第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第14期

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2017年7月

2018年7月

2019年7月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

売上高

(千円)

484,757

552,324

672,776

631,257

762,231

1,124,080

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

30,050

12,863

13,072

33,307

42,888

70,788

当期純利益又は

当期純損失(△)

(千円)

23,837

17,748

77,214

13,303

25,954

44,027

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

10,000

10,000

10,000

10,000

10,000

10,000

発行済株式総数

(株)

200

200

200

200

1,000,000

1,000,000

純資産額

(千円)

119,410

137,159

214,374

227,678

202,383

246,522

総資産額

(千円)

302,696

570,109

591,910

557,321

734,675

677,872

1株当たり純資産額

(円)

597,053.59

685,796.87

1,071,870.72

1,138,390.45

201.72

245.75

1株当たり配当額

(1株当たり中間

配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

119,188.58

88,743.28

386,073.85

66,519.74

25.95

44.03

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

39.4

24.1

36.2

40.9

27.5

36.3

自己資本利益率

(%)

22.2

13.8

43.9

6.0

12.1

19.7

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

28,745

83,089

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

13,674

5,052

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

141,854

120,404

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

423,478

391,214

従業員数
〔外、平均臨時
雇用者数〕

(名)

39

41

47

57

72

82

―〕

―〕

―〕

―〕

―〕

―〕

 

(注)1.当社は連結財務諸表を作成していないため、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.2019年9月4日開催の臨時株主総会決議により、決算期を7月31日から6月30日に変更しました。したがって、第17期は2019年8月1日から2020年6月30日の11か月間となっております。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第19期の期首から適用しておりますが、第19期に係る主要な経営指標等については当該会計基準を適用した後の指標等となっております。

4.持分法を適用した場合の投資利益については、第15期、第16期、第17期及び第18期は関連会社が存在するものの、利益基準及び利益剰余金基準からみて重要性が乏しいため、また、第14期及び第19期は関連会社が存在しないため記載しておりません。

5.2021年2月1日付で株式1株につき5,000株の株式分割を行っております。第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

6.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

7.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第14期、第15期、第16期及び第17期は潜在株式が存在しないため、また、第18期及び第19期は潜在株式が存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

8.第14期、第15期、第16期及び第17期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

9.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

10.従業員数は期末日退職者を含む就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、アルバイトを含む。)は含んでおりません。なお、平均臨時雇用者数は、臨時雇用者数の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。

11.第18期及び第19期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。なお、第14期、第15期、第16期及び第17期については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

12.第18期は、今後の事業拡大を意図した積極的な人材採用に伴う、人件費、人材採用費が増大したこと等に伴い営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。

13.2021年2月1日付で株式1株につき5,000株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)及び証券会員制法人福岡証券取引所の定める会員証券会社宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成20年5月12日付福証自規第20号)に基づき、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第14期、第15期、第16期及び第17期の数値(1株当たりの配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

回次

第14期

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2017年7月

2018年7月

2019年7月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

1株当たり純資産額

(円)

119.41

137.16

214.37

227.68

201.72

245.75

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

23.84

17.75

77.21

13.30

△25.95

44.03

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2002年5月

代表取締役社長 納富 貞嘉、取締役副社長 濱﨑 陽一郎が九州大学大学院(システム情報科学府)在学中にシステム開発事業で起業

2003年10月

大学院修了後、資本金250万円で株式会社Fusicを設立

2005年3月

資本金を1,000万円に増資

2009年2月

本人の成長へとつながる自己理解の場を提供し、相互フィードバック文化を育む人事課題解決システム「360度評価支援システム」をリリース

2009年4月

プライバシーマーク使用許諾事業者として一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より認証取得(認定番号 18820145(01))

2012年6月

Amazon Web Services (注1)(以下「AWS」という。)のグローバルパートナープログラム「APNコンサルティングパートナー」に認定(注2)

2013年11月

AWSのグローバルパートナープログラム「APNアドバンストコンサルティングパートナー」に認定  (注3)

2016年12月

AWSの「AWSパブリックセクターパートナー」に認定(注4)

2017年3月

連絡をメールやLINE、スマホアプリといった複数の方法で受け取ることができる連絡サービス「sigfy」をリリース

2017年3月

福岡県ベンチャービジネス支援協議会が主催する「フクオカベンチャーマーケット大賞2017」にて大賞を受賞

2017年4月

仮想デバイスから任意の疑似データを生成・送信できるエンジニア向け開発支援サービス「mockmock」をリリース

2017年7月

国立情報学研究所が運営する「学認クラウド導入支援サービス」の参加クラウド事業者に認定

2017年8月

IoTプラットフォーム SORACOMを運営する株式会社ソラコムのパートナープログラムである「SORACOM パートナースペース」における「SPS 認定済パートナー」として認定

