第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第19期

第20期

第21期

第22期

第23期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

売上高

(千円)

8,579,616

7,659,108

2,758,441

4,009,532

8,265,919

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

10,163

97,625

212,610

23,783

137,932

当期純利益

又は当期純損失(△)

(千円)

64,853

69,008

257,970

11,494

168,348

持分法を適用した場合

の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

10,000

10,000

10,000

10,000

10,000

発行済株式総数

(株)

480,000

480,000

480,000

480,000

480,000

純資産額

(千円)

972,279

1,041,288

783,317

795,486

963,835

総資産額

(千円)

1,961,055

2,517,434

2,133,518

2,339,775

3,146,045

1株当たり純資産額

(円)

2,025.58

2,169.35

1,631.91

331.17

401.32

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は

1株当たり当期純損失(△)

(円)

135.11

143.77

537.44

4.79

70.15

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

49.58

41.36

36.71

33.97

30.61

自己資本利益率

(%)

6.45

6.85

28.28

1.46

19.15

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

210,621

587,920

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

64,765

156,427

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

234,481

235,156

現金及び現金同等物

の期末残高

(千円)

1,581,350

1,777,687

従業員数

(名)

136

148

66

89

134

〔ほか、平均臨時雇用人員〕

2

8

8

28

38

 

(注) 1.2018年11月15日開催の臨時株主総会決議により、決算期を12月31日から3月31日に変更いたしました。従って、第19期は2018年1月1日から2019年3月31日の15ケ月間となっております。

2.2021年3月1日開催の臨時株主総会決議により、決算期を3月31日から6月30日に変更いたしました。従って、第21期は2020年4月1日から2021年6月30日の15ケ月間となっております。

 

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、新株予約権の残高が存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、第19期及び第21期については1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

5.当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。

6.第19期、第20期及び第21期はキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

7.第22期の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、及び無形固定資産の取得による支出のためマイナスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出のためマイナスとなっております。

8.第23期の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出のためマイナスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出のためマイナスとなっております。

9.主要な経営指標等のうち、第19期、第20期及び第21期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

10.前事業年度(第22期)及び当事業年度(第23期)の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。

11.第19期については、当社サービスの認知度向上を図るため、広告宣伝にタレントを起用したことにより、広告宣伝費が増加し、経常損失及び当期純損失を計上しております。第21期については、新型コロナウイルス感染症が流行し、観光業及び宿泊業に大きな影響を与え、人材需要が低下したことにより、経常損失及び当期純損失を計上しております。

12.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

13.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

14.従業員数は就業人員数であり、従業員数の〔 〕外書きは、臨時従業員(パートタイマー及び契約社員を含み、派遣社員を除く。)の年間の平均雇用人数であります。なお、当社雇用の人材派遣社員については従業員数及び臨時雇用者数には含まれておりません。

15.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

16.2023年11月24日付で普通株式1株につき5株の株式分割を行っております。これにより発行済株式総数は1,920,000株増加し、2,400,000株となりました。第22期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

17.2023年11月24日付で普通株式1株につき5株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第19期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第19期、第20期及び第21期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第19期

第20期

第21期

第22期

第23期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

1株当たり純資産額

(円)

405.12

433.87

326.38

331.17

401.32

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△27.02

28.75

△107.49

4.79

70.15

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

 

 

 

2 【沿革】

当社は、日本全国のリゾートホテルや旅館、スキー場等の観光施設向けに人材派遣事業を行うことを目的として、2002年3月に設立いたしました。当社設立以降の経緯は、次のとおりであります。

 

