第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第33期

第34期

第35期

第36期

第37期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高

(千円)

2,785,780

2,900,455

2,820,897

2,823,944

3,231,681

経常利益

(千円)

164,330

150,167

80,044

63,625

137,513

当期純利益

(千円)

93,393

96,613

45,824

32,486

94,275

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

71,000

71,000

71,000

71,000

86,000

発行済株式総数

(株)

5,680

1,136,000

1,136,000

1,136,000

1,186,000

純資産額

(千円)

252,186

343,120

383,265

410,342

516,447

総資産額

(千円)

947,888

985,491

983,420

1,251,006

1,311,550

1株当たり純資産額

(円)

44,399.05

302.04

337.38

361.22

435.45

1株当たり配当額

(円)

1,000

5

5

15

15

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

16,442.45

85.05

40.34

28.60

82.69

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

26.6

34.8

39.0

32.8

39.4

自己資本利益率

(%)

37.0

28.2

12.0

8.2

20.3

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

6.08

5.88

12.40

52.45

18.14

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

158,930

68,162

43,845

186,173

32,828

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

50,481

34,143

4,897

29,820

89,698

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

4,457

103,984

23,512

77,344

10,697

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

371,731

345,515

320,284

553,982

442,152

従業員数

(人)

213

250

269

274

313

(内、平均臨時雇用者数)

(2)

(1)

(1)

(2)

(2)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

3.第37期の従業員数が最近1年間において、39名増加しましたのは、主として業容拡大に伴う定期及び期中採用によるものであります。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

6.2018年11月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。第34期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

7.第36期及び第37期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC京都監査法人の監査を受けております。

なお、第33期、第34期及び第35期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査法人の監査を受けておりません。

8.2018年11月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を、2022年11月25日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を、また2023年1月16日付で10株につき1株の割合で株式併合を行っております。

 そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第33期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第33期、第34期及び第35期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、PwC京都監査法人の監査を受けておりません。

回次

第33期

第34期

第35期

第36期

第37期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

1株当たり純資産額

(円)

222.00

302.04

337.38

361.22

435.45

1株当たり当期純利益

(円)

82.21

85.05

40.34

28.60

82.69

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

5

5

5

15

15

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

9.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第37期の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

 当社は業務系アプリケーションソフトの開発を目的として1985年に設立されました。鋼材業向けのパッケージソフトを柱に素材関係業種のシステム開発を行い、その後は、映像処理技術を使ったシステム開発も行なってまいりました。2001年よりシステム開発の中のテスト工程を専門に請け負う事業をスタートしております。

 当社の沿革は、下記のとおりであります。

1985年10月

日本スペースソフト株式会社(資本金400万円)を東京都千代田区に設立

1986年12月

ナレッジエンジニアリング株式会社を吸収合併し、商号を日本ナレッジエンジニアリング株式会社に変更

1988年6月

本社を東京都中央区東日本橋に移転。オフィスコンピュータ向けシステムの受託開発とパッケージシステム開発を行う。同時に商号を現在の日本ナレッジ株式会社に変更

1991年2月

オフィスコンピュータ向け鋼材業向け販売・購買・在庫管理パッケージシステム  (以下 鋼材業向けパッケージシステム)の販売を開始

1991年12月

資本金を1,000万円に増資

1993年2月

本社を東京都台東区駒形に移転

1993年4月

通信販売業向けパッケージシステムの販売を開始

1994年8月

スポーツ分析システム「MVP」の販売を開始

1996年5月

パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載)向け鋼材パッケージ「PowerSteel」の販売を開始

1998年2月

資本金を3,000万円に増資

1998年4月

システム開発の拠点として茨城県土浦市に「ソフト工房」開設

2001年4月

資本金を5,000万円に増資

2001年7月

ソフトウエアのテストを行うシステム検証事業開始

2003年2月

ゴルフレッスンシステム「MVP2000」発売

2004年6月

本社を東京都台東区寿に移転

2005年10月

システム検証の発展を目指してIT検証産業協会設立に参画

2006年4月

開発拠点として千葉県富里市に「成田事業所」開設

2009年4月

札幌事業所を札幌市エレクトロニクスセンターに開設

2010年10月

資本金を7,100万円に増資

2013年6月

ソフトウエア品質認証制度(略称:PSQ認証制度)の評価機関に認定

2013年11月

札幌事業所がソフトウエアの検査、検証において『ISO9001』認証取得

2015年8月

セキュリティ製品事業、WEBシステム開発事業のアイベクス株式会社の全事業を譲受、同社の拠点である福島県郡山市に郡山センターを開設

 

