第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2018年5月

2019年5月

2020年5月

2021年5月

2022年5月

売上高

(千円)

30,999

99,062

223,262

411,429

709,387

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

5,315

11,143

18,202

24,772

62,355

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

5,495

10,963

13,909

25,888

54,410

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

7,500

32,476

32,476

32,476

32,476

発行済株式総数

(株)

4,440,000

4,886,000

4,886,000

4,886,000

4,886,000

純資産額

(千円)

3,174

57,741

71,651

45,763

100,173

総資産額

(千円)

12,658

149,864

257,104

425,886

648,869

1株当たり純資産額

(円)

0.71

12.09

14.66

9.37

20.50

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

1.24

2.30

2.85

5.30

11.14

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

25.08

38.53

27.87

10.75

15.44

自己資本利益率

(%)

40.18

21.50

74.57

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

38,111

226,335

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,076

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

83,161

55,552

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

279,604

450,388

従業員数

(人)

2

6

10

13

32

(外、平均臨時雇用者数)

(1)

(1)

(1)

(1)

(2)

 (注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を第8期の期首より適用しており、第8期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。第4期から第7期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

2.第4期、第5期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。また、第6期から第8期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、第4期、第7期については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.第4期、第7期の自己資本利益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

4.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

6.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

7.第4期から第6期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

8.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は()内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。従業員数が最近1年間において19名増加しましたのは、主として業容拡大に伴う中途採用の強化によるものであります。

9.主要な経営指標等の推移のうち、第4期から第6期については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

10.前事業年度(第7期)及び当事業年度(第8期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)の規定に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。

11.第4期については、自社サービスを拡大するため、プロダクトの開発コストが先行した結果、経常損失及び当期純損失を計上しております。

12.第7期については、人件費や広告宣伝費などの先行投資を実施したことにより、経常損失及び当期純損失を計上しております。

13.第8期において第7期の誤謬の訂正を行い、当該過年度の誤謬の訂正による影響額を第8期の計算書類における前払費用・前受収益の額に反映させた結果、第7期の財務諸表の数値と定時株主総会において承認された計算書類の数値が一部異なっております。

14.第9期において第8期の誤謬の訂正を行い、当該過年度の誤謬の訂正による影響額を第9期の計算書類における費用および未払金の額に反映させた結果、第8期の財務諸表の数値と定時株主総会において承認された計算書類の数値が一部異なっております。

 

 

2【沿革】

 当社は2014年6月の設立以降、教育サービスを提供しております。設立以降の当社に係る経緯は以下のとおりであります。

年月

概要

2014年6月

株式会社Globeeを東京都渋谷区にて設立。代表取締役社長の幾嶋研三郎が大学在学中に、英語スクールを開講

2016年5月

英語教材プラットフォーム「abceed(エービーシード)」をリリース

2017年9月

月額有料プランのPremiumプランをリリース

2017年10月

アプリ版教材の単体販売をリリース

2018年8月

月額有料プランのUnlimitedプランをリリース(現在はPremiumプランとUnlimitedプランはProプランに統合)

2018年12月

AI機能(おすすめの問題、予測スコア)をリリース

2020年2月

「abceed」と連動した反転学習プラットフォーム「abceed for school」をリリース

2020年5月

株式会社三省堂と学校市場の展開に関する業務提携

2020年7月

英字新聞The Japan Times Alphaに対応し、「ニュース機能」をリリース

2020年10月

「abceed」にて「TOEIC® L&R TESTオンライン模試」をリリース

2020年10月

Webブラウザに対応した「abceed web」をリリース

2021年2月

英検®対策(全7級)に対応した「英検®コース」をリリース

2021年4月

学校現場で教科書に対応した「教科書プラン」をリリース

2021年6月

AI英語スクール「ABCEED ENGLISH」を開始し、「TOEIC®対策コース」をリリース

2022年1月

IBCパブリッシング刊行の「ラダーシリーズ」に対応し、「多読コース」をリリース

2022年4月

教科書に対応した公立学校向けの「Essential プラン」をリリース

2023年3月

「abceed」にて「映画・ドラマ機能」をリリース

 

 

3【事業の内容】

 当社は、「個人の可能性を最大化する」という企業理念のもと、「学習量×効率を最大化する」ことをミッションとしてAI学習プラットフォームの企画・開発・運営を行っております。

