第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2017年11月

2018年11月

2019年11月

2020年11月

2021年11月

売上高

(千円)

210,863

525,534

791,121

1,523,174

1,884,149

経常損失(△)

(千円)

135,361

77,285

298,886

270,388

433,474

当期純損失(△)

(千円)

135,651

77,298

301,177

352,308

436,174

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

251,329

100,000

100,000

200,164

100,000

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

普通株式

70,300

70,300

70,300

70,300

27,295,800

A種優先株式

27,700

27,700

27,700

27,700

B種優先株式

8,331

8,331

8,331

8,331

C種優先株式

20,976

20,976

20,976

D種優先株式

8,200

8,200

E種優先株式

972

純資産額

(千円)

1,394

559,145

1,162,263

1,010,283

574,109

総資産額

(千円)

248,983

1,041,287

1,947,562

2,243,455

1,750,615

1株当たり純資産額

(円)

7,128.34

6,561.00

8,386.57

109.08

42.07

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

1,285.02

689.27

2,317.09

26.00

31.96

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

0.6

53.7

59.7

45.0

32.8

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

155,218

646,869

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

133,881

5,349

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

160,329

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,524,302

872,084

従業員数
〔外、平均臨時雇用者数〕

(名)

21

33

56

106

151

5

7

8

23

31

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.第6期から第10期の期間については、売上高が増加しているものの、自社サービスを拡大するため人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果、経常損失及び当期純損失を計上しております。

4.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式はあるものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

6.第6期から第10期の自己資本利益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

7.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

8.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

9.1株当たり配当額及び配当性向につきましては、配当を実施していないため記載しておりません。

10.第9期及び第10期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けておりますが、第6期、第7期及び第8期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

11.第6期、第7期及び第8期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る項目については記載しておりません。

12.第9期及び第10期については、自社サービスを拡大するため人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっております。

13.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員数を〔 〕内に外数で記載しております。

14.当社は2021年7月8日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。また、2022年9月6日付で普通株式2株につき1株の割合で株式併合を行っております。第9期の期首に当該株式分割及び株式併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失(△)を算定しております。

15.2021年7月8日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。また、2022年9月6日付で普通株式2株につき1株の割合で株式併合を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第6期の期首に当該株式分割及び株式併合が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。なお、第6期、第7期及び第8期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2017年11月

2018年11月

2019年11月

2020年11月

2021年11月

1株当たり純資産額

(円)

△71.28

△65.61

△83.87

△109.08

42.07

1株当たり当期純損失(△)

(円)

△12.85

△6.89

△23.17

△26.00

△31.96

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

 

 

 

2 【沿革】

当社は、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」をミッションとして、2011年に創業いたしました。当社の沿革は以下のとおりです。

年月

概要

2011年12月

クリエイターが創作したデジタルコンテンツを配信するプラットフォームの開発・運営を目的として、東京都渋谷区渋谷において、株式会社ピースオブケイク(現 当社)を設立

2012年9月

クリエイターと読者をつなぐコンテンツ配信サイト「cakes」を開始(2022年8月にサービス終了)

2014年4月

CtoC×課金の仕組みでクリエイターをエンパワーメントする、CtoCメディアプラットフォーム「note」を開始

2017年12月

スマートフォンサイズの新書シリーズ「スマート新書」レーベルを開始

2018年4月

noteクリエイター支援プログラムを開始

2018年7月

株式会社日本経済新聞社と資本業務提携

2018年12月

東京都港区北青山に本社移転

2019年3月

企業の情報発信を簡単にし、続けやすくするメディアSaaS「note pro」を開始

2019年7月

UUUM株式会社と資本業務提携

2019年8月

株式会社テレビ東京ホールディングスと資本業務提携

2020年4月

note株式会社に社名を変更

2020年6月

東京都渋谷区神宮前にイベントスペース「note place」開設

 

 

 

3 【事業の内容】

当社は、クリエイターが文章やマンガ、写真、音声、動画等のコンテンツを自由に投稿・販売することができ、ユーザーはそのコンテンツを楽しんで応援・購読できるメディアプラットフォーム「note」の運営を主要な事業としております。

