第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2018年10月

2019年10月

2020年10月

2021年10月

2022年10月

売上高

(千円)

121,600

183,414

309,013

535,737

893,680

経常利益

(千円)

1,133

2,496

31,301

134,085

304,357

当期純利益

(千円)

573

1,866

31,916

125,571

197,881

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

184,830

184,830

184,830

321,923

416,323

発行済株式総数

(株)

381,500

381,500

381,500

457,663

477,663

純資産額

(千円)

195,026

196,893

228,808

628,566

1,015,247

総資産額

(千円)

229,093

236,947

274,531

711,604

1,151,019

1株当たり純資産額

(円)

511.21

516.10

599.76

137.34

212.55

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

1.64

4.89

83.66

29.28

42.75

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

85.13

83.10

83.35

88.33

88.20

自己資本利益率

(%)

0.40

0.95

14.99

29.29

24.10

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

89,927

94,491

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

18,732

78,253

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

271,187

188,800

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

499,360

704,398

従業員数

(人)

7

10

12

15

29

(外、平均臨時雇用者数)

(1)

(1)

(4)

(3)

(3)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため記載しておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

4.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

6.第9期、第10期及び第11期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第13期の期首から適用しており、第13期に係る経営指標等については、当会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

8.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は年間平均人員を( )外数で記載しております。

9.第12期及び第13期の財務諸表については、「財務諸表等の用語様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき仰星監査法人により監査を受けておりますなお第9期第10期及び第11期については、「会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しておりますまた当該各数値については金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく仰星監査法人の監査を受けておりません

10.当社は、2023年4月29日付で、普通株式1株につき普通株式10株の割合で株式分割を行っております。第12期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

11.当社は、2023年4月29日付で、普通株式1株につき普通株式10株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第9期、第10期及び第11期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、仰星監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2018年10月

2019年10月

2020年10月

2021年10月

2022年10月

1株当たり純資産額

(円)

51.12

51.61

59.98

137.34

212.55

1株当たり当期純利益

(円)

0.16

0.49

8.37

29.28

42.75

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

2009年11月

東京都千代田区外神田において住宅内の家電や照明等を、一つのリモコンを用いて遠隔制御を可能とするホームコントロール事業を目的とし、エコナビスタ株式会社設立

2009年12月

一般顧客に対してホームコントロールシステムを初導入

2014年2月

ホームコントロール事業で培ったセンサフュージョン技術を応用し、在床判定センサーを基にした高齢者見守りサービスをリリース

2014年3月

本社を東京都千代田区神田須田町に移転

2014年4月

高齢者見守りサービスを発展させ、施設入居者の生活リズムを確認できる「ライフリズムナビ」をリリース

2016年11月

「ライフリズムナビ」をパッケージ化し、クラウド型サービスに移行した「ライフリズムナビ+Dr.」をリリース

同時に介護施設に初導入

2018年9月

東京ガス株式会社と睡眠・疲労回復など、健康をサポートするサービスを共同で開発することを目的に資本業務提携

2019年4月

医療法人社団一心会初富保健病院と、当社のSleepSensorと睡眠解析技術について医療分野での活用に関する実証を目的とした業務提携

2019年7月

株式会社ワイズマンと、介護記録ソフトとの連携を目的とした業務提携

2019年11月

グローリー株式会社と、「ライフリズムナビ+Dr.」にグローリーの画像認識技術を組み合わせ、介護・福祉施設向けに新たなソリューションの共同開発を目的とした業務提携

2020年2月

ヒューリック株式会社と、AI・IoTを活用した新たな介護ビジネスの実現を目的とした業務提携

2020年3月

東京ガス株式会社、株式会社オトバンク、ユカイ工学株式会社と、シニアとそのご家族向けの新サービス創出を目的とした4社連携体制の業務提携

2020年3月

株式会社ワイズマンの「ワイズマンシステムSP」と機能連携

2020年6月

NDソフトウェア株式会社の介護記録ソフトウェア「ほのぼのNEXT」と機能連携

2020年10月

本社を東京都千代田区紀尾井町に移転

2021年2月

東京ガス株式会社との協業により、一般ご家庭向け見守りサービス「ライフリズムナビ+HOME」を同社のサービスとしてリリース

2021年9月

アイホン株式会社と、介護施設向けコールシステムの開発を目的に業務提携し、ナースコール代替サービス「見守りコール」をリリース

2022年3月

介護現場の見守りセンサーに頻出する従来課題に対し、デュアルAIを搭載し抜本的にデータ取得精度を改善した、睡眠データやバイタルデータ取得のための新型SleepSensorをリリース