札幌事業所がソフトウエア試験所として日本初の「ISO/IEC 17025 試験所認定」を取得

2016年10月

株式会社システムカルチャーのサポートデスク事業を譲受

2018年4月

株式会社アイムシステムを吸収合併、同社の所在地である長野県諏訪郡に諏訪センターを開設

2020年5月

ベトナム国ホーチミン市に「ベトナム駐在事務所」を開設

2020年6月

増床に伴い、成田センターを千葉県富里市から千葉県成田市に移転

2021年1月

愛知県名古屋市に「名古屋センター」を開設

2022年5月

ベトナム国ホーチミン市「ベトナム駐在事務所」閉鎖

2022年3月

資本金を8,600万円に増資

 

3【事業の内容】

 当社は、主にソフトウエアシステムの検証サービス注1を提供する「検証事業」とシステム受託開発、業務系パッケージソフトウエアの開発・販売等を行う「開発事業」を主たる事業として展開しております。

 設立当初は、業務系のパッケージ開発を主業務とし、「徹底した顧客志向の開発」というコンセプトのもと開発事業を進めてきましたが、2001年度より業務系の開発事業で培った経験とノウハウを活かし、ソフトウエアテストに関する専門的な知見と技術を提供する検証事業を立ち上げ、注力しております。

 当社事業を取り巻く環境について、従来ソフトウエアの品質担保に関する業務は、メーカーやソフトウエア開発会社の社内で実施されておりましたが、国内でのIT人材不足を背景に、より競争力の高いサービス・製品を創造するための開発工程に経営リソースを集中させる傾向が高まっております。また、ソフトウエアはますます複雑化しており、仕様書通りに機能するかの確認のみならず、連携するシステム全体における結合テストや、テストの自動化、セキュリティテスト等、テスト工程に求められる専門性が高度になってきております。このため、メーカーやソフトウエア開発会社におけるテスト工程のアウトソーシングが加速している状況です。

 そして、さらなる市場の品質ニーズの高まりに応じて、ソフトウエア開発プロセス支援、品質改善コンサルタント、保守・運用支援など、テスト工程だけではなく開発プロセスやライフサイクル全体に対してのソリューションサービスも開始し、顧客企業における高品質なソフトウエア開発を総合的に支援しております。

 検証事業、開発事業のいずれにおきましても常に顧客本位を第一に考え、国際標準規格注2に準拠したプロセスや品質基準で事業展開を行っております。なお以下の2事業は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1)検証事業

 当事業では、ソフトウエアの不具合により顕在化するリスクを回避・軽減するため、ソフトウエアの開発工程(要件定義・設計・開発・テスト)のなかのテスト工程において、品質計画の立案、テストの分析設計、テストの実行といった一連のプロセスやコンサルティングをサービスとして提供しております。当サービスの提供により、ソフトウエアの不具合を発見して報告を行います。またその不具合の修正をソフトウエア開発に促すことで、品質向上に寄与するとともに、重要な不具合が発生していないことを確認するための品質の測定と報告によって、顧客がソフトウエアのリスクの判断を行うことが可能となります。

 

 当事業の対象となるソフトウエアは、スマートフォンやカーナビゲーションのハードウエアに組込まれて動作する「組込みソフトウエア注3」、法人向けの販売管理や会計等の業務系システムやパッケージソフトウエア製品などの「エンタープライズ系注4」、WEB上で動作するシステム全般をあらわす「WEBシステム」となっております。

 特に、エンタープライズ系注4システムは開発事業にて培った販売・購買・在庫管理等の業務知識やシステム構造等のノウハウが活かされることから、当社の得意とする領域であり、さらには開発技術を背景とした「テスト実施の自動化」技術によるコスト効率化や品質の担保ができることも強みにしております。

 また、当事業における主な顧客は、主に大手SIer注5系の情報システム部門やパッケージソフトベンダーなどの事業会社系となり、これらの顧客に対して、ソフトウエア機能テスト技術を提供することで、顧客のシステム開発における品質プロセスに対する重要な役割を担っております。

 

 

事業系統図

[検証事業]

0201010_001.png

 当事業は、開発事業との技術シナジーやテスト自動化における効率性と品質担保の提供を特徴としております。

 

 「エンタープライズ系注4」では、開発事業としての長年の経験と人員および業務知識を活用できることから、得意な領域としております。またエンタープライズ系注4は、業務知識が不可欠であり参入障壁が高い一方、時間をかけて業務知識やシステム構造を習得した後は、業務システムを熟知した技術者の関与が可能となるため、案件の継続率が高く、エンジニア単価も高くなると見込まれます。