年月

概要

2002年3月

観光施設向けに人材派遣事業を行う事を目的として、東京都渋谷区に㈲ふらり(現 当社)を設立

2003年4月

東北地区への事業展開を目的として、仙台オフィスを設立

2004年1月

㈲アプリに商号変更

2004年3月

本社を東京都新宿区西新宿一丁目に移転

2005年3月

関西地区への事業展開を目的として、大阪オフィスを設立

2007年3月

九州地区への事業展開を目的として、福岡オフィスを設立

2007年8月

㈱アプリに商号変更

2009年3月

北海道地区への事業展開を目的として、札幌オフィスを設立

2010年4月

本社を東京都新宿区新宿三丁目に移転

海外からのリゾートバイト希望者を集客するため、ワーキングホリデー人材サービスをスタート

2015年6月

本社を東京都新宿区西新宿一丁目に移転

2016年4月

沖縄地区への事業展開を目的として、沖縄オフィスを設立

2016年8月

本社を東京都新宿区新宿三丁目に移転

2017年5月

ホテル・旅館業界で働くやりがいを伝えるオウンドメディア「SWITCH BRIGHT」を開設

2018年5月

本社を東京都新宿区新宿三丁目に移転

2019年3月

㈱ダイブに商号変更

2019年8月

グランピング施設等の企画開発・経営・運営を行う「地方創生事業」をスタート

グランピング施設等のアウトドアホテルに特化した検索・情報サイト「GLAMPICKS」を開設

香川県東かがわ市に「ザランタン東かがわ」を開業

2020年7月

本社を東京都新宿区新宿二丁目に移転

2020年9月

情報システム周りのサポート事業「情報システム事業」をスタート

2021年4月

岡山県津山市に「ザランタンあば村」を開業

2021年7月

北海道芦別市に「ザランタン芦別」を開業 

佐賀県佐賀市に「ザランタン三瀬高原」を開業 

2022年7月

栃木県鹿沼市に「ザランタン鹿沼」を開業

2022年8月

宿泊施設向けに外国人人材紹介及び採用支援を行う「宿泊業界のための外国人求人ナビ」を開設

2023年7月

茨城県常陸大宮市に「ザランタンひたち大宮」を開業

 

 

 

3 【事業の内容】

当社は、報告セグメントを観光HR事業、地方創生事業、情報システム事業に区分しております。

「観光HR事業」は、リゾートバイト(注1)に特化した人材サービスを提供しており、日本全国のリゾートホテルや旅館、飲食店・テーマパーク・レジャー施設・スキー場等の観光施設(以下、「観光施設等」という。)に対して、人材派遣及び人材紹介を行っております。「地方創生事業」は全国5ヶ所でグランピング(注2)施設等の宿泊施設を運営しております。「情報システム事業」は、取引先の情報システム(注3)周り全般に対するサポートサービスを展開しております。

当社は「一生モノの『あの日』を創り出す」というミッションと、「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ」というビジョンを掲げており、いずれの事業もミッション及びビジョンに紐づいた事業となっております。

主力事業である観光HR事業は、創業当初よりリゾートバイトという手段を通して日本の多くの若者(注4)を全国のリゾート地へ送り出しており、「初めて訪れる土地で、初めて出会う人たちに囲まれ、初めての仕事を体験する」という特異な経験が若者のメンタルをタフに育て、多様な価値観と豊かな人間性を育む瞬間を目の当たりにしてまいりました。また、彼らが未知の体験の中から今まで知り得なかった選択肢と出逢い、それがその後の人生に大きな影響を与える体験となっていることも実感しております。リゾートバイト体験を通して、新しい世界へ飛び込む若者を支援し、自分の人生に誇りを持ち、自分の人生を愛せるきっかけとなる『あの日』を多く創り出しております。

さらに、ライフスタイルや価値観が多様化していく中で、働き方も多種多様な形態を選び取ることが可能になった現在、当社での経験が社会に認められ、「履歴書には書かれていないその人の価値」が評価される社会を創りたいと考えております。

地方創生事業では、グランピング施設やグランピング施設以外の宿泊施設、飲食店・温浴施設等(以下、「グランピング施設等」という。)の企画開発・経営・運営を行っておりますが、既に観光地化されたリゾート地ではなく、まだ地域の魅力が知られていない非観光地(注5)を中心に出店しております。地元の方々が気付かなかったその地域の魅力を発掘し発信することで多くの人流(宿泊客)を生み出しており、地元の方が地域の活性化を感じる『あの日』を提供しております。また、その地域を訪れる宿泊客にとっては、その地域の魅力に触れる体験を通して、自分や大切な誰かにとってかけがえのない思い出となる『あの日』を提供しております。

