(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第6期の期首から適用しており、第6期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
5.第4期及び第5期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できず、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第3期、第6期及び第7期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
6.自己資本利益率は、第4期及び第5期は当期純損失であるため記載しておりません。
7.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。
8.第3期、第4期及び第5期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
9.第6期及び第7期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人による監査を受けております。なお、第3期、第4期及び第5期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しておりますが、当該各数値については有限責任 あずさ監査法人による監査を受けておりません。
10.従業員数は就業人員であり、臨時雇用人員数は年間の平均人員(1日8時間換算)を〔 〕外数として記載しております。なお、臨時雇用人員数とは、正社員以外の直接雇用者(パートタイマー)であります。
11.当社は、2017年11月に持株会社体制へ移行いたしましたが、2019年11月に持株会社体制を解消いたしました。このため、第4期の経営指標等は第3期に比べて大きく変動しております。
12.第4期は、当社が日本在宅医療株式会社、株式会社トレースエンタープライズ、ジャパンサポート株式会社及びインタービーイング株式会社と2019年11月1日付で合併したことによって、売上高が増加しましたが、積極的な人材採用の実施による人材確保及び地方創生事業における積極的な農園開設等による先行コスト増加等により、経常損失となりました。併せて、抱合せ株式消滅差損を特別損失に計上したことにより、当期純損失となりました。
13.第5期における経常損失及び当期純損失の主たる要因は、地方創生事業における積極的な農園開設等に伴う固定費負担の増加等の影響によるものであります。
14.当社は、2023年8月24日開催の取締役会において、A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式のすべてについて、定款に定める取得条項に基づき取得することを決議し、同日付で自己株式として取得し、その対価としてA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式1株につき、それぞれ普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式のすべてについて、会社法第178条に基づき同日付で消却しております。なお、当社は、2023年10月3日開催の臨時株主総会において、同日付で種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。
15. 当社は、2023年8月24日開催の取締役会決議に基づき、2023年9月15日を効力発生日として普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。そのため、第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
16.当社は、2023年9月15日を効力発生日として普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第3期、第4期及び第5期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任 あずさ監査法人による監査を受けておりません。
(参考情報)
当社は、第4期連結会計年度において、連結子会社であった日本在宅医療株式会社、株式会社トレースエンタープライズ、インタービーイング株式会社及びジャパンサポート株式会社を吸収合併しております。提出会社の経営指標等に関する参考として、第3期及び第4期の連結経営指標の数値を掲げると以下のとおりであります。なお、第4期の連結経営指標の各数値は、2019年4月1日から2019年10月31日までの合併前の連結損益計算書に2019年11月1日から2020年3月31日までの合併後の当社の損益計算書を合算して算出したものであります。下記の売上高、経常損失(△)、当期純損失(△)に係る各数値については、有限責任 あずさ監査法人による監査を受けておりません。
当社は医療機関等への経営コンサルティング業から開始し、現在は在宅医療事業(訪問診療コンサルティングと訪問看護サービス)と地方創生事業(障がい者雇用支援事業と観光物産事業)を行っています。
