第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第3期

第4期

第5期

第6期

第7期

決算年月

2017年10月

2018年10月

2019年10月

2020年10月

2021年10月

売上高

(千円)

12,005

50,583

133,853

262,362

442,880

経常損失(△)

(千円)

32,851

100,786

120,743

194,752

181,357

当期純損失(△)

(千円)

33,016

101,256

129,128

195,529

184,914

持分法を適用した場合の

投資利益

(千円)

資本金

(千円)

24,580

77,580

188,460

364,067

10,000

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

普通株式

 

500

500

500,000

500,000

500,000

A種優先株式

 

89

89

89,000

89,000

89,000

B種優先株式

 

125

125,000

125,000

125,000

C種優先株式

 

220,000

270,000

270,000

D種優先株式

 

118,431

118,431

純資産額

(千円)

6,729

11,473

104,277

261,007

76,065

総資産額

(千円)

17,909

81,321

272,507

434,117

346,715

1株当たり純資産額

(円)

55,059.59

187,235.46

281.39

138.59

194.50

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

58,436.56

150,454.71

155.85

63.40

55.91

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

37.6

14.1

38.2

59.8

21.6

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(千円)

224,576

158,701

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(千円)

2,624

23,222

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(千円)

350,411

71,488

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

324,079

213,644

従業員数

(人)

4

12

19

41

52

(外、平均臨時雇用者数)

(-)

(6)

(5)

(6)

(3)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益は、関連会社が存在しないため記載しておりません。

4.第7期において、無償減資を行っております。

5.当社は、2019年3月27日付で株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っております。第5期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。また、当社は、2022年7月30日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

6.2022年7月21日付で、A種優先株主、B種優先株主、C種優先株主、D種優先株主、E種優先株主及びF種優先株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、全ての優先株式を自己株式として取得し、当該優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式、E種優先株式及びF種優先株式について、2022年7月21日開催の取締役会決議により、2022年7月21日付で会社法第178条に基づきすべて消却しております。なお、2022年7月29日開催の臨時株主総会において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。

7.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

8.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため期中平均株価が把握できませんので、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

9.自己資本利益率については、第3期から第7期は当期純損失が計上されているため記載しておりません。

10.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

11.第3期、第4期及び第5期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

12.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

13.前事業年度(第6期)及び当事業年度(第7期)の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC京都監査法人により監査を受けております。なお、第3期、第4期及び第5期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づいて算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

14.当社は、2019年3月27日付で株式1株につき1,000株の割合で株式分割を行っております。また、2022年7月30日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第3期、第4期及び第5期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、PwC京都監査法人の監査を受けておりません。

回次

第3期

第4期

第5期

第6期

第7期

決算年月

2017年10月

2018年10月

2019年10月

2020年10月

2021年10月

1株当たり純資産額

(円)

△18.35

△62.41

△93.80

△138.59

△194.50

1株当たり当期純損失(△)

(円)

△19.48

△50.15

△51.95

△63.40

△55.91

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

年月

概要

2015年1月

東京都渋谷区に株式会社POPER設立

2015年12月

SaaS型教育事業者等専用コミュニケーション&業務管理プラットフォーム「Comiru」リリース

2017年2月

業容拡大のため、埼玉県さいたま市中央区に本社移転

2019年10月

業容拡大のため、東京都中央区に本社移転

2020年8月

教育事業者等に特化したオンライン授業・自宅学習支援サービス「ComiruAir」リリース

2020年12月

教育事業者等向け講師労務管理・講師コミュニケーションサービス「ComiruHR」リリース

2021年6月

大手教育事業者等向け基幹システム機能を提供する「ComiruPRO」をComiruの新プランとして

リリース

 

3【事業の内容】

(1)ミッション

当社は、「『教える』をなめらかに」をミッションに掲げ、学習塾を中心とする教育事業者等(注1)のバックオフィスのアナログ的な業務をデジタル化(DX)(注2)することで効率化を図り、講師等(注3)がより多くの生徒と向き合える「教える時間」を捻出できるよう、教育事業者等向けSaaS(注4)型業務管理プラットフォーム「Comiru」の開発・運用に注力しております。

当社は、「教える」という現象の本質は、講師等と生徒の関係性にあると考えています。講師等と生徒の関係性は相互に尊重し合い、相互にオープンで、相互に影響し合うものだと当社は感じていますが、この関係性の構築には講師等の気持ちと時間に余裕が必要です。しかし、今の講師等は授業時間以外の事務作業に追われており、気持ちと時間に余裕がないため、この関係性を構築することが非常に難しくなりました。当社は、そのような講師等が「Comiru」を活用することにより、バックオフィス業務の作業時間を減らし、多くの生徒の成長や学習効果の向上に良い影響を与えられる環境を実現してまいります。

