(はじめに)
当社の代表取締役CEOである北井正志は、2000年1月に大阪市西区南堀江にて「きたい動物病院」を開院した後、株式会社大冬希、株式会社Vパワーを設立し動物病院事業を拡大して参りました。2018年頃に更なる事業拡大に向けた方策を検討していたところ、動物病院のグループ化を進めていたJVCC株式会社グループ及び同社への出資ファンドを運営するJ-STAR株式会社より統合の提案を受け、協議を重ねた結果、共同して動物病院のグループ化を進めることが事業展開を更に加速し、ひいては動物病院業界の発展に貢献するとの当社ビジョンの実現に資すると判断したことから、統合を進めることといたしました。
当該統合を進めるにあたり、2019年4月にJ-STAR株式会社の組成する投資ファンド等により、株式会社WOLVES Hand(現:当社)を新会社として設立し、株式会社大冬希及び株式会社Vパワー並びにJVCCグループ各社を順次子会社化しながら、別途検討中のM&A等を進めることといたしました。
当社設立の後、2019年5月に株式会社大冬希及び株式会社Vパワーの株式を取得、続く2019年6月にはJ-STARサイドが別途グループ化に向けて交渉を進めていた株式会社ベイサイドアニマルクリニックの株式100%を取得し、その後、各社を消滅会社とする吸収合併を行っております。
また、統合提案時点で既にJ-STAR傘下にあったJVCCグループについても、2019年10月に吸収合併し、続く2020年1月に当該合併により子会社となっていたJVCC動物病院グループ株式会社を吸収合併しております。
当社は、これらの経営統合を進めながら、2019年8月には本社を大阪市西区に移転し、ペットサロンの運営、動物病院向けソフトウエアの提供、獣医療教育セミナーの配信、医療用機械器具の製造・販売など事業を拡大させて参りました。
レバレッジド・バイアウト(以下「LBO(注1)」という)について
当社は、株式会社大冬希、株式会社Vパワー及び株式会社ベイサイドアニマルクリニックの株式取得にあたり、取得資金を調達するために、株式会社りそな銀行からの借入によるLBOを実施いたしました。LBOに伴う借入金は当初3,080,000千円でありましたが、返済を進めた結果、2024年3月31日現在の残高は1,461,697千円となっております。また、LBOに伴い発生したのれんは当初4,215,817千円でありましたが、再編・経営統合のプロセスの中で生じたコスト増加等に起因する当初計画からの乖離をのれんの評価に反映したことによる減損損失の認識(2020年6月期において2,054,303千円)及び償却による減少により、2024年3月31日現在ののれんの残高は1,369,529千円となっております。
なお、LBO実施後における企業経営の健全性の観点からガバナンス体制の強化のため、2020年9月の定時株主総会において監査等委員会に移行するとともに、2024年1月より取締役会の役員構成について社外取締役の比率を半数(注2)にしております。
また、2023年7月に任意の指名・報酬委員会を設置し、経営陣並びに社外取締役の構成、取締役の個別報酬の基本方針、報酬制度の設計について協議する等、さらなるガバナンスの強化に努めております。
(注1)M&Aの手法のひとつで、一定の営業キャッシュ・フローを生み出す企業・事業を金融機関等の借入金を活用して取得するスキームのこと。
(注2)取締役10名のうち社外取締役5名(うち社外監査等委員3名)
回次 |
第4期 |
第5期 |
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決算年月 |
2022年6月 |
2023年6月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
(千円) |
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包括利益 |
(千円) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益 |
(円) |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(名) |
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|
〔ほか、平均臨時雇用人員〕 |
〔 |
〔 |
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。
2.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
3.第4期及び第5期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。
4.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数を〔 〕外数で記載しております。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
第5期 |
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決算年月 |
2019年12月 |
2020年6月 |
2021年6月 |
2022年6月 |
2023年6月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
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△ |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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普通株式 |