当社は、「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」を企業理念とし、「地域を問わず全ての人が、心豊かに、能力や個性を発揮できる社会の実現」を目指すゴールとして、在宅医療事業及び地方創生事業に取り組んでおります。
在宅医療事業は、近年の精神疾患者の増加に伴う在宅医療ニーズの高まりを受け、医療機関への訪問診療のコンサルティング及び、精神疾患者を主たる対象者とした当社看護師職員等による訪問看護サービスを提供しております。
地方創生事業は、過疎化の進展に伴う人口減少や地場産業の衰退に伴う雇用機会の減少等、地方が直面している課題を解決することを目的とした事業であり、障がい者雇用支援事業、観光物産事業により構成されております。
なお、2019年11月に当社を存続会社として、連結子会社4社と合併しておりますが、合併前は当社が持株会社であり、日本在宅医療株式会社、インタービーイング株式会社及びジャパンサポート株式会社の3社が在宅医療事業に関連する事業を主として行っており、株式会社トレースエンタープライズにて地方創生事業を行っておりました。
在宅医療事業では、最初の支援先医療機関が精神科病院であったという理由から、精神疾患(気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患)を抱える方を主たる対象者として、当社の看護師職員等による訪問看護サービス等を提供しております。
訪問看護は、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助のことであり、訪問介護員等が、利用者(要介護者等)の居宅を訪問し、入浴・排せつ・ 食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供する訪問介護とは異なり、医療行為の有無が大きな違いとなっております。
特に、精神疾患者を対象者とする精神科訪問看護は、精神疾患を抱えて地域で暮らす人の健康と生活を支え、利用者と家族を支援する医療サービスであり、そのサービス内容は主に「生活習慣、生活リズムの確立」「生活技術、家事能力、社会技術等の獲得」「対人関係の改善」「社会的資源活用の支援」「薬物療法継続への援助」「身体合併症の発症・悪化の防止」等となります。
なお、社会的資源とは、利用者がニーズを充足したり、問題解決するために活用される各種の制度・施設・機関・設備・資金・物質・法律・情報・集団・個人の有する知識や技術等の総称であり、例えば障害者年金の受給の支援や生活保護の申請の支援なども該当することから、精神科訪問看護師には多岐に渡る知識が求められます。
精神科訪問看護における収入の大部分は国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金に対する請求により得られ、一部利用者の自己負担金により回収する構図(後述)となっております。
精神科訪問看護の利用者の獲得に関しては、医療機関や役所、就労支援施設等多岐に渡る関係機関からの紹介が主な獲得経路になりますが、当社は特定の医療機関と訪問診療の支援を行う連携をし、主治医による訪問診療と当社の看護師職員等による訪問看護を組み合わせることで、精神疾患者向けの在宅医療を地域社会に普及させ、持続可能な医療体制のもと、住み慣れた地域で社会的な生活を家族と共に営むことができる社会を実現させることを事業の主目的としております。
訪問診療の診療報酬単価が高く設定されていることなどから、医療機関がこれまで実施していなかった訪問診療を新たに開始することを検討した場合であっても、診療報酬を得るための制度が複雑であることや対応方法が難しく実行が容易でないことから、当社が医療機関に対し訪問診療制度・診療報酬体系等を解説するとともに、医療機関が訪問診療を実施する患者に対して当社が提供する訪問看護サービスを活用してもらうなど、コンサルティングを通じて医療機関との連携を強化し、訪問看護の利用者の紹介を受ける機会を増やすことに取り組んでおります。
例えば薬の処方は医師が行い、薬の服薬状況の確認等は看護師が行う等のため、在宅医療の世界では、医師による訪問診療は主に訪問看護とセットで行われることから、訪問診療のコンサルティング(原則無料)などを通して訪問診療の開始または拡充の支援を行う連携により、訪問看護対象者のご紹介を頂くことに注力しております。
2014年7月14日に厚生労働省が公表した「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」における「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性(概要)」には、「精神病床を適正化し、将来的に不必要となる病床を削減するといった病院の構造改革が必要」と明記されました。
それにより、長期入院患者の地域移行に加えて、厚生労働省が医療施設の病床削減・在宅移行を目指していることがより明確化されるなど、当社が在宅医療事業を推進していく上で、サポーティブな外部環境が整っている状況下にあると認識しております。