情報システム事業では、IT業界未経験者を積極的に採用しておりますが、充実した教育環境と実務経験を提供しており、また、仲間とともに切磋琢磨できる環境を整える等、エンジニア(注6)育成に力を注いでおります。育成期間を終えたエンジニアは自律自走し、取引先企業の成長や発展に貢献しております。業界未経験者が成長し、取引先企業や社会に貢献し自己効力感や自立を感じる『あの日』を創出しております。

各事業の内容は次のとおりであります。

 

 

(1) 観光HR事業

当社の主力事業である観光HR事業は、リゾートバイトに特化した人材派遣業及び人材紹介業を行っており、北は北海道から南は沖縄県まで日本全国の観光施設等に人材を供給しております。

 


 

当社が主に人材サービスを提供している観光産業は、我が国の力強い経済を取り戻すための重要な成長分野と期待されており、観光立国の実現に向け特に訪日外国人旅行者の誘致を推進する様々な施策や試みが観光庁主導で行われてきました。2013年に初めて1,000万人(注7)に達した訪日外国人旅行者数は、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年度には3,000万人(注8)を突破し、新型コロナウイルス感染症の蔓延を経た現在においても政府は2030年に6,000万人(注9)の訪日外国人旅行者数目標を継続して掲げております。

また、2022年5月に世界経済フォーラム(World Economic Forum)が発表した、「2021年旅行・観光開発指数レポート」において日本は世界一位を獲得しており、次に訪れたい旅行先として日本に対する注目や期待はより一層高まっているものと考えております。


 

なお、このような訪日外国人旅行者の増加を背景とした宿泊需要の高まりもあり、2013年に55.2%(注10)であった全国の宿泊施設の平均客室稼働率は、2019年には62.7%(注11)にまで向上しました。また、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大傾向であった期間においても宿泊施設の客室数は増加しており、2013年年度末時点で1,562,482室(注12)であった客室数は、2022年年度末時点には1,770,752室(注13)となり208,270室(13.3%)増加いたしました。このように宿泊需要が高まる一方で、生産年齢人口の減少や都市部への人口一極集中を背景に、地方圏に位置する観光施設等の人手不足感は加速度的に深刻化しており、2023年10月時点の調査(注14)でも旅館やホテルの非正規社員の人手不足割合は73.5%と全業種平均の30.9%を大きく上回っております。

 


 

当社は、宿泊業や地方圏における人手不足は、観光立国を目指す我が国にとって大きな社会課題であると認識しており、この課題解決につながるソリューションとして、リゾートバイトに特化した人材サービスを提供し、主に都市部の若手人材と、地方圏の求人企業である観光施設等との人材マッチングをサポートしております。

なお、生産年齢人口の減少や都市部への人口一極集中といった社会的背景は、当社がリゾートバイト希望者である人材を募集するにあたっても大きな課題となりますが、リゾートバイトならではの体験価値を求める層に広く支持され、創業より新型コロナウイルス感染症流行前の2019年まで、スタッフ登録者数は増加の一途をたどっております。

具体的な事業内容としては、まず、札幌市・仙台市・東京都新宿区・大阪市・福岡市・那覇市の6拠点の営業担当者が、当社と労働者派遣(紹介)基本契約を締結している観光施設等より求人情報を入手し、当社が運営するホームページである「リゾートバイトダイブ」や各種求人媒体に当該求人情報を掲載いたします。

 


 

求人情報を閲覧し、リゾートバイトに興味を持った人材は、「リゾートバイトダイブ」や各種求人媒体よりスタッフ登録の手続きを行います。登録に際しては、当社担当者が人材に対して面談を行います。希望のエリアや職種、勤務期間といった定量的な情報と、志望動機や求める体験等といった定性的な情報とを掛け合わせ、最適な勤務先を当社のデータベースより検索します。リゾートバイトは従業員寮で生活しながら勤務するという性質上、仕事と生活が一体となるため、一般的な求人情報だけではなく、従業員寮の間取りや設備といった住環境についても提案を行います。