なお、当社の事業は、教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略をしております。

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(2)サービス概要

当社は、学習塾を中心とする教育事業者等のバックオフィス業務の生産性向上に寄与するSaaSサービスを開発・提供してまいりました。

具体的には、2015年12月に教育事業者等のバックオフィス業務の効率化及び保護者とのコミュニケーションを強化するSaaS型業務管理プラットフォーム「Comiru」をリリースしました。その後、「Comiru」と連動する形で、リモート教育をより効果的に実現しやすいオンライン授業・自宅学習支援サービス「ComiruAir」を2020年8月に、講師等の労務管理・コミュニケーションサービス「ComiruHR」を2020年12月にリリースし、サービスの拡充に努めてまいりました。

各サービスの収益モデルは以下のとおりです。

サービス名

プラン名

初期費用

(教室単価)

月額費用①

(ID単価)

月額費用②

(基本料金※)

追加料金

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30,000円

300円/生徒

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応相談

500円/生徒

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30,000円

3,000円~

(3,000分)

500円

(500分)

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300円/講師

※1分数カウントは参加生徒と講師全ての利用時間の合算となります(例:60分の授業に講師1人、生徒3人参加の場合は240分利用)。

「Comiru」サービスの収益モデルは、教育事業者等がサービス導入時の初期費用、及びその後利用生徒ID数×ID単価に応じた月額費用によって構成されております。

① Saas型業務管理プラットフォーム「Comiru」

バックオフィス業務の効率化及び保護者とのコミュニケーション強化のために、教育事業者等に活用して頂くSaaS型サービスです。教育事業者等における利用生徒のID数に応じて利用料を頂戴しております。

教育事業者等は、以下の機能を活用することにより、バックオフィス業務に費やした作業時間や関連コストの削減が期待できます。また、各種経営数値を迅速に集計することができるようになり、早期の意思決定ができるようになります。

さらに、教育事業者等は、「Comiru」を通じて保護者向けには生徒の教育事業者等での勉強の様子や進捗、今後の学習計画、及び教育事業者等からのお知らせ等を従来の手紙配布よりもタイムリーに配信することが可能となり、保護者満足度の向上に繋がることが期待できます。

本書提出日現在において、「Comiru」は、教育事業者等の事業規模、利用されたい機能に応じて、「Comiru FREE」、「Comiru BASIC」及び「Comiru PRO」の3プランを提供しております。「Comiru FREE」に関しては、デジタルツールを初めて導入する教育事業者等向けに提供する無料のサービスであり、Web申込み(エントリーフォーム)の作成、見込み顧客管理、口コミ収集&掲載などの生徒集客機能にフォーカスしたサービスです。「Comiru PRO」に関しては、大手教育事業者等向けに基幹システムの機能を提供するサービスであり、一般的に在籍生徒・契約情報・問い合わせ数、請求情報、退塾数、弟妹通学率など、多岐に渡るデータを各教室で保有・管理していましたが、全データを1つのサービスで包括的に本部が一元管理することで、各教室のデータをリアルタイムで集計することが可能となりました。その結果、教室間での数値比較を通じて、状況の芳しくない教室のフォローが可能となります。

これらにより、導入教育事業者等における業務時間の短縮と運営コストの低減、経営の意思決定の迅速化、及び保護者とのコミュニケーション強化による満足度の向上を実現することが可能となります。

●コミュニケーション機能:

専用アプリ&LINE連携

専用アプリやLINEとの連携で教育事業者等からの連絡・共有事項を保護者のスマホに直接伝達

指導報告書・お知らせ

テンプレートを使うことで、品質を落とすことなく手書きよりも早く簡単に指導報告書やお知らせを作成することができるほか、保護者の既読や未読等の閲覧状況も確認可能

入退室管理

教育事業者等による機器購入費やカード発行費は不要、生徒の入室・退室の情報を自動的に記録し、保護者と共有

面談予約記録・管理

入会時の面談や講習会前の面談など、保護者・生徒と実施した面談内容を記録・管理

●業務改善機能:

請求書

教育事業者等から保護者に送付する毎月の請求書を自動で作成。入金状況の確認や未入金の再依頼も対応可能

口座振替

保護者が授業料等の支払いをインターネット経由で口座引落しに設定した場合、教育事業者等から決済銀行への支払手数料を1件68円(注5)と安価な金額で提供。教育事業者等と保護者の双方にとって面倒な書類の手続きも不要で、オンラインで完結

成績管理

生徒ごとのテストの結果をデータ管理。保護者にテスト結果のデータを報告することも可能。保護者による生徒の学校成績等の直接入力も可能であり、面倒な学校のテスト結果等の回収作業も容易

カード決済

クレジットカード決済にかかる決済代行業者等への支払手数料を最低1.7%(注6)で提供。これにより、教育事業者等が決済代行業者等と個別契約を締結する場合よりも安価な手数料水準でクレジットカード決済を導入可能。また、教育事業者等は請求書機能との連動で簡単に請求・管理することが可能

座席管理

授業のコマ管理をサポート。季節講習も座席自動配当でより教育事業者等の業務負担を軽減

分析

保護者のお知らせや指導報告書の閲覧情報、生徒の遅刻・欠席、学習進捗及び宿題の提出状況等の利用状況を詳細にデータ化。教育事業者等へのアラート機能の設定により、退会傾向のある生徒を早期に発見し、ケアすることが可能

学習進捗管理

各学習計画・科目、教材ごとの学習時間やその進捗を管理し、学習計画に関して講師と保護者・生徒のコメントのやり取りが可能。

●生徒集客管理機能:

見込み顧客管理

見込み顧客情報のデータベース化やステータス及びアクション管理が可能

口コミ収集&掲載

入会の決め手となる口コミを従来の手書きの口コミや講師の聞き込みによる方法よりも効率的・効果的に収集及び掲載することが可能

Web申込み

ホームページに申込フォームを設置することで電話のやり取りを介さず、見込み顧客への対応が可能

② オンライン授業・自宅学習支援サービス「ComiruAir」

オンライン授業及び生徒の自宅学習をサポートするSaaS型サービスです。教育事業者等における利用教室数及び利用時間に応じて教育事業者等から利用料を頂戴しております。

通常のWeb会議ツールの場合、個別生徒に合わせた画面共有やコミュニケーションが難しく、授業前後の連絡や報告も別システムを利用する必要があります。この課題に対し、教育事業者等は「ComiruAir」の以下の機能の利用及び「Comiru」との機能連携により、オンライン授業の利用だけではなく、授業の前後の業務をオンライン化することができ、より効率的なオンライン学習運営を実施することが可能となります。授業自体も生徒それぞれに合わせた画面共有やコミュニケーションが可能となり、講師等と生徒が1対1の個別指導に近い環境を実現することができます。また、生徒の自宅学習のサポートとして、動画コンテンツの視聴履歴の記録や理解度テスト、問題集の質疑応答も「ComiruAir」を通じて応対することが可能となります。

●オンライン授業機能:

個別対応

特定の生徒を指定して、その生徒のみと会話や画面共有、講師側からの音声切替等を行うことが可能

レッスン通知

教育事業者等でレッスン作成時に、生徒個別に授業のURLを送る必要なく、自動で生徒へ通知

オンライン面談

保護者面談の予約と実施及び記録は、全てオンライン上で実施

●自宅学習支援機能:

学習支援ルーム

生徒自宅学習時の質疑応答もオンラインで対応可能。また、対応履歴は保護者にも通知

動画レッスン

動画コンテンツを指定した生徒のみに視聴させ、視聴履歴の記録や理解度テストも実施可能

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③ 講師等の労務管理・コミュニケーションサービス「ComiruHR」

講師等のシフト調整、給与労務の集計、及びこれらに関連するコミュニケーションを効率的に行うSaaS型サービスです。教育事業者等における利用講師等ID数に応じて利用料を頂戴しております。

教育業界の勤務形態に最適化されていない一般的な勤怠管理ツールの場合、教育事業者等に特有の授業種類別、作業種類別の賃金体系や授業時間と連動したシフト調整が難しく、アナログな集計・調整作業が必要となります。「ComiruHR」の以下の機能を利用することにより、他社の勤怠管理ツールではフォローしきれない講師等の勤怠管理や給与管理への「ComiruHR」による一元管理が可能となります。

●労務管理機能:

シフト管理&教室入退室管理

講師等のシフト集計から、授業単位での出勤記録、一日複数回の出退勤、事務作業時間記録などの教育事業者等特有の勤務体系に対応

講師等の給与計算のアシスト

コマ給、時間給等の学習塾特有の給与形態に合わせて給与計算の基礎となるに支給額を自動で算出し、社会保険料や各種税金などの控除額を別途算出していただくことで、給与明細への反映や電子で送付可能