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A種種類株式 |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
|
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(名) |
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〔ほか、平均臨時雇用人員〕 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
〔 |
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。
2.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
3.第4期及び第5期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。
なお、第1期、第2期及び第3期の財務諸表については「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。
4.当社は、2019年4月4日設立のため、第1期は、2019年4月4日から2019年12月31日までとなっております。
5.第2期は、決算期(事業年度の末日)を12月31日から6月30日に変更しており、2020年1月1日から2020年6月30日までの6ヶ月間の変則決算となっております。
6.第2期の当期純損失は、主に、のれんの減損損失の計上を行ったことによるものであります。
7.第2期の自己資本利益率については、当期純損失のため記載しておりません。
8.当社は2019年9月29日付けで株式1株につき1株の株式無償割当てを行っておりますが、第1期の期首に当該株式無償割当てが行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。
9.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数を〔 〕外数で記載しております。
10.2024年1月30日開催の取締役会において、A種種類株式のすべてについて、定款に定める取得条項に基づき取得することを決議し、2024年2月14日付で自己株式として取得し、その対価としてA種種類株式1株につき、普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種種類株式のすべてについて、会社法第178条に基づき同日付で消却しております。なお、当社は2024年2月15日開催の臨時株主総会において、A種種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。
当社の代表取締役CEOである北井正志は、2000年1月に大阪市西区南堀江にて「きたい動物病院」を開院した後、株式会社大冬希、株式会社Vパワーを設立し動物病院事業を拡大して参りました。その後、JVCC株式会社グループ及び同社への出資ファンドを運営するJ-STAR株式会社との統合を契機に「第1 企業の概況(はじめに)」に記載のとおり、当社(株式会社WOLVES Hand)が設立され、株式会社大冬希、株式会社Vパワー、JVCCグループ、株式会社ベイサイドアニマルクリニックとの統合を進めながら、ペットサロンの運営、動物病院向けソフトウエアの提供、獣医療教育セミナーの配信、医療用機械器具の製造・販売など事業を進めて参りました。
以下では、当社の設立、株式会社大冬希、株式会社Vパワー、JVCCグループ各社の吸収合併を経た現在に至るまでの沿革のほか、「きたい動物病院」の開院から当社への統合に至るまでの沿革を記載しています。
(当社)
年月 |
概要 |
2019年4月 |
東京都千代田区に動物病院の運営を主たる事業として、株式会社WOLVES Handを設立。 |
2019年5月 |
株式会社大冬希(大阪市西区)、株式会社Vパワー(大阪市西区)を株式取得により買収。 |
2019年6月 |
株式会社ベイサイドアニマルクリニック(横浜市神奈川区)を株式取得により買収。同日、株式会社ベイサイドアニマルクリニックが株式会社南動物病院(三重県伊賀市)から動物病院事業(株式会社ペット・ベット(横浜市神奈川区)の株式を含む)を事業譲受により取得。 |
2019年6月 |
獣医療教育セミナー事業を開始。 |
2019年8月 |
株式会社大冬希、株式会社Vパワーを吸収合併。 |
2019年8月 |
本社を東京都千代田区から大阪市西区に移転。 |
2019年10月 |
アイル動物病院(大阪市大正区、現:オオナミ動物医療センター)を事業譲受により取得。 |
2019年10月 |
株式会社ワンヘルスコーポレーション(静岡県浜松市)からローコストペットクリニック沖縄(沖縄県那覇市、現:那覇動物病院)を事業譲受により取得。 |
2019年10月 |
JVCC株式会社(東京都目黒区)の株式を対価として吸収合併し、同時にJVCC動物病院グループ株式会社(東京都目黒区)を子会社化。 |
2019年11月 |
北谷動物医療センター(沖縄県中頭郡北谷町)、名護動物医療センター(沖縄県名護市)を開院。 |
2020年1月 |
株式会社ベイサイドアニマルクリニック、JVCC動物病院グループ株式会社を吸収合併。 |
2020年4月 |
わん太郎株式会社(大阪市西区)を株式取得により買収し、動物病院向けソフトウエアの開発を開始。 |
2020年10月 |
豊見城動物高度医療センター(沖縄県豊見城市)を開院。 |
2021年3月 |