また、勤務地である観光施設等は国立公園や国定公園内に位置することも多く、自然を満喫できる反面、生活環境については都市部と全く異なり、コンビニエンスストアや商店、銀行等の生活インフラが徒歩圏内に整っていない地域や、都市部と比較して交通の便が発達していない地域も多くあります。当社のデータベースには、観光施設等の担当者から提供された基本情報に加えて、当社営業担当者が現地に通うことで収集した情報、過去に勤務実績のある当社スタッフより収集したアンケート及び体験談に基づく実体験ベースの情報等、インターネットでは検索できない数多くの情報が蓄積されております。担当者がこのデータベースを面談に活用することで、人材の顕在ニーズを満たすことはもちろんのこと、人材が自身では気付くことが難しい潜在ニーズを引き出す事が可能となり、満足度向上や競争優位性の源泉に繋がっていると考えております。

 


 

 

面談後、勤務先が決定すると、当社と観光施設等との間で労働者派遣(紹介)個別契約を、人材派遣の場合は当社と人材との間で雇用契約を締結し、派遣スタッフ等として就業していただきます。

契約勤務期間の期限が近くなると、派遣スタッフ等と観光施設等、当社の3者間で契約期間延長の可否等を協議し決定します。赴任した勤務地に愛着を感じ延長を希望するケースも多くある一方で、より多くの地域に訪れてみたいとの希望から、例えば、夏は沖縄のビーチリゾートで勤務し、秋は紅葉で賑わう栃木県の日光で勤務し、冬のスキーシーズンには北海道のニセコで勤務するというケースもあり、場所に縛られず1年を通して複数の地域で勤務することにより、「初めて訪れる土地で、初めて出会う人たちに囲まれ、初めての仕事を体験する」といったリゾートバイトならではの体験を実現する方も多くおります。

また、派遣スタッフ等が複数箇所の勤務地で就業するため、派遣スタッフ等が勤務地に到着するまでの事務作業や複数回にわたる連絡等の高頻度の事務手続きが当社に発生する事となります。その高頻度の事務手続きを基幹システムや公式LINE等を用いてIT化することで業務の効率化を実現しており、高い参入障壁を構築していると考えております。

 



 

 

なお、派遣スタッフ等の就業にあたっては、①自宅から観光施設等への往復交通費を当社及び観光施設等がその一部又は全額を支給、②住居として観光施設等の保有する従業員寮や当社の用意する住まいを観光施設等及び当社が一部又は全額の費用負担をしており、派遣スタッフ等にとっては経済的なメリットも大きいため、これによって生まれた余裕資金が、その地域での観光や体験に充てられることにより地域の経済活性化にも繋がっていると考えております。

リゾートバイトの特性からも見て取れますように、当社は都市部の若者を地方圏へ移動させることを得意としており、創業当初より「旅行以上 移住未満」のリゾートバイト期間に、その地域と関わることとなる多くの方々を全国に送り出し、いわゆる関係人口(注15)の創出を行ってまいりました。また、近年では、地方移住及び地方創生に興味があり、より長期的に地方と関わりたいという方々が、リゾートバイトをきっかけに、その地域に移住した事例も生まれており、地域活性化に繋がっていると考えております。当社の派遣スタッフ等の平均年齢は27.9歳(2023年1月1日から2023年12月31日の1年間に採用及び紹介等をした派遣スタッフ等の平均年齢)となっており、デジタルネイティブ(注16)世代と言えますが、関係人口となった当社の派遣スタッフ等のなかには、自身のSNS(注17)等でその地域の魅力を発信するアンバサダー(注18)となり、地元の方々に期待されている方もおります。

 

リゾートバイトに特化した観光HR事業が地域の観光振興を支援し、また関係人口拡大に繋がることは、地方創生に資すると考えております。このことから、当社が地方創生に貢献できる余地は大きく、引き続き地域の期待に応えられるよう事業に邁進いたします。