 

 WEBシステムをはじめとする事業会社系のプロジェクトでは、すでに運用しているシステムの派生開発(機能追加など)が主なテスト対象となることから、事業やサービスの継続に比例してプロジェクトが長期化することで、安定収益の確保が見込めます。また、派生開発はリリースの都度行われるために、システム全体の繰り返しテストが発生いたします。これらの「繰り返しテスト」はシステム全体の品質を確認するために非常に重要である一方で単純作業であり、多くのプロジェクトでこの単純作業をエンジニアが手動で行っているのが現状です。当社はこれらの繰り返しテストを、当社の強みである「テスト自動化サービス」にてテスト実施を自動化させていきます。それにより、エンジニアはセキュリティ面や利用者にとって使いやすいかどうかという利便性の確認、さらには利用者の誤りやすい運用を想定し、動作させた場合のシステム信頼性の確認といった、人的判断を要する領域に注力することで、顧客に対して付加価値を提供しております。

 

当社は自動化サービスを活かして以下のように拡大戦略をとっていきます。

・手動テスト案件(A)から、自動化可能な部分(手動で行ってきた単純テスト)を切り出して、自動化スクリプト注6開発案件(B)を増やす。

・次に単純テスト以外についても、自動化が適用可能な領域を検討し提案していく、自動化適用可能領域を広げるための案件(C)を増やす。

・前段記載の通り、適切な自動化によって、エンジニアが人間にしかできない領域のテストに注力することのできる、自動化と手動テストのハイブリッド案件(D)を増やして案件拡大を図る。

 

[自動化サービスごとの売上比率]                             (単位:%)

 

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

(A)手動テスト案件

58.9

44.0

29.9

22.3

(B)自動スクリプト注6開発案件

0.5

1.5

4.7

5.7

(C)自動化適用可能領域を広げるための案件

25.4

25.8

35.3

37.7

(D)自動化と手動テストのハイブリッド案件

15.2

28.8

30.1

34.2

当社の「テスト自動化サービス」の大きな強み(他社との違い) は以下と考えています。

① 開発技術者を有しており、自社内でテストの自動化プログラムの開発が可能であること。また、その自動化プログラムを最大限生かせるテスト設計が可能であること。

② 市販のテスト自動化専門ツール注7やオープンソース注8ツール(ソースが公開されている無償ツール)のみでは対応できない対象(領域)についても、自社内で補完アプリを開発することにより、自動化が可能となること。

 

①については、当社は長年開発事業を行い、開発エンジニアを多数有していることから、一般のテスト会社に比べ、高品質で保守性の高い自動化プログラムの開発が可能です。

また、効果の低いテストケースを自動化しても意味が無いため、反復効果が高い自動テストケースを作成するための「自動化テスト設計力」も極めて重要となります。

当社は長年のテスト経験・ノウハウにより、「自動化テスト設計力」を高めてまいりました。これら「プログラム開発力」と「自動化テスト設計力」が、当社の最大の強みとなっております。

②ですが、市販のテスト自動化ツール注7や、オープンソース注8ツールのみでは自動化が困難なテスト対象(領域)もあり、そのような場合、手動テストで対応することが一般的です。

しかしながら当社は、そのような場合においても、上記ツールを補完する「ヘルパーアプリ」を自社開発することにより、上記ツールのみでは対応が困難な対象(領域)も自動化することが可能です。

 

このようなテストの自動化を行うことで、顧客へテストの実行時間の短縮による「コストメリット」や、繰返し全体のテストを行うことによる「品質の担保」という付加価値を提供しております。この付加価値は、上記のような深い開発に係る知識と、ソフトウエアの品質検証に係る経験が必要であると考えております。

従いまして、このテストの自動化領域につきましては競合が少ないと考えており、顧客の継続率も高く安定収益の確保につながっているものと考えております。

また、近年のインターネットを経由したWEB系のサービスは、顧客のニーズに合わせ頻繁に機能やサービスの変更が行われます。その際、すべてのサービスの変更につき改めて手作業でテストを行いますと、膨大な費用と時間が必要となります。

下図の様に、設計、開発、テストが頻繁に繰り返されるシステム開発においては、テストの自動化が必須となると考えております。

0201010_002.jpg

 

