第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

第30期

決算年月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年6月

2022年6月

売上高

(千円)

3,283,427

3,263,052

2,994,787

2,920,720

1,475,970

3,155,813

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

342,806

53,679

117,409

26,245

55,021

339,675

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

264,073

50,098

185

216,197

63,872

327,464

持分法を適用した場合の投資損失(△)

(千円)

3,960

939

資本金

(千円)

85,000

234,580

100,000

100,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

 

普通株式

325

361

361

361

361

361

A種種類株式

59

59

59

59

純資産額

(千円)

1,270,172

1,606,756

2,108,544

1,854,565

1,918,746

2,246,944

総資産額

(千円)

4,389,099

4,184,555

4,269,734

3,600,744

3,284,724

3,397,792

1株当たり純資産額

(円)

3,908,224.15

4,450,849.97

5,020,343.11

4,415,632.51

913.69

1,069.97

1株当たり配当額

(円)

 

 

 

 

 

 

普通株式

39,000

35,000

185,000

(うち1株当たり中間配当額)

-)

39,000

35,000

-)

-)

-)

A種種類株式

185,000

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

812,535.18

143,139.97

461.64

514,756.84

30.42

155.94

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

28.9

38.4

49.4

51.5

58.4

66.1

自己資本利益率

(%)

23.1

3.5

0.0

3.4

15.7

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

27.2

7,581.7

23.7

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

354,300

686,086

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

21,368

25,085

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

404,478

463,193

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,049,957

1,247,765

従業員数

(人)

145

150

169

194

199

208

(外、平均臨時雇用者数)

10

13

22

22

26

15

(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.第25期の消費税等の会計処理は税込方式によっております。第26期以降の売上高には消費税等は含まれておりません。

3.第26期及び第27期については、過年度の設備投資拡大による減価償却費用の増大により、経常損失を計上しております。尚、保険解約返戻金の計上により両期ともに当期純利益を計上しております。

4.第28期については、固定資産に係る多額の減損損失の計上等により、当期純損失を計上しております。

5.第25期、第26期、第27期及び第28期の持分法を適用した場合の投資損失については、関連会社がないため記載しておりません。

6.当社は、2023年2月10日開催の取締役会決議にて、2023年3月1日付で普通株式及びA種種類株式1株につき5,000株の割合で株式分割を行ったことにより、発行済株式総数は普通株式1,805,000株及びA種種類株式295,000株となりました。また、A種種類株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、2023年4月3日付で全てのA種種類株式を自己株式として取得し、対価として当該A種種類株主にA種種類株式1株につき普通株式1株を交付しております。当社が取得した当該A種種類株式の全てについては、2023年4月14日開催の取締役会決議により同日付で消却しております。これにより、普通株式は295,000株増加、A種種類株式は295,000株減少し、発行済株式総数は普通株式2,100,000株となっております。尚、当社は2023年4月27日開催の臨時株主総会決議により、同日付で定款の変更を行い、A種種類株式に関する定款の定めを廃止しております。

7.当社は、2023年3月1日付で普通株式及びA種種類株式1株につき5,000株の割合で株式分割を行っておりますが、第29期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

8.A種種類株式は剰余金の配当請求権及び残余財産分配請求権について普通株式と同等の権利を有しているため、第27期以降の1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)の算出の際には、発行済株式総数及び期中平均発行済株式数に含めております。

9.第28期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

第25期、第26期、第27期、第29期及び第30期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

10.第28期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。

11.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

12.第25期、第28期及び第29期の1株当たり配当額及び配当性向は、無配当であるため記載しておりません。

13.第25期から第28期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目は記載しておりません。

14.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

15.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号  2018年2月16日)等を第27期の期首から適用しており、第26期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

16.第27期において、固定資産に係る過年度の会計処理に誤りがあることが判明したため、誤謬の訂正を行っております。当該誤謬の訂正による累積的影響額は、第27期の期首の純資産の帳簿価額に反映させております。この結果、第27期の期首利益剰余金が23,463千円増加しております。尚、上表の第26期の数値には当該金額を反映させておりません。

17.第28期において、資産除去債務に係る過年度の会計処理に誤りがあることが判明したため、誤謬の訂正を行っております。当該誤謬の訂正による累積的影響額は、第28期の期首の純資産の帳簿価額に反映させております。この結果、第28期の期首利益剰余金が36,139千円減少しております。尚、上表の第27期の数値には当該金額を反映させておりません。

18.2021年6月15日開催の臨時株主総会決議により、第29期の決算期を12月15日から6月30日に変更しました。従って、第29期は、決算期変更により2020年12月16日から2021年6月30日までの6ヶ月16日間となっております。

19.第29期及び第30期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けております。

第25期から第28期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

20.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第30期の期首から適用しており、第30期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

