回次 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
第11期 |
第12期 |
|
決算年月 |
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
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|
|
当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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普通株式 |
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A種優先株式 |
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B種優先株式 |
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C種優先株式 |
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純資産額 |
(千円) |
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|
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
|
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従業員数 |
(名) |
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〔外、平均臨時雇用者数〕 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移は記載しておりません。
2.第8期及び第9期については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」に採択され、FAST-Dの異音検知プラットフォーム開発事業等の研究開発を実施しました。これにより研究開発費が増加したため、経常損失及び当期純損失を計上しております。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
4.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を純資産の部の合計額から控除して算定しており、計算結果はマイナスとなっております。
5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。
6.1株当たり当期純利益については、優先株主に対する優先配当額を当期純利益から控除して算定しております。優先配当額を控除した結果、第10期及び第12期の普通株式に係る当期純利益はゼロとなっております。
7.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、また、第8期及び第9期については1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
8.自己資本利益率については、第8期及び第9期は当期純損失を計上しているため、記載しておりません。
9.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
10.第8期、第9期及び第10期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。
11.第11期の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出のためマイナスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出のためマイナスとなっております。なお、第12期の投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金の差入による支出のためマイナスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出のためマイナスとなっております。
12.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第11期の期首から適用しており、第11期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
13.主要な経営指標等の推移のうち、第8期、第9期及び第10期については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けておりません。
14.前事業年度(第11期)から当事業年度(第12期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。
15.A種優先株主、B種優先株主及びC種優先株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、2024年6月29日付で全ての優先株式を自己株式として取得し、対価として当該優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、その後2024年6月29日付で当該優先株式を消却しております。なお、当社は、2024年7月12日開催の臨時株主総会において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。
