第二部 【企業情報】

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第1期

第2期

第3期

決算年月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

売上高

(千円)

103,688

344,466

617,397

経常利益

(千円)

19,618

14,553

63,399

当期純利益

(千円)

13,839

11,193

49,930

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

9,900

9,900

9,900

発行済株式総数

(株)

9,900

9,900

9,900

純資産額

(千円)

23,739

34,933

89,211

総資産額

(千円)

95,715

242,285

341,115

1株当たり純資産額

(円)

2,397.95

3.53

9.01

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

1,397.95

1.13

5.04

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

24.8

14.4

26.2

自己資本利益率

(%)

82.3

38.2

80.4

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

13,289

40,931

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

75,369

39,689

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

93,671

16,804

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

81,903

18,086

従業員数
〔外、平均臨時
雇用者数〕

(名)

6

20

29

-〕

-〕

-〕

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移は記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

3.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

5.第1期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目について記載しておりません。

6.第3期における営業活動によるキャッシュ・フローは、40,931千円の支出(第2期は13,289千円の収入)となりました。これは、契約負債の減少33,066千円や棚卸資産の増加20,876千円によるものであります。

7.第2期における投資活動によるキャッシュ・フローは、75,369千円の支出となりました。これは、本社移転等に伴う有形固定資産の取得による支出21,777千円によるものであります。また、第3期における投資活動によるキャッシュ・フローは、39,689千円の支出となりました。これは、本社移転等に伴う有形固定資産の取得による支出47,061千円によるものであります。

8.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

9.第1期、第2期及び第3期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しております。なお、第2期及び第3期財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、監査法人A&Aパートナーズにより監査を受けております。第1期の財務諸表については、当該監査を受けておりません。

10.当社は2020年3月16日設立の為、第1期は2020年3月16日から2021年2月28日までの11ヶ月と13日間となります。

11.当社は、臨時従業員を有しておりません。

12.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第3期の期首から適用しており、第3期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

13.当社は、2023年11月15日開催の取締役会決議により、2023年12月8日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っております。第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算出しております。

14.当社は、2023年12月8日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第1期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、監査法人A&Aパートナーズの監査を受けておりません。

 

回次

第1期

第2期

第3期

決算年月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

1株当たり純資産額

(円)

2.40

3.53

9.01

1株当たり当期純利益

(円)

1.40

1.13

5.04

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

 

 

2 【沿革】

 当社は、代表取締役社長南塲勇佑により、2020年3月にAI技術を用いて製造業の自動化を支援することを目的として創業いたしました。

 当社設立以降の主な沿革は、下記のとおりです。

年月

概要

2020年3月

東京都中央区八丁堀において資本金9,900千円で、当社を設立

2020年3月

DXコンサルティング開始

2020年7月

AI外観検査システム Phoenix Vision/Eye開発・販売開始

2021年7月

本社を東京都中央区日本橋茅場町へ移転

2022年7月

本社を東京都中央区晴海へ移転

2023年3月

ISO/IEC 27001:2013(ISMS)の認証を取得

 

 

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の概要

当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」ことをミッションに掲げ、製造業界向けに、AI技術及びIoT(注1)技術等の新しい技術を活用したサービスを提供しております。当社がサービスを提供している日本の製造業界は、グローバル化や技術革新に伴うアジアの国々を代表とする新興国の工業化による「国際競争の激化」や少子高齢化に伴う労働人口の減少による「人手不足」等の構造的な課題に直面していると当社では捉えております。これらの課題に対処すべく製造業界においては生産性向上のためのAIやIoT等の新しい技術を活用したDX(注2)が強く求められていると判断しております。

当社が製造業界に提供するものは、生産性向上のソリューションとして、AIの技術を活用し自社開発する「AIシステム」及び顧客のDX推進のための「DXコンサルティング」の2つとなります。AIシステム及びDXコンサルティングは、以下に記載する特徴があると考えておりますが、それらは製造業に特化することにより、この分野でのノウハウや専門性を短期間に有することができ、より高品質なソリューションの提供が可能となるように努めてきたことによります。

当社の見解では現在、製造業に向けて両ソリューションを提供している企業は国内において多くなく、当社の優位性に繋がるものと考えております。また、同一企業へ両ソリューションの導入を推進することにより、企業のDXを加速させ、一企業における収益の最大化を図っております。

 

[当社が提供する2つのソリューション]


