(注) 1. 第6期以前は連結財務諸表を作成しておりませんので、記載しておりません。
2. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できず、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
3. 自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため、記載しておりません。
4.株価収益率については当社株式が非上場であるため記載しておりません。
5.第7期及び第8期の経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失及び包括利益(△)の要因は、人財投資による販売費及び一般管理費の増加、のれんの減損による特別損失の計上などによるものであります。
6.第7期の投資活動によるキャッシュ・フロー(△)の要因は、Unifly NV株式の追加取得によるもので
あります。
第8期の営業活動によるキャッシュ・フロー(△)の要因は、営業損失(△)によるものであります。
7.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(契約社員、インターン、アルバイト及びパートタイマーを含み、人材会社からの派遣社員は除く。)の年間平均雇用者数を〔〕内に外数で記載しております。
8.第7期及び第8期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
9. 当社は、2024年7月25日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っております。第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。
(注) 1. 1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。
2. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。
3.株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。
4.第5期及び第6期並びに第8期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。
5.第5期及び第6期並びに第8期の経常損失及び当期純損失の要因は、Unifly NV株式の評価による損失の計上によるものであります。
6.主要な経営指標等のうち、第4期、第5期及び第6期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第216条第6項の規定に基づき、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準ずる有限責任監査法人トーマツによる監査を受けておりません。
7.前事業年度(第7期)及び当事業年度(第8期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
8.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(契約社員、インターン、アルバイト及びパートタイマーを含み、人材会社からの派遣社員は除く。)の年間平均雇用者数を〔〕内に外数で記載しております。
9.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)を第7期の期首から適用しており、第7期及び第8期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
10.当社は、2024年6月14日開催の取締役会において、2024年7月4日付で普通株式を対価とする取得条項に基
づき、A種優先株式、B種優先株式、C1種優先株式及びC2種優先株式の全てを当社が取得し、引き換え
にこれらの種類株式の株主に対して普通株式の交付を行い、同日付で当社が取得したこれらの種類株式の全
てを消却しております。
11. 当社は、2024年7月25日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っております。第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産及び1株当たり当期純利益並びに1株当たり当期純損失を算定しております。
12. 当社は、2024年7月25日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。
なお、第4期、第5期及び第6期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
空の産業革命を起こし、世界をリード出来る存在」になることを目的に設立されました。
(注1) UTM(Unmanned Aircraft System Traffic Management)無人航空機の運航者が複数いる空域でも、それぞれ