16. 当社は、2024年7月12日付で普通株式1株につき2,000株の割合で株式分割を行っており、発行済株式総数は、3,758,000株となっております。第11期の期首に株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
17.従業員数は就業人員数であり、従業員数の〔 〕外書きは、臨時従業員(アルバイト・パートタイム社員を含む。)の年間の平均雇用人数(1日8時間換算)であります。
18.2024年7月12日付で普通株式1株につき2,000株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。なお、第8期、第9期及び第10期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
第11期 |
第12期 |
|
決算年月 |
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
△158.78 |
△255.37 |
△255.37 |
△180.90 |
△145.57 |
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△62.38 |
△96.59 |
- |
42.06 |
- |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 (うち1株当たり中間配当額) |
(円) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
当社は、IT技術のコンサルティング業務を目的として、2012年7月に横浜市神奈川区において創業いたしました。その後、Hmcomm株式会社に社名を変更し、人工知能(AI)の活用により音を可視化しお客様の課題解決のためのサービスを提供も開始いたしました。当社の設立から現在に至るまでの沿革は、以下のとおりであります。
年月 |
概要 |
2012年7月 |
「IT技術のコンサルティング業務」を目的として、H&Mコミュニケーション株式会社(現 Hmcomm株式会社)(資本金1,000千円)設立 |
2014年6月 |
Hmcomm株式会社に社名変更 |
2014年8月 |
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)により「産総研技術移転ベンチャー」認定(※1) |
2015年1月 |
The Voice(Business:法人向け)ライセンス販売開始 |
2016年3月 |
業務報告書自動作成プロダクト「VCRM」をリリース |
2016年3月 |
音声データ自動テキスト化プロダクト「VBox」をリリース |
2016年9月 |
AI音声認識プロダクト「Voice Contact」をリリース |
2017年3月 |
業容拡大に伴い、本社を東京都港区虎ノ門に移転 |
2017年3月 |
音声認識組み込みプロダクト「VRobot」をリリース |
2017年8月 |
総務省関東総合通信局より届出電気通信事業の届出番号を取得 (届出番号:A-29-15948 届出年月日:平成29年8月30日) |
2018年4月 |
ImPACT重介護ゼロ社会を実現する革新的サイバニックシステムにおける、音声認識技術の応用研究へHmcomm株式会社が参画 |
2018年6月 |
「FAST-D β版(異音・環境音検知)」をリリース |
2018年7月 |
業容拡大に伴い、本社を現在地に移転(東京都港区芝大門) |
2018年9月 |
九州地区での業容拡大を目的として、熊本AIラボを開設(熊本市中央区水道町) |
2019年2月 |
東京都、次世代イノベーション創出プロジェクト(研究開発のテーマ:インフラメンテナンスにおける異音検知の開発)に採択 |
2019年4月 |
AI音声自動応答プロダクト「Terry」をリリース |
2019年8月 |
AIコールセンター「VContact Center Lab」本格稼働 |
2019年8月 |
プライバシーマーク(※2)取得 登録番号22000318号 |
2019年10月 |
異音検知プラットフォーム開発事業(FAST-D)がNEDOの「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」に採択 |
2019年11月 |
業容拡大に伴い、熊本AIラボを移転(熊本市中央区桜町) |
2020年1月 |
ISMS(※3)取得 認証番号IS 719254 |
2020年2月 |
「FAST-D」を活用した音による製造業パイプラインのつまり予知・予兆診断システムの開発事業がNEDO(※4)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」に採択 |
2020年10月 |
音声AIによるWeb会議の可視化ツール「ZMEETING」を販売開始 |
2021年6月 |
AI技術等のXI技術を活用し企業のDX推進をサポートするHmcomm.XI事業開始 |
2022年8月 |
異音検知プロダクト「FAST-Dモニタリングエディション」をリリース |