2017年11月

AI・機械学習を活用したコンサルティング事業(現 データインテグレーションサービス)を開始

2017年11月

Google Cloud PlatformTMの「GCP テクノロジーパートナー」に認定

2018年4月

研究者向けコンピューティングリソース調達サービス「Lab.Console」をリリース

2018年12月

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001(JIS Q 27001)」の認証を取得

2019年7月

クラウド事業者として初めて衛星リモセン法(注5)に基づく「衛星リモートセンシング記録を取り扱う者」の認定を取得

2021年8月

本人の成長へとつながる自己理解の場を提供し、相互フィードバック文化を育む人事課題解決システム「360度評価支援システム」の名称を「360(さんろくまる)」に変更

2021年9月

株式会社フィックスターズ(東京都港区、情報通信業)と量子アニーリングクラウド「Fixstars Amplify」のパートナー契約を締結

 

(注)1.Amazon Web Services, Inc.の提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称です。

   2.APNとは、AWS Partner Networkの略称であります。AWSパートナー企業のビジネス、技術、マーケティング、市場開拓等における活動を支援・促進するためのさまざまなサポートを提供する制度です。AWSの活用を支援する「コンサルティングパートナー」と、AWSを使ったソフトウェア・サービスを提供する「テクノロジーパートナー」の2つに大分されます。「APNコンサルティングパートナー」は、AWSに関する営業体制を保有し、AWSを活用したシステムインテグレーションやアプリケーション開発能力をAmazon Web Services, Inc.に認定されたパートナーの総称であり、営業・技術力、導入実績、貢献度等に応じて「レジスタード」「スタンダード」「アドバンスト」「プレミア」の4階層が存在します。当社は、九州で初の「アドバンストパートナー」の認定を受けており、現在も「アドバンストパートナー」を継続しております。

3.「APNアドバンストコンサルティングパートナー」は、2022年1月から「APNアドバンストティアサービスパートナー」に名称変更されております。

4.「AWSパブリックセクターパートナー」は、AWSのテクノロジーによって行政機関、教育機関、非営利組織等に貢献するパートナーを認定する制度で、公共分野における当社のAWS導入実績が評価されました。

5.衛星リモセン法とは、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律の略称で、地球を対象とした衛星リモートセンシングによって得られるデータは、悪用されると国の安全保障上の利益を害するおそれがあることから定められています。

 

 

3 【事業の内容】

 当社は、テクノロジーカンパニーとして、技術と社会の架け橋となり課題解決に貢献するべく、「人に多様な道を 世の中に爪跡を」をミッション(存在意義)、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける。」をビジョン(あるべき姿)として掲げ、様々な技術を活用して、クライアントのシステム開発、ビジネスモデル変革を支援するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)事業を展開しております。

 ここ数十年のITの進化は、通信・ネットワークをはじめとした「インフラ資源」とコンピュータ・サーバーなどの「計算資源」が性能を大幅に向上し、それらの上で動く様々なアプリケーション「ソフトウェア資源」が活用の幅を広げてきました。また、ソフトウェア資源により取得・加工される様々な情報「データ資源」はAIやIoT技術の発達により爆発的に増加しています。

 進化のプロセスの中で、これら4つの資源「インフラ資源」「計算資源」「ソフトウェア資源」「データ資源」は、個別の企業・組織で利活用するものから、徐々に共有化・汎用化していく流れが加速しています。共通化・汎用化を後押しする背景としては、性能向上や効率の観点のみならず、コスト削減のメリットが挙げられます。

 当社は、様々な企業・組織がこれらの進化を活用し、競争力を向上させる事業を行ってきました。

1つ目は、「インフラ資源」「計算資源」「ソフトウェア資源」に関する事業をクラウドインテグレーションサービスとし、クラウドコンピューティングの提供やソフトウェアを中心としたソリューションの提供を行っております。2つ目は、企業・組織が持つ「データ資源」を解析・活用する事業をデータインテグレーションサービスとし、AIやIoTといった技術領域を中心にソリューションを提供しております。