講師等連絡

講師等への連絡もスマートフォンから簡単送信。既読/未読が確認可能

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<事業系統図>

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(3)「Comiru」サービスの特徴

① 教育業界に特化したサービスのUI/UX(注7)

教育業界の業務管理の特性、あるいは煩雑さから業界横断型のSaaS型サービスでは、最適な管理が難しく、UI/UX面において、改善の余地が残っている状況です。

当社は、教育業界に特化したサービスであり、取り分け教育業界の中でもバックオフィス等の業務が煩雑である学習塾業界にフォーカスして、サービスのUI/UXを進化し続けてまいりました。

具体的には、当社代表取締役の栗原慎吾をはじめとする社内の学習塾経営経験者の知見に基づき、教育事業者の運営に最適な業務プロセスと各種機能や帳票のフォーマットを洗い出し、サービス化してまいりました。また、サービスローンチ後も、開発部門やカスタマーサクセス部門等を中心に、教育事業者等からの要望や改善要請を常にヒアリングし、絶えずアップデートし続けてきました。その結果、サービスローンチ当初は指導報告書の1機能のみの提供から、2021年10月末現在で教育事業者等の運営に必要な15機能まで拡大し、当社サービスの月間解約率は0.6%以下(2021年10月末現在)に留めることができました。

② 教育事業者等の要望等に合わせたスピーディ且つ安定的な開発の実現

今日のデジタル経済の急速な発展により、様々な業界において、これまで作業効率化の手段であった情報システムが、重要な経営戦略の実現手段の一つとなりつつあります。これによりシステム開発は、コストパフォーマンスだけでなくタイムパフォーマンスも重要視されるようになり、当社では、少人数かつ短期間で情報システムを開発できるアジャイル手法(注8)を採用しております。

一般的にアジャイル手法は、ウォーターフォール型(注9)と呼ばれる従来型の手法と比較して、業務分析や要件定義等の上流工程に関する手法が定義されていません。このため、ウォーターフォール型と比較して、プロジェクトの管理が困難であることから、国内企業においては広く活用されていないのが現状です。

国内のシステムインテグレーター(注10)が提供する受託開発サービスの多くは、ウォーターフォール型のスクラッチ開発(注11)で実施されることが多く、アジャイル手法を活用する場合でもスクラッチ開発が採用されています。これは国内のシステムインテグレーターのほとんどが、これまでの豊富なシステム開発経験をもとに、ゼロから情報システムを作り上げるスクラッチ開発の膨大なノウハウを蓄積し、それらを活用したシステム開発を実施していることが要因であると考えられます。

当社では、教育事業者等からの要望や改善要請のヒアリングを常に行い、当社サービスに欲しい機能や足りない機能などの情報収集を欠かさず、その要望等をスピードとテストを重視したアジャイル手法による開発で、且つアジャイル手法に不足している上流工程とテスト工程の作業を標準化した安定的なアジャイル手法によるシステム開発を実現しています。

③ 教育業界における業務効率化・コスト削減及び売上向上への貢献

教育事業者等が「Comiru」を導入することにより、保護者への連絡や請求、授業編成等のバックオフィス業務にかかる作業時間を削減することができ、請求書の送付、口座振替及びクレジットカード決済費用等の支出の削減も期待できます。

また、教育事業者等の講師等は、上記業務効率化により捻出された時間を生徒への授業や、保護者とのコミュニケーションの活性化等の時間に充当することが可能となり、その取り組みにより、生徒及び保護者が教育事業者等に対して満足度の向上や信頼関係が構築され、生徒の継続学習期間の延伸、退塾率の低減が期待できます。

④ 教育事業者等に寄り添った価格設定とAPI化(注12)によるシステムの拡張性

従来の教育事業者等においては、個社ごとに独自のシステムを開発するしかありませんでした。しかし、独自のシステム開発は多額な開発コストとメンテナンスコストがかかり、IT投資の体力が限られる教育事業者等にとって、大きな負担となっていました。また、独自のシステム開発自体が難しい規模の企業においては、市販のソフトウェアにアナログのプロセスを加えて補う運用がなされてきました。こうした市販のソフトウェアは、価格的に安いものではなく予算の限られる学習塾には広く普及していなかったのが実情です。