2023年5月 |
有料職業紹介事業許可取得 許可番号 13-ユ-315208 |
[用語解説]
※1.「産総研技術移転ベンチャー」認定
国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究成果を活用した事業を行う企業に対し、産総研から付与される称号のこと。称号を付与された企業は一定期間にわたって、産総研が経営支援(産総研より許諾を受けた特許・プログラム実施、産総研主催の展示会への出展等)を実施。当社認定期間は2014年8月15日~2024年8月14日。
※2.プライバシーマーク
個人情報の保護措置について一定の要件を満たした事業者などの団体に対し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が使用を許諾する登録商標。
※3.ISO/IEC27001(ISMS)
国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が共同で策定する情報セキュリティ規格で、情報資産の保護、利害関係者からの信頼を獲得するための“セキュリティ体制の確保”を目的としたフレームワーク。
※4.NEDO
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称であり、日本のエネルギー・環境分野と産業技術の一端を担う国立研究開発法人。
(1)ミッション
当社は、「音から価値を創出し、革新的サービスを提供することにより社会に貢献する」を経営理念に掲げ、産総研技術移転ベンチャーの獲得を契機に、「音」に着目したAI(※1)の研究・開発を行い、その成果を社会実装することを目指してまいりました。また、当社は社名の由来ともなっているHuman Machine Communicationの実現により、新しい社会を自ら創造することを目指しております。
当社は、創業からAIに関する研究開発を行っており、近年の生成AI(※2)の活用にも可能性があると考えており、生成AIの社会実装に関する知見の共有、ビジネスユースケースの開発、および産学連携による共創の場への参加を目指し一般社団法人Generative AI Japanへの加入等も実施しております。当社としても、生成AIと当社AIプロダクトを摺り合わせて、利用者の利便性向上や工数削減などの取組みを進めております。
(2)当社の特徴と優位性
当社の特徴は、「音」に着目したAIに関する研究開発から製品提供まで、自社内で完結することを目的に、研究開発人材を採用し、またこの独自の研究開発型ビジネスプロセスを実践しているところにあると考えております(全体像は下図に記載)。研究開発型ビジネスプロセスの実践とは、「R&D(※3)初期フェーズ」から始まり「サービス提供運用保守フェーズ」までを順番に実行することを意味しております。当社は創業から現在まで着実にこのプロセスを実践し、「Voice Contact」を始めとする複数のプロダクトを市場に提供しております。
(図1) 研究開発型ビジネスプロセス
「R&D初期フェーズ」においては、2014年8月の産総研技術移転ベンチャー認定取得や、2019年10月と2020年2月の国立研究開発法人の政府予算による複数件の研究開発プロジェクトの採択を通して、音声認識技術や異音検知技術の研究開発を実施してきました。本フェーズにおいては、今後訪れると予測される社会課題の解決につながる研究課題を当社で考え選定したうえで研究を進めてきております。その過程における活動が評価され「NEDO(※4)AIベンチャーコンテスト最優秀賞」、「JEITA(※5)ベンチャー賞」、「大学発ベンチャー表彰 NEDO理事長賞」等を受賞しております。
「R&D初期フェーズ」の研究開発成果を、個別企業の課題解決のために活用し、社会実装へと高める活動として「R&Dプロジェクトフェーズ」においては、資本業務提携を含む当社と密接な関係を有する先との実証実験を推進してまいりました。
「自社製品開発プロダクト化フェーズ」では、個別企業の課題解決の成果から生み出された機能を、多くの企業で必要となる標準的な機能としてまとめ、当社のAIプロダクトとし開発、提供しております。例えば、当社の開発した「Voice Contact」は、リアルタイム音声認識機能に加え、管理者がオペレータの状況をリアルタイムでモニタリングすることができる管理者モニタリング機能や、通話をリアルタイムに音声認識し顧客情報帳票などへ自動で入力する自動帳票入力機能、コールセンターの稼働状況を示すダッシュボード機能等、コールセンター事業者にとって必要な標準的な機能として提供してきました。導入後は「サービス提供保守運用フェーズ」として運用保守を当社では実施しております。
「サービス提供保守運用フェーズ」では、顧客からの製品の設定・使用・動作状況についての技術的質問に関する助言や、当社製品のマイナーバージョンアップデートの提供、製品のソフトウェア障害への対応等を実施しております。また、保守運用フェーズにおける当社製品の導入による業務改善の取組み支援も行っております。Voice Contactの導入顧客に対しては、運用指標レポートの提供と助言や、音声認識精度確認及びチューニング方法の助言等を行っております。KPIレポートについては、例えば待機時間等のいくつかの運用指標からオペレータの業務内容を見直す等の見かたを説明することで、業務効率化・生産性向上を行うためのアドバイスをしております。また、音声認識精度確認及びチューニングとしては、顧客企業にて認識精度を上げたい部分をヒアリングし、通話内容や誤認識の傾向から、効果的なチューニング機能の使用方法や、場合によりオペレータの話し方(滑舌や話す速さ)の変更といったプロダクト機能によらない方法等も含めたアドバイスすることにより、音声認識率の精度向上の支援をしております。当社ではこれらの対応を実施することにより顧客からのクレーム抑止や継続利用につながっているものと考えています。