 

本セグメントにおける収益の内容は以下のとおりであります。

(人材派遣)

人材派遣とは、派遣会社(当社)と雇用契約を締結した社員を、労働者派遣契約を締結した企業(派遣先)に派遣することをいいます。当社は、労働者派遣契約に基づき派遣先から派遣料金を受領することで収益を計上しており、派遣社員に給与の支払いを行った後の差額が当社の利益となります。

なお、観光HR事業の売上高のうち、98.5%(2023年6月期)が人材派遣業によるものであります。

 

(人材紹介)

人材紹介とは、企業(求人者)の求人依頼を受け、依頼に基づいた人材(求職者)を企業に紹介することをいいます。当社においては、紹介を受けた企業から受領した紹介手数料が収益となります。

 

 

(2) 地方創生事業

地方創生事業は、グランピング施設等を北海道芦別市(ザランタン芦別)・栃木県鹿沼市(ザランタン鹿沼)・茨城県常陸大宮市(ザランタンひたち大宮)・岡山県津山市(ザランタンあば村)・佐賀県佐賀市(ザランタン三瀬高原)の全国5ヶ所(2024年1月現在)で運営しており、グランピング施設のブランド名を「ザランタン」としております。

なお、2024年3月に香川県東かがわ市に新業態である滞在型アウトドアホテル(注19)(クラフトホテル瀬戸内)の開業を予定しております。

グランピングは、キャンプに出かける際に煩わしく感じることが多いキャンプ道具の持ち運びや、テントの設営・撤収、食事の準備・片付け等の大部分を宿泊施設側で行うことで、手軽に大自然の中での宿泊体験が可能となり、世界規模で注目を集めております。日本においても、2015年の星野リゾートのグランピング施設開業は注目を集め、グランピングの人気はミレニアム世代(20~30代)を中心に高まっていると感じております。グランピング人気が高まる一方で、1泊3万円を超える高価格帯のグランピング施設も多いため、グランピングでの宿泊体験を希望するユーザーの中には、予算が合わず断念する層も多く存在すると認識しております。当社は比較的低い価格帯で楽しめるグランピング施設等を運営することで、カジュアルにグランピングを楽しみたいというニーズを取り込んでおります。

また、当社のグランピング施設等は、主に地方公共団体が所有管理する公共施設や、観光地としての開発がまだなされていない非観光地の遊休施設及び遊休地を活用して行っており、その地域に訪れる人を増やし、また雇用を創出することで地域の活性化に貢献しております。

事業内容としては、グランピング施設等の企画開発・経営・運営を一気通貫で行っており、具体的には、用地開拓や市場調査、コンセプト策定、施設や設備の企画、販売戦略の立案、施設の運営等となります。特に、観光HR事業と連携したスタッフ採用や人員数の最適化等といった人材活用面と、自社運営メディアを活用した集客面に強みを持っております。

その他に、一部のグランピング施設の運営体制について、ザランタン三瀬高原及びザランタンひたち大宮については、当社と協働で施設運営を行うパートナー企業が存在し、当該企業が宿泊者に提供する料理の仕入れや調理を行っております。また、ザランタンあば村については、パートナー企業と共同事業体として指定管理業務を実施しており、当社が宿泊客への食事の調理及び提供を含めたサービスを行い、パートナー企業が宿泊客からの利用料金の徴収を行っております。

当社が運営するグランピング施設の宿泊単価は、1泊2食体験付きの宿泊プランの場合でも大人1人あたり1.5万円前後(2023年6月期の当社実績)に設定されており、以下の特徴によりリーズナブルな価格設定を可能としております。

 

① 開発コストの優位性

用地については、主に地方公共団体が所有管理する公共施設や、観光地としての開発がまだなされていない非観光地の遊休施設及び遊休地を活用しており、安価な賃料や提携料であると考えられること。

施設については、既存の施設を利活用するため、新たに入浴設備や上下水道等を整備する必要が無い場合が多く、初期投資の大幅な抑制を可能としていると考えられること。

 

