第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

はじめに

  当社(実質的な事業運営主体)は、1997年6月にインターネットを利用した中古車の業者間売買仲介を行う目的で設立された株式会社オートサーバー(以下「旧オートサーバー」といいます。)を前身としております。旧オートサーバーは設立後、順調に業容を拡大し、2014年1月には台湾の新興株式市場であるグレタイ証券市場(GreTai Securities Market、以下「GTSM市場」といいます。)に株式上場いたしましたが、以下に述べるような国内における事業強化及び経営資源の集中投下を行うためには株式保有の集中による機動的な意思決定が不可欠であると判断し、2015年11月に株式会社ASH(以下「当社」といいます。)を設立してマネジメント・バイアウト(以下「MBO」といいます。)を行い、2016年3月にGTSM市場への上場を廃止いたしました。上場廃止後の2016年6月、旧オートサーバーを完全子会社化し、当社を吸収合併存続会社、旧オートサーバーを吸収合併消滅会社とする合併を行うとともに、商号を株式会社オートサーバー(現オートサーバー)に変更しております。

 

1. GTSM市場への上場からMBOに至る経緯とその目的

 旧オートサーバーは1997年6月に設立され、インターネットを利用した自動車売買の仲介並びに付随するサービスを提供する事業者向けプラットフォーム(以下「ASNET」といいます。)を運営しておりました。1998年5月よりASNET上で業者間中古車売買仲介(以下「ASワンプラ」といいます。)サービスを開始し、また、1999年9月からはオートオークション運営事業者と業務提携を行ってオークション落札等代行(以下「オークション代行」といいます。)サービスを開始することにより、中古車取扱事業者等からなるASNETの会員数(注)を伸ばすとともに、提携するオートオークション会場の拡大等によって事業規模を拡大してまいりました。さらに当時の大株主であったSBIインベストメント株式会社が推し進めていたアジア圏への進出戦略の下、日本市場で培ったASNETのノウハウやシステムをアジア各国にも展開すべく、2013年9月には中国版ASNET事業(以下「車通天下」といいます。)を開始するとともに、さらなるアジア各国への事業進出を行うための足掛かりを目的として日本を含むアジア各国の証券市場への上場を検討していた中、GTSMをはじめとする台湾証券市場が日本企業の上場誘致に積極的であり、旧オートサーバーとしても知名度向上の期待及び中華圏での上場であれば中国本土での上場効果(知名度向上等)も見込めるとの判断の下、2014年1月、GTSM市場への株式上場を行いました。

旧オートサーバーがGTSM市場へ株式を上場した当時、我が国における中古車の業者間流通はオートオークションを経る形態が概ねを占めており、ASNETにおける取引車両台数もオークション代行サービスの取引台数が大多数を占める状況にありました。しかしながら当時、消費者における中古車ニーズの多様化や購買動向の変化、中古車販売事業者における在庫リスク圧縮の動き等を背景に、オークションを経ずに業者間で売買を行う動きが活発化しつつあり、旧オートサーバーにおいても徐々にASワンプラサービスの取引台数が拡大しつつありました。このような状況の下、中長期的かつ持続的に企業価値の向上を実現するためには、①ASワンプラサービスをASNETの主力サービスと位置づけ積極的な営業活動の展開により業績を拡大させること、②従来の会員層とは異なる新たな業態の中古車販売事業者もASNET会員として獲得し、顧客基盤を拡充させること、③会員の中古車小売業務サポートといった中古車販売事業を総合的に支えるサービスを展開すること等、機動的な事業展開に取組むべきと考えました。

 

このような事業展開を行うため、旧オートサーバーは会社知名度の向上を図るとともに、ASNETの機能向上や新サービス構築に努めてまいりましたが、台湾においてASNET事業を展開していなかったことから、様々な上場維持コストが必要となる一方で知名度向上等のメリットは享受しにくい状況にありました。さらに、2013年9月に開始した前述の「車通天下」事業が、事業準備中に出現した競合企業や現地の商慣習の違い等により業績が低迷し、2014年11月には事業方針の見直しを迫られる等、アジア圏への進出について再検討を行う必要が生じました。