 なお、当社の事業は教育サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

■ 英語学習におけるAI学習プラットフォーム

 当社は主に、スマートフォン向けアプリ及びウェブ上で利用できるAI英語教材「abceed(エービーシード)」の企画・開発・運営を行っております。当社の提供するサービスは、教育主要4分野と呼ばれる「学習ツール」、「教材」、「テスト」、「スクール」をデジタル化し、融合させた英語学習におけるAI学習プラットフォームを構築しております。単語学習、問題演習、シャドーイング(英語を聞きながら発音する練習法)、ディクテーション(英語を聞きながら書き取りする練習法)、辞書など様々な学習機能、蓄積された学習データに基づくAIレコメンド、学習管理者向けの管理機能など学習者及び利用者にとって最適なユーザビリティを追求した「学習ツール」に、700タイトル以上(注1)の幅広いジャンルの学習教材を豊富に取り揃えた「教材」のプラットフォームを形成し、オンライン模試といった「テスト」の機能も搭載しております。加えて、厳選されたプロのコーチ(注2)による解説動画など、「スクール」の要素を「abceed」に融合したコンテンツも利用することができ、さらに「abceed」を活用して、AIが個人の具体的な弱点を可視化するとともに、「いま必要な、本当に有効な学習」を抽出し、問題を作成することができるような、個別最適化されたカリキュラムで行うTOEIC®対策のコーチングサービスである「ABCEED ENGLISH」も提供しております。

 

■ サービスライン・顧客・収益形態

 「abceed」は有料プラン(サブスクリプション)である「Proプラン」が中心(売上高全体に占めるサブスクリプション売上比率は2022年5月期で約90%)(注3)となっており、音声再生、自動採点マークシート、学習時間計測機能などの基本的な機能に加え、問題レコメンド、予測スコア機能など多種多様な学習機能を利用することができます。「Proプラン」では、200タイトル以上の人気教材、ニュース(英字新聞)、解説・講義動画などが使い放題(一部対象外の教材有)で、TOEIC®・英検®のオンライン模試も利用することができます。

 一部コンテンツの単品での販売も行っております。また、法人向けには、学習管理者に月額制の管理画面の機能も提供しており、学習状況の管理や課題の配信などに対応しております。さらに、プロのコーチのサポートが付いた英語スクールである「ABCEED ENGLISH」も提供しており、さらなるサポートを得て学習したいユーザーにご利用いただいております。

 対象となる顧客については、「abceed」の有料プランと管理画面「abceed for school」を中心に、一般ユーザー(個人)と法人(企業・大学等及び学校)に提供しております。学校向けには「Proプラン」に加え、検定教科書に対応したプランを展開しております。売上高に占める一般ユーザー(個人)と法人の内訳につきましては、2023年5月期第3四半期累計期間で一般ユーザー(個人)が約90%(注4)となっております。

 

顧客属性別売上構成比率(注4)

0201010_001.png

 

 

サービス概要及び主な料金プラン

0201010_002.png

 

 

(注1)2023年4月末時点

(注2)採用率は0.78%(2021年3月12日~2022年9月21日の間で英語コーチポジションに応募のあった候補者のうち採用に至った比率を算出しております。)

(注3)サブスクリプション売上比率は、2022年5月期における販売促進費控除前の売上高のうち、一般ユーザー(個人)及び法人(企業、大学、高校、中学校等)のサブスクリプション会員の売上の比率

(注4)toC売上は一般ユーザー(個人)からの売上高、toB売上は法人(企業、大学、高校、中学校等)からの売上高を集計し、比率を算出

 

 

■ 当社の競合優位性

 当社は次の3つの要素により、「英語学習に特化したAI学習プラットフォーム」という競合優位性を堅持し、独自のポジショニングを確立していると考えております。

 ①教材コンテンツプラットフォーム

 ②英語特化によるユーザビリティの追求

 ③AIの活用

 

①教材コンテンツプラットフォーム

 人気の教材コンテンツを豊富に揃えているため、幅広い学習者から認知されやすく、自然流入でのユーザー獲得が実現できていると考えております。

 創業初期から地道に出版社との関係を構築した結果として、当社は多くの教材のライセンス(注1)提供を受けることにより、それらの教材コンテンツを「abceed」に対応できており、豊富な人気教材を使って学習することができます。また、教科書にも対応しており、学校現場への展開も可能となっております。

 語学学習の教材市場においては、学習者に従前から長年利用されてきたベストセラーとなっている馴染みのある教材が利用され続けやすい傾向にあります。学習者にとって、今まで全く知らなかった教材やサービスによるオリジナルなコンテンツは取り掛かりにくく、長年信頼されていた人気の教材、慣れ親しんだ教材の方が始めやすいため、それらを豊富に取り揃えた教材プラットフォームとなっている「abceed」は、幅広い学習者からの認知を得ることができていると考えております。

 その結果、競合他社がマーケティング及び営業コストをかける必要があると考えられる一方で、広告宣伝や営業に関するコストをあまりかけずとも、オーガニックでユーザーを獲得することができており、オーガニックユーザー獲得率は約96%(注2)となっております。

 

