(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2.自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
4.従業員数は就業人員(契約社員、他社から当社への受入出向者を含んでおります。)であります。また、持分法適用会社である株式会社エナジーゲートウェイへの兼務出向者を含んだ人数としております。
5.前連結会計年度(第10期)及び当連結会計年度(第11期)の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)に基づいて作成されており、第10期及び第11期については金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。
6.2022年6月28日開催の定時株主総会決議に基づく決算期変更により、第10期は2022年4月1日から2022年12月31日までの9か月間であります。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2.自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3.当社株式は非上場であるため、株価収益率を記載しておりません。
4.前事業年度(第10期)及び当事業年度(第11期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。なお、第6期から第9期の財務諸表については、「会社計算規則」(2006年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、第6期及び第9期は、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく太陽有限責任監査法人による監査を受けておりません。
5.従業員数は就業人員(契約社員、他社から当社への受入出向者を含んでおります。)であります。また、持分法適用会社である株式会社エナジーゲートウェイへの兼務出向者を含んだ人数としております。
6.2022年6月28日開催の定時株主総会決議に基づく決算期変更により、第10期は2022年4月1日から2022年12月31日までの9か月間であります。
7.2022年2月10日付で株式1株につき20株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第6期及び第9期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。
当社の創業者である只野太郎は、大手電機メーカーであるソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)に技術者として入社し、技術開発及び事業推進管理の両面を実務及び管理職として経験したのち新規事業創出部門にて電力ICT関連事業の立ち上げを牽引しておりました。
ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)においては、2009年に、エネルギー分野の事業開発構想が開始され、翌年2010年、人工知能技術から機器分離推定技術が派生し、2012年3月には米国スマートグリッド(注1)実証Pecan Street Projectに参画しております。
2012年初頭、同社の全体戦略見直しにおいて新規事業創造活動すべてに凍結方針が打ち出された際、今後の地球持続性に向けた取り組みの重要性と、それに対する世界経済の後押しの継続を確信し、当時のメンバー数名で同社経営陣と事業カーブアウトの協議を開始し、2013年4月に当社を設立、資金調達を実現し、当時の開発活動の中で特に世界最先端で注目を浴びていた技術、知的財産や開発中であったシステム資産等をソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)から有償にて譲渡され、関わるメンバーの期間出向の協力も受ける形で、2013年7月に当社の独立稼働を開始いたしました。設立以後の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。
[用語解説]
(注) 1.スマートグリッド:電力インフラと通信インフラを融合させた次世代のエネルギー供給システムで、通信技術を利用した制御により、電力の需要と供給のバランスを取るもののこと。
2.小売電気事業者:日本の電気事業法に定められた電気事業者の類型の一つで、小売電気事業を営むために経済産業大臣の登録を受けた者をいい、2024年9月末日現在 計734事業者(電気事業法に基づく登録事業者数)(引用:資源エネルギー庁 登録小売電気事業者一覧)
3.デマンドレスポンス:電力消費者側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させることをいい、DRという略称も広く使用されている。
