第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

8,525,928

9,648,535

10,911,981

11,518,245

12,782,486

経常利益

(千円)

282,438

325,823

647,726

297,877

244,465

当期純利益

(千円)

194,449

208,552

415,247

484,939

229,712

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

40,000

40,000

40,000

122,800

122,800

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

普通株式

520

560

560

60,600

60,600

A種株式

120

純資産額

(千円)

1,135,085

1,161,527

1,552,695

1,683,706

1,864,938

総資産額

(千円)

8,311,157

9,453,877

11,261,568

11,814,216

14,744,742

1株当たり純資産額

(円)

2,166,357.00

2,074,156.70

2,772,670.88

555.68

615.49

1株当たり配当額

(円)

 

 

 

 

 

普通株式

9,000

43,000

81,000

800

800

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

A種株式

9,000

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益

(円)

371,863.96

18,688.55

741,514.19

171.95

75.81

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

13.66

12.29

13.79

14.25

12.65

自己資本利益率

(%)

18.68

18.16

30.60

35.11

12.95

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

2.4

230.1

10.9

9.3

21.1

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

338,974

745,177

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

928,445

707,644

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

369,061

1,306,590

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,926,115

1,779,884

従業員数

(人)

514

549

639

680

721

(外、平均臨時雇用者数)

644

745

817

812

742

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関係会社を有していないため、記載しておりません。

3.2023年11月14日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っており、発行済株式総数は、3,030,000株となっております。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第15期、第16期及び第17期については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。また、第18期及び第19期については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

6.第15期、第16期及び第17期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

7.従業員数は受入出向者を含む就業人員であり、( )内に契約社員及びパート社員の期中平均人員数を外数で記載しております。

8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用しており、第18期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

9.当社は、2019年5月17日開催の臨時株主総会決議により、2019年5月24日付ですべてのA種株式を自己株式として取得し、同年6月11日開催の臨時株主総会及び臨時種類株主総会において、A種株式を普通株式に種類変更すると共に、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。また同年6月12日に、普通株式である自己株式120株のうち80株を消却すると共に、40株については役職員2名に対して自己株式の処分による割当を行っております。

10.当社は2022年2月2日開催の取締役会決議に基づき、2022年2月2日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。また、2023年11月14日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

11.第18期及び第19期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、監査法人FRIQによる監査を受けております。

  なお、第15期、第16期及び第17期の数値については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査法人FRIQの監査を受けておりません。

12.当社は、2022年2月2日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。また2023年11月14日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第15期、第16期及び第17期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、監査法人FRIQの監査を受けておりません。

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

 2019年3月

 2020年3月

 2021年3月

 2022年3月

 2023年3月

1株当たり純資産額

(円)

436.49

446.06

554.53

555.68

615.49

1株当たり当期純利益

(円)

74.78

3.92

148.30

171.95

75.81

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

 普通株式

 (うち1株当たり中間

 配当額)

 A種株式

 (うち1株当たり中間

 配当額)

(円)

1.8

(-)

 

9,000

(-)

8.6

(-)

 

(-)

16.2

(-)

 

(-)

16.0

(-)

 

(-)

16.0

(-)

 

(-)

 

2【沿革】

 当社は、2000年の介護保険制度導入及び将来のさらなる高齢者の増加を見据えたうえで高齢者の住まいのニーズが高まると考え、株式会社タカラレーベン(現:MIRARTHホールディングス株式会社)の出資を受け、発足いたしました。

 2004年11月に東京都千代田区において設立して以降、首都圏においてシニア事業と不動産事業の二つの事業で着実に成長を遂げてまいりました。

 当社設立以後、現在までの沿革は次のとおりであります。

年月

事項

2004年11月

株式会社タカラレーベンの子会社として、株式会社アズパートナーズを東京都千代田区内幸町に設立

2005年8月

神奈川県横浜市に介護付きホーム「アズハイム横浜東寺尾」を開設(当社1棟目)

同一敷地内にデイサービスセンターを併設(当社1事業所目)

2006年3月

業容拡大のため本社を東京都千代田区有楽町に移転

2008年7月

株式会社ハートフルより、介護付きホーム事業を譲り受け、神奈川県横浜市に介護付きホーム「アズハイム横浜上大岡」を開設

2009年12月

収益不動産事業を開始

2010年4月

理念や運営方針に共感するスタッフを集めるため、新卒採用を開始

2010年7月

株式会社こころケアプランを吸収合併し、埼玉県さいたま市に介護付きホーム「アズハイム南浦和」を開設

2012年4月

入居者の移転交渉を含むソリューション事業(老朽化不動産の再生事業)を本格的に開始(大田区池上1丁目案件)