 

(1)「note」が生まれた背景

出版・テレビ・新聞などの伝統的なメディアでは、いい作品が生み出され、広く人々に届けられ、 収益化されるエコシステム(注1)が確立されており、その中で様々な傑作が生み出され、繁栄してきました。しかし、インターネットの登場以降、だれでも創作できる時代になったものの、作品は検索やSNSによって人々に届けられるため、出逢いに偏りが生じ、収益化の手段の大半をネット広告からの収入に依存するため、フェイクニュースや過激な表現であふれてしまい良質なコンテンツが生まれにくいという課題がありました。また、その収益性の低さから十分な報酬がクリエイターに還元されず、いい作品が継続的に生み出されるためのエコシステムが確立していませんでした。

 

そこで当社は、CtoCメディアプラットフォーム「note」により、既存のメディア産業がもたらしてくれたような、クリエイター・メディア・ファンをつなぐエコシステムをインターネット上に生み出し、作品が最適な読者に届き、課金モデルによってクリエイターが創作活動に見合った対価を得られる仕組みを構築しました。これによりクリエイターは、コアなファン向けの良質なコンテンツの創作に専念しやすくなります。

 

このように当社は、クリエイターが適切なファンと直接つながる仕組みをつくることで、クリエイターエコノミーを促進してまいります。

 


 

(注) 1.エコシステムとは、複数のプレイヤーが有機的につながることで、共存共栄していく仕組みのことです。

 

 

(2)当社の強み

当社の強みは、クリエイティブ・デザイン・テクノロジーの3つが三位一体となった経営、組織力、プロダクト開発力とサービス運営に特長があり、クリエイター・読者双方から使い勝手の良い場を提供し、従来なかったクリエイター、メディア、読者をつなぐエコシステムを提供していることにあります。今後も引き続き、あらゆる人、あらゆる組織がクリエイティブ活動をはじめ、続けていくための手助けをしてまいります。

 


 

 

(3)事業の概要

当社の事業はメディアプラットフォーム事業の単一セグメントですが、あらゆるクリエイターの創作活動やマーケティング活動・収益化の機会を提供する「note事業」、「note pro事業」、「法人向けサービス事業」、「その他事業」を展開しております。各事業の内容は以下のとおりです。

 

1 「note事業」

「note」は、個人を中心としたあらゆるクリエイターが文章やマンガ、写真、音声、動画等のコンテンツを「note」のWebサイト上で自由に投稿・販売することができ、読者はそのコンテンツを楽しんで応援・購読することができる、CtoCのメディアプラットフォームです。

 

「note」は、初期費用・月額利用料なしで(月額有料のプレミアム会員登録を除く)、誰でも利用することができます。クリエイターは「note」に会員登録を行うことで無料または有料のコンテンツの投稿が可能となり、読者は会員登録をせずとも様々なコンテンツを自由に閲覧・購入することができます。個人のクリエイターが任意の価格を設定してコンテンツを販売できる「CtoC×課金」のビジネスモデルにより、ブログやネットメディア、電子新聞・電子書籍等他のメディアと比べ、ユニークなポジショニングを形成しております。

 

当社は、「note」があらゆるクリエイターの本拠地になることを目指しており、「くらし」や「まなび」、「しごと」といった幅広い読者に閲覧されるようなコンテンツから、テクノロジー関連や株式投資等のニッチなファン層に支持されるコンテンツ、エッセイ・体験談や裏話といった独自コンテンツまで、有料・無料問わず、多種多様なオールカテゴリーのコンテンツが共存する、多様性に富んだプラットフォームになっております。

加えて、「note」はランキングがない・広告がないといった特徴から、PV獲得目的の炎上行為が発生しづらく、クリエイターは自由に安心してコンテンツを投稿でき、読者はクリエイターの世界に没頭できる空気感が醸成されており、収益化を意識した良質なコンテンツが集まりやすい環境となっています。

