第二部 【企業情報】

第1 【企業の概況】

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第28期

第29期

決算年月

2022年3月

2023年6月

売上高

(千円)

30,990,007

48,867,407

経常利益

(千円)

1,714,458

1,972,685

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

1,519,298

1,344,967

包括利益

(千円)

1,517,536

1,344,457

純資産額

(千円)

5,289,355

6,222,545

総資産額

(千円)

15,360,678

14,948,669

1株当たり純資産額

(円)

289.73

340.65

1株当たり当期純利益

(円)

83.50

73.92

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

34.32

41.46

自己資本利益率

(%)

30.80

23.45

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,781,604

3,136,918

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

105,705

2,120,691

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,449,360

1,158,174

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

2,341,269

2,199,322

従業員数
(外、平均臨時雇用者数)

(名)

198

181

(83)

(99)

 

(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

2.自己資本利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を(期首自己資本+期末自己資本)÷2で除して算出しております。

3.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

4.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(嘱託契約の従業員、契約社員、パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

5.第28期及び第29期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。

6.当社は、2023年3月31日開催の臨時株主総会により、決算期を3月末から6月末に変更しております。したがって、第29期は2022年4月1日から2023年6月30日までの15か月間となっております。

7.2024年1月25日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。第28期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第28期の期首から適用しており、第28期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年6月

売上高

(千円)

24,117,435

28,413,448

29,154,388

30,049,571

45,547,720

経常利益

(千円)

1,304,481

1,748,567

2,510,086

1,632,456

1,614,004

当期純利益

(千円)

979,925

1,576,606

1,752,476

1,549,747

1,055,006

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

363,900

363,900

363,900

363,900

363,900

純資産額

(千円)

2,496,046

2,990,924

3,851,846

4,564,623

5,208,362

総資産額

(千円)

14,936,293

15,932,947

13,702,933

14,626,908

13,772,399

1株当たり純資産額

(円)

6,859.16

8,191.68

10,557.50

250.32

285.31

1株当たり配当額
(うち1株当たり中間配当額)

(円)

2,000.00

3,000.00

2,300.00

46.00

22.00

(-)

(1,000.00)

(1,150.00)

(23.00)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

2,692.84

4,332.53

4,815.82

85.17

57.98

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

16.71

18.71

28.04

31.14

37.69

自己資本利益率

(%)

35.78

57.40

51.37

36.91

21.65

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

74.3

69.2

47.8

54.0

37.9

従業員数
(外、平均臨時雇用者数)

(名)

159

154

175

171

152

(51)

(51)

(58)

(83)

(46)

 

(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

2.株価収益率は当社が非上場であるため記載しておりません。

3.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(嘱託契約の従業員、契約社員、パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

4.第28期及び第29期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan 有限責任監査法人により監査を受けております。第25期、第26期及び第27期については「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、当該各数値については、PwC Japan有限責任監査法人による金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

5.当社は、2023年3月31日開催の臨時株主総会により、決算期を3月末から6月末に変更しております。したがって、第29期は2022年4月1日から2023年6月30日までの15か月間となっております。

 

6.2024年1月25日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。第28期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第28期の期首から適用しており、第28期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

8.当社は、2024年1月25日付けで普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第25期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

  なお、第25期、第26期及び第27期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、PwC Japan有限責任監査法人の監査を受けていません。

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年6月

 

1株当たり純資産額

(円)

-

-

-

289.73

340.65

1株当たり当期純利益

(円)

-

-

-

83.50

73.92

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

-

-

-

-

-

 

1株当たり純資産額

(円)

137.18

163.83

211.15

250.32

285.31

1株当たり当期純利益

(円)

53.85

86.65

96.32

85.17

57.98

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

-

-

-

-

-

1株当たり配当額

(円)

40.00

60.00

46.00

46.00

22.00

 

 

(参考情報)

   当社は、2023年3月31日に開催した臨時株主総会において決算期変更を決議し、3月決算から6月決算へと変更しております。そのため、参考情報として、当社グループの2021年7月1日から2022年6月30日及び2022年7月1日から2023年6月30日のそれぞれ1年間に係る主要な連結経営指標等の推移を記載しております。なお、いずれもPwC Japan有限責任監査法人による金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査は受けておりません。

 

 

 