当社では、これらのビジネスプロセスを複数年にわたり実践することにより、社会課題解決につながる研究実践に加えて、個別企業と密接な提携関係を構築し課題解決を行えていると考えております。その結果、顧客企業や業界課題の理解度の向上、競合他社が簡単には入り込めない信頼関係の構築、課題解決に効果的な機能開発等を実施することができていると当社では認識しており、このビジネスプロセスにより当社ならではの競争優位性を構築できていると考えております。また、自社プロダクトに対しては、上記「自社製品開発プロダクト化フェーズ」で記載した通り、多くの企業で必要となる標準的な機能が実装されていくこととなり、課題解決につながる機能が拡大されていきます。そのため、当社プロダクトが課題解決につながる幅が大きくなっていくことにより、より多くの企業への導入につながるものと考えております。さらに、このビジネスプロセスがスパイラルアップされることで、今後より大きな社会課題の研究や個別企業の課題に取り組む機会を生み、この高度な課題を解決する機会を求めて優秀な人材が集まるという好循環も実現されていると当社では認識しております。
なお、当社では産総研技術移転ベンチャーの称号により、産総研より許諾を受けた特許・プログラムの実施権の活用および、産総研主体の技術展示会への出展等の幅広い経営支援を受けておりましたが、2024年8月14日に称号の使用期限の満了と合わせて本支援活動も終了しております。なお、本支援活動に代わり、当社内にて技術開発人材を採用し「Voice Contact」等の技術開発を継続的に続けていること、展示会出展等も当社独自で実施してきており、本支援活動の終了による当社事業活動への影響はないものと考えております。
(3)当社が展開するサービス及びソリューションの内容
当社では「AI×音」サイエンス事業の単一セグメントとしており、当該事業内でAIプロダクト事業(2023年度売上高比率:69.5%)とAIソリューション事業(2023年度売上高比率:30.5%)を展開しております。AIプロダクト事業は、コンタクトセンター向けAI音声認識プロダクト「Voice Contact」や、AI音声自動応答プロダクト「Terry」、AI議事録自動作成プロダクト「ZMEETING」、異音検知プロダクト「FAST-D」等の自社開発製品・サービスの提供をしております。AIソリューション事業は、AIプロダクト事業で培った技術や知見を基に、AI活用や、顧客のDX(※6)推進等の課題解決をトータルに支援するAI開発・コンサルティングを実施しております。
■AIプロダクト事業
当社では、2015年より「音声認識を民主化し、キーボードレスの新しい社会を自ら創造する」の実現を目指し、音声認識・言語解析プロダクトを開発し、主にコールセンター向けに研究開発型ビジネスプロセスを推進してまいりました。この活動から、「Voice Contact」、「Terry」を開発し市場提供を行っております。また、当社ではコロナ禍におけるリモートワークのDX化推進と「Voice Contact」の社会実装の新たな試みを示すことができると判断し、「ZMEETING」をリリースしております。さらに当社では、次期AIプロダクトを検討する中で、資本提携先の企業との会話の中で「人間の五感に頼っていた機械・設備などの不具合の判断を定量的捉えたい」という企業課題があることを知り、2018年より「すべての機器に聴覚を与える(異音検知)」ことの実現が必要であると判断し、その実現を目指し、異音検知プロダクト「FAST-D」(Flexible Anomaly Sound Training and Detection)の研究・開発を始めて、2018年より市場提供を行っております。なお、当社の各AIプロダクトの市場提供に関しては、当社からの直接販売(2023年度売上高比率:81%)が中心ではありますが、販路拡大を目的に販売代理店(2023年度売上高比率:19%)と協力しての販売も実施しております。なお、販売代理店先としては大企業の子会社が多く当社ではカバーできない販売先の獲得が行えており、コールセンターの顧客では数百席規模の大型案件の獲得も実現しております。そのため、今後も当社でアプローチできない先に関しては販売代理店の活用を継続して行うこととしております。
当社では、個別企業の課題解決の成果から生み出された機能を、多くの企業で必要となる標準的な機能としてまとめることにより当社のAIプロダクトとして提供を行うことにより、多くの顧客で求められる機能を提供することができていると認識しております。また、音に着目したAIプロダクトの開発を会社設立後から継続的に実施し、その知識および経験の長さを評価されていると判断しております。当社ではこれらの理由から当社のプロダクトを選定いただけているものと考えております。
AIプロダクト事業における、当社が提供するプロダクトは以下の表のとおりです。
<当社プロダクト一覧と概要>
プロダクト名 |
概要 |
Voice Contact (AI音声認識プロダクト) |
