第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第31期

第32期

決算年月

2022年2月

2023年2月

売上高

(千円)

8,085,653

8,961,165

経常利益

(千円)

844,522

1,270,202

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

545,366

830,934

包括利益

(千円)

542,416

824,957

純資産額

(千円)

2,724,725

3,450,084

総資産額

(千円)

8,931,503

9,962,292

1株当たり純資産額

(円)

215.90

273.35

1株当たり当期純利益

(円)

43.21

65.84

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

30.5

34.6

自己資本利益率

(%)

21.8

26.9

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,021,782

1,030,628

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

260,946

104,400

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

528,626

530,063

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,193,413

1,590,160

従業員数

〔ほか、平均臨時

雇用人員〕

(名)

331

331

―〕

―〕

 

(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

2.株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。

3.平均臨時雇用人員は、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。

4.第31期及び第32期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。

5.2023年5月26日開催の取締役会決議により、2023年6月16日付で普通株式1株につき20株の株式分割を行っておりますが、第31期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

 

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第28期

第29期

第30期

第31期

第32期

決算年月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

売上高

(千円)

6,131,744

6,599,577

6,316,433

6,797,289

7,500,792

経常利益

(千円)

579,457

521,133

340,653

577,234

961,868

当期純利益又は
当期純損失(△)

(千円)

1,243,175

81,083

174,586

367,648

622,499

資本金

(千円)

80,000

80,000

80,000

80,000

80,000

発行済株式総数

(株)

774

631,143

631,143

631,143

631,143

純資産額

(千円)

2,936,679

2,014,236

2,094,822

2,359,563

2,879,244

総資産額

(千円)

8,125,027

8,755,366

8,357,989

8,223,257

8,788,440

1株当たり純資産額

(円)

3,794,159.84

3,192.13

3,319.73

186.97

228.11

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

1,378.76

158.48

158.48

158.48

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

1,606,170.17

128.50

276.68

29.13

49.33

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

36.1

23.0

25.1

28.7

32.8

自己資本利益率

(%)

3.3

8.5

16.5

23.8

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

1,073.0

57.3

27.2

16.1

従業員数
〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

(名)

236

275

277

272

270

―〕

―〕

―〕

―〕

―〕

 

(注) 1.第28期及び第29期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については潜在株式が存在しないため、また第30期、第31期及び第32期については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

2.第28期の自己資本利益率については、当期純損失のため、記載しておりません。

3.第28期の当期純利益又は当期純損失(△)の大幅な減少は、海外子会社にかかる関係会社出資金評価損及び貸倒引当金繰入等を計上したことによるものであります。

4.株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。

5.第28期における1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施しておりませんので、記載しておりません。

6.平均臨時雇用人員数は、臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。

7.主要な経営指標等のうち、第31期及び第32期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。なお、第28期、第29期及び第30期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、これらについては当該監査を受けておりません。

8.当社は2019年10月15日付けで株式1株につき999株の株式無償割当てを行っておりますが、第29期の期首に当該株式無償割当てが行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

9.2023年5月26日開催の取締役会決議により、2023年6月16日付で普通株式1株につき20株の株式分割を行っておりますが、第31期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。なお、1株当たり配当額は、当該株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。

 

10.当社は、2019年10月15日付で普通株式1株につき999株の株式無償割当を行っております。また、2023年5月26日開催の取締役会決議により、2023年6月16日付で普通株式1株につき20株の株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第28期の期首に当該株式無償割当及び株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第28期、第29期及び第30期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第28期

第29期

第30期

第31期

第32期

決算年月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

1株当たり純資産額

(円)

232.7

159.61

165.99

186.97

228.11

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△98.51

6.42

13.83

29.13

49.33

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(―)

68.94

(―)

7.92

(―)

7.92

(―)

