回次 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
|
決算年月 |
2018年8月 |
2019年8月 |
2020年8月 |
2021年8月 |
2022年8月 |
|
売上高 |
(千円) |
|
|
|
|
|
経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
|
|
|
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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普通株式 |
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A種優先株式 |
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B種優先株式 |
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C種優先株式 |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
|
|
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|
1株当たり純資産額 |
(円) |
△ |
△ |
|
△ |
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1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
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自己資本比率 |
(%) |
|
|
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|
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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|
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配当性向 |
(%) |
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営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
△ |
△ |
投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
|
△ |
財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
△ |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
|
|
|
|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
|
|
|
(外、平均臨時雇用者数) |
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( |
( |
( |
( |
( |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.第6期、第7期及び第9期の1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
5.自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。
6.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
7.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第10期の期首から適用しており、第10期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
9.営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の期末残高については、第6期、第7期及び第8期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、記載しておりません。
10.第6期、第7期、第8期、第9期及び第10期は、事業拡大に伴う人件費等の増加により、経常損失及び当期純損失を計上しております。また、同様の理由により、第9期及び第10期の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっております。
11.第9期の投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の清算による収入、敷金の回収による収入等により405,343千円の収入となっております。
12.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。
13.第6期、第7期、第8期、第9期及び第10期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しております。なお、第9期及び第10期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりますが、第6期、第7期及び第8期の各数値については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
14.当社は、2020年3月2日開催の取締役会において、A種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式のすべてにつき、定款に定める取得条項に基づき取得することを決議し、2020年3月23日付で自己株式として取得し、対価として普通株式を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式は、2020年3月23日付で会社法第178条に基づきすべて消却しております。
