第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第13期

第14期

第15期

 

第16期

第17期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

 

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

831,909

993,692

954,403

 

984,563

1,440,025

経常利益

(千円)

239,569

263,095

250,802

 

304,969

464,357

当期純利益

(千円)

204,959

189,873

195,623

 

199,926

319,813

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

 

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

 

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

2,000

2,000

2,000

 

17,600,000

17,600,000

純資産額

(千円)

1,055,334

1,245,207

1,718,746

 

160,661

480,474

総資産額

(千円)

1,235,279

2,405,639

2,720,568

 

1,191,096

920,146

1株当たり純資産額

(円)

527,667.24

622,603.85

859,373.48

 

45.64

136.50

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

 

(-)

(-)

(-)

 

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

102,479.76

94,936.61

97,811.69

 

489.36

90.86

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

 

自己資本比率

(%)

85.4

51.8

63.2

 

13.5

52.2

自己資本利益率

(%)

21.5

16.5

13.2

 

21.3

99.8

株価収益率

(倍)

 

配当性向

(%)

 

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

 

153,447

432,234

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

 

33,955

14,807

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

 

203,000

795,000

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

 

698,022

320,449

従業員数

(名)

45

52

60

 

56

65

 

 

(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

4.当社は配当を行っておりませんので、1株当たり配当額及び配当性向につきましては、それぞれ記載しておりません。

5.株価収益率については当社株式が非上場であるため記載しておりません。

6.第13期から第15期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

7.主要な経営指標等の推移のうち、第16期から第17期については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、監査を受けております。なお、第13期から第15期については 、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、監査を受けておりません。

8.前事業年度(第16期)及び当事業年度(第17期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づいて作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。

9.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期の期首から適用しており、2022年3月期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております

10.当社は2022年2月22日付で普通株式1株につき普通株式1,000株の割合で株式分割また、2023年9月30日付で普通株式5株につき普通株式1株の割合で株式併合を行っておりますが、第16期の期首に当該株式分割及び併合が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

11.当社は、2022年2月24日開催の取締役会決議により、2022年3月31日付で、当社を吸収合併存続会社、ユナイテッドソリューションズ株式会社(以下、「US社」という。)を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施いたしました。そのため、第16期の純資産及び総資産の額は、第15期と比較して大幅に変動しております。

12.2022年2月22日付で普通株式1株につき普通株式1,000株の割合で株式分割を行っております。また、2023年9月30日付で普通株式5株につき普通株式1株の割合で株式併合を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第13期の期首に当該株式分割及び株式併合が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに纏めると、以下のとおりとなります。なお、第13期、第14期及び第15期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第13期

第14期

第15期

 

第16期

第17期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

 

2022年3月

2023年3月

1株当たり純資産額

(円)

2,638.34

3,113.02

4,296.87

 

45.64

136.50

1株当たり当期純利益

(円)

512.40

474.68

489.06

 

489.36

90.86

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

 

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

 

(-)

(-)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

事項

2006年4月

吉田 裕次氏(元代表取締役社長)及び磯和 治彦氏(元取締役)が共同で経営管理領域に関するソフトウエア(OutlookSoft)の販売及び導入を目的としたOutlookSoft Japan(株)(現 当社)を東京都中央区築地四丁目に設立(資本金17,000千円 株数340株)

2007年3月

資本金を20,000千円に増資 株数400株

2007年5月

東京都中央区京橋二丁目に移転

ドイツのSAP SEが米OutlookSoft Corporationを買収。それに伴いOutlookSoft Japan(株)(現 当社)はソフトウエア販売代理店業務から脱却を企図(その後段階的に終了)

2008年12月

OutlookSoft Japan(株)(現 当社)の持株会社としてAcclaim Capital(株)を長野県北佐久郡軽井沢町に設立(資本金3,000千円 株数400株)

2009年1月

OutlookSoft Japan(株)(現 当社)の社名をアウトルックコンサルティング(株)(以下、当社)に商号変更

当社の資本金を100,000千円に増資 株数2,000株

2009年11月

自社製品である経営管理ソフトウエア「Sactona(サクトナ)」提供開始

2012年12月

開発拠点をシンガポール ロビンソンロードに開設

2016年6月

開発センターをシンガポール ロビンソンロードから長野県北佐久郡軽井沢町に移転

2018年10月

当社が東京都中央区日本橋二丁目に移転

2019年2月

アスパラントグループ(株)が特別目的会社としてユナイテッドソリューションズ(株)を東京都港区赤坂二丁目に設立(資本金1千円 株数1,000株)