7.92

(―)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

1961年4月

大阪市天王寺区において初代取締役社長浜口 匠が浜口商店を創業。
コンベヤ(※1)製品の製造販売を開始。

1963年3月

兵庫県三原郡三原町(現南あわじ市)に工場を建設、本格的生産を開始。

1965年4月

法人改組。浜口鉄工株式会社設立。資本金2,000千円。

1967年12月

大阪府交野市に交野工場建設。

1981年1月

株式会社日精・鹿児島工場を買収。当社の鹿児島工場として製品の増産を図る。

1982年10月

北海道浜口鉄工株式会社(※2)を吸収合併。

1985年7月

東大阪市に本社移転。

1987年11月

兵庫県三原郡緑町(現南あわじ市)に淡路工場を建設。

1989年10月

品質並びに生産性の向上を図る為、淡路工場にローラ自動組立ラインを導入。

製品の均一化及び増産体制が整う。

1991年3月

業績伸展に伴い、株式会社ジェイアールシー(現 株式会社JRC)を設立し、浜口鉄工株式会社の事業を引き継ぐ。資本金40,000千円。

1992年9月

吉松工場(現在の九州工場)を鹿児島県姶良郡吉松町(現湧水町)に建設。

1993年5月

株式会社ジェイアールシー九州(※3)を吸収合併。

1996年4月

資本金80,000千円に増資。

1997年3月

兵庫県三原郡緑町(現南あわじ市)に新工場を設立(本社工場)。旧工場を統合。

1997年10月

大阪市西区へ本社移転。

2001年5月

中国遼寧省瀋陽に合弁会社「瀋陽皆愛喜輸送設備有限責任公司」を設立。
出資金645万ドル。

2004年12月

本社工場が「ISO9001:2000」の認証を取得。

2006年4月

株式会社ジェイアールシー東京(※4)を吸収合併。

2006年5月

中国江蘇省蘇州に独資会社「蘇州皆愛喜輸送設備有限公司」を設立。

出資金300万ドル。

2007年1月

九州工場が「ISO9001:2000」の認証を取得。

2007年12月

北海道工場が「ISO9001:2000」の認証を取得。

2009年3月

埼玉県児玉郡に北関東工場を設立開業。

2010年9月

北関東工場が「ISO9001:2000」の認証を取得。

2012年8月

事業撤退に伴い「蘇州皆愛喜輸送設備有限公司」を清算。

2013年4月

中国遼寧省瀋陽に瀋陽工場を建設。

2014年8月

大阪本社を現住所に移転。

2016年6月

商栄機材株式会社(現JRC C&M株式会社)を完全子会社化。

2016年12月

中国での製造から撤退。「瀋陽皆愛喜輸送設備有限責任公司」の清算に着手。

2017年7月

中国遼寧省瀋陽に独資会社「吉艾希商事(瀋陽)貿易有限公司」を設立。
出資金100万元。

 

 

 

 

年月

概要

2018年1月

株式会社大成を完全子会社化。

2018年5月

ロボットSI事業ブランド「ALFIS」を展開開始。

2019年1月

埼玉県本庄市に東部物流センターを新設。

2019年3月

商栄機材株式会社が商号をJRC C&M株式会社に変更し、本社・工場を兵庫県小野市に移転。

2019年4月

兵庫県小野市に西部物流センターを新設。

2019年9月

神戸医療産業都市(神戸市中央区)にALFISが神戸ラボを開設。

2020年1月

インテグラル株式会社及びその関連ファンドが資本参加。協力体制のもと、さらなる経営強化・企業価値向上へ。

2021年8月

シンテゴンテクノロジー株式会社よりパラレルリンクロボットシステムインテグレーション事業譲受。

2023年5月

株式会社JRCに商号変更。

 

 

 

※1 一般に「コンベヤ」といった場合、ベルトコンベヤの他に、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ等も含みますが、本書では、書き分けがない限り、屋外用のベルトコンベヤを「コンベヤ」としております。

※2 浜口鉄工株式会社の元社員が1974年4月に設立したローラの販売会社であり、屋号の使用を許可しておりましたが、当社グループとの資本関係はありません。

※3 浜口鉄工株式会社の元社員が1977年4月に設立したローラの販売会社(設立時商号:九州浜口鉄工株式会社)であり、屋号の使用を許可しておりましたが、当社グループとの資本関係はありません。