15.2020年3月2日開催の取締役会決議により、2020年3月25日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行いましたが、第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。
16. 2020年11月30日開催の定時株主総会決議により、2020年12月1日付で普通株式の一部をA種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式に変更しております。
17.2022年8月8日開催の臨時株主総会の決議により、定款の一部変更を行い、A種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式に関する定款の定めを廃止し、同日付でA種優先株式156,000株、B種優先株式1,473,500株及びC種優先株式1,676,700株は普通株式3,306,200株となっております。
18. 2020年3月2日開催の取締役会決議により、2020年3月25日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりであります。
なお、第6期、第7期及び第8期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
|
決算年月 |
2018年8月 |
2019年8月 |
2020年8月 |
2021年8月 |
2022年8月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
△263.01 |
△573.85 |
302.67 |
△876.85 |
232.02 |
1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△188.33 |
△310.84 |
△173.22 |
△65.54 |
△41.18 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 (うち1株当たり中間配当額) |
(円) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
当社代表取締役CEOである岡田陽介は、2012年に発表された機械学習分野における技術革新であるディープラーニングをきっかけとして当社を設立いたしました。当社は「ゆたかな世界を、実装する」という企業理念のもと、「デジタルプラットフォーム事業」を展開しております。
当社の設立以降の沿革は、以下のとおりであります。
年月 |
概要 |
2012年9月 |
東京都渋谷区東に株式会社ABEJA(資本金1,000千円)を設立 |
2012年10月 |
本社所在地を東京都港区南麻布に移転 |
2013年6月 |
移動体付随情報表示装置株式会社を吸収合併 |
2014年8月 |
本社所在地を東京都港区六本木に移転 |
2014年12月 |
販路の拡大を目的に、salesforce.com, Inc.と資本業務提携 |
2015年10月 |
小売流通業向けのディープラーニングを活用した店舗解析SaaS「ABEJA Dashboard(現:「ABEJA Insight for Retail」)」をリリース |
2016年3月 |
本社所在地を東京都港区虎ノ門に移転 |
2017年3月 |
シンガポール法人(ABEJA Singapore PTE. LTD.)を設立 |
2017年5月 |
技術パートナーとして、NVIDIA Corporationと資本業務提携 |
2017年9月 |
独自AIの開発・運用プラットフォーム「ABEJA Platform」のベータ版を提供開始 |
2017年12月 |
「ABEJA Platform」にアノテーション機能を追加し提供を開始 |
2018年2月 |
自社AIカンファレンス「ABEJA SIX 2018」を初開催 |
2018年2月 |
「ABEJA Dashboard」を「ABEJA Insight for Retail」としてリニューアル |
2018年2月 |
AIの実装・運用を支える「ABEJA Platform」をリリース |
2018年3月 |
本社所在地を東京都港区白金に移転 |
2018年11月 |
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」付与の認定 |
2019年3月 |
自社AIカンファレンス「ABEJA SIX 2019」を開催 |
2019年7月 |
AIの倫理・法・社会的課題を討議する有識者委員会「Ethical Approach to AI(EAA)」発足 |
2019年10月 |
米国法人(ABEJA Technologies, Inc.)を設立 |
2020年9月 2021年1月 |
本社所在地を東京都港区北青山に移転 米国法人(ABEJA Technologies, Inc.)を清算 |
2021年4月
2021年7月 |
デジタルトランスフォーメーション推進を目的に、SOMPOホールディングス株式会社と資本業務提携 シンガポール法人(ABEJA Singapore PTE. LTD.)を清算 |
2021年10月 |
デジタルトランスフォーメーション推進を目的に、ヒューリック株式会社と資本業務提携 |
2022年7月 |
自社AIカンファレンス「ABEJA SIX 2022」を開催 |
2022年7月 |
デジタルトランスフォーメーション推進を目的に、三菱商事株式会社及び株式会社インダストリー・ワンと業務提携 |
2022年9月 |
本社所在地を東京都港区三田に移転 |
(1)ミッション
当社は「テクノロジーの力で産業構造を変革する」をミッションに掲げております。このミッションのもと、革新的テクノロジーに常に注目し、知見を深めるとともに、正しい創造性・人間性・倫理観をもって活用することで、従来の産業構造を変えていくことを目指し、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を総合的に支援しております。