医療機器認証を取得

2022年3月

「ライフリズムナビ+Dr.」の累計ご利用者数が10,000人を突破

2022年8月

千葉県千葉市に新拠点「Makuhari Port」を開設

2023年1月

大阪府大阪市に新拠点「Umekita Base」を開設

 

3【事業の内容】

 当社は経営理念「今と未来を見える化し 次世代の安心を創造する」に基づき、ライフリズムナビSleepSensor等各種センサーから得られた睡眠と生活習慣に関するビッグデータ(注1)に最新の解析技術を適用し、特徴量(注2)を可視化(Visualization)、AIを始めとした様々なソフトウェアを開発しております。開発した各種AIをお客さまが使いやすいソリューションに実装し、価値化(Value-ization)することで社会課題解決型のサービスとして提供しております。

 現在の主たる事業といたしましては超高齢社会の進展に伴い現実的な課題が山積する介護業界を中心に、DX(注3)の推進による業務効率化とケアの質向上を両立する「ライフリズムナビ+Dr.」、ライフリズムナビ+Dr.で培ったノウハウを在宅介護領域に最適化し事業パートナーを通じて展開するサービス「ライフリズムナビ+HOME」がございます。これらのライフリズムナビ事業は、当社が事業を通して蓄積してまいりました高密度かつ長期間の睡眠データ、バイタルデータ(注4)をベースに医学的知見を加えた独自の解析技術、創業時から得意とするセンサフュージョン技術(注5)を組み合わせ、SaaS型(注6)見守りサービスとして提供しております。

 また当社はもう一つの事業ポートフォリオとして受託研究開発事業を設定しており、ライフリズムナビ事業を通じて永続的に蓄積し続けているビッグデータ、ビッグデータの可視化(Visualization)×価値化(Value-ization)技術、そこから生み出される疲労回復度予測AIや認知症予測AIのような健康状態の推移を予測するAIを中核に、介護や医療業界に限らずハウスメーカーやデベロッパーなど住宅関連事業者や衣類・寝具メーカーといった様々な共創パートナーとの連携を実現し、事業領域を限定しない価値創造型の事業として展開しております。

 なお当社の事業セグメントといたしましては、ライフリズムナビ事業の単一セグメントとなっております。

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事業の全体像

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ライフリズムナビ事業

 当社の特徴としてお客様から取得するビッグデータを起点としたソフトウェアサービスを提供する事業者でありながら、睡眠やバイタルデータを取得しサービスの中核を担うライフリズムナビSleepSensorを内製化した、メーカーポジションであることが挙げられます。一般的にハードウェアの要素技術開発から量産化までの工程は複雑であり、技術的なノウハウが求められる他、製造体制を確立するまでには相当な投資が必要とされます。そのためデータサイエンス領域ではソフトウェアのみ手掛ける企業が多い中、当社ならではのソフトとハードの両方を一貫して開発するスタイルはSleepSensorの計測精度や安定性を高めつつ、スピーディーに実装可能となる競争優位性の高い要素と考えております。当社ではこの開発モデルを様々な業種や事業領域に適用可能で共創の根幹を支えるコアコンピタンスとして設定しております。

 

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ソフトウェアとハードウェアの一貫開発イメージ

 

(注)1.総務省の定義では「ビッグデータは、典型的なデータベースソフトウェアが把握し、蓄積し、運用し、分析できる能力を超えたサイズのデータを指す。」とされておりますが、当社では累計ご利用者数が1万人を超える対象者の、睡眠や活動、温湿度などの時間的に連続したデータをビッグデータとして取り扱っております。なお、開け閉めセンサーや人感センサーなど、その他のセンサー情報も合わせてトータルで

     ビッグデータとして捉えております。

   2.特徴量とは、データを変換し、活用可能な意味のある結果として抽出するまでの、過程における値のことです。ビッグデータから効率良く結果を出力するためには有用な特徴量を見出すことが重要であり、解析者のノウハウや技術が必要な領域です。

   3.DX(ディーエックス)とは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、デジタル技術によって、ビジネスや社会、生活の形・スタイルを変える(Transformする)ことです。当社においては介護現場にシステムを導入するだけでなく、日常業務に無くてはならないものとして業務フローに落とし込み、オペレーションそのものを変革させるサービスを提供しております。