これら4つの資源は相互に連携することで一層の価値を発揮し、企業・組織の競争力および効率性をさらに向上させると考えます。そのため、当社は一気通貫でこれらの資源活用のソリューションを提供するために、ITの進化プロセスに合致する、そして企業・組織の競争力および効率性の向上に資する技術を都度取り入れ、蓄積しながら、企業・組織の進化フェーズに適した形でサービス提供を行っております。

 

   (1)事業の概要

    当社の事業は「DX事業」の単一セグメントですが、サービス別に分類すると以下の通りです。

①「クラウドインテグレーションサービス」:AWSによるサーバーインフラの構築・運用から、AWSのマネージドサービスを活かしたシステム開発を行うサービス。

②「データインテグレーションサービス」:センサーデバイスから得られる音声や画像などのデータのINPUT(IoT)、STORE(クラウドインフラ)、OUTPUT(AI/ビッグデータ解析)まで、データにまつわる様々な技術・解決策を一貫して提供するサービス

③「その他サービス」:顧客の要望に合わせて開発したシステムから汎用性の高いものを「プロダクトサービス」化して提供するサービス。

 

    当社の強みは、クライアントが置かれているDXのステージに応じて幅広く支援できることです。日本が置かれている状況を鑑みると、多くの企業・組織は業務をシステム化しているものの、容易に変更や拡張することが困難なレガシーシステムが基盤になっていたり(DXレベル0)(注1)、「人が作業すること」を前提に設計されたりしているものであり、「IT技術に多くを任せること」を前提に業務を見直し、大幅な生産性向上や新たな価値創造に資するデータ蓄積が行われていないという現状があります(DXレベル1)。それを乗り越えた一部の企業・組織においても、次のレベルとしてデータを活用した企業価値の向上という新たな課題に直面しています(DXレベル2)。

 DXレベル0およびDXレベル1のステージにいるクライアントにおいては、広範なIT技術群を前提に業務を見直し、最適な技術を組み合わせ、既存のシステムを刷新することが重要と考えております。当社のクラウドインテグレーションサービスは、クラウドファーストの視点を維持しながらも、特定分野・技術に特化せず、ソフトウェア開発からUI/UX(注2)に至るまで幅広い技術群の中からクライアントにとって最適な組み合わせを提供できることが特徴です。

 DXレベル2のステージにいるクライアントについては、データ集積基盤が既に存在している前提で、データに基づく事業運営や価値創出を可能にする良質なデータ収集や活用ノウハウが重要となります。当社のデータインテグレーションサービスは、IoTベンダーとのアライアンスによる更なる良質なデータ収集ソリューションと、自社AI人材によるコンサルティング機能を有しており、データの収集から活用まで一貫して支援できることが特徴です。

 他方、当社でこれまで開発してきたシステムのうち、汎用性が高く多くの人の課題解決に貢献できるものをSaaS(注3)化しており、これを「プロダクトサービス」(サービス区分上は売上構成比が低いため「その他サービス」と表記しております)と位置づけております。様々な企業・組織に利用頂いている多面評価システム:360(さんろくまる)や、学校向けの保護者連絡ツール:sigfyは、それぞれ数万から十数万のエンドユーザーに利用頂いており、サービスの有用性はもちろんのこと、DX事業における知見向上にも大きな役割を果たしております。

 

<サービス別の売上構成とビジネスモデル図>


 

 

各サービスの詳細は以下の通りです。

 

① クラウドインテグレーションサービス

 当社は、クラウドコンピューティングの様々な機能とソフトウェア開発技術を活用し、幅広いクライアントにクラウドインテグレーションサービスを提供しております。クラウドコンピューティングは、サーバー、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資を必要とせず、加えてそれらを含むコンピューティングリソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能です。近年ではその利便性の高さから、柔軟性と変化への対応スピードが要求される新規サービス領域での活用はもとより、障害や中断が許されない基幹業務系システムの領域においても主要な選択肢となっています。

 さらに、今後イノベーションのキーとなるビッグデータの格納先として、容量に柔軟性があるクラウド上のストレージは最適であることからも、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据えるクラウドファーストの考え方が主流となってきています。当社は、2012年からクラウドコンピューティング技術を取り入れ、クラウドネイティブなソフトウェア開発、クラウドインフラ構築など幅広い実績を有しております。また、単にシステムを提供することに留まらず、社内デザイナーの知見を活かしたUI/UXのノウハウによる優れた顧客体験の実現や、アジャイル開発(注4)等の手法による顧客ニーズへの柔軟な対応を実現しています。

