第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第7期

決算年月

2023年3月

売上高

(千円)

1,833,900

経常損失(△)

(千円)

166,976

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

121,928

包括利益

(千円)

121,928

純資産額

(千円)

641,882

総資産額

(千円)

1,255,426

1株当たり純資産額

(円)

234.03

1株当たり当期純損失(△)

(円)

45.27

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

51.1

自己資本利益率

(%)

19.0

株価収益率

(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

154,403

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

306,992

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

314,109

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

196,323

従業員数

〔ほか、平均臨時雇用人員〕

(名)

90

49

 

(注) 1.当社は、2022年7月に株式会社RiLi(現連結子会社)の全株式を取得したことから、第7期より連結財務諸表を作成しております。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

3.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

4.従業員数は就業人員(休職者を除く)であり、臨時雇用者数(契約社員、アルバイト)は年間平均人員数を〔〕内に外数で記載しております。

5.第7期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。

6.2024年1月16日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っておりますが、第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失(△)を算定しております。

7.第7期の営業活動によるキャッシュ・フローについては、事業拡大に向けた人材採用、先行投資等により費用が増加し、経常損失及び当期純損失となり、キャッシュ・フローがマイナスとなっております。

8.第7期の投資活動によるキャッシュ・フローについては、RiLi社子会社化のための株式取得による支出等によりキャッシュ・フローがマイナスとなっております。

9.第7期の財務活動によるキャッシュ・フローについては、新株発行によりキャッシュ・フローが大幅にプラスとなっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第3期

第4期

第5期

第6期

第7期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

128,806

5,434

374,248

990,956

1,474,309

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

1,442

976

111,829

84,312

125,633

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

1,152

692

303,072

88,620

98,280

資本金

(千円)

86,604

111,604

111,604

344,085

100,000

発行済株式総数

(株)

218,278

225,554

225,554

251,946

273,909

純資産額

(千円)

154,654

222,417

80,655

296,540

665,530

総資産額

(千円)

197,281

328,337

169,228

583,018

1,156,819

1株当たり純資産額

(円)

708.52

986.09

357.59

117.70

242.66

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

5.71

3.14

1,343.68

38.08

36.49

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

78.4

67.7

50.7

57.5

自己資本利益率

(%)

1.1

0.4

82.4

20.5

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

89,528

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

55,426

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

444,405

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

344,686

従業員数

〔ほか、平均臨時雇用人員〕

(名)

16

0

41

63

80

29

0

40

35

29

 

(注) 1.第3期の各数値は、2016年4月1日に設立された株式会社ライスカレー製作所(現 株式会社ライスカレー)単体の経営成績を記載しております。

2.第4期の各数値は、2019年4月1日に設立された株式会社ライスカレー製作所の持株会社である、株式会社SUIRIN HOLDINGS(現 株式会社ライスカレー)単体の経営成績を記載しております。第5期以降の各数値には、子会社であった株式会社ライスカレー製作所及びマークドバイ株式会社の吸収合併により2020年9月1日をもって引き継いだ事業の同日以降の経営成績等が含まれております。

3.事業拡大に向けた人材採用、先行投資等による費用の増加により、第5期から第7期は経常損失及び当期純損失を計上いたしました。

4.第5期は、2020年9月1日に行われた株式会社ライスカレー製作所及びマークドバイ株式会社の吸収合併により、抱き合わせ株式消滅差損、合併費用等の多額の特別損失が発生しております。

5.1株当たり配当額及び配当性向は、配当を実施していないため記載しておりません。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第3期は潜在株式が存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、第4期、第5期、第6期及び第7期に潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

7.第5期の自己資本比率は、自己資本がマイナスであるため記載しておりません。

8.第5期の自己資本利益率は、自己資本がマイナスであるため記載しておりません。

9.株価収益率については、当社株式が非上場であるため、記載しておりません。

10.第3期、第4期及び第5期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに関する各項目については記載しておりません。また、当社は第7期より連結財務諸表を作成しているため、第7期のキャッシュ・フローに関する各項目については記載しておりません。

11.第6期の営業活動によるキャッシュ・フローについては、事業拡大に向けた人材採用、先行投資等により費用が増加し、経常損失及び当期純損失となり、キャッシュ・フローがマイナスとなっております。

12.第6期の投資活動によるキャッシュ・フローについては、本社移転に伴う敷金差入等の影響から投資キャッシュ・フローがマイナスとなっております。

13.第6期の財務活動によるキャッシュ・フローについては、2021年6月30日付及び2022年3月31日付で第三者割当増資を行ったことにより、キャッシュ・フローが大幅にプラスとなっております。

