第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2018年1月

2019年1月

2020年1月

2021年1月

2022年1月

売上高

(千円)

781,559

914,635

620,144

914,358

673,439

経常利益

(千円)

207,529

201,924

32,633

250,597

53,431

当期純利益

(千円)

138,789

146,953

22,625

181,040

37,551

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

43,000

43,000

43,000

43,000

43,000

発行済株式総数

(株)

64,970

1,299,400

1,299,400

1,299,400

1,299,400

純資産額

(千円)

656,817

797,274

806,905

981,449

1,003,407

総資産額

(千円)

753,467

871,204

872,274

1,185,674

1,047,159

1株当たり純資産額

(円)

10,109.56

613.57

620.98

755.30

772.21

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

100

10

5

12

5

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

2,136.20

113.09

17.41

139.32

28.90

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

87.2

91.5

92.5

82.7

95.8

自己資本利益率

(%)

23.6

20.2

2.8

20.2

3.8

株価収益率

(倍)

33.74

配当性向

(%)

4.7

8.8

28.7

8.6

17.3

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

360,200

170,782

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

102,494

150,000

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

6,991

15,592

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

855,670

519,295

従業員数
〔外、平均臨時
雇用者数〕

(人)

35

40

39

44

44

-〕

-〕

-〕

-〕

-〕

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る経営指標等の推移については、記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

5.第15期、第16期、第17期及び第18期の株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

第19期の株価収益率はTOKYO PRO Marketの株価に基づいて記載しております。

6.第15期、第16期及び第17期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

7.第18期及び第19期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、みおぎ監査法人により監査を受けております。なお、第15期、第16期及び第17期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づいた、監査を受けておりません。

8.当社は2017年5月21日開催の取締役会決議により、2017年6月24日付けで普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っておりますが、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。また、2018年6月14日開催の取締役会決議により、2018年7月4日付で普通株式1株につき20株の割合で株式分割を行っておりますが、第16期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

9.当社は2017年6月24日付けで普通株式1株につき10株の割合で、2018年7月4日付けで普通株式1株につき20株の割合で、株式分割を行っております。

そこで、株式会社名古屋証券取引所の引受担当責任者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成20年4月4日付名証自規G第8号)に基づき、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。なお、第15期、第16期及び第17期の数値(1株当たりの配当額についてはすべての数値)については、みおぎ監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2018年1月

2019年1月

2020年1月

2021年1月

2022年1月

1株当たり純資産額

(円)

505.48

613.57

620.98

755.30

772.21

1株当たり当期純利益

(円)

106.81

113.09

17.41

139.32

28.90

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額
 (うち1株当たりの中間配当額)

(円)

(-)

10

(-)

(-)

12

(-)

(-)

 

 

 

 

 

2 【沿革】

当社の設立以降、現在に至るまでの沿革は、以下のとおりであります。

年月

概要

2003年6月

土木工事業及び建築工事業として、アップコン有限会社を神奈川県川崎市高津区末長に資本金300万円で設立

2004年2月

神奈川県川崎市高津区坂戸三丁目2番1号かながわサイエンスパークへ移転

アップコン株式会社に組織変更し、資本金1,000万円に増資

2005年11月

ISO9001の認証取得

2006年2月

資本金2,000万円に増資

2007年4月

資本金3,000万円に増資

2008年7月

ISO14001の認証取得

2008年9月

資本金3,500万円に増資

2010年1月

資本金3,800万円に増資

2013年3月

「地盤改良方法」特許取得(特許第5227085号)

2015年10月

「土壌改良方法および緑化方法」特許取得(特許第5813969号)

2017年2月

資本金4,300万円に増資

2017年5月

ISO27001の認証取得

2018年3月

「沈下した地盤上のコンクリート版を修正する方法」特許取得(特許第6302611号)

2018年5月

「空洞充填によるトンネルの補修方法」特許取得(特許第6337375号)

2018年12月

「沈下した地盤上のコンクリート版の傾きを修正する方法」特許取得(特許第6456556号)

2019年1月

「港湾の地盤を改良する方法」特許取得(特許第6470886号)

2019年6月

「布基礎の不等沈下を修正する方法」特許取得(特許第6543476号)

2021年1月

「路面の不具合による車両の交通障害を応急的に解消させる方法」特許取得(特許第6811524号)

2021年7月

株式会社東京証券取引所 TOKYO PRO Market市場へ上場

 

 

 