有限会社空楽(東京都港区、現:高輪台動物病院)を株式取得により買収。 |
2021年7月 |
有限会社空楽、わん太郎株式会社を吸収合併。 |
2022年4月 |
商号を株式会社WOLVES HANDに変更。 |
2022年7月 |
ペットプラス動物病院福岡(福岡県糟屋郡粕屋町)を開院。 |
2022年10月 |
株式会社モデナ動物病院(神戸市西区)を株式取得により買収。 |
2022年11月 |
株式会社ペットメディカルセンター・エイル(沖縄県沖縄市)を株式取得により買収。 |
2023年5月 |
飛鳥メディカル株式会社(京都市下京区)を関連会社化。 |
(株式会社大冬希)
年月 |
概要 |
2000年1月 |
大阪市西区に、きたい動物病院を開業。 |
2002年3月 |
大阪市西区に、堀江動物医療センター有限会社を設立して動物病院事業を法人化。 |
2007年3月 |
大阪市西区内で拡張移転。 |
2007年6月 |
病院名を大阪動物医療センターに改名。 |
2007年11月 |
大阪市西区に、株式会社大冬希を設立し、株式会社へ移行。 |
2008年3月 |
堀江動物医療センター 阿波座院(大阪市西区、現:阿波座動物医療センター)を開院。 |
2009年3月 |
中央動物医療センター(大阪市中央区)を開院。 |
2009年12月 |
心斎橋どうぶつ病院(大阪市中央区)を開院。 |
2011年3月 |
中央動物医療センターを拡張移転。 |
2013年6月 |
中央動物医療センター内に夜間救急外来・大阪動物ERセンターを設立。 |
2014年3月 |
大阪動物ERセンターを大阪動物医療センター内へ移転。 |
2015年10月 |
株式会社マキシステム(大阪市北区)に資本参加。 |
2015年11月 |
わん太郎株式会社(大阪市西区)を株式取得により買収。 |
2016年3月 |
大阪動物病院(大阪市北区)を開院。 |
2019年4月 |
新設分割型分割により非動物病院事業に係る資産、負債、雇用契約並びにその他の権利義務(わん太郎株式会社及び株式会社マキシステムの株式を含む)を株式会社大冬辰(注、大阪市西区)に移行。 |
2019年7月 |
有限会社すみれ(大阪市福島区)から動物病院事業を事業譲受により取得(現:福島中央動物病院)。 |
2019年8月 |
株式会社WOLVES Hand(東京都千代田区、現:当社)を存続会社とした吸収合併により解散。 |
(注)株式会社大冬辰は当社代表取締役CEO北井正志が議決権の過半数を保有する会社であります。
(株式会社Vパワー)
年月 |
概要 |
2007年11月 |
大阪市西区に設立。トリミングサービスの提供・ペットホテルの運営等のペットサロンの運営を開始。 |
2019年8月 |
株式会社WOLVES Hand(東京都千代田区、現:当社)を存続会社とした吸収合併により解散。 |
<事業沿革図>
当社グループは、当社、連結子会社3社(株式会社ペットメディカルセンター・エイル、株式会社モデナ動物病院及び株式会社ペット・ベット)及び持分法適用関連会社1社(飛鳥メディカル株式会社)で構成されており、動物病院及びペットサロンの運営、動物病院向けソフトウエアの提供、獣医療教育セミナーの配信及び医療用機械器具の製造・販売を主な事業として取り組んでおります。
当社グループが属する動物医療業界においては、人口減少や動物愛護法の規制強化などを背景に、犬・猫の飼育頭数が減少傾向にある一方で、ペット寿命の長期化や「ペット=家族」という価値観の醸成により、ペットに対する医療費支出は増加傾向にあります(出典:ペットビジネスマーケティング総覧2022年版(矢野経済研究所))。“動物たちにもより良い治療を受けさせたい”という社会的ニーズの高まりを受け、当社グループでは、身近なケアからCTやMRIを用いた高度医療まで、幅広いニーズに応えることができる動物医療を提供してまいりました。いつでも安心して通える動物病院グループを目指し、動物医療の発展に寄与することで、これからも広く社会に貢献してまいります。
なお、当社グループは、動物病院事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、事業・サービス内容を機能別に記載しております。
事業・サービスの名称 |
事業・サービスの主な内容 |
主な会社名 |
① 動物病院運営 |
動物病院における獣医療の提供 |
当社 株式会社ペットメディカルセンター・エイル 株式会社モデナ動物病院 |
② ペットサロン運営 |
トリミングサービスの提供、ペットホテルの運営 |
当社 |
③ 動物病院向けソフトウエアの提供 |
動物病院向け顧客管理システム「わん太郎」の開発・販売 |
当社 |
④ 獣医療教育セミナーの配信 |
獣医師向け情報サイト「VMN」の運営、セミナーコンテンツの制作 |
株式会社ペット・ベット |
⑤ 医療用機械器具の製造・販売 |
医療用機械器具、医療用具の研究、開発、製造、販売、リース及び輸出入 |
飛鳥メディカル株式会社 |
各事業・サービスの連結売上高に占める割合は以下のとおりであります。
事業・サービス |
第4期連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
第5期連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
||
売上高(千円) |
構成比(%) |
売上高(千円) |
構成比(%) |
|
動物病院運営 |
3,579,394 |
83.3 |
3,991,259 |
85.8 |
ペットサロン運営 |
447,181 |
10.4 |
441,713 |
9.5 |
動物病院向けソフトウエアの提供 |
16,801 |
0.4 |
17,154 |
0.4 |
獣医療教育セミナーの配信 |
