第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

(はじめに)

 当社グループの中心企業であるエキサイト㈱は、1997年8月にインターネットナビゲーションサービスを提供することを目的として、Excite Inc.(本店所在地:米国カリフォルニア州)の日本における100%子会社として設立されました。

 エキサイト㈱は設立後、ブロードバンド利用者数の増加やインターネット広告市場の成長を背景に、主力事業であるインターネット広告事業の売上高を順調に伸ばし、2004年11月に日本証券業協会に株式を店頭登録しました。同年12月に同登録を取り消した後、㈱ジャスダック証券取引所に株式を上場し、その後各証券取引所の統合に伴い、2013年7月から東京証券取引所のJASDAQ市場に株式を上場しておりました。

 しかしながら、近年はインターネット市場におけるポータルサイトの集約により、2007年にはアクセス数の国内上位20サイト中8サイトを占めていたポータルサイトが2016年には4サイトまで減少したことに加えて、YouTube、Facebook、Twitterといった新たなジャンル、コンテンツの台頭によりインターネット市場におけるサービス形態の多様化や競争の激化が進んだため、インターネット広告事業等の広告・課金事業の収益は悪化していきました。また、ISP(インターネットサービスプロバイダー)(注1)サービスにおける光回線サービスの初期投資や大型プロモーション投資等の負担が重なったこともあり、2016年3月期から3期連続の営業損失を計上するなど業績の低迷が続きました。

 そのような中、2018年7月にXTech㈱(注2)からTOB(株式公開買付け)の提案を受け、エキサイト㈱社内での検討の結果、非公開化することが企業価値を最大化する最良の選択であるとの結論に至り、2018年10月に当社がエキサイト㈱を子会社化し、同社は2018年11月に東証JASDAQスタンダード市場から上場を廃止しました。

 上場廃止後は、2020年10月にグループ経営の効率化を図ることを目的として、当社は純粋持株会社へ移行した上で、エキサイトホールディングス㈱に商号変更し、現在に至っております。

(注)1.Internet Services Providerの略で、公衆通信回線等を経由して契約者にインターネットへの接続を提供する事業。

 2.当社によるエキサイト㈱TOB時の当社の親会社であります。なお、2023年3月1日付で、XTech㈱は、新設分割により、当社代表取締役社長CEOである西條晋一の財産管理を目的とした新会社(CASK㈱)を設立しております。この新設分割により、XTech㈱が所有していた当社普通株式の全株式はCASK㈱に承継されたため、XTech㈱は当社の親会社から外れております。

 

1.当社の設立経緯

当社は、2018年7月にエキサイト㈱の株式取得を目的としたSPC(特別目的会社)として、資本金30,000千円で設立されました。また、XTech㈱は、2018年1月に当社代表取締役社長CEOの西條晋一により資本金9,190千円で設立されました。両社とも社歴が浅かったため、実質的に西條晋一個人によるエキサイト㈱へのTOBとなりました。そのような状況であったことから、エキサイト㈱の株式取得代金の全額を調達することができず、金融機関からの融資の条件として、エキサイト㈱が保有する現金及び預金、営業キャッシュ・フローから返済するLBO(レバレッジド・バイ・アウト)スキームであれば融資が受けられたことから、2018年7月に当社を設立し、2018年10月及び2019年2月に金融機関から融資を受けております。

なお、当社は借入金の比率を下げるため、2018年10月に第三者割当増資による資金調達を行っておりますが、エキサイト㈱のTOBを行うためには、LBOが現実的に取り得る方法であったことから選択したものであります。

 

2.当社によるTOBと上場廃止

上記のとおり、インターネット市場におけるサービス形態の多様化や競争の激化が進んだこともあり、エキサイト㈱の業績は低迷し、3期連続の営業損失を計上しました。エキサイト㈱としては、そうした状況からの脱却のためには、迅速な経営判断で他社に先んじた抜本的な施策を実行し、事業特性に応じた最適な顧客獲得、収益構造の策定、及び効率的な経営資源の投下を行うことが必要であると考え、エキサイト㈱の筆頭株主であった伊藤忠商事㈱より当時XTech㈱創業を契機にインターネット関連ビジネスの拡大に検討を重ねていた当社代表取締役社長CEO西條晋一と広範に意見交換を行いました。そして、①当社代表取締役社長CEOの西條晋一が広告・課金事業領域における豊富な経営経験とインターネット事業への投資実績を有しており、これらの経験や実績により培ったノウハウを企業価値向上のために活用することができれば、エキサイト㈱の抱える経営課題を克服していくために必要な具体的施策の検討の効率性を高めるとともに、検討結果としての当該施策の実行性をも高めることができると考えられること、②その一方で、短期的には収益の悪化も想定されるため、短期的な市場株価の変動に捉われることなく、中長期的な企業価値向上を見据えた、一貫した経営方針のもと、迅速な事業の再構築が可能となることが見込まれることから、当社がエキサイト㈱の唯一の株主となり、株式を非公開化することが企業価値最大化の最善策であるとの結論に至りました。2018年9月から10月にかけてTOBが行われ、エキサイト㈱は2018年11月に上場を廃止しました。

 

3.当社の純粋持株会社への移行と商号変更

当社は2018年7月にエキサイト㈱の株式取得を目的としたSPCとして設立され、2018年10月にエキサイト㈱を子会社化し、同社は2018年11月に東証JASDAQスタンダード市場から上場を廃止しました。

その後、エキサイト㈱が2020年8月にiXIT㈱の株式を取得し子会社化したことを契機に、グループ経営の効率化を図ることを目的として、当社は2020年10月に純粋持株会社に移行するとともに、商号をXTech HP㈱からエキサイトホールディングス㈱に変更しました。また、エキサイト㈱が保有するiXIT㈱の株式を当社が取得し、両社の株式を直接保有することで純粋持株会社としての位置付けを明確にしました。

 

上記1~3について、非公開会社化時点から現時点までの会社の推移を図示すると、以下のとおりであります。

 


 