※4 浜口鉄工株式会社の元社員が1981年4月に設立したローラの販売会社(設立時商号:東京浜口鉄工株式会社)であり、屋号の使用を許可しておりましたが、当社グループとの資本関係はありません。

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループの事業は、当社及び100%子会社である、JRC C&M株式会社、株式会社大成、吉艾希商事(瀋陽)貿易有限公司、により運営されております。

当社グループでは、「世の中の「不」をなくす」をビジョンに掲げ、主に屋外用ベルトコンベヤ部品の製造・販売、コンベヤ課題解決ソリューションを提供する「コンベヤ部品事業」(セグメント名称は「コンベヤ事業」)と、製造業における人手不足という社会課題に対し、ロボットによる自動化技術で解決・支援する「ロボットSI(※1)事業」の両輪で、時代が直面する課題を解決し、社会発展の基盤づくりに貢献するソリューションを創造しています。

なお、当社グループの2023年2月期における連結売上高及び構成比は、コンベヤ事業が84億57百万円(94.4%)、ロボットSI事業が5億3百万円(5.6%)となっております。

 

<図1 当社事業の概要>


(※1)SI(システムインテグレーション)とは、複数のソフトウエアやハードウエアを組み合わせて、システムの導入提案や設計、組立などを行うサービスをいう。

 

当社グループのコンベヤ事業は、1961年の創業以来、「お客様の課題を解決し、社会に貢献する」という考え方の下に事業を推進し、1989年に工場の機械化・自動化にいち早く着手したことにより、コンベヤ事業は84億57百万円の売上規模にまで成長いたしました。当該事業においては、既設コンベヤの部品取替需要に支えられた安定的な収益を確保しつつ、近年では、「コンベヤソリューションパートナー」としてコンベヤの課題をトータルに解決するソリューション提案を軸にした営業へのシフトが着実に成果を上げており、コンベヤ事業での更なる成長とコンベヤマーケットの更なる開拓に取り組んでおります。

加えて、更なる事業の発展、社会貢献のために、2018年よりロボットSI事業「ALFIS」を展開しております。産業ロボット、協働ロボットは、生産性を向上させ、労働時間不足を解決するために不可欠のソリューションであり、将来の成長を見込んでおります。

当社グループは、コンベヤ部品製造業として培った製造業のノウハウ、工場自動化のノウハウ、幅広い顧客基盤や顧客への提案力を最大限活用し、さらにロボット等の最先端ソリューションを取り入れる事により、時代が直面する課題を解決し、社会発展の基盤づくりに貢献するソリューションを創造しつづけるべく、事業に邁進しております。

 

当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

 

(コンベヤ事業)

主にコンベヤ部品(アイドラ、ローラ、軽量型アイドラ・ローラ、プーリ、コンベヤ周辺機器、特殊品・実績品等)の設計及び製造、販売をしております。

 

(主な関係会社) 当社、JRC C&M株式会社及び株式会社大成

 

(ロボットSI事業)

製造現場の人材不足、生産性改善といった課題を解決するために、協働ロボットやパラレルリンクロボットを用いたロボットシステムを提供しております。

 

(主な関係会社) 当社

 

セグメントごとの主な事業内容は以下のとおりであります。

 

(コンベヤ事業)

1.コンベヤ事業の概要

当社コンベヤ事業では、各種産業の生産・物流工程における連続搬送の合理化・効率化に必要不可欠な「屋外用ベルトコンベヤ」の部品(アイドラ、ローラ、プーリ、ベルトクリーナー等のコンベヤ周辺機器)の設計、製造及び販売を行っています。