 

a. クラウドネイティブインテグレーション

 当社は、AWSに関する豊富な知識や経験を基に、クラウドのメリットを最大限活用したクラウドネイティブなシステム開発を行なっています。クラウドネイティブな開発とは、クラウドの利点を徹底的に活用するシステムといった意味を持つ言葉です。最初からクラウド上で動くことを前提に、クラウドならではの機能や特性を活かせるよう設計されたシステムのことで、高速な開発や高度な運用自動化などを実現することが可能となります。当社においては、2012年6月に、AWSのグローバルパートナープログラム「APNコンサルティングパートナー」に認定されて以来、AWSがクラウドコンピューティング(注5)上で提供する数百に及ぶサービスとソフトウェア開発双方に精通したエンジニアが、システムの信頼性を最大限に高めるべく、サービスとソフトウェア開発のベストミックスを提案します。スタートアップから大企業、大学/研究機関まで規模・業種・システム内容を問わず、多くの実績を有しています。さらに、ゲノム等のビッグデータ解析に代表される高負荷処理をより高速・効率的に行えるシステム構築を行うハイパフォーマンスコンピューティング分野の実績も多く積んでおり、当社の強みの一つとなっています。

 

b. リセール

 当社は、上述したAWSの「APNコンサルティングパートナー」に認定されて以来、日本におけるAWSリセラーとしてAWSの再販売を行っております。当社は、AWS利用料の請求代行サービスを提供するのみならず、新たにAWSを導入することを検討されているクライアントに対し、豊富な導入実績を活かして移行の際の技術的なアドバイザリーを行っており、ご要望に最も合致するプランをご提示して環境構築まで支援しております。特に公共分野(パブリックセクター)への提供に強みを持ち、全国の大学・教育機関や研究開発法人・独立行政法人などへの支援実績を数多く有しております。商業分野(コマーシャルセクター)においては、地場である九州のクライアントはもとより、全国に規模を拡大しつつあります。またクライアントのDX実現には社内人材の高度化も不可欠です。当社が持つAWSの知見をクライアントに提供する教育サービスも実施しております。

 

c. MSP(注6)

 初期の構築に留まらず、その後の運用メンテナンスまで一貫して対応しております。ただシステムの保守・ 運用を行うだけでなく、日々更新される新たなAWSのサービスやクライアントのニーズを鑑みて、システムのアップグレードやコスト最適策を提案し、新たなビジネス機会の創出へと繋げております。

 

  ②データインテグレーションサービス

 当社は、様々な業界のクライアントに対し、IoT・AI・ビッグデータ解析によるデータインテグレーションサービスを展開しております。前述の「DXレベル」を上げるべく、データのINPUT (IoT)、STORE(クラウド)、OUTPUT(AI/ビッグデータ解析)まで一貫してクライアントのデータ活用を強力に推し進めます。また、PoC(概念実証)の設計、実施に留まらず、「クラウドインテグレーションサービス」と掛け合わせることで、データを中心とした新たな仕組みと既存システムとの連携課題を解決し、最終的なシステム運用に至るまでトータルでサポートします。

 

    a. IoTシステム開発

 データを収集するためのIoTセンサーデバイスの選定、サーバーインフラの構築、蓄積したデータを解析するためのシステム開発までトータルサポートを行います。当社は、ハードウェア企業ではないため、IoT関連ハード・ネットワーク企業とアライアンスを組むことにより、クライアントにとって最適な環境を提案いたします。さらに、当社の得意分野であるソフトウェア開発・インフラ構築においては、自社で開発した「mockmock」(注7)を活用することで、異常検知や負荷テストを簡単に行うことができ、IoTシステム開発の期間短縮や効率化を可能にします。

 

    b. AI/ビッグデータ解析

 データ活用の技術コンサルティングからディープラーニングや機械学習を使ったモデル作成・システム構築まで、一貫した支援を行います。更に、クライアント自身がAIを扱えるようにするための教育プログラムにも力を入れています。これらを取り揃えることで、多くの企業が陥りがちなPoC(概念実証)までは実施するものの、業務での実活用に至らない課題を克服することが可能となります。当社がディープラーニングにおいて特に実績を有する分野は、画像・OCR・動画・自然言語・音声であり、クライアントのニーズに応じてこれらの技術要素をカスタマイズし、AIの業務実装、ひいてはクライアントのDX達成を支援しております。