4.上場廃止後の状況

当社がエキサイト㈱のTOBに際し、提案した企業価値向上施策の進捗状況は次のとおりであります。

(1) 広告事業(現在のプラットフォーム事業)

(提案施策)

「エキサイトニュース」と「エキサイトブログ」が売上規模及び利益の観点から事業を牽引しておりますが、利用者は減少傾向にあるため、既存の強みを活かしつつ、今後の成長に向けた施策の展開が必要と考えております。具体的には、一定規模のユーザーがいる「エキサイトニュース」と「エキサイトブログ」を、利用者を呼び込むためのプラットフォームとして活用しつつ、ターゲット層を絞ったコンテンツなどの、ユーザーロイヤリティが高く、タイアップ広告による高い広告単価が見込めるコンテンツを輩出し、ユーザーを当該コンテンツに誘導することで、広告事業の成長を図ることといたしました。また、オリジナルのニュース記事発信による魅力向上及び高単価なタイアップ広告、ブログ閲覧数増加による広告収益向上等を図ってまいります。一方、寡占化の進む競合環境により今後の高成長が見込みにくいコンテンツについては、サービス提供の質・量ともに社内体制の見直しを検討することといたしました。

(進捗状況)

広告事業については、インターネット市場においてポータルサイトの集約化の進行、大手サービスの市場の寡占化等の影響により、長年利用者の減少が続いており、今後もその傾向は変わらないと判断しました。

そのため、大きな投資をせずに、当サービスのドメインパワー(グーグル等の検索エンジンから高い評価を受けており検索結果の上位に反映されやすい)を活かし、他社コンテンツとのアライアンスや自社コンテンツの拡充等により、売上の減少を抑制しながら利益を確保するという方針のもと運営してまいりました。

具体的な取り組みは次のとおりであります。

① 運営及びコンテンツ仕入コスト等の見直しによる収益改善  

コンテンツ制作の外注費や仕入コストが高止まりし、収益を圧迫していたため、制作方法の見直し、外注先や取引条件の見直し等を行い、収益改善を行いました。

② 他社コンテンツとのアライアンス強化による新たな収益の確保

長年にわたり健全なメディア運営を行ってきたことから、グーグル等の検索エンジンからの信頼度が高く、検索結果の上位に反映されやすい「強いドメインパワー」を有しております。このドメインパワーを活かし、他社の優良なコンテンツとのアライアンス(メディアカテゴリーの他社との共同運営等)を拡大し、新たな収益源としております。

③ 自社コンテンツの拡充

多くのユーザーが利用し、ページビュー数が増加することでメディア価値は高まり、広告収入は増加することから、優良なコンテンツの質と量が重要となるため、将来の成長を見据え、自社コンテンツを拡充しております。

 

(2) 課金事業(現在のプラットフォーム事業及びその他事業)

(提案施策)

課金事業全体における売上は維持されているものの、コンテンツの開発コストが嵩み、収益化には至っていないため、今後は将来性を踏まえた事業の選択と集中が必要と考えております。具体的には、電話占い市場は今後も成長余地があると考えており、「エキサイト電話占い」は、当社の強みである占い師の質を維持しながら利用者数の向上を図ることで更なる成長が可能と考えております。一方で、婚活サイトの「エキサイト婚活」や友達作りコミュニティの「エキサイトフレンズ」では、既存サービスを利用する顧客の年齢層の変化が進んでおり、環境の変化に合わせたサービスの提供が重要になると考えております。

(進捗状況)

課金事業については、「エキサイト電話占い」及び「エキサイトお悩み相談室」において、業績低迷によるコスト削減の影響もあり、会員獲得のための十分なプロモーションが行われておらず、売上高は年々低下し、縮小均衡の状況でありました。

「エキサイト電話占い」及び「エキサイトお悩み相談室」については、市場や競合環境から成長余地があり、またサービス改善により収益性の向上が可能であると判断し、サービスを強化する方針としました。一方で、「エキサイト婚活」及び「エキサイトフレンズ」については、マッチングサービス市場は成長していたものの、大手サービスの寡占化が進み、エキサイト㈱のユーザー規模や資金力では伸ばすことが難しいと判断し、サービスとしては強化せずに残存者利益を得るという方針とした上で、2022年4月にサービスを終了しております。

主力サービスである「エキサイト電話占い」及び「エキサイトお悩み相談室」に関する具体的な取り組みは次のとおりであります。

① サービスの改善

a.両サービスとも、ユーザーの使い勝手に課題があったため、分かりやすいサービス導線、操作感の向上、デザインの変更等のUI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善を行いました。

b.「エキサイト電話占い」では、新たな占い師の獲得によるサービスの向上を図りました。具体的には、毎月占い師を増やすことでユーザーニーズを満たしながら、その一方で、占い師の新陳代謝を進めることで占い師のクオリティを担保、向上させております。また、積極的に稼働する占い師を優遇する運営方法に変更するなどユーザーファーストを徹底し、大幅なサービス改善を実現しております。

c.「エキサイトお悩み相談室」も「エキサイト電話占い」同様、カウンセラーを毎月増加するなどユーザーニーズを満たし、サービス向上に努めております。

d.両サービスともユーザーに安心・安全に利用いただくために、モニタリングの強化等の健全性を高めるための取り組みを行っております。

② 会員獲得のためのプロモーション強化

a.上記のサービス改善を行った上で、2020年3月期下期より再成長に向け、会員獲得のためのプロモーションを強化しました。2020年3月期以降はプロモーション費用を大幅に増加させ、このプロモーションによる会員獲得により増収増益を実現しております。

b.非公開会社化前のプロモーション費用の回収期間はサービスに関係なく一律3ヶ月となっておりました。業績の低迷に加え、この基準の影響もありプロモーション費用が抑制され事業が縮小しておりました。非公開会社化後は、プロモーション費用の回収期間をユーザーの平均利用期間をベースとしてサービスごとに基準を設け、ROAS(広告経由の売上高÷広告費用×100%で計算)、ROI(売上総利益÷広告費用×100%で計算)という費用対効果の指標を用いて規律のある投資を実行しております。