足元においては、アフターコロナにおける新たな社会の実現や、少子高齢化に伴う労働生産人口の減少、働き方改革等を背景に、日本においても企業のデジタルトランスフォーメーションの需要は高まりを見せております。また、近未来においては、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションにより、新しいビジネスモデルに転換することが予想されます。
当社は、企業のデジタルトランスフォーメーションを効果的に推進するためには、人とAIが協調してビジネスプロセスを実行する環境を創出することが重要と考えております。これを実現するため、当社はABEJA Platformの提供を通じて、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援しております。
また、当社は一般社団法人日本ディープラーニング協会の設立を支援し、正会員として「ディープラーニング for デジタルトランスフォーメーション」拡大に取組むとともに、最先端技術の動向把握や先進的な取組事例の創出に努めております。
2019年3月には約5,200名が参加した自社リアルカンファレンス「ABEJA SIX 2019」を、2020年5月、2022年7月には自社オンラインカンファレンス「デジタルトランスフォーメーション2020」、「ABEJA SIX 2022」を開催しており、マーケットの醸成を含め、「テクノロジーの力で産業構造を変革する」というミッションを様々な形で推進しております。
(2)事業概要
当社は、ABEJA Platform上で、顧客企業の競争優位の源泉となるビジネスプロセスを変革し、継続的な収益成長の実現に伴走する「デジタルプラットフォーム事業」を営んでおります。
当社事業は、ABEJA Platformを基盤としており、主たる領域として「トランスフォーメーション領域」と「オペレーション領域」に分類できます。
「トランスフォーメーション領域」は、フロー型(都度契約)の契約形態となり、企業のデジタルトランスフォーメーションニーズに対応したプロフェッショナルサービスを、ABEJA Platformを導入し、提供しております。
「オペレーション領域」は、ストック型(継続収入)の契約形態となり、ABEJA Platform上に構築した様々なシステムを汎用的な仕組み・サービスとして提供しております。
これらを含めた当社の事業全体像は図1のとおりであります。なお、当社事業はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントとなります。
図1:当社の事業全体像
デジタルプラットフォーム事業として展開する当社のビジネスモデルは、EMS(Electronics Manufacturing Service)に近い形態となります。
当社は、これまでの多種多様な業界・業態300社以上のデジタルトランスフォーメーションを支援する上で培ったナレッジ(EMSにおける製造プロセスノウハウ)を活かし、顧客のニーズにあわせ、設計、開発、構築及び運用まで、デジタルトランスフォーメーションに必要な工程をデジタル版EMSとして、フルマネージドサービスで請け負います。これにより、顧客はABEJA Platformの最先端の製造機械と製造ノウハウを活用し、AIシステムをシームレスに基幹業務に取り入れ、運用することが可能となります。
当社の事業を製造業に例えた場合のイメージは図2のとおりであります。
図2:当社の事業を製造業に例えたイメージ図(デジタル版EMS)
トランスフォーメーション領域で設計し、ABEJA Platform上に構築したビジネスプロセスを、オペレーション領域で運用する事業モデルとなります。このため、運用におけるフィードバックがビジネスプロセスの精度向上やトランスフォーメーション領域での機能改善・追加開発に結びつくなど、2領域は密接に連携しております。
① ABEJA Platform
a.ABEJA Platform概要
ABEJA Platformは、デジタルトランスフォーメーションの実行に必要な、データ生成からデータ収集、データの加工、データ分析、AIモデリングまでのプロセスを提供し、継続的・安定的な運用を行う、ソフトウェア群となります(図3)。
ABEJA Platformは、大きく5つのレイヤーで構成されております。顧客企業は必要なデータをABEJA Platformに蓄積することにより、コンピューティングリソースの管理やセキュリティを担保した環境の中で、データ加工等を行い、当該データと、BaaSレイヤーで予め準備しているAIモデルを組み合わせることにより、簡便に属性推定システム、異常検知システムといったAIシステムを構築することができます。
図3:ABEJA Platform
また、ABEJA Platformの強みとして、300社以上に対するサービス提供実績と、その際に開発されたモジュール群が備わっているため、個別の検証を必要とせず安定した品質のソリューションを素早く提供できる点などが挙げられます。
ABEJA Platformの強み |
|
開発速度の向上・早期運用開始 |
・既に実装されたモジュールを即座に提供することが可能 |
高い品質安定性 |
・過去の案件で実際に使われ、品質安定性について個別の検証を必要としないテスト済みのモジュールを利用可能 |
最先端の技術をいつでも利用可能 |
・最新のMLライブラリ、最新技術を用いたMLモデルなど、常に最新で最適な技術を利用可能 |
AutoMLをベースに本番適用 |
・AutoMLをベースに本番適用できる先進的なシステム |
運用コスト・負荷の低減 |
・フルマネージドサービスとして提供されているため、MLエンジニア以外の運用人員が不要 |
堅牢なセキュリティ |
・医療、金融、自治体でも実績のある高いセキュリティ ・システムダウンが大規模事故につながるような案件での実装経験 |