14.従業員は就業人員(休職者を除く)の合計であり、臨時雇用者数(契約社員、アルバイト)は年間平均人員数を〔〕内に外数で記載しております。なお、第4期の従業員数は、株式会社SUIRIN HOLDINGS(現株式会社ライスカレー)の従業員数を記載しております。

15.第6期及び第7期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりますが、第3期、第4期及び第5期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、当該数値については金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査は受けておりません。

16.2024年1月16日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っておりますが、第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)を算定しております。

17.2024年1月16日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下の通りとなります。
なお、第3期、第4期及び第5期の数値については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第3期

第4期

第5期

第6期

第7期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

1株当たり純資産額

(円)

70.85

98.61

△35.76

117.70

242.66

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

0.57

△0.31

△134.37

△38.08

△36.49

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

 

 

2 【沿革】

提出会社は、2016年4月に東京都渋谷区においてコミュニティデータプラットフォーム事業を展開するために、現在の株式会社ライスカレーの前身である株式会社ライスカレー製作所を設立いたしました。

 

会社設立時から現在に至るまでの主な変遷は、次の通りであります。

年月

概要

2016年4月

東京都渋谷区に株式会社ライスカレー製作所設立

 

ハイブリッド型Instagramアカウント運用サービス『オードブル』の提供を開始

2016年8月

Instagram画像解析サービス『Alchemy(アルケミー)』の提供を開始

2016年12月

住まい・暮らし系コミュニティ『シンプルホーム』の運用を開始

2017年12月

インフルエンサープロデュースブランドの立ち上げ、運用を支援するマークドバイ株式会社を子会社として設立

2018年6月

Instagram購買促進サービス『インフルエンサー for Shop Now』の提供を開始

2019年3月

東京都渋谷区のアシジ神泉ビルに本店移転

2019年4月

株式会社SUIRIN HOLDINGSに社名変更

 

同名の株式会社ライスカレー製作所を設立し完全子会社化

2019年5月

韓国情報コミュニティ『Honeycomb-KOREA-(ハニカムコリア)』の運用を開始

2020年3月

美容情報コミュニティ『MiiLabo(ミーラボ)』の運用を開始

2020年6月

SNSマーケティングツール『Buffet(ビュッフェ)』提供開始

2020年9月

株式会社SUIRIN HOLDINGSに株式会社ライスカレー製作所、マークドバイ株式会社を吸収合併

 

株式会社SUIRIN HOLDINGSから株式会社ライスカレーへ社名変更

2021年7月

コミュニティブランド『MiiS(ミ―ズ)』オープン

2021年8月

『Buffet』をSNSコミュニティ集客ツール『アドスタ』にフルリニューアル

2021年12月

東京都渋谷区の渋谷マークシティに本店移転

2022年4月

コミュニティデータマネジメントツールの開発力向上を目的として、株式会社パスチャーの全株式を取得して完全子会社化、その後株式会社ライスカレーへと吸収合併

2022年7月

コミュニティプラットフォーム事業の拡大を目的として、株式会社RiLiの全株式を取得して完全子会社化

2022年12月

コミュニティデータマネジメントツールを統合した『CCXcloud(シーシーエックスクラウド)』シリーズをリリース

 

コミュニティブランド『HICAT(ハイキャット)』オープン

2023年10月

『CCXcloud』シリーズ利用社数累計5,000社突破

 

 

 

[当社グループ統廃合の詳細]

当社は2016年4月に株式会社ライスカレー製作所として設立後、インフルエンサープロデュースブランドの立ち上げ、運用を支援するマークドバイ株式会社を子会社として設立いたしました。

その後、事業ドメインの拡大に合わせて事業ごとにコンパクトな経営の意思決定をしていくべくホールディングスによる子会社運営を進め、2019年4月に社名を株式会社SUIRIN HOLDINGSに変更し、同名で新たに設立した株式会社ライスカレー製作所の100%株主となりました。

 

さらに、コミュニティデータを起点に一つの事業に整理していく方向性の中で、経営体制をコンパクトに戻す方が経営戦略上有効と考え、ホールディングス体制から元に戻す判断をし、2020年9月に株式会社SUIRIN HOLDINGSに株式会社ライスカレー製作所及びマークドバイ株式会社を吸収合併し、社名を株式会社ライスカレーへ変更いたしました。