4.エネルギーマネジメント:家庭、オフィスビルや工場などにおけるエネルギー使用状況を把握したうえで、最適なエネルギー利用を実現するための活動のこと。
5.実証実験:新しいサービスや技術などを実際の市場環境や限定された条件下で試行し、その効果や実現可能性を検証するプロセスのこと。
当社グループは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」をミッションとして、[エネルギー×AI]をコア技術に、エネルギー最適化ソリューションを提供することで、日本で、世界で、カーボンニュートラルの社会実装に挑み続けております。
当社グループは、当社、連結子会社(Informetis Europe Ltd.)及び関連会社(株式会社エナジーゲートウェイ)の3社で構成され、脱炭素やGXに取り組む企業向けに、エナジー・インフォマティクス事業を展開しております。
連結子会社であるInformetis Europe Ltd.は、地域的にAI(機械学習(注1))の学術的教育環境が整っており、最先端のAI研究者採用に有利なイギリス・ケンブリッジに設立された技術開発拠点であるとともに、欧州圏を中心とした営業拠点でもあります。
関連会社である株式会社エナジーゲートウェイは、当社と東京電力パワーグリッド株式会社で共同設立した東京電力パワーグリッド株式会社の子会社で、国内における当社電力消費者向けサービスの独占的販売代理店であるとともに、東京電力グループの事業領域を拡大し、同グループの競争力の強化と企業価値の向上に重要な役割を果たしております。
エナジー・インフォマティクス事業は、エネルギー関連データを独自のAIで解析し、①省エネルギーと快適生活の実現をするスマート・リビングサービスと②エネルギーの運用効率の最適化を実現するエネルギー・マネジメントサービスをSaaS(注2)型で提供するもので、その概要は、以下のとおりであります。
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具体的には、電気を作る(発電)→電気を送る(送配電)→電気を小売りする(小売)→電気を消費する(消費)という電力供給の仕組みの中で電力利用効率の最適化を図るためには、電力供給に関わる設備の特徴を考慮しながら電力供給のバランスを維持しつつ、生活の質を保ち、不便を最小限に抑える必要があることを踏まえて、(ⅰ)電力消費者向けサービスの提供を通じて電力利用効率の最適化を図る「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」などのサービスと、(ⅱ)電力を供給する側である電力事業者向けサービスの提供を通じて電力利用効率の最適化を図る「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」などのサービスを提供しております。
なお、当社グループは、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、以降の説明においてセグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、①国内領域及び②海外領域に分かれております。
当社グループの収益モデルは、プラットフォーム上に構築されたサービスを利用する顧客企業数又は顧客企業のエンドコンシューマー数及びプラットフォーム上で稼働する各種アプリのエンドコンシューマー数が増加するにつれて、年々売上収益が積み上がり、累積的・継続的な発生を見込むことが可能なリカーリング型の収益(ストック型の収益)があり、「プラットフォーム・アプリ提供」がこれに該当いたします。
一方で、プラットフォーム上に構築されたサービスやプラットフォーム上で稼働する各種アプリの利用開始時には、起点として、電力センサーの機器販売代金、プラットフォーム上に構築されたサービスの初期設定費用やプラットフォーム上で稼働する各種アプリの初期設定費用などの一時的な収益(フロー型の収益)を伴うこともあり、「アップフロント」がこれに該当いたします。
「アップフロント」は、「プラットフォーム・アプリ提供」の起点となることから、当社グループでは、累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」のみならず、一時的な収益である「アップフロント」も重視しております。
なお、当社グループにおいては、見込顧客による実証実験が翌年以降の商業化に伴う収益につながっております。実証実験において、当社グループは、実証実験の設計、運営、データ分析やレポート作成などのプロセスの全部又は一部を見込顧客から受託し、委託料を受け取るのが一般的な収益モデルとなっており、「その他」がこれに該当いたします。
当社グループにおける収益区分の詳細は、以下のとおりであります。
① 国内領域
当社グループは、国内領域においては、以下のとおりサービスを提供しております。