の機体を安全かつ効率的に運航できるようにする管理システム
(注2) UAV(Unmanned Aerial Vehicle)無人航空機
(注3) SLAM(Simultaneous Localization and Mapping) 自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術
沿革に記載した事項以外に、2020年7月までの間に当社が出資や子会社またはJV設立を実施した海外企業が計
20社ありますが、これらはいずれもその後売却・清算、閉鎖を行っております。
当社グループは、当社及び連結子会社8社(Terra Global株式会社、PT. Terra Drone Indonesia、Terra
Inspectioneering B.V.、Terra Drone Agri SDN. BHD.、Terra Drone Arabia for Drones、Unifly NV、Unifly
Inc.、Unifly Rotech S.R.L.)、持分法適用会社1社(Aloft Technologies, Inc.)の計10社で構成されており、
産業用ドローンをはじめとしたハード・ソフト・サービスを組み合わせたソリューションを提供している「ドロー
ンソリューションセグメント」と、UTMの開発・構築及びそれらを通してドローンの運航管理を行う「運航管理
セグメント」の2つのセグメントを通じて、低空域経済圏(注1)のグローバルプラットフォーマーの実現を目指
しております。
ドローンサービス企業として世界Top3に入り(注2)、海外で事業を行う関連会社6社(注3)、サービス展開
国数は14ヶ国(2024年1月期)(注4)となる、グローバルな事業展開を行っております。
ひと目でわかる”Terra Drone“
グローバルな事業拠点を構築(注3)
当社グループの認識に基づくドローン業界構造と当社グループの立ち位置に係わるイメージ図(注7)
また、当社はドローンや空飛ぶクルマによる空のインフラ構築を支援する官民ファンドや、ドローン点検のニ
ーズがあるエネルギー会社等、事業シナジーが見込まれる資本連携・業務提携等を行って参りました。
・Wa’ed Ventures(サウジアラビア王国の国有石油会社アラムコが支援するベンチャーキャピタルファンド):
出資を受け、中東での事業開発を推進中
・九州電力送配電株式会社:ドローン点検の実証実験での共同開発
・三井物産株式会社、株式会社海外交通都市開発事業支援機構:空飛ぶクルマへの実証実験での共同開発や、JVを
活用した海外企業への戦略投資
事業シナジーを生みだす資本業務提携の例
(注1)ドローンや空飛ぶクルマなどのエアモビリティが飛行する高度を想定して当社が定義した用語
(注2)出所:Remote Sensing Drone Service Providers
(2023)Drone services: The top companies in 2023, https://droneii.com/top-drone-service-companies-in-2023
(2022)Drone services: The top companies in 2022, https://droneii.com/best-companies-for-drone-services
(2021)https://dronelife.com/2021/09/24/top-drone-service-providers-2021-drone-industry-insights-newest-report/
(2020)https://droneii.com/drone-service-provider-ranking-2020
(注3)2024年3月末現在。連結子会社および持分法適用会社を含む。
当社はUTM事業を営んでおりますが、金額僅少のため財務諸表の運航管理セグメントには含めておりません。
Unifly NVの子会社2社(Unifly Inc.、Unifly Rotech S.R.L.)は事業に与える重要性を鑑みて含めておりません。
(注4)Unifly NVのUTMビジネス展開国と拠点国数の合算
(注5)連結
(注6)(海外売上比率)=(海外子会社の売上高の合計)/(連結売上高)
(注7)本書提出日現在において、空飛ぶクルマや物流ソリューションの提供を行っておりませんが、当社が将来的に提供を行う可能性がございます。
当社グループの事業内容と当社、連結子会社及び関連会社の事業における位置づけ、並びにセグメントとの関連
は次のとおりであります。なお、次の2つのセグメントは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結
財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
1 ドローンソリューションセグメント
2 運航管理セグメント
(注) 8.当社はUTM事業を営んでおりますが、金額僅少のため財務諸表の運航管理セグメントには含めておりません。
