第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2017年7月

2018年7月

2019年7月

2020年7月

2021年7月

売上高

(千円)

316,191

674,475

589,082

1,152,862

1,419,136

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

149,833

140,272

274,386

234,515

252,503

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

150,932

160,102

281,271

292,021

183,305

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

376,917

196,000

196,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

普通株式

6,000

7,065

7,065

7,065

7,065

A種優先株式

2,222

2,222

2,222

2,222

2,222

B種優先株式

813

813

813

813

813

C種優先株式

900

900

900

900

900

D種優先株式

1,270

1,270

純資産額

(千円)

274,729

523,376

242,105

1,233,896

1,417,202

総資産額

(千円)

437,649

683,144

483,501

1,641,873

1,793,452

1株当たり純資産額

(円)

31,515.41

5,859.84

31,429.96

4.38

10.56

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

17,026.41

15,730.21

25,570.12

25.58

14.94

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

62.77

76.61

50.07

75.15

79.02

自己資本利益率

(%)

39.57

13.83

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

29,158

631,046

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

99,644

86,806

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

716,680

59,511

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

924,010

1,408,738

従業員数

(人)

48

62

44

57

71

(外、平均臨時雇用者数)

(7)

(13)

(12)

(13)

(15)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため記載しておりません。

4.2022年6月13日開催の取締役会決議により、A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式のすべてにつき、定款で定める取得条項に基づき取得することを決議し、2022年6月30日付で自己株式として取得し、対価としてA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式及びD種優先株式は、2022年6月30日付で会社法第178条に基づきすべて消却しております。

5.1株当たり純資産額については、優先株式の払込金額を控除して算定しております。

6.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

7.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第9期及び第10期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、記載しておりません。また、第6期、第7期及び第8期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できず、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

8.自己資本利益率については、第6期、第7期及び第8期は当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

9.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

10.第6期、第7期及び第8期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに係る各項目については、記載しておりません。

11.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時雇用者数(アルバイト(1日8時間換算)及び人材会社からの派遣社員を含む)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

12.第9期及び第10期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人による監査を受けておりますが、第6期、第7期及び第8期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく太陽有限責任監査法人による監査を受けておりません。

13.当社は、2021年11月12日付で株式1株につき100株の割合で株式分割を行っており、また、2022年7月2日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っております。そのため、第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算出しております。

14.当社は、2021年11月12日で株式1株につき100株の割合で株式分割を行っており、また、2022年7月2日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第6期、第7期及び第8期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2017年7月

2018年7月

2019年7月

2020年7月

2021年7月

1株当たり純資産額

(円)

△31.52

△5.86

△31.43

△4.38

10.56

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△17.03

△15.73

△25.57

25.58

14.94

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

年月

沿革

2011年9月

各産業で働く人を対象にしたSNSサイトの運営を目的として、東京都世田谷区にDisty株式会社を資本金4,000千円で設立(2012年7月にビジネスSNS「Distty」の提供を終了)

2012年4月

本店を東京都渋谷区に移転

2012年4月

社名をDistty株式会社に変更

2012年6月

一般社団法人東北経済連合会(東経連ビジネスセンター)と業務提携

2013年4月

本店を宮城県仙台市青葉区に移転し、本社オフィスを東京都千代田区霞が関に開設

2013年10月

技術探索サービス「eEXPOソーシング(イーエキスポソーシング)(現「Linkers Sourcing」(リンカーズソーシング))」の提供を開始

2014年1月

本社オフィスを東京都千代田区永田町に移転

2015年4月

社名をリンカーズ株式会社に変更

2015年4月

本社オフィスを東京都千代田区霞が関に移転

2017年2月

本社オフィスを東京都中央区日本橋本町に移転

2017年6月

グローバル技術リサーチサービス「Linkers Research(リンカーズリサーチ)」の提供を開始

2018年1月

金融機関向けマッチングシステム「Linkers for BANK(リンカーズフォーバンク)」の提供を開始

2018年3月

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)」を取得

2018年12月

個人情報保護マネジメントシステム(プライバシーマーク)の日本産業規格である「JIS Q 15001:2006」を取得

2019年6月

用途開拓サービス「Linkers Marketing(リンカーズマーケティング)」の提供を開始

2020年6月

調達支援サービス「Linkers Trading(リンカーズトレーディング)」の提供を開始

2020年7月

サービスプロモーション支援サービス「TechMesse Academy(テックメッセアカデミー)」の提供を開始

2020年11月

本社オフィスを東京都文京区後楽に移転

2020年12月

大学発シーズベンチャー企業への投資及びインキュベーションを目的として、東京都港区にSBI Translational Support株式会社を、SBIホールディングス株式会社及びアスタミューゼ株式会社との合弁により設立(出資比率14.0%)