当社グループでは、実証実験が翌年以降の商業化に伴う収益につながっており、実証実験のパイプラインは、常に10案件以上ありますが、上述のものも含め、実証実験のパイプラインの概況を表にまとめると、以下のとおりであります。
当社グループは、海外領域においては、英国に連結子会社(Informetis Europe Ltd.)を設け、欧州圏の現地企業や日本企業の現地法人などとの実証実験を行う等、欧州圏における本格的な事業展開に向けた準備を進めております。
特に、脱炭素化を背景に英国を筆頭とした欧州圏に広がるガスボイラー(ガス給湯器)からヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが直近で最大の事業拡大機会であります。
具体的には、ヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが進む中、電気の消費が急激に増加することによる電力系統・電力網の安定運用への影響を管理・制御するため、家全体だけでなくヒートポンプ(電気給湯器)やその他制御可能な機器の詳細な消費エネルギーデータを取得したうえでのヒートポンプ(電気給湯器)の最適化制御が重要になります。
このような状況の中、当社グループは、英国において、電力消費の側面から電力利用効率の最適化を図るサービスとして、2021年10月から当社グループの電力センサーがDaikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入され、電力系統・電力網と消費者の電力料金負担の双方のメリットを創出する最適化技術を提供しております。ここでは、Daikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入される電力センサーの販売料金が「アップフロント」に該当し、導入された電力センサーからのデータに基づいて、最適化サービスを利用する際に生じるランニング費用が「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、特別なシステム開発やコンサルティング等を行った場合に生じる費用が「その他」に該当いたします。
最後に、最近2連結会計年度の当社グループの事業領域及び後述の収益区分ごとの売上高は、以下のとおりであります。
(注) 1.2022年6月28日開催の定時株主総会決議に基づく決算期変更により、2022年12月期は2022年4月1日から2022年12月31日までの9か月間であります。
2.「アップフロント」は、未実現利益調整後の金額となっております。未実現利益は、連結グループ会社間の内部取引から生じた利益のうち、期末までに実現していないものをいい、具体的には、当社が関連会社である株式会社エナジーゲートウェイに販売した電力センサーのうち、連結グループ外部へ販売されず、同社の在庫となっている(実現していない)ものについて、当該在庫に含まれる当社の売上総利益に当社持分の40%を乗じた金額を、連結売上高から消去いたします。この消去された利益は、その後、同社から連結グループ外部へ販売された(実現した)際に、再度認識されることとなります。
3.2022年12月期及び2023年12月期の数値については、当社グループの決算数値を記載しております。また、参考情報(2022年1月~12月)の数値については、2022年12月期(2022年4月~12月)の決算数値に2022年1月~3月の数値を合算した数値を記載しております。
4.2022年12月期及び2023年12月期の数値については、太陽有限責任監査法人により監査を受けておりますが、参考情報(2022年1月~12月)の数値については、太陽有限責任監査法人により監査を受けておりません。
当社のミッションであるカーボンニュートラルの社会実装に挑み続けるためには、当社グループのサービスを社会基盤(インフラ)として確立することが不可欠です。そのため、当社グループでは、フロー型ビジネスからストック型ビジネスへの移行を推進しております。これにより、持続可能な収益を確保しつつ、エネルギー最適化ソリューションの提供を継続することが可能となります。
当社グループの総売上に占めるストック型売上の比率は、下図のとおり、年々増加しており、2023年12月期には34%に達しました。これは、当社のビジネスモデルが安定的かつ持続可能な方向にシフトしていることを示しております。
当社グループの事業系統図は、以下のとおりであります。
当社グループのエナジー・インフォマティクス事業の特徴は、2つのAI技術、すなわちNILMをはじめとした電力データ解析技術と数理最適化技術、を活かしたSaaS事業を根幹としており、前者の電力データ解析技術では、ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)から譲渡を受けた、電力波形データ分析NILMが大きな技術差異化要素となっております。