「CtoC×課金」のユニークなビジネスモデルにこのような創作しやすい環境づくりも相まって、数多くの芸能人、経営者、アスリート、政治家、作家、インフルエンサー等の知名度の高いクリエイター(以下、「著名人」という。)にも情報発信の場として「note」を選んでいただいており、2022年8月時点の日本人Twitterフォロワー数上位1万人のうち、1,000人を超える著名人が「note」とTwitterをアカウント連携し、利用しております(当社調べ)。

著名人だけでなく、様々な業種の法人や、教育機関・行政機関による利用も進んでおり、2022年8月時点で法人アカウントは16,000件超、学校の利用数は183件、自治体は105件、中央省庁/独立行政法人は22件に上っています。

このように「note」は一般クリエイターから著名人・法人・行政機関など幅広いクリエイターが集まり、独自性の高いコンテンツが生み出され、読者やファンが集まる、現時点において唯一無二のメディアプラットフォームとなっており、2022年8月末時点で公開コンテンツ数(注2)は27,821千件、「note」のMAU(注3)は4,066万人、累計会員登録者数(注4)は5,501千人、累計ユニーククリエイター数(注5)は1,030千人、ARPPU(注6)は2,650円となり、多くの支持を集めております。

また、2021年11月期では、クリエイターの上位1,000人の平均売上高が663万円となり、中にはnoteだけで生計を立てられるクリエイターもいるほか、多くの読者の目に留まり人気化したコンテンツは、書籍化・映像化されるケースも多く、当社が資本業務提携先などメディアパートナーと連携して発表するケースも含めこれまで累計186作品が書籍化されており、クリエイターエコノミーの促進に貢献しています。

 

(注) 2.公開コンテンツ数は、月末時点において「note」上で公開されているコンテンツ数の総数です。

3.Monthly Active Users(月間アクティブユーザー)の略であり、非会員も含め「note」に月1回以上アクセスしたアクティブブラウザの合計数。

4.累計会員登録者数は、月末時点において「note」の登録画面から作成されたログイン用アカウントの総数です。

5.累計ユニーククリエイター数は、「note」を利用してコンテンツを投稿したユーザーの総数です。

6.ARPPU(Average Revenue Per Paid User)は、各四半期の購読者一人当たりの平均月間購入額です。

 

「note」の特徴は、以下のとおりです。

① 5種類のコンテンツ

テキストを中心として、テキスト、画像、つぶやき、音声、動画の5種類のコンテンツを簡単に作ることができます。エッセイ・ブログなどの文章コンテンツだけでなく、音声・動画配信や漫画・イラストの掲載など、幅広いコンテンツが投稿されており、様々なクリエイターの活動拠点となっています。

 

② 様々な課金機能

クリエイターは、作成したコンテンツの価格を自由に設定して販売することができます。無料会員の場合には、100円から10,000円の範囲内で販売価格を設定することができます。月額500円のnoteプレミアムに会員登録した場合には、販売上限価格を5万円に設定することが可能となるほか、コンテンツ単位や複数のコンテンツをまとめたマガジン単位での販売以外に、月1回以上の記事更新により月額制で記事を販売できる定期購読マガジンの販売や、数量限定での販売等、様々な課金・販売形態でのコンテンツ販売が可能となります。

noteプレミアムの主な機能は以下の通りとなります(注7)。

 


 

(注) 7.noteプレミアム会員になると、Amazonウィジェット及びYoutube動画を「note」の個別コンテンツ内のほか、クリエイターページ(各クリエイターが投稿したコンテンツやプロフィール、関連情報等が集約されたページ)にも埋め込むことができます。

 

 

③ コミュニケーション

お気に入りのクリエイターのアカウントをフォローすることや好きなコンテンツに読者が「スキ(注8)」やコメントを残してクリエイターと読者が交流することができ、コンテンツやファンを蓄積することができます。また、2022年7月には、月額会費制でコミュニティ運営ができる機能「サークル」を、創作活動の種類によらず、ファンとつながり継続的に応援を得て、創作活動に集中できるようになる機能「メンバーシップ」にリニューアルしました。「メンバーシップ」では、会員限定コンテンツの公開のほか、イベント・セミナー等への招待、会員限定で割引クーポンを配布するなど、リターン(会員限定特典)の設定を工夫することで、さまざまな創作活動の収益化が可能になります。掲示板での交流が中心であった「サークル」や、月1回以上の記事投稿が必要な「定期購読マガジン」に対し、クリエイターがリターンを自由に設定できるため、より幅広い創作活動に対してファンからの支援を受けることができるようになり、読者との長期的な関係構築を目指すことができます。