2021年2月

本店を東京都文京区に移転

2021年2月

事業会社向けマッチングシステム「Linkers for Business(リンカーズフォービジネス)」の提供を開始

2021年10月

「Linkers Research」用アプリ「Linkers Research Clip(リンカーズリサーチクリップ)」の提供を開始

 

3【事業の内容】

 当社は、「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、企業と企業の出会いのあり方を見直し、従来の産業構造では成し得なかった最適な出会いを提供することで、多くのイノベーションを生み出す産業のしくみを国内外に築き、産業全体の生産性を最大化するための連携のハブとなる企業を目指すために、ものづくり企業のあらゆる探索等の課題に対して、マッチングプラットフォームの運営を中心に課題解決のサービスを提供しております。

 「Linkers Research」は、研究段階における技術ニーズ・シーズの調査を手掛け、その企業が取り組むべき技術テーマや技術課題の顕在化を行います。また、「Linkers Sourcing」にて開発段階におけるニーズ起点のマッチングを手掛ける技術探索サービスを提供し、「Linkers Marketing」にてシーズ起点のマッチングを手掛ける用途開拓サービスを提供することで、多様なマッチング機会を創出いたします。

 「Linkers Trading」は、量産段階におけるサプライヤー探索等の調達支援を通じて、発注企業及び受注企業の新たな商流構築を行っております。

 これら一連のサービス提供を通じて、ものづくり企業の研究から開発、そして量産に至るまでの各プロセスにおける課題解決をワンストップで支援することで、ものづくり企業のイノベーションを促進する価値創出を行っております。

 なお、当社はビジネスマッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませんが、当社の提供するサービスの内容と特徴により、「探索・マッチングサービス」、「リサーチサービス」、「その他サービス」に分類し、サービス種別で事業の内容を記載しております。

(1)探索・マッチングサービス

① 「Linkers Sourcing」

イ.サービスの内容

 「Linkers Sourcing」は、大手企業を中心とした技術課題を抱えた発注企業と、ものづくりに特化した全国の中堅・中小企業等を引き合わせる技術探索サービス(注1)であります。新たなイノベーションや技術を産み出すことで他産業へも波及効果を持つ、日本のGDPの2割前後を占める製造業(注2)を中心としたものづくり企業の活性化を目的としております。

 当社が提供するマッチングプラットフォームは、当社が蓄積してきたビジネスマッチングデータを活用したAI(注3)マッチング、受注候補企業の自薦、及び地元企業に密着・支援している産業コーディネーター(注4)からの推薦による、現場の暗黙知情報(注5)を含めた網羅的な受注候補企業の抽出と選定を実現し、ニッチな案件も含めてマッチングを可能(成約率約47.7%(注6) 2021年2月~2022年1月までの平均値)とした、ものづくり系マッチングサービスとなります。

 また、「Linkers Sourcing」は、サービスを利用する発注企業との間でのみ、案件探索時に①基本利用料が、面談ないしは成約に至った場合に②成果報酬(面談)、③成果報酬(成約)がそれぞれ収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Sourcing」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 各地域の企業や研究機関をよく知る産業コーディネーターの紹介による受注候補企業

全国の地方自治体、地域金融機関、中堅・中小企業支援機関、商工会議所、大学などに所属する産業コーディネーターが登録されております。これまでものづくりに知見を有する産業コーディネーターを介して、多数の有力な受注候補企業の獲得がなされており、受注候補企業が保有する独自技術やその特徴等を当社データベースとして活用することで、新商品、新規事業開発などにおける大手企業(発注企業)のニーズを満たすものづくりに特化した有力企業等(受注候補企業)を、網羅的に複数探索することが可能となります。

(b) 多様なマッチング手段の提供

当社のマッチングプラットフォームには、過去に手掛けた「Linkers Sourcing」の探索によりアカウント登録された受注候補企業の法人情報と、過去のマッチング情報がデータベース化されております。現在も当社が案件探索を行う都度、案件の受注候補となる企業を探し、登録を促すなどしてデータベースの拡充を図っております。