9.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
10.2023年4月に新規設立しております。
11.2024年2月に株式を取得し持分法適用会社になっております。
当社連結子会社であるTerra Global株式会社は中間持株会社である為、上記一覧では省略しております。
・ハード・ソフト・サービスの定義
[ドローンソリューションセグメント]
測量・点検・農業の効率性と安全性を高めるため、顧客のニーズを現場で深く理解することによって、産業課題や
ニーズを反映したハードやソフトを開発し、国内外で産業用ドローンによるサービスを提供するとともに、業務の効
率化、安全性の向上、コスト削減等を実現しております。
1測量事業
国内測量サービスでは、建設コンサルタントや測量会社等に対して、自社開発製品であるTerra Lidarシリーズの販
売、ドローンを使用した高精度(計測精度±5~10cm)の3次元計測(注12)から図面作成、BIM/CIMによる3次元モ
デル作成(注13)、画像処理まで一気通貫で提供しており、i-Construction(注14)にも対応したサービスを提供し
ております。Terra Lidarシリーズの国内販売実績を有する地域は41都道府県にのぼり(2024年3月末時点)、災害復
旧や河川、山間部などで測量を行っております。国内外での測量サービスは年間延べ200件以上(2024年1月期)、累
計延べ2,000件以上(2024年1月時点)実施しております。
連結子会社であるPT. Terra Drone Indonesiaでは、インドネシアにおいて写真測量や森林測量サービス、外部に向
けたドローンパイロット育成トレーニング等を行っております。東南アジアの広大な土地で安全且つ効率よくLiDAR
(注15)を活用した測量サービス等を行い、収集した画像データから、地盤の状態確認と地形の把握、災害対策等も
行っております。
2023年に新規設立された連結子会社のTerra Drone Arabia for Dronesでは、石油依存経済の脱却を図るサウジアラ
ビアにおいて下水道、空港、道路の設計などインフラ整備の為のドローンによる地形調査等を行っております。
収益は主に、ハードウェアの販売、SaaS形式でのクラウド解析サービス、ソフトウェアのライセンス販売、測量サ
ービスの提供となります。
提供ソリューション
(注12)物体の三次元的な形状をデータとして取得すること
(注13)構造物等を3次元の立体形状で表した3次元モデルに属性情報と参照資料を組み合わせた情報モデル全体を指す
(注14)測量から設計、施工、検査、維持管理に至る全ての事業プロセスでICT(情報通信技術)を利用し、建設現場の
生産性を飛躍的に向上させることを目指した、国土交通省の取り組みを指す
(注15)レーザ光を使用してターゲットの表面までの距離を測定するマッピング技術
① UAVレーザ測量による作業短縮
UAVレーザ測量とは、ドローンに取り付けられたレーザスキャナから、地形の3次元点群データを取得し計測する手
法です。地上型レーザ測量や写真測量が適さない山林などの障害物がある現場でも測量することが可能です。
従来においては、トータルステーション(注16)や地上型レーザ測量機器を用いて、計測するポイントごとに機器
を人が移動させながら、土地の形状を測量する手法が主流でした。ドローンにレーザ測量機器を搭載し、上空から地
上のデータを取得することで、短時間かつ広範囲で測量をすることが可能となります。
測量現場作業の効率化(注17)
※作業量:0.31k㎡あたりの外業作業時間を比較
(注16)水平角と鉛直角を計測する経緯儀という器械に、測距儀の機能が内蔵された測量器械
(注17)国土交通省「ICT土工事例集(測量業務編)」において、作業面積が明確であり、トータルステーションからドローンレーザ測量への効率化を行った「業務9」の作業時間(外業)を引用
② 写真測量
ドローンによる連続空中写真から3次元の点群化を実施、空中写真を正射変換(注18)し、オルソ画像(注19)を
作成することによって、平面図に近いデータとして位置情報データも保有しながら使用することが可能になります。
③ 森林測量
PT. Terra Drone Indonesiaではドローンによる写真測量・UAVレーザ測量サービスに加えて、レーザを搭載した
ドローンによる森林測量を行っております。従来、インドネシアの広大な森林調査は有人航空機を利用して観測し
ていましたが、レーザを搭載したドローンに置き換えることによって、計測が困難であった山間部や森林部なども
測定が可能となり、より精緻なデータ提供を行っております。
④ 具体的な製品の特徴
- Terra Lidar シリーズ
年間180件以上(2024年1月期)のUAVレーザでの測量実績と経験を元に、国内の建設業界での課題を解決するため
に画期的な技術の開発やサービスの提供に取り組んでおり販売だけでなく修理対応まで当社にてサポートしておりま
す。
- Terra Cloud
当社が独自に開発したUAVレーザ測量をサポートするクラウドサービスであり、ドローンの飛行計画作成から、
