(はじめに)
当社は製造業向けに製品開発プロセスの上流工程に特化したソリューションやサービスを提供する企業です。組織形態としては純粋持株会社であり、100%子会社として、プログレス・テクノロジーズ株式会社、S&VL株式会社の2社を有し、それらに対して経営指導や経営管理業務の提供を行っております。
当社グループの祖業は、2005年6月のプログレス・テクノロジーズ株式会社の設立を端緒としております。2020年6月にジャフコSV6投資事業有限責任組合からの出資受け入れにあたり設立された株式会社PTS HD(現プログレス・テクノロジーズ グループ株式会社)が、2020年9月にM&Aによりプログレス・テクノロジーズ株式会社を100%子会社化しております。その後、2023年3月に株式会社PTS HDからプログレス・テクノロジーズ グループ株式会社に社名を変更し、同年同月にS&VL株式会社を100%子会社として設立しております。以上の経緯を図示すると以下のようになります。
回次 |
国際会計基準 |
||
第3期 |
第4期 |
||
決算年月 |
2023年2月 |
2024年2月 |
|
売上収益 |
(百万円) |
|
|
営業利益 |
(百万円) |
|
|
税引前利益 |
(百万円) |
|
|
親会社の所有者に帰属する 当期利益 |
(百万円) |
|
|
親会社の所有者に帰属する 当期包括利益 |
(百万円) |
|
|
親会社の所有者に帰属する持分 |
(百万円) |
|
|
総資産額 |
(百万円) |
|
|
1株当たり親会社所有者帰属持分 |
(円) |
|
|
基本的1株当たり当期利益 |
(円) |
|
|
希薄化後1株当たり当期利益 |
(円) |
|
|
親会社所有者帰属持分比率 |
(%) |
|
|
親会社所有者帰属持分当期利益率 |
(%) |
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
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営業活動によるキャッシュ・ フロー |
(百万円) |
|
|
投資活動によるキャッシュ・ フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・ フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(百万円) |
|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
(注)1.第3期より、国際会計基準(以下「IFRS」という。)により連結財務諸表を作成しております。
2.第3期及び第4期のIFRSに基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、シンシア監査法人の監査を受けております。
3.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
4.2023年2月27日付で普通株式1株につき10株の割合で、また、2025年1月29日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行いましたが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり親会社所有者帰属持分及び基本的1株当たり当期利益を算定しております。また、希薄化後1株当たり当期利益については、ストックオプションの権利確定が上場条件となっており、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。
5.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、有期労働者、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は、総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
回次 |
日本基準 |
||||
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
||
決算年月 |
2021年3月 |
2022年2月 |
2023年2月 |
2024年2月 |
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売上高 |
(百万円) |
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|
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経常損失(△) |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
当期純損失(△) |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
資本金 |
(百万円) |
|
|
|
|
発行済株式総数 |
(株) |
|
|
|
|
純資産額 |
(百万円) |
|
|
|
|
総資産額 |
(百万円) |
|
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
|
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
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|
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|
配当性向 |
(%) |
|
|
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従業員数 |
(人) |
|
|
|
|
(注)1.第3期、第4期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、シンシア監査法人の監査を受けております。なお、第1期及び第2期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2.当社は2020年6月30日設立のため、第1期は2020年6月30日から2021年3月31日までの9ヵ月と1日となっております。
3.2021年11月12日開催の臨時株主総会決議により、第2期の決算期を3月31日から2月28日に変更しました。従って、第2期は、決算期変更により2021年4月1日から2022年2月28日までの11ヵ月間となっております。