② 集客コストの優位性

集客については、当社が運営するグランピング施設等の専門サイト「GLAMPICKS」(注20)を活用して、いわゆるD2C(注21)での集客を行うことでOTA(注22)を含めた旅行会社等に送客手数料等を支払う必要が無いこと。

 

③ 運営コストの優位性

グランピング施設等の運営スタッフの採用については、当社の主力サービスである観光HR事業からのスタッフ紹介を活用することにより、通常人材採用時に必要となる人材募集費用を要しないこと。

グランピング施設等の運営スタッフの人員数については、当社の主力サービスである観光HR事業と連携することで、グランピング施設の繁忙期・閑散期に合わせた、最適な人員数での運営が容易となるほか、経営の合理化を目的として、最閑散期である冬季にグランピング施設等を一時休業させ、その後春季に営業再開を図る場合にも、観光HR事業と連携することで、余剰人員を抱えることなく最適な人員数での運営が容易となり、人件費を最適化できること。

 

 


 

なお、アルバイトスタッフのうち約54.6%が観光HR事業から紹介されたスタッフであります。

地方創生事業の進出エリアに関する方針は、前述のとおり観光地としての開発がまだなされていない非観光地を主なターゲットとしております。非観光地を既に観光地化されたリゾート地と比較した場合、非観光地は競合となる宿泊施設が多くないことや、土地及び建物等の物件を好条件で獲得できること等、進出の余地は非常に大きいと考えております。その一方で、非観光地は知名度の低さから集客面には課題があり、また人口減少が進む地方圏であることから働き手の確保にも難しさがあります。当社はこれらの課題を、自社運営メディア「GLAMPICKS」の集客力を活用し、また観光HR事業と連携することで人手不足の解消を図り、非観光地でのグランピング施設等の運営を順調に行ってまいりました。このような実績から、地方公共団体等を中心とした地方圏からのお問い合わせも増加しており、観光HR事業同様に当社が地方創生に貢献できる余地は大きいと感じております。引き続き、各地の地方公共団体等や出店地域で生活する皆さま、出店地域で事業パートナーとなり得る事業者様等の期待に応えられるよう事業に邁進いたします。

 

 本セグメントにおける収益の内容は以下のとおりであります。

 (パートナー決済の場合)

  宿泊施設を管理する企業(パートナー企業)が宿泊客より宿泊料金を受領した後、当社とパートナー企業が締結した契約内容に基づき、当社がパートナー企業に対して業務提携料を請求しております。当該請求及び契約内容に基づき当社の収益を計上しております。

 

 (当社決済の場合)

  当社が宿泊客より受領する宿泊料金が収益となります。また、当社と宿泊施設を管理する企業(パートナー企業)が締結した契約内容に基づき、パートナー企業に当社が業務提携料を支払い、宿泊料金との差額が当社の利益となります。

 

 (メディアサービス)

  当社が運営するグランピング施設等の専門サイト「GLAMPICKS」に、宿泊施設等を掲載する企業(広告主)より受領した掲載料等が当社の収益となります。

 

 

(3) 情報システム事業

情報システム事業は、情報システム周り全般のサポートを行っており、「情報システムの担当者がいない」「人員や知識量が限られている」「1名で情報システムを担っており、業務が属人化している」等、顧客の課題に合わせて最適なサービスを提供しております。

IDC Japan「国内 IT サービス市場 産業分野別予測、2023年~2027年」によると2023年の国内ITサービス市場は、世界的なインフレーションや景気後退懸念といった先行きの不透明感の増大に伴い、ITサービス投資抑制の影響が懸念されておりますが、半導体/部材不足による製品の調達遅延に伴うハードウエア関連サービス市場へのマイナス影響の段階的な解消に加え、デジタルビジネス化(注23)を図る国内企業のシステム刷新及び新規システム構築の需要に支えられ、堅調な成長を継続するとみられており、また2024年以降は、既存システムの単純なクラウド移行(注24)型案件から、ITアーキテクチャのモダナイゼーション(注25)等を含めた、より本質的な企業全体のデジタルビジネス化に関わる支出が牽引し、プロジェクトベースを中心に継続的に市場が拡大するとみられております。このようにITサービスの市場規模は今後も拡大する事が見込まれておりますが、その一方で、IT人材の供給の増加は今後も緩やかであると予測されており、IT需要の伸び率を中位として試算した場合でも、2030年には約45万人のIT人材が不足すると推測されております(注26)。