2019年3月

ユナイテッドソリューションズ(株)がAcclaim Capital(株)の全株式を取得

2019年12月

代表取締役会長兼社長に原 知己が就任

2020年2月

代表取締役社長に村上 和也氏が就任

2021年1月

Acclaim Capital(株)と当社が合併(存続会社は当社)

2021年3月

代表取締役社長にアスパラントグループ(株)出身の平尾 泰文氏が就任

2021年11月

当社が東京都港区南青山三丁目に移転

2022年3月

ユナイテッドソリューションズ(株)と当社が合併(存続会社は当社)

 

(注)1.「Sactona」の開発経緯について

当社は、2006年4月に創業者である吉田 裕次が、戦略立案、予算編成、予測等の経営管理に特化した管理システム「OutlookSoft」の販売代理店業を行うため、OutlookSoft Japan株式会社(現 当社)を設立いたしました。当時は、多くの上場企業でグループ経営管理が定着しつつあり、企業業績管理ソフトウエアが導入を始めていた時期でありました。しかしながら、当時の企業業績管理ソフトウエアは、統合基幹業務システム会社が提供するソフトウエアであったため、柔軟性に欠けるものが多く、グループ経営管理業務ニーズを満たす機能を備えておりませんでした。そのような状況の中で、企業業績管理ソフトウエアの開発・導入を専業で行う会社が世界的に増加していきました。その先駆者となる企業が、アメリカのHyperion Software Corporation(以下、「ハイペリオン」という。)でありました。その後、ハイペリオンの創業者が、より自由にカスタマイズできる企業業績管理ソフトウエアを開発するため、アメリカにOutlooksoft Corporationを設立いたしました。当社はExcelをインプット/アウトプットツールとして全面的に採用し、幅広い適用領域を実現したこの製品であれば市場を獲得できると判断し、同社の主力製品である「OutlookSoft」を日本で展開するため、非独占販売ライセンスを取得し事業を開始したことが、当社の設立経緯であります。

当社設立後、日本における「OutlookSoft」の販売は、大企業向けに順調に拡大してまいりましたが、2007年にドイツのSAP SEがOutlooksoft Corporationを買収したことを契機に、当社は「OutlookSoft」販売代理店業から脱却を企図いたしました。

その後、当社は「コストパフォーマンスに優れたソフトウエアの提供」、「持続可能性の高いBPR(注)」の実現を目指し、独自の製品を開発することを目指しました。約2年間の研究開発を経て、Microsoft CorporationのExcelと親和性のある製品「Sactona」を開発いたしました。

注)BPR…「ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)」の略称で、プロセスの観点から業務フローや組織構造、情報システムなどを再構築し、業務改革することを意味します。

 

2.代表取締役の変遷及びファンド受入の経緯について

当時当社代表取締役であった吉田 裕次氏が、当社の更なる発展のためには付加価値をもたらす新たな株主に経営を委ねる事業承継が適切であると考え、M&A助言会社からの紹介で当社の持株会社であったAcclaim Capital株式会社の全株式の取得を検討しました。AG2号投資事業有限責任組合を業務執行組合員として運用するアスパラントグループ株式会社は、ソフトウエア業界の会社への投資を一つの柱としており、当社の更なる発展に貢献できるものとして株式譲受を決定したものです。

AG2号投資事業有限責任組合による株式取得後、同社から非常勤役員が4名派遣されました。派遣役員には当社の組織強化、営業支援を期待していました。派遣役員は、週次、月次の事業報告資料作成支援による事業進捗の見える化、中期経営計画の策定支援、また営業会議やManager会議にも出席し他社の事例共有、競合分析などに協力いただきました。また、吉田元代表取締役の退任に当たり、後任社長(村上前代表取締役)の選考にも支援をいただきました。

2022年1月からは同社からの派遣役員であり、非常勤役員であった平尾が代表取締役に就任いたしました。その後は、同社の理解のもと、平尾が各本部内の業務に深く関与し、提案資料の見直しや価格体系変更を含めた営業戦略の見直し、またCFO採用、監査等委員会移行、内部統制室設置などといった組織体制の見直し、事業進捗状況の社内への透明化、従業員へのインセンティブ制度の導入などを進めました。