4.2025年1月29日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っており、発行済株式総数は、7,072,200株となっております。
5.2023年2月27日付で普通株式1株につき10株の割合で、また、2025年1月29日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行いましたが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。
6.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
7.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第1期及び第2期は潜在株式は存在しておらず、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第3期及び第4期は、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できず、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
8.自己資本利益率については、第1期から第4期にかけて、当期純損失であるため記載しておりません。
9.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
10.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第3期の期首から適用しており、第3期以降に係る経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
11.当社は持株会社として設立され、第1期から第3期においては、従業員は在籍しておりません。第4期にあたる2023年3月1日から、グループ会社への財務経理及び労務総務のシェアードサービスの提供を開始しました。これに伴い、該当従業員が子会社であるプログレス・テクノロジーズ株式会社から転籍しております。また、第4期の従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、有期労働者、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は、総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
12.当社は、2023年2月27日付で普通株式1株につき10株の割合で、また、2025年1月29日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第1期及び第2期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、シンシア監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
|
決算年月 |
2021年3月 |
2022年2月 |
2023年2月 |
2024年2月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
235.87 |
215.92 |
205.33 |
195.10 |
1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△20.17 |
△7.74 |
△10.81 |
△11.87 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
(参考情報)
「第1 企業の概況(はじめに)」に記載の通り、当社(旧株式会社PTS HD)は2020年6月に持株会社として設立され、2020年9月にプログレス・テクノロジーズ株式会社を、2023年3月にS&VL株式会社をグループ会社とし、現在に至っております。
参考として、日本基準に基づいて作成された2020年3月期、2021年3月期及び2022年2月期に係るプログレス・テクノロジーズ株式会社の主要な経営指標等の推移は、次のとおりであります。
プログレス・テクノロジーズ株式会社の主要な経営指標等の推移
回次 |
日本基準 |
|||
第15期 |
第16期 |
第17期 |
||
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年2月 |
|
売上高 |
(百万円) |
4,010 |
3,969 |
3,716 |
経常利益 |
(百万円) |
760 |
917 |
808 |
当期純利益 |
(百万円) |
541 |
600 |
544 |
資本金 |
(百万円) |
100 |
100 |
100 |
発行済株式総数 |
(株) |
64,000 |
64,000 |
64,000 |
純資産額 |
(百万円) |
2,912 |
2,224 |
2,769 |
総資産額 |
(百万円) |
3,732 |
3,201 |
3,505 |
1株当たり純資産額 |
(円) |
45,509.65 |
34,761.78 |
43,274.20 |
1株当たり配当額 |
(円) |
1,700.00 |
800.00 |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
|
1株当たり当期純利益 |
(円) |
8,457.72 |
9,386.77 |
8,509.70 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
自己資本比率 |
(%) |
78.03 |
69.50 |
79.01 |
自己資本利益率 |
(%) |
18.58 |
27.00 |
19.67 |
株価収益率 |
(倍) |
- |
- |
- |
配当性向 |
(%) |
20.1 |
8.5 |
- |
従業員数 |
(人) |
485 |
499 |
496 |
(注)1.第15期、第16期及び第17期の当社グループの事業主体はプログレス・テクノロジーズ株式会社であったため、当該会社の単体決算数値を記載しております。なお、各期の数値については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
2.2021年11月16日開催の臨時株主総会決議により、第17期の決算期を3月31日から2月28日に変更しました。従って、第17期は、決算期変更により2021年4月1日から2022年2月28日までの11ヵ月間となっております。
3.第16期については、当期純利益を計上しているのにも関わらず、純資産額及び総資産額が減少しております。これは会社分割により一部の事業を譲渡したことによるものであります。
