(注) 1. 当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2. 持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
3. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第10期の期首から適用しており、第10期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4.第10期から第11期の経常損失及び当期純損失の計上は、売上高がエンタープライズ事業セグメントを中心に順調に成長している中で、人材およびマーケティング活動に対する先行投資を行っていたことによるものです。
5.第9期から第11期の1株当たり純資産額がマイナスとなっている理由は、純資産額総額から優先株式に係る純資産額を控除した普通株式に係る純資産額がマイナスとなっていることによるものです。
6. 1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
7.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。また、第7期から第11期は1株当たり当期純損失を計上しているため、記載しておりません。
8.当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。
9. 第7期、第8期及び第9期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
10.第10期の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税引前当期純損失の計上等によりマイナスとなっており、投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得等によりマイナスとなっております。
11.第11期の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税引前当期純損失の計上等によりマイナスとなっており、投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得等によりマイナスとなっております。
12.臨時従業員の平均雇用人数については、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満のため記載を省略しております。
13.前事業年度(第10期)及び当事業年度(第11期)の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、監査法人A&Aパートナーズにより監査を受けておりますが、第7期、第8期及び第9期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
14.2024年9月25日開催の取締役会決議に基づき、2024年10月11日付ですべてのA種優先株式及びB種優先株式を自己株式として取得し、対価としてA種優先株式及びB種優先株式1株につき、それぞれ普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式及びB種優先株式のすべてについて同日付で消却しております。なお、2024年10月15日開催の臨時株主総会決議において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。
15.2024年10月16日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行なっており、発行済株式総数は、3,043,760株となっております。第10期の期首に株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。
16.2020年3月31日付で株式1株につき100株の分割を、2024年10月16日付で株式1株につき20株の分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。なお、第7期、第8期及び第9期の数値(1株当たり配当金額についてはすべての金額)については、監査法人A&Aパートナーズにより監査を受けておりません。
当社は「ヒラメキあふれる世界をつくる」をミッションとして掲げております。今後日本国内では労働人口の減少から人材獲得がより難しくなるとともに、事業環境の変化がますます速まることが予想され、事業に関わる社員等の育成や組織能力の向上は不可欠になると見込まれます。そして信頼できる多様な知は、正解のわからない環境下での組織およびビジネスパーソンの選択肢を増やし、一人ひとりの歩みを強め、組織の成功や個人の活躍を導くと考えております。そのため当社は、知のエッセンスを伝わりやすい形で多くの人に届け、知の活用や連鎖による組織能力の向上と個人の活躍推進を促すプラットフォームを築き、社会に貢献することを目指しています。
当社の運営する「本の要約サービス flier(フライヤー)」は、本を読みたいけれども読み切れない、自分に本当に合った本が見つけられないという2つの課題の解決を支援するサービスとして生まれました。年間6,000冊以上発刊されるビジネス書から厳選された本の要約コンテンツや動画、特集記事などを提供するサービスとして、創業時より一貫して継続運営しています。要約は1冊約10分で読める分量としていて、読むだけでなく、音声再生にも対応しています。通勤時間、休憩時間、就寝前などのすきま時間を有効活用し、教養やビジネススキルを身につけることができます。
全ての要約コンテンツは出版社や著者などの本の作り手の許諾を得たのち、できあがった原稿も全て出版社などに確認いただいています。信頼性の高い媒体である本を元に、関係者の確認を経た要約を提供していることは、当社の独自性を特徴づけています。
(1) 当社のビジネスモデルについて