当社は、創業当初よりABEJA Platformへ継続的な投資を行っており、基礎的な機能面における投資はほぼ完了しております。また、ABEJA Platformにおけるコア技術については、特許(「機械学習又は推論のための計算機システム及び方法(PCT/JP2018/3824)」)を取得しており、競合他社への牽制、優位性の一要素となっているものと考えております。
b.ABEJA Platform上でのHuman in the Loopの仕組みについて
従来、AIを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進するためには、PoC(Proof of Concept:実証実験)を繰り返し行い、AIの精度を継続的に向上させていました。しかし、企業にとってPoC期間は投資期間であり、精度の保証が難しいAIの開発において、継続して投資の意思決定を行うことがボトルネックとなる等、PoCに留まっている企業の割合は63%にものぼります(出所:アクセンチュアニュースリリース「アクセンチュア最新調査―AI活用において、60%以上の企業が概念実証に留まる」2022年6月23日)。
一方で、ABEJA Platform上で、Human in the Loopの仕組みを利用することにより、PoCを行わず、デジタルトランスフォーメーションを推進することが可能となります(図4)。
図4:デジタルトランスフォーメーション推進プロセスの比較
当社の提供するHuman in the Loopとは、ABEJA Platform上にビジネスプロセスの運用ノウハウや知識をデータとして蓄積するとともに、人が判断や意思決定を補うことで効率的にAIモデルを構築していく仕組みとなります。例えばデータ量が少なく、AIが効果的に学習することができない、高い精度を発揮できない初期段階においても、人が補うことでAIの学習サイクルを成立させることができ、人とAIの協調(人とAIの相互補完)により、当初より実運用を可能としています。
具体的には次のステップにより、ABEJA Platform上でHuman in the Loopの仕組みを実現しております
(図5)。
ステップ |
状況 |
ステップ1(DX取組前) 人が実行 |
・人が、リアル空間で、ビジネスプロセスを行っている ・運用ノウハウや知識は個々人等に分散 |
ステップ2 人が実行 |
・人が行うビジネスプロセスに、ABEJA Platformを導入 ・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている ・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積される |
ステップ3 人が実行・AIが支援 |
・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている ・ABEJA Platformに徐々に蓄積される運用ノウハウや知識がデータとして活用され、AIが支援、人の負荷が軽減される ・日々のビジネスプロセスにより、データの蓄積と、ABEJA Platformでの活用が進み、さらにAIの支援内容が高度化する |
ステップ4 AIが実行・人が支援 |
・AIが、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている ・人が支援(監督・監査)しており、負荷がさらに軽減される ・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformで活用され、さらに実行内容が高度化する |
図5:ABEJA PlatformにおけるHuman in the Loopの仕組み
図5におけるデジタルトランスフォーメーションの進捗について、ステップ2で人が行うビジネスプロセスにABEJA Platformを導入することで、人とAIが協調してオペレーションを実行する環境が創出されます。これにより、運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積できるようになり、この点を大きな変革点(トランスフォーメーション)と捉えています。当該環境のもと、日々のオペレーションにより、運用ノウハウや知識のデータ蓄積と活用が進み、ビジネスプロセスのAI化が進んでいきます。
具体的なHuman in the Loopの仕組みを利用した取組事例として、プラント事業者において工場内配管の腐食度の定常的な検査・モニタリングにAIを活用し、人とAIが協調しながらAIモデルが成長する仕組みを構築しております(図6)。
図6:Human in the Loopの仕組みを利用した具体例
c.取組範囲の拡大について
一顧客において、単一のビジネスプロセスから、複数のビジネスプロセスに取組範囲を広げることにより、重層的に顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを推進できます。この段階では、ABEJA Platformに蓄積済みの連携データを再活用することで、デジタルトランスフォーメーションの速度を上げ、顧客企業の高収益化に貢献できると考えております(図7)。
図7:重層的なデジタルトランスフォーメーションの推進
② トランスフォーメーション領域とオペレーション領域
a.トランスフォーメーション領域
企業のデジタルトランスフォーメーションニーズに幅広く対応したプロフェッショナルサービスをABEJA Platformを導入し、提供しております。
プロフェッショナルサービスの提供にあたっては、経営レベル、全社レベルのビジョン(デジタルトランスフォーメーションの実現を通して目指す姿)の策定・共有から、ビジョンを具現化するためのプランニング、ビジネスプロセスにあわせたシステム構築・運用までを伴走型で支援しております。
当社は、創業以来、幅広い業種にわたる300社以上の顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを支援してまいりました。当該経験がプランニング力やプランを具現化する実行力に繋がっております。
今後は、ABEJA Platform上のHuman in the Loopの仕組みを用いることで、