 

(注) 8.スキとは、読者が気に入ったコンテンツや、共感したコンテンツに対して、クリエイターにその気持ちを伝えるためのアクションボタンのことです。

 

④ ランキングがない

ランキング制度を設けると、刺激的な見出しのあるコンテンツなど読者の興味を惹き易く閲覧数が増えやすいコンテンツばかりがランキング上位に集約されていく傾向があり、また中長期的には投稿コンテンツの均一化を助長させてしまう可能性もあると考えております。そのため、「note」ではランキング制度を無くすことで、クリエイターの自由な創作活動を促し、コンテンツの多様性を保っております。

 

⑤ 広告がない

「note」はクリエイターが広告で収益を稼ぐ場所ではないため、投稿コンテンツには広告が表示されません。そのため、読者がクリエイターの世界に没頭できる空間が形成されております。また、広告が表示されないことにより、PV偏重のコンテンツが生まれにくい、あるいはPV獲得目的の炎上行為を起こすインセンティブが生じづらい等の空気感の醸成、環境の構築が図られております。

 

⑥ 最適な読者に届く

読者やnoteディレクターによるピックアップや、AIによるレコメンド機能により、コンテンツが最適な読者に届きます。いい作品が埋もれず、様々なクリエイターの才能を引き上げられる仕組みになっています。

 

 

⑦ 継続的な「カイゼン」

クリエイターまたは読者からの要望を「フィードバック」として適時に吸い上げ、機能改善や拡充等に反映させる「カイゼン」に積極的に取り組んでおります。「フィードバック」に寄せられた要望等は、カイゼンチームがスピード感をもって対応しており、毎年数多くのカイゼンを行っております。2019年以降、実施してきた主な「カイゼン」は以下の通りです。

年月

「カイゼン」事項

2019年2月

ファイルアップロード機能の実装

2019年4月

コンテンツの表示速度の高速化開始

2019年5月

ソーシャルプラグイン「noteで書く」ボタンを公開

2019年7月

TikTokの埋め込み機能実装

2019年11月

.comへのドメイン移行

2019年12月

Shopifyの埋め込み機能実装

2020年4月

サークル投稿(現「メンバーシップ」機能)・コメントへのスキ機能の実装

2020年6月

おすすめコンテンツのフォロワーのタイムライン表示機能の実装

クラウドファンディングの埋め込み機能実装

2020年7月

汎用的な埋め込み機能実装

noteIDの変更機能実装

2020年9月

18歳未満のゾーニング機能実装

2020年12月

Canvaで見出し画像を簡単に作る機能を実装

2021年1月

「note」のiOSアプリがiPadに対応

2021年3月

「note」のiOSアプリから、FacebookとInstagramのストーリーズにコンテンツを画像化して紹介できる機能を実装

2021年4月

プロフィール欄に、「ストアアイコン」を表示できる機能を実装

2021年6月

おすすめクリエイター欄に、Twitterでフォローしている人のnoteアカウントを表示する機能を実装

2021年9月

note記事にルビをふれる機能を実装

2021年11月

新エディタをリリース

2021年12月

note記事で数式表現ができる機能を実装

2022年3月

決済手段にPayPayでの支払いを追加

2022年7月

あらゆるクリエイターが月額サブスクをつくれる「メンバーシップ」機能を実装

 

 

⑧ EC・HRとしての利用

商品開発の背景、創業ストーリー、商品や会社の魅力も綴ることでファンを形成し、実際の商品販売や人材採用の応募へとつなげることができます。

 