108,001 |
2.5 |
89,654 |
1.9 |
その他 |
143,653 |
3.3 |
111,286 |
2.4 |
合計 |
4,295,031 |
100.0 |
4,651,067 |
100.0 |
当社グループの各事業・サービスの具体的な内容は次のとおりです。
① 動物病院運営
当社が運営する動物病院において、診察、検査、手術等の診療サービスを提供し、その対価として診療費を受領しております。当該事業は、当社グループ売上の80%以上を占めております。
現在、関西エリア、関東エリア、九州・沖縄エリアの3エリアにおいて、CTやMRIなどの高度医療機器を備え、専門分野を持った獣医師が診療を行う『センター病院』と、かかりつけ病院として、診療や簡易的な手術等を行う『サテライト病院』をドミナントで複数配置しており、2024年3月31日現在における年間診療件数は345,012件(2023年7月から2024年3月までの実績に基づく年換算値)と豊富な診療実績を誇っております。
各エリアにおける2024年3月末時点における病院数及び獣医師数は以下のとおりです。
|
関西エリア |
関東エリア |
九州・沖縄エリア |
全社合計 |
センター病院(拠点) |
5 |
2 |
4 |
11 |
サテライト病院(拠点) |
8 |
9 |
5 |
22 |
合計(拠点) |
13 |
11 |
9 |
33 |
獣医師数(人) |
41 |
26 |
21 |
88 |
一般的な動物病院では、かかりつけ診療と高度診療は別病院での対応となっており、高度診療は紹介によりペットの受け入れを行っているのが通例ですが、当社グループの各動物病院は、センター病院を中心に相互ネットワークを形成しており、爪切り等の身近なケアから脳神経外科等の高度医療まで、シームレスに提供することを可能としている点に大きな特徴があります。
豊富な診療実績からノウハウを蓄積し、経験豊富な獣医師を育成するとともに、全拠点と共有することで、質の高い動物医療サービスを提供できる体制を構築しております。
<当社グループの動物医療体制>
当社グループの動物病院数、診療件数及びそれぞれの関連指標の推移は以下のとおりであります。
(注)2019年12月期は当社が設立された期であり、比較に適さないため、グラフに含めておりません。2020年6月期の診療件数及び診療単価については、当該事業年度が2020年1月から6月の6ヶ月決算であり、動物病院における繁忙期である4月から6月を含む期間の年換算となっているため、各数値が相対的に高めに出ております。
また、当社グループは豊富な診療機会や教育研修機会の提供を通じて、獣医師にとって好ましい環境づくりに努めた結果、グループ再編後の統合プロセスにおいて診療拠点の絞り込み(3施設の閉鎖)に伴う獣医師の減少はあったものの継続的に獣医師の確保に努めており、獣医師の人手不足が慢性化する中でも大学病院への営業強化などにより新卒採用を推進した結果、十分な獣医師を確保できているものと考えております。
獣医師に対して十分な経験を積める機会を提供することは、獣医師の確保において有利に機能するだけでなく、診療の質の向上を通じて当社グループ動物病院の評判向上につながり、外来・紹介による来院者の増加が獣医師に更なる多様な診療機会を提供するという好循環を形成します。獣医師1人当たり診療件数、1病院当たり診療件数は次のとおり推移しており、十分な診療機会を確保できているものと考えております。当社グループは、当該好循環を継続・改善することが、当社グループの競争力向上に資するものと考えております。
獣医師は経験・能力によって売上高に差が生じますが、増員を進めながらも、豊富な診療機会の提供、教育研修の推進などにより全体的な能力の底上げに努めており、その結果、獣医師1人当たり売上高の水準を一定程度に維持できているものと考えております。
獣医師数及び獣医師1人当たり売上高の推移は次のとおりであります。
こうした、かかりつけから高度医療までをシームレスに提供する診療体制の構築及び獣医師の確保・育成の取り組みにより、当社グループは十分な診療件数を確保しております。これにより、多数の動物病院を抱え、高価な医療機器を有しながらも保有資産が効率よく機能し、経営の高効率化を実現していることが当社グループの強みであります。
② ペットサロン運営
当社グループが運営するペットサロンにおいて、トリミングやペットホテルなどのサービスを提供し、その対価としてサービス料を受領しております。
動物病院に併設する形で運営することを基本としており、ペットの医療ニーズが顕在化していない潜在顧客との関係性構築に貢献しております。定期的なトリミングによってペットの体を清潔に保ち、ノミ・ダニの発生を抑制することや、皮膚などの健康チェックを行い、異常があれば併設する動物病院での診療を勧めることなど、ペットの健康管理にも重要な役割を果たしております。
③ 動物病院向けソフトウエアの提供
2020年6月期に動物病院向け顧客管理システム「わん太郎」の開発及び販売会社であるわん太郎株式会社を買収し、利用ユーザーから初期費用や月額利用料を受領するサブスクリプション型の事業を行っております。
「わん太郎」は、電子カルテや各種証明書の発行、顧客管理、会計管理など、動物病院を運営するうえで必要な機能を網羅的に有しており、2024年3月末時点で157の動物病院(当社グループ病院含む)で導入されております。オンプレミス型(サーバーやソフトウエアなどの情報システムを使用者が管理する設備内に設置し、運用する形態)のソフトウエアとして展開しておりますが、当社システム管理室を中心としたプロジェクトチームによりクラウド開発を進めており、かかりつけの小規模病院から高度医療に対応した大規模病院まで幅広く使いやすい形に改良を進めております。
④ 獣医療教育セミナーの配信