かかる活動の結果、同社の株式保有期間を通じて、顧客数、売上、営業利益はほぼ倍増、役職員数も約6割増となり、また社内の風通し、透明性も改善、組織体制も強固になったことから当初期待していた役割を十分に果たしていただいたものと評価しております。

 

 

 

3 【事業の内容】

当社の事業内容は次のとおりであります。なお、当社は単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

当社では、企業の予算管理・予算編成・経費予算管理などの管理会計・経営管理を高度化・効率化するための当社独自開発のクラウド対応型経営管理システム「Sactona」の開発・販売・導入・保守・インフラストラクチャー提供を事業とし、多くの国内企業へ導入を行ってきております。

経営管理分野は、個別の企業ごとに集計数値、管理の手法、指標の設定などが異なるので、統一されたシステムの採用が出遅れていた分野と言えます。大多数の会社において担当者が、Microsoft Corporation(以下、「マイクロソフト社」という。)のExcel(注1)に代表される表計算ソフトを使って作成した表を駆使しながら、多大な時間と手間を掛けて作業に取り組まれてきた領域ですが、取扱い情報量や処理の増加に伴い、作業の長期化、ミスの多発、属人化などが問題視されてきております。当社の「Sactona」ならびにコンサルティングサービスは、そうした企業に対するソリューションとして利用が増加しております。

当社は創業以来、情報技術と知見を通して全ての企業、社会のより良い未来の実現に貢献するため、企業や社会のOutlook(見通しや展望)をより見えるようにし、それを企業活動に活かすための製品・サービスを開発・提供してきております。そして私たちは、次の価値観を持って日々の業務に取り組んでおります。

 

当社は自社開発製品である「Sactona」を継続的に発展・進化させつつ、経営管理の経験を積んだ当社コンサルタントが、顧客のニーズをヒアリングしながら、「Sactona」を基盤として、顧客にとって最適な形でアプリケーションを開発し、導入しております。

基盤となる「Sactona」においては個別のカスタマイズはせず、顧客ごとに異なる帳票管理や運用は「Sactona」上で個別にアプリケーションを開発するやり方を取ることにより、顧客ニーズに合致するシステムを柔軟にかつ経済的に導入、利用することが可能となっております。更に、顧客企業側の簡単な作業により、組織改編等含め修正対応が可能なため、システム運用コストの低減が図られます。

また「Sactona」利用のためのサーバ環境などのインフラストラクチャーについては、顧客企業側で手配、運用するオンプレミスでの利用の他、当社がクラウド環境でインフラストラクチャーを提供するインフラサービスも利用が増加しております。

 

(1)収益構造

当社の収益は以下の大きく二つの構成で成り立っております。

1.コンサルティングビジネス

 ①コンサルティング収入

(a) Sactona利用方法等に関する提案・サポート

(b) Sactona機能・範囲拡張に関する提案・サポート

 

2.ベースビジネス

 ①製品ライセンス収入

(a) 「Sactona」の利用対価として、利用ユーザ数※に応じて課金される「Sactona」ライセンス利用料(4月から翌3月までの年間利用料。毎年更新)

※利用ユーザ数とは、顧客に所属する個人、顧客から業務委託された個人、または顧客から業務委託された法人に所属する個人であって、ユーザIDを用いて「Sactona」を利用する人ならびに、「Sactona」から生成されたパッケージに対してデータ入力・更新を行う人数を指します。

 

(b) サーバへの「Sactona」インストールに掛かる初期費用

 

 ②インフラサービス収入※

(a) 当社が外部データセンターを利用して運用・保守する「Sactona」利用のためのインフラストラクチャー利用料

(b) 前項(a)に追加して機能拡張する拡張オプション利用料

※「Sactona」を利用するために必要なOS、ソフトウエア等ならびに「Sactona」をインストールしたサーバをネットワーク上で提供するサービスをインフラストラクチャーサービスと呼称し、その年間あたりの対価として顧客に請求するものを指します。

 


 

サービス区分別売上構成の推移                        (単位:千円)