⑨ メディアとの強固なネットワーク

「note」上で話題となっているクリエイターを、株式会社テレビ東京ホールディングスや株式会社日本経済新聞社、株式会社文藝春秋、UUUM株式会社等の資本業務提携先をはじめとしたメディアパートナーに紹介する「クリエイター支援プログラム」を行っております。同プログラムを通じて、「note」に投稿されたコンテンツから、ドラマ化、映画化、書籍化につながった作品が多数誕生しており、またマネジメント契約やテレビ番組への出演等にもつながるなど、オンラインのみならず、オフラインの場でもクリエイターの創作活動を後押しする仕組みを構築しております。クリエイターにとっては「note」に投稿された作品がマルチチャネルでさらに拡がるため、活動機会の増加につながるとともに、既存メディアにとっても「note」を通じて新しいクリエイターの発掘を行うことができ、良好かつ強固な関係性の構築につながっています。

 

当社は、クリエイターが「note」に投稿した有料コンテンツを読者が購読・利用した場合、当該コンテンツ代金から一定の料率に基づくサービス利用料をいただいております。サービス利用料は事務手数料(注9)およびプラットフォーム利用料(注10)で構成されております。なお、noteの公開記事のうち、有料コンテンツの比率は20.4%(2022年8月末時点)となっております。

 

(注) 9.事務手数料は、読者の決済手段に応じて変動し、コンテンツ代金に以下の料率を乗じて計算されます(いずれも税込)。
クレジットカード決済:5%
電子マネー決済:7%
携帯キャリア決済:15%

10.プラットフォーム利用料は、コンテンツ代金から事務手数料を控除した後の金額から以下の料率を乗じて計算されます(いずれも税込)。
単体有料コンテンツ・有料マガジンの販売、サポート機能・メンバーシップ機能の利用:10%
定期購読マガジンの販売:20%

 

なお、「note」における各指標の推移は以下のとおりです。

2014年のサービススタート以来、多くのユーザーから支持を集め、拡大してきました。プラットフォーム利用料が収益源となる「note」は流通総額(読者が支払ったコンテンツ代金の合計額)をKPIとして特に重視しています。

年月

累計会員登録者数

(千人)

累計ユニーク

クリエイター数(千人)

公開

コンテンツ数

(千件)

2019年2月

1,086

168

3,430

2019年5月

1,268

199

4,042

2019年8月

1,447

232

4,739

2019年11月

1,666

273

5,581

2020年2月

2,033

341

6,760

2020年5月

2,619

458

8,761

2020年8月

3,069

551

10,766

2020年11月

3,367

624

12,663

2021年2月

3,743

706

14,792

2021年5月

4,043

772

17,028

2021年8月

4,314

829

19,204

2021年11月

4,565

879

21,351

2022年2月

4,839

934

23,508

2022年5月

5,164

983

25,694

2022年8月

5,501

1,030

27,821

 

 

年月

四半期流通総額

(百万円)(注)11

テイクレート

(注)12

月間購読者数

(千人)(注)13

ARPPU

(円)

2019年2月

643

17.8%

106

2,025

2019年5月

784

17.8%

123

2,133

2019年8月

841

17.9%

133

2,115

2019年11月

1,152

17.1%

148

2,598

2020年2月

1,643

17.2%

187

2,934

2020年5月

1,838

17.5%

241

2,545

2020年8月

1,942

17.6%

283

2,292

2020年11月

1,793

18.0%

284

2,109

2021年2月

2,147

18.3%

307

2,333

2021年5月

2,072

18.1%

312

2,213

2021年8月

2,090

18.4%

312

2,236

2021年11月

2,135

17.9%

309

2,306

2022年2月

2,581

17.9%

333

2,585

2022年5月

2,818

17.7%

348

2,702

2022年8月

2,835

17.5%

357

2,650

 

 

(注) 11.四半期流通総額は、「note」における四半期毎の流通総額を記載しております。

12.テイクレートは、流通総額に占めるプラットフォーム利用料+事務手数料(ともに税込)の割合を四半期で平均したものです。

13.月間購読者数は、各四半期間中にnote上で課金を実施した一月当たりの平均アカウント数(非ログイン購入のゲストユーザーを含む)です。

 

 