21.当社は、2023年3月1日付で普通株式及びA種種類株式1株につき5,000株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第25期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下の通りとなります。

尚、第25期から第28期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

第30期

決算年月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年6月

2022年6月

1株当たり純資産額

(円)

781.64

890.17

1,004.07

883.13

913.69

1,069.97

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

162.51

28.63

0.09

△102.95

30.42

155.94

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

 

 

 

 

 

 

 

普通株式

(うち1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

7.80

(7.80)

7.00

(7.00)

(-)

(-)

37.00

(-)

A種種類株式

(うち1株当たり中間配当額)

 

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

37.00

(-)

 

2【沿革】

年月

概要

1993年1月

電子部品・半導体製造に関する技術(品質改善)コンサルティングサービスを提供する株式会社太洋テクノサービス(現 当社)を大阪府堺市に設立

1993年5月

ゲーム基板(ファミリーコンピュータ)の品質改善指導を開始

1994年10月

本社を大阪市此花区に移転

1995年6月

SEM(電子顕微鏡)を導入(注1)

故障解析サービスを開始

1997年11月

表面処理技術サービス(めっき試作)を開始(注2)

ビルドアップ工法の研究を開始(注3)

1998年5月

CO2レーザ加工機(注4)、UV-YAGレーザ加工機(注5)を導入(微細加工事業開始)

フィルドビアめっき法確立(注6)

2004年9月

大阪府堺市に再移転、社名を株式会社クオルテックに変更し、信頼性評価事業を本格化

2004年10月

実装材料・工法の研究と開発を開始

2006年1月

ISO/IEC17025規格の認証を取得し、自動車業界へ進出

2007年3月

NITE(製品評価技術基盤機構)よりilac-MRA(試験機関の国際相互承認)認定

研磨(試料作製)事業において月産10,000個体制の確立

2012年12月

関東から東北地方への販売促進のため東京都大田区に東京テクニカルラボ設立

2014年10月

バイオ事業(ペットの遺伝子検査)を開始

二次電池の研究・EMC(電磁両立性)(注7)コンサルティングサービスを開始

2015年1月

パワーサイクル試験機(注8)の開発・販売を開始

2017年11月

堺市堺区に本館(分析センター)竣工

2018年4月

CBC株式会社と自動車分野等における電子部品の安全を提供する信頼性評価ビジネスで業務提携

2019年5月

自動車関連企業の要望に迅速に対応するため、愛知県豊明市に名古屋品質技術センター設立

2021年2月

世界最大級の試験、検査、検証及び認証機関であるSGSグループ(本社スイス ジュネーブ)の日本法人であるSGSジャパン株式会社と合弁会社SGSクオルテック株式会社設立

注1:Scanning Electron Microscopeの略。光学顕微鏡では測定不可能なミクロレベルの表面構造を鮮明に観察することができる顕微鏡。より詳細な観察分析に対応するため導入。

注2:主にめっきやコーティングにより、素材表面の性質を変えることを目的に施される処理。顧客ニーズに対応するために導入。

注3:基板の上に導体を1層ずつ積み上げ多層化する工法。電子部品に使用される基板の精密化が高まることへ対応するために研究を開始。

注4:炭酸ガスの中で放電を起こし発振させるレーザ機。高密度、高微細の基板加工を可能とするために導入。

注5:波長が短く非常に高い集光性がある紫外線レーザ機。熱影響の少ない加工を可能とするために導入。

注6:ビルドアップ基板(多層基板)の層間に穴を銅めっきで充填させる工法。

注7:Electro Magnetic Compatibilityの略。電磁波により電子機器が誤作動しないかを確認する試験。

注8:パワー半導体(高電圧や大電流を取り扱うことができる半導体)モジュールに使用される各部材の接合信頼性を評価するための機器。

3【事業の内容】

当社の事業につきましては、信頼性評価事業、微細加工事業及びその他事業の3つの柱で構成されております。

 

(信頼性評価事業)

当事業においては、電子部品等に対する環境試験、電気試験、振動試験等からなる信頼性評価試験、良品・不良解析、試験素材切断と切断面の研磨加工、試験機製造販売等を行っております。

単なる分析・故障解析業務にとどまらず、不良の真因を見つけ出すための再現実験を行い、顧客の技術課題を根本から解決できる会社を志向し、関連会社であるSGSクオルテック株式会社の営業力と当社の技術力を融合した技術営業体制を構築しております。また、分析や信頼性評価試験のみならず、受託試験を通じて蓄積した技術・ノウハウを活かしたパワー半導体の信頼性評価装置の開発・販売にも取組んでおります。