そのうえで、これまでに築き上げた事業実績として、①標準電力スマートメーターのデータ活用優位性、②SaaSモデル/リカーリング収入に支えられ逓増していく収益基盤、③世界トップクラスの電力AI技術(ソニー発)、④国内No.1電力会社を含む大手企業との強固なアライアンス戦略、⑤全世界で拡大するエネルギーデジタル市場で欧州でも新サービスで先行、という5つのポイントが挙げられます。
2026年からの導入に向けて仕様の策定が進められていた国内の次世代スマートメーターにおいては、その計量部において、従来のスマートメーターよりも大幅に高精細なデータ取得が可能となっており、当社の電力データ分析方式と互換性のある計測方式が仕様化されました。
これにより今後、やがては高精細データの取得にあたって電力センサーを新たに設置することなく、最大8,317万台(注)にものぼる次世代スマートメーターから、当社のプラットフォームにエネルギーデータを収集して、サービスを提供することが現実的になります。
ここにおいては、当社が10年以上蓄積してきた当該方式で収集するエネルギーデータの分析ノウハウが大きな優位性となり、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスの社会基盤(インフラ)化が大きく加速することを、当社グループは期待しております。
(注) 経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会 電力取引の状況(令和6年3月分)
※2021年2月1日 資源エネルギー庁 「次世代スマートメーターの 仕様の検討状況について」7頁のデータからグラフを作成
当社グループでは、スマートメーターの高精細電力データから安全性の異常可能性を検知した際に、それを電力会社に通知するサービスの技術開発を終えており、この技術に基づく商用サービスを次世代スマートメーターが導入される2026年以降にリリースした後、小売電気事業者向けにデマンドレスポンス(DR)支援サービス(平均10百万円程度/社/年の実績)や、次世代スマートメーターの活用により、導入しやすい価格設定による電力の見える化サービスや見守りサービス(大手企業が提供するサービスの10分の1程度の月額料金を想定)、ミドルデータ(家電別稼働データ、生活パターン/生活スタイルライフ分析、在宅推定/活動レベル)などのミドルデータ提供サービス(~100円程度/世帯/月を想定)への応用展開を考えております。
当社グループの収益構造は、フロー売上・収益(一回売り切りタイプの売上・収益)である電力センサーの販売が、将来のストック売上・収益(継続的に積み上がっていくタイプのリカーリング売上・収益)につながるリカーリングビジネスと呼ばれる収益構造であり、一度の販売で終わるのではなく、顧客企業が定期・継続的に利用料金を支払うことで、当社グループは安定した売上・収益が得られます。また、顧客企業の収益基盤が拡大することで当社グループの売上・収益も逓増していくため、長期的に安定した収益基盤になっていると当社グループでは考えております。
当社グループのようなリカーリングビジネスにおいて、解約率(チャーンレート)は非常に重要な指標となりますが、当社のサービスは顧客企業にとって重要なインフラとして機能しているため、解約率がほぼゼロに近いことも特徴であります。
当社グループの電力AI技術は、ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)が時間と資金を投じて開発したもので、創業者である只野太郎が同社からカーブアウトして、当社を設立した際に有償にて譲渡されたものであります。
一般的に電力データの取得は、現行スマートメーターや事業者独自開発のエネルギーマネジメントシステム(EMS)用電力センサーなどにより行われております。
現行スマートメーターは、電力料金徴収を目的として、既に多くの家庭や施設に設置済みであることから、追加のコストが生じない(低コスト)というメリットを有している一方で、30分ごとの電力使用量を計測するものであることから、電力データの計測精細度(粒度)は、粗いものになるというデメリットを有しております。
一方、事業者独自開発の電力センサーは、当社グループと同様の方向性を持つ競合企業(主に海外)があり、その中には、例えば1秒間に100万回の頻度(サンプリング周波数=メガヘルツ(MHz))といった高い精細度、高サンプリング周波数で計測し、電力データの計測粒度や特徴量抽出が、非常に高精細なものになるというメリットを有するものもありますが、高い精細度、高いサンプリング周波数で計測するためには、これを計測するための電力センサーで使用する部品が高性能、高価になるため、電力センサーの製造コストが高くなるというデメリットも有しております。
そこで、当社グループでは、高精細なNILM(Non-Intrusive Load Monitoring)技術に必要な、十分に高い粒度の電力データの計測と、低コストを両立した独自の電力波形センサリング技術を開発し、これを搭載した電力センサー(以下の画像参照)を開発いたしました。