これにより、当社から配信する探索案件情報に対して、自らエントリーする自薦制度以外にも、当社がこれまでの探索プロセスにてネットワーク化したものづくりの企業を中心とした法人データベースを活用し、AIマッチングにより抽出した受注候補企業や、当社の事務局自らが探索した受注候補企業にエントリーを促すことが可能になります。

「Linkers Sourcing」の探索を通じて当社に蓄積された知見を掛け合わせることで、複数の探索プロセスを提供することが可能となり、更にはマッチング機会の最大化を図ることが期待できます。

 

なお、「Linkers Sourcing」における候補企業アカウント数の累計の推移は、以下のとおりであります。

(単位:社数)

 

区分

2020年7月期

2021年7月期

2022年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

候補企業

アカウント数(※1)

登録数

219

758

895

374

304

286

340

364

227

216

219

176

累計

14,772

15,530

16,425

16,799

17,103

17,389

17,729

18,093

18,320

18,536

18,755

18,931

※1 「Linkers Sourcing」でのマッチング候補先の企業数を指します。

 

また、登録数が2022年7月期にかけて漸減傾向にありますが、これは2021年8月より実装したAIマッチング等の活用により、従来よりも効率的な候補企業の抽出が可能になったことによるものであります。

今後の成約率等の維持向上及びクオリティコントロールにおいては、候補企業アカウント数の増加も欠かせないことから、引き続き、案件探索時に一定数の候補企業獲得の確保を行うなどしてデータベースの拡充を図ってまいります。

なお、上述のAIマッチング等が有効に機能するためには、候補企業アカウントの登録情報が常に最新の状態であることが重要となりますが、候補企業の中には登録後から情報のアップデートがない企業が一定数存在いたします。そのため、AIマッチングのレコメンド機能を通じて、「Linkers Sourcing」における進行中の案件概要を候補企業に配信することによる当社との接点頻度の増加、登録情報更新の促進等の取り組みを通じて、登録企業アカウントの情報アップデートを行ってまいります。

 

② 「Linkers Marketing」

イ.サービスの内容

 「Linkers Marketing」は、当社独自の企業ネットワークを活用して、当社が提供するマッチングプラットフォームにて、発注企業が保有する技術・製品を必要とする会社との面談機会創出の支援を行う技術・製品の用途開拓サービスとなります。

 また、「Linkers Marketing」は、サービスを利用する発注企業との間でのみ、案件探索時に①基本利用料が、面談に至った場合に②成果報酬(面談、最大6社分)がそれぞれ収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Marketing」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 技術課題を抱えた大手企業との商談機会の創出

「Linkers Marketing」は、「Linkers Sourcing」と同一のマッチングプラットフォームにて提供するサービスとなります。当社は、「Linkers Sourcing」を通じて、これまでに1,600案件超(2022年7月末日現在)の技術パートナー探索を手掛けていることから、「Linkers Sourcing」のマッチングプロセスを通じて培ってきた企業ネットワークは、大手企業から中堅中小企業まで幅広い接点を有しております。

特にものづくりに特化したサービスという背景もあり、当社の企業ネットワークは各社の技術部門と接点を有しております。そのため、「Linkers Sourcing」とは対照的に、「Linkers Marketing」を利用する発注企業は、ものづくり分野の大手・中堅企業の技術部門との面談に繋がることが多く、新技術のマーケティングを実現することが可能となります。

(b) 顧客との商談を創出

当社は、主に「Linkers Sourcing」のサービス利用があり、大手企業の新技術への関心が高い技術者に向けて、継続的に当社から技術シーズ情報配信の案内を行っております。これにより、情報配信先への登録を促してそのネットワーク化を図ってきており、これまでにその登録企業は400社以上(2022年7月末日現在)に及んでおります。

これらの登録企業に向けて技術シーズ情報を配信することで、受信した技術者を通じて大手企業内での技術情報の共有がなされるケースが多いことから、商談機会の創出が期待できます。

 

なお、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における探索案件の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

区分

2020年7月期

2021年7月期

2022年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

探索件数

(※1)

件数

51

73

69

41

41

60

62

38

55

83

56

40

年間合計

234

201

234

 

※1 「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」での案件探索の合計となります。

 

 また、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」における取引社数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:社数)

 

区分

2020年7月期

2021年7月期

2022年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

取引社数

(※1)

登録数

7

30

21

16

16

20

19

15

22

26

18

9

累計(※2)

385

415

436

452

468

488

507

522

544

570

588

597

 