法人向けにコンタクトセンター向けAI音声認識・自然言語処理を活用したプロダクトとして、1,464ライセンス(2023年度末)の利用があり、以下の機能を提供しています。 1.顧客の音声をリアルタイムにオペレータとカスタマーの会話をテキスト化してモニターに表示 2.顧客との会話のキーワードより最適なFAQ自動表示 3.顧客との会話終了後に会話の内容を生成AIによる自動要約の実施およびFAQの自動作成の実現 4.利用者自身で音声認識率をチューニング可能な自動学習機能を提供 5.生成AIによる自動要約作成や、会話データからのQ&Aの自動作成 |
Terry(AI音声自動応答プロダクト) |
法人向けに音声認識と音声合成、自然言語処理、生成AIを活用し、お客様の電話にAIが回答するサービスとして、223ライセンス(2023年度末)の利用があり、以下のサービスを提供しております。 1.通信販売のコンタクトセンターで、商品申し込みをお客様との会話により注文受付を実現 2.家電量販店の夜間の修理受付対応の実現 3.企業の代表電話に対する代理応答の実現 4.生成AIによるお客様の問い合わせに対する回答の自動作成 |
ZMEETING(AI議事録プロダクト) |
法人および個人向けに業務効率化推進ツールとなり、以下のサービスを提供しております。なお、マーケティング戦略によりライセンス数については非公開とさせていただいております。 1.議事録自動作成 2.メッセージのリアルタイムテキスト化、リアルタイム翻訳 3.生成AIによる自動要約作成 |
FAST-D(異音検知プロダクト) |
法人向けにAI技術者でなくても異音検知用のAIモデル作成とメンテナンスができることを目指し研究・開発を実施し、サブスクリプション型のプロダクトとして、5ライセンス(2023年度末)の利用があり、以下の機能を提供しています。 1.熟練した職人の耳で判断している知見をAIに反映し、工場インフラの異常検知や非破壊検査 2.機械や設備が発する音から、故障時の早期対応や部品交換時期の見極による予防保守や予知保全等 |
「Voice Contact」、「Terry」および「FAST-D」については、製品・サービス提供時に対価を受領しております。また、サービス導入以降は毎月一定額のライセンス費用を対価として受領しております。これらの対価は顧客の要求仕様、利用者数、追加開発の要否などを勘案し個別に決定しております。「ZMEETING」については、毎月の一定額のライセンス費用を対価として受領しております。なお、2023年度AIプロダクトの取引先数(社数)は50社、顧客取引平均単価は10.6百万円(ZMEETINGを除く)となっております。
■AIソリューション事業
2020年に国がDX認定制度の運用を開始すると、企業においてもDX推進が重要視されはじめました。当社においても、顧客の要望が「集めたデジタルのデータをどう活用するか」という次の段階に進んできたと認識しております。また、2022年にChatGPT(※7)に代表される生成AIが登場すると、当社でもこの生成AIの効果的な活用を含めた課題解決が求められてきていると認識しております。
そのため、当社ではAIプロダクト開発事業を通して培った以下4つのノウハウ(XI)を集結し、データの持つ力で新たな社会的価値を創造する「データサイエンス」により企業の課題解決やDX化の推進をトータルにサポートを行うことを目的として、2021年6月より、顧客の持つデータの利活用にかかわる経営課題を分析し、生成AIを活用した課題解決やDX化推進支援を目的にAIソリューション事業を開始しております。
(図2)Hmcomm.XI事業
「XI」とは、当社の造語であり以下4つのノウハウを集結し、データの持つ力で新たな社会的価値を創造する「データサイエンス」により企業のDX推進をトータルにサポートする意味を込めています。
AI:自社プロダクト開発で培ってきたAI(人工知能)技術
BI:自社プロダクトの導入サポートにより蓄えられたBI(ビジネスインテリジェンス)技術
CI:自社プロダクトの導入サポートにより蓄えられたCI(カスタマーインテリジェンス)技術
DI:上記をより効率的に活用するためのDI(データインテグレーション)の知見
当社では、AIプロダクト開発で蓄積されたAI技術、蓄積されたデジタルのデータをビジネスの意思決定に活用するためのデータマイニング(※8)やテキストマイニング(※9)、データ分析等のBI(ビジネスインテリジェンス)技術、お客様の声を分析するVOC(※10)分析技術、サービスやセールスに活用するCI(カスタマーインテリジェンス)技術を保持していると認識しております。さらにこれらを効率的に活用するためのDI(データインテグレーション)のノウハウを提供する必要があると当社では考えAIソリューション事業を開始しております。
事業内容としては顧客の課題に応じてAIの開発受託やコンサルティング業務を提供しており、契約形態としては準委任契約を中心に、一部業務については請負契約を適用しております。当社収益としては、役務提供による対価を受領しております。
当事業の具体例としては、コールセンターを持つ教育分野の事業者との取組みとして、当社がもつ、AI開発の経験から得られた知見を活用し、コールセンターの全体の顧客体験と生産性の大幅な向上に向けた、「Voice Contact」に生成AIを組み合わせたシステム要件のコンサルティングから実際のシステム開発までを事業者とともに推進しております。なお、2023年度AIソリューションのプロジェクト数は49件、顧客取引平均単価は5.0百万円となっております。