4.1株当たり配当額及び配当性向については、第17期においては配当を実施していないため記載しておりません。
5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益について、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できず記載しておりません。
6.株価収益率については、プログレス・テクノロジーズ株式会社は非上場であるため、記載しておりません。
7.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、有期労働者、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は、総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用しております。第15期、第16期及び第17期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
当社は、2020年6月30日にジャフコSV6投資事業有限責任組合から出資の受け入れにあたり株式会社PTS HDの商号で設立した、当社グループのプログレス・テクノロジーズ株式会社及びS&VL株式会社に対して経営指導や経営管理業務の提供を行う純粋持株会社であります。当社は2020年9月にM&Aによりプログレス・テクノロジーズ株式会社を100%子会社化しております。つきましては、当社設立前と当社設立以降に分けて下記に記載し、当社設立前については事業主体であるプログレス・テクノロジーズ株式会社の沿革について記載いたします。
(1)当社設立前(プログレス・テクノロジーズ株式会社)
年月 |
概要 |
2005年6月 |
東京都港区にプログレス・テクノロジーズ株式会社を設立 |
2005年8月 |
大手メーカー向けにコンサルティングサービス(現ソリューション事業)・エンジニアリングサービス(現エンジニアリング事業)を開始 |
2005年11月 |
東京都新宿区に本社を移転 |
2007年4月 |
東京都中野区にエンジニア育成を目的としたテクノロジーセンターを開設 |
2009年9月 |
東京都中野区に本社を移転し、テクノロジーセンターと統合 |
2012年9月 |
MATLAB/Simulinkによる受託開発・シミュレーションコンサルティングサービス(現ソリューション事業)を開始 |
2013年1月 |
構造解析、流体解析の受託開発から最適化までを実現するCAE/解析サービス(現ソリューション事業)を開始 |
2014年9月 |
ダッソー・システムズ株式会社とパートナー契約を締結 |
2015年2月 |
東京都江東区に本社を移転 |
2016年1月 |
ダッソー・システムズ株式会社から学術研究機関向けの製品Abaqusアカデミック販売権を移管 |
2017年8月 |
株式会社ケーヒン(現日立Astemo株式会社)と設計開発領域で業務提携し、プロジェクトサービス(現ソリューション事業)を開始 |
2017年9月 |
自社製品開発事業を開始し、クラウドファンディングで電子本「全巻一冊」を販売開始(2023年3月販売終了) |
(2)当社設立以降
年月 |
概要 |
2020年6月 |
株式会社PTS HD(現 当社)を東京都港区に設立 |
2020年7月 |
当社とジャフコ グループ株式会社の戦略的資本提携を開始 |
2020年9月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、自社製品開発事業をリンクス株式会社として新設分割 |
2020年9月 |
当社がプログレス・テクノロジーズ株式会社をグループ会社化 |
2021年2月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、名古屋事業所を愛知県名古屋市西区に開設 |
2021年8月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、宇都宮プロジェクトオフィスを栃木県宇都宮市に開設 |
2021年10月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、エンジニアリングプロフェッショナルファーム実現のために、リブランディングを実施し、会社ロゴ・スローガンを刷新 |
2022年3月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、名古屋事業所を愛知県名古屋市中区に移転 |
2022年5月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、ダッソー・システムズ株式会社とSIA(システム・インテグレーター・アライアンス)アグリーメントを締結 |
2022年6月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、新規事業開発室を新設し、最先端のドライビングシミュレータを用いたバーチャルテスト環境の提供を主軸とするシミュレーション&ソリューションサービス(現デジタルツイン事業)を開始 |
2023年3月 |
当社の商号を株式会社PTS HDからプログレス・テクノロジーズ グループ株式会社に変更 |
2023年3月 |
当社の本社を東京都江東区に移転 |
2023年3月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社のデジタルツイン事業を継承する目的で、S&VL株式会社を新設し、グループ会社化 |
2024年7月 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社にて、新潟イノベーションラボを新潟県新潟市中央区に開設 |
2024年7月 |
S&VL株式会社にて、最先端ドライビングシミュレータを用いた研究所を群馬県太田市に開設 |
(1)当社グループ概要
当社グループ(当社及び関係会社)は、当社及び連結子会社2社(プログレス・テクノロジーズ株式会社、S&VL株式会社)により構成されています。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については、連結べースの数値に基づいて判断することになります。
当社グループは、コーポレートスローガンとして「世界を進める、一歩を。」を掲げ、製造業界の変革に取り組んでいます。社名に含まれる「プログレス」は進歩や前進、発展といった意味を持っており、私たちの企業姿勢を表現するものとなっております。
デジタル化の進展によって、製造業を取り巻く環境に大きな変化が訪れています。大量生産・大量消費の時代から、顧客の嗜好が多様化・複雑化する時代へと変化する中で、製造業は製品要求の多様化、技術の高度化、製品サイクルの短期化といった課題に直面しています。