そこで、上場後2年間という短期間ではあったものの、このような経営課題に対し、経営資源の投下を国内に集中する等、会社の資本政策及び経営施策を大きく見直すこととし、そのためには特定かつ少数の株主による当社株式の保有を通じて機動的な意思決定を可能とすることが望ましいと考えたこと等の理由から、MBOの手法により旧オートサーバーを非上場化することとし、2015年11月に当社を設立、2015年12月よりMBO手続きを進め、2016年3月にGTSM市場への上場を廃止いたしました。

 上場廃止後、2016年6月に当社を存続会社とする旧オートサーバーとの合併を経て、現在の当社を形成しております。

(注)ASNETの会員数は、法人・個人を含めた拠点数となります。

 

 


 

2.MBO後の経営状況

 当社はMBO後、日本市場において確固たる地位を築くべく経営資源の投下を国内に集中し、顧客拡大によるバイイングパワーの強化とサービス品質の向上を図り、消費者向け中古車情報事業者や石油販売事業者等との業務提携を実現したほか、スマートフォンアプリを通じてASNET会員と店舗顧客を結びつけるサービスの提供を開始する等いたしました。このほか、2020年11月に従来のASNETから車両検索機能の強化等を図った新たなASNET(ASNET3)をリリースし、続く2021年には、4月に業者間中古車売買仲介サービス専用のスマートフォンアプリから出品が行えるアプリ「かんたん入力アプリ」を、8月に新たなASリアル(注)をリリースしました。また2022年10月にはASNETでの取引状況の確認及びASNETでのお知らせをスマートフォンアプリで確認できる「ASNETマイページアプリ」をリリースしました。

 これらの結果、MBO開始時期との比較において、ASNET会員数は47,743会員(2015年12月末)から74,751会員(2022年12月末)へ、ASNETにおける取引台数は166,114台(2015年12月期)から217,682台(2022年12月期)へと増加させることに成功したほか、売上及び利益を安定的に確保できる体制を確立することができ、2015年12月期には4,185,011千円(旧オートサーバー)であった売上高が2022年12月期には5,364,476千円となっているほか、経常利益についても2015年12月期には1,482,504千円(旧オートサーバー)であったものが2022年12月期には1,969,010千円となっております。

(注)パソコンにインストールした専用ソフトを通じて、オートオークションのセリの状況をリアルタイムに表示し、かつ、セリに参加する事ができるサービス。

 

 

3.再上場を目指す理由

当社はMBO後、ASNET事業を強化するための施策を実施し着実な成果を上げる等、業績の向上に努めてまいりました。ただし、当社が事業領域としているインターネット情報技術を用いた中古車流通サービス事業においては、新たなWEB技術や新サービスの導入、並びにスマートフォンアプリ等による情報の積極的な活用を通じて、会員である中古車販売事業者の業務支援を行うことにより、当社のさらなる成長を目指していくことが可能であると見込んでおります。そのためには、サービスプラットフォームASNETの継続的な機能強化に留まらず、今後は中古車小売業務支援システムの拡充、新たな情報技術及び新規事業の研究、新技術の導入などを含めた中長期的な成長投資を行う必要があり、これらに必要な資金調達手段の確保も重要な経営課題と捉えております。

そこで当社は、これら経営課題を克服し、かつ、当社のブランド・社会的信用度の向上、従業員の士気向上、優秀な人材の確保等による技術力向上により中長期的な企業価値の向上を図るため、国内証券市場への再上場を目指すものであります。

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

売上高

(千円)

5,123,084

5,202,042

5,545,243

5,672,857

5,364,476

経常利益

(千円)

1,860,142

1,894,811

2,146,566

2,224,453

1,969,010

当期純利益

(千円)