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

コンサルティング

ビジネス

506,779

593,626

554,976

560,924

932,540

ベースビジネス

325,130

400,065

399,427

423,639

507,484

 

(注).コンサルティングビジネス…コンサルティング収入

  ベースビジネス…製品ライセンス・インフラサービス収入

 

(2)顧客属性

当社の顧客企業の属性は以下のとおりになっております。顧客企業の業種は幅広く分布し、製造業が4割、非製造業が6割というウエイトになり、企業規模は「大企業」が中心となっております。


 

  当社の顧客企業数の推移は以下のとおりになっており、顧客数については毎年純増のペースで進捗しております。

 


なお、当社の解約社数と解約率の推移は以下のとおりになっております。

 

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

解約社数

2

4

4

4

4

解約率(%)(注)

3.1

5.1

4.8

3.8

3.3

 

(注)期中に発生した解約社数を期末の契約社数で除した数字にて算出しております。

 

「Sactona」その利便性が評価され継続的に利用されるサービスとなっており、直近では一般的なSaaS型プラットフォーマーの解約率より低い水準になっております。

 

(3)人材

当社のコンサルタントには、高度な専門性と豊富な経営管理に関する業務知識が求められるため、IT・会計・財務分野に精通した人員を外注ではなく正社員として採用し、社内での教育と人材育成に力を入れております。人員推移は以下のとおりになっておりますが、現在コンサルタントは全従業員の6割超になっております。

                                              (単位:人)

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

コンサルタント

29

30

37

34

41

全従業員数

45

52

60

56

65

コンサルタント比率

64%

58%

62%

61%

63%

 

 

 

当社の機能・範囲拡張コンサルティング比率は以下のとおりになっております。高い利便性を背景に機能・範囲拡張ニーズは強く、直近期ではおよそ6割の顧客がそのコンサルティング対象になっております。

                                       (単位:社)

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

顧客企業数

84

105

121

機能・範囲拡張コンサルティング比率

52%

58%

64%

 

*機能・範囲拡張コンサルティング企業数/顧客企業数

 機能・範囲拡張コンサルティングは前年度までの既存顧客に対するコンサルティング

 

(4)「Sactona」とは

「Sactona」を使うことで、多くの企業で予実分析管理として使用されているExcelフォーマットをそのまま利用し、入力表を作成することが可能です。使い慣れたExcelなので、利用部門の利用負荷軽減・導入時の効率化が実現できます。

 


 

また、各拠点から直接データベースへデータを送信することが可能となっており、情報取り纏め部局の担当者は多数のExcelファイルの収集・データ集計作業から解放され、分析業務などの本来の業務に集中することができます。更に、顧客社内ネットワーク環境上のWebポータルから集計用のExcelファイルを配布、そして収集ができるため、管理業務が大幅に軽減されます。ファイルの編集時や保存時に変更前の履歴が残り、変更履歴が追えるため、利便性の高いものになっております。また、実績情報は顧客の会計システムなどの利用しているシステムと連携し、情報を取り込み、集計結果について時系列対比、計画対比などの可視化により、分析の迅速化、高度化が図られます。

 

 

以下では、当社製品の「Sactona」の詳細について記載いたします。

 

「Sactona」は、管理会計・経営管理を高度化・効率化するためのクラウド対応型経営管理システムです。様々な経営管理業務を支えるために、マイクロソフト社のテクノロジーに準拠して設計・開発された3つの代表的モジュール(注2)により構成されております。

 

<「Sactona」製品構成>

製品名

特長


各拠点でデータ入力する際に使用するモジュールです。入力された数値やコメントは自動的にサーバに取り込まれます。Portalには、各拠点から報告される入力表を管理するライブラリ、業務メンバーと情報を共有するための掲示板、業務スケジュールを共有するためのカレンダー、各種帳票の出力などの機能があります。

※ 想定ユーザ:各拠点/部門メンバー

※ 「Sactona Portal」は、インストール不要です。

※ ブラウザとExcelがインストールされていれば使用できます。


入出力表の開発やポータルの管理を行うためのモジュールです。セル単位でのレイアウト指定ができる他、組織などのマスタに連動したレイアウト、行数が増減する経費明細などのレイアウトが実現できます。