当社では電気自動車の開発・普及が急速に拡大すると予測される以前から電気自動車の基幹部品であるインバータの中のパワー半導体の信頼性評価試験や故障解析に取組み、受注をいただいております。電子回路、ソフトウエア、水冷機構などの試験環境を自社内で開発できる事から、顧客の多種多様なニーズに対応して参りました。また、信頼性評価試験の前後において、部品や基板の実装部の解析や評価、改善提案までトータルで対応できる事で、パワー半導体の信頼性評価試験において強みを有しております。

近年では、信頼性評価試験を実施するだけでなく、国際規格に基づく試験の実施から規格認証の取得まで、トータルに対応できる体制を構築しております。現在では、信頼性評価試験の規格を策定する活動(IPC(米国電子回路協会)やJEITA(電子情報技術産業協会))にも参画しております。

当事業では、顧客より試験や検査、分析、解析、加工、機器販売の役務提供の対価として収益を得ております。

 

(微細加工事業)

当事業においては、ビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板(薄く柔らかい屈曲可能な基板)等に対する試作・量産レーザ加工を行っております。

スマートフォンから医療機器まで、あらゆる製品領域において、ジャンルを問わない幅広い対応力で顧客のニーズに対応して参りました。また、顧客の要望に応えるために必要な設備を揃えることで電子部品業界の技術的なニーズに応える体制を整えて参りました。

温湿度などの少しの環境変化で加工が変わってしまったり、設備毎の個体差があるなど管理が非常に難しいレーザ加工機を自社では持たずアウトソーシングする基板メーカーに対して、ビッグロットの量産加工から新材料のレーザ加工性評価や極短納期の試作品加工まで、多様な依頼に柔軟に対応出来る事が当社の強みであり、20年以上の長きに亘って事業を継続できている理由であると考えております。

当事業では、顧客より加工の役務提供の対価として収益を得ております。

 

(その他事業)

当事業においては、遺伝子検査を通じて、犬・猫遺伝子疾患の原因遺伝子変異の検出サービスや、バイオ医療関連製品(包装材料、シリンジなど)の受託検査を行うバイオ事業、各種コンサルティングのゼロイノベーション事業、表面処理技術事業を行っております。また、新材料への表面処理加工等、最先端の材料への処理を試作から量産まで請け負っております。

顧客が開発する製品は、高品質かつ高い信頼性を目指されており、その実現に向けて素材等の改善提案をしております。そのために当社は、基礎実験や再現実験を繰り返し、ノウハウとデータの蓄積を地道に行って参りました。

当事業では、検査や加工、指導の役務提供の対価として収益を得ております。

 

 

これらの事業に加えて研究開発部門を有しており、「パワー半導体とオートモーティブ」をキーワードにしたテーマで研究開発を行っております。

 

・パワー半導体に関する研究

市場が拡大しているパワー半導体について、当社はパワー半導体の信頼性評価試験であるパワーサイクル試験受託市場での実績を持っております。その実績を活かすために、当社の得意とする実装技術/表面処理技術の融合による高信頼性を有した実装・工法を提供するために、次の研究に取組んでいます。

1)パワー半導体の接合不具合要因となる、マイグレーション現象(電界の影響で金属が絶縁物上や界面を移動する現象)のメカニズム解析

2)パワー半導体の接合不具合要因となるはんだ中のボイドが発生しないボイドレスはんだの開発

3)高温接合に適したはんだめっき技術の開発

4)はんだ接合部などのボイド及びクラックの画像解析ソフトの開発

 

・オートモーティブに関する研究

自動車の電動化に伴い、さまざまな変化が生じています。2021年6月に経済産業省が、2035年までに乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう、包括的な措置を講じると公表したことにより、さらに電動化は加速することが予想されます。また、自動運転、電動化が進むことにより自動車のノイズ問題は複雑となりかつ高周波を扱う必要性が生じております。こうした業界動向に対し次の研究に取組んでおります。

1)自動車の電動化に伴い必需品となる高速充電が特徴となるキャパシタを、当社独自技術である水系電解液を使って開発

2)EMC(電磁両立性)のコンサルティングを通じて顧客の課題を抽出し、ビジネス化につなげる取組みと、高周波計測(ミリ波、高速通信など)の評価技術の確立を目的とした研究活動

3)固体電池用電解質材料の開発と、電気特性評価手法の確立

 

当社及び当社の関係会社の事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次の通りであります。尚、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

[事業系統図]

0201010_001.png

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の

内容

議決権の所有割合又は被所有割合(%)

関係内容

(関連会社)

 

 

 

 

 

SGSクオルテック株式会社

大阪府堺市堺区

10,000

信頼性評価事業

所有

49

建物の賃借

役員の兼任2名

(注)「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年5月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

223

27

42.4

6.5

4,911,753

 

セグメントの名称

従業員数(人)

信頼性評価事業

146

23

微細加工事業

9

-)

その他

11

-)

全社(共通)

57

4

合計

223

27

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門、基礎研究部門に所属する従業員であります。

 

(2)労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。