 

(3) ブロードバンド事業

(提案施策)

ブロードバンド事業における格安プロバイダーの「BBエキサイト」は、光コラボ会員数の増加を背景として、売上・利益とも堅調に推移しております。引き続き、固定ISPから光コラボへの転換の更なる促進により、収益拡大を維持できるものと見ております。一方で格安SIMの「エキサイトモバイル」は、将来的なモバイル事業の拡大を見越して参入したものの、想定以上の競合参入や価格引下げ圧力等により収益化に至っておりません。今後は、他社との競合環境も鑑みサービス提供体制の見直しを検討することといたしました。

(進捗状況)

「BBエキサイト」が属する固定ブロードバンド市場は、㈱MM総研「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」(2018年12月12日公表)によると、2018年9月末のFTTH(光回線サービス)の契約数3,073万件が、2025年3月末には3,277万件に到達すると予測されていたため、安定的な成長が期待できると判断しました。

また「エキサイトモバイル」については、MVNO市場は2018年9月末の回線契約数が前年比28.7%増の1,202万回線と順調に拡大しておりましたが、資金力のある大手事業者が市場を寡占化していること、当サービスの売上総利益率が低く低採算であることから、当社の資金力・収益力では大きく伸ばすことは難しいと判断しました。

従いまして、非公開会社化後は営業利益の中で規律のある投資を行い、安定的な成長を目指す方針としました。

具体的な取り組みは次のとおりであります。

① ユーザーニーズに合ったサービスラインナップの拡充

a.両サービスともサービスラインナップに乏しかったことが、会員数の増加に繋がっていなかったため、新たなサービスを開発し、サービスラインナップの拡充に努めました。

b.「BBエキサイト」では、月額2,400円から利用可能な段階料金制の光回線「BB.excite光 Fit」を2020年2月より新たなサービスとして提供開始しました。

c.「エキサイトモバイル」では、データ通信と無料電話をセットにした「でんわパックプラン」を2020年2月より、ドコモ回線のデータ通信が使い放題のモバイルWiFiサービス「エキサイトモバイルWiFi」を2020年10月より、新たなサービスとして提供開始しました。2021年4月には新たな料金プランとして、段階性料金の「Fit」、定額制料金の「Flat」を開始するなどサービス開発に努めました。

② 運営コストや仕入コストの見直しによる収益性の改善

カスタマーセンターの運営コストや「エキサイトモバイル」の回線仕入条件を見直し、収益改善を行いました。

③ 会員獲得のためのプロモーション強化

a.サービスラインナップの拡充を行いながら、会員獲得のためのプロモーションを強化しております。プロモーション費用を大幅に増加させるとともに、初期費用・工事費無料等のキャンペーンを行うなど、積極的な会員獲得活動を行っております。

b.非公開会社化前のプロモーション費用の回収期間はサービスに関係なく一律3ヶ月となっており、業績不振に加え、この基準の影響もありプロモーション費用が抑制され事業が縮小しておりました。非公開会社化後は、プロモーション費用の回収期間をユーザーの平均利用期間をベースとして、サービスごとに基準を設け、LTV(顧客の年間売上高×売上総利益率×顧客の継続年数)という費用対効果の指標を用いて規律のある投資を実行しております。

 

(4) 新規事業(現在のプラットフォーム事業及びSaaS・DX事業)

(提案施策)

既存事業に次ぐ新たな事業の柱として本格稼働していたアライアンス事業(BtoB)を推進するため、スカパーJSAT㈱とのシナジーを創出し事業の拡大を図っていくことに加え、その他の新規事業を生み出し、将来的にXTechグループが投資する投資先とのタイアップや、機動的な連携・アライアンスを検討することといたしました。

(進捗状況)

非公開会社化後は、スカパーJSAT㈱との取組等のアライアンス事業については将来成長や収益が大きく見込めなかったため、2020年3月をもって終了した一方で、SaaS(クラウドで提供されるソフトウェアサービス)事業、D2C(自社で企画・製造した商品をECサイト等の自社チャネルで販売するビジネス)事業を新規事業として立ち上げております。

SaaS事業については、エキサイト㈱を経営改善した経営管理手法を盛り込んだ経営管理関連のSaaSを開発し、2021年6月より「KUROTEN.(クロテン)」のサービスを開始しております。また、2022年7月には、ウェビナー施策に関わる全てのタスクを一元管理できるウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth(ファングロース)」のサービスを開始するなどSaaS事業を新たな事業の柱とするための取り組みを強化しております。D2C事業については、「ウーマンエキサイト」等のメディアサービスの主力ユーザーである20代後半から40代前半の女性を主要ターゲットとしたヘルスケアや美容関連の商材を企画しております。

また、2020年8月にiXIT㈱を連結子会社化し、DX(デジタル技術による業務やビジネスの変革)事業に参入しており、今後両社のシナジーにより事業拡大を図っていく方針であります。

 

上記の経営改革の成果として、収益性の向上が挙げられます。当社グループは、売上高と営業利益の成長を意識した経営を行い、2022年3月期の売上高及び営業利益は、非公開会社化した2019年3月期と比較して、売上高で1,453,949千円増加(25.6%増)、営業利益で651,908千円の改善を実現しております。

なお、2017年3月期から2022年3月期の連結業績推移は下表のとおりであります。

 

(単位:千円)

 

非公開会社化前

非公開会社化後

2022年3月期と

2019年3月期

との業績比較

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

売上高

6,674,938

6,293,752

5,678,012

5,735,506

6,828,626

7,131,961

1,453,949

営業利益又は

営業損失(△)

△45,170

△244,194

△253,727

428,575

446,262

398,181

651,908

経常利益又は

経常損失(△)

△93,594

△256,595

△320,359

368,364

424,805

407,976

728,335

親会社株主に帰属する当期純利益又は

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

55,082

△516,347

△833,197

406,896

487,606

346,937

1,180,135

 