1,172,427

1,163,410

1,324,711

1,370,619

1,207,406

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

320,000

320,000

320,000

320,000

320,000

純資産額

(千円)

5,130,221

5,960,979

6,946,769

7,933,325

8,741,488

総資産額

(千円)

11,957,343

12,826,182

12,620,595

13,354,535

14,312,116

1株当たり純資産額

(円)

16,031.94

18,628.06

21,708.65

1,239.58

1,365.86

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

1,050

(-)

1,050

(-)

1,200

(-)

1,250

(-)

1,100

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

3,663.84

3,635.66

4,139.72

214.16

188.66

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

42.9

46.5

55.0

59.4

61.1

自己資本利益率

(%)

25.0

21.0

20.5

18.4

14.5

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

28.7

28.9

29.0

29.2

29.2

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,596,711

1,692,955

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

124,238

195,133

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

384,314

400,314

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

8,487,092

9,584,800

従業員数
〔外、平均臨時
雇用者数〕

(名)

113

33

115

35

113

35

121

28

119

26

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

   2.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため、記載しておりません。

     3.1株当たり当期純利益は、期中平均株式数に基づき算出しております。  

     4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

     5.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

     6.第4期、第5期及び第6期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

     7.投資活動によるキャッシュ・フローの主な要因は有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があったことによるものであります。

     8.財務活動によるキャッシュ・フローの主な要因は配当金の支払いを行ったことによるものであります。

 

9.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員等を含む。)は、〔 〕内に外数で記載しております。

10.前事業年度(第7期)及び当事業年度(第8期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38 年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。なお、第4期から第6期については会社計算規則(2006年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第8期の期首から適用しており、第8期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

12. 2023年3月3日付で普通株式1株につき普通株式20株の割合で株式分割を行っております。第7期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

13. 2023年3月3日付で普通株式1株につき普通株式20株の割合で株式分割を行っております。

    そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)及び株式会社名古屋証券取引所の引受担当責任者宛通知「『上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2008年4月4日付名証自規G第8号)に基づき、第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

    なお、第4期、第5期及び第6期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

1株当たり純資産額

(円)

801.60

931.40

1,085.43

1,239.58

1,365.86

1株当たり当期純利益

(円)

183.19

181.78

206.99

214.16

188.66

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

52.50

52.50

60.00

62.50

55.00

 

 

2 【沿革】

旧オートサーバーの当社との合併までの変遷は以下のとおりであります。

年月

事業の変遷

1997年6月

株式会社オートサーバー(旧オートサーバー)創業(愛知県豊橋市)

1998年5月

インターネットを利用した自動車売買の仲介並びに付随サービスを提供する事業者向けプラットフォーム「ASNET」の運営を開始

ASNETにおいて業者間中古車売買仲介サービス「ASワンプラ」の提供を開始

1999年9月

オートオークション会場との業務提携を開始し、ASNETにおいてオークション落札等代行サービス「オークション代行」の提供を開始

2000年7月

中古自動車販売商工組合(中販連)との接続を開始

2001年4月

メーカー系オークション会場との接続開始

2001年12月

ASNET会員数が10,000を突破

2003年3月

ASNETにおいてリアルタイムにオートオークションのセリに参加する事のできるサービス「ASリアル」の提供を開始

2003年8月

ASNET会員数が20,000を突破

2006年9月

ASNET会員数が30,000を突破

2008年2月

事業拡大のため、東京センターを東京都中央区日本橋に新設

2008年8月

東京都中央区に本社移転

2009年11月

バイクオークション会場との業務提携を開始

「オークション代行」において、バイクオークション代行サービスの提供を開始

2010年11月

ASNETを全面リニューアルし、「ASNET2」をリリース

2011年4月

提携するオークション会場が100会場を突破

2011年5月

情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格『IS027001(lSMS)』認証を取得

2011年6月

自動車部品のリサイクル商品を取り扱う通販サービス「AS中古パーツ」の提供を開始

2012年4月

自動車の販促品・装備品を扱う通販サービス「AS通販(現・カー用品+)」の提供を開始

2013年4月

ASNET会員数が40,000を突破

2013年9月

広島営業所を開設(広島県広島市)