人的リソースの観点では、少子高齢化による働き手不足や技術承継者不足が顕著であり、メーカーはやるべきことが増大している一方で、リソースが不足しているといった問題を常に抱えている状況にあります。
当社グループはメーカーがフォーカスすべき独自の製品開発技術領域を「コア技術」と定義し、それらの進化に必要となるデジタル特化技術である「ニアコア技術」に注力する形で、メーカーに様々なソリューションやサービスを提供しています。日本の製造業がグローバルマーケットでのプレゼンスを高め、競争力を強化していく上で、製品開発プロセスのデジタル化は避けて通ることは出来ず、当社のニアコア技術の重要性は今後一層高まっていくものと認識をしております。
特定の技術領域への注力に加え、サービス提供を行う工程についても、特定の領域に特化する形で価値提供を行っています。当社グループは製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域に特化し、様々なソリューションやサービスを提供しています。設計開発領域はモノづくりの頭脳に相当する最上流工程であり、製造業界のデジタル化や提供価値の向上を実現していくためには、当該分野での変革が必要であると考えています。また、製品開発プロセスの下流工程に行くほど、業界や製品特有の知識・ノウハウが必要となりますが、上流工程においては業界が異なったとしても、ロジックや設計言語は共通する部分が多く、水平展開することが可能であります。
製品開発プロセスの上流工程に特化し、高水準のデジタル技術を活用し、メーカーがコア技術に注力することが出来るニアコア技術を提供していくことで、QCD(品質・コスト・納期)の改善とイノベーションの創出を実現しています。
(2)グループ各社の概要
当社は持株会社であり、実際の事業を行う連結子会社2社(プログレス・テクノロジーズ株式会社、S&VL株式会社)に対して経営指導や管理部門機能のシェアードサービスを提供しています。
プログレス・テクノロジーズ株式会社は、当社グループの主力事業会社であり、メーカーの設計開発現場の課題の把握からデジタルプロセスの検証、デジタル特化技術やツール・システムの選定、プロセスの整理・標準化、運用の定着支援まで、一連のソリューションをワンストップで提供しています。メーカー側は、設計開発部門、プロセス改革部門、IT部門が連携してデジタル化や業務プロセスの改革が行われることを期待していますが、多くのケースにおいて、単一部署におけるピンポイントソリューションで部分最適化を行うに留まっています。当社グループはメーカーの課題解決に真に必要となるソリューションを部門横断かつワンストップで提供している点で高い評価を受けていると考えております。
S&VL株式会社は、9軸アクチュエータを搭載した可動域・加速度・応答性の観点で高性能なドライビングシミュレータを活用したバーチャルテストの実施や物理現象を正確にシミュレートできる高度なモデル開発を用いたコンサルティング等のサービスを提供しています。当社グループの強みであるシミュレーション技術を活用し、仮想空間で試作や走行実験を行うことで、実機を用いた従来型の設計・開発・試作・テストのプロセスと比較し、開発リードタイムの短縮やコストの削減を実現しています。群馬県太田市に設立した技術研究所の立ち上げ以降、自動車OEMやTier1サプライヤーから多くの引き合いをいただいております。
当社グループの報告セグメントは「デジタルソリューション事業」の単一セグメントとなっておりますが、当社グループがお客様に提供するサービス形態別(以下、「事業形態別」という)には「ソリューション事業」「デジタルツイン事業」「エンジニアリング事業」の3つに区分されております。それぞれの事業の主なサービス内容等については以下の通りです。
事業形態別 |
主なサービス内容 |
主な契約形態 |
当該事業を主に担う会社 |
ソリューション事業 |
お客様の設計開発のプロセスそのものを設計するコンサルティングサービス、最先端のデジタルツールの導入から定着支援までを行うデジタルエンジニアリングサービス、製品開発をプロジェクト単位で引き受けるプロジェクトサービスなど、様々なサービス形態でお客様の設計開発現場の課題解決を行う事業。 |
請負契約 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社 |
デジタルツイン事業 |
最先端のデジタル技術を活用し、お客様の課題解決を行う事業。9軸アクチュエータを搭載した可動域・加速度・応答性の観点で高性能なドライビングシミュレータを用いたバーチャルテストの実施や物理現象を正確にシミュレートできる高度なモデル開発を用いたコンサルティング等のサービスを提供。 |
請負契約 |
S&VL株式会社 |
エンジニアリング事業 |
設計開発領域に特化し、お客様の開発リソースの不足や技術課題の解決を実現するサービス。メカ・エレキ・ソフトの各分野において、お客様のプロジェクトの一員として設計開発業務の支援を実行。 |
派遣契約 |
プログレス・テクノロジーズ株式会社 |
(3)各事業のサービス形態別内容等について
当社グループは製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域に特化し、当該領域のデジタル化を推進するための各種ソリューションを提供する「デジタルソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませんが、事業形態別のサービス内容等は以下の通りであります。
①ソリューション事業
ソリューション事業は、コンサルティングサービス、デジタルエンジニアリングサービス、プロジェクトサービスの3つのサービスに大別されます。
(a)コンサルティングサービス
コンサルティングサービスは顧客の「設計のやり方を設計」するサービスであります。PT DBS(Progress Technologies Design Basis Solution)という独自の方法論を用い、熟練コンサルタントの頭の中にある設計手順や知見をデータ化・システム化することで、顧客メーカーの設計力を強化しています。
グローバル競争の激化や製品要求の多様化・高度化が進む中で、メーカーは、高品質・高付加価値な製品を早いサイクルで開発することが求められています。この流れに対応するために3DCADやCAE、データ管理システムなどのツールを導入するだけでは不十分であり、あるべき姿のグランドデザインを描き、優先順位をつけて仕組み化・システム化を進めることが重要となります。当社グループのコンサルティングサービスは、設計開発のあるべき姿の策定から仕組みの構築・運用定着までを顧客と共に推進するというアプローチで顧客からの高い評価を得られていると考えております。
(b)デジタルエンジニアリングサービス