(注)当社は2018年7月に設立し、2018年10月にエキサイト㈱を連結子会社化しておりますが、他の決算期との比較を容易にするため、2017年3月期から2019年3月期につきましては、エキサイト㈱の連結業績を記載しております。

 

5.LBOへの対応

「1.当社の設立経緯」に記載のとおり、当社はLBOを活用し、エキサイト㈱の株式取得を行っていることから、のれん及び借入金が増加しております。総資産に占めるのれんの割合は18.6%、有利子負債の割合は42.2%となりましたが、「4.上場廃止後の状況」に記載の経営改革の成果により当社グループの業績は改善し、当第3四半期連結会計期間の総資産に占めるのれんの割合は12.4%、有利子負債の割合は30.4%まで低下しております。なお、LBOに伴う借入金については、2020年3月に全額返済し、一般ローンへの借り換えを行っております。

西條晋一は代表取締役として企業価値向上に努めていくことから、当社は取締役会の監査・監督機能を一層強化し透明性の高い経営を実現することが重要であると考え、コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組みを行ってまいりました。具体的な取り組みとして、①2020年12月に監査等委員会設置会社へ移行し、②取締役会は取締役7名のうち5名を社外取締役で構成したことに加え、③2022年7月に任意の指名・報酬委員会(委員5名のうち3名が社外取締役)を設置しております。

 

 

なお、TOB前のエキサイト㈱とTOB後の当社の連結におけるのれん、有利子負債及び自己資本比率は下表のとおりであります。

(金額単位:千円)

 

計算式

エキサイト㈱

当社

TOB前

(2018年9月30日)

TOB後

(2019年3月31日)

当第3四半期

連結会計期間

(2022年12月31日)

のれん

のれん残高

A

68,883

717,114

579,794

総資産

B

5,896,418

3,864,242

4,687,248

総資産に占める割合

A/B

1.2%

18.6%

12.4%

有利子負債

借入金

C

1,630,000

1,425,000

総資産

B

5,896,418

3,864,242

4,687,248

総資産に占める割合

C/B

42.2%

30.4%

自己資本比率

自己資本

D

4,868,646

1,036,931

1,982,705

総資産

B

5,896,418

3,864,242

4,687,248

自己資本比率

D/B

82.6%

26.8%

42.3%

 

 

6.再上場する目的、理由

上記の様々な施策を行った結果、各事業の収益性は大きく改善し、TOBの目的であった企業価値の向上を実現することができたものと確信しております。

また、当社グループはインターネット分野を中心に事業を創造し続けることを通じて、更なる中長期的な企業価値の向上を図り、持続的な成長の実現に向けて積極的な事業活動を推進してまいりたいと考えております。再上場によって、企業イメージ及び信頼度の向上を図ることで優秀な人材を獲得することに加え、株式上場時の調達資金を新規事業等への投資に活用することで持続的な成長を目指してまいります。

 

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第3期

第4期

決算年月

2021年3月

2022年3月

売上高

(千円)

6,828,626

7,131,961

経常利益

(千円)

424,805

407,976

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

487,606

346,937

包括利益

(千円)

745,239

243,163

純資産額

(千円)

1,268,641

1,511,780

総資産額

(千円)

4,101,684

4,241,007

1株当たり純資産額

(円)

9.36

53.55

1株当たり当期純利益

(円)

125.14

89.04

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

30.8

35.6

自己資本利益率

(%)

54.7

25.0

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

479,004

704,511

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

164,984

383,171

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

190,000

190,025

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

852,915

984,230

従業員数

(人)

214

194

〔外、平均臨時雇用人員〕

37

42

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度(第4期)の期首より適用しており、前連結会計年度(第3期)に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を遡及適用した後の金額となっております。

2.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して計算しております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

4.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

5.従業員数は就業員数(正社員及び契約社員)であり、臨時従業員(アルバイト及び派遣社員)の年間平均雇用人員数を〔 〕内に外数で記載しております。

6.第3期及び第4期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。

7.当社は、2022年12月9日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っておりますが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

 

 

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

(千円)

10,000

128,200

284,450

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

186,281

90,341

6,476

13,791

当期純利益又は

当期純損失(△)

(千円)

186,915

91,291

5,526

12,682

資本金

(千円)

100,000

100,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

普通株式

300,000

300,000

300,000

300,000

A種優先株式

89,654

89,654

89,654

89,654

甲種優先株式

5,000,000

純資産額

(千円)

1,643,067

986,776

992,302

1,004,985

総資産額

(千円)

5,822,569

5,524,153

5,305,905

5,287,456

1株当たり純資産額

(円)

428.37

803.81

78.96

75.71

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は

1株当たり当期純損失(△)

(円)

526.35

234.29

1.42

3.25

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

28.2

17.9

18.7

19.0

自己資本利益率

(%)

0.6

1.3

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

(人)

13

16

〔外、平均臨時雇用人員〕

―〕

―〕

―〕

-〕

 

(注)1.第1期及び第2期は、LBOを目的としたSPCであったため、経常損失及び当期純損失を計上しております。

  2.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して計算しております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第1期は潜在株式が存在しないため、第2期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均が把握できず、また、1株当たり純損失であるため記載しておりません。第3期及び第4期は、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、第1期から第4期まで普通株式に係る配当は行っていないため記載しておりません。

5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

6.従業員数は就業員数(正社員及び契約社員)であり、臨時従業員(アルバイト及び派遣社員)の年間平均雇用人員数を〔 〕内に外数で記載しております 。

7.第3期及び第4期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けておりますが、第1期及び第2期の財務諸表については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査を受けておりません。

8.当社は、2022年11月29日付で、A種優先株主による取得請求権の行使により、A種優先株式をすべて自己株式として取得し、その対価としてA種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2022年11月29日開催の取締役会決議により、同日付でA種優先株式をすべて消却しております。

 

9.当社は、2022年12月9日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っておりますが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

10.当社は、2022年12月9日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っております。

    そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

  なお、第1期及び第2期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

 