各種コンベヤは、駆動伝達方法の違いによって、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ、ローラコンベヤなどに分類されます。さらにベルトコンベヤは、屋内・屋外用に分類されます。当社グループの主たる事業領域は屋外用のベルトコンベヤ用の部品であります。屋外用のベルトコンベヤは大規模かつ劣悪な環境で使用されることが特徴であり、主に製鉄所、建設・工事現場、セメント工場、鉱山、発電所等における長距離・重量物搬送といった場面で使用されるものです。

当社グループが製造販売を行っているコンベヤの主な部品は以下のとおりです。当社グループでは、JISローラのような標準品から特注品まで顧客のニーズに応じた様々な製品を提供しております。

 

<図2 当社製品の概要>


 

 

<図3 主な納入先のイメージ>


 

2.コンベヤ事業の特徴

(1) 国内コンベヤ部品市場における売上規模と安定的な取替需要

当社グループは、コンベヤ事業において84億57百万円の売上規模を有しており国内コンベヤ部品市場というニッチ領域において確固たるポジションを確保しています。コンベヤ部品の国内市場においては有力なプレイヤーが限定的であるため、原材料費等の変動があっても一定の交渉力をもって着実に利益を確保できる状況(図4)にあり、その結果、コンベヤ事業の営業利益率は15%となっております。また、累計エンドユーザー数13,000社以上(図5)の顧客基盤を有していることから、特定業界や個別企業の景況や設備投資動向の影響を受けづらくなっております。加えて、ベルトコンベヤ設備は、運搬距離が長く、運搬物が大量かつ高重量であることから、人や他の機械設備では代替が不可能です。また、コンベヤ部品は粉じん・摩耗・運搬物の付着・落下衝撃といった過酷な環境で使用されることも多く損耗が避けられないため、需要も安定的に発生するという特徴があります。

コンベヤの故障・不具合は前後工程を含め設備全体の即時停止に直結し、機会ロスを含む大きな損害につながりかねないことから、コンベヤの安定稼働のためにはコンベヤ部品の交換を含むメンテナンスが欠かせません。例えば、主要部品であるローラは、特に過酷な環境では数カ月で交換が必要となるなど、交換頻度が高くなっております。

当社の売上においても更新・リピートの占めるウエイト(約86%)は大きく、リカーリング性が高い製品となっております。こうした屋外用ベルトコンベヤ部品という商材の持つ堅実性と安定性という特性が当社グループの安定した収益基盤の基礎となっております。

 

 

 

<図4>


 

<図5>


 

(2) 自動化生産ラインから安定供給される高品質な製品

当社グループは、業界において先駆けて生産の自動化に取り組んでまいりました。「ローラ全自動生産ライン」(当社本社工場)をはじめ、独自の生産設備で、JIS規格品の量産から特注品の製作まで、均質な製品の経済的価格での安定供給体制を実現しております。

また、自社工場の自動化で培った自動化ノウハウは、ロボットSI事業や、コンベヤユーザーに対する自動化ソリューションの提案等へと活かされております。

 

 

(3) 日本全国のネットワークより支えられる即納体制と営業力

当社は日本全国に工場4拠点、営業所8拠点、物流センター2拠点の事業拠点を擁し、豊富な在庫とネットワークを活かした即納体制を確立しております。顧客との地理的な近接性により営業活動がスムーズに行えることはもちろん、納入リードタイムの短縮、物流コストの削減等のメリットが得られます。なにより、ユーザーにとって、コンベヤの停止は製造ライン全体の停止にもつながりかねないものであるため、故障時等の迅速な顧客サポート体制を確保することは非常に重要な要素と考えております。

 

<図6 当社グループの全国拠点>

 


 

(4) 全国の代理店網

当社グループは長年の取引を通じて信頼関係を構築した代理店網を全国的に有しております(図7)。当該代理店網は、エンドユーザーの属性に応じて、重点エンドユーザー約200社を有する顧客紐付代理店(約200社、当社売上高比率約32%)、10,000社以上の中・小規模のプラントユーザーを多数有する地域密着型代理店(約2,300社、同約37%)及び、約200社のベルトコンベヤ製造を担うプラントメーカーに通じるプラントメーカー代理店(約200社、同約31%)として構築しており、それぞれを通じて顧客の特性・ニーズに応じた販売活動を展開しております。