2022年4月にはコミュニティデータマネジメントツールの開発力向上を目的として、株式会社パスチャーの株式を100%取得、子会社化した後に吸収合併いたしました。さらに、2022年7月にコミュニティデータプラットフォーム事業の拡大を目的として、株式会社RiLiの全株式を取得して完全子会社化いたしました。

 


 

3 【事業の内容】

(1) ミッション及びビジョン

当社グループは、「誰もが、ありのままに一歩ふみ出せる場所づくりを。」をミッションとして掲げ、コミュニティデータプラットフォーム事業※1、※2の展開を通じて「コミュニティデータプラットフォーマーとしての地位を確立し、さまざまなコミュニティから収集されたデータの活用を通じて多様化する社会のニーズに沿った事業を創出し、多様な価値観による経済活動に主導された持続可能な社会を実現すること」を経営目標としております。そのために、データを基盤に社会の多様な価値観やニーズ、想いに応える事業を創り続けるべく「次の時代のコミュニティを創っていく。」というビジョンを掲げております。

※1 コミュニティ:特定の共通した価値観や興味関心を持つ人々の集まり。

※2 コミュニティデータ:SNSをはじめとした消費者のデジタル上の情報発信から得られる、市場ニーズや消費者インサイトなど、付加価値の高い独自データ。

 

(2) 市場分析と事業展開の背景

当社グループは当社(株式会社ライスカレー)及び連結子会社1社(株式会社RiLi)により構成されており、インターネットコミュニティ領域※1において事業を展開しています。

当社グループが事業を展開するインターネットコミュニティ領域においては、個人の滞在時間が大幅な増加傾向にあります。総務省情報通信政策研究所の「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、いわゆるZ世代やミレニアル世代と呼ばれる、10代や20代においては、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降の個人の可処分時間増のうち、「動画投稿・共有サービスを見る」や「ソーシャルメディアを見る・書く」といったインターネットコミュニティ領域に、最も多くの時間が配分されたと調査されました。

また、それに伴い、財・サービスの提供者である企業は、この変化に適応するため、広告資源のインターネット領域への配分を拡大させています。さらに、従来は消費者であった個人が、供給者側に回る例(CtoC※2)も、個人の利用が可能なECプラットフォーム等の発展により拡大しています。

当社グループは、上記の大きなトレンドを踏まえ、消費者が今後より一層インターネットコミュニティ領域の中での消費行動を拡大していくと考え、コミュニティデータを起点として経済の場を生み出すコミュニティデータプラットフォーム事業を展開しております。

※1 インターネットコミュニティ領域:SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をはじめとしたインターネットのアプリケーションを通じて共通の関心分野、価値観や目的を持った利用者が集まって持続的に相互作用する場。

※2 CtoC:Consumer to Consumerの略。日本語では「個人間取引」を指し、消費者が消費者に対して商品の販売やサービスの提供をするビジネスモデル。

 

(3) 当社グループの事業内容

当社グループはコミュニティデータプラットフォーム事業のみの単一セグメントであり、自社開発をしたコミュニティデータマネジメントツール群であるデータクラウドを基盤として、企業向けにサービスを提供するエンタープライズ領域と、一般消費者向けにブランドやサービスを提供するコンシューマ領域を展開しております。

はじめに、事業基盤としてデータクラウド『CCXcloud』シリーズによって蓄積・分析された、SNSをはじめとするコミュニティに関連する資産、すなわちデータアセット(コミュニティデータ)が当社グループの事業の特徴として挙げられます。

『CCXcloud』にはSNSをはじめとしたコミュニティから取得できるマーケティングデータやユーザーのインサイト※1、そしてEC等の購買データなど多様なコミュニティデータの蓄積・分析が可能となっており、当社グループが主にインターネット上で自社運営しているコミュニティ(自社コミュニティ)及び当社グループが支援する顧客のコミュニティには全て『CCXcloud』を導入しております。

 

 

[事業構成図]


(注) SMB:Small and Medium-sized Businessの略で、中小・中堅企業を指す。

 

当社グループは自社コミュニティとしてさまざまなテーマ、年齢層に向けたメディアコミュニティやクリエイター※2コミュニティを運営しており、累計400万人を超えるコミュニティ規模となっています(2024年3月31日時点)。それらの自社コミュニティより生まれ、『CCXcloud』に蓄積したコミュニティデータをもとに、一般消費者向けにさまざまなコミュニティブランドをはじめとした各種サービスを展開しています。また、『CCXcloud』に蓄積されたコミュニティデータから生み出されたマーケティングソリューションを顧客に提供する、コミュニティマーケティング関連サービスを展開しています。