2 「note pro事業」

「note pro」は、「note」の基盤を活用しつつ、企業がオリジナルな自社サイトとして情報を発信できる機能を拡充したメディアSaaS(注14)です。「note pro」の利用企業は、「note」のシンプルなUI(注15)を用いて、初期費用をかけることなく、最短即日でオウンドメディア(注16)やホームページの構築・運用ができるほか、「note」プラットフォームから読者を呼び込むことができるため、自社独自での集客活動をせずとも、効率的なマーケティング活動や集客を行うことが可能となります。また、カスタマーサクセスによるサポート、システムのUI/UXのアップデートも実施しており、決済・ダッシュボード(注17)・コンテンツ管理等の機能を標準機能として利用可能となります。そのため、「note pro」の利用企業は、企業やサービスの想いを届けることに集中することが可能となり、従前からのファンのみならず、将来的に企業のファンになってくれる可能性のある潜在顧客層など、幅広い読者とつながって関係性を深めていくことができると考えています。

 

「note pro」を活用した企業活動は「サブスクリプションメディア」、「ブランディング」、「HRマーケティング」、「販促/EC」、「ファンコミュニティ作り」など多様に拡大しており、読者との双方向コミュニケーションを通じて、エンゲージメントの向上に利用されております。

2019年3月にリリースした後、2022年8月末時点で有料契約数は564社となり、大手企業から出版社、ベンチャー企業など様々な企業にご利用いただいています。

 

(注) 14.メディアSaaSとは、メディア Software as a Serviceの略称であり、企業が自社で所有・運用するメディアを構築するためのソフトウエアを、ネットワーク経由でお客様に提供するサービスのことを指しております。

15.UIとは、User Interfaceの略称であり、情報の表示様式等のコンピュータとそのユーザーとの接点を指しております。

16.企業が自社で保有・運営するWebサイトや自社ブログのことを指しております。

17.Webサイトへの訪問者数やコメント数などの情報をひとまとめにして表示するツールのことを指しております。

 

「note pro」で利用できる主な機能は以下のとおりです。

 


 

「note pro」の特徴は、独自ドメインを持つ独立したWebサイトとしての機能性を持つことと、「note」を基盤とする集客力を持つことであり、これらの特徴から、「note pro」はWebサイトとSNSの特徴を併せ持つサービスとなっています。そのため、企業は「note pro」の利用により、ユーザーとのつながりづくりからインターネット上におけるビジネス活動まで一貫して行うことが可能となり、企業の情報発信をDX(デジタルトランスフォーメーション)するサービスとなっています。

 


 

それぞれの特徴の詳細は以下のとおりです。

① Webサイトとしての機能性

一般的なWebサイト構築では、ゼロベースで開発を行う必要があり、集客・SEO対策などの運用面やセキュリティ対策等のメンテナンスも必要となるため、手間・コスト・時間がかかりますが、「note pro」はカスタマイズにより簡単に開発できるうえ、システムやUI/UXが常時最新にアップデートされるほか、決済・ダッシュボード機能・コンテンツ管理等のビジネス機能も備えています。情報発信だけでなく、ビジネス活動も行うことができるWebサイトとなっています。

 

② 「note」を基盤とする集客力

「note pro」は、「note」から独立したWebサイトでありながら、「note」のプラットフォームとつながっているため、「note」のユーザーに対して直接情報を届けることができる集客力を持っています。「note pro」のコンテンツは「note」のレコメンド機能により最適な「note」ユーザーに届けられ、アカウントのフォローやコメント等の機能により「note」ユーザーと直接つながることができます。さまざまな企業がSNSマーケティング等の場面で利用しており、「note」のメディアプラットフォームとしての競争優位性の高さが、「note pro」のメディアSaaSとしての競争優位性を高めています。

 

料金体系については、月額50,000円のサブスクリプションモデルとなっており、利用企業の有料契約数に応じた月額利用料金を主な収益源としております。この他、オプション機能の契約によって追加で発生する月額のオプション利用料金(外部サービスへの記事配信対応や、詳細な分析が可能なGoogleアナリティクスの利用設定等)も、「note pro」の収益源となっております。

 

なお、「note pro」における各指標の推移は以下のとおりです。

2019年3月にリリースした後、大手企業から出版社、ベンチャー企業など様々な企業にご利用いただいています。企業からの月額料金とオプション利用料が収益源となる「note pro」は、ARRをSaaSとしてのKPIとして特に重視しています。