自 2021年7月1日

至 2022年6月30日

自 2022年7月1日

至 2023年6月30日

売上高

(千円)

32,545,194

41,273,083

営業利益

(千円)

1,542,349

1,786,220

経常利益

(千円)

1,418,447

2,149,357

親会社株主に帰属する当期純利益

(千円)

1,271,732

1,528,705

純資産額

(千円)

4,700,580

6,222,545

総資産額

(千円)

14,709,375

14,948,669

1株当たり純資産額

(円)

258.34

341.99

1株当たり当期純利益

(円)

69.89

84.02

潜在株式調整後1株当たり
当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

31.7

41.5

自己資本利益率

(%)

28.5

28.1

 

(注)当社は2024年1月25日付で株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。前事業年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

 

2 【沿革】

 当社は1993年9月に創業者である中村誠司氏の個人事業を起点として事業が開始され、以降、2004年に開始したマンション一括受電サービスを事業の中核として事業を展開しております。グループ企業各社については、同氏又は同氏の資産管理会社により設立されておりましたが、2016年4月に当社としてのグループ経営体制の強化を図るべく、中央電力ソリューション株式会社及び中央電力エナジー株式会社を子会社化し、当社グループとして企業集団を形成しております。
 

年月

概要

1993年9月

当社創業者である中村誠司氏が、大阪府東大阪市においてコスト削減コンサルティング等の事業を営むため、メリックスを個人創業

1994年11月

有限会社メリックス(当社)を設立

1995年8月

株式会社メリックスに改組

1999年10月

中村誠司氏が、マンション一括受電サービス等の事業を行うため、(旧)中央電力株式会社を設立

2004年10月

(旧)中央電力株式会社において、マンション一括受電サービス(分散型エネルギー事業)を開始

2005年2月

(旧)中央電力株式会社を吸収合併、商号を中央電力株式会社に変更

2007年5月

建設業許可取得

2012年6月

中村誠司氏が、電気設備関連工事等を行うことを目的として、株式会社merixを設立(設立時、中村誠司氏の資産管理会社である株式会社mekki(現:Team Energy Sustainable株式会社)が同社株式100%を保有)

2012年7月

中村誠司氏が、地熱発電の開発事業等を行なうため、中央電力ふるさと熱電株式会社を設立

2013年11月

中村誠司氏が、電力調達及び販売を行うため、中央電力エナジー株式会社を設立

同社が小売電気事業者登録

2014年10月

関西電力株式会社と資本業務提携

2016年4月

グループ経営強化を目的として、中央電力ソリューション株式会社及び中央電力エナジー株式会社を子会社化(2社ともに現連結子会社)

2016年10月

小売電気事業者登録

電力小売サービス(グリーンエネルギー事業)を開始

2017年4月

ガスの販売代理業務開始

2018年5月

ガス小売事業者登録

2019年9月

将来的な再生可能エネルギー電源の利用等を目的として、中央電力ふるさと熱電株式会社

(現:ふるさと熱電株式会社)の株式20%を取得(同社に対する貸付金を出資に切替)し関連会社化

2020年11月

本店所在地を東京都港区に変更

2021年1月

DX支援サービスを行う中央電力DX株式会社設立

2021年7月

保安業務の強化を図るため、株式会社中央電力保安協会(中央電力ソリューション株式会社100%子会社)を設立

2021年10月

自己託送支援サービス等の事業展開のため、三菱HCキャピタル株式会社との合弁により合同会社リネッツを設立(当社出資65%)

2021年12月

本店所在地を東京都千代田区に変更

2022年1月

ふるさと熱電株式会社の一部株式持分を譲渡(当社関連会社より除外)

2022年3月

東北電力株式会社と資本業務提携

2022年4月

グループ経営の効率化を図るため、当社が中央電力DX株式会社を、中央電力ソリューション株式会社が株式会社中央電力保安協会を、それぞれ吸収合併

2023年9月

レジル株式会社へ商号変更

2023年12月

合同会社リネッツの当社出資持分全てを三菱HCキャピタル株式会社に譲渡(当社連結子会社より除外)外部顧客向けの自己託送支援サービスを停止

 

 

 

 当社グループの変遷を図示すると、以下のとおりであります。

 


 