 

<図7 取引代理店数の推移>

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:社)

分類

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

顧客紐付代理店

54

55

61

64

65

76

104

112

121

地域密着型代理店

551

575

686

765

800

842

1,174

1,241

1,308

プラントメーカー代理店

47

47

56

56

57

62

80

81

87

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分類

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

顧客紐付代理店

139

159

179

180

184

188

192

193

194

地域密着型代理店

1,560

1,818

2,231

2,285

2,330

2,392

2,450

2,493

2,524

プラントメーカー代理店

100

110

135

136

139

150

156

158

162

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分類

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

 

 

 

顧客紐付代理店

195

216

219

221

231

231

 

 

 

地域密着型代理店

2,550

2,699

2,741

2,782

2,919

2,920

 

 

 

プラントメーカー代理店

172

176

183

185

186

186

 

 

 

 

 

 

(5) 徹底的な品質確保・保証体制

品質=信頼であることを念頭におき、製品の材料はすべて当社グループの要求をクリアする品質の国内メーカー品を使用しております。また、工場の自動化を進めることにより均質で高品質なコンベヤ部品を生産できる体制を構築しております。

製品については、独自の検査装置等で厳密なチェックを行うとともに、シリアルナンバーの打刻にて詳細な製造情報、検査データを追跡管理できるトレーサビリティを実現しています。

なお、当社は品質マネジメントの国際規格であるISO9001:2015の認証を取得し、継続的な品質改善・品質情報共有体制を整えています。

 

(6) 専門性を活かしたコンベヤの改善ソリューション提案

コンベヤには、安定稼働を妨げ事故の原因にもなり得るベルトの蛇行等の運行上の問題や、搬送物の落下による堆積や付着に伴う清掃・メンテナンス作業等のロスが発生します。当社グループは、創業以来蓄積してきたコンベヤに関する知識・ノウハウを活用し、これらの問題に起因する停止ロス等の軽減に資する高機能なコンベヤ部品、周辺機器等の導入を含む提案を行い、顧客の生産性をトータルに改善し、コスト以上のメリットを実現することを目的としたソリューションを提供する営業活動を実施しており、近年着実に成果を上げております(図8)。当社グループでは、顧客の課題・困りごとの本質を捉えた改善提案から、対策実施・検証まで一貫サポート体制を整えており、多業種でのコンベヤ改善の経験値を活かし、顧客に継続的に利益を生み出すソリューションを提供しております。

コンベヤ部品を手掛けていた中小企業の後継者不足等による淘汰といった時代背景も手伝い、当社グループが長年蓄積してきたコンベヤに関する専門知識・ノウハウはユニークなものとなりつつあります。この傾向は今後も継続するものとみています。

また、当該専門性は、当社グループの歴史の中で蓄積されたものに、様々な現場でのソリューション提案を通じて得た経験も加わり、今も日々強化されております。当該知識・ノウハウを共有することによりグループ全体での提案力強化に取り組んでいる他、連携する代理店に展開するなどの施策により、ソリューションの更なる拡大に向けて取り組みを強化しております。ソリューションという新たなサービス商材を得ることは、代理店にとってもビジネスチャンスであり、代理店も巻き込んだソリューションの展開はコンベヤマーケットの質の変革へとつながる重要な取り組みであると考えております。

また、当該活動を通じてエンドユーザーとのコミュニケーション機会が増加することにより、営業機会が増加する上に、更に現場にノウハウが蓄積されていくという好循環が生み出されます。

当社グループでは、顧客への更なる有用な提案を可能にするために、蛇行防止等の高機能商材の開発も同時に行っております。これまでも、当社グループはさまざまな対策製品(図9)を独自開発し、数多くの特許・実用新案(2023年5月31日現在、特許権19件、実用新案権29件)を取得してまいりました。こうした高付加価値商品の販売は顧客に当社製品の継続使用を促し、いずれは高付加価値商品のリプレイス需要を生み出すこととなります。かかる好循環を創出していくことが、中・長期的に当社グループの成長・業績に寄与するものと考えております。