※1 「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」での発注実績のある企業数を指します。

※2 取引社数の累計数は、「Linkers Marketing」のマッチング候補先としての規模感を表す参考値として記載しております。

 

③ 「LFB(Linkers for BANK/Linkers for Business)」

イ.サービスの内容

 「LFB」は、「Linkers Sourcing」のマッチングプラットフォームをベースに開発したSaaS型ビジネスマッチングシステム(注7)となります。地域金融機関、及び事業会社が取り扱うビジネスマッチングを一元管理することでビジネスマッチングの効率化を図るとともに、案件情報の全体での共有とマッチングのノウハウ等のナレッジ共有を実現することによるマッチングの成約率向上に特化したサービスであります。金融機関向けには「Linkers for BANK」を、事業会社向けには「Linkers for Business」を提供しております。

 また、「LFB」は、導入機関との間でシステムの導入時に①導入支援料が収益として発生するとともに、サービス利用開始から②月額利用料が契約期間に従って継続的に収益として発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「LFB」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 営業支援ツールとビジネスマッチング管理ツールの両面を併せ持つマッチングプラットフォーム

従来、地域金融機関等では行職員にて案件情報が属人的に管理されているなど、情報の非対称性が課題となっておりました。「LFB」を導入することで情報の一元管理が可能となり、より多くの行職員間での情報共有が適切になされます。

行職員間で過去のマッチング事例やノウハウが共有されることから、地域金融機関等の顧客が持つ売りたい(または買いたい)商材やサービスを、より多くマッチングする機会を創出することが期待できます。

また、「LFB」に実装している「ISM(注8)」を活用することで、より導入機関の行職員がマッチングプロセスに介在する機会が創出されされます。行職員が取引先の課題のヒアリングから具体的なソリューション提案を行い、案件の内容に適した探索や案件紹介等まで提供することが可能となることから、今まで顕在化が難しかった潜在的なマッチング案件を商談化することが可能となります。

また、導入機関においては、システム上で紹介理由や成約(又は失注)理由などの蓄積ができるとともに、全行職員の間で商談化したマッチング案件の提案状況や提案内容の可視化が可能となり、知見の共有によるマッチング案件の増加が期待できます。

 

「LFB」導入機関にて創出された商談数(※1)の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

 

2020年7月期

2021年7月期

2022年7月期

 

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

発生商談数

(※2)

1,398

2,638

2,512

3,474

5,622

5,906

7,915

11,319

9,201

12,343

11,209

14,764

※1 「Linkers for BANK」導入機関内で発生したビジネスマッチングの商談数であり、「Linkers for BANK」導入により創出されたマッチング案件の推移を示したものです。

※2 「Linkers for BANK」全導入機関の商談数

 

(b) 様々なマッチング手段を用いて多くの商談を創出

「LFB」は、「Linkers Sourcing」及び「Linkers Marketing」を提供している当社のマッチングプラットフォームとシステム連携することが可能であり、全国規模のデータベースを活用したマッチングの実現及び販路開拓案件への対応が可能となります。

併せて、「Linkers Sourcing」における発注案件を「LFB」に展開することで、「LFB」導入機関の取引先に対して大手企業からの受注機会を提供することが可能になります。これは、新たなマッチング事業立上げのきっかけになるとともに、「LFB」の導入機関が増加することで、「LFB」導入機関同士でマッチングを行う広域連携サービスを通じて、自機関を超えて商圏の異なる導入機関の取引先も対象としたビジネスマッチングを活性化させることが期待できます。

また、「Linkers for BANK」を導入している金融機関は、従来、財務データや担保・保証による定量評価での融資が中心でありましたが、本システム導入に伴いビジネスマッチングのノウハウを蓄積することで、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して行う融資、すなわち「事業性評価」を行うことが期待できます。

 

「LFB」の導入機関数累計の推移は、以下のとおりであります。

(単位:機関)

 

 

2020年7月期

2021年7月期

2022年7月期

 

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

導入数

(※1)

4

1

3

2

1

2

3

3

2

2

導入累計

(※1)

10

10

11

14

14

16

17

19

22

25

27

29

※1 「Linkers for BANK」及び「Linkers for Business」の導入数

 

④ 「Linkers Trading」

イ.サービスの内容

 「Linkers Trading」は、複数のサプライヤーを確保して調達リスクを回避したい、あるいは、安価なサプライヤーを探したいといった課題を持つ企業に向けて、当社が保有する独自のものづくりネットワークを活用した、最適な調達・購買先の探索並びに調達支援等を行うサービスとなります。