『CCXcloud』には、SNSフォロワー数※310.2億ユーザー、SNSリアクション数※449.4億回、連携アカウント数※512,762アカウント(2024年3月時点)のコミュニティデータが蓄積されており、コミュニティデータプラットフォームとしての規模を拡大し続けております。

さらに、『CCXcloud』はジェネレーティブAI(生成AI)※6を活用したリコメンド(おすすめ)機能をはじめとした先進的な技術を取り入れております。

上述の通り、当社グループはエンタープライズ領域とコンシューマ領域の両軸でデータドリブン※7でのコミュニティデータプラットフォーム事業に取り組んでおり、この事業展開並びに『CCXcloud』へのコミュニティデータの蓄積こそが当社グループならではの強みとなります。

※1 ユーザーのインサイト:ユーザー自身も認識していない隠れたニーズや本音。

※2 クリエイター:世間や流行に大きな影響を持つ人(=インフルエンサー)やタレント、Youtuberなどコンテンツを発信している人。

※3 SNSフォロワー数: 『CCXcloud』 の構成ツールの一つであるSNS分析ツール『CCXsocial』においてデータを連携して取得しているSNSアカウントのフォロワー総数。

 

※4 SNSリアクション数: 『CCXcloud』 の構成ツールの一つであるSNS分析ツール『CCXsocial』においてデータを連携して取得しているSNSアカウントに対するフォロワーからのリアクションデータの総数(いいね、保存、コメント等)。

※5 連携アカウント数:自社開発をしたコミュニティデータマネジメントツール群であるデータクラウド『CCXcloud』の主要ツールである、『CCXsocial』の累計データ連携アカウント数及び『アドスタ byCCXcloud』の累計広告配信アカウント数を足し合わせたもの。

※6 ジェネレーティブAI(生成AI):コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的及び現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習方法。既存のAIと違い、AI自身がコンテンツ等を生成できる。

※7 データドリブン:収集したデータを分析し、意思決定や企画の立案に役立てていく方法。

 

[コミュニティデータとは]

 

以下では主にコミュニティデータプラットフォーム事業を構成する2つの事業領域(①エンタープライズ領域、②コンシューマ領域)について詳細に説明します。

 

① エンタープライズ領域

当社グループで展開するエンタープライズ領域は、まず顧客(クライアント企業)が主にオンライン上で運営するSNSを中心としたコミュニティに関連する運用、マーケティング、広告、キャンペーン企画等の戦略立案及び実行を総合的に支援する各種ソリューションを提供するマーケティング・DX※1と、次にSNS分析ツール『CCXsocial』や中小企業向けSNSコミュニティ集客ツール『アドスタ byCCXcloud』等から構成されるコミュニティデータマネジメントツール群である『CCXcloud』を提供するデータクラウドから成り立っております。

 

マーケティング・DXは『CCXcloud』に蓄積される社内外の幅広いコミュニティデータの収集・分析に基づいた一気通貫したマーケティングソリューションであることが特徴です。SNS運用代行、インフルエンサーPR、デジタル広告、WEB制作といった幅広いソリューションの提供を行っています。SNSへの企業の関心が高まり、企業のSNSをはじめとしたデジタルマーケティング予算が拡大する昨今において需要が高まっております。また、当社グループが提供するデータドリブンのSNSコミュニティ運用手法は顧客から高く評価され、単発的なキャンペーン施策やインフルエンサーキャスティング施策の提供などとは異なり、クライアント企業の中長期的な企業価値向上につながる本質的な支援を行っております。結果、当社は継続性の高い取引を実現しており、2024年3月期における取引※2においては、12ヶ月のうち6ヶ月以上取引のあったクライアント企業数は全クライアント企業数の50.3%を占めており、3ヶ月~5ヶ月取引のあったクライアント企業割合は23.0%、1ヶ月~2ヶ月取引のあったクライアント企業割合は26.7%となりました。また、SNSを中心としたマーケティングの上流から下流まで幅広いソリューションを提供していることから、大手企業が求める総合的なマーケティング支援を直接行うことができるため、2024年3月期の主要な取引※3における代理店を挟まない直接取引を行う顧客数割合は60.0%、1,000億円以上の売上規模※4を持つ顧客企業が全体の33.3%となりました。さらに、コンシューマ領域において提供している自社のブランド・サービスから得られるマーケティングに関するデータやノウハウを活用することで、より質の高いソリューションの提供を実現しています。