在宅医療事業における収益構造は、①国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金等からの診療報酬及び利用者本人からの診療報酬(自己負担分)と、②医療機関に対する各種コンサルティング収入に大別されますが、在宅医療事業売上高の9割以上は前者の診療報酬により構成されます。後者の医療機関に対する各種経営コンサルティングは、それ自体を在宅医療事業における収益の柱としているものではありませんが、当該医療機関から訪問看護の対象となり得る利用者の紹介を得る機会を獲得し、当社看護師職員等による訪問看護の利用者数を拡大していくことを目的とした取組みとなります。
本書提出日現在において、東京や大阪をはじめとして17箇所に訪問看護ステーションを開設しております(地方創生事業管轄の3箇所を含めると20箇所。営業所を含む。)。なお、営業所(サテライトオフィス)とは、利用者の自宅に近い場所から効率的にサービスを提供できるように、スタッフの待機や着替え、道具の保管などを行う出張所等のことであり、一定の要件を満たすことで、本体の訪問看護ステーション等に含めて指定を受けることができます。
(参考)地方創生事業における訪問看護ステーションの開設状況
(注) 1.当社の完全子会社だった日本在宅医療株式会社及びインタービーイング株式会社は「コルディアーレ」、「インタービーイング」の名称でそれぞれ訪問看護ステーションを開設しておりましたが、2019年11月1日に当社が当該連結子会社2社を含む子会社4社を吸収合併しております。
また、当社が2017年10月に日本在宅医療株式会社を、2019年2月にインタービーイング株式会社をそれぞれ子会社化する前に開設していた事業所等については、子会社化前の開設年月を記載しております。
2.府中営業所は「訪問看護ステーション コルディアーレ東村山」に、杉並営業所は「インタービーイング訪問看護ステーション」に、綾瀬営業所と竹ノ塚営業所は「訪問看護ステーション コルディアーレ北千住」に属するサテライトオフィスとなります。
当社における訪問看護ステーションの展開方針としては、主として次に掲げるような特徴があります。
当社では、居宅での訪問看護サービスの利用を希望している利用者の約4割を特定の訪問診療における連携医療機関から、残りを他の医療機関、保健センター、就労支援施設等より紹介いただくことで、訪問看護利用者の獲得を進めております。
利用者数の増加に応じて、訪問看護ステーションを新たに開設する場合には、一部の例外はありますが、新たな事業所や営業所の開設地域の近隣に居住している利用者の一部を既設の事業所等から新設する事業所等に移管することとしております。これは、既設の訪問看護ステーションの訪問看護効率の平準化を図り、新設した訪問看護ステーションの収支を早期に改善するための施策として講じております。
また、これまでは東京・大阪等の首都圏における拠点展開を進めてきた経緯がありますが、精神科訪問診療のニーズ、看護師採用環境等を慎重に検討し、札幌への出店も実施しております。
さらに、2019年9月より、後述する地方創生事業における障がい者雇用支援事業にて展開しているコルディアーレ農園の近隣に訪問看護ステーションを新設し、本書提出日現在では、宮崎県宮崎市、大分県大分市、佐賀県神崎郡に訪問看護ステーションを開設しております(2022年4月以降は地方創生事業にセグメントを移管しております)。
地方創生事業は、過疎化の進展に伴う人口減少や地場産業の衰退に伴う雇用機会の減少等、地方が直面している課題を解決することを目的とした事業であり、①障がい者雇用支援事業、②観光物産事業により構成されております。
我が国が直面している課題に対して、官民一体となって取り組み、将来にわたって活力ある日本社会を維持する観点から2014年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」が閣議決定され、2015年度から2019年度までを対象期間とする第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、「総合戦略」という)」が策定されました。第1期「総合戦略」では、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」及び「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」が4つの基本目標とされております。2019年12月には「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(令和元年改訂版)」及び2020年度から2024年度までを対象期間とする第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、4つの基本目標に加え、2つの横断的な目標が設定されました。