定型的な入出力表の他、アドホックな分析のためのキューブ分析機能も用意されております。

※ 想定ユーザ:管理部門メンバー


運用の前提となるデータベース構造、マスタやロジックなどの設定を行うためのモジュールです。また、ユーザやユーザグループのセキュリティ設定、パスワード管理、ユーザの操作ログ閲覧、メール配信、データ保護などの機能が用意されております。

※ 想定ユーザ:管理部門メンバー、情報システム部門メンバー

 

 

 


 


 


 

(5)「Sactona」の特徴

「Sactona」は、中期計画、事業計画、経営計画、予算編成、予算実績管理、見込管理、グループ管理、経費予算管理、プロジェクト管理などの様々な管理会計・経営管理業務への適用が可能なエンタープライズソリューション(注3)であります。主な製品の特徴は以下のとおりであります。

 

① 予算管理などの様々な管理会計・経営管理業務への適用

当社は、これまでの経営管理業務の高度化・効率化プロジェクトを通じて、様々なノウハウを蓄積してきており、それらを具現化するための機能が「Sactona」に集約されております。「Sactona」を活用することで、次のような経営管理業務の高度化・効率化が可能であります。

・予算編成 予算管理 予実管理 見込管理 経営計画 事業計画

・連結管理 グループ会社管理

・部門別管理 支店管理 販売店管理

・グローバル製品別管理

・アクティビティ別経費予算管理 経費実績管理

・製品モデル別研究開発費管理

・プロジェクト予算管理

・PSI管理(注4)

・業績評価 業績レポーティング

・中長期計画 事業計画

・為替シミュレーション 販売単価シミュレーションなど

 


 

② クラウドによるサービス提供

「Sactona」は、顧客のネットワーク上にサーバを設置するオンプレミス形態の他、クラウドによるサービス提供の形態を選択できます。後者はインフラサービスとして提供しておりますが、自社でサーバやミドルウェアを手配して運用・保守する手間から省けます。そのため、経営管理の導入から運用までを迅速に実現できます。

 

③ ユーザPCでのプログラムのインストールは最低限

「Sactona」を利用した場合、予算編成・見込報告や月次実績報告での各部署・子会社からの報告においては、取り纏め部局の管理者やシステム担当者以外のユーザについては、Excelとブラウザソフト以外のソフトウエアは必要ありません。数十人以上が関与する業務の場合、ユーザPCにプログラムをインストールする必要があるかどうかで導入・運用の負荷が大きく異なります。また、各部署・子会社において利用する画面はExcelそのものであります。Excel類似の行列が配置されたExcelとは異なる独自の入力画面ではありませんので入力担当者に抵抗感はなく、Excelの柔軟性を生かした自由なレイアウトとExcelそのものの操作感が可能であります。

 

④ 小規模から大規模利用まで広範に利活用が可能

「Sactona」は、マイクロソフト社のテクノロジーに準拠して設計・開発しており、10ユーザの小規模利用から1,000ユーザを超えるような大規模利用まで広範に対応できます。億単位の件数のデータをメモリ上で高速で処理させる技術やサーバを分散構成するなどの技術により、エンタープライズ向け基幹業務システムとしての構成となっております。

 

⑤ 処理を自動化するAutomation(オートメーション)機能を標準装備

「Sactona」には、Automation機能が標準装備されております。

外貨換算、単純合算、連結消去データ作成、共通費の配賦など定型、定常化された作業は入力フォームからのデータ送信と同時に作成されます。データの取込みから最終的な分析レポート出力までのプロセスを設定、処理が自動化できることにより、作業者の負担を軽減させることが可能となり、その結果「働き方改革」に貢献することができます。

 

⑥ Excelをはじめとするマイクロソフト社の製品との高い親和性

「Sactona」は、マイクロソフト社の製品や技術との親和性が高いことが特徴であります。プラットフォームとしてはWindows Serverを始めとするOS、データベースエンジンとしてはSQL Server(注5)、ユーザが利用する際のインターフェースはExcelや Microsoft Edge(注6)を組み合わせます。親和性の高さにより、導入時のトラブルも少なく、迅速に展開することが可能になっております。また、マイクロソフト社が提供するクラウドサービス Azureの仮想マシン上でも稼働します。

一方で、WebブラウザはGoogle chrome、クラウドサービスはアマゾンAWSなどのマイクロソフト社の製品以外の基盤上でも利用可能な設計としており、ユーザの使用環境に応じた幅広い利用が可能となっております。

