム上での災害一覧や災害マップの参照機能の導入等を行っております。

 

(2) 受注業務形態

当社の報告セグメントは「昇降機メンテナンス事業」の単一セグメントでありますが、以下の2つの受注業務形態でサービスを提供しております。

 

受注業務形態

概       要

保守業務

昇降機の点検、監視、緊急時対応

保全・リニューアル業務

昇降機の点検結果等に基づく、部品交換・修理、リニューアル

 

 

以下、上記の受注業務形態ごとに、具体的なサービス内容及び特徴について、記載いたします。

 

(3) 保守業務

① 業務内容

エレベーター及びエスカレーターは、集合住宅をはじめ、オフィスビルや高層ビル、ショッピングモール等で人々が効率よく移動するために設置された建物付属電機設備です。これら設備は、適切な運用や操作はもとより、定期又は不定期の点検及び常時監視をすることにより、安全稼働のための機能及び性能を維持し続ける必要があります。これらが適切に行われない場合は、重大な事故や故障に繋がり、利用者の生命や財産に多大な危害を及ぼす恐れがあります。

当社は、これらの事故やトラブルを未然に防ぎ、全ての利用者が安心してご利用いただけるよう、昇降機を対象として、点検及び監視を行う保守業務を行っております。また、当該保守には、災害、事故、故障、停電等の緊急時の対応も含んでおります。

 

② 保守業務の種類

保守業務は、以下の点検、監視、緊急時対応に大別されます。

 

保守業務の種類

概    要

点   検

 ビルオーナー等からの依頼により、当社の技術員が、定期又は不定期でエレベーター及びエスカレーター設備の点検を実施します。また、必要に応じて、清掃、注油、調整、消耗品(電球、各種ヒューズ、ビス・ナット、各種リレーリード線等)の補充・交換等も適宜行います。

 当該点検においては、経年劣化、損傷、変形、摩耗、腐食、発生音等の点から、異常・不具合・劣化等に関する調査も行い、改善すべき抜本的な指摘事項が抽出された場合は、ビルオーナー等に改善を提案し、「保全業務」として請け負います。

監   視

 通信回線を利用して、24時間365日、当社センター専門スタッフがエレベーターの異常・不具合の発生状況について、遠隔監視を行っております。あらかじめエレベーター運転のために必要とされる箇所を網羅的に特定し、通信回線等を利用して、エレベーター本体の運転状態や機器類等の動作状況を遠隔点検することができます。

緊急時対応

 災害、事故、故障、停電等の緊急時に、安全を最優先し、また、当社独自のITシステムを駆使して、迅速に対応いたします。

 例えば、エレベーター内に利用者が閉じ込められた際は、利用者はインターホンで当社コントロールセンターと直接通話でき、これにより、閉じ込め故障の状況や動力電源の停電状況の遠隔監視も可能となります。

 

(注) 建築基準法では、建築物の損傷や腐食等の劣化状況の定期的な点検の一環として、年1回、国家資格である昇降機等検査員による昇降機の定期検査が義務付けられております。

 

③ 点検のプロセスについて

点検のプロセスは、以下のとおりであります。

 

点検のプロセス

概      要

a.点検の実施

 保守・点検作業を行う際に技術員は、点検する部分と作業内容が点検サイクルごとに記載されたシートを使い、初めての点検からサイクルごとにどこをチェックすべきかを把握しながら作業を効率的かつ安全に進めています。物件や点検結果に関する情報については、当社基幹システム「Assist」に記録・蓄積されます。

 なお、「Assist」には、過去の故障事例が蓄積されており、当該情報も参照し、点検に当たります。

b.検査・点検結果の報告

 年1回の有人の法定検査、通常の有人あるいは、遠隔による任意点検のそれぞれについて、「定期検査報告書」、「点検作業報告書」及び「遠隔点検報告書」を作成し、ビルオーナー等に提出しております。

c.部品交換、修理等

 必要に応じて、劣化した部品の交換や修理を行います。交換部品は、原則としてメーカーの純正部品を推奨しております。

 

 

④ 緊急時対応について

災害や故障等の緊急時は、「すぐ駆けつけ、すぐ対応する」ことを最優先し、24時間365日体制で、ITを駆使し、以下のような独自の対応を行う仕組みがあります。

 

「Qサポ」による管理

 当社独自の地震災害時WEB復旧要請システム「Qサポ」により、エレベーター内に貼付されたステッカーのQRコードをご利用者自身が読み取り、直接復旧作業の連絡を取ることが可能となります。