当社は、地方と都市の社会構造的不均衡を是正すべく、障がい者雇用支援事業により第1期「総合戦略」の1つ目の基本目標である「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」に取り組み、観光物産事業により「総合戦略」の2つ目の基本目標である「地方への新しいひとの流れをつくる」に取り組んでおります。また、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の横断的な目標として設定された「新しい時代の流れを力にする」においては、「SDGsを原動力として地方創生を推進する」ことが明記されておりますが、当社は障がい者雇用支援事業及び観光物産事業の両事業においてSDGsを意識した取り組みを行っており、障がい者雇用支援事業においては障がい者の働き甲斐の向上や健康的な生活等の推進に取り組み、観光物産事業においては民泊や体験プログラムを通じたサステイナブル・ツーリズム等の推進にも取り組んでおります。
2021年3月より民間企業における障がい者の法定雇用率(障害者雇用促進法にて定められた民間企業の障がい者雇用率。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、従業員に占める身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります)が2.2%から2.3%へと引き上げられたことから、民間企業による障がい者雇用の需要は大きく拡大しております。また、法定雇用率は2024年4月より2.5%に、2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定しており、更なる需要の拡大が見込まれております。
上記のように民間企業においては今後障がい者の雇用不足が拡大し、特に民間企業が集中する地域において大きな需要が発生することが見込まれます。障がい者の雇用義務がある民間企業は全国で108,202社ございますが、そのうち、23,407社が東京都、8,727社が大阪府、6,853社が愛知県、5,077社が神奈川県に集中しており、当該4都府県で全国の40.7%を占めております(厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」)。一方、地方においては障がい者の雇用義務がある民間企業の数が限られていることに加え、都市部の企業と比較して従業員数が少ない企業が占める比率が高いことから、障がい者の就労機会が限られており、都市と地方においては障がい者の就労機会の格差が存在していると認識しております。
当社の障がい者雇用支援事業は、利用企業における安定的な障がい者雇用の実現のため、地方に在住している障がい者に就労機会を提供することを通じて、地方に在住している障がい者の社会参加、地域社会への適合と職業能力の開発、経済的自立を支援していく事業です。
当社は就労機会が限られた地域において農園を開設し、障がい者の就労機会の地域間格差解消を図るとともに、障がい者が経済社会を構成する一員として能力を発揮する機会の確保、就労を希望する障がい者が、その能力や適性に応じた働き方を通じて障がいの特性や職業能力等に関わらず、住み慣れた地域で仕事を通じて自己実現ができる社会の実現に取り組んでおります。
当社サービスの利用企業による適正な雇用管理のもとで、当社では障がいの特性に応じた働き甲斐のある就労環境の整備に努めております。例えば、障がい者が農園で栽培した収穫物はサービス利用企業の社員食堂や農園周辺のこども食堂等において有効活用されるだけでなく、地域の小売店等を通じて販売されており、障がい者にとって働き甲斐を感じてもらうことができる仕組みとなっております。
厚生労働省が2023年12月に公表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、2023年6月1日時点において法定雇用率を達成できている民間企業はおよそ半分の50.1%という状況にあります。その背景には障がい者を求人し、雇用する側である企業において、①採用したくても応募がない、②障がい者の仕事となる業務の切り出しが難しい、③バリアフリー対応等、障がい者を受け入れる職場環境を整えることが難しい、④採用しても受け入れる部署の理解が得られにくい等により、サポートする体制を整えられていない、⑤採用しても早期に離職してしまう等の課題があると考えられます。
これら障がい者雇用に関するさまざまな課題の解決手段、地域の特性から就労機会が限られている障がい者の雇用創出手段として、当社では地方に在住している障がい者及び障がい者を管理する管理者を企業等へ紹介し、当該人材紹介先企業等に採用された障がい者の就労の場として当社が設置している農園をご利用いただくとともに、農作業に必要となる水耕栽培設備を賃貸するサービスを提供しております。
当社では、「障がいの特性や程度に応じて作業の割り振りが行いやすい」「収穫の喜びを感じることができる」という点で農作業を、「毎営業日、作業が必要であること」「安全かつ快適な職場環境が用意できる」「多様な栽培品種に対応できる」という点で、水耕栽培を選んでおります。
また当社では、障がい者が安心して仕事に取り組めるようさまざまな定着支援を行い、障がい者の職場定着率の向上にも取り組んでおります。