解析、3次元点群データの納品、閲覧、共有までをワンストップで完結可能なプラットフォームです。UAVレーザ測量
のデータ解析を当社の専門チームが実施することで、機材購入後すぐに運用開始することが可能です。
製品比較
(注18)中心投影で撮影されている空中写真を正射投影機を用いた正射投影した像への変換作業
(注19)写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換したもの
2点検事業
近年、世界各地において、石油化学プラントを始めとする各種施設での点検に関わる作業員の不足や、高所作業に
伴う危険への懸念から、ドローンによる板厚検査のニーズが高まりを見せています。
当社はそのような環境下において、超音波で板厚検査が可能なTerra UTドローンと、ドローンで取得したデータを
クラウド上で管理するプラットフォームを用いて、石油化学プラントのガスタンクやFPSO(注20)等の定期点検を行
っております。
従来、高所作業に必要とされていた仮設足場の組み立てや撤去にかかる時間を削減することで、点検コストのカッ
トや検査中の施設稼働停止による機会損失を減らすだけでなく、人力により高所で作業する必要がなくなるため、作
業員の安全を確保した上で迅速な点検を可能にしております。
海外事業者向けの法定定期点検を対象とするドローン点検サービスの提供と、国内事業者向けの自主点検を対象と
するドローン点検サービスの提供により収益を得ております。
提供ソリューション
① ドローンを活用した点検サービス
日本国内の工場数は、全国で17万ヶ所(注21)(2022年6月1日時点)にのぼり、定期点検を行うことが建築基準
法第12条で義務付けられていますが、天井の点検は非常に高所であることから実施が難しく、これまで安全面での問
題や点検にかかる人的コストの問題が発生していました。当社は、自社開発した特許取得済みのTerra UTドローン
(特許番号:PCT/NL2018/050575, PCT/NL2019/050197)を用いて、天井クレーンの超音波探傷点検を行うことによっ
て、人力により高所作業を行う必要がなくなり、安全でかつ迅速な点検を可能にしております。
当社Terra UTドローンの展開が加速し、連結子会社であるTerra Inspectioneering B.V.では、石油メジャーである
シェルの欧州最大規模の製油所での点検や、世界最大手総合化学メーカーBASFでの点検など、累計1,500件以上(2024
年8月末時点)のプロジェクトを実施しております。
(注20)Floating Production, Storage and Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備
(注21)出所:「令和3年経済センサス‐活動調査」2022年、経済産業省
(https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220930003/20220930003.html)
② FPSOでの点検サービス
当社は、三井海洋開発株式会社と共同で、同社がブラジルでオペレーションを行うFPSOであるFPSO Cidade de
Mangaratiba MV24において、ドローンによる原油貯蔵タンク内の船体板厚計測を完了し、FPSOでのドローンによる板
厚計測方法について、世界的な船級協会の1つであるABS(注22)の承認を取得しております。
更に、2024年7月には、同社と海洋プラットフォーム向け検査ドローンの共同研究開発契約を締結(注23)し、本
契約を通じて開発するドローン検査技術を当社FPSOのみならず広く業界に浸透させ、海洋プラットフォーム操業にお
ける業界の共通課題である労働安全環境向上と省人化に貢献することをビジョンに掲げています。
③ AIを搭載したドローン自動鉄塔点検システムを開発(注24)
当社は、九州電力送配電株式会社にて、AIによるがいし(注25)自動検出機能を搭載したドローンを用いた自動鉄
塔点検システムを導入し、九州エリア約25,000基の鉄塔のうち、本システムを適用可能な形状の鉄塔である約15,000
基まで運用を拡大しています。ドローンの飛行、AIによるがいしの検知、ドローンに搭載したカメラの調整・撮影な
どを全て自動で行い、鉄塔の点検作業を大幅に省力化することが可能となりました。従来は、ドローンを手動操作し
て点検を行っており、1基あたり約110分程度を要しておりましたが、本システムを導入することで、1基あたり約60
分で行うことが可能となり、点検時間は従来と比べて約50%削減されます。
(注22)American Bureau of Shipping:米国船級協会
(注23)https://www.modec.com/jp/news/2024/20240701_pr_TerraDrone.html
(注24)https://www.drone.jp/news/2024050810150887569.html
(注25)電気が電線から鉄塔に流れないようにするための絶縁物
④ 具体的な製品の特徴