 また、「Qサポ」では、Googleマップ上で復旧対応時の現地技術員の位置情報が確認できるほか、おおよその現地技術員の到着時間も把握できます。

GPSによる管理

 GPSにより、現地技術員の位置情報を常時把握でき、緊急時の現地技術員への出動命令(同時にエレベーターの異常内容を送信)、現地技術員からの状況報告を一括管理できます。

電話回線による対応

 電話回線により、エレベーター内の利用者と当社センター専門スタッフや現地技術員との直接通話が可能となります。

「イージスモード」による対処

 「イージスモード」は、当社基幹システム「Assist」上で遠隔監視と災害対応の管理を実現する機能です。これにより、大規模な災害が発生した場合でも、「イージスモード」に切り替えることで、物件情報が即座に共有され、当社センター専門スタッフと現地技術員は、「災害一覧」と「災害マップ」を参照しながら、リアルタイムで迅速な対応が可能となります。

 

(注) Google MapsおよびGoogleマップは、Google Incの商標または登録商標です。

 

⑤ 「イージスモード」と「Qサポ」の内容

2011年に発生した東日本大震災当時は、復旧要請の連絡を電話で受け、故障したエレベーターの場所を口頭で確認したのち、被害にあったエレベーターのある物件の把握、現地技術員への作業指示を行わなければならず、復旧対応に相応の時間を要しておりました。当社では、当時のこれらの教訓を活かし、2014年4月に基幹システム上の災害時発動機能「イージスモード」の導入、2021年7月にWEB復旧要請システム「Qサポ」(お客様閲覧システム及び契約者サイトの開始は2023年10月)の提供を開始いたしました。

 

a 「イージスモード」について
<災害一覧>

 被災した物件の情報を登録したデータをリアルタイムで社内共有する事が可能となります。復旧及びその対応状況等が、ひと目で確認でき、電話やメールでやりとりなく、スムーズな復旧作業を実現しております。

 


 

<災害マップ>

 現地技術員は、登録されている災害マップを随時参照・確認しながら、自身のいる場所から最も近い現場に直行することで、迅速かつ効率的に復旧作業を行うことができます。

 


 

b 「Qサポ」について

当社がメンテナンスを担当するエレベーター内には、「Qサポ」アクセス用のQRコードが記載されたステッカーが貼付されています。突発的な災害時には、ご利用者様がご自身で当該QRコードをスマートフォン等で読み取っていただき、直接、復旧要請の連絡が可能となります。

また、「サポ」を利用することにより、Googleマップ上で対象エレベーターの設置位置、復旧対応に駆けつける現地技術員の位置情報をリアルタイムでご確認できるほか、おおよその到着時刻を把握することができます。復旧対応時の現地技術員の位置情報の可視化により、万が一、エレベーターに閉じ込められてしまった場合でも、ご利用者様の「安心」につながります。

 


 

 

⑥ 保守業務の契約形態

保守業務における契約形態は、以下の2つに大別されます。

 

契約形態

概    要

POG契約

 契約期間1年間を原則として、月々定額で、エレベーターの機能維持を目的として、機器・装置の定期的な点検を実施、併せて、清掃・給油・調整・簡易消耗部品の取替え等を実施する契約形態(監視や緊急時対応含む。)であります。

 POGは、「Parts, Oil and Grease」の略称であります。

 FM契約

 POG契約内容に、劣化した部品の取替えや修理等まで行う契約形式であります。

  FMは、「Full Maintenance」の略称であります。

 

 

(4) 保全・リニューアル業務

① 業務内容

エレベーターやエスカレーター等の昇降機は、日々の使用により機能劣化が進むため、適切なタイミングで交換、修繕が必要となります。当社では、保守業務での点検結果により、改善すべき抜本的な指摘事項が抽出された場合に、部品交換やリニューアル等を行います

 

② 保全・リニューアル業務の種類

保全・リニューアル業務は、以下の保全とリニューアルに大別されます。

 

保全・リニューアル業務の種類

概    要

保  全

 点検結果に基づく指摘のもと行う、部品の取替え及び修理業務であります。

 なお、保守契約FM契約に関しても契約対象外の保全工事等については、有償で行う場合があります。

 当社は、保守対象の昇降機の故障に関する統計データを蓄積しており、品質管理部門及び故障低減プロジェクトにおいて、故障分析を行っております。分析の結果、故障の発生頻度が高い部品については、ビルオーナー等に対し、一斉に交換を促すことで、故障や長期停止の未然防止に貢献しております。