「本の要約サービス flier(フライヤー)」は、クラウドサービスの形で提供しております。法人あるいは個人から継続的に対価を受領するサブスクリプション(月額課金)モデルです。法人向けには、社内利用促進や利用状況確認のための機能を合わせて提供するクラウドサービス「flier business」で、課金形態はサブスクリプションのSaaS(Software as a Service)型のビジネスモデルとなっています。2025年2月第3四半期において全社売上高の2/3超を占める法人顧客向けの事業(エンタープライズ事業セグメント)が当社の事業の中核を担っています。また、個人顧客向けの事業(コンシューマ事業セグメント)はビジネスパーソンを中心とした個人の自己研鑽に資するサービスとして安定的な成長を実現するとともに、当社ブランドの認知度向上に大きく貢献しています。
顧客ターゲットはそれぞれ、個人顧客向けでは学習欲の高いアーリーアダプター層、法人向けは学習欲の高い層に加え、あまり意欲的ではない学習欲中程度以下のボリュームゾーンも含めてターゲットとしています。個人顧客向けは、終身雇用制度の終焉、フリーランスの増加、雇用の流動化のトレンドの中で学習欲の高い層が増加していくことが予想されるため、コンテンツの質をさらに磨き続けることで継続的な利用や新規利用を促します。法人向けでは、企業が社員の定着・優秀人材確保のために、継続的な研修・学びの機会を求めており、社員教育・研修を担当する人事研修担当者を通じて、間接的にボリュームゾーンへアプローチすることで、サービスの裾野を広げていきます。
(注)CAGRは2023年2月期第1四半期~2025年2月期第3四半期における売上高の年平均成長率を記載しています。
フライヤーの組織は、主にエンジニアとコンテンツ編集者がサービスの基盤となり、セールスおよびカスタマーサクセスがエンタープライズ事業を支え、出版社・著者等の知を生み出す方々との関係を強化するチームを有するという特性があります。
(2) 主要な事業の概要
<エンタープライズ事業セグメント>
企業における人材育成や福利厚生などを目的として従業員向けに提供する法人向け事業が中核となっています。そのほかにもインターネットカフェや公共図書館などの施設向けの事業、法人向けの研修事業、組織の人材投資に対する成果を見える化するスコアリングサービス「flier成長組織ナビ」等の新規サービスも積極的に展開しております。上記グラフの通り、エンタープライズ事業セグメントは直近の2年で約2倍の売上高となり、全体の2/3以上を占めるまでに拡大しています。累計法人契約社数は1,152社(注)となっています(2024年11月末時点)。
(注) エンタープライズ事業セグメントにおける有償の累計契約社数
◆ 「flier business」(法人向け)
法人向けサービスである「flier business」は、「本の要約サービスflier」を活用した人材育成サービスです。提供アカウント数に応じた月額固定費をお支払いいただくSaaSのサブスクリプション型のビジネスモデルで、従業員の自律的学習の推進や学びの文化形成などを目的として導入されています。また、事業の拡大に向け代理店網の開拓や様々な企業との協業を積極的に推進しています。
flier businessで提供するサービスの主な機能とその概要
(注) 1.Point Of Purchase advertisingの略。書店等の売り場における展示物。
2.Social Networking Serviceの略。Web上で社会的ネットワークを構築するサービス。
3.Security Assertion Markup Language/Single Sign On認証の略。インターネットドメイン間でユーザ認証を行うためのマークアップ言語をベースにした標準規格であり、特にSSOは一度のログインで複数のサービスへのログインを実現するための規格となります。
◆ 施設向け事業
施設向け事業に関しては、施設のWi-Fiにスマートフォンを接続することにより、その施設内での要約閲覧が可能になるサービスとして「本の要約サービス flier(フライヤー)」をカスタマイズしています。施設の滞在時間をより価値が高い時間にすることで施設の場の力をより高めることにつながります。他にも書店等で本のPOP(注1)にQRコードを添付することで、その本の要約が閲覧できる機能を提供しています。2024年11月末現在、全国の200店超の書店においてフライヤーの本の閲覧実績に基づいた特集陳列コーナーの「フライヤー棚」を提供しています。本取り組みは出版社・著者とのリレーション強化において、重要な役割を担っています。収益形態は主に「flier business」同様SaaSのサブスクリプション型のビジネスモデルとなっています。
◆ 法人向け研修事業
主にflier businessの利用企業向けに研修を提供しています。リーダー層向けに本を主題にして他企業の同階層の人とともに越境型学習を行い自分なりのリーダーシップを見つける「越境マネジメントプログラム」、第一線の講師の方と集中的に学ぶ講座、著者によるセミナーなどがラインナップされています。実施された研修単位で料金が発生する収益形態となっています。
◆ 「flier成長組織ナビ」
「flier成長組織ナビ」は、従業員一人ひとりの成長環境を確保するための要素を独自に調査・分析し、従業員と企業を成長に導く新しい概念のサーベイです。「制度・関係性・循環・学びの姿勢・成長実感」という5つの項目から、「成長組織スコア」を構成し、人が育ち成長する「成長組織」への変革を支援します。
提供初年度である2025年2月期は無償トライアルを開始し、今後収益化を計画しています。
<コンシューマ事業セグメント>
◆ 「本の要約サービス flier」(個人向け)
話題のビジネス書や名著・ベストセラーを1冊約10分の要約で楽しめる自己研鑽サービスとして、個人向けに「本の要約サービス flier」を提供しています。要約が読み放題の月額2,200円(税込)のゴールドプラン、月5冊まで好きな要約が読める月額550円(税込)のシルバープラン、20冊程度のサンプルの要約が閲覧できるフリープランがあります。なお、要約の9割以上は音声で聞くこともできます。エンタープライズ事業セグメントの「flier business」と同様に、月額課金のサブスクリプションモデルとなっています。
◆ 「flier book labo」「flier book camp」(オンラインコミュニティ)