 一般のソフトウエアテストにおきましては、各工程単位ごとテストを行います。

「要求分析」の段階では、顧客の要求を確認し、「受け入れ(検収)テスト」を設計・実施いたします。「要件定義」の段階では、顧客の要求がシステムに反映されているかの「システムテスト」を行います。また、「基本設計」の段階では「結合テスト」、「詳細設計」の段階では「単体テスト」を行い、設計書通りにソフトウエアが正しく動く事を確認し、「コーディング」の段階にてコードの誤記、論理の誤り、脆弱な箇所が無いか等を検証する「コードレビュー」を行い、報告書を作成いたします。

 当社は、各工程単位でのテストの実施のみならず、テストに関連するすべての工程に対して、トータルでの支援やコンサルティングを行うことにより、コスト的にも品質的にも最適なサービスを顧客に提供しております。

0201010_003.png

(2)開発事業

 開発事業では、大手ベンダー製のパッケージソフトウエア導入に伴うカスタイマイズの受託開発や、セキュリティ製品の開発・販売、パッケージソフトウエアの開発・販売・保守を中心に行っております。

 

事業系統図

[開発事業]

0201010_004.png

①ERP注9パッケージソフトウエア導入に伴うカスタイマイズの受託開発

 当サービスは、ERP注9パッケージソフトウエアを導入された顧客企業に対し、個別にカスタマイズ開発を受託しております。取り扱うERP注9パッケージソフトウエアは大手ベンダー製となっております。

同ERP注9パッケージソフトウエアは、販売・購買・在庫管理及び財務管理といった業務知識と、個々の業務管理システム等のつながりを理解しないと、システムの構造が理解できず、結果としてカスタマイズの設計ができないと考えられます。

従って、その開発技術には単一的なシステム設計の理解では足りず、その開発技術の習得に時間がかかる事と、開発ライセンス契約の社数も絞られていることから、参入障壁が高いと想定しております。国内のERP注9パッケージソフトウエア製品市場は2023年で1,400億円(矢野経済研究所予測)であり、マーケット規模から推察して本分野が大きく拡大する事が期待できます。

 

当社は複数の大手ベンダーのERP注9パッケージ製品を取り扱っており、これらの製品群は、対象とする企業規模が各々異なりますため、幅広い顧客層に対応することが可能です。

製品の販売は、主に販売代理店により顧客企業に販売されておりますが、顧客企業よりカスタマイズ開発の要求があった場合に、そのシステム開発を受託いたします。販売代理店側と同行し顧客企業の要望を聞取り、要件定義から設計・製造及び運用指導まで一貫して受託するケースや、要件定義以後の詳細設計から製造まで行うケース等、開発内容は多岐に渡っております。また、大規模なカスタマイズ開発を行う場合、その後の問合せやバージョンアップ対応が必要となるため、当社が顧客企業に対して直接的に保守サービスの提供も行っております。

 

②業種テンプレートの開発・販売

当サービスは、上記パッケージソフトウエア「SMILE」をベースとして鋼材業向けとして「PowerSteel」、建材・木材卸業向けに「PowerCubic」を開発し、販売することに加え、保守サービスを提供しています。

これらの業界は、業界特有の商習慣により、パッケージソフトウエアにカスタマイズを行う必要があります。

例えば鋼材パイプの場合は、「寸法別」、「本数別」で在庫管理を行う必要があります。一方、売上の計上におきましては、出荷製品の「総重量」をもとに計算を行います。このように、管理する単位が混在するため、通常の仕組みでは対応できません。また、売上高計算の為の重量計算を業界特有の計算式で行うなど、カスタマイズが必要となります。

パッケージソフトウエアをベースとした当社製品(業種テンプレート)を導入することにより、上記のようなカスタマイズが不要となり、他社でスクラッチ開発注10を行う場合と比べ、顧客企業の費用負担は大幅に抑えることができます。

また、当社は鋼材業界、建材・木材卸業界の特徴も熟知しており、導入もスムーズに行えることから、当社製品は好評を博し、2022年12月末現在では695社を超える導入実績となりました。

これらの分野も、定期的なバージョンアップによる持続的な需要により、今後も安定的なシェアが見込まれます。また、頻繁に行われる税制の改正などへの対応需要もあり、今後ともパッケージ製品の売上は堅調に推移すると予測されます。