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

1株当たり純資産額

(円)

△42.84

△80.38

△78.96

△75.71

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△52.63

△23.43

1.42

3.25

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

 

 

 

(参考情報)

 前述の「はじめに」に記載のとおり、当社は2018年7月にエキサイト㈱の株式取得を目的としたSPC(特別目的会社)として設立され、2018年10月にエキサイト㈱を完全子会社として現在に至っております。

 参考として2018年3月期及び2019年3月期に係るエキサイト㈱の主要な連結経営指標等並びに2020年3月期、2021年3月期及び2022年3月期に係る当社の主要な連結経営指標等の推移は、次のとおりであります。

 

 主要な連結経営指標等の推移

 

回次

エキサイト㈱連結

エキサイトホールディングス㈱連結

第21期

第22期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

(千円)

6,293,752

5,678,012

5,735,506

6,828,626

7,131,961

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

△256,595

△320,359

368,364

424,805

407,976

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

△516,347

△833,197

406,896

487,606

346,937

包括利益

(千円)

△699,669

△892,110

43,103

745,239

243,163

純資産額

(千円)

5,285,929

4,462,195

518,595

1,268,641

1,511,780

総資産額

(千円)

6,301,126

5,511,408

3,154,736

4,101,684

4,241,007

1株当たり純資産額

(円)

810.84

690.12

△2,005.34

△9.36

53.55

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△81.83

△132.01

1,044.25

125.14

89.04

自己資本比率

(%)

81.2

79.0

16.4

30.8

35.6

自己資本利益率

(%)

52.3

54.7

25.0

 

 

(注)1.当社は2018年7月に設立し、2018年10月にエキサイト㈱を連結子会社化しております。他の決算期との比較を容易にするため、2018年3月期及び2019年3月期に係るエキサイト㈱の主要な連結経営指標等並びに2020年3月期、2021年3月期及び2022年3月期に係る当社の主要な連結経営指標等の推移を記載しております。

  2.「 収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当社連結会計年度(第4期)の期首より適用しており、エキサイト㈱連結会計年度(第21期、第22期)、当社連結会計年度(第2期、第3期)に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を遡及適用した後の金額となっております。

3.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して計算しております。

4.エキサイト㈱連結会計年度(第21期)及び当社連結会計年度(第3期、第4期)の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、エキサイト㈱連結会計年度(第21期)は新日本有限責任監査法人(現・EY新日本有限責任監査法人)、当社連結会計年度(第3期、第4期)は有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。なお、エキサイト㈱連結会計年度(第22期)及び当社連結会計年度(第2期)については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査を受けておりません。

5.当社は、2022年12月9日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っておりますが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

 

 

 

6.当社は、2022年12月9日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、エキサイト㈱連結会計年度(第21期)の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、エキサイト㈱連結会計年度(第21期、第22期)及び当社連結会計年度(第2期)の数値については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

 

回次

エキサイト㈱連結

エキサイトホールディングス㈱連結

第21期

第22期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

1株当たり純資産額

(円)

81.08

69.01

△200.53

△9.36

53.55

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△8.18

△13.20

104.42

125.14

89.04

 

 

2 【沿革】

「はじめに」に記載のとおり、当社はエキサイト㈱の株式取得を目的としたSPCとして2018年7月にXTech HP㈱の商号で設立され、2018年10月にエキサイト㈱を子会社化しております。その後、エキサイト㈱が2020年8月にiXIT㈱の株式を取得し子会社化したことを契機に、グループ経営の効率化を図る目的で、当社は2020年10月に純粋持株会社に移行するとともに、XTech HP㈱からエキサイトホールディングス㈱に商号変更し、現在に至っております。

エキサイト㈱の設立から当社によるエキサイト㈱の子会社化を経た現在に至る経緯は下表のとおりです。

年月

概要

1997年8月

東京都港区にエキサイト㈱を設立

1997年12月

プラットフォーム事業において、ポータルサイト「エキサイト」の提供を開始

1998年12月

プラットフォーム事業において、ニュースメディア「エキサイトニュース」の提供を開始

1999年11月

プラットフォーム事業において、女性向け情報メディア「ウーマンエキサイト」の提供を開始

2002年8月

ブロードバンド事業において、インターネット接続サービス「BBエキサイト」の提供を開始

2004年2月

プラットフォーム事業において、ブログサービス「エキサイトブログ」の提供を開始

2004年11月

エキサイト㈱が日本証券業協会に株式を店頭登録

2004年12月

エキサイト㈱が日本証券業協会の店頭登録を取り消したうえで、㈱ジャスダック証券取引所に株式上場

2006年12月

プラットフォーム事業において、カウンセリングサービス「エキサイトお悩み相談室」の提供を開始

2007年9月

プラットフォーム事業において、電話占いサービス「エキサイト電話占い」の提供を開始

2016年6月

ブロードバンド事業において、格安SIMブランド「エキサイトモバイル」の提供を開始

2016年7月

プラットフォーム事業において、20代女性向け情報メディア「ローリエプレス」の提供を開始

2018年7月

東京都中央区にXTech HP㈱(当社)を設立

2018年10月

当社がエキサイト㈱の株式を取得し、子会社化

2018年11月

エキサイト㈱が東証JASDAQスタンダード市場における上場を廃止

2020年8月

DX事業への新規参入を目的として、iXIT㈱を子会社化

2020年10月

グループ経営の効率化を図ることを目的として、当社が純粋持株会社へ移行し、エキサイトホールディングス㈱に商号変更

2020年10月

本店所在地を東京都港区南麻布三丁目20番1号に移転

2020年12月

取締役会の監査・監督機能を一層強化し、コーポレートガバナンスを更に充実することで、より透明性の高い経営の実現と企業価値向上を図ることを目的として、監査等委員会設置会社へ移行