また、部品の提案にとどまらず、設計・工事・メンテナンスサービスまでワンストップで手掛けられる体制を構築するなど、より一層顧客の利便性を高めるべく努力を継続しております。

 

 

<図8 売上高に占めるソリューション比率推移>

 


 

 

 

<図9 課題解決製品の例>

 


 

コンベヤ事業の事業系統図は、次のとおりであります。

 


 

(ロボットSI事業)

1.事業の概要

ロボットSI事業は、2018年に「ALFIS」ブランドで本格展開を開始した当社の新規事業です。当該事業は、当社グループが自社工場の自動化などを通じて培った自動化ノウハウ、コンベヤ事業で培った当社グループのメーカー目線でのソリューション提案能力を活用し、少子高齢化社会における労働力不足という社会課題を産業用ロボットや協働ロボットの導入・利活用によって解決することを目標としております。当該事業は、着実に受注額を伸ばしつつある(図10)成長事業であり、2023年2月期における売上高成長率は267%となっています。

産業用ロボットは購入・設置すれば即製造ラインで仕事ができるというものではなく、現場でロボットの能力を発揮させるためには、ロボットに作業をプログラミングするティーチングはもちろん、場合によってはロボットに合わせた製造ライン全体の再デザインや、細やかな現場でのすり合わせ、さらにはロボットを扱う人材の教育まで、様々な導入作業が必要となります。

ロボットSIer(ロボットシステムインテグレータ)は、ロボット導入を検討する顧客の現場課題を分析し、最適なロボットシステムを構築するために、ロボットをはじめとする様々な周辺設備やビジョンセンサ(カメラ)等の関連装置を選別し、前後工程の見直しも含めて、全体をシステムとして統合するエキスパートです。

 

<図10 ロボットSI事業受注額の推移>                      (単位:百万円)

2021年2月期

2022年2月期

2023年2月期

上半期

下半期

上半期

下半期

上半期

下半期

60

32

80

275

280

465

 

 

2.事業の特徴

ロボットSI事業の市場は将来的な拡大が期待されており、大小様々な事業者がしのぎを削っている状況にあります。当社グループは、以下の当社グループの特徴を最大限活用し、これまで自動化があまり進展してこなかった領域において先行することにより、新市場におけるFirst Mover Advantage(先行者利益)を獲得し、競争優位のポジションを確保することを当該事業の戦略としております。

 

(1) 製造事業者としてのノウハウ・経験値

当社グループは製造事業者としてコンベヤ部品製造工場の自動化を進めてきた経験を有しております。製造業の現場に対する深い理解や生産改善のノウハウを有することは、同じく製造業者であるユーザーのニーズを的確にくみ取ることを可能にし、前後工程とのすり合わせを踏まえた製造ライン全体にとって効果的な構想・設計を可能にします。当社グループは、ユーザーとしての豊富な導入経験を自社工場の「ロボット自動化ノウハウ」として活用し、省スペース設計やユーザーフレンドリー性にこだわり「使いやすく、導入しやすい、高品質なロボットシステム」をコンセプトに開発を行っております。

人手不足の深刻化が叫ばれる一方で、自動化に踏み切れない又は自動化が限定的なものにとどまっている事業者は多数存在します。これまで自動化が進展してこなかった新たなロボット市場の開拓には、そうした潜在顧客のニーズや不安を把握し的確な提案を行うことが欠かせません。この点で、当社グループの製造事業者としての豊富な自動化経験は優位に働くものと考えております。

 

(2) 既存事業で培った強固な事業基盤

当社グループが参入を進めるこれまで自動化が進展してこなかった領域は、様々な中小SIerが主にその担い手となっております。中小SIerは各々が得意分野を持ち、特定領域で強みを活かしたユニークなサービスを提供しておりますが、その一方で、財務基盤や経営安定性が必ずしも十分とは言えない事業者も存在します。