 


 

「Sactona」は、開発言語としては、サーバ機能にC#(注7)、クライアント機能にTypeScript(注8)を活用しており、Visual Studio 2019/2022(注9)、Visual Studio Code(注10)、SQL Serverなどの環境を用いて開発を行っております。また、日々のソース管理はgit-flow(注11)、設計手法にDDD(ドメイン駆動設計)(注12)を取り入れ、開発手法としてはAzure DevOps Server(注13)を使った2週間スプリント(注20)のスクラム(注19)を活用しております。これにより、機動的で柔軟な機能開発が可能となり、持続的な製品機能の向上が図られております。

 

 


 

次に、当社のコンサルティング業務について記載いたします。

当社では、顧客企業の管理会計・経営管理を高度化することで、企業の見通しや展望(Outlook)をよりよく見えるようにするためのコンサルティングサービスを提供しております。

顧客の管理会計・経営管理業務の高度化・効率化のため、管理会計・経営管理分野、そしてシステム設計・開発・運用に専門知識、経験を有したコンサルタントが「Sactona」を活用した、業務設計、アプリケーション構築、システム導入支援を行います。

主なコンサルティング領域は以下となっております。

 

領域

特徴

連結経営管理

経営管理実務を高度化、効率化による企業競争力の向上のため、「Sactona」を活用した業務の実現・定着を支援いたします。

予算管理/予算編成/事業計画

様々な業種業態・規模の顧客の予算編成・予算管理・見込管理などの管理会計・経営管理業務の構築支援及びシステムによる業務実現を支援いたします。

事業ポートフォリオ管理

企業グループの経営管理における事業の価値向上のためのKPI管理などを定常的な経営管理業務に組み込む情報基盤整備・運用を支援いたします。

バリューチェーン管理

多角化する事業や商品別に生産から販売まで通した収益などの可視化の経営管理業務高度化の提案と情報基盤の実現と運用を支援いたします。

経費管理・資産管理

様々な経費項目別に発生進捗状況管理、予算対比、また、資産状況の計画対比、減価償却費の状況などの管理に係る情報基盤の実現と運用を支援いたします。

 

 

「Sactona」の販売、導入コンサルティングについては概ね当社主体で行っておりますが、提携パートナーが主体で行う場合も稀にあります。なお、需要の拡大に対応するため、提携パートナーの拡充に現在取り組んでおります。当社では、システムの開発からネットワーク構築まで開発におけるあらゆる分野に精通したエンジニアの育成に注力し、あらゆる工程に対応できる人員を揃えることで、システムの設計から開発、システム運用のためのインフラ構築、運用・保守と、システム導入に係る一連のサービスをワンストップで提供できる体制を構築しております。これにより顧客のニーズに合わせて、柔軟に対応し、高クオリティかつコストパフォーマンスの高いサービスを提供することが可能であります。特に基盤となるシステムである「Sactona」を自社で開発していることで、顧客のニーズ動向をシームレスに製品機能開発・改善に繋げていけることは当社の強みであると考えております。

 

(当社の事業系統図)

 


◆用語解説

No

用語

意味・内容

Excel

マイクロソフト社が開発して販売している「表計算ソフト」であります。計算をすることに特化しており、様々な計算式を使う事によって、簡単に答えが出せるようになっております。

モジュール

機能単位、交換可能な構成部分などを意味します。機器やシステムの一部を構成するひとまとまりの機能を持った部品で、システム中核部や他の部品への接合部(インターフェース)の仕様が明確に定義され、容易に追加や交換ができるようなもののことを指します。

エンタープライズ

ソリューション

企業におけるITシステムの改善や効率化に特化したソフトウエアやツールのことを指します。

PSI

Production(生産)、Sales(販売計画)、Inventory(在庫)の頭文字を取ったもので、「PSI計画」などと使われ、生産・販売・在庫を同時に計画することを指します。

SQL Server

マイクロソフト社が開発したデータベース(データ管理システム)で、Windows OSで動作させることができるリレーショナルデータベースの一種であります。他のデータベースと比較すると、操作のしやすさに定評があり、国内でも人気の高いデータベースとして知られております。