当社は、「Comiru」サービスを幅広い教育事業者等に利用して頂き、業務効率化を図って頂くために、生徒1名につき1IDを付与し、月額300円/ID(「Comiru BASIC」プラン利用時)とし、小規模の教育事業者等でも利用しやすい価格設定となっております。

また、教育事業者等の社内業務のための独自のシステムやソフトウェア開発にかかる負担軽減及び当社サービスの導入ハードルの抑制のために、「Comiru」サービスの各機能をオープンAPI化しております。これにより、教育事業者等が自社の業務プロセスに合わせて、必要な部分のみ当社サービスを取り入れることができ、カスタマイズ開発を従来よりも簡単に行うことができます。

以上の特徴を背景に、当社の有料契約の企業数、利用生徒のID数、及びARPU共に伸長した結果、当社のARRは堅調に成長し、事業は順調に拡大しております。

項目

2019年10月期

2020年10月期

2021年10月期

2022年10月期

第3四半期

有料契約企業数(社)

506

711

944

1,109

利用生徒ID数(千ID)

87

147

219

310

ARPU(円)(注13)

23,498

32,136

40,638

49,752

ARR(千円)(注14)

108,632

235,794

410,532

662,103

(注)1.「教育事業者等」とは、学習塾や予備校といった学習支援機関や教育機関の他、教育に携わる主体全般を指します。

2.「DX」とは、「Digital Transformation」の略称で、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」(「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」経済産業省、2018年12月)を指します。

3.「講師等」とは、学習塾や予備校の教員や教育機関の講師の他、講義を行う主体全般を指します。

4.「SaaS」とは、「Software as a Service」の略称で、IDを発行されたユーザー側のコンピュータにソフトウエアをインストールするのではなく、ネットワーク経由でソフトウエアを閲覧する形態のサービスです。

5.支払手数料の68円は決済銀行に教育事業者等から直接支払いを行うため、当社の収益への計上はされておりません。

6.クレジットカード支払手数料に関しては、クレジットカード決済機能を利用する教育事業者等から決済代行業者等に支払われる手数料であり、当社の収益への計上はされておりません。

7.「UI/UX」とは、UIは「User Interface」の略称で、デザインやフォント、コンピュータシステムあるいはコンピュータプログラムと人間(ユーザー)との間で情報をやり取りするための方法、操作、表示といった仕組みの総称です。UXは「User Experience」の略称で、製品やサービスの利用を通じて得られる体験の総称です。

8.「アジャイル手法」とは、現在主流になっているシステムやソフトウェアの開発の手法のひとつであり、要件定義、設計、開発、テストといった開発工程を機能単位の小さなサイクルで繰り返す手法のことです。

9.「ウォーターフォール型」とは、1970年代に提唱された、大規模なシステム受託開発を行う場合の作業の流れのことであり、日本のシステム受託開発において主流となっている手法です。具体的には、まず作りたいソフトウェアの要求を全て定義して合意し、それを基に設計を全て行い、それに基づくプログラムを全て製造し、最後にそれらが正しく動作するかを検証する手法です。この手法は、作りたいソフトウェアの要求を最初に全て決定する必要があるため、要件定義後に発生する要求の変更に対応することができません。このためこの手法では、昨今の急速な社会環境の変化や技術の進化による要件の変化や新規追加に対応することが難しくなっています。

10.「システムインテグレーター」とは、主として情報システムの開発、運用などの業務をシステムのオーナーとなる顧客から一括して請け負う企業のことです。

11.「スクラッチ開発」とは、一般的に製品を開発する際に、すでに存在する何かを土台とせずにゼロから新たに作り上げることを指します。情報システム開発においては、システム全体をゼロから手作業でプログラミングを行うことで、新規に作成する、あるいは作り直すことを指します。

12.「API」とは、「Application Programming Interface」の略称で、ソフトウェアの機能を共有する仕組みであり、異なるサービスをAPIで連携することで、ユーザーの承諾のもとサービス間でのユーザーデータの共有等が可能となります。

13.「ARPU」とは、「Average Revenue Per User」の略称で、有料契約企業1社あたりの「Comiru」の基本利用料(月額課金)の平均値を示しております。

14.「ARR」とは、「Annual Recurring Revenue」の略称で、基本利用料(月額課金)の1年間の積み上がり状況を示しております。なお、2022年10月第3四半期の表中の「ARR」は2022年7月単月の基本利用料(月額課金)を12ヶ月分に換算しています。

4【関係会社の状況】

該当事項はありません。
 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2022年9月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

53

3

33.0

2.3

5,184

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業セグメントは、教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(2)労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。