この電力センサーは、現行スマートメーターのハードウェアに使用されている部品の性能で実現可能な最大サンプリング周波数である約8kHz(1秒間に8,000回の頻度)での計測を設計仕様とすることで、現行スマートメーターと比べると1,000万倍以上粒度の高い計測を行いながらも、スマートメーターはじめ汎用製品等で大量に流通している部品を流用できるため、電力センサーの製造コストを低く抑えることが可能であります。
当社グループでは、経済産業省基準認証局国際電気標準課の委託を受け、国際電機標準会議(IEC)(注11)TC85(注12)におけるNILMセンサーデバイスの計測グレードに関する国際標準化を推進し、2021年3月には、これがIEC TC85によって採択され、国際標準仕様書IEC TS63297(以下、「NILM-TS」という。)を発行するに至っております。
NILM-TSにおいては、高精細なNILMに必要な、十分に高い粒度の電力の測定データについて、電力データを測定する期間(データサンプリング周波数)、電力データを出力する周期(出力周期)及び分析データの大きさ(データビットレート)のテーブルごとにクラス分けしております。
当社の技術は、すべてのクラスにおいて、従来型スマートメーターで対応可能な(=コストアップにならない)範囲で、一番高い粒度の電力の測定データが測定可能であるクラスに位置づけられており、上記の費用対効果の優位性の客観性が担保されております。
上記ポジションをまとめると、以下のとおりであります。
(公開情報の分析をもとにした当社グループ調べ)
(注) 電力会社から一般家庭に供給されている電気は、交流といわれ、電気の流れる方向が1秒間に何十回も変化しております。この流れの変わる回数を周波数(Hz:ヘルツ)といいます。
メガヘルツ(MHz)は、「1秒間に100万回振動する」ような周波数を表し、メガヘルツ(MHz)波形を計測するということは、1秒間に100万回の電力データを取得するような細かさで計測していることになります。
キロヘルツ(kHz)は、「1秒間に1,000回振動する」ような周波数を表し、キロヘルツ(kHz)波形を計測するということは、1秒間に1,000回の電力データを取得するような細かさで計測していることになります。
そして、独自の電力波形センサリング技術で収集される、家庭や施設の総電力データから家電ごとの詳細な状態をリアルタイムで推定するのがNILM技術であります。
NILMは、各家庭や各施設の総電力の入口である主幹部分に設置した1つの電力センサーにより総電力データを取得し、主幹電力波形をAI(機械学習)等により分析することで、各家電には直接触れずに(個別計測や個別の仕組みは不要)、間接的にどの家電が、いつ、どれくらい使われていたかをリアルタイムで見える化することを可能にいたします。
当社グループでは、NILMを中核としたAI関連技術を活用して、エネルギーデータを価値のあるデータに加工しております。
NILMは世界的にも最先端技術であるため、応用可能性に関する議論がなされず、また、技術検討及び比較が容易ではなく、グローバルスタンダードが一切存在しませんでしたが、上記のように、2021年3月には、当社グループが経済産業省基準認証局国際電気標準課の委託を受け推進した国際標準化がIEC TC85によって採択され、NILM-TSを発行するに至っております。
これにより、NILMの世界的な認知が大きく加速することを、当社グループは期待しております。
当社グループによる電力データの価値あるデータへの加工例は、以下のとおりであります。
当社は、電力等のデータを収集・分析・加工するIoTプラットフォームサービスを提供することを事業目的として、2018年3月に、東京電力パワーグリッド株式会社と株式会社エナジーゲートウェイを共同設立(当社出資比率40.0%)しております。
当社は、代理店契約に基づき、株式会社エナジーゲートウェイを日本国内における当社電力消費者向けサービスの独占販売代理店とし、同社との間で、電力センサーの年間最低購入数量を定めたうえで東京電力グループの知識・経験知に基づく事業・業務ノウハウを背景に、複数年契約を前提にして、1顧客当たりの電力センサーの総購入台数が数万台~数十万台の大型顧客を中心に国内での営業活動を推進しております。
あわせて、当社は、東京電力パワーグリッド株式会社との協業を推進し、東京電力グループの知見と蓄積されたデータを活用することで、技術・サービス開発のスピードをより一層向上させ、事業戦略やアライアンス、開発面においても、株式会社エナジーゲートウェイを支援しております。
また、東京電力グループを含む旧一電(旧一般電気事業者)との協業は、合計5社(東京電力、関西電力、中部電力、中国電力、四国電力)に上り、旧一電(旧一般電気事業者)との協業が豊富であることは、当社グループの信頼性を高め、さらなるビジネスチャンスを生み出す要因ともなっております。