中国北京地区において「車通天下」事業を開始

2014年1月

台湾・グレタイ証券市場(GTSM市場)に株式上場

ASNET会員の中古車小売業務を支援する「店頭商談NET」の提供を開始

2014年11月

車通天下事業を中断

2015年6月

札幌営業所を開設(北海道札幌市)

2016年2月

ASNET会員の中古車小売業務を支援するスマホアプリ「みるクル」の提供を開始

2016年3月

GTSM市場を上場廃止

2016年6月

株式会社ASHを存続会社として旧オートサーバーと合併

 

 

 

 

当社の旧オートサーバーとの合併までの変遷は以下のとおりであります。

年月

事業の変遷

2015年11月

MBOを目的として東京都中央区に株式会社ASHを設立

2016年1月

GTSM市場において、旧オートサーバー株式の公開買付を実施し、旧オートサーバー株式の過半数を取得

2016年5月

GTSM市場規則に従い、旧オートサーバー株式の買戻しを実施し、旧オートサーバー株式の一部を取得

GTSM上場以前からの日本在住の全株主から旧オートサーバー株式を取得

2016年6月

旧オートサーバーを完全子会社化

当社を吸収合併存続会社、旧オートサーバーを吸収合併消滅会社とする合併を行うと共に、商号を株式会社オートサーバーに変更

 

 

当社の旧オートサーバーとの合併後の変遷は次のとおりであります。

年月

事業の変遷

2016年7月

ASNET会員数が50,000を突破

2016年11月

「ASワンプラ」に掲載されている車両情報数が10万台を突破

2017年2月

仙台営業所を開設(宮城県仙台市)

2017年3月

大阪営業所を開設(大阪府大阪市)

2017年4月

事業基盤強化のため、福岡県福岡市にカスタマーセンターを開設

2017年9月

鹿児島営業所を開設(鹿児島県鹿児島市)

2018年8月

システム開発体制の強化のため、オフショア開発拠点としてベトナムのホーチミンに子会社「AUTOSERVER VIETNAM CO.,LTD.」を設立

2019年2月

ASNET会員数が60,000を突破

2020年11月

ASNET2をリニューアルし、「ASNET3」をリリース

2021年4月

スマートフォンアプリ「かんたん入力アプリ(iOS版)」をリリース

2021年6月

ASNET会員数が70,000を突破

2021年8月

金沢営業所を開設(石川県金沢市)

新ASリアルをリリース

2022年6月

「ASNET3」へ完全移行

スマートフォンアプリ「かんたん入力アプリ(Android版)」をリリース

2022年10月

スマートフォンアプリ「マイページアプリ(iOS版/Android版)」をリリース

 

 

 

 

3 【事業の内容】

(ASNET事業)

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社と非連結子会社であるAUTOSERVER VIETNAM CO.,LTD.の2社で構成されております。

当社は、国内の中古車取扱事業者を対象としたインターネット中古車流通サイト「ASNET」を運営する事業を行っております。子会社であるAUTOSERVER VIETNAM CO.,LTD.は、ASNETサービス全般に関する開発業務を行っていますが、業務の範囲はASNETの一部のシステム開発に限定されており、その規模及び重要性の観点から以下の記載については当社のみを対象としております。

 

ASNETでは、国内の中古車取扱事業者を対象に、主要サービスである「オークション代行サービス」、「ASワンプラサービス」(同2サービスによる2022年12月期における売上高割合93.4%)と、付帯サービスとして「陸送手配サービス」、「中古車販売支援サービス」、「カスタマーコミュニケーション支援サービス」、「中古パーツ通販サービス」、「カー用品通販サービス」の、合計7つのサービスを提供しています。

 


 

 