   4.当社では心拍数、呼吸数、体動データを基本的なバイタルデータとして取り扱っております。

   5.当社では空間情報を取得するセンサーや生体情報を取得するセンサーを組み合わせ、得られた各種データを自動的に分析および合成することで、リアルタイムに判断結果を出力する技術としております。

   6.SaaS(サース) とは、Software as a Serviceの略称で、「インターネット経由でアプリケーション機能を提供するサービスの形態」を指します。最も一般的な SaaS の形態は、SaaS 提供者が提供するウェブアプリケーションを利用者がウェブブラウザを通じて利用する形態であります。サービス利用の観点ではSaaSに対する形態としてオンプレミスが存在し、これは自社内でサーバーを運用・管理し、システムを利用するものです。

 

(1)ライフリズムナビ事業の概要

<国内動向について>

 国内の超高齢社会の進展に伴い現時点で65歳以上の高齢者人口割合は約28%を超えており、今後総人口は減少傾向であるものの高齢者の割合は2050年以降も当面同水準(注1)と見込まれております。国や自治体の施策により健康寿命延伸の取り組みも進められておりますが、要介護人口は増大する見込みです。

 一方、介護を担う介護職員数は2023年時点ですでに約22万人不足しており、2040年時点では約69万人まで不足分が拡大する(注2)とされています。これらの事実から、従来の「人の手による介護」モデルは限界に来ており、最新のロボット技術、ICT技術を駆使して介護を担う現場の負担軽減や介護施設の事業運営効率化等のサポートが必須となりつつあります。そのため内閣官房資料「成長戦略フォローアップ」の重要分野における取組みの中にもデータヘルス、健康・医療・介護のDXの推進について具体的な言及がなされている(注3)ところであります。

 

 なお、この傾向は介護施設にとどまらず、地域包括ケアシステムの推進とともに拡大していく在宅介護領域においても同様です。しかしながら国内の介護業界には感情側面での「人の手による介護」といったこだわりが存在し、また業界としてICTリテラシー水準が決して高くないという実態もあり、DXが進展しにくいという根深い課題も存在しているのが実情であります。

 

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国内の人口動態

 

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介護の担い手に関する将来予測

 

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国の政策・施策トレンド

 

(注)1.内閣府「令和3年版高齢社会白書」第1章 高齢化の状況より

   2.厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について 別紙1」

   3.内閣官房「成長戦略フォローアップ 令和3年6月18日」12.重点分野における取組より

     厚生労働省「ロボット技術の介護利用における重点分野(概要)」

 

<ライフリズムナビ+Dr.の概要>

 ライフリズムナビ+Dr.は各種センサーを活用した高齢者施設向けSaaS型見守りシステムとして提供しております。センサーはスタッフの介護や介助を阻害せず、また介護ベッドの寝心地を損なわない薄型形状のライフリズムナビSleepSensorを始めとして、人感センサー、ドアのあけしめセンサー及び温湿度センサー等の基本的な組み合わせのほか、ご利用者様(各施設事業者様)のニーズに合わせてエアコンの遠隔コントローラ、顔認証カメラ、ナース

コールの代替機能を持つ呼び出しボタンや見守りコール、体温計・血圧計・血中酸素濃度計などの各種バイタル計測器等も任意に選択可能です。これにより、個室が主体の有料老人ホームや多床室が主体の特別養護老人ホームなど、お客様ごとに最適な組み合わせをご利用可能な形態を取っております。

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ライフリズムナビ+Dr.システム全体像

 

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ライフリズムナビ+Dr.センサー機器一覧

 

 

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左:有料老人ホーム(個室)           右:特別養護老人ホーム(多床室)

センサー組み合わせ例

 各種センサーから取得された睡眠データ、バイタルデータ、環境データ等のビッグデータはクラウド上に蓄積され、当社独自の解析技術により即時処理が施され、その結果をリアルタイムで介護施設のスタッフルームのパソコンや、各スタッフが保有するスマートフォン、タブレットに表示します。これにより施設のスタッフは日勤帯、夜勤帯を問わず各居室の様子を把握することができ、不要な訪室による状態確認業務を削減、業務効率化を実現しております。さらにライフリズムナビ+Dr.は国内大手6社の介護記録システムとAPI(注1)連携を実現しており、睡眠データ、各種バイタルデータ、室内環境データ等が自動で記録されます。これまで施設スタッフが日々時間を掛けて手入力をしていた作業を自動化することで、さらなる業務効率化に寄与します。