デジタルエンジニアリングサービスは最先端のツール導入から定着支援までを行うサービスであります。最先端の設計ツールを熟知したコンサルタント・エンジニアが顧客の課題に合わせて適切なツールを導入し、定着化を図ることで設計開発のデジタル化を推進しています。メーカーでは慢性的な開発リソース不足といった課題を抱えており、多様なバリエーションの製品をより多く・より早く世に出していくために、従来のものづくりの方法を大きく変革する必要性が高まっていることから、当社のデジタルエンジニアリングサービスに多くのニーズが寄せられています。
(c)プロジェクトサービス
プロジェクトサービスは製品開発をプロジェクトチームとして引き受け、「技術課題」「リソース課題」の両側面から製品開発を支援するものであります。豊富な業務経験・キャリアをもつコンサルタント・エンジニアが1つのチームとして動き、お客様の求める成果物を提供しています。エンジニアリングだけ、コンサルティングだけを担うのではなく、上記の様々なサービス形態の元、設計開発領域をコンサルティング~デジタルソリューション~製品開発支援までをワンストップで支援できる点が当社グループの特徴となっております。
また、顧客との共同研究や共同開発、最先端の技術を活用した受託開発・設計開発といったR&D案件についても、プロジェクトサービスとして提供しております。
②デジタルツイン事業
デジタルツイン事業は、最先端のデジタル技術を用いて、お客様の課題解決を行う事業であります。現時点においてはグループ会社であるS&VL株式会社において、最先端の高性能ドライビングシミュレータを活用し、バーチャルテスト環境の提供からプラントモデルの開発・評価、開発プロセスの改革の提案までの一連のソリューションをワンストップで提供しています。
市場のニーズが多様化、複雑化している中、フロントローディング(注1)による開発のリードタイム短縮の重要性が高まっております。従前の製造プロセスにおいては、製品の検証中や製造中に不具合が生じると、その場で修正を行っており、その都度製造ラインをストップしたり、金型の調整や設備の確認に時間がかかったりすることで、開発工数が増え、コストも大きくなるという問題がありました。3Dモデルや最新のテクノロジーを駆使し、開発の初期段階に検証やテストを実施することで、リードタイムを短縮するだけでなく、走行テストのための試作車数を削減することによる大幅なコスト削減が可能となります。
特に自動車業界においては、「100年に一度の大変革期(注2)」とも言われ、開発に係る業務工数や難易度、複雑度が大幅に増加しています。上記の考え方に基づき、走行試験の一部をバーチャルで行うことによる効率的な開発がヨーロッパを中心に広がっており(注3)、国内においてもこの流れが加速しています。
当社グループでは、豊富な現場経験に基づく実験技術を強みとし、高度なバーチャル技術との組み合わせによって、顧客の製品開発の進化を実現しています。
注1 フロントローディング:前倒しできる作業工程を開発の初期段階に行うことで、生産性と品質の向上を実現する仕組み
注2 トヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男氏メッセージ「100年に一度の大変革の時代を生き抜くために」(2018年10月)を参照
注3 出所:MarketsandMarkets「ドライビングシミュレータの市場規模(~2025年)」(2021年1月)
(写真:S&VL技術研究所)
③エンジニアリング事業
エンジニアリング事業は設計開発の領域に特化して、開発リソースの提供と技術課題の解決を実現するものです。メーカーの設計開発の現場では技術の高度化・多様化が加速しています。それに伴って開発ボリュームが増大し、設計者不足が深刻な課題になっています。
当社グループのエンジニアリングサービスは、メカ・エレキ・ソフトの各設計分野において、お客様のプロジェクトの一員として設計・開発業務の支援をしています。技術力と人間力を兼ね備えた技術者集団が、メーカー顧客のハイエンド領域の設計・開発支援を行っています。
(4)当社グループの事業の収益モデル
当社グループは製品開発プロセスの上流工程である設計開発プロセスに特化し、メーカーの課題解決に真に必要となるソリューションを部署横断的にワンストップで提供しております。技術のトレンドやお客様からのニーズを踏まえた高品質なソリューションの提供することで、お客様からの支持を得て、継続的な売上収益の成長を実現しております。
特にソリューション事業は、設計開発に特化した良質なDXコンサルティングやソリューションをお客様に伴走しながら提供することで、プロジェクトを継続的に受注できております。製造業のDX支援において、ツールの選定や業務フローの構築などのコンサルティングサービスを提供するだけでなく、その後の実務支援までをワンストップで行える企業は限られており、市場ニーズが旺盛である中、各メーカーからの案件引き合いを多くいただいています。
また、2024年2月期より開始したデジタルツイン事業は、シミュレーション&バーチャルテスティングサービスとして性能開発のプロセス構築から実車相当の車両モデル開発、車両OEM品質の実走行実験までのワンストップソリューションを展開することで、メーカーに対し高い価値を提供しています。現時点において、同事業の連結業績に占める売上・利益の割合は僅少ですが、当社グループにおける新たな成長の柱として成長させていく方針です。
[事業系統図]
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容(注)1 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(連結子会社) |
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プログレス・テクノロジーズ株式会社 (注)2、3 |
東京都江東区 |
100 |
ソリューション事業・エンジニアリング事業 |
100.0 |
役員の兼任6名(注)4 各種役務提供、業務委託、金銭貸借、当社からの経営指導、当社の借入金に対する債務保証 |
(連結子会社) |
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S&VL株式会社 (注)2 |
東京都江東区 |
20 |
デジタルツイン事業 |
100.0 |
役員の兼任3名 各種役務提供、業務委託、当社からの経営指導、当社の借入金に対する債務保証 |
(注)1.「主要な事業の内容」欄には、3 事業の内容に記載した事業形態別の名称を記載しております。
2.特定子会社に該当しております。