リニューアル

 当社は、安全性、快適性、機能性を向上させるため、老朽化したエレベーター等の昇降機のリニューアル工事を計画的に実施しています。主要部品や制御システムの交換、省エネ機能の導入を通じて、利用者の安心と利便性を確保し、建物全体の価値向上を図ります。

 また、エレベーター設置から20年以上が経過すると、保守部品の入手が困難になり、部品交換や修理が困難になる場合があります。当社では、信頼性・安全性・運用効率を高めるため、制御盤や巻上機など主要部品の一式交換工事や既存設備の撤去を行い、継続的な稼働を支えています。

 リニューアルには、以下の2種類があります。

 ・制御リニューアル:主に制御系の更新を行います。

 ・準撤去新設リニューアル:既製品の一部を継続・再利用し、撤去新設します。

また、エスカレーターについても、旧トラス(積載荷重を支える建物の骨組み)を再利用し、分割したエスカレーターのパーツを組立てる工法を採用したフルリニューアルも提供しており、 通常の撤去新設と比べ、工数を約1/3の約3週間、コストを約50%削減した実績があります。

 

(注) エレベーターの耐用年数については、国税庁が定める法定年数は17年、公益社団法人ロングライフビル推進協会による計画耐用年数の指針に定める年数は20~25年程度とされております。エレベーターで使用する部品については、一般的には、製造終了後、約25年で部品の供給がなくなることがほとんどであり、部品の供給停止後にエレベーターの故障が発生した場合は、迅速かつ適切な対応が困難となり、長期停止を余儀なくされる恐れもあります。

 

③ リニューアルの対応

リニューアルにおける目的別の当社の対応は、以下のとおりであります。

 

目   的

当社の対応

地震の対応

 地震の初期微動(P波)を感知したときは、管制運転装置を起動し、強制的に最寄階に停止させた後、ドアを開くことで、利用者の閉じ込めを防止するものであります。

停電の対応

 停電が発生したときは、バックアップ電源に切り替え、自動着床装置を起動し、自動的に最寄階まで運転した後、ドアを開くことで、利用者の閉じ込めを防止するものであります。

戸開走行の防止

 エレベーターの安全対策として、制御機器や駆動装置の故障が発生した場合でも重大な事故を防ぐため、複数の安全装置が設置されています。

 まず、ブレーキの二重化により、メインのブレーキが故障しても、補助ブレーキが作動してエレベーターを確実に停止させます。また、特定距離感知装置を使い、ドアが開いた状態でエレベーターが移動しないように監視し、異常を検知した場合には動作を停止させます。

 さらに、通常使用する制御装置だけでなく、独立した制御装置を設置することで、メインの制御装置が故障した際にも安全な運行を可能にしています。このようなバックアップシステムにより、ドアが開いたままの走行(戸開走行)や挟まれ事故といった人命にかかわる事故を未然に防ぐ仕組みです。

意匠性の向上

 当社が特許を取得した操作盤をはじめ、ドア、かご内(天井、壁等)のデザイン等を刷新し、新しいエレベーター空間を提供するものであります。

 

 

(5) 事業の系統図

事業の系統図は、以下のとおりであります。

 

 


 

 

(注) 1.案件紹介者や代理店に対し、紹介料を支払う場合があります。

2.メーカーや他の独立系メンテナンス会社から、保守業務を受託するケースもあります。

3.建築基準法においては、昇降機等検査員による年1回の法定検査を実施し、その検査結果をビルオーナー等である昇降機所有者又は昇降機管理者に報告することが義務付けられております。

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(関連会社)

 

 

 

 

 

エレベーターアクシス株式会社

大阪府東大阪市長田東一丁目4番8号

9,900

昇降機メンテナンス事業

30.3

西日本エリアの情報共有。技術員研修、災害時対応の相互協力。

 

(注) 1.「主要な事業の内容」には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

 2025年2月28日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

219

41.0

4.6

4,310

 

(注) 1.従業員数は就業人員であります。

2.臨時雇用者数は、パートタイマー及び契約社員等が従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.当社の報告セグメントは「昇降機メンテナンス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。

 

(2) 労働組合の状況

当社において、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表項目として選択していないため、記載を省略しております。