さらに、当社は、設立以来、東京電力パワーグリッド株式会社、関西電力株式会社、株式会社日立製作所、ダイキン工業株式会社、株式会社博報堂DYホールディングス、日本郵政キャピタル株式会社、伊藤忠エネクス株式会社及びヒューリック株式会社といった国内外のエネルギー関連企業や、各業界を代表する企業と事業・資本提携を実施することで、秘匿性の高いデータを活用して、業務提携によって生まれる新たなサービスは、新たなサービスの提供や市場の拡大を目指しております。
一例として、インターネット上での広告配信において一般的に用いられているCookie(クッキー)(注)の規制が強化され、将来的に使えなくなる可能性が高まっていることを踏まえ、2020年2月より、株式会社博報堂DYホールディングスと資本事業提携を行い、NILMデータと世帯嗜好性の相関性分析を共同研究として進めるなど、電力データを利活用したインターネット上での広告配信に向けた準備を進めております。
(注) Cookie(クッキー):WebサイトがスマートフォンやPCの中に保存する情報のこと。
また、2024年5月には、伊藤忠エネクス株式会社のグループ会社である株式会社エネクスライフサービスとともに、簡易電力使用状況見える化サービスである「テラりんアイ(AI)」の提供を開始し、サービスの裾野を広げております。
前述のように、脱炭素化を背景に英国を筆頭とした欧州圏に広がるガスボイラー(ガス給湯器)からヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが進んでおります。
このような状況の中、当社グループは、ダイキン工業株式会社と資本業務提携して、同社の欧州子会社であるDaikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として、当社の電力センサー及び消費者等の電力コスト負担を自動的に軽減するサービスが導入されております(Daikin Europe N.V.は、2028年には年間約60万台の設置台数が見込まれる欧州ヒートポンプ市場(注1)で20.8%のシェア(注2)を誇っております。)。
また、英通信最大手のBritish Telecom(現BT Group)と協業し、見守りサービスの実証実験を開始し、高齢者の住居の電力データを利用して、活動状況を分析し、異常があれば家族や関係者に通知する仕組みを構築しております。
(注1) National Audit Office(英国会計検査院)プレスリリース「Low heat pump uptake slowing progress on decarbonising home heating」(Date: 18 Mar 2024)
(注2) EUROPE HEAT PUMP MARKET(2024), Mordor Intelligence,2024
日本政府は、2020年10月26日に、2050年カーボンニュートラルの実現という国際公約を掲げ、気候変動問題に対して国家を挙げて対応する強い決意を表明いたしました。さらに、2021年4月には、当時の菅内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明いたしました。
それ以降、我が国では、その実現に向けて、グリーン成長戦略、第6次エネルギー基本計画等の各種戦略を策定、また、それらの実行に向けた施策を検討するため、GX実行会議等が開催されてまいりましたが、2022年12月22日の第5回GX実行会議において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が公表され、今後10年を見据えた取組の方針をまとめられた後に、2023年2月10日に閣議決定がなされ、GX基本方針として発表がなされました。
このGX基本方針は、2050年カーボンニュートラルや、2030年度の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を、経済成長の機会として捉え、温室効果ガス排出削減と経済成長・産業競争力向上の同時実現に向けて、経済社会システム全体を変革させるグリーントランスフォーメーションの実現に向けた基本方針となっており、そこでは、徹底した省エネの推進、再生可能エネルギーの主力電源化などが盛り込まれております。
地球環境変化に向けた世界的な危機意識や技術の進化、経済合理化を背景として、エネルギー業界では以下の大きなイノベーションが進んでおり、これを国内では「エネルギーの4D」と呼んでおります。
1つめは、脱炭素化(Decarbonization)であり、地球温暖化への対策として、再エネの導入が進み、それに伴う予測困難な出力変動への対応が求められております。
2つめは、分散化(Decentralization)であり、先述した再エネ導入も含め様々な規模の分散型発電や蓄電、さらには電気自動車との連携も加わり、系統運用の複雑化が急速に進んでおります。
3つめは、自由化(Deregulation)であり、電力小売自由化による市場経済化など様々な規制緩和が進められ、競争が活性化しております。
4つめは、デジタル化(Digitalization)であり、スマートメーターの導入とIT技術の進化に伴い、電力系統運用でもDXが進んでおります。