今後も当社ではAIプロダクト事業で培った技術力を武器としてAIソリューション事業を着実にすすめてまいります。また、本事業の顧客との課題解決活動を通して当社の信頼感を高めるとともに、技術力を感じていただくことで、同社のプロダクト製品の導入などにつながる活動を推進し事業拡大を図れるように努めてまいります。
(4)具体例
当社プロダクトを活用した具体的な取組みの事例は以下となります。
顧客業種 |
取組内容 |
想定する効果 |
コンタクトセンター |
「Voice Contact」と生成AIを用いた次世代型コンタクトセンターの確立 |
コンタクトセンター全体の顧客体験と生産性の大幅な向上 |
化粧品 |
「Voice Contact」の自動帳票入力機能を導入し、顧客との会話内容を自動入力。 顧客との受電対応後の帳票入力業務を約80%削減(ユーザーヒアリングより) |
電話対応業務の効率化、オペレータの作業負荷低減 |
通販 |
「Terry」を導入し、電話による注文受付業務の自動化対応。 受電注文の約80%を自動化にて対応(ユーザーヒアリングより) |
電話対応業務効率化、オペレータの省人化 |
教育 |
「Terry」を導入し、本人確認業務の自動化対応。 全ユーザーのうち約30%の本人確認業務を自動化にて対応(ユーザーヒアリングより) |
確認業務の効率化、オペレータの作業負荷低減 |
インフラ |
「FAST-D」導入し、設備の動作音から正常と異音を判断。 顧客との実証実験により排水ポンプの動作音から異音を検知(実証実験結果より)。 |
故障の早期発見、メンテナンス業務の非属人化の実現性 |
鉄道 |
「FAST-D」を活用し、列車走行中の音からレールのゆがみ検知を目的に、レールの異常な継ぎ目を検知するAIの開発。 レールの異常な継ぎ目判定にて異常検知性能70%を確認。(実証実験結果より)。 |
異常の早期発見、異常検知の効率化 |
畜産 |
「FAST-D」の技術を活用した養豚現場における咳や発情状況などを音から検知するシステムの研究・開発。 |
少人数の効果的な畜産業務 |
以上を踏まえた当社の事業系統図は、次のとおりであります。
(図3)事業系統図
[用語解説]
注釈番号 |
用語 |
用語の定義 |
※1 |
AI |
Artificial Intelligenceの略称であり、コンピューターで、記憶・推論・判断・学習など、人間の知的機能を代行できるようにモデル化されたソフトウエア・システムのこと |
※2 |
生成AI |
あらかじめ学習したデータをもとに、画像や文章、動画などを新たに作成するAIの総称のこと。ジェネレーティブAIともいわれる |
※3 |
R&D |
Research and Developmentの略称であり、研究開発活動を行うこと |
※4 |
NEDO |
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称 |
※5 |
JEITA |
一般社団法人電子情報技術産業協会の略称 |
※6 |
DX(デジタルトランスフォーメーション) |
データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること |
※7 |
ChatGPT |
OpenAI社が2022年11月から提供を開始した、会話型の文章生成を可能とする生成AI |
※8 |
データマイニング |
構造化された膨大な量のデータ(ビッグデータ)に、統計学や人工知能(AI)、パターン認識などの技法を網羅的に適用することで有益な情報を取り出す技術のこと |
※9 |
テキストマイニング |
大量の文章データ(テキストデータ)から、自然言語解析の手法を使って、文章を単語(名詞、動詞、形容詞等)に分割し、それらの出現頻度や相関関係を分析することで有益な情報を抽出する技術のこと |
※10 |
VOC |
Voice of Customerの略称。顧客の声のことを言う。評価、苦情、要望、問合せなどがその代表的なもの |
該当事項はありません。
(1)提出会社の状況
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2024年8月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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〔 |
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(注)1.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除く。)、臨時従業員数(アルバイト・パートタイム社員を含む。)は、〔 〕内に最近1年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は「AI×音」サイエンス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(2)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休
業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象で
はないため、記載を省略しております。