 

なお、当社では、AIシステムを提供した顧客へはDXコンサルティングを、DXコンサルティングを提供した顧客へはAIシステムを提供することを推進しており、両ソリューションは完全に分離されるものではなく、両要素を異なるバランスで含んでいることから、経営管理上はセグメントの分離をせず、「製造業DX事業」の単一セグメントとしております。

 

(注) 1.IoT(Internet of Things)

IoTは、あらゆるモノをインターネット(あるいはネットワーク)に接続する技術であり、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。

2.DX(Digital Transformation)

DXは、デジタルトランスフォーメーションの略となります。デジタルトランスフォーメーションとは、企業がデジタル技術によって業務やビジネスの変革をすることを指します。

 

 

① AIシステム

(特徴)

当社は、自社のエンジニア部門においてAIシステムの企画・研究・開発を行っており、特定の顧客ごとに仕様を大幅に調整する必要がない汎用性の高いシステムを開発し、顧客の製造ラインの製造環境及び解決したい課題に合わせて、AIシステムの提供だけでなく、撮像機器等の周辺のハードウェアと組み合わせて提供することで、顧客の製造ラインの自動化を実現しています。

従来、製造ラインの検査工程において検査員の目で行われていた良品/不良品の判定について、人の目に頼らず省力化・自動化を可能にするAI技術を活用したAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」の開発・販売を行っております。

さらに当社は、顧客に対して、このようなAIシステムの販売に加えて、より高い検査精度を達成するための撮像環境を構築するために、カメラやセンサー等の撮像機器等についても、組み合わせて提案・提供を行っております。

 

[AIシステム導入による効果]

 


 

[当社製品AIシステム「Phoenix Vision/Eye」]

 


 

 

[製造ラインでの運用イメージ]


 

(当社の強み)

a 製造業に対する豊富な知識

当社が対面している製造業の顧客にサービスの価値を訴求し販売を行うには、豊富な製造業の知識及び高い精度の実現が必要になります。製造業界においては、商談やサービス提供の過程において、高度な業界知識、製品知識及び製造工程に関する知識が求められます。当社は、製造業界出身者が多く在籍していることに加え、マニュアル化や社内教育により、製造業界出身者以外の者でも十分なパフォーマンスを発揮できるための仕組みを整えていると当社では考えております。

なお、外観検査システムは通常1製造ラインごとの導入となり、その製造ラインでの効果が実証されることにより同一企業の別ラインへの追加導入へと繋がり、継続的な収益を見込むことが可能と当社では考えております。当社は工場現場の状況やデータ、解決したい課題に基づき、顧客に合わせた自動化や効率化の提案ができる点に強みがあると当社では考えており、その実績により複数の企業で追加導入へ至っております。

 

b 企画から導入までワンストップ対応

当社はAIシステムの開発・販売だけでなく、企画からカメラやセンサー等の撮像機器及び検査装置の製作等の提案、設置、稼働までをワンストップで提供しております。AI外観検査システムは、撮像条件により大きく検査精度が左右されますが、当社以外のAIベンダーでは、ソフトウェアのみを販売し撮像機器等については顧客側で別途調達しており、本番環境下において導入検討時と同水準の検査精度を出せない事例が多く見られます。

当社は、製造業界や画像検査領域での知見が豊富であり、ソフトウェアと撮像環境をワンストップで企画・提案・販売することにより、導入後の本番環境下でも高い検査精度を実現することが可能と当社では考えております。

 

c 自社開発のAI技術による外観検査処理

外観検査の処理技術には、従来技術であるルールベースと当社が開発しているAI技術を用いた2つが存在します。ルールベースは、人が設定した検査ルールに基づいて良品/不良品を判断することから検査基準が明確となりますが、設定には専門知識が必要なうえ、条件が複数ある場合にはその分の検査基準を全て事前に登録する必要があり、検査結果においてもその検査基準に完全に一致したもののみを検出します。そのため、明るさ等の環境変化に応じた設定を行うことは大変難しく、大量の製品を製造しつつ不良品の出荷をゼロとするには、例え良品であっても一定の基準を満たさない製品を歩留まりにして熟練の検査員による検査をもって良品/不良品を判断している製造現場があります。このような製造現場では、良品でありながらも歩留まりにせざるを得ないことに頭を悩ませている場面が見受けられます。