2021年2月

プラットフォーム事業において、子供向け粉末サプリ飲料「セノバス+」の販売を開始

2021年6月

SaaS・DX事業において、クラウド経営管理ソフト「KUROTEN.(クロテン)」の提供を開始

2021年8月

SaaS・DX事業において、㈱クレディセゾンと共同で、BtoB向け後払い決済・請求代行サービス「セゾンインボイス」の提供を開始

2021年9月

プラットフォーム事業において、マウスピース歯科矯正サービス「EMININAL(エミニナル)」の提供を開始

2021年11月

SaaS・DX事業において、見込み顧客の獲得・育成を行う「ウェビナーコンサルティング」の提供を開始

2022年5月

SaaS・DX事業において、「KUTOTEN.経営改善コンサルティング」の提供を開始

2022年7月

SaaS・DX事業において、ウェビナー施策に関わる全てのタスクを一元管理できるウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth(ファングロース)」の提供を開始

 

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の概要

当社グループは、当社及び連結子会社2社(エキサイト㈱及びiXIT㈱)によって構成されております。当社は持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への専門サービスの提供を行っております。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準につきましては連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

当社グループは「デジタルネイティブ発想で心躍る未来を創る。」をミッションに掲げ、インターネット領域を中心に事業を創造し続けることを通じて、中長期的な企業価値の向上を図り、持続的な成長の実現に向けて積極的な事業活動を行っております。

報告セグメントにつきましては、プラットフォーム事業、ブロードバンド事業、SaaS・DX事業に区分しております。プラットフォーム事業においては、「エキサイト電話占い」、「エキサイトお悩み相談室」等のカウンセリングサービスや「ウーマンエキサイト」等のメディアサービスに加え、長年にわたるサービス運営により培った女性ユーザー基盤を活かした「セノバス+」等のD2Cサービスを展開し、収益の多角化に取り組んでおります。ブロードバンド事業においては、最低利用期間を設けないシンプルでわかりやすい料金体系の展開や、多種多様なユーザーニーズに対応するプラン設計を行い、業界最安基準でのサービスを提供しており、安定した成長を遂げております。SaaS・DX事業は、TOB後に参入した新規事業であり、クラウド経営管理ソフト「KUROTEN.」やウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth」等のSaaSサービスの提供、システム開発・運用等のDX事業を展開しております。

会社名

主な事業内容

当社との関係

プラットフォーム事業

エキサイト㈱

・「エキサイト電話占い」、「エキサイトお悩み相談室」等のカウンセリング    サービス

・「ウーマンエキサイト」、「エキサイトニュース」等のメディアサービス

・「セノバス+」等のD2Cサービス

連結子会社

ブロードバンド事業

エキサイト㈱

・インターネット接続サービス「BBエキサイト」等のISP(注1)サービス

・格安SIM「エキサイトモバイル」等のMVNO(注2)サービス

連結子会社

SaaS・DX事業

エキサイト㈱

・クラウド経営管理ソフト「KUROTEN.」、ウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth」等のSaaS事業

・顧客獲得や経営改善等のDXコンサルティングサービス

連結子会社

iXIT㈱

システム開発、運用等のDX事業

連結子会社

 

(注)1.Internet Services Providerの略で、公衆通信回線等を経由して契約者にインターネットへの接続を提供する事業。

2.Mobile Virtual Network Operatorの略で、自社で無線通信回線設備を持たず、他の移動体通信事業者から借りてあるいは再販を受けて移動体通信サービスを提供する事業。

 


 

(プラットフォーム事業)

プラットフォーム事業として、「エキサイト電話占い」や「エキサイトお悩み相談室」等のカウンセリングサービスの運営、「ウーマンエキサイト」や「エキサイトニュース」等のユーザーに有用な情報を提供しているメディアサービスの運営、子供向けの粉末サプリ飲料「セノバス+」とマウスピース歯科矯正サービス「EMININAL」を提供するD2Cサービスの運営を行っております。カウンセリングサービス及びD2Cサービスの主な収益は課金売上、メディアサービスの主な収益は広告売上としております。2022年3月期実績における売上構成比といたしましては、「エキサイト電話占い」や「エキサイトお悩み相談室」等のカウンセリングサービスが57%、「ウーマンエキサイト」や「エキサイトニュース」等のメディアサービスが38%、D2Cサービスが5%となっております。今後は、カウンセリングサービスに関し引き続きサービス向上に努め、より成長させていく方針であります。メディアサービスはページビュー数の伸長等に努め、D2Cサービスは立ち上げ期であるため顧客の獲得に注力してまいります。

 

① カウンセリングサービス

2006年12月に「エキサイトお悩み相談室」、2007年9月に「エキサイト電話占い」のサービス提供を開始し、非対面型のカウンセリングサービスに参入しました。ユーザーと占い師・カウンセラーの双方に電話番号が知られることのないシステムで高い秘匿性を保ちながら、24時間365日利用可能なサービスであり、人気の高い良質な占い師・カウンセラーの確保に努めております。また、積極的な販売促進活動を行うことでユーザーの集客を行っており、20代から40代の女性を中心に利用いただいており、2022年12月時点ではユーザーの80.5%を女性が占めております。サービス利用に際しては、ユーザーは無料で会員登録ができ、登録後はユーザー自身で利用頻度を自由に選択し利用することが可能であり、3ヶ月以内に継続してサービスを利用するリピーターの比率は、2022年3月期年間平均で57.2%となっております。当サービスの売上高は、ユーザーの利用料金であり、「1回当たりのカウンセリング単価×カウンセリング回数」が売上高となります。なお、カウンセリング単価については、占い師・カウンセラーの資格の有無やユーザーからの人気を勘案のうえ、個別に定めております。