 

データクラウドにて展開している『CCXcloud』は、SNSを中心としたさまざまなコミュニティデータを取得・統合管理できるデータマネジメントツール群です。SNS分析ツール『CCXsocial』は、当社の運営するブランド・サービスやメディア、当社顧客など当社が関わるSNSコミュニティに無料で提供され、当社のSNS分析に関する基盤としての役割を果たしています。2024年3月期末には前期末と比較して累計契約アカウント数※5は578.0%増加しました。また、SNSコミュニティ集客ツール『アドスタ byCCXcloud』は、SNS広告を中心としたインターネット広告配信による集客ができるサービスです。インターネット広告業界で慣習的に設定されている配信金額の下限を廃止して低予算から広告を簡単に配信することを可能にしたツールです。低予算から広告を配信することが可能になったため、中小企業を中心にサービスの利用が拡大しており、2024年3月期末には前期末と比較して累計広告アカウント数※6が307.9%増加しました。

※1 DX:「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、デジタル技術によってビジネスや社会、ライフスタイルを変革することを指す。

※2 ただし、2024年2月以降の新規獲得クライアント企業については除く。

※3 2024年3月期通期のエンタープライズ領域のマーケティング・DXに関するソリューション提供に起因する売上高の約80%を占める取引先企業45社のうちの取引形態の比率。

※4 売上規模については2024年3月末時点における各社直前通期決算の数値に基づく。

※5 『CCXsocial』に契約しているアカウント数の累計について、2023年3月末時点と2024年3月末時点を比較したもの。

※6 『アドスタ byCCXcloud』を通じて広告配信を行ったアカウント数の累計について、2023年3月末時点と2024年3月末時点を比較したもの。

 

[マーケティング・DX関連のソリューション]

(注) 1.LPO:Landing Page Optimizationの略で、「LP(ランディングページ)最適化」を指す。 製品・サービスの紹介から購入までを一つのページにまとめたLPの内容を、ユーザーのニーズに合わせて改善すること。

2.プロコミュニティs IF:当社の提供する、特定のコミュニティに特化してインフルエンサーや質の高い一般ユーザーを集めた「インフルエンサー・エージェンシー」の総称。IFはインフルエンサーを指す。

3.プロコミュニティs UG:UGはUser Generatedの略で、質の高い一般ユーザーにより生み出させるSNS上の投稿のことを指す。

 

 

[データクラウド関連サービス]

 

② コンシューマ領域

当社グループは、『CCXcloud』へ蓄積されたコミュニティデータとノウハウを基に、消費者に対して価値あるサービスを提供する事業領域をコンシューマ領域としており、主力ブランドの『MiiS』や『RiLi』のほか、3つのコミュニティブランド・5つのコミュニティメディアを運営しております。

コミュニティブランド『MiiS』の場合、オーラル美容をコンセプトに、SNSなどをはじめとした美容関連コミュニティでの販売促進活動を行っております。さらには、自ら購入した『MiiS』商品を自身のSNSで紹介しているようなMiiS愛好インフルエンサー※1がアンバサダーとしてオーラル美容そのものの普及やホワイトニング歯磨きジェルなどの商品の販売に努めています。また、店舗での卸売販売、さらには『MiiS』のブランディング力を活用したデンタルクリニックのプロデュースをはじめとしたオフラインでのサービス提供まで行っております。

子会社で運営するコミュニティブランド『RiLi』の場合、Z世代※2向けのSNS映え※3ファッションをコンセプトに、アパレル商品の販売を行っております。『RiLi』に関しても『MiiS』同様に、RiLi愛好インフルエンサー※4がアンバサダーとして『RiLi』ブランドの普及に努めております。

さらに、コミュニティブランド『HICAT』の場合、ゲームなどのサブカルチャーを好む消費者層を対象に、カフェインレスのエナジードリンク『HICAT Hi-ENERGY』の販売を行っております。また、ブランドの世界観を体現するVTuber※5のプロデュース、タイアップ商品の開発を行い、『HICAT』ブランドの普及に努めております。

また、こうしたブランド開発を通じて得られた知見はエンタープライズ領域にも還元しており、新たなソリューションの開発や既存ソリューションの改善はもちろん、顧客やリード企業向けのセミナーに自社ブランド担当者が登壇するなど、営業における連携も行っております。