小動物臨床獣医師向けに、さまざまな情報を提供するサイト「VMN(Veterinary Medical Network)」を運営しており、有料会員から会員種別に応じた月額利用料を受領するサブスクリプション型の事業であります。
「世界標準を一次病院の獣医師へ」を理念として掲げ、若手獣医師の卒後教育を目的とした、実践的な情報を提供しており、2024年3月末時点で1,200名を超える有料会員に利用いただいております。
オンデマンドによる動画配信、最新の獣医療情報(獣医療雑誌や文献)、各種コンサルティング、セミナーの開催、臨床現場の疑問をコンサルタントに質問できる「Vet to Vet Board」など、多様なコンテンツを有しております。
⑤ 医療用機械器具の製造・販売
2023年6月期に医療用機械器具の製造・販売を手掛ける飛鳥メディカル株式会社に出資を行い、関連会社化致しました。同社は、主にレーザー医療に特化した動物用の製品の製造、販売を手掛けております。なお、同社の業績は、持分法投資損益(営業外損益)として当社連結業績に反映されこととなりますが、同社は利益計上をしているものの、現在では債務超過の状態にあることから、のれん相当額の償却部分を持分法投資損失として計上しております。
《事業系統図》
名称 |
住所 |
資本金 (千円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有(又は被所有)割合 (%) |
関係内容 |
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
株式会社ペットメディカルセンター・エイル(注)3 |
沖縄県沖縄市 |
13,000 |
動物病院運営 |
100.0 |
経営指導 役員の兼任2名 |
株式会社モデナ動物病院 |
神戸市西区 |
2,000 |
動物病院運営 |
100.0 |
経営指導 土地・建物賃貸 役員の兼任2名 |
株式会社ペット・ベット |
横浜市神奈川区 |
5,000 |
獣医療教育セミナーの配信 |
100.0 |
経営指導 資金援助 役員の兼任2名 |
(持分法適用関連会社) |
|
|
|
|
|
飛鳥メディカル株式会社(注)4 |
京都市下京区 |
10,000 |
医療用機械器具の製造、販売 |
35.3 |
役員の兼任1名 医療用機械器具の購入 |
(注)1.「主要な事業の内容」欄には、代表的な事業の名称を記載しております。
2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
3.株式会社ペットメディカルセンター・エイルは特定子会社に該当しております。
4.債務超過会社であり、2023年6月末時点で債務超過額は197,364千円であります。
(1)連結会社の状況
2024年3月31日現在 |
|
従業員数(名) |
|
|
( |
(注)1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)の最近1年間の平均雇用人員であります。
3.当社グループは動物病院事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
|
|
|
|
2024年3月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
|
|
( |
|
|
|
(注)1.従業員数は、当社から当社外への出向者を除き、当社外から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)の最近1年間の平均雇用人員であります。
3.当社は動物病院事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
最近事業年度 |
|||
管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1) |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注1) |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
非正規労働者 |
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25.8 |
48.5 |
85.7 |
44.9 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.非正規労働者は、1週間の所定労働時間が、同一の事業主に雇用される通常の労働者(正規労働者)に比べて短い労働者(アルバイト・パートタイマー)で、派遣社員を除いた数になります。
3.労働者の男女の賃金の差異は主に男女間の管理職比率及び職種・雇用形態の差異によるものです。
4.男性労働者の育児休業取得率に関して、提出会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
② 連結子会社
最近事業年度 |
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名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1) |
株式会社ペットメディカルセンター・エイル |
33.3 |
株式会社モデナ動物病院 |
- |
株式会社ペット・ベット |
100.0 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異に関して、連結子会社(3社)は、いずれも「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。