- Terra UTドローン
ドローンとして初めての技術であるタンクなどの表面を壊さず板厚点検が可能な超音波探傷機能(注26)を搭載し
た当社製ドローン。Terra UTドローンは、接触触媒(カプラント)ディスペンサーが搭載されており、飛行中でも探
触子(注27)にカプラントの供給が可能であるため、効率的に検査を進めることができます。また、3つの高精度カ
メラが搭載されており、飛行中のドローンからの映像、計測されているUTグラフを地上からリアルタイムで確認する
ことも可能です。また、Terra Inspectionというソフトを用いることで、測定したデータをクラウドで出力し、3次
元点群データと写真の連携が可能です。
(注26)超音波を用いて内部の傷を測定することができる機能
(注27)超音波を発生または受信するためのセンサーで、主に非破壊検査に使用される
3農業事業
現在、農業の分野において、精密な作物管理や高効率な生産手法を実現するため、ドローン活用の可能性が急速に
拡大しております。2030年には農業用ドローンの世界市場は最大142億9,020万ドル(約2兆680億円)(注28)に成長
する見込みです。
そのような環境下において、当社はインドネシア及びマレーシアにおける農業用ドローン市場に本格参入する
ため、2023年7月に連結子会社PT. Terra Drone Indonesiaを通じAvirtech Solutions Pte.Ltd.の農業関連事業を買
収し、また、マレーシアでも事業展開を行うため子会社としてTerra Drone Agri SDN. BHD.を新規設立致しました。
パーム油(注29)の元となるアブラヤシは十分な日照と高温湿潤な気候が必要であり、インドネシアとマレーシア
はパーム油の主要な生産地として世界における生産の約8割(注30)を占めています。しかし、労働環境が厳しい
上、労働力が不足しているなど、インドネシアとマレーシアのパーム油産業は深刻な問題を抱えています。
当社が事業を買収したAvirtech Solutions Pte.Ltd.は、インドネシアとマレーシアで2017年よりドローンを用いた
パーム油農園の農薬散布事業を展開しております。他社に先駆けてスプレー半径10cm以内での高精度な農薬散布を可
能にする技術を有しており、ドローン農薬散布事業のリーディングカンパニーの1社となっております。
これまでに累計200,000ヘクタール以上の面積で、1日あたり最大4,000回の飛行を実施(2023年9月時点)、高精度
の農薬散布によりコスト削減を実現し、150機以上のドローンの運用実績(2023年9月時点)があります。
パーム油産業の労働力不足の解消や作業員の安全確保、生産性の向上に寄与し、産業課題の解消やサステナビリテ
ィに配慮したパーム油の生産支援に寄与しております。収益は主に、農地面積ベースの農薬散布サービスの提供とな
ります。
提供ソリューション
(注28)株式会社グローバルインフォメーション「農業用ドローンの世界市場- 2023-2030」
(注29)アブラヤシの果実から抽出される食用油。食品用や化粧品等様々な商品に幅広く使われている一般的な植物油
(注30)米国農務省(USDA) Palm Oil 2023World Production
① ESG経営の推進
当社グループはインドネシアとマレーシアで農業事業に参入し、持続的な成長とグローバルでの新しい価値提供を
目指し、環境への影響を最小限に抑え、農業労働者の作業負荷を軽減していくことによってESG経営を推進しておりま
す。また、RSPO(Roundtable Sustainable Palm Oil)(注31)の認証を受けている先のみを顧客対象としていることも
ESG経営の考え方を反映しております。
② パーム油市場の成長性
パーム油の生産量は2021年には81百万トンに達し、その生産の約84%を担うのが、インドネシアとマレーシアで
す。今後も、世界の人口増加に伴い、人々の生活を支えるパーム油の需要は増加していくと考えられています。
(注31)持続可能なアブラヤシ製品の成長と使用を促進することを目的として、2004年に設立された非営利組織
(注32)Food and Agriculture Organization of the United Nations, OurWorldInData.org/agricultural-
production CC B
(注33)US Department of Agriculture
③ アブラヤシ栽培において、ドローンによる農薬散布が適している理由
パーム油の原料となるアブラヤシ栽培において、農薬の効果を十分に得るためには、ヤシの実等へ直接散布する
ことが必要となります。手動散布の場合、スプレー散布によりヤシの実等へ直接散布することは可能ですが、少人
数で広範囲を周る必要があるためムラが生じやすいという欠点があります。また、セスナなどの小型飛行機の場合、
上空からの一斉散布となるため十分な散布効果が得られないとされています。一方、ドローンでの散布の場合、噴射
スプレーのアタッチメントがついたドローンで散布を行うことでヤシの実等への直接散布が可能になることに加え、