 

③その他サービス

a. 360(さんろくまる)

 多面評価(360度評価)に特化し、その煩雑な業務を効率化するサービスを提供しています。管理職の人材育成や研修の効果測定としても利用されています。PCのみならず、スマホ・タブレットからも登録可能で、リモートワークや外回りが多い企業でも便利に利用できます。評価項目は企業が独自に設定することが可能で、評価の実施から回収についても管理者は都度進捗を確認することができます。利用企業数が順調に伸びているだけでなく、高いリピート率を誇っており、企業の規模・業種に関わらず多くの企業に利用頂いています(2023年1月現在 累計1,000社以上)。

 

b. sigfy

 「学校連絡をもっと楽にシンプルに」というコンセプトのもと、学校と保護者を繋ぐ連絡サービスを提供しています。いち早くLINE連携を行う等、年間に約20機能のアップデートを行い、コロナ禍における学校と保護者の生命線として大きく貢献しています。サービス開始以来、私立学校を中心に順調に利用者を増やしています(2023年1月現在 約11万人)。連絡ツールとして学校と保護者を結ぶだけでなく、集金機能を備えるなどして、学校生活の様々なシーンでsigfyの活用機会が生まれています。

 

(2)サービス間の相関関係

  上述したサービスの内、主たる事業であるクラウドインテグレーションサービスとデータインテグレーションサービスは下図の通り、相互に様々な事業シナジーを持ってサービス展開を行っております。


 

 

(3)当社における先進技術の習得サイクルと社会への還元スキーム

    変化の激しいITの世界においては、先端技術をいち早く習得し、事業化することが肝要と考えております。そのため、当社は創業時から社員の自由な技術習得を奨励しており、技術探究を行う合宿の定期実施や研究費用支援など、社員の学習機会を支援する様々な制度を展開しております。そのような土壌で育まれた先進技術の知識を基に、学術研究機関や企業の先進技術分野の研究開発に高い専門性と提案力を武器に伴走し、そこで得た先進技術の実績と知見を、全国の大学・自治体や九州・福岡の地域企業を中心に展開する流れを推進しております。このサイクルをエコシステムとして確立することで、社会全体のDX推進に貢献していきます。

 


 

(4)当社のビジネスモデルについて

当社のサービスは、「① a.クラウドネイティブインテグレーション」および「②データインテグレーションサービス」による売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、システムや基盤の設計・構築を行うサービスであり、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、クライアントを開拓することによりフロー売上を拡大させております。その後、システムの継続運用に伴う業務を蓄積することで、「ストック売上」(「① b.リセール」、「①c.MSP」)の拡大による安定収益化を図っております。 

 


 

(注1)DXレベル

経済産業省の「DXレポート2 中間取りまとめ」(令和2年12月発行)によると、我が国のDXへの取り組みは想定以上に遅れていることが判明し、企業の9割以上がDX未着手あるいはDX途上にあるとされております。  当社では、DXに全く取り組めていない未着手の状態を「DXレベル0」、散発的な実施にとどまる途上状態を「DXレベル1」、全社横断的かつ持続的にDXに取り組み経営変革に繋げることのできるデジタル企業を「DXレベル2」と表現しております。

(注2)UI/UX

UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は、「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。

(注3)SaaS

Software as a Serviceの略。ソフトウェアを利用者(クライアント)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用する状況を指します。

(注4)アジャイル開発

プロジェクト開発手法の1つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく手法です。

   (注5)クラウドコンピューティング

インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源(サーバー、ストレージ、ネットワーク、データベース、ソフトウェアなど)を利用することです。

(注6)MSP

Managed Service Providerの略で、クライアントが利用するコンピュータやシステムの運用や監視、保守を行うことです。

(注7)mockmock

mockmockは、IoTシステム開発支援サービスです。クラウド上に仮想デバイス(mock)を作成し、実デバイスの代わりに疑似データを生成、指定のサーバーやデバイスに送信することで、実デバイスなしで簡単にテストや負荷試験の実施が可能となるサービスです。IoT導入において障壁となる、データ検証や負荷テストに活用されており、実デバイスの作成費を削減することで、企業の研究開発における実証実験にかかるコストを低減することが可能となります。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

  該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2023年1月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

84

32.3

4.1

5,625

 

(注)1.臨時従業員数については、従業員数の100分の10未満のため、記載を省略しております。

2.年間平均給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2) 労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満な関係にあり、特記する事項はありません。