年月

有料契約数

(注)18

ARR(千円)

(注)19

レベニュー

チャーンレート

(注)20

2019年5月

16

8,128

0.0%

2019年8月

40

24,153

7.0%

2019年11月

60

37,737

2.4%

2020年2月

88

54,761

2.6%

2020年5月

147

91,947

△0.1%

2020年8月

214

131,570

2.2%

2020年11月

270

166,500

2.2%

2021年2月

305

187,180

2.6%

2021年5月

354

203,010

2.8%

2021年8月

376

228,630

0.7%

2021年11月

426

259,510

1.6%

2022年2月

452

274,600

2.4%

2022年5月

532

304,990

2.0%

2022年8月

564

340,240

0.4%

 

 

(注) 18.有料契約数は、「note pro」の利用契約を締結している企業アカウント数です。

19.ARRとは、Annual Recurring Revenueの略語で年間計上収益です。各四半期末月のMRRを12倍して算出しています。なお、MRRとはMonthly Recurring Revenueの略語で月次経常収益です。MRRには、note proの基本料金に加え、一部オプション料金も含んでおります。

20.レベニューチャーンレートとは、顧客に対する収益をベースに計算した解約率です。収益ベースで計算しているため、解約が生じた月でもキャンペーン料金の適用期間終了やオプション追加等により継続顧客からの収益が増加した場合には、レベニューチャーンレートがマイナスとなることがあります。

 

<事業系統図(「note」及び「note pro」)>

 

3 「法人向けサービス事業」

① コンテスト

クリエイターの創作意欲を喚起するために、「note」上で定期的に企業協賛型のコンテストを開催しております。コンテストとは、企業とコラボしてテーマを決め、テーマに沿ったコンテンツをクリエイターから募集し、その後審査員により審査を行い、優れたコンテンツを表彰するものです。クリエイターは受賞特典として賞金・賞品や受賞作品のメディア掲載などがあるほか、活動の幅を広げるきっかけにもなっています。企業側としては、自社の取り組み等の発信に繋げることができます。

当社は、企業から依頼を受け、コンテストを企画・開催し、その対価として協賛金により収益を得ております。なお、協賛企業の意向を踏まえたオリジナルテーマを設定でき、著名クリエイターによる参考作品の提供や、協賛企業・参考作品クリエイター・当社等による審査会の実施をメニューに含むスタンダードプラン、さらに関連イベントも合わせて実施するスタンダード+イベントプランのほか、当社が用意したお題の中から募集したいテーマを協賛企業に選択していただき、作品募集後の審査を協賛企業により実施いただくライトプランのラインナップがあります。

 

② イベント運営

「note place」におけるイベント運営を行っております。当社が運営する「note place」において、当社主催イベントや当社とクリエイターの共催イベントを実施しているほか、クリエイター主催のイベント、オンラインイベントのスタジオ及び発表会等のためのレンタルスペースとして活用しています。

当社は、イベントスペースの提供における利用料により収益を得ております。

 

 

<事業系統図(「コンテスト」)>

 

<事業系統図(「イベント運営」)>

 

4 「その他事業」

その他の事業として、「note」コンテンツの外部配信等副次利用による収入を計上しております。

 

 

なお、当社の売上高に占める1~4の各事業の内訳は下図のとおりとなっています。また、ストック売上高比率(注21)は40%前後の推移となっています。

 


 

(注) 21.ストック売上高比率は、noteの月額課金形態をとる定期購読マガジン・メンバーシップ(サークル)の事務手数料及びプラットフォーム利用料、noteプレミアム、note pro、その他に含まれるcakes等の売上の合計を「ストック売上高」としたときの、全体売上に占める比率のこと。

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

 

2022年10月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

179

(36)

35.4

2.2

6,787

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、メディアプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

4.従業員数が最近1年間において、33名増加しております。これは、主に成長拡大に向けた先行投資として、プロダクト機能開発の加速化等を目的とした人員増強に伴う採用によるものです。

 

(2) 労働組合の状況

当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。