手動散布と比較してムラなく効率的な散布が可能となります。
散布方法の違いによる特徴の比較
④ 肥料散布事業にも参入
PT. Terra Drone Indonesiaは、2024年3月21日、新規事業として肥料散布事業に参入することを発表しました。パ
ーム油生産大手SinarMasのグループ会社である SMART Tbkと肥料散布事業の新プロジェクトに関する契約に合意して
います。パーム油農園の管理における肥料プロセスのデジタル化と最適化を目指すことで、業務効率を大幅に向上さ
せつつ、環境への影響を軽減します。
[運航管理セグメント]
ドローンの普及や空飛ぶクルマ(UAM : Urban Air Mobility)の実用化が進むことによって、多数の飛行体が低空
域で往来する社会実装に備え、安全で効率的な運航を実現する「空のインフラ」構築を進めております。
1UTM事業
当社の欠かせない事業の一つであるUTM事業において、国内では2022年12月に航空法が改正され、有人地帯における
ドローンの目視外飛行(目視の範囲を超えての飛行)を行える「レベル4」 が認められるようになりました。近年、
ドローンや空飛ぶクルマの利活用は、物流、警備、災害対応など、多岐にわたる分野で注目され、運航管理と安全
対策の重要性が高まっています。
今後、さらに多くのドローンが飛行し混雑が予想される低空域において、目視外飛行における安全確保のために
は、安全な自動車運行のための道路交通環境の整備や、航空機の安全運行のための管制業務のような運航管理システ
ムが必要になってきます。
レベル4飛行でできること(注34)
(注34)https://www.mlit.go.jp/koku/level4/(国土交通省:無人航空機レベル4飛行ポータルサイト)
① UTMの役割
UTMは「無人航空機運航管理システム」と日本語訳され、ドローンの運航を管理するプラットフォームのことを指し
ております。交通インフラの役割は、安全維持と交通の効率性の最適化ですが、自動車の場合、信号や高速道路など
車の動きを管理し、車同士の衝突を避けるために欠かせないインフラがあります。飛行機の場合、管制官や管制塔が
機体を操縦するパイロットを支えています。ドローンも同様、安全な運航を実現するために、高速道路、信号機、交
通規則と同様のインフラストラクチャが必要になると考えられます。
現在、多くの国や地域において、ドローンが飛行する低空域では十分な空域管理がなされておらず、安全の十分性が確保できておりません。今後ドローンが幅広く普及していく世界になることが予想され、目視外飛行(目視の範囲を超えての飛行)を実現した場合、ドローン同士や、ドローンと有人機との衝突を回避する仕組みを作ることで、空の安全を守りながら、ドローンの利活用を効率化していく事業こそ不可欠になると考えております。
従来の航空機には有人のパイロットがいるのに対して、ドローンはデジタル技術と高度なコネクティビティを持
ち、遠隔操作または自動制御による運航も想定されます。そのためUTMは運航管理の自動化とデジタル化を前提に設計
されており、スケーラブル(技術的な柔軟性を持った)なソリューションを提供することが可能となります。これらの
拡張性によって、UTMはフライト数の増加や複雑な空域管理要件に対応できるようになり、中長期では既存の航空交通
管理(ATM:Air Traffic Management)がUTMと融合していくと見られております。(注35)
(注35)参考:https://acubed.airbus.com/a-new-digital-era/
② Unifly NVのUTM導入実績
当社は、世界におけるUTMのリーディングカンパニーであるUnifly NV(本社:ベルギー)が展開するUTMが、業界全
体の発展を支えるインフラとして重要であると考え、当社設立の2016年からわずか9ヶ月以内の2016年11月、同社
(2015年8月創業)への出資を行いました。その後、2023年7月、国土交通省傘下の官民ファンドである株式会社海
外交通・都市開発事業支援機構(略称JOIN)との特別目的会社を通じた共同出資によって当社の連結子会社になってお
ります。
Unifly NVの大株主は、ドイツの航空管制局(Air Navigation Service Provider、以下、ANSP)であるDFS
(Deutsche Flugsicherung GmbH、100%ドイツ政府資本)や、ベルギー政府傘下のファンドSFPI-FPIMであり、Unifly NVは、UTM技術開発のリーディングカンパニーとして、実証やPoCだけではなく国全体への実装レベルの提供を行って
おります。自動承認を含むUTMのオペレーションを提供する企業として、技術力と信頼性が評価され、ドイツ、スペイ
ン、カナダ、ベルギー、ブルガリア、オーストリア、デンマークのANSPへのUTM提供実績を誇り、補助金プロジェクト
であるSESAR(注36)、FAA(アメリカ連邦航空局)やESA(欧州宇宙機関)とのプロジェクトを実施し、累計30以上(2024年1月時点)を推進しております。