また、近年は特に以下の施策を強化することにより質の高いサービスの提供に努め、事業を拡大してまいりました。

a.良質な占い師・カウンセラーの獲得

競合他社よりも長年にわたりサービスを運営してきた中で培った占い師やカウンセラーの採用ノウハウを活かし、積極的な採用を行っております。具体的には、採用時に数回にわたる面談やオーディションを行い、豊富な経験や資格を有する良質な占い師・カウンセラーを厳選して獲得しており、「エキサイトお悩み相談室」にて登録されているカウンセラーのうち、国家資格ないし民間資格(注1)を保有した資格保有者は2022年12月時点で93%を占めております。ユーザーにおける男女割合に見られる傾向と同様に、占い師・カウンセラーにおける男女割合に関しても、2022年12月時点で女性が77.9%と多くを占めております。また、占い師・カウンセラーのマネジメントを目的とした専門部署を設け、占い師・カウンセラーの教育・管理を徹底して行い、ユーザーに対して質の高いカウンセリングサービスを提供することにより、高い会員エンゲージメントを維持しております。

(注)1.国家資格キャリアコンサルタント、看護師、公認心理師、 精神保健福祉士、保育士、中学・高校教諭資格、介護福祉士、行政書士、国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、幼稚園教諭一種免許、労務管理士、薬剤師、その他。

b.ユーザーが安全に利用するための施策

良質な占い師・カウンセラーの確保や徹底した管理を行うことと併行して、高額課金を防止するために、ユーザーがマイページで常時利用額を確認でき、高額課金者はユーザーからの要望がない限りは課金を停止する仕組みをとっております。また、ユーザーからの率直な意見を集められるようにカスタマーサポートの窓口を365日開設し、利用者からの様々な問い合わせや占い師・カウンセラーへのクレーム等を受け付ける体制を敷くなどトラブルや風評被害の防止に努めております。

 

② メディアサービス

「ウーマンエキサイト」や「エキサイトニュース」等のユーザーに有用な情報を提供するメディアサービスの運営を行っております。主な売上高は、運用型広告による収入であり、「広告掲載単価×ページビュー数」が売上高となります。

a.「ウーマンエキサイト」

「ウーマンエキサイト」は、1999年11月にサービス提供を開始し、『愛あるセレクトをしたいママのみかた』をコンセプトに、主に子育てを行う20代から40代の女性に向けて、専門家への取材をもとに教育・料理・時短家事・お金・家族の健康・ファッション美容関連のコンテンツをウェブの記事として提供しております。近年は、より親しみやすく、拡散させやすいコミックエッセイを強化し、ユーザーからの支持を得ていることから、2022年12月時点のページビューの67.3%を占めるまで伸長しております。

b.「エキサイトニュース」

「エキサイトニュース」は1998年にサービス提供を開始し、約300媒体と連携し、話題のニュース、芸能、トレンド、ドラマや映画のレビュー、コラムやインタビューなど、情報満載のニュースメディアを配信しております。

c.「エキサイトブログ」

「エキサイトブログ」は2004年にサービス提供を開始しております。一般人ブロガーの中から読者の多くいる人気の高いブロガーをプラチナブロガーとして選出し、当社のおすすめブロガーとして紹介しています。現在は主に30代から40代の既婚女性を中心とした月間3万〜100万ページビューのプラチナブロガー約200名が活躍中で、表現力に優れ、情報の質が高い記事が特徴となっております。

 

③ D2Cサービス

D2Cサービスでは、「ウーマンエキサイト」等のメディアサービスの主力ユーザーである20代から40代の女性を主要ターゲットとしたヘルスケア関連の商材・サービスの企画・製造・販売を行っており、子供向けの粉末サプリ飲料「セノバス+」とマウスピース歯科矯正サービス「EMININAL」を提供しております。

a.「セノバス+」

「セノバス+」は、アルギニンやアミノ酸等の子供の健康的な成長をサポートする有効成分が多く含まれており、また、水に溶ける顆粒タイプであるため子供にも飲みやすい飲料となっており、2021年2月よりインターネット上での販売を開始しております。販売当初は、りんご味のみを展開しておりましたが、2022年6月よりヨーグルト味を追加するなどユーザーニーズに合う商品開発を進めております。子供を持つ母親を主なユーザー層と想定しているため、「ウーマンエキサイト」等のメディアサービスのユーザー基盤を活かして、販売数の増加を図っております。当サービスの売上高は、商品の販売額であり、「販売単価×販売個数」が売上高となります。

b.「EMININAL(エミニナル)」

「EMININAL」は、医療法人と提携し、診療からマウスピースの送付までオンラインで完結するマウスピース歯科矯正サービスであり、当社は、ユーザーと矯正歯科医院をマッチングさせるプラットフォームの提供及び矯正歯科医院への予約管理を行う立場として2021年9月よりサービスを開始しております。

ユーザーは「EMININAL」のサービス画面から、オンライン矯正相談を申し込むことができ、矯正相談においてマウスピース矯正について説明を受けます。その後、提携医院の初回診断に申し込み、当該診断において歯のレントゲン等を採取し、後日オンラインにて症状の診断を受けます。診断の結果、ユーザーの症状が「EMININAL」に適合する場合には、「EMININAL」のプランとなり、診断の結果、「EMININAL」に適合しない中症以上の患者には提携医院における矯正治療方法を案内することになります。当サービスの売上高は、提携医院への紹介等の手数料であり、「治療費×手数料×紹介件数」が売上高となります。

歯科矯正は、特に欧米市場で成長しており、日本国内においても容姿に対する美意識の高まりとともに歯科矯正の需要が拡大しております。歯科矯正は、ワイヤー矯正が主流でありましたが、近年は「EMININAL」が採用しているマウスピース矯正が、通院頻度が低く安価であることから広がりをみせております。20代から30代の女性を主なユーザー層と想定しているため、本サービスも「ウーマンエキサイト」等のメディアサービスのユーザー基盤を活かして、利用者の拡大を図っております。

 

(ブロードバンド事業)

ブロードバンド事業として、主に個人向けISPサービス「BBエキサイト」やMVNOサービス「エキサイトモバイル」等のブロードバンドサービスの提供を行っております。

① 「BBエキサイト」等のISPサービス

「BBエキサイト」等のISPサービスは、2002年8月にサービス提供を開始し、最低利用期間を設けず、分かりやすくシンプルな料金体系でありながら業界最安水準の価格を実現しております。また、コールセンターを活用し、充実したサポート体制を構築するとともに、従量制である「BB.excite光 Fit」や定額制である「エキサイト光」、高速プランである「BB.excite光 10G」など様々なユーザーニーズに応える多種多様なプランを提供しております。さらに、定額の動画サービス等の様々なサービスをオプションとして提供することでユーザーの利便性向上及び顧客単価の向上を行っております。当サービスの売上高は、ユーザーが支払う月額料金等であり、「月額平均単価×契約回線数」が売上高となります。