ASNET全般の特徴として、会員の費用面においては、入会時に入会金や保証金等といった費用的負担を必要としていないことが挙げられます。また入会後も、月会費といった固定的な費用を不要とし、ASNETの主要サービスである「オークション代行サービス」と「業者間中古車売買仲介サービス」を利用することができます。他方、サービス面においては、ASNETに掲載している中古車情報(全国各地のオートオークション会場に出品されている車両及び中古車販売店に展示されている業販可能な在庫車両)を、ASNET上で横断的に検索・落札ができることが特徴に挙げられます。同業他社と比較した場合、「オークション代行サービス」においては、参加が可能なオートオークション会場数は国内141会場(サテライト会場含む)と最多(注1)であり、ASNETだけで国内95%(注2)のオートオークション会場の出品車両を検索することができます。また「ASワンプラサービス」においても、2022年12月期の実績において14.7万台(2022年1月から12月平均)の掲載実績があり、これら掲載台数の多さがASNETの強みとなっております。

このように、初期費用や固定的な会費を不要とする営業方針と、多くの掲載台数を確保している実績により、ASNETには、年に数台程度しか中古車を売買しない中小規模の中古車事業者、新たに中古車販売業に参入する整備事業者やガソリンスタンド事業者、様々な業販市場に販路を求める中古車販売事業者等、業種や規模に関わりなく中古車を取り扱うあらゆる事業者に加入していただいており、法人・個人を合わせ、会員数は74,751(2022年12月期末時点)となっております。

(注1)「オークションガイド2022」(日刊自動車新聞社発行)による

     (注2)「オークションガイド2022」(日刊自動車新聞社発行)による2021年の中古車(バイク含む)のオーク

        ション及び入札会の出品台数は7,572,845台であり、当社が2021年にASNETにおけるオークション代行サービス

        のうちAA入札サービスにおいて掲載した台数は7,158,615台であったことによります。

 

a.オークション代行サービス「オークション代行」

当サービスは、国内141(2022年12月末現在、サテライト会場含む)のオークション会場の運営事業者と業務提携契約を結び、ASNETを通じて提携先オートオークションに参加することを可能とするサービスです。

一般的に、オートオークションへ参加するためには、当該オークション会場に会員として入会しなければならず、そのためにはオークション会場毎もしくはオークション運営事業者毎に、入会時においては入会金の支払い、保証金の預託、複数人の保証人の設定等が必要となります。また中古車販売店舗の設置、古物商許可証を取得してから一定期間(1年以上等)の経過といった要件が求められることもあります。さらに、入会後も、オークションの利用有無に関わらず月会費の支払いを要します。しかし当社が提供する本サービスにおいては、こういった入会金や保証金、月会費等を要さず、ASNETが接続している全てのオートオークションに参加できるようになります。

当サービスでは、具体的なサービス内容として、落札を代行する「AA入札」「ASリアル」及び「AAワンプラ」と、出品を代行する「AA代行出品」を提供しております。当社はASNET会員より、サービス利用の都度、ASNET利用規約に基づき車両の取引オークション会場毎に定めた落札手数料や成約手数料等(一部の例外を除き車両取引価格に関わらず一定額)を受領しております。

 

 

詳細なサービス内容毎の特徴は以下のとおりです。

 

①「AA入札」は、業務提携を結んでいる国内141(2022年12月末現在、サテライト会場含む)のオークション会場に出品されている車両に対し、入札の予約ができるサービスです。ASNET会員は事前に入札金額を設定し、セリに立ち会う必要なくオークションに参加することができます。当社は設定された入札金額に基づき、オートオークションに入札信号を送信し、セリに参加して車両の落札を代行します。

  本サービスは、前述のように会員にとっては加入コストや会費等の固定費が不要であるという費用面の強みに加え、提携会場数が多いという強みがあります。特に後者については、オートオークションにおいて最多(注)の出品台数を持つオークション事業者である株式会社ユー・エス・エスと提携するオークション代行サービスとなっていることが挙げられます。

(注)「オークションガイド2022」(日刊自動車新聞社発行)による

 


 