 さらに当社は、これらの業種対応のみならず、携帯端末を利用した在庫管理システムや、WEBを活用した受注システム等の周辺システムもあわせて提供しております。鋼材業、木材卸業共通の特徴ですが、入庫した製品を様々な長さで切断するため、在庫管理が複雑なものとなっています。このため、携帯端末を利用し、常に正確な在庫管理をおこなうことを可能としております。また、加工する際の加工賃をWEBから自動計算で行えるようにしたことにより、営業の見積書作成作業の軽減につながり、顧客企業から好評を得ております。このような業界特有の商習慣を踏まえて、柔軟にカスタマイズ対応することにより、顧客企業の業務効率向上をサポートし、今後の拡販を目指してまいります。

 

③セキュリティ製品の開発・販売

当サービスは、独自にてセキュリティ製品を開発し、ライセンス利用型で販売することに加え、保守サービスを提供しております。

主製品の「DEFESA」は、操作のログ管理を主な機能としており、詳細な操作ログ情報の取得を可能とした高い技術を特長としております。特にシンクライアント端末注11を用いた環境に特化した当社独自のログ取得技術としては、APIフックと呼ばれる手法を用いて、OSから出される操作の信号を受信し、記録後すぐにOSに返します。そのため、OSの負荷が小さく、すべての操作ログを収集することが可能です。一般的な技術ですと、OSが記録を行うエージェントと言われる機能上のログを収集する方式となり、この方式ではログ情報が蓄積し、OSの負荷が高くなると言われております。

また、オプション機能としてPC操作の画面の動きをすべて録画する機能を準備し、顧客企業の導入シーンに応じて柔軟に機能選択もできるセキュリティ製品となっております。

また、もう一つの主力製品である「monoPack」といたしましては、既存のPCにUSBキーを挿入するだけでシンクライアント端末注11として使用のできることが特徴となっております。新型コロナウイルス感染拡大や政府が推進する働き方改革による在宅勤務をはじめとするテレワークの普及により、企業における仮想化環境注12の導入が進んでおります。

このような環境下で、従業員がテレワーク環境で使用するPCを安全に活用するためのセキュリティ強化を目的に、従来は仮想化専用端末を新規に導入する必要がありましたが、当社製品では、既存のPCを活用し大幅にコストが削減できることから、引き合いが大きく増加しております。

 

(脚注)

番号

用語

用語の定義

注1

検証サービス

情報システムやカーナビゲーションシステム・スマートフォン等の家電製品のシステム開発工程におけるテスト、検証を実施するサービスの総称。

注2

国際標準規格

ソフトウエアテストのための国際標準規格(ISO/IEC/IEEE29119)を指す。

注3

組込みソフトウエア

家電製品、携帯電話などの電子機器や産業用ロボット等に搭載され、それらの機器を制御するソフトウエアのこと。エンベデット系とも言う。

注4

エンタープライズ系

基幹業務システムのうち、想定顧客や市場区分として「大企業・中堅企業(向け)」「大企業・官公庁(向け)」のもの。

注5

SIer

システムインテグレーターの略語。ITシステムのコンサルティングから設計、開発、運用・保守・管理までを一括請負する情報通信企業。

注6

スクリプト

コンピューターに対する一連の命令などを記述したもの。コンパイルを必要とするプログラミング言語によるものに対し、より簡易な言語で記述されたものをいう。

注7

テスト自動化ツール

ソフトウエア開発における各種テスト活動を自動化するためのツールの総称。たとえば「テスト管理」「テスト設計」「テスト実行」「テスト報告書作成」などの業務を自動化する。

注8

オープンソース

ソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用、修正、頒布することを許し、それを利用する個人や団体の努力や利益を遮ることがないソフトウエア開発の手法。

注9

ERP

「EntERPrise Resource Planning」の略で、日本語では「統合基幹業務システム」を指す。

注10

スクラッチ開発

既存の製品や雛形などを流用せずに、まったく新規にシステムの開発を行うこと。

注11

シンクライアント端末

ユーザーが使うクライアント端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をサーバー側に集中させたシステムアーキテクチャ、もしくはそのシステムのための専用端末のこと。

注12

仮想化環境

コンピューターなどの物理的な機器(ハードウエア)を、仮想化技術により複数の仮想的な機器に分割し、それぞれを独立に運用する環境のこと。

 

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

 

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

2022年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

331

38.4

5.3

4,172

 

セグメントの名称

従業員数(人)

検証事業

181

(2)

開発事業

102

(0)

報告セグメント計

283

(2)

全社(共通)

48

(0)

合計

331

(2)

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、季節工を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

4.第38期従業員数が最近1年間以後18名増加しましたのは、主として業容拡大に伴う定期及び期中採用によるものであります。

 

(2)労働組合の状況

 当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。