この点、当社グループはコンベヤ事業をベースとした安定的な事業基盤を基礎として、顧客信頼感の獲得、拡販のためのマーケティングへの積極的な投資、横展開・拡販を見据えた標準化を前提とした開発への投資等、成長・拡大を見据えた積極的な事業戦略をとることが可能となっております。

 

 

(3) 品質と価格競争力を両立する標準化推進

ロボットの導入を進めるためには、価格も重要な要素のひとつです。コストと品質を両立させた競争力のあるソリューションを提供するため、当社グループはロボットパッケージの標準化に取り組んでおります。ロボットシステムの導入には顧客のニーズに合わせたカスタマイズが欠かせませんが、使い勝手としてのカスタマイズ性を残しつつも基本設計やUIなど設計を流用できる部分は既存設計を流用することがコスト・納期・信頼性といった点で有効かつ効率的です。また、ライブラリ(※1)化を推進することにより社内に技能を蓄積していくことができます。

こうした将来の拡販を前提とした標準化を設計段階から行うことと、積極的なマーケティングによる拡販施策が両輪となり、低コストと高品質を両立させたロボットソリューションを幅広く提供することを可能としております。

 

(※1)ライブラリ:プログラムにおいてよく利用される機能を切り出して、再利用しやすいようにまとめたものをいう。

 

(4) 高いマーケティング能力

当社グループでは、ファーストムーバーとしてのポジションを確立するために、先行者としての認知向上、販売チャネルの確保に向けたマーケティング活動に力を入れております。具体的には、オウンドメディア(Webサイト)等を活用し、顧客自らが調べる時代に沿った情報発信を行う他、見込顧客に対してメルマガ配信を行うなど、顧客のステータスに応じた育成にも積極的に取り組んでおります。商談に進んだ顧客についても、離脱・失注の原因を精査し、適切なフォローアップ活動によりリレーションを維持している他、受注・納入済み顧客に対しても、サポートの充実等によるファン化施策を進めております。

 

3.当社グループの提供するロボットソリューション

<図11 当社標準パッケージ例>


 

(1) ロボットパッケージ

協働ロボット、産業用ロボットによるロボットパッケージは、多品種少量生産やスペースの限られた製造現場にフィットする次世代のロボットソリューションです。当社ブランド「ALFIS」では生産現場の上流工程から下流工程までをカバーする、操作性・汎用性の高いロボットシステムの標準パッケージ製品を提供しています。

無人化、品質の改善、生産性向上など様々な理由からロボット化のニーズが高まってきている一方で、操作及びティーチング(作業者が作業内容をロボットに教えること)の難しさや安全対策、設置スペースなどの問題で導入が進まない企業も依然として多く残っています。

当社グループのロボットシステムは、簡単で直感的な操作を追求した独自開発のソフトウエアとGUI(※2)や、ビジョンシステム等を用いたティーチングレス化(「ティーチング」作業を簡素化すること)等によりオペレータの基本操作を簡単にし、品種追加や作業変更に柔軟に対応できる使いやすい設計としております。

また、導入しやすさの向上のため、従来人が手作業を行っていたスペースにも設置できる省スペース設計としております。さらに基本設計の標準化、パッケージ化で設計・製造コストを低減させ、コストの面でも導入しやすいシステムとしております。

 

(※2)GUI:グラフィカル・ユーザー・インターフェース。コンピュータへ出す命令やレスポンスをユーザーが画面上で視覚的にとらえて、ポインティングデバイスやタッチパネルで行動を指定できる表示・操作体系。

 

 

当社グループのロボットブランドALFISの提供するロボットパッケージの例は以下のとおりです。

パッケージ

特徴

パレタイズシステム

ビジョンシステムを用いて多種多様な段ボールに対応可能で品種追加も容易なパレタイズ(パレットへの荷積み)を可能とするシステム。小型設計で天井高が低い現場等にも導入が可能。