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社(中央電力ソリューション株式会社及び中央電力エナジー株式会社)の計3社で構成されており、主にマンション向けに受変電設備設置による電力供給を行う分散型エネルギー事業、法人の脱炭素化支援や電力供給を行うグリーンエネルギー事業、電力会社等のエネルギー企業の後方業務のDXによる業務改革支援を行うエネルギーDX事業を主な事業として取り組んでおります。 

各事業セグメントの内容並びに当社及び関係会社との関連は以下のとおりであります。なお、以下に示す事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

 

1.事業内容について

(1)分散型エネルギー事業

分散型エネルギー事業は、「マンション一括受電サービス」を主力サービスとして展開するほか、それに付随して発生するマンション顧客に対する各種サービス(その他サービス)を提供しております。

なお、当該事業は、将来において、後述の「マンション防災サービス」にて設置・展開する太陽光発電設備及び蓄電池設備等の「分散型電源設備」を集約・ネットワーク化することによる事業展開も中長期視点で志向した事業を推進しております。

 

 ①マンション一括受電サービス

マンション内に地域電力会社が設置する受変電設備を当社グループにて入れ替えることで、マンション単位で商業ビル同様に高圧の電力を調達し、当社グループが設置した受変電設備にて一般家庭向け低圧電力に変換し、マンション各世帯や共用部分等へ電力を供給しております。

当該サービスを適応しないマンションは各世帯が低圧電力の電気料金を支払っている一方、当該サービスはマンションの各世帯等に高圧料金を基にした電気料金を提供し、地域電力会社から各世帯(専有部分)及び共有部分が低圧電力を受電する場合と比較してマンション全体での電気料金削減を可能とする仕組みであります。

本仕組みによる電気料金の削減メリットを原資(割引原資)として、マンション各世帯や共用部分に各地域の大手電力会社の料金をベースとした割引率という形で還元を行っております。

 

<マンション一括受電サービスにおける電力供給の流れ>


 

サービス導入にかかる初期投資は不要であること)

一括受電サービス(及び後述のマンション防災サービス)は、顧客のサービス利用にあたっての初期投資を不要とし、必要な設備は当社グループの資産として保有、電気料金としてサービス料金を回収するモデルを構築しております。

顧客マンションへのサービス導入には、マンション管理組合の総会決議に加えて、全世帯によるサービス利用申込が必要となるものでありますが、初期投資が不要であることを訴求することにより、顧客のサービス導入における意思決定のハードル引下げを図っております。

 

長期契約に基づくストックビジネスであること)

2024年6月期第2四半期末現在におけるサービス利用顧客は、2,239棟(17万8,061戸)であります。当該サービスは顧客マンションごとに設備機器を調達・設置することから、導入に際しては10年又は15年間の長期契約を締結(期間終了後は2年又は3年ごとの更新)しております。また、上記期間を経過した顧客を含めて、2004年11月のサービス開始以降における解約実績は1棟のみとなっており、長期に及ぶ安定収益を確保するストックビジネスを構築しております。

なお、当社グループの過去5期間におけるサービス提供顧客数の推移は以下のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年6月期

サービス提供顧客数

2,118 棟

169,986 戸

2,171 棟

173,141 戸

2,191 棟

174,347 戸

2,203 棟

175,045 戸

2,215 棟

175,866 戸

 

 

「マンション防災サービス」の推進)

当社グループは、「マンション一括受電サービス」を基盤とし、マンション一括受電サービスにおいて設置する高圧受変電設備等に加えて、割引原資を太陽光発電及び蓄電池等の分散型電源設備の設置に充当することにより、平常時における電力供給のみならず災害発生に起因する停電時等においても電力供給を行う「マンション防災サービス」を2023年4月より開始し、現在は本サービスの営業活動に注力しております。

当該サービスは、設備等は自社保有とし、顧客より受領する電気料金により当該コストを回収する仕組みであり、顧客に対してはマンション一括受電サービスの高付加価値サービスとして提供していく予定であります。

なお、当社グループは、当該サービスを今後の新規顧客獲得の中心と位置付けておりますが、募集開始から間もないこともあり、本書提出日現在、サービス開始に先行して蓄電池設備を実証導入した2棟(172戸)を除き、顧客マンションに対するサービス提供は開始されておりません。

 

②その他サービス

マンション一括受電サービスの提供顧客向けに提供する各種サービスであり、マンション内の各種電気設備の改修工事(当社保有設備を除く)、ガスの小売販売及び取次販売、他社サービス(掃除代行、インターネット回線等)の紹介等であります。

