(はじめに)
当社は、2009年5月に株式会社フリーセル(現ブランディングテクノロジー株式会社(東京都渋谷区南平台町15番13号、代表取締役社長 木村裕紀)以下、株式会社フリーセルとする。)の100%子会社として設立された株式会社ファインズを前身とし、その後、モバイルFlash(注1)サイト制作の販売を開始しました。さらにMEO(注2)・SEO(注3)サービスや、スマートフォンサイト制作を新たに販売し、順調に事業を拡大させてまいりました。その過程において、2013年12月27日に旧株式会社ファインズの代表取締役社長武吉広大及び武吉広大の資産管理会社である株式会社タケショーが株式会社フリーセルより全株式を取得し、資本関係を解消しております。
(注)1.モバイルFlashサイト:Macromedia社(現Adobe社)が開発した、音やグラフィックのアニメーションを組み合わせてWebコンテンツを作成するソフト(Flash)を使用して、作成されたモバイルサイト。
2.MEO:Map Engine Optimizationの略。Googleマップを対象とした地図エンジンにおいて検索順位の最適化を図ることを指す。
3.SEO:Search Engine Optimizationの略。Googleなどの検索エンジンの自然検索結果において、特定のウェブサイトが上位に表示されるよう、ウェブサイトの構成などを調整すること。また、その手法の総称。
当社(新株式会社ファインズ)の設立経緯について
実質上の存続会社である株式会社ファインズ(以下、「旧株式会社ファインズ」といいます。)の取締役武吉広大及び同氏の資産管理会社である株式会社タケショーから株式売却の意向があり、当社(形式上の存続会社)は、2019年3月15日に、旧株式会社ファインズの代表取締役社長三輪幸将によるレバレッジド・バイ・アウト(以下、LBOといいます。)の受け皿会社として、株式会社エスピーシーの商号で、資本金1,000万円で設立されました。株式会社エスピーシーを設立した背景として、代表取締役社長三輪幸将個人が株式譲渡に係る売買代金を調達することができず、金融機関からの融資の条件としてエスピーシー(特定目的会社)を設立し、旧株式会社ファインズを吸収合併し、新株式会社ファインズの営業キャッシュ・フローから返済をするというスキームであれば融資が受けられたことから、2019年3月29日に金融機関から融資を受けております。同日に旧株式会社ファインズの既存株主から旧株式会社ファインズの発行済株式の100%を取得し子会社化した後、2019年6月30日に旧株式会社ファインズを吸収合併し、同日に商号を株式会社エスピーシーから株式会社ファインズに変更しております。
上記の変遷を図示いたしますと、次のとおりです。
LBOについて
旧株式会社ファインズは、設立以降、順調に売上高を伸ばしてきたものの、2015年3月期に経常損失を計上するに至りました。この状況を打開するために、株式会社光通信との間で、EPARK事業に係る契約が成約するごとに支援金を受ける内容とする業務提携契約を締結しました。その結果、2016年3月期、2017年3月期及び2018年3月期においては業績が一時的に回復したものの、2017年3月期及び2018年3月期においては、支援金を除いた場合は損失を計上するような不安定な状況が続いており、持続的・安定的に利益を計上し、発展していくためには、事業の選択と集中を含む経営方針の見直しが必要でありました。
当社の代表取締役社長三輪幸将が、2018年6月に旧株式会社ファインズの代表取締役社長に就任してから、当時の主たる事業であった店舗クラウド事業の前身である予約事業からVideoクラウド事業の前身である動画事業へ注力し、業績が悪く損失を計上するに至っていた子会社の株式譲渡、並びに不採算事業の譲渡を行い、業績の回復に貢献しました。
このような経緯から、代表取締役社長三輪幸将がオーナーシップを持って経営していくことが経営判断のスピードを早め、さらなる事業拡大及び企業価値の最大化につながると旧株式会社ファインズ取締役会が判断し、M&Aによる買収も検討しましたが、LBOを選択したものであり、被合併会社である旧株式会社ファインズの営業活動を全面的に承継しました。合併後はLBOに関する一連の取引として、当社の業績及び企業価値を中長期的に向上させることを目的に、2019年7月に株式会社光通信の子会社である株式会社EPARK、当社の取締役白木政宏に当社の代表取締役社長三輪幸将が保有する株式の一部を譲渡する方針でありました。
また、旧株式会社ファインズ取締役武吉広大においては、LBO後も当社の株式を一部保有していきたい意向があったため、同様に2019年7月に当社の株式の一部を譲渡する方針でありました。しかし、旧株式会社ファインズ取締役の武吉広大との間で、株式保有方針について慎重に協議を重ねていたことにより、結果として株式保有比率を確定させることが遅れたため、旧株式会社ファインズ取締役武吉広大及び当社の取締役白木政宏への譲渡時期は2020年2月となっております。
なお、LBOによる借入金増加に伴い、総資産に占める有利子負債の割合が66.5%(注1)になりましたが、その後、当社の業績は順調に推移し、LBOに伴う借入金については、2022年4月をもって全額返済しております。
一方、当社の代表取締役社長三輪幸将は、現株