デパレタイズシステム

ビジョンシステムを用いて多種多様な段ボールや袋状の積み荷に対応可能で品種追加も容易なデパレタイズ(パレットからの荷下ろし)を可能とするシステム。小型設計で天井高が低い現場等にも導入が可能。

バラ積みピッキングシステム

3Dビジョンシステムを用いて、ワーク(作業対象となる物品)の位置と姿勢を認識し、ワークの整頓なしにバラ積みから直接ワークをピッキングするシステム。

 

 

(2) 高速ピッキングシステム(パラレルリンクロボット)

パラレルリンクロボットは、吊り下げ型の構造であり、いわゆるロボットアームのようなアーム型のロボットと比較して、重量部品が吊り下げ部に固定され、可動部が軽量であることから、高速、高精度な動作が可能であると同時に、エネルギー効率にも優れたロボットです。

当社グループのパラレルリンクロボットに関する事業は2021年にシンテゴンテクノロジー株式会社から承継したものであり、当社が承継する以前の1995年に(当時は日立精機株式会社として)日本で初めてパラレルリンクロボットを搭載した商品を市場導入(※3)した歴史を有しております。その後、M&Aにより事業母体の変遷を経つつも四半世紀以上にわたり事業を継続し、現在までの累計導入台数は650台以上となっております。

当社グループのパラレルリンクロボットシステムは、高速ピックアンドプレース(※4)の用途で、パラレルメカニズムを世界で初めて製品化した「Demaurex SA」(スイス)の技術を用いており、トラッキング性能最大80m/分、処理能力最大700個/分の高速処理性能を有しております。

 

(※3)楠田喜宏,パラレルメカニズム実用化の展望,日本ロボット学会誌Vol.30 No.2,pp.118~122,2012

(※4)(高速)ピックアンドプレース:特定に位置にある対象物をつまみ上げ(ピック)、所定の位置まで移動し、そこに対象物を下ろし、設置する(プレース)という一連の作業を行う装置及びその機構。

 

(3) 自動機のOEM開発

当社グループは、過去の開発経験から、専門性の要求されるメディカル領域におけるGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品等の製造品質管理基準)遵守の知識・ノウハウを有するほか、自社工場及び顧客工場の自動化を通じて培った豊富な経験を有しているものと自負しております。

こういった、全てのロボットSIerが有するものではない経験・技術と、コンベヤの製造で培った品質管理システムに関する知見を活用し、顧客の課題にトータルに対応するOEM開発を行っております。

自動機のOEM開発といたしましては、薬科機器メーカー向け錠剤分配装置の開発等の実績を有しております。

 

ロボットSI事業の事業系統図は、次のとおりであります。


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

JRC C&M株式会社

(注)4,5

兵庫県小野市

10,000

コンベヤ事業

100.0

製品の販売、経営管理業務の受託

役員の兼任

 

 

 

 

 

 

株式会社大成

(注)4

福岡県北九州市八幡西区

17,500

コンベヤ事業

100.0

加工の外注、経営管理業務の受託

役員の兼任

 

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.上記のほか、当社は非連結子会社を1社有しておりますが、重要性が乏しいため記載を省略しております。

3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

4.特定子会社であります。

5.JRC C&M株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

 主要な損益情報等  ①  売上高      1,302,811千円

 ②  経常利益      243,560 〃

 ③  当期純利益    164,142 〃

 ④  純資産額      702,762 〃

 ⑤  総資産額    1,772,886 〃

 

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2023年5月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

コンベヤ事業

306

ロボットSI事業

29

合計

335

 

  (注) 従業員数は就業人員数(受入出向者及び嘱託・契約社員を含む)であります。なお、臨時従業員数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2023年5月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

271

41.2

11.3

5,088

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

コンベヤ事業

242

ロボットSI事業

29

合計

271

 

(注) 1.従業員数は就業人員数(受入出向者及び嘱託・契約社員を含む)であります。なお、臨時従業員数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。