2012年12月

東京都練馬区に当社初のショートステイ・デイサービスセンター併設業態の「アズハイムテラス練馬」を開設

2012年12月

業容拡大のため本社を東京都千代田区有楽町「東宝ツインタワービル」に移転

2013年4月

神奈川県横浜市に介護付きホーム「アズハイム横浜いずみ中央」を開設(当社10棟目)

同一敷地内にデイサービスセンターを併設

2017年3月

当社とベンダーで共同開発したIoT/ICTプラットフォームEGAO linkを全ホームに導入開始

2017年11月

千葉県松戸市にデイサービスセンター「アズハイム新松戸」を開設(当社10事業所目)

2018年12月

国分土地建物株式会社より、2棟の介護付きホーム事業(土地及び建物を含む。)を譲り受け、千葉県市川市に介護付きホーム「アズハイム市川」「アズハイム市川アネックス」を開設

2020年1月

業容拡大のため本社を東京都千代田区神田駿河台に移転

2020年3月

神奈川県横浜市に介護付きホーム「アズハイム横浜戸塚」を開設(当社20棟目)

2020年8月

EGAO linkを当社が運営する全ての介護付きホームに導入完了

2020年12月

シニア開発事業(介護付きホーム等の不動産開発)に着手(アズハイム三鷹)

2022年3月

シニア開発事業(介護付きホーム等の不動産開発)の2番目の物件に着手(アズハイム習志野)

2022年5月

東京都三鷹市に当社初の自社開発物件である介護付きホーム「アズハイム三鷹」を開設

2023年10月

当社が運営する全ての介護付きホームへの自立支援介護メソッド導入を発表

 

設立当初は株式会社タカラレーベンの子会社でありましたが、その後、出資割合が徐々に低下し、本書提出日現在ではMIRARTHホールディングス株式会社の出資割合は19.8%となっております。

 

3【事業の内容】

 当社は、<暮らし>をひとつのテーマとし、「あらゆる方々の良きパートナーとして…」という思いから社名を「アズパートナーズ」と名付けました。

 「私たちアズパートナーズは、『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」を私たちの使命(MISSION)に掲げて、事業を展開しております。

 当社の事業セグメントは、シニア事業(第19期売上構成比84.5%)と不動産事業(第19期売上構成比15.5%)で形成されております。

 シニア事業は、介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)の運営を主たる事業とし、さらにデイサービス(通所介護)事業及びショートステイ(短期入所生活介護)事業を展開しております。介護付きホームでは、当社とベンダーで共同開発したIoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」による業務効率化や顧客満足度向上を強みにしております。

 また、不動産事業は、介護現場で培った運営ノウハウや長年の不動産ビジネスで蓄積した専門的知識や人脈をフル活用し、介護付きホーム等の土地建物を自社開発するシニア開発事業と、老朽化した集合住宅等の不動産の再生を行うソリューション事業を主たる事業としております。さらに、賃貸マンションや事務所等の賃貸を行う収益不動産事業を展開しております。

 なお、以下に示す区分は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」に掲げる報告セグメントの区分と同一であります。

事業セグメント

事業名称

内容

シニア事業

介護付きホーム事業

介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)の運営

デイサービス事業

デイサービス(通所介護)の運営

ショートステイ事業

ショートステイ(短期入所生活介護)の運営

不動産事業

シニア開発事業

介護付きホーム等の不動産開発

ソリューション事業

老朽化した集合住宅等の不動産の再生

収益不動産事業

マンション等の賃貸

 

(1)当社の各事業の内容

 (シニア事業)

シニア事業は、介護付きホーム・デイサービス・ショートステイの運営を通して、要介護・要支援認定を受けている介護ニーズのある高齢者の方々に介護サービスを提供しています。

当社は、超高齢社会・生産年齢人口減少に伴う介護人材の深刻な不足という社会課題解決に貢献することを目的として、業界の常識にとらわれず、様々な挑戦をしてまいりました。その中で実現したイノベーションを経て、成長と安定を高いレベルで獲得するノウハウを積み上げてきました。

特に介護付きホームにおいては、業界内でもサービスや労働環境、人材育成における差別化を定量的に可視化することが困難であることから、ブランド力がある最大手に優位性がありましたが、その中で当社は、2017年から、当社とベンダーで共同開発したIoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」を活用した業務効率化・生産性向上策を戦略的に取ることにより、稼働率・サービス力・採用力で大きなインパクトを出すことができました。

 