GX基本方針において、GXに向けた脱炭素の取り組みの1つとして、再生可能エネルギーの主力電源化が掲げられております。
再生可能エネルギーの導入拡大には、電力の需要と供給のバランスを取る「需給バランス調整」が、非常に重要となります。
電力系統は、需要と供給のバランスが崩れることにより周波数や電圧の変動が起こり、場合によっては停電につながりかねないため、常に時間ごとの電力の需要と供給を一致させる必要があります。特に、天候によって発電量が左右されがちな太陽光や風力などの自然由来の再エネの増加によって、電力の需要と供給のバランスを取る「需給バランス調整」は、より難易度が上がります。
「需給バランス調整」は、従来、供給側(発電側)においては火力発電がその役割を担っておりましたが、脱炭素化に向けて、予測が困難かつ不安定である自然由来の再エネによる供給の増加が見込まれると同時に、火力発電による供給の割合が低下し、火力発電のみによって需給バランスの調整を行うことが難しくなることが見込まれております。
また、4Dの2つめの「分散化」に関連して、電力業界では、発電、送配電及び小売の分離並びに自由化という電力システム改革によって、大手電力会社がこの3部門のサービスを一括して提供する1地域・1電力会社制による集中管理体制から「発電」、「送配電」及び「小売」という各部門へ多数事業者が参加したことによる複数社による分散管理体制に移行している現在においては、電力のやりとりは複雑化し、需給バランスの調整を行うことがさらに難しくなることが見込まれております。
加えて、電力消費者側は、従来は、電気を消費するだけでありましたが、現在は、4Dの3つめの「自由化」に関連して、太陽光発電等により発電することも増えており、余剰電力を売電することによる電力消費者側からの「逆潮流」も発生しております。
そこで、リアルタイムでの「需給バランス調整」が不可欠である電力の世界においては、従来の「供給側調整」に加えて「需要側調整」を目途として、当社の電力センサーで電力消費者の詳細な電力データを取得し、NILMを活用して、どの家電が、いつ、どれくらい使われていたかをリアルタイムで解析・分析を行い、DX(4Dの4つめである「デジタル化」)、この結果から発電・需要予測などの有益情報や価値ある知見を抽出(エネルギーデータの価値創造)し、制御するための情報技術革新が必要になります。
当社グループの事業ドメインとして、当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーデジタルビジネス/DX関連市場は、2025年度には5,003億円に、2035年度には9,092億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。
中でも、太陽光発電設備は、2021年度には277億円の見込みであったものが、2035年度には2,553億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。また、送配電・需給調整領域は、2021年度には125億円の見込みであったものが、2035年度には713億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。さらに、エネルギー利用領域(蓄電池サービスも含む)は、2021年度には135億円の見込みであったものが、2035年度には615億円に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、エネルギーデジタルビジネス/DX市場の現状と将来展望 2022)。
また、電力利用効率の最適化には、「需給バランス調整」のような発電・送配電・電力消費者設備という電力システム全体で最適化するサービスを当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーマネジメントシステム関連市場において提供することが必要になりますが、電力+αの付加価値も同時に実現することで、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することも必要になります。
この観点から、当社グループが二次ターゲット市場としている市場は、パートナーとのアライアンスによって、電力データに新たな価値を創り出すことによってアクセス可能になるものでありますが、現在は、ヘルスケア業領域、社会インフラ業領域、公共/教育業領域、インターネット広告市場など、様々な分野・新市場へ進出を予定しております。
進出を予定している市場の規模は、以下のとおりであります。
ヘルスケア業領域 953億8千万円
(出所:株式会社富士キメラ総研、2022 人工知能ビジネス総調査より2027年の業種別市場動向予測)
社会インフラ業領域 1,802億6千万円
(出所:株式会社富士キメラ総研、2022 人工知能ビジネス総調査より2027年の業種別市場動向予測)
公共/教育業領域 1,506億2千万円