 

<分散型エネルギー事業の事業概要>

分散型エネルギー事業では、当社向け電力調達及び顧客マンションへの電力供給等のサービス提供について、中央電力エナジー株式会社がその電力調達の一部を、中央電力ソリューション株式会社が当社設備(受変電設備等)の設置工事・保守・点検等の業務をそれぞれ行っております。

 


 

 

(2)グリーンエネルギー事業

グリーンエネルギー事業は、再生可能エネルギーを中心とした電力小売サービスを展開しております。当該事業においては、主に当社が電力の調達及び顧客に対する電力供給(販売)を行っておりますが、一部調達及び供給は中央電力エナジー株式会社にて同様に実施しており、特に電力調達主体を2社体制とすることにより、効率的かつ良好な条件での調達に努めております。

 

①電力小売サービス

主に中小企業を対象とした電力供給サービスであり、外部調達した電力を大手電力会社と比較して廉価にて顧客へ供給(販売)しております。当社グループにおいては、顧客の多くを占める関西エリア及び関東エリアを中心に全国(沖縄県を除く)にてサービスを展開しております。

顧客企業等に対しては、高圧電力、低圧電力及び特別高圧電力を提供しております。主力と位置付ける高圧電力にかかる料金体系については、大手事業者の標準的な料金体系に準拠した「固定型料金プラン」(電力量単価(従量部分)が固定)及び電力量料金が電力卸取引市場(JEPX)の取引価格に連動する「市場価格連動型料金プラン」の2つの料金プランを設定しており、顧客ニーズに応じて提供しております。

また、当社グループの分散型エネルギー事業のマンション向けの電力調達の一部についても本事業にて実施しております。夜間に電力を多く利用する傾向のマンションのまとまった需要と、昼に電力を多く利用する傾向の法人企業の需要を組み合わせることで、安定的な電力調達を図っております。

 

(最適な電力調達の推進)

当社グループは、電力調達先である電力事業者との取引等を通じた関係強化を図り、安定調達及び有利な調達条件の確保に努めております。また、複数の電力会社や発電事業者等の異なる調達先を確保することにより、多様な電力需要及びその変化に柔軟に対応する調達体制を構築しております。

価格変動リスクの高い市場調達への過度な依存を避け、良好な条件による固定調達契約により必要量を確保していくことを基本としており、卸電力取引所(JEPX)からのスポット調達等を含めて様々な電力調達を組み合わせた最適化を図っております。なお、電力の調達エリアと電力の供給を受ける顧客の属するエリアが異なる場合には、電力卸取引市場において一旦調達したエリアで売却した上で、供給先となるエリアで電力を購入し供給することとなります(当該取引を「間接オークション取引」といいます)。当該取引は会計上、売上高及び売上原価の双方に計上されております。

また、近年サービスに占める割合が上昇している「市場価格連動型料金プラン」向けの電力調達は、卸電力取引所より調達することを基本とし、当社グループにおける電力価格変動リスクの低減を図っております。

 

(再生可能エネルギーの取扱い拡大)

当社グループは、法人小売サービスにおいて供給する電力について、将来的には「非化石証書(※1)」購入により全量を再生可能エネルギーとする方針であります。顧客契約時の同意に基づく供給量について同証書を調達しており、2023年12月末時点における割合は64.2%(契約数ベース)であります。

(※1)非化石電源で発電された電力が持つCO2を排出しないという環境価値部分を分離して取引ができるように証書化したもの

 

②自己託送支援サービスからの撤退

当社グループは、マンション一括受電サービス向けの電力調達及び外部顧客向けの再生可能エネルギー電力供給を目的として、2021年10月に三菱HCキャピタル株式会社との合弁により合同会社リネッツを設立し、サービスを提供しておりました。しかし、外部環境変化による採算悪化が想定される状況が生じたため、2023年12月に当社出資持分の譲渡により合弁を解消し、既に設置済みの設備についての合同会社リネッツとの取引は継続するものの、外部顧客向け自己託送支援サービスからは撤退しております。

 

 