Microsoft Edge

マイクロソフト社により開発されているウェブブラウザであり、マルチプラットフォームのソフトウエアとしてiOS、macOS、Android、Linux版も配布されております。

 

 

No

用語

意味・内容

C#

マイクロソフト社が開発したプログラミング言語であり、C++やJavaといった世界的に使われている言語と同じ「オブジェクト指向」を採用しております。オブジェクト指向とは、「独立性、再利用性、拡張性を実現するためのプログラミング言語」であります。

Type Script

マイクロソフト社が開発したプログラミング言語であり、JavaScript(注14)のスーパーセットです。スーパーセットとは「上位互換」のことで、JavaScriptが持つ機能を維持しつつ、追加の機能をそなえた言語と言うことができます。

Visual Studio2019/2022

マイクロソフト社が開発・販売している統合開発環境(IDE)であり、iOS/Android/Windowsなどのクロスプラットフォーム(マルチデバイス)のアプリ開発に使用されております。

10

Visual Studio Code

マイクロソフト社が開発した開発環境ツールであります。多くのプログラミング言語に対応しており、シンタックスハイライト(注15)や拡張機能、一部のプログラミング言語ではインテリセンス(自動補完システム)やデバッグ機能なども用意されております。

11

Git-flow

Git(注16)の機能であるブランチ(履歴の流れを分岐して記録していくもの)を活用したGitの開発手法であり、特定の役割を持った複数のブランチを使い分けながら開発を進めます。それぞれのブランチが特定の役割を持っているため、リポジトリ(注17)の状態がわかりやすくなり、後に開発がどのように進んだかといったことが把握できるようになります。

12

DDD(ドメイン駆動設計)

ドメイン(注18)の専門家からの入力に従ってドメインに一致するようにソフトウエアをモデル化することに焦点を当てるソフトウエア設計手法であります。

13

Azure DevOps Server

製品のバージョン管理をレポーティング、要件管理、プロジェクト管理、自動ビルド、テスト、リリース管理機能を提供する、マイクロソフト社の統合開発環境のサーバ製品であります。

14

JavaScript

プログラミング言語の1つであり、ホームページ、ウェブアプリケーション、デスクトップアプリケーション、ウェブブラウザなど多岐にわたって利用されます。

15

シンタックスハイライト

文字表示に関する機能の1つであり、あらかじめ指定された文中の特定の記号やキーワードなどを他とは異なる色で表示することを指します。色を変える以外にも、異なるフォントを用いたり、太字や斜体、下線などの装飾を施す場合もあります。

16

Git

プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するための分散型バージョン管理システムであります。主にプログラムのファイルを管理するために使われており、Gitを活用することで、プログラムのバージョン管理や社内での共有がスムーズになるメリットがあります。

17

リポジトリ

アプリケーション開発の環境において、ソースコードや設計、データの仕様といった情報が保管されているデータベースのことであり、システムの設計情報やプログラムデータ、データの更新情報などが記録保管されており、特に複数の開発者が参加するプロジェクトにおいて開発状況の共有が容易にできるようになっております。

18

ドメイン

インターネット上の識別番号を指し、ホームページがどこにあるかを判別する情報として利用されます。

19

スクラム

小さな単位でシステムに必要な機能の計画と実装を繰り返す開発手法

20

スプリント

スクラム開発の基準となる考え方で、プロジェクトを項目ごとに分けて小単位に区切ったもの

 

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2023年9月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

69

36.1

4.0

7,450

 

 

事業部門の名称

従業員数(名)

内部統制室

1

管理本部

6

コンサルティング事業本部

51

R&D本部

11

合計

69

 

(注)1.当社は単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.従業員数が最近1年間において8名増加しております。主な理由は、管理機能及びコンサルタント人員の増強に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2) 労働組合の状況

当社には、労働組合は組成されておりませんが、労使関係は良好に推移しております。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

最近事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)、

(注2)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注1)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

22.2

100.0

65.7

65.7

 

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.女性に比べ男性の管理職比率が高いことに加え、男性の勤続年数が長いことが男女間賃金格差の要因となっております。ライフステージに合わせて仕事と育児の両立を支援できる環境整備や、長く勤続できるような多様なキャリアコースの推進を行っております。

3.賃金の内訳は基本給、超過労働に対する報酬、賞与などを含みます。パートタイマ―及び有期雇用の労働者はおりません。