 ①介護付きホーム事業

介護付きホームとは、介護保険法に基づく「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム)等を指します。(従来「特定施設入居者生活介護」「介護付有料老人ホーム」と呼ばれていましたが、当社が中心となって事業者団体に働きかけ、一般消費者にもわかりやすい「介護付きホーム」という通称を使うようになりました。事業者団体の名称も「一般社団法人全国特定施設事業者協議会」から「一般社団法人全国介護付きホーム協会」に変更され、厚生労働省の資料においても「介護付きホーム」という通称が使われるようになりました。)

介護付きホームは、介護が必要なご入居者に対し、介護サービス計画(ケアプラン)に基づき、入浴、排せつ、食事等の介護や日常生活上のお世話、機能訓練及び療養上の世話(看護)を行うと定義されています。

当社は、この定義にとどまらず、ご入居者の「望む暮らし」・自己実現のために、ご入居者の人生歴・生活歴(ナラティブ)の深い情報収集・整理(アセスメント)を行い、生活リハビリ等の自立支援のプロセスと掛け合わせ「夢を叶えるプロジェクト」という個別アクティビティサービスを全ての介護付きホームで提供しています。

「夢を叶えるプロジェクト」は、介護付きホームに入居する以前には自立して行えていたが、その後の心身機能の低下等による理由で自分自身の力では実現が難しくなったことをまたできるようになりたい、といったご入居者のご希望を叶えることを、ただ日常生活上のサービスとして提供するのではなく介護サービス計画(ケアプラン)の目標に設定し、ご入居者とそのご家族、当社の従業員のチームが一体となって実現を目指していく個別アクティビティのことを言います。当社は、当社とベンダーで共同開発した、ご入居者のベッド上の見守り・ナースコール対応・介護サービス提供の記録をスマートフォン上で対応することができるIoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」の導入によって創出された時間を活かして、こうしたサービスを提供しております。

介護付きホームの利用料は、家賃、管理費、水光熱費及び食費と、国が一律で定める介護保険からの介護報酬(入居者はその1~3割を負担)をお支払いいただきます。当社では、家賃の全額を毎月お支払いいただく「月払い方式」と、家賃の全額又は一部を前払いする「入居一時金方式」を設けております。

価格帯としては、当社の「月払い方式」では月額利用料30万円台が中心となっており、「入居一時金方式」として家賃全額を前払いして月額利用料を20万円以下に抑える選択肢を設けています。例えば、アズハイム大泉学園の料金プランでは、「月払い方式」の月額利用料は354,000円、「入居一時金方式」の入居一時金10,500,000円、月額利用料179,000円となっております。

このような価格帯の商品であることから、中高所得者層を顧客層としております。

 

 ②デイサービス事業

デイサービスとは、介護保険法に基づく「通所介護」の指定を受けたサービスを指し、居宅要介護者について、デイサービスセンターに通っていただき、入浴、排せつ、食事等の介護や日常生活上のお世話、機能訓練を行うことと定義されています。

他の大手事業者を含む多くのデイサービスでは、日常的に家族による介護を受けている要介護者(特に認知症の症状のある方)を日中お預かりし、家族が休息の時間を得ること(レスパイトケア)が主な目的となっています。また、近年は、要支援者・軽度要介護者に対して、身体機能の維持・向上を図ることに特化した「機能訓練デイサービス」が急速に拡大しています。

当社は、上記のサービスと差別化する戦略をとり、これらのサービスでは満たされない、軽度要介護者の社会的な孤立感を解消し、お一人おひとりの個別性に着眼し、やりたいことに取り組んでいただくデイサービスを提供しております。

デイサービスの利用料は、食費750円、おやつ代100円と、国が一律定める介護保険からの介護報酬(利用者はその1~3割を負担)をお支払いいただきます。様々な所得階層の方が利用されています。

 

 ③ショートステイ事業

ショートステイとは、介護保険法に基づく「短期入所生活介護」の指定を受けたサービスを指し、居宅要介護者について、ショートステイ事業所に短期間入所していただき、入浴、排せつ、食事等の介護や日常生活上のお世話及び機能訓練を行うことと定義されています。

多くのショートステイは、日常的に家族による介護を受けている要介護者(特に認知症の症状のある方)を短期間泊まりでお預かりし、家族が休息の時間を得ること(レスパイトケア)が主な目的となっています。

当社は、デイサービスと同様に、要介護者の社会的な孤立感を解消し、お一人おひとりの個別性に着眼し、やりたいことにも取り組んでいただくショートステイを提供しております。