(3)エネルギーDX事業

エネルギーDX事業は、主にエネルギー業界の事業者向けの業務受託サービスを提供しております。自社設備の保安・点検業務のリソースを活用した「電気保安管理サービス」及び当社グループの分散型エネルギー事業やグリーンエネルギー事業のために開発したシステムや業務フロー等をBPaaS(Business Process as a Service、通称:ビーパース)(※1)形態により顧客企業に提供する「DX支援サービス」を展開しております

当該事業においては、当社が顧客に対するDX支援サービスの提供を、中央電力ソリューション株式会社が顧客に対する電気保安管理サービスの提供を、それぞれ実施しております。

(※1)BPaaS(Business Process as a Service)とは、Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス。サービス提供事業者側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービスのこと。)における“ソフトウェア”が“ビジネス・プロセス”に置き換わっており、業務プロセスそのものを提供するサービスを指すもの

 

①電気保安管理サービス

顧客となる一括受電事業者(同業)、電気設備保安事業者及び一般事業者より、高圧受変電設備等の電気設備の保安・点検業務等を受託しております。顧客が設置する電気設備について、法令及び保安計画に基づく定期(年次・月次)点検等を実施しており、点検結果等の経年履歴をデータベース化により設備更新計画の策定を含む最適な設備管理を実施しております。

なお、電気設備の保安業務については、高圧電気利用地点毎に主任技術者(有資格)を選任する必要があり、業務実施においては当社在籍技術者による形態及び外部技術者(個人事業主等)の仲介形態があり、後者は中央電力ソリューション株式会社において、外部技術者より顧客に対する料金請求や顧客窓口等の業務を受託しております。

 

②DX支援サービス

エネルギー関連企業を主たる顧客として、料金請求・収納代行業務や問合せ・コールセンター業務等の各種後方業務にかかる業務受託サービスを提供しております。

当該サービスは、当社グループの業務運営を通じて構築した業務オペレーションやシステムツール(料金計算システムや顧客管理システム等)をBPaaS(Business Process as a Service)形態で提供するほか、顧客業務内容及び課題等に応じた業務効率化や改善等にかかるコンサルティングも実施しております。

当該サービスにかかる対価は、顧客企業のエンドユーザー数や当社グループが提供する席数(人員数)に応じて決定しております。顧客企業がサービス拡大した場合には当社グループの収益の拡大にも繋がる仕組みとなっております。

 

 当社グループ全体の事業系統図は以下のとおりであります。

 


 

 分散型エネルギー事業では、当社及び中央電力エナジーが顧客に対して電力の供給を行っております。グリーンエネルギー事業では、当社又は中央電力エナジーが電力調達を行い、顧客に電力を供給しております。エネルギーDX事業では、当社がDX支援サービスを顧客に対して行っているほか、中央電力ソリューションが電気設備保安サービスを提供しております。

 また、セグメント間の内部取引として、分散型エネルギー事業に対して、グリーンエネルギー事業は調達した電力の一部を供給し、エネルギーDX事業は保安サービスを一部提供しております。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合又は被所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

中央電力ソリューション株式会社

(注)2

大阪府東大阪市

50,000

分散型エネルギー

エネルギーDX

100.0

役員の兼任 0名

中央電力エナジー株式会社

(注)2

東京都千代田区

32,500

分散型エネルギー

グリーンエネルギー

100.0

電力の仕入

役員の兼任 1名

合同会社リネッツ

東京都千代田区

100

グリーンエネルギー

65.0

役員の兼任 1名

 

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.特定子会社であります。

3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

4.合同会社リネッツについては、2023年12月25日付で当社出資持分の全てを三菱HCキャピタル株式会社に譲渡しており、第30期第2四半期連結会計期間より連結対象から除外しております。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年2月29日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

分散型エネルギー事業

48

(10)

グリーンエネルギー事業

45

(3)

エネルギーDX事業

62

 (89)

全社(共通)

54

(11)

合計

209

 (113)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(嘱託契約の従業員、契約社員、パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

   2.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2024年2月29日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

174

(55)

40.8

6.1

6,859

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

分散型エネルギー

48

(10)

グリーンエネルギー

45

(3)

エネルギーDX

27

 (31)

全社(共通)

54

(11)

合計

174

 (55)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(嘱託契約の従業員、契約社員、パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

   2.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

提出会社は、「女性の職業生活における活動の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

② 連結子会社

提出会社の連結子会社各社は、「女性の職業生活における活動の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。