このような環境の中、当社の情報システム事業では、業界未経験者を積極的に採用し、社内での教育研修やOJT(注27)等を通した人材育成を行っており、増加する顧客からの要望にスムーズに対応することを目指すとともに、採用費及び人件費を抑制した事業運営を図っております。

具体的な事業内容としては、顧客の特徴にあったシステムの選定及び導入・PCキッティング・RPA(注28)導入支援・拠点開設や移転に伴うシステム整備等、多岐に渡ります。当社が運営するホームページである「情シスダイブ」に問い合わせを行った企業や、業務提携契約を締結したパートナー企業からパートナー企業の顧客の紹介を受け、当該企業及び顧客に対して当サービスを提供しております。

 

  本セグメントにおける収益の内容は以下のとおりであります。

  (情報システム事業)

 当社と業務委託契約を締結した企業(パートナー企業)より、紹介を受けた顧客(サービス利用企業)に対して当社がサービス等の提供を行い、業務委託契約内容に基づき、パートナー企業より受領した報酬が当社の収益となります。

 

 なお、当社は、いずれの事業に対しても積極的なIT・デジタル投資を行っており、業務の効率化はもとより、顧客の体験価値向上を目指しております。また、業務効率化により、人手や時間を費やしていた単純作業等の削減に努めており、従業員がより高度で創造的な業務に注力できる働き甲斐のある職場づくりに取り組んでおります。

 

 

(注) 1.リゾートバイトとは、日本全国のリゾートホテルや旅館、飲食店・テーマパーク・レジャー施設・スキー場等に短期間移住し、従業員寮で生活しながら、勤務する働き方です。労働の対価として収入を得るだけではなく、海外でのワーキングホリデーに近い体験価値を国内でも得られる手段として当社では主に25歳から44歳までの社会人を中心に支持されております。なお、ワーキングホリデーとは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々が相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度であります。

2.グランピングとは、グラマラス(魅力的な)とキャンピングを組み合わせた造語で、大自然の中で手軽に楽しめるキャンプであります。

3.情報システムとは、デジタル化された情報を記録、処理、伝達する仕組みを指します。

4.当社では「若者」の定義を、年齢の大小ではなく、好奇心や冒険心が旺盛で積極的に行動する人としております。

5.当社では、観光の対象が未開発である、または存在するものの知られていないがために、観光客が少なく交通機関や宿泊施設等が十分に整備されていない地域のことを「非観光地」と定義しております。

6.エンジニアとは、「工学(人工システムの開発企画・設計、製作、運用、保全の基礎となる学問)」の知識や技術を利用して、便利で快適な環境を作る技術者を指します。

7.出典:観光庁「平成26年度観光の状況」及び「平成27年度観光施策」(観光白書)

8.出典:観光庁「令和元年度観光の状況」及び「令和2年度観光施策」(観光白書)

9.出典:観光庁「観光を取り巻く現状及び課題等について」(令和3年11月)

10.出典:観光庁 宿泊旅行統計調査報告(平成25年1~12月)

11.出典:観光庁 宿泊旅行統計調査報告(平成31年1~令和元年12月)

12.出典:政府統計の総合窓口(e-stat)平成25年度(2013年度)衛生行政報告例

13.出典:政府統計の総合窓口(e-stat)令和4年度(2022年度)衛生行政報告例

14.出典:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2023年10月)

15.関係人口とは、移住した「定住人口」ではなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面しておりますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されております。(総務省ホームページより抜粋)