3 【事業の内容】

当社は、「健康第一」「安全第一」「家庭第一」という基本理念のもと、スピードと環境を重視した経営を行い、社会貢献度の高い研究開発型企業となることを経営方針としています。工場・倉庫・店舗や、一般の住宅などの建物において、地盤の不同沈下(注1)を原因として生じたコンクリート床の沈下・傾き・段差・空隙を完全ノンフロン(注2)のウレタン樹脂、及び小型機械を用いた独自の「アップコン工法」によって修正する施工を主力事業として展開しております。

従来、コンクリート床の沈下修正時には、既設のコンクリートを取り壊し、新たなコンクリート床を打設するコンクリート打替え工法などが用いられてきましたが、アップコン工法では、既設のコンクリート床を破壊するなど、大規模な解体工事が不要であり、また、機械や荷物の撤去・移動・引っ越し作業も必要としないことから、操業を止めることなく短期間でコンクリート床の傾きを修正することを可能としております。

その他、アップコン工法を応用した技術を用いて、主に公共工事として、道路や空港に生じた段差の修正や空隙充填なども行っております。

また、当社では新たな事業展開推進のため、多数のプロジェクトを進行させ、常に発泡ウレタンの新規応用分野の研究開発を継続しており、2015年には、産官学連携で共同開発した、工法を用いた施工(農業用に用いられている水路トンネルの維持・補修に係る施工)の事業化に成功しております。

軟弱地盤の多いわが国において、ウレタン樹脂を使用した沈下修正工事を行うことで、暮らしやすい社会を築くとともに、大量生産、大量消費を特徴としてきたこれまでの「フロー型社会」から、住宅や、橋・道路などの社会インフラを長持ちさせることによって、持続可能で豊かな社会を実現する「ストック型社会」の形成に貢献するために社会貢献度の高い研究・開発企業を目指しております。

当社は、硬質発泡ウレタン樹脂(注3)の新規応用分野への研究開発に取り組むことで、自ら市場を創りながら事業を開拓していくサイクルを目指す研究開発型企業を目指しております。

(注) 1.構造物に生ずる沈下量のうち、対象とする領域の最大沈下量と最小沈下量との差を不同沈下もしくは、不等沈下という。

2.日本工業規格(JIS)A9526:2015において、オゾン破壊係数(ODP)が0、かつ、地球温暖化係数(GWP)が50未満である発泡剤ハイドロフルオロオレフィン(HFO)を使用した処方技術では、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)はフロン類には該当しないと明記されている。

3.A液(ポリオール)とB液(ポリイソシアネート)の2液により、短時間で液体→クリーム状態→ゲル状態→固体と化学反応により状態を変えながら形成される樹脂。

 

 

アップコンのビジネスモデル


 

 

当社は、沈下修正事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はいたしませんが、以下に施工対象別に「民間事業」と「公共事業」の二つの区分に分けて事業内容を記載いたします。

 

1.具体的ビジネス

(1)民間事業

企業の生産・販売活動の拠点である工場、倉庫、店舗のほか、一般の住宅など、地震や地盤沈下で傾いたコンクリート床を修正いたします。

① 工場・倉庫・店舗

工場床下に空洞が発生、装置が振動し不良品率が増加、倉庫の床が傾き荷物が積み上げられない、段差でフォークリフトの走行が困難、といったこれらの原因である傾いたコンクリート床を業務・操業を止めずに床の沈下修正を行います。

② 住宅等

地震や地盤沈下によって発生した住宅の傾きを、基礎下にウレタン樹脂を注入し基礎から傾きを修正するものです。住人は住宅に居住したまま、引越しや荷物の移動も必要ありません。

③ その他

施工に先立っての調査、マンションのエントランス及び事務所等の沈下修正工事が含まれます。

 

(2)公共事業

わが国の農業用水路、道路、空港等の老朽化した社会インフラの機能回復に資するために各研究開発プロジェクト(既存工法の応用技術を含む)により開発された技術を新規事業として公共工事に展開したものです。

① 農業用水路・導水路トンネルウレタン空洞充填工事

小規模断面トンネルに特化して研究開発され、老朽化などによって発生したトンネル覆工背面の空洞にウレタン樹脂を充填させることで農業用水路などの突発的な崩壊を防止する、小規模断面トンネルの維持・補修を行う工事です。

② 道路・橋梁部踏み掛け版等の空洞・空隙充填工事

高速道路・国道他で多用されているコンクリート舗装版に生じた様々な変状(沈下/段差・バタつき・空洞/空隙)を専用に開発した高強度ウレタン樹脂を使用して、開削せずに短工期で修正します。短工期であるため、交通規制の早期規制開放を実現する工法です。