②英語特化によるユーザビリティの追求

 「abceed」は、英語学習者に最適なユーザビリティを担保しております。これは多科目ではなく英語に特化することにより実現できたと考えております。

 単語対策、4技能対策(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)、辞書、MY単語帳など30以上(2023年2月末時点)の豊富な学習機能を搭載しておりますが、英語という1つの科目だけでも、学習者にとって最適なユーザビリティを担保するには、様々な要素を深掘りする必要があるため、これらのユーザビリティの担保は多数の科目ではなく英語に特化したことに起因しております。従来型の学習教材をオンライン化した学習ツールや既存のデジタル教材とは一線を画す、AIを活用しつつ英語に特化したユーザビリティを追求しているサービスが「abceed」であります。学習者にとって最適なユーザビリティを追求したことが、法人向けではなく一般ユーザーから先行して口コミで広がり、高い評価を受け続けていることの主な要因となったと考えております。

 学習管理者向けの管理画面についても、英語学習に最適な管理ツールとして予測スコア、学習時間、課題進捗率など学習成果を一括管理することが可能であり、目標に沿った課題を配信、自主学習の習慣化を支援することができます。

 

③AIの活用

 「abceed」は、14億件超の解答データ(注3)の蓄積をもとに、AIレコメンドによる個別最適化で高い学習効率を実現しており、リアルタイムスコア予測によりユーザーの成長を可視化します。当社では大量の教材コンテンツ、問題に対する大量の学習データやユーザーのTOEIC®公開テストなどの実績データを保有しているのが強みでありますが、それらに加えて英語学習及びTOEIC®等の対策に精通したスタッフによるノウハウも反映しており、以下の2つの特徴によるユーザーの学習成果の向上の強化を図っております。

・AIレコメンド

それぞれのユーザーにとって、「ギリギリ解けそうな問題」、「忘却曲線に沿って復習すべき問題」などを最適なタイミングで学習できるように、問題データベース(2万超)の中からAIによるレコメンドにより個別最適化して出題し、ひとりひとりに最適な「パーソナライズ教材」を作成します。「abceed」では、膨大な学習データを解析し、問題のレベル別、カテゴリ別に最適な問題を出題しますが、例えば、似ている問題に正答できていれば出題せず、間違いやすいカテゴリの問題を優先して出題する、などの工夫を施しており、学習効率の向上に繋がります。また、ユーザーにとって難易度が高すぎず、低すぎない問題を優先的に解くことができることにより、ユーザーのモチベーションの向上及び学習量の確保に繋がります。その結果として、ユーザーの学習成果やTOEIC®や英検®のスコア向上に貢献していると考えております。

・リアルタイムスコア予測

「ユーザーが各カテゴリ、各難易度の問題を何%正解できそうか」という予測に基づき、本番のTOEIC®公開テストにおけるカテゴリ別、難易度別の出題分布と組み合わせて、「abceed」での学習データから本番のTOEIC®公開テストでのスコア予測を行っております。予測スコアにより学習状況が可視化され、成長の実感やモチベーションの向上にも繋がると考えております。また、「abceed」のオンライン模試は累計受験者数が100万人(注4)を突破しており、本番同様の難易度での出題及び予測スコアにより本番に近い体験が可能です。

 

 

(注1)教材のライセンスとは、コンテンツを保有する出版社との契約により得た利用許諾を指します。

(注2)オーガニックユーザー獲得率は、全ユーザー数のうち、広告などで獲得(広告媒体の閲覧を経由して有料で会員登録に至ること)したユーザー数を除いた割合(2022年5月期末までの累計)。期別では2018年5月期から2020年5月期は100%、2021年5月期から2023年5月期第3四半期は96%で推移

(注3)2023年2月末時点、当社集計

(注4)2022年6月末時点の累計受験者数を集計(同一ユーザーによる複数受験を含む件数であり、当社にて集計)

(注5)注2及びその他で記載されているユーザーとは、アプリをダウンロードまたは会員登録した者(無料会員含む)を指し、ユーザー数はその累計数を指します。

 

[事業系統図]

0201010_003.png

 

(注)一般ユーザー(個人)による「abceed」の有料プラン及び単品課金の利用料は、プラットフォーム事業者及び決済代行業者を通じて回収され、決済手数料等を差し引いた金額が当社へ支払われます。なお、法人顧客への「abceed」のサービス提供、法人顧客及び一般ユーザー(個人)へのAIスクール「ABCEED ENGLISH」の提供に対する料金は、プラットフォーム事業者及び決済代行業者によらず、ユーザーから当社へ支払われることがあります。

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

27

6

35.0

1.2

4,345

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業は、教育サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

4.従業員数が最近1年間において13名増加しましたのは、主として業容拡大に伴う中途採用の強化によるものであります。

 

(2)労働組合の状況

当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。