今後もコミュニティデータを活用した熱量の高いコミュニティブランドの持続可能な成長や新しいコミュニティブランドの創出に継続的に挑戦していきます。

※1 MiiS愛好インフルエンサー:実際に『MiiS』の商品を利用している、SNS等で多くのフォロワー(ファン)を保持している人物のこと。

※2 Z世代:1990年代後半から2010年代に生まれた世代のこと。

※3 SNS映え(ばえ):SNSユーザーが好む、写真に映えるような風景・人・モノのこと。

※4 RiLi愛好インフルエンサー:実際に『RiLi』の商品を利用している、SNS等で多くのフォロワー(ファン)を保持している人物のこと。

※5 VTuber:「Virtual Youtuber」の略語であり、動画配信サービスYouTube上で本人ではなく2D又は3Dのキャラクターを使って活動している人物のこと。

 

[オーラル美容ブランド『MiiS』のケース]

当社のオーラル美容ブランド『MiiS』の商品開発においては、開発初期に、美容関連の自社メディアやインフルエンサーを通じて、消費者の課題やニーズに関するデータを収集・分析することで、美容コミュニティにある「オーラルケア×美容」というニーズと商品のマーケットポテンシャルを検証しました。これにより、ブランドの収益可能性が見込めるという示唆を得ることができたことに加え、パッケージデザインやコピーなどの具体的な方向性についても定量的に判断することが可能になりました。

こうしたコミュニティデータを活用したブランドの展開は加速しており、「ホワイティエッセンス(歯の美容液)」を中心に自社ECや海外EC、モールEC、卸店舗、さらにはデンタルクリニックのプロデュースも行うなど、多様な販路を通じた収益化にも成功しております。


 

 

[ブランド・サービス一覧と収益化手法]

当社グループは特定の分野に絞られない再現性のあるブランド・サービスの展開を目指しています。例えば『MiiLabo』や『RiLi.tokyo』など、自社SNSメディアを通じて収集されたコミュニティデータは、オーラル美容ブランド『MiiS』や、Z世代など若年層コミュニティを抱えるアパレルブランド『RiLi』などの運営に活用されており、商品開発・マーケティングに関するノウハウの共通化に貢献しております。

当社グループは自社で提供する複数のブランド・サービスにおいて、共通したデータ分析基盤やブランド管理体制を整えており、『RiLi』のようにM&Aを通じた当社グループへの参画も実現しております。


(注) 1.IPやメディアの知名度を活かした、商品企画やPRに関するコラボレーションによるマネタイズ。

2.メディアへの広告出稿など、委託型のタイアップによるマネタイズ。

3.サービスの利用顧客数、フォロワー数を含む、コミュニティ内のユーザー数(2024年3月31日時点)。

4.大手バラエティストアへの卸売とクリニックの開業支援による。

5.期間限定のPOPUPストアや、卸売による他社運営店舗を含む。

6.大手バラエティストアやドラッグストアへの卸売。

 

 

[事業系統図]

データクラウドである『CCXcloud』を基盤に、企業から一般消費者まで、SNS上の消費活動・情報発信に関する横断的なデータを蓄積。データから導かれる多様なインサイトを軸に、エンタープライズ・コンシューマ領域において相互にシナジーを発揮した事業成長を実現し、競合優位性を構築しています。


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社RiLi (注2、4)

東京都渋谷区

50,500

コミュニティデータプラットフォーム事業

100.0

役員の兼任3名

メディア取引

コーポレート業務の委託

 

(注) 1.「主要な事業の内容」には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.特定子会社であります。

3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

4.株式会社RiLiは、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。同社の2023年3月期の主要な損益情報等は以下の通りとなります。

主要な損益情報等 ① 売上高       354百万円

② 経常利益    △26百万円

③ 当期純利益  △8百万円

④ 純資産額      14百万円

⑤ 総資産額     137百万円

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年4月30日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

コミュニティデータプラットフォーム事業

88

38

合計

88

38

 

(注) 1.当社グループはコミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

2.従業員数は就業人員(休職者を除く)であり、臨時雇用者数(契約社員、アルバイト)は、年間平均人員数を〔〕内に外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年4月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

81

30

31.8

3.32

4,576

 

(注) 1.当社はコミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

2.従業員数は就業人員(休職者を除く)であり、臨時雇用者数(契約社員、アルバイト)は、年間平均人員数を〔〕内に外数で記載しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

②連結子会社

連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。