②「ASリアル」は、パソコンにインストールした専用ソフトを通じて、オートオークションのセリの状況をリアルタイムに表示し、かつ、セリに参加することができるサービスであり、業務提携を結んでいるオークション会場のうち、国内47(2022年12月末現在、サテライト会場含まず)のオークション会場で利用が可能です。ASNET会員はセリの状況を見ながら臨機に専用ソフトを操作してオークションに参加する(これを「応札」と呼びます)ことができるため、AA入札に比べ高確度で落札することができます。当社は会員が専用ソフトに入力した応札信号をオートオークションに送信し、セリに参加して車両の落札を代行します。

 

③「AAワンプラ」は、業務提携を結んでいるオークション会場のうち国内94(2022年12月末現在、サテライト会場含まず)のオークション会場において、オートオークションで落札されなかった車両に業販価格が付され、次回のオークション開催までの期間(凡そ1週間)、時間優先の原則にしたがって即時に落札できるサービスであり、当社はASNET会員による車両の落札を代行します。

  本サービスは、提携会場数が多いという強みがあり、特に「AA入札」と同様、最大手のオークション運営事業者である株式会社ユー・エス・エスと提携するオークション代行サービスとなっております。

 

 

④「AA代行出品」は、オートオークションへの車両出品を代行するサービスであり、国内85(2022年12月末現在、サテライト会場含む)の会場で利用が可能となっております。

 

    b.業者間中古車売買仲介サービス「ASワンプラ」

当サービスは、店頭在庫車両を持つASNET会員より、業販価格を付した車両情報をASNETへ掲載していただき、車両を落札したいASNET会員との売買を当社が仲介するサービスです。当社はASNET会員から直接、出品車両情報の掲載を募るだけでなく、株式会社リクルートカーセンサー、株式会社プロトコーポレーション、株式会社ファブリカコミュニケーションズ等の中古車小売媒体事業者や中古車買取事業者と提携し、出品情報のシステム連携による掲載を行っております。このほかにも同業他社と業務提携を行っており、ASNETへの豊富な出品車両情報の掲載を実現しております。さらに、販売情報の掲載と購入意思の伝達にとどまらず、車両の輸送手配取り次ぎや、売買後の車両不具合等のサポートにも対応する等、売り手と買い手双方が安心して取引できる体制を整えております。

店頭在庫車両を持つASNET会員にとっては、店舗での小売販売と並行しながらASNETにおいて業販を行うことができるため、販売機会を拡大することができます。他方、落札したいASNET会員においては、時間優先の原則にしたがい、一定金額で仕入れを行うことができます。そのため、中古車の無在庫販売や在庫圧縮を志向する中古車販売事業者にとっても親和性の高いサービスとなっております。

当サービスでは、出品車両情報の掲載時点では手数料は不要とし、売買が成立した際に、ASNET利用規約に基づきASNET会員である売り手及び買い手の双方から、又は買い手からのみ手数料(一部の例外を除き車両取引価格に関わらず一定額)をいただいております。

当サービスはASNET会員からASNETへ直接(システム連携によるものを含む)に車両情報を掲載(出品)していただいている台数が7.1万台(2022年1月から12月平均)、同業他社との業務提携による車両情報の掲載(注)が7.6万台(2022年1月から12月平均)、合計14.7万台の掲載台数を有しており、かつ会員数が多く、多数の取引参加者が存在することが強みとなっております。

  (注)当社は、ASワンプラサービスと同種のサービスを行っている他社と業務提携契約を締結し、これら他社から当該他社の利用者が掲載した中古車の出品情報を受信し、これをASNETへ掲載しております。なお、ASNET会員が当該車両を落札した場合、当社は買い手からのみ手数料を受領することとなります。

 


 