コンシューマ向けに読書好きが集まるオンライン読書コミュニティの「flier book labo」を運営しています(月額5,500円(税込))。会員同士の交流のほか、著者などの著名パーソナリティが開催する読者会や短期講座「flier book camp」(16,500円(税込)/講座※)を開催。2024年11月末現在、「flier book labo」に協力いただいている著名パーソナリティは2024年11月末現在で60名となり、「flier book labo」は本という共通の興味を持つ仲間と刺激し合う場を築いています。
※受講者はコミュニティ会員費とは別に「flier book camp」受講料の支払が発生します。
◆ 「flier公式チャンネル」(広告事業)
「flier 公式チャンネル」は本を軸にしたディープなインタビュー番組として、学びを深める多様な動画コンテンツを配信しています。アカデミア・クリエイター・ビジネスなど幅広い分野のトップランナーや著名人をゲストに迎え、今ビジネスパーソンに知ってもらいたい「学び」の動画を提供しています。
(3) 「本の要約サービス flier」コンテンツ概要
当社のサービスでは、本の要約コンテンツ、動画コンテンツ、特集コンテンツの主に3種類の自社作成コンテンツを提供しています。
本の要約コンテンツを作成するにあたり、ビジネスパーソンが今おさえるべき話題の本やロングセラーの本を社内外の有識者を集めた選書委員会にて選出し、出版社や著者等の権利者の許諾を得て、要約を作成します(注1)。要約は、50名以上の外部の専門性の高いライターが主に作成し、当社編集者が確認・校正したものを権利者に確認いただいた上で、ユーザに公開します。全ての要約コンテンツがこの流れで作成され、その後の確認を進めることにより、信頼性を高めることに努めています。2024年11月末現在、提携出版社数は190社超に及びます。そして、提供している要約の数は、毎日1冊以上、年間では400冊程度を追加しており、2024年11月末現在で3,800冊超となっています。
動画コンテンツは、著名人の人生に大きな影響を与えた本をその方自身が紹介するDigTalkシリーズ(注2)と、ビジネスパーソンが知るべきリベラルアーツを専門家に語っていただくサブ・アカデミアシリーズ(注3)などを展開しています。
その他に、著名人へのインタビュー記事や、当社編集部による本の推薦記事、出版社からの推薦記事などの特集コンテンツを展開しています。
(注) 1.出版社・著者は宣伝機会・販売機会等の一環としており、許諾取得に際して著作権使用料の支払いは発生しません。
2.各分野のトップランナーをゲストに招き、人生において大きな影響を受けた本を紹介する約10分間の動画コンテンツのシリーズ
3.自分らしい人生を生きるために必要な問いを「リベラルアーツ」から学べる約10分間の動画コンテンツのシリーズ
(4) 当社の強み
当社の事業は、エンタープライズ事業セグメント、コンシューマ事業セグメントともにサブスクリプションモデルの収入となっており、主力であるエンタープライズ事業の解約率(Net Revenue Churn Rate(注1))は1.06%と低く抑えられているため、将来の収益が見通しやすいという点は強みであると考えております。エンタープライズ事業セグメント、コンシューマ事業セグメント合わせた累計会員数は121万人(2024年11月末時点)、メールマガジンの購読者数は約57万人(2024年11月末時点)となっており、拡大傾向にあります。
ユーザ数の拡大により、出版社・著者等の知の生産者にとっての魅力が高まり、魅力が高まることにより出版社・著者等の協力関係が強固となり、より多くの質の高いコンテンツを発信することができ、コンテンツがサービスの魅力を量と質ともに高めることで、さらにユーザ数の拡大に寄与します。これらは相互に作用しながら、資産として蓄積されることで高い参入障壁を形成しフライヤーの競争優位を築いているものと認識しています。
さらに、出版社および著者やユーザ企業との関係が継続的に拡大する傾向があることから、新しい企画や取り組み時にも活かしやすいという点も強みであると考えております。
加えて、特にエンタープライズ事業セグメントにおいては、ユニットエコノミクス(売上案件ごとの顧客獲得コストに対する将来期待収益(ライフタイムバリュー)(注2))が約7倍を記録しており、営業活動においても費用に対して高い収益効果を実現している収益構造となっている点が強みであると考えております。
(注) 1.(月次の新規受注額+既存顧客の金額変更―既存顧客の解約額)/(前月末の既存顧客に対する継続課金残高)をレベニューチャーンレートとして月次解約率の指標として用いています。数値は2023年12月~2024年11月における各月の月次解約率の平均値となります。
2.ユニットエコノミクスの計算式は、売上案件ごとの将来期待収益(ライフタイムバリュー)÷ 売上案件ごとの顧客獲得コストとなります。また、売上案件ごとの将来期待収益(ライフタイムバリュー)は、売上案件ごとの月次平均売上額÷ Net Revenue Churn Rateにて算出しています。
グラフ(左):累計会員数推移(エンタープライズ事業セグメントとコンシューマ事業セグメントの合計)
グラフ(右):累計法人契約社数推移(「flier business」に加えて施設向け事業も含めた法人契約社数)
[事業系統図]
(注) 1.有価証券報告書提出会社であります
2.2024年5月27日付で兼任は解消しております。
(注) 1.従業員数は取締役、監査役、臨時従業員、派遣社員を含んでいません。
2.臨時従業員には、パートタイマーおよび嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。また、平均年間給与算出の対象期間は第11期事業年度(2023/3/1〜2024/2/29)であります。
4.全社(共通)は、総務、経理等の管理部門のほか、エンタープライズ事業およびコンシューマ事業に分類されない部門の従業員であります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.対象期間は第11期事業年度(2023/3/1〜2024/2/29)であります。
4.小数点第2位以下は切り捨て表記しています。
5.パート・有期労働者の時給賃金は等しく、賃金の差異は労働に従事した時間の差によるものであります。