3.プログレス・テクノロジーズ株式会社については、売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く。)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。日本において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成された財務諸表における主要な損益情報等は以下の通りであります。
主要な損益情報等(2024年2月期 プログレス・テクノロジーズ株式会社)
(1)売上高 5,130百万円
(2)経常利益 1,174百万円
(3)当期純利益 827百万円
(4)純資産額 4,450百万円
(5)総資産額 5,510百万円
4.プログレス・テクノロジーズ株式会社に兼務しております取締役のうち2名は、それぞれ2024年5月と2025年2月に退任いたしました。そのため、本書提出日現在においては、役員の兼務は4名であります。
5.当社の過半数の株式を保有するジャフコSV6投資事業有限責任組合は、企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」第16項(4)の規定により、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づく親会社には該当いたしません。なお、当社が採用するIFRSにおいては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 35.関連当事者」に記載のとおり、当該会社が直近上位の親会社であり、かつ最終的な支配当事者であります。
当社グループは、デジタルソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(1)連結会社の状況
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2025年1月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
デジタルソリューション事業 |
561 |
合計 |
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(注)従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、有期労働者、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は、総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
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2025年1月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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(注)1.従業員数が最近1年間において、14人増加しましたのは、主として当社グループ全体における情報システム、ブランディング及び人材管理機能の効率化及び業務成果向上を目的とした管理本部組織の変更によるものであります。これに伴い、該当従業員が子会社であるプログレス・テクノロジーズ株式会社から転籍しております。また、従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、有期労働者、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は、総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.平均勤続年数は、当社グループ内通算での勤続年数を記載しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しており、特記事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
最近事業年度 |
補足説明 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、3 |
|||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
|||
- |
- |
77.5 |
85.6 |
- |
(注)4 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。該当する労働者がいない場合は、「-」として記載しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規程に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の割合を算出したものであります。該当する労働者がいない場合は、「-」として記載しております。
3.「5 従業員の状況 (2)提出会社の状況」の「平均年間給与」と同じ算出方法を採用しております。パート・有期労働者に該当する男性労働者がいないため、「-」として記載しております。
4.男女の賃金の差異について、賃金制度・体系において性別による差異はありません。主な要因は、男女間の管理職の比率と時間外勤務時間に占める男性の割合が高いことであります。
②連結子会社
最近事業年度 |
補足説明 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、3 |
|||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
||||
プログレス・テクノロジーズ株式会社 |
10.8 |
42.9 |
86.2 |
86.0 |
- |
(注)4 |
S&VL株式会社 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
(注)5 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規程に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の割合を算出したものであります。
3.「5 従業員の状況 (2)提出会社の状況」の「平均年間給与」と同じ算出方法を採用しております。パート・有期労働者に該当する男性労働者がいないため、「-」として記載しております。
4.男女の賃金の差異について、賃金制度・体系において性別による差異はありません。主な要因は、男女間の勤続年数の差及び、勤続年数に比例して各等級の分布に男女で差異があることであります。
5.S&VL株式会社については、2024年2月29日時点では従業員は所属していないため、「0」として記載しております。