 

(注)1.API(エーピーアイ)とは、Application Programming Interfaceの略で、プログラムの機能をその他のプログラムでも利用できるようにするための規約のことを指します。API連携を行うことで他のサービスとの連携が実現し、サービスを拡張することができます。

 

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ライフリズムナビ+Dr.一覧画面イメージ

 

 またライフリズムナビ+Dr.は様々なアラートを設定可能で、例えばトイレ介助が必要な入居者の方に対しベッド上の体動を継続して検知した場合に通知する「体動アラート」を活用することで、入居者がお一人で離床しトイレに向かおうとする行動の予兆段階でスタッフが把握、訪室し適切な介助を行うことが可能です。これにより施設で発生頻度が高いとされる転倒事故の削減に繋がっております。同様に「体動アラート」を認知症の入居者などオムツを装着している方に適用しますと、排泄後の気持ち悪さからベッド上でオムツを脱ごうとするいわゆる「オムツ外し」を事前に察知することができ、この段階で介助を行うことで寝具の汚染やその交換作業などを回避することも可能です。このような事後の対応を大きく減らすことで業務効率化が実現でき、スタッフにも余裕が生まれ、本来行うべきだった介護に注力することが可能となります。これは施設運営上の大きなメリットであるだけなく、施設スタッフの身体的、心理的負担も軽減し離職率の低減にも繋がっていきます。ライフリズムナビ+Dr.にはこのようなアラート設定が多数用意されており、カスタマーサクセス部による各種アラートの最適な運用に関するサポートも加わることで、多くのお客様にご活用いただいております。

 

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左:睡眠中           中:在床(覚醒中)         右:体動アラート

標準アイコンとアラートアイコンの例

 

 

<従来課題を解決した、ライフリズムナビSleepSensor>

 ライフリズムナビ+Dr.で使われるセンサーの中で、マットレスの下に設置し睡眠やバイタルデータを取得するライフリズムナビSleepSensorには、当社が開発した技術が活用されています。ライフリズムナビ+Dr.ではこれまでも生体判別のため200種類以上のスクリーニングフィルターを内包したクラウドAI(注1)を運用しておりましたが、2022年3月にリリースした自社開発のライフリズムナビSleepSensorから新たにセンサー上にエッジAI(注2)を搭載いたしました。クラウド上とハード上、二つのAIが連携し相互に自己学習を繰り返すデュアルAI(注3)化を進め、継続的に使用することでセンサーが計測対象者に適合し計測精度を高めていく自己成長型の睡眠センサーとして適用しております。さらに、SleepSensorマット部(特許出願中)にも特徴があり、従来はトレードオフの関係であった検知範囲の拡大と精度の高い睡眠データ・バイタルデータ取得の両立も実現しております。

 

 

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ライフリズムナビSleepSensor

 

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連携する二つのAI

 

 尚、これらの技術を適用したライフリズムナビ+Dr.では、センサーを活用した見守りシステムにありがちな「誤反応・誤発報・通知遅延」を大幅に低減するとともに、これまで介護現場のニーズが高いものの適用が困難であったエアーマットとの組み合わせ利用が可能になるなど、顧客視点でより使いやすいサービスとなっております。

 

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見守り用ベッドセンサーにありがちな課題

 

(注)1.クラウドAIとは、クラウド内で動作するAIであり、200種類以上のスクリーニングフィルターを持ち、正確なセンシングを可能にしております。またエッジ側から送信された新たなパターンデータを学習し、新規のフィルタとして構築するとともに、新フィルタをエッジ側にフィードバックする機能も有しております。

   2.エッジAIとは、クラウドAIに対して端末側で処理を行うAIを指し、ライフリズムナビ事業ではライフリズムナビSleepSensorのゲートウェイ(LRNゲートウェイ)内に組み込んだAIを指しております。エッジAIは使用頻度の高い厳選されたフィルタを搭載しており、取得したデータについて例えば人かノイズかを判定し、さらにオートチューニングにより人にフィット&ギャップする機能を保有しております。また新たなパターンを検出した場合は、当該データパターンを解析するためクラウドAIに転送する機能も担っております。

   3.デュアルAIとは、エッジAIで検出した新たなデータパターンをクラウドに転送し、クラウドAIで新たなフィルタを生成する機能と、当該フィルタを随時エッジAIにフィードバックすることで常に最新の判定が可能となるような、相互学習を繰り返す機能を持つ自己成長型のAIについて呼称しております。

 