(出所:株式会社富士キメラ総研、2022 人工知能ビジネス総調査より2027年の業種別市場動向予測)
インターネット広告市場 3兆3,330億円
(出所:株式会社電通、2023年 日本の広告費より2023年(1~12月)の実績)
[用語解説]
(注) 1.機械学習:人間が有する学習能力に類似した機能をアルゴリズムに持たせることにより、学習し進化する技術手法、技術名のこと。具体的には、教師データ(学習の元になるデータ)に基づいてアルゴリズムが学習することで、類似の状況において、学習により構築したパターンに基づいて、アルゴリズムが精度の高い推定や判断を行うことが可能になる。
2.SaaS:「Software as a Service」の略語で、ソフトウエアやアプリケーションの機能をサービスとして、クラウド上で提供し、利用者がネットワーク経由で利用するモデルのこと。
3.IoTデータプラットフォーム:「Internet of Things」(モノのインターネット)を活用するために必要な様々な機能をひとつのシステムとして提供するサービス基盤のこと。
4.IoT機器:「Internet of Things」(モノのインターネット)における「モノ」のことで、インターネットに接続されたテレビ・センサー類・照明などのこと。
5.スマート家電コントローラ:例えば、家庭内のエアコンなどの電化製品をアプリや声で操作したり、時間やセンサー、インターネットの情報をもとに自動制御するコントローラのこと。代表的なスマート家電コントローラとして、米国GoogleのGoogle Nestデバイスと Google Homeデバイスが挙げられる。
6.V2H:「Vehicle to Home」の略語で、EVなどの大容量バッテリーに蓄えられた電気を車(Vehicle)から家(Home)に戻して活用するシステムのこと。
7.エナジー・リソース・アグリゲーション・ビジネス:バーチャルパワープラント(VPP)(電力消費者側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、発電所と同等の機能を提供すること)やデマンドレスポンスを活用して、一般送配電事業者、電力消費者、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、インバランス回避、電力料金削減、出力抑制回避等の各種サービスを提供する事業のこと。
8.レジリエンス:元に復元する能力(回復力)のこと。
9.データマイニング:大量のデータから有用な情報や知識を見つけ出す技術のこと。
10.次世代スマートメーター:2014年から本格導入が開始された毎月の検針業務の自動化や電力使用状況の見える化を可能にする電力量メーター(=現行スマートメーター)に代わり、2026年から順次交換が始まる予定である電力メーターのことで、『「次世代スマートメーター」=「電力DX推進に向けたツール」』として位置づけられている(出所:経済産業省・資源エネルギー スマートメーター制度検討会 次世代スマートメーターの標準機能について(中間取りまとめ))。
11.国際電機標準会議(IEC):国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)のこと。電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関で、各国の代表的標準化機関から構成される。
12.TC85:IECを構成する電磁計測標準化委員会のこと。
13.DX:「Digital Transformation」の略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
(注) 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2024年9月30日現在
(注) 1.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載は省略しております。
2.従業員数は持分法適用会社である株式会社エナジーゲートウェイへの兼務出向者を含んだ人数としております。
3.従業員数は就業人員(契約社員、他社から当社への受入出向者を含んでおります。)であります。
2024年9月30日現在
(注) 1.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載は省略しております。
2.従業員数は持分法適用会社である株式会社エナジーゲートウェイへの兼務出向者を含んだ人数としております。
3.従業員数は就業人員(契約社員、他社から当社への受入出向者を含んでおります。)であります。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。また、期中の中途入社、退職者等は含んでおりません。
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。