一方で、AI技術を用いた場合は、良品/不良品の画像を学習データとして与えて自己学習させていくことで特徴を自動的に抽出して判断するようになります。曖昧さや柔軟性等は、試行回数を増やせば増やすほど数値化して表現することができ精度も高められることから、熟練の検査員による官能検査が必要なケースに非常に有効です。工数削減又は歩留まりの大幅な解消が期待できると当社では考えております。

 

d 汎用性の高さ

AI外観検査システムの核となる基盤は、自社が開発する汎用性の高いソフトウェアであるため、特定の顧客ごとに仕様を大幅に調整する必要がなく、要望によっては注文を受けてから1週間程度で導入することが可能です。操作性も容易なため、顧客側での設定調整や導入後の運用において、操作者の熟練度等に左右されません。

また、当社製品の外観検査処理にはAI技術に加え、ルールベースも搭載しております。学習データ用の良品/不良品画像を蓄積し十分に学習させるまでは、従来のルールベースで使用することも可能です。このように、汎用性の高さにより検査する商品や特徴が変わっても顧客の要望に合わせて対応が可能なため、大手製造業で同一工場に複数のラインがあっても、大きな仕様変更を行うことなく、全ラインに導入の機会があります。加えて、大手製造業であれば国内だけでも複数の工場を保有しており、今後は、既存顧客のライン追加案件の比率が高まることが予想され、獲得コストの低減に繋がると当社では考えております。

 

(導入実績)

これまでの「AIシステム開発・販売」の実績は、自動車業界及び食品業界を中心に、2023年2月期までに累計69社であります。AIシステム及びその周辺機器の販売を通じた2023年2月期の平均販売単価は、10,028千円であります。導入事例として、大手自動車メーカーにおける「部品の傷の自動検査」、大手即席麺メーカーにおける「かやくとソースの自動分類」、大手ハムメーカーにおける「生成されたハムの自動検査」等があり、人が行っていた業務の自動化を実現しています。

 

[外観検査自動化例]


 

 

② DXコンサルティング

(特徴)

日本の製造業界は、新興国の工業化による国際競争力の激化や少子高齢化に伴う労働人口の減少による人手不足等の構造的な課題に直面していると当社では捉えております。当社は、その課題解決にDXコンサルティングが有効と考えており、AIやIoT等の新しい技術を活用したDX推進を支援するサービスを提供しております。

当社のコンサルタントが顧客のDXプロジェクトにおいて、課題設定フェーズから運用フェーズまでのプロジェクト全体に携わっております。

 

[サービスの内容]


 


 

(当社の強み)

当社が対面している製造業界においては、製造現場の生産性向上を目的としたDXの推進が急務となっているものの、製造業の企業にはAIやIoT等の新しい技術に精通している人材が不足しており、必要なデータがない、データが生産設備から取得できないことによってDXの推進が想定通りにいかないケースがあると当社では捉えています。

一方で、製造業、特に製造現場におけるDXには、製造業界や製造工程に対する豊富な知見が必要になりますが、AIベンダーやDXコンサル企業に、製造業界や製造工程に対する豊富な知見を有している人材は多くはなく、そのため製造現場にDXのコンサルサービスを十分なレベルで提供できる企業は多くはないと当社では想定しております。

当社は、製造業に特化してきたことにより、製造業及び製造工程における多くの知見と実績やノウハウを有することができ、顧客の生産設備からデータを取得するためのデバイスの選定から、データ取得、分析、結果を踏まえた実際の運用までを支援しています。そして、製造現場のDXプロジェクト全体を通じて、より質の高いサービスを提供することに取り組んでおります。また、当社は、人材育成、テーマ選定、検証、開発、運用に至るまで、単なるアドバイスではなく、ハンズオンでの開発支援ができることが特徴であると考えております。

 

[当社が導入したソリューション]

 


 

(導入実績)

これまでの「DXコンサルティング」の実績は、自動車業界及び食品業界を中心に生産工程における複数の領域で導入したほか、同一企業から幅広く課題に対する相談を受け複数回の成約を獲得し、2023年2月期までに累計19社であります。2023年2月期のDXコンサルティングの平均販売単価は、2,121千円であります。

 

 

[事業系統図]

 


 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2023年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

45

33.0

0.9

5,333

 

(注) 1.当社は、臨時従業員を有しておりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。

4.最近日までの1年間において従業員数が10名増加しております。主な理由は、事業の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2) 労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。