<ライフリズムナビ+Dr.の導入効果>

 当社のライフリズムナビ+Dr.は介護施設現場の負担軽減に直接的に寄与するサービスであります。

 

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ライフリズムナビ+Dr.導入による効果

生産性の向上による介護人材の需給ギャップを補填

 

 上の図はライフリズムナビ+Dr.を導入した施設において、導入前後における就業状況の変化を表しております。ライフリズムナビ+Dr.導入後は業務効率化により常勤数を1名減らすことができており、さらに残業時間も大きく削減できております。これはライフリズムナビ+Dr.の効果に加え、介護業界のお客様、現場のニーズに寄り添った当社独自のビジネスモデルによる効果も関連していると考えております。ライフリズムナビ事業では介護現場で就業経験を持つ人材が多数所属する当社のカスタマーサクセス部門による、ライフリズムナビ+Dr.導入前からのサポート、導入後の継続的な活用に至るまでの伴走しております。ハードウェア、ソフトウェア、施設内ネットワーク、そして日常の使い方のコツまで、現場のお困りごとに寄り添い続けるといった柔軟なサポート体制を構築しており、ICTやデジタル技術に苦手意識を持つ介護現場のお客様からも使いやすい、無くてはならないツールになった等の声が寄せられております。その結果として2023年4月時点でライフリズムナビ+Dr.の累計利用者数が1万6,500人を超え、導入施設数も200棟以上となりました。年次のChurn Rate(注1)も0.02%(2022年10月期)と、ほぼ解約の無いサービスとして受け入れられております。

 

(注)1.Churn rate(チャーンレート)とは、解約率のことを言います。当社では収益を基準に算出するレベニューチャーンレートを採用しており、(月次の解約分の月額費総額÷月初時点における月額費収入合計)×100で算出しております。

 

<ライフリズムナビ+HOMEの概要>

 ライフリズムナビ+HOMEは、当社の事業パートナーである東京ガス株式会社がサービサーとして2021年2月から展開する一般のご家庭用の見守りサービスです。ニーズが顕在化しつつある「離れて暮らす親の日常を心配する子世帯向けサービス」としてスタートしており、東京ガス株式会社がエネルギー事業者として約140年に渡って日々の暮らしに寄り添う中で積み重ねてきたマーケティング技術と、生活者のお困りごとに対するソリューション提供の実績に、当社のライフリズムナビ+Dr.で培った技術、ノウハウを提供し共創することで子世帯の本音に寄り添った新たな価値軸での見守りサービスとして提供されております。また最近では国が推進する地域包括ケアシステムの方針を鑑み、在宅介護領域でのサポートサービスとして、展開の領域を広げております。当社は東京ガス株式会社にセンサー機器を販売するほか、月額利用料等による収益を得ております。

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ライフリズムナビが支える地域包括ケアシステムのイメージ

 

<受託研究開発>

 当社の睡眠/生活習慣データベース、睡眠データ解析技術並びにハードウェア/ソフトウェアの自社開発技術は、介護業界だけでなく、他の事業領域にも適用可能な当社のアセットと捉えております。実際に異業種の企業からお声がけを継続的に頂いており、複数の事業者と具体的な検討を深めているところであります。尚、パートナーと共創することによって得られた知見、技術、さらにサービスを通じて永続的に蓄積される睡眠/生活習慣ビッグデータは常に当社にフィードバックされ、さらなる付加価値として改良と発展を続けます。

 

(2)中長期的な事業及び収益拡大のイメージ

 当社のライフリズムナビ事業に関する今後の展開として、短・中期的な取り組みとして高齢者施設を対象としたライフリズムナビ+Dr.のシェア拡大に注力し、目標累計販売台数として2万台を設定し取り組みを進めていく予定です。また現在、在宅介護領域への展開を広げつつあるライフリズムナビ+HOMEについて、地域包括ケアシステムの枠組みの中で中・長期的に販売拡大を推進しつつ、さらに睡眠を軸とした新製品・サービスの投入も行うことで収益の拡大を目指してまいります。

 

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事業及び収益拡大のイメージ

 

 私たちは、経営理念「今と未来を見える化し 次世代の安心を創造する」に基づき、介護、医療の枠を超えた様々な社会課題の解決に継続的に貢献する企業でありたいと考えております。

 

 

 

 

 

 

[事業系統図]

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4【関係会社の状況】

   該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

2023年5月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

32

38.5

2.7

5,351,797

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、ライフリズムナビ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。