ショートステイの利用料は、1日2,000円から3,000円の滞在費、食費(朝450円、昼750円、夜850円)と、国が一律定める介護保険からの介護報酬(利用者はその1~3割を負担)をお支払いいただきます。様々な所得階層の方が利用されています。

 

 (不動産事業)

不動産事業は、介護付きホーム等を自社開発するシニア開発事業、老朽化した集合住宅等の不動産の再生を行うソリューション事業や、賃貸マンションや事務所等の保有を行う収益不動産事業を展開しております。

 

①シニア開発事業

これまで介護付きホーム等を運営するシニア事業は、土地オーナーの相続税対策や有効活用を求める開発用地情報を得て、土地オーナーが建物を建て、当社が賃借する形で展開しておりました。

一方、2022年に開設した介護付きホーム「アズハイム三鷹」は、当社が老朽化不動産等の土地を仕入れ、当社負担で建物を建てる自社開発により、介護付きホームの開設に至っております。こうした自社開発の介護付きホームは、高齢化の更なる進展による需要が拡大する中、当社のこれまでの経験・実績に基づく立地・建物仕様と当社のこれまでの運営実績を前提とした物件として、不動産事業者、投資家(ヘルスケアリート)等への売却が可能となっており、当社として「シニア開発事業」として位置付けて推進しております。2024年3月期は2025年3月期に開設予定である「アズハイム習志野」「アズハイム葛飾白鳥」の着工を開始しております。(シニア開発事業の中で当社で介護付きホーム(アズハイム)を運営することを「自社運営」と呼びます。)

さらに、当社が土地を仕入れ、他社が運営する介護付きホーム等を開発したりアレンジしたりした上で、不動産事業者、投資家等に売却する「他社事業サポート」型のシニア開発事業も開始しています。

 このように、当社のシニア開発と不動産事業それぞれのノウハウ、経験を活かしたシニア開発事業を推進してまいります。

 

②ソリューション事業

大震災が危惧される首都圏、特に東京23区内において耐震性能に劣る老朽化不動産の再開発を中心としたソリューション事業を展開しております。土地及び建物の老朽化不動産を取得後、既存入居者の移転交渉を進め、建物解体後は、主に不動産業者、エンドユーザー等に土地を売却しています。建物を建てず土地で売却することで、マーケットの急落等の価格変動リスクや、建築コスト上昇リスクを回避し、安定的な運営を図っています。アズハイム三鷹の例のように、老朽化不動産の再開発からシニア開発事業につながるケースもあります。

 

③収益不動産事業

土地及び賃貸マンションや事務所等の収益不動産を取得し、テナント・賃借人等へ賃貸する収益不動産事業も、物件情報を厳選しながら高い利回りが期待できる物件を中心に取り組んでおります。

 

今後の不動産事業については、これまで通りシニア開発事業、ソリューション事業、収益不動産事業の3本柱で事業を行っていく方針であり、長期的に当社の強みを発揮できるシニア開発事業(土地仕入から施設売却まで行う)を段階的に増やしていきたいと考えております。ソリューション事業については、今後の不動産市況を鑑み判断していく予定です。収益不動産事業については、これまで通り収益性・資産性が高い物件に厳選して取得検討を行っていきたいと考えております。

 

 

(2)当社のシニア事業の事業所所在地と事業拠点数

介護サービスの事業拠点数は、2024年1月31日現在において、介護付きホーム27事業所、デイサービス16事業所、ショートステイ4事業所となります。

当社では、主に首都圏エリアにおいて介護サービスのドミナント戦略をとっております。ドミナント展開によるメリットとして、主にご入居者・ご利用者の確保及び人材の確保・育成が挙げられます。介護付きホームの入居希望の場合、当社の複数のホームでの入居検討が可能となります。また、デイサービスやショートステイの利用者が介護付きホームに入居されることもあります。介護人材の確保の観点からは、地域に当社の事業が知られていることが従業員の採用に有利に働きます。また、新たな事業所を開設する場合や従業員のキャリアアップのためにも、近隣の事業所から人事異動を行うことが容易となります。さらに、中長期的に人口や世帯数が安定している地域が需給面でも望ましいと考えております。こうした観点から、当社としては首都圏エリア(人口が密集する国道16号線の内側が中心とし、交通利便性でスタッフやご入居者のご家族にも配慮)に事業所を展開しております。今後も各事業年度において介護付きホーム及びデイサービスを2~4事業所程度開設し、うち1~2事業所は自社で不動産を取得する自社開発とする方針であります。具体的には2025年3月期において介護付きホーム2事業所(うち1事業所はデイサービスの併設含む)の開設を予定しております。

 