・ビッグデータが無くても、小規模にデジタルトランスフォーメーションの取組みを開始できる
・企業側の既存システムや既存オペレーションへの影響が小さい
・AIの精度問題のラストワンマイルを超えることができる
といった優位性を活かし、これまでより幅広い業種、企業規模のデジタルトランスフォーメーション支援に取組んでまいります。
また、当社では顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを推進するとともに、AI研修等を通じて、企業内でデジタルトランスフォーメーションに取組むデジタル人材の育成も推進しております。
b.オペレーション領域
ABEJA Platform上に構築した様々なシステムを、汎用的な仕組みやサービスとして提供しております。
現状では、小売業、不動産業、製造業、金融業などが対象となり、複数の業界にわたってABEJA Platform上に構築したシステムを運用して業務推進しております。
当社では、創業以来、1,000拠点を超える様々な環境に設置したカメラやセンサーから取得したデータ、顧客の業務システムなどをABEJA Platform上に実装してまいりました。これにより、長期間安定運用するノウハウを蓄積し、プライバシーやセキュリティなどを担保する仕組みを構築しております。
c.具体例
デジタルトランスフォーメーションの具体的な取組事例は以下のとおりとなります。
顧客業種 |
取組内容 |
想定する効果 |
小売 |
販売データに基づく販売在庫の自動発注最適化システムの構築・運用 |
食品サプライチェーンの最適化 |
プラント |
画像データに基づきプラントインフラの定期的検査・モニタリングを行うAIシステムの構築・運用 |
保守人員の削減 |
製造業 |
トラブル等のデータに基づき対処方法を選定するAIシステムの構築・運用 |
トラブル対応コストの削減 |
電力 |
稼働データに基づく電力需要予測システムの構築・運用 |
電力量の効率的コントロール |
医療 |
画像データに基づく疾患検出AIシステムの構築・運用 |
予防医療と関連疾患の早期発見 |
介護 |
介護データに基づく被介護者の自立支援システムの構築・運用 |
介護従事者の効率性向上、サービス品質向上 |
金融 |
アンダーライティング(引受業務)の高度化を行うための支援 |
引受工数削減、リスクマネジメントの高度化、収益向上 |
情報 |
購入データに基づくコンテンツレコメンドAIシステムの構築・運用 |
利用者の利便性の向上、購入率の向上 |
不動産 |
ハイブリッドワーク(オフィス出社とリモートワーク)下における情報・コミュニケーション格差が発生しないためのオフィス環境の構築・運用 |
入居者ターゲットの拡充 |
中間流通 |
効率化のためにDX化すべきオペレーションを予測するシステムの構築・運用 |
中間工数の削減 |
そのほかに、オペレーション領域主体の具体例として、ABEJA Platform上に構築したABEJA Insight for Retailを、小売業中心に553店舗(2023年2月期末時点)に提供しております。
ABEJA Insight for Retailでは、店舗に設置したカメラなどデバイスを通して消費者の動線分析や年代・性別の推定を行い、入店から購買に至る消費者行動をデータとして可視化・数値化することで、店舗の課題を客観的に把握し、運営の改善に繋げることが可能となります。
d.ABEJA Platformと2領域の連携
当社では、トランスフォーメーション領域とオペレーション領域で得た知見を基盤であるABEJA Platformに還元するとともに、2つの領域間でも相互に連携をとる、シナジー効果の高い事業モデルとなっております。2領域で獲得した知見をABEJA Platformに蓄積することで、継続的な効率化や安定性の向上、ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスなどの改善を行っております(図8)。
図8:ABEJA Platformと2領域の連携
(3)収益構造
トランスフォーメーション領域は、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション推進のための各種支援に伴う収入が主な収入となります。デジタルトランスフォーメーションは段階的に進めていくため、多くはフロー型(都度契約)の契約となりますが、一方で長期間にわたる計画的なプロセスとなるため、売上高に占める継続顧客の割合は高くなっております。
・継続顧客からの売上比率 (注1) 91.8%(2022年8月期)
・大口顧客のアップセル率 (注2) 100.0%(社数ベース、2022年8月期)
・大口顧客の平均単価上昇率(注3) 203.1%(2022年8月期)
※大口顧客=売上高30百万円超
オペレーション領域は、顧客企業に提供する汎用的な仕組み・サービスに応じたストック型(継続収入)が主な収入となります。
なお、ABEJA Platformはトランスフォーメーション領域、オペレーション領域の基盤となりますが、全体の売上高のうち、ABEJA Platform関連の売上比率は83.6%(2022年8月期)となります。また、ABEJA Platformの利用社数は266社に及びます(2019年8月期~2023年2月(累計))。
(注1)継続顧客からの売上比率は、既存顧客(前事業年度に売上が発生した顧客)の当事業年度の売上高/当事業年度の売上高。
(注2)大口顧客のアップセル率は、前事業年度から売上が増加した当事業年度の大口顧客数/当事業年度の大口顧客数。
(注3)大口顧客の平均単価上昇率は、当事業年度の大口顧客の「当事業年度の売上合計/前事業年度の売上合計」。
(4)SDGsへの取組み
当社はテクノプレナーシップ(「第2 事業の状況」参照)の基本精神に基づき、SDGs(持続可能な開発目標)の各目標に取組む企業を支援しています。
SDGsが示す17の目標のうち、以下の項目において、当社のサービスが利用されております(図9)。
図9:当社のサービスが利用されている項目と具体的な事例
[事業系統図]
用語集
用語 |
内容 |