 大手企業を中心に、脱炭素などの社会的な要請の高まりや、紛争等の地政学的リスク増大に伴うサプライチェーン再構築などの大きなトレンド変化を背景に、新たな海外のサプライヤー等の探索といった海外ネットワーク構築にも取り組んでいることから、国内外を問わず当社ネットワークを活用した機動的な支援が可能となります。

 なお、「Linkers Trading」は、調達支援のサービス提供内容により契約形態が異なり、取引高に応じた手数料を計上する場合と、製品等の仕入・販売を計上する場合があり、それぞれ納品等の役務完了時に収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Trading」の具体的な特徴としては、以下の2つが挙げられます。

(a) 海外候補企業とのアクセス提供

発注企業の調達ニーズは、価格競争力や先端技術を有するサプライヤー確保の観点から、国内のサプライヤーのみならず海外候補企業も選択肢となりえます。そのため、当社は現地事情に精通した海外の協業パートナーと連携や協業を行うことで、ASEANを中心に東アジア、インドを含めて最適なサプライヤー探索を行うことが可能となっております。

「Linkers Trading」は、国内だけの探索に限定しないことで、企業の「複数のサプライヤーを確保して調達リスクを回避したい」、「安価なサプライヤーを探したい」、「新規生産拠点のサプライヤーを探したい」といったニーズに対応することが可能となります。

なお、国内製造業における海外からの製造部品等の調達は、サプライチェーンの中で存在感を発揮しており、発注企業の新たな調達先の開拓、複数の生産拠点の確保等の必要性は益々高まると想定しております。海外市場が持つ規模の大きさや、国内と比較した場合の経済成長率の高さなどからも海外企業を通じた調達支援機会が増加するものと考えております。

 

(b) 他サービスとのクロスセル

「Linkers Trading」の顧客層は、当社が提供する「Linkers Sourcing」の主要顧客である大手企業が想定されます。そのため、発注企業が抱える課題に対するソリューション提案のプロセスにおいて、技術課題探索のニーズに対しては「Linkers Sourcing」を、調達や量産課題のニーズに対しては「Linkers Trading」をそれぞれ提供することが可能となります。そのため、発注企業にとっても効率よく課題解決の手段を獲得することが可能となります。

 

(2)リサーチサービス

① 「Linkers Research」

イ.サービスの内容

 「Linkers Research」は、企業が新規事業やマーケティングを行うにあたって直面する研究パートナーや技術パートナーの探索、新規事業検討、R&D(注9)のテーマ検討のための技術ベンチマーク調査及び出資先や提携先検討のための有力企業発掘など、企業が抱える様々な課題、情報の取得困難性に対して、技術専門性のあるリサーチャーが調査結果をまとめたレポート等を提供するサービスとなります。

 また、「Linkers Research」は、成果物の検収時にそれぞれの契約額に基づき収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Research」は、企業の新規事業検討やR&Dのためのテーマ検討の技術ベンチマーク調査など、研究・技術パートナー探索に対するニーズやフォーカスに応じて、以下のようなサービスを提供しております。「Linkers Research」を通じて創出した新規事業のテーマに対して、「Linkers Sourcing」や「Linkers Marketing」を活用することで、更なる深耕が期待できます。

 また、「Linkers Research」においては、各専門分野に精通した200人超(2022年7月末日現在)のリサーチャーと契約を締結してネットワーク化することで、企業からの様々なテーマ設定に対して対応することが可能となっております。

 また、実際の調査受注時には、リサーチャーネットワークに属する外部のリサーチャーに、単品テーマやフォーカスを絞った企画等の情報収集を委託します。その成果物は、当社内のリサーチャーが専門家視点で重要な技術情報の目利きを行い、統一化された粒度で技術情報を整理する分業体制を構築することで、調査成果物の品質管理と納期等のプロジェクト管理の両立が可能となっております。

 

(a) 一般リサーチ

企業が関心のある技術領域に関して、それぞれの調査テーマ・フェーズに適合した情報ソース、調査範囲、対象及び調査項目等の要件を定義して、調査を行っております。

(b) マルチクライアントリサーチ

当社が独自の視点で選択した特定の時節テーマや先端技術等の調査テーマにおいて、複数の企業に参加を募り、その調査結果を参加企業に限定して提供しております。複数企業に参加いただくことで費用負担を軽減しつつ、多くの調査結果を得ることが可能となります。