積極的なアウトバウンド営業は行っておりませんが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う在宅勤務の増加を背景とした光回線需要の高まりを事業拡大のチャンスと捉えており、工事費無料・月額料金割引キャンペーンの実施やWEBマーケティングの強化により、着実に新規会員を獲得しており、市場成長を上回る事業成長を実現しております。

 

② 「エキサイトモバイル」等のMVNOサービス

「エキサイトモバイル」等のMVNOサービスは、2016年6月にサービス提供を開始し、シンプルな料金体系でありながら業界最安水準の価格(以下当社調べ。集合住宅の他社料金は3,773円~5,700円で当社は3,850円、戸建ての他社料金は4,873円~6,138円で当社は4,950円)を実現しております。また、従量制である「Fit」、定額制である「Flat」プランの提供や端末とのセット販売、複数のSIMを同時に契約しデータ通信量を共有することができるサービス等ユーザーニーズに適したサービス提供を行っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う在宅勤務の増加を背景とした需要の高まりを受け、2020年10月よりモバイルWiFiサービス「エキサイトモバイルWiFi」の提供を開始しております。当サービスの売上高は、ユーザーが支払う月額料金等であり、「月額平均単価×契約回線数」が売上高となります。

 

(SaaS・DX事業)

プラットフォーム事業、ブロードバンド事業に続く新たな事業の柱を構築するため、SaaS事業を中心に新規事業を立ち上げております。

① SaaS事業

エキサイト㈱を短期間で再生させた経営管理手法を活かし、2021年6月にクラウド経営管理ソフト「KUROTEN.」をリリースしております。会計データとの一元管理により、過去実績に基づく未来予測シミュレーションの精度を高めることが可能なサービスであり、上場を目指すベンチャー企業から中堅企業までを主な顧客層として受注拡大に努めております。

また、2022年7月には、ウェビナー施策に関わる全てのタスクを一元管理できるウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth」をリリースしております。これまでエキサイト㈱が実践してきたウェビナーに関する企画ノウハウをテンプレート化したものであり、開催当日までの流れを可視化し、効率的に業務を遂行することを可能にします。また、マーケターコミュニティを形成しており、共催ウェビナーを企画するためのパートナーマッチング機能を提供しております。

当サービスの売上高は、導入・初期設定のための初期費用及び月額利用料であり、初期費用(初期費用×新規利用社数)+月額利用料(月額平均単価×契約社数)が売上高となります。

 

② DX事業

2020年8月にiXIT㈱を子会社化し、DX事業に参入しました。企業における事業課題の解決や活性化を目的とした事業戦略から運用改善までをシステム開発・運用を通じて提供することを強みとしております。なお、DX事業は当社グループの中で、システム開発・運用領域はiXIT㈱、営業・管理部門領域はエキサイト㈱にて提供するよう当社グループで役割分担しており、iXIT㈱は大企業を中心とした顧客基盤を有しているため、既存顧客への課題解決の提案力を高めるとともに、保守運用に注力し、エキサイト㈱では当社グループの基盤を活用した新たな顧客の開拓を行っております。

 

 

(2) 企業集団の事業系統図

当社グループを図表に示すと以下のようになります。

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有
又は被所有割合(%)

関係内容

(親会社)

 

 

 

 

 

XTech㈱

(注)2

東京都中央区

9,190

インターネット関連事業

スタートアップスタジオの運営

被所有   

53.89

役員の兼任

(連結子会社)

 

 

 

 

 

エキサイト㈱

(注)3、4

東京都港区

100,000

プラットフォーム事業

ブロードバンド事業

SaaS・DX事業

所有    

100.00

役員の兼任

設備の賃貸借

資金の借入

経営指導料

iXIT㈱

(注)3

東京都港区

100,000

 

SaaS・DX事業

 

 所有    

96.80

役員の兼任

経営指導料

 

(注)1.「主要な事業の内容欄」には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.2023年3月1日付で、XTech㈱は、新設分割により、当社代表取締役社長CEOである西條晋一の財産管理を目的とした新会社(CASK㈱)を設立しております。この新設分割により、XTech㈱が所有していた当社普通株式の全株式はCASK㈱に承継されたため、XTech㈱は当社の親会社から外れております。また、CASK㈱は資産管理会社となるため、当社の親会社には該当いたしません。なお、これにより、当社代表取締役社長CEOである西條晋一の所有する当社株式は、本人所有の900,000株及び新設分割により設立されたCASK㈱が所有する2,100,000株と合わせて3,000,000株(被所有割合76.99%)となっております。

3.特定子会社に該当しております。

4.エキサイト㈱については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

  主要な損益情報 ① 売上高     6,468,864千円

② 経常利益      494,038千円

③ 当期純利益     432,680千円

④ 純資産額    4,982,202千円

⑤ 総資産額    6,022,505千円

5.有価証券届出書または有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2023年2月28日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

プラットフォーム事業

74

26

ブロードバンド事業

21

2

SaaS・DX事業

45

9

報告セグメント計

140

37

全社(共通)

35

14

合計

175

51

 

(注)1.従業員数は、就業人員であります。

2.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員であり、外数で記載しております。

3.全社(共通)として記載される従業員数は、管理部門等の報告セグメントに属していない従業員であります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 2023年2月28日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

16

40.8

9.3

6,388

 

(注)1.従業員数は、就業人員であります。

2.平均勤続年数は、2018年10月の当社によるエキサイト㈱の株式取得以前の勤続年数を通算しております。

3.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

4.当社は純粋持株会社であるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。

 

(3) 労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。