障がい者雇用支援事業は、主にサービス導入時に1回限りで発生するスポット売上に加え、サービス利用期間において月額で継続的に発生するリカーリング売上から構成される安定性の高い収益モデルとなっております。
農園の利用企業が使用する区画で雇用される障がい者や、その管理者の人材紹介売上が主なスポット売上となり、リカーリング売上は障がい者1人あたりの定着支援サポート、農園利用、水耕栽培設備レンタル等の対価からなり、コルディアーレ農園の売上の90%(2024年3月期第3四半期実績)を占めております。
リカーリング売上を測る経営上の指標として、下記の指標をモニタリングしております。
(注) 1. Average Revenue per Account(1利用企業あたりのMRR(注2))の略称。
2.Monthly Recurring Revenue(月次経常収益)の略称。契約金額ベースの月間リカーリング売上。
3.Annual Recurring Revenue(年間経常収益)の略称。MRRを12倍して計算。
4.直近12か月の解約によるMRR減少額の合計値÷13ヵ月前から前月のMRRの合計値で計算。
5.Net Revenue Retention(売上継続率)の略称。利用期間が1年を超過する利用企業のMRRの合計値と当該利用企業の前年同月のMRRの比として算出した数値の12ヵ月平均値。
「障がい者を雇用したくても雇用が難しい都市部の企業」が「就労意欲があっても就労の機会が限定的な地方に在住している障がい者」を雇用することによって、地方と都市の社会構造的不均衡が是正されるとともに、安定的な収入確保による障がい者の経済的自立支援が可能となります。また、障がい者による一般就労の実現は、地域経済にとって、社会保障費の削減や、地域における消費拡大などの効果も期待できると考えております。
当社が運営している農園では、ハード面では、障がい者が働きやすい職場環境の整備として、バリアフリー化や水耕栽培設備を導入し、ソフト面では、障がい者の体調やメンタルをサポートする看護師を常駐させることや、障がい者の通勤支援として送迎サービスを導入する等の取り組みを行っております。送迎サービスにより、就労における移動手段の問題や地理的な制約を無くすことで、幅広い障がい者が就労できる機会を提供し、看護師による障がい者や管理者へのカウンセリング機能の提供や、農園の近隣に訪問看護ステーションを開設することで、在宅医療事業におけるノウハウを障がい者の定着支援に活用するなど、身体、知的、精神障がいの区別なく幅広い障がい者が農園において安心して働ける職場環境づくりに取り組んでおります。
なお、2023年12月末時点における障がい者受入数は1,051人(前年同月比127%)となっており、障がい別の構成比は、身体、知的、精神の割合はおよそ1:1:2の割合になっております。また、障がい者の年齢別の構成比は20代、30代、40代、50代、60代とその他がおよそ2割ずつという構成になっております。
今後、障がい者雇用においては量的な面で需要が大きく拡大することが見込まれている一方、足元においては雇用の質の面においても大きな変化が生じております。2022年10月3日に召集された第210回臨時国会において、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)の一部改正が成立しました。法改正により、事業主(障がい者の雇用主)の責務として障害者の職業能力の開発及び向上が含まれることが明確化され、2023年4月1日から施行されましたが、当社は事業主による障がい者の職業能力の開発支援も行っております。
また、厚生労働省においては、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」が公表され、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」が、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては更新された「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」(令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例等含む)が公表されたことにより、障害者が活躍できる職場環境の整備や適正な雇用管理のため事業主が行うことが望ましい取組のポイントが整理され、当社の障がい者雇用支援サービスにおいては、サービスを利用する企業(事業主)が上記リーフレットで示された望ましい取組のポイントを実現できることが求められております。当社としては農園を利用する事業主が障害者雇用促進法のみならず障害者雇用分科会にて公表された課題を解決し、望ましい取組に沿った障がい者雇用に主体的に取り組めるよう、障がい者各自の障がい特性の把握や合理的配慮の提供、職業能力の開発、適正な雇用管理等の支援に取り組んでまいります。
障がい者雇用支援事業を展開している宮崎県、大分県、佐賀県においては、「訪問看護ステーション コルディアーレ」を設置し、在宅医療事業のサービスを受けている利用者や農園で就労している障がい者の状況に応じて、主に精神障がい者の相互紹介を実施し、在宅療養と一般就労の支援を行っています。