また、変状を修正するだけでなく表層路盤のゆるみも解消出来る工事です。

③ 港湾

地震によって生じた港湾の岸壁部の路盤の段差やコンテナターミナル内のRTG(タイヤ式門型クレーン)走行路盤に生じた沈下を夜間工事のみなど短工期で修正出来る工事です。

④ その他

地盤沈下や地震によって生じた空港エプロンの段差・沈下、防衛施設及び学校体育館のステージのたわみや床の傾きをウレタン樹脂を使用して短工期で修正する工事です。

 

 

[事業系統図]

事業系統図(民間事業)

 


 

事業系統図(公共事業)

 


 

 

2.工法について

(1) アップコン工法(コンクリート床スラブ(注)沈下修正工法)

沈下・段差・傾き・空隙などが生じた既設コンクリート床に、1m間隔で直径16mmの小さな穴を開け、ウレタン樹脂を注入します。ウレタン樹脂は、短時間で発泡し、その圧力でコンクリート床を床下から押し上げて傾きや段差などを修正します。

ウレタン樹脂の注入は、既設コンクリート床の高さを計測機器で常時ミリ単位で監視しながら行い、樹脂の最終強度は約60分で発現します。床下に空隙が発生している場合、同じ方法でウレタンを注入、ウレタン自らが発泡する特性によって、狭い隙間でも入り込み空隙を充填することが可能です。

(注) コンクリート床スラブとは、鉄筋コンクリート造(RC造)のコンクリート床、を意味する言葉。

 

 [施工イメージ図]

 


 アップコン工法の特長

 ■従来工法(コンクリート打替え)と比較して工期1/10

 ■業務・操業を止めずに施工が可能

 ■環境に安全なノンフロンウレタン樹脂を使用

 ■自社の技術部社員が行う信頼性と精度が高い施工

 ■施工機材一式がコンパクト(少ないスペースで施工が可能)

 


 


環境に安全な完全ノンフロンウレタン樹脂を用途別に開発し使用している

 

精度の高い技術により、ミリ単位で常時レベル確認をしながら施工をおこなう

 

 

 

 


 


技術と資格を持った自社スタッフで安心対応

 

 

コンパクトで機動性が高い、資機材一式を搭載した施工プラント車

 

 

 

(2) 農業用水路トンネル機能回復加圧式ウレタン充填工法

(Functional Restoration Technologies for Agricultural Ditch Tunnels:以下「FRT工法」という。)

「FRT工法」とは、日本全国の農業用水路・導水路など、老朽化によりトンネルの覆工背面に生じた空隙を硬質発泡ウレタンで埋める補修工事によって、トンネルの崩壊を防ぎ、壊さずに延命化を図ることを目的としております。

① FRT工法開発の経緯

高度成長期に整備された農業用水路トンネルでは、覆工背面に空洞が発生したり、空洞が原因でトンネルの側面にひび割れが生じるなど、その多くが老朽化の危機を迎えております。これらインフラ施設の老朽化対策として、当社、アキレス株式会社、岡三リビック株式会社、株式会社ジオデザインの4社で研究会を立上げ、島根大学、石川県立大学の協力のもと、農林水産省の2010年度~2012年度の官民連携新技術研究開発事業を活用し、従来の改修工事に拠らずにトンネルが有する本来の機能を回復する「FRT工法」を開発し、2016年1月期事業化に成功しております。

農水路のトンネルの施工が可能であるのは、農水路の水が止まる期間(11月から2月)のみとなっております。従来の方法では、施工にあたって規模が大きい設備を必要としていたことから、電気設備を引くだけで2週間程度(設置―撤去に約1か月)かかってしまい、施工に時間をかけることができませんでしたが、当社が使用するコンパクトなウレタン注入機を用いることで、大掛かりな設備が不要となり、施工までの準備期間が大幅に短縮されております。

② 施工の概要

トンネルはアーチ状で全方向から一定の同じ力がかかっていないと崩れてしまう構造(アーチアクション)となっておりますが、当該工法は、地盤が緩んで発生した空洞を充填し、なおかつ、上部から圧力を加えてトンネルの形状をもとに戻す(機能を回復させる)ことを目的としております。

 


 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

2022年10月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

44

35.1

7.0

5,059

 

  (注) 1.従業員数は就業人員数であります。

 2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 3.当社は沈下修正事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載を省略しております。

 

(2)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。