(c) 定点観測リサーチ

企業がベンチマークとしたいテーマや注目したいトピックスを指定し、当社が四半期、年次といったスパンで定点観測した結果のレポートを作成しております。

 

「Linkers Research」における調査件数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

区分

2020年7月期

2021年7月期

2022年7月期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

調査件数

(※1)

件数

28

35

85

25

36

46

111

27

56

85

167

52

年間合計

173

220

360

※1 (a)一般リサーチ、(b)マルチクライアントリサーチ、及び(c)定点観測リサーチにおける受注件数の合計となります。

 

② 「Linkers Research Clip」

イ.サービスの内容

 「Linkers Research Clip」は、「Linkers Research」にて作成したレポート等を、簡単に社内共有できるサービスであり、調査横断のテキスト検索や、社内の技術情報への興味の可視化など、調査結果を活用することが可能なWebアプリとなります。

 また、「Linkers Research Clip」は、サービス利用開始から月額利用料が発生し、契約期間に従って継続的に収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Research Clip」は、これまでExcelやPDF等のファイルとして提供してきた「Linkers Research」のレポート等を閲覧するためのWebアプリであります。アプリ内のデータベースに蓄積した技術情報を、複数の条件やフィルタで検索した検索結果をカード形式で表示することで、効率的に各技術情報を把握することが期待でき、また、調査結果の共有を行うことで、調査結果の活用や可視化、調査結果に対する個々人の興味情報のトレンド分析が可能となります。

 

(3)その他サービス

① 「TechMesse Academy」

イ.サービスの内容

 先端技術の動向や、オープンイノベーション(注10)に関心がある聴講者に向けて、企業が手掛ける知識やノウハウなどを「伝える」「学ぶ」をコンセプトに、企業が保有する技術やサービス、自治体並びに外郭団体等が支援している企業が保有する技術やサービスのプロモーション活動等を支援する集客型のイベント運営サービスとなります。

 「TechMesse Academy」は、セミナー等のイベント支援の完了時に、イベント支援内容に応じて発注企業と契約締結した契約額に基づいて収益が発生いたします。

 

ロ.サービスの特徴

 「Linkers Sourcing」や「Linkers Marketing」の探索等でネットワーク化した、当社が保有するものづくりに知見や興味を有する技術者をデータベースとして活用し、技術やサービスに関するセミナー等のイベントの案内をすることで、広告出稿や展示会出展ではなかなかリーチできない企業のキーマンや、オープンイノベーション又は先端技術に関心のある技術者の集客が可能となります。

 

(注)1.発注企業の技術課題を解決できる技術を保有する企業を探索して、マッチングを行うサービスを指しております。

2.令和3年12月24日 内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部『2020年度(令和2年度)国民経済計算年次推計』

3.Artificial Intelligenceの略で、人工的に作られた知能を持つコンピュータシステムやソフトウエアを指しております。

4.当社が提供する探索・マッチングサービスにおいて、受注候補企業等の推薦を行う情報提供者を指しております。

5.個人的な経験や勘などに基づく他人に説明することが難しい知識のことで、経験やノウハウを指しております。

6.発注企業と受注候補企業との間で個別契約等が締結されるなどの成果が発生し、発注企業によりマッチングプラットフォーム上でマッチング成立とされた率を指しております。

7.「Software as a Service」の略であり、クラウドサーバーにある当社が開発したビジネスマッチングシステムを、インターネットを経由して利用できるサービスを指しております。

8.Issue Solution Matrixの略で、当社が従来、マッチングの知見に基づいて構築した「企業の課題、イシュー」とそれを解決する「製品・サービスによる解決策、ソリューション」の対応表をデータベース化して「LFB」に搭載したものであり、「LFB」システムの中でキーワード検索をすると、同データベースから類似の課題や、課題に対する解決策を把握することができる機能を指しております。

9.Research and Developmentの略で、自社の事業領域に関する研究や新技術の開発力を高めるために必要な活動を行うことを指しております。

10.2006年に米国研究者のヘンリー・チェスブロウ氏の著書『Open Innovation:The New Imperative for Creating And Profiting from Technology』にて提唱された概念を指しております。

 

 

[事業系統図]

 

0201010_001.png

 

 

4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2022年8月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

81

(15)

38.2

2.6

6,661

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時雇用者数(アルバイト(1日8時間換算)及び人材会社からの派遣社員を含む)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、ビジネスマッチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

4.最近日までの1年間において従業員数が10名増加しております。主な理由は、業容拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2)労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。