 

    c.陸送手配サービス

ASNET会員の落札車両・出品車両の輸送(陸送)の手配を当社が取り次ぐサービスです。ASNET会員は車両の売買時に、当社と提携する10社(2022年12月末現在)の陸送会社から任意の陸送会社を選択して車両輸送の手配を依頼することができます。当社は、ASNET会員からの依頼に基づき、指定された陸送会社へ手配の取り次ぎを行っております。ASNET会員は当サービスを利用することで、車両の売買と同時に陸送を手配することができ、かつ、陸送費用を車両代金等とまとめて当社に支払って一括精算することができる等、陸送手配にかかる各種手続きを簡略化することができます。

当サービスの利用にあたり、当社はASNET会員から手数料を受領しておりませんが、当サービスを通じて陸送の受注があった陸送会社から陸送料金の一定割合を手数料として得ております。なおASワンプラサービスにおいては、車両を落札した際の輸送手配として当サービスの利用を条件としております。

 

    d.中古車販売支援サービス

当サービスは、ASNET上に掲載されている出品車両情報を利用して、ASNET会員の中古車販売業務を支援するサービスです。

当サービスはASNETに出品されている車両情報に、個々のASNET会員があらかじめ設定した条件に基づいて自動で小売価格を計算する機能を有しており、ASNET会員の店舗に来店された消費者が、小売価格で中古車を検索・閲覧することができます。また、車両販売に付随する諸費用、各種税金、リサイクル預託金に加え、ローン計算も含めた見積書作成機能も備えております。ASNET会員は、当サービスを利用することによりASNETに出品されている車両情報を用いて、在庫を持つことなく消費者のニーズにあった車両の販売を提案することが可能となります。

当社は、当サービスを「オークション代行」及び「ASワンプラ」両サービスを促進する機能と位置づけ、ASNET会員に対し無償で提供しております。

 

    e.カスタマーコミュニケーション支援サービス

当サービスは、スマートフォンアプリ「みるクル」を用いて、ASNET会員の中古車販売業務及びカスタマーコミュニケーション業務を支援するサービスです。

ASNET会員からの勧誘に基づき、スマートフォンアプリ「みるクル」をインストールした消費者は、当該アプリを通じてASNET上に掲載されている出品車両情報を検索することができます。また、ASNET会員は消費者との間で、見積、商談、査定、その他問合せ等のコミュニケーションをとることができます。また、ダイレクトメッセージ機能を通じて、定期点検や用品類の販促広報、店舗での各種イベントの案内等のお知らせを送ることも可能です。

当社は、当サービスを「オークション代行」及び「ASワンプラ」両サービスを促進する機能と位置づけ、ASNET会員に対し初期登録費用とダイレクトメッセージ機能の利用に係る費用以外は無償で提供しております。

 

 

    f.中古パーツ通販サービス

当サービスは、当社が株式会社JARA(以下「JARA社」といいます。)と業務提携を結び、JARA社が運営する自動車リサイクル部品(リパーツ商品)の検索・通販サービスを、ASNETを通じて利用を可能とするサービスです。本サービスでは購入を希望する中古パーツが自らの車両に適合するのか否かのチェックサービスも提供しており、安心して中古部品を購入することができます。

当社は、当サービスにおいて流通した部品取扱高の一定割合をJARA社から手数料として得ております。

 

    g.カー用品通販サービス

当サービスは、中古車販売事業を営むASNET会員が、中古車販売において販売機会を持つ各種用品や装備品(タイヤ、ホイール、カーナビゲーション、ドライブレコーダー、オイル等)及び店舗運営に必要な各種販促品(のぼり、車検証入れ等)を、ASNET上で購入することができるサービスです。当社はこれら用品の販売元であるベンダーと商品委託販売契約を締結し、売上の一部を手数料として得ております。

 

4 【関係会社の状況】

    該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

 2023年7月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

117

28

41.3

9.2

5,101

 

 

(注)1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。

  2.従業員数欄の(外書)は、臨時雇用者数の年間平均雇用人員であります。

  3.臨時雇用者数には、パートタイマー及び派遣社員を含んでおります。

  4.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

  5.当社は、ASNET事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2) 労働組合の状況

  労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。