AI |
Artificial Intelligenceの略称で、人工知能。学習・推論・認識・判断などの人の知能的な作業・活動を行う人工的な仕組み。 |
AIシステム |
人間が定義した特定の目的のために、予測、助言、決定を行う性能を有するシステム。設計次第で様々な自律の程度で動作する。 |
機械学習(Machine Learning/ML) |
コンピュータが、大量のデータから反復的に学習することでルールやパターンを見つけ出し、それをもとに分類や予測を行うアルゴリズムやモデルの総称。 |
アノテーション |
AIが学習する教師データ(正解データ、ラベル)を作成するため、画像やテキストなどのデータに関連する情報を注釈として付与する作業。 |
ディープラーニング |
深層学習とも呼ばれる機械学習の一種。人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層にしたアルゴリズムの総称。 従来は人が行っていたデータから潜在的な特徴を抽出する作業をコンピュータが行うことが特徴。 |
デジタルトランスフォーメーション(DX) |
データとデジタル技術を活用することで製品・サービス・ビジネスモデルの変革を行い、新たな競争優位性を作り出すこと。 |
EMS(Electronics Manufacturing Service) |
Electronics Manufacturing Service の略称で、電子機器をはじめとした他社の製品の製造を請け負うサービスのこと。 EMSは、規模の経済を働かせ製造コストを抑えるといったモデルで拡大、近年では請け負う製品領域が多様化しており、また、サービス領域も製造のみならず設計、保守運用に拡がりを見せている。 |
AutoML |
Automated Machine Learning の略称で、データ収集、データの加工、モデルの生成などの機械学習のプロセスを自動化する技術や手法、概念のこと。 |
Human in the Loop |
システムにおいて、一部の判断や制御を人が補うことで、システムの判断が間違うことがあってもシステムを運用できるようにする仕組み。 |
Human in the Loop Machine Learning |
AIを活用するシステムにおいて、AIの出力する結果に対して人がチェック・フィードバックをすることで、継続的に教師データを作成できる状態を作りAIの精度を高め続ける仕組み。 |
BPR |
Business Process Reengineering の略称で、既存の業務プロセスを見直し、情報システム、制度、組織を含めて再設計すること。 |
BPO |
Business Process Outsourcing の略称で、企業の業務プロセスを一括して外部に委託すること。 |
オーケストレーション |
複雑なコンピュータシステムの設定や管理、調整をソフトウェアによって効率化、省力化、自動化すること。 |
ユーザーインターフェース(UI) |
ユーザーがサービスを利用する際に触れる操作画面や操作方法などの、ユーザーとサービスの接点を指す。 |
ユーザーエクスペリエンス(UX) |
製品やサービスを通して、ユーザーが感じる使いやすさや印象といったユーザー体験のこと。 |
BaaS |
Backend as a Serviceの略称で、アプリケーションのバックエンド機能を提供するクラウドサービス。 ABEJAでは、属性推定や需要予測等のAIを、一定程度の精度が担保された状態で予め準備し、顧客が簡単に利用できるように提供。 |
PoC(Proof of Concept:実証実験) |
構想、企画した AI システムが意図した結果を生み出すかを確認するために、AI の精度などの不確実性が高い部分に絞り実験的に検証すること。 |
IoT |
Internet of Things の略称で、車、住宅、家電製品、センサーなどの様々なモノが、インターネットと接続され、相互に情報交換をする仕組み。 |
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(その他の関係会社の親会社) |
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SOMPOホールディングス株式会社 (注1) |
東京都新宿区 |
100,045 |
保険持株会社 |
被所有 間接21.96 |
業務提携 役員の受入(1名) (注2) |
(その他の関係会社) |
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SOMPO Light Vortex株式会社 |
東京都新宿区 |
12,198 |
デジタル技術を活用した商品・サービスの企画、開発、販売 |
被所有 直接21.96 |
役員の受入(1名)(注2) |
(注)1.有価証券報告書の提出会社であります。
2.SOMPOホールディングス株式会社及びSOMPO Light Vortex株式会社から当社役員に受け入れている者は、同一の者であります。
(1)提出会社の状況
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2023年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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( |
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(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、デジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
4.最近日までの1年間において従業員が11名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。
(2)労働組合の状況
当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。