また、上記の取り組みを実施することによって両事業で連携先として共通する精神科医療機関等との関係性の強化にも繋がっています。
(注) 1.当社100%子会社として設立した株式会社トレースエンタープライズにて行っていた事業となりますが、2019年11月1日に吸収合併しております。
2.1名の障がい者に対して1区画を割り当てております。
観光物産事業は、地方創生事業に占める売上構成比が1割未満となりますが、主として旅行代理店事業と民泊事業により構成されており、長崎県の五島事業所にて事業を行っております。
2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」が世界文化遺産に登録されたことを契機として、当該地域における修学旅行生や観光客が増加し、消費の拡大や雇用促進等が期待されています。当社では、当該地域への修学旅行の誘致・観光客の誘客に取り組むために、2018年9月に第3種旅行業の登録を行っております。
当該地域への修学旅行の誘致に関しては、長崎県五島市から委託を受け、当社民泊事業として、五島市体験交流協議会の運営事務局業務を行う関係にあり、委託収入などを得ております。
また、2019年10月には第2種旅行業の登録を行ったことにより、第3種旅行業の登録では行うことができなかった国内募集型の企画旅行の販売が可能となり、新聞等での旅行商品の宣伝販売なども行えるようになりました。
旅行代理店事業では、旅行商品の企画・提案を行っており、主に長崎県五島市在住者の旅行需要や出張需要、長崎県五島市への旅行需要の取り込みを行い、各種旅行商品のアレンジメントの対価を受け取っております。
民泊事業では主として自然豊かな離島ならではの体験プログラムや、世界遺産にも登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」に関する学びの素材等を用いた旅行商品を学校等向けに企画・提案しており、五島市内に約100家庭ある民泊受入家庭を活用した修学旅行の受け入れを行っております。
ウィズコロナ期である2020年度から2022年度を除き、民泊を利用した修学旅行は年々増加傾向にあり、修学旅行によって五島市を訪れた人数は、五島市観光協会が公表している「令和元年五島市観光統計」によれば、2015年の年間1,308人から2018年には年間4,129人、当社が五島市観光協会より民泊及び体験プログラム事業を継承した2019年には過去最高となる年5,337人(対前年比+29.3%)まで拡大傾向にあります。
修学旅行に参加する生徒の各民泊受入れ家庭への割り振りや民泊と合わせて修学旅行生が参加する体験プログラムのアレンジメントの対価を受け取っております。
また、重要性の高い事業ではありませんが、物販事業として農園を運営している各地域の地場産品等を当社運営ECサイト「地場くる」等を通じて販売する物販事業を行い、各種特産品の販売の対価を受け取っております。
該当事項はございません。
(注) 1.従業員数欄の(外書)は、臨時雇用人員数(1日8時間換算)を記載しております。
2.臨時雇用人員には、派遣社員を除いております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属している従業員です。
(注) 1.「従業員」は、「正規労働者及び非正規労働者(契約社員、パートタイマー)」となります。
2.「女性従業員比率」は、「女性従業員÷全従業員」となります。
3.「管理職」は「課長以上」の従業員となります。
4.「男女賃金格差」については「平均年間賃金(女性)÷平均年間賃金(男性)」となります。
※平均年間賃金:2023年2月~2024年1月に従業員に支払われた賃金の合計を月平均の従業員数で除したもの
5.「男性労働者の育児休業取得率」については省略しております。
(ア)女性従業員比率
女性が多く活躍しており、女性の従業員(全ての労働者)比率が56.7%(2024年1月31日時点)と半数を超えております。
(注) 全ての労働者:「正規労働者+非正規労働者」となります。以下同様。
(イ)女性管理職比率
全従業員のうち管理職(課長以上)が占める割合は12.5%となっており女性管理職比率(女性管理職数÷管理職数)は37.7%となっております(2024年1月31日時点)。管理職全体で見ると格差は小さいですが、「部長・室長及び執行役員」においては男性優位となっております。
(ウ)男女賃金格差
正規労働者については、男性の77.8%(2024年1月31日時点)となっておりますが、全ての労働者で見ると、女性の賃金が男性を上回っており賃金格差は小さい状態です。
(注) 1.平均年間賃金:「2023年2月支払分~2024年1月支払分賃金÷年間平均従業員数」となります。
2.男女賃金格差:「平均年間賃金(女性)÷平均年間賃金(男性)」となります。
※平均年間賃金:2023年2月~2024年1月に従業員に支払われた賃金の合計を月平均の従業員数で除したもの
(3) 労働組合の状況
当社において、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。