現在、UTM検討国はグローバルで42か国存在し、その中でも、有償×民間委託として民間事業者のUTMが「実装済」
または「稼働実績あり」の段階にある国は16か国に及びます。(注37)これら16か国中、63%に該当する10か国が当社
のUTMを採用しており、当社グループはグローバルにおけるUTM業界の発展に貢献しています。
(注36)新世代の航空交通管理システムの開発を目的とした、欧州の航空管制の近代化プログラム
民間UTM事業者の導入実績(注37)
※ UTM実装済/稼働実績あり:実証実験段階の国も含む
※ 1国に複数の事業者が存在する場合は最大シェアの事業者を記載
(注37)SMBC日興証券株式会社の依頼により有償で実施された、UTM関連の規制当局・団体、各種ドローン業界レポ
ート、各ドローン関連企業の公開情報、業界有識者インタビュー等を基にアーサー・ディ・リトル・ジャパン
株式会社作成「UTM(ドローン運航管理システム)グローバル市場調査プロジェクト成果物資料(最終報告書)」
を基に当社作成
③ UTM事業の収益構造
UTM事業の収益は、初期導入料のスポット収益に加え、年間ライセンスや飛行回数に応じた従量課金等のリカーリン
グ収益が主となっております。その他、顧客別要求となる追加開発費用、他システムとの連携等、要求により追加で
機能実装を行うケースがあります。
※現在は「3. 本格運用」までサービス提供しており、「4. 空飛ぶクルマ支援」について提供を保証するものではありません。
④ Aloft Technologies, Inc.への出資
米連邦航空局認定のUAS(注38)サービスプロバイダであり、UTM実装済/稼働実績のある国への導入実績において、
米国の民間UTM事業者における最大シェア(注37)を獲得している、米国UTM業界のリーディングカンパニーとしての
地位を確立しています。
当社グループに参画することで、安全で効率的な運航を実現する空のインフラ構築を加速させ、さらなる企業価値
向上が期待できる為出資に至りました。米国航空大手BoeingのCVCや米国大手保険会社が出資しており、米国において
多数の民間企業及び政府関連機関の顧客を抱えています。
(注38)Unmanned Aerial System (無人航空機システム) の略
⑤ Terra Droneの「グローバルUTMグループ」
欧州航空安全機関(European Union Aviation Safety Agency)やアメリカ連邦航空局(Federal Aviation
Administration)はUTM規制において、世界をリードする可能性を有しております。
そのような環境下において当社は前述の通り、欧州でトップシェアのUTM企業であるUnifly NVを子会社化、米国ト
ップシェアのUTM企業であるAloft Technologies, Inc.に出資し、グローバルにおけるUTM業界の発展に貢献しており
ます。
≪事業系統図≫
(注) 1.最近連結会計年度の情報となっております。
2. 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
3.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
4. Unifly Apsは2024年4月に清算しております。
5.その他1社は2023年4月に新規設立されたUnifly Rotech S.R.Lとなっております。
(注) 1.従業員数は就業人員(当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む。)であります。
2.臨時雇用者数(パートタイマー及び嘱託契約の従業員並びにインターン)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
3.全社(共通)と記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に属しているものであります。
(注) 1.従業員数は就業人員(当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む。)であります。
2.臨時雇用者数(パートタイマー及び嘱託契約の従業員並びにインターン)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
3.全社(共通)と記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に属しているものであります。
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。
提出会社及び連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.Terra Global株式会社は中間持株会社であり従業員数が0名の為、記載を省略しております。
4.海外子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の対象外の為、記載を省略しております。