16.デジタルネイティブとは、生まれた時、又は物心がついた時からインターネットやパソコン、スマートフォンがある環境で育ってきた世代を指します。インターネットの活用方法として、インターネット検索で情報を取得するだけではなく、自らインターネットで情報を積極的に発信する世代だと言われております。

17.SNSとは、Social Networking Serviceの略であり、インターネット上に自分の生活上の出来事や趣味、意見等を公開して、世界中の人との交流が可能となるサービスです。(例:Facebook、X「旧Twitter」、TikTok、Instagram等)

18.アンバサダーとは、日本語で「大使」や「使節」等に訳され、観光大使のことを観光アンバサダー、又は単にアンバサダーと呼ぶ場合もあります。当社では、その地域や施設等のファンであり、自ら積極的に好意的な発信活動をする方を指します。

19.滞在型アウトドアホテルとは、当社が現在計画している宿泊施設の一業態であります。アウトドアの要素を取りいれた宿泊施設であり、その施設を起点に飲食、アクティビティ、土産等他の観光機能は地域全体の事業者と連携し、分散させることで地域全体の活性化を図る施設です。

20.GLAMPICKS(https://glampicks.jp)は、当社が2019年8月より運営するグランピング施設等の専門サイトです。GoogleやYahoo!等の検索エンジンにおいてグランピング関連ワードで軒並み掲載順位1~2位を獲得しており、個人旅行者の集客に強みを持ちます。※例[グランピング 安い]でスポンサーを除く検索順位1位(2023年6月期末時点)、掲載施設数は467件(2023年6月期末時点)、2023年6月期の重複を除いた年間サイト利用者(ユニークユーザー)数は、430万人を超えております。

21.D2Cとは、Direct-To-Consumerの略であり、中間流通業者を通さずに、自社のECサイト等を通じて製品を顧客に直接販売することを意味し、直接販売の一形態であります。

 

22.OTAとは、Online-Travel-Agentの略であり、インターネット上だけで取引を行う旅行会社のことを指します。一般的な送客手数料は、宿泊代金の8~20%程度と言われております。(例:楽天トラベル、じゃらん、Booking.com等)

23.デジタルビジネス化とは、テクノロジーを活用することで、伝統的なビジネスモデルやプロセス、顧客体験等を、新たな価値や収益を生みだすビジネスモデル等に変革させることを指します。

24.クラウド移行とは、企業のソフトウエアやデータ等の資産を、自社に設置してあるサーバからクラウドサーバへ移行することであります。

25.ITアーキテクチャのモダナイゼーションとは、最新の業界標準へ対応できなくなったシステムを最新のテクノロジーや、業界標準に合わせて最適化することであります。例えば、古いハードウエアやソフトウエアを最新のものに置き換えること、最新のセキュリティ対策を実装する等、ITにおけるシステムやリソースの効率性・信頼性・パフォーマンスを向上させるための改善を行うことを指します。

26.出典:経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」

27.OJTとは、On-the-Job-Trainingの略であり、職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練であります。

28.RPAとは、Robotic-Process-Automationの略であり、ソフトウエアロボットを使用し、日常の仕事等で、型どおりの反復的な業務プロセスを自動化する技術であります。

 

 

〔事業系統図〕

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

(観光HR事業)

 


 

(地方創生事業)

 


 

(情報システム事業)

 


 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2024年1月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

137

31.0

3.4

5,921

(43)

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

観光HR事業

76

(5)

地方創生事業

24

(35)

情報システム事業

10

(1)

 報告セグメント計

110

(41)

全社(共通)

27

(2)

合計

137

(43)

 

(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。なお、当社雇用の人材派遣社員については従業員数及び臨時雇用者数には含まれておりません。

2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

3.臨時従業員には、パートタイマー及び契約社員を含み、派遣社員を除いております。

4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

5.全社(共通)は、事業開発グループ、総務部及び経理部等の管理部門の従業員であります。

6.最近1年間において、従業員が45名増加しております。主な理由は業容の拡大に伴い、期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2) 労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

当事業年度

補足説明

管理職に占める

女性労働者の

割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

13.0

75.0

93.0

79.0

98.7

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。