事業所所在地

介護付き

ホーム

デイ

サービス

ショート

ステイ

小計

東京都

新宿区

 

 

21

文京区

 

 

江東区

 

 

品川区

 

 

大田区

 

 

杉並区

 

 

板橋区

 

練馬区

江戸川区

 

 

三鷹市

 

府中市

 

 

町田市

 

狛江市

 

 

神奈川県

横浜市

 

10

川崎市

 

 

相模原市

 

埼玉県

さいたま市

11

川越市

 

越谷市

 

 

三郷市

 

 

 

 

 

事業所所在地

介護付き

ホーム

デイ

サービス

ショート

ステイ

小計

千葉県

千葉市

 

 

市川市

 

 

松戸市

 

 

茨城県

水戸市

 

 

合計

27

16

47

47

 

 

 以上をまとめた当社の事業内容を示す事業系統図は次のとおりであります。

 

0201010_001.png

 

 

 

[用語解説]

 

用語

解説

EGAO link

EGAO linkとは、パラマウントベッド株式会社・アイホン株式会社・株式会社ケアコネクトジャパン・住友電設株式会社と共同開発した、IoT/ICTプラットフォームであり、当社が運営する全ての介護付きホームに設置しています。EGAO linkは、ご入居者のベッド上の見守り・ナースコール対応・介護サービス提供の記録をスマートフォン上で対応することができるものです。

要介護

介護保険法に定義された、身体上又は精神上の障害があるために日常生活における基本的な動作の全部又は一部について常時介護を要する状態をいいます。

要支援

介護保険法に定義された、身体上若しくは精神上の障害があるために日常生活における基本的な動作の全部又は一部について常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態をいいます。

要介護・要支援認定

介護保険の給付を受けるため、要介護者又は要支援者に該当すること及びその該当する要介護・要支援状態区分について、市町村が行う認定のことをいいます。

特定施設

特定施設とは、厚生労働省が定めた介護保険法の基準(人員基準・設置基準・運営基準)を満たすものとして都道府県や市区町村に届け出て、特定施設入居者生活介護の事業指定を受けた有料老人ホーム等のことをいいます。

特定施設入居者生活介護

(介護付きホーム)

特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことであり、介護保険の対象となります。

特定施設入居者生活介護の指定を受けた事業所の通称を「介護付きホーム」といいます。

なお、介護付きホームは、他の有料老人ホームとは異なり、介護報酬が固定額であるため、事業者側から見ると安定的な収益が見込みやすい事業です。さらに、介護付きホームは、自治体による指定が必要なため、運営実績のない事業者には高い参入障壁となります。

一般社団法人

全国介護付きホーム協会

一般社団法人全国介護付きホーム協会とは、介護付きホームを運営する事業者を会員とする、行政との折衝、セミナーや研修の開催、情報提供及び地域活動を行う団体です。

2013年には当社代表取締役社長 兼 CEOの植村健志が理事に就任し(当時の名称は一般社団法人全国特定施設事業者協議会)、2015年からは副代表理事を務めております。

通所介護

(デイサービス)

通所介護は、当該デイサービスに通う利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び、心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体及び精神的負担の軽減を図るサービスをいいます。

デイサービスでは利用者の自宅から施設までの送迎も行います。

通所介護サービスや当該サービスの指定を受けた事業所の通称を「デイサービス」といいます。

短期入所生活介護

(ショートステイ)

短期入所生活介護は、当該施設に宿泊している要支援・要介護認定を受けた利用者に対して、利用者がその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活が営むことができるよう、利用者が短期間入所し、当該施設において入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うサービスをいいます。

短期入所生活介護サービスや当該サービスの指定を受けた事業所の通称を「ショートステイ」といいます。

ドミナント戦略

特定の地域において集中的に事業所を展開する経営戦略を意味します。

 

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年1月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

835

714

32.5

3.9

4,240

 

セグメントの名称

従業員数(人)

シニア事業

756

707

不動産事業

12

1

報告セグメント計

768

708

全社(共通)

67

6

合計

835

714

 (注)1.従業員数は受入出向者を含む就業人員であり、( )内に契約社員及びパート社員の最近1年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

4.従業員数が前事業年度末に比べ114人増加したのは、新卒採用人数が2024年3月期実績(2023年4月入社)で178名増加したことによるものであります。

 

(2)労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。

 

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

最近事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・有期労働者

40.0

28.6

78.4

90.4

87.5

・対象年度:第19期事業年度

(2022年4月1日~2023年3月31日)

・対象:正社員及び正規雇用労働者(社外への出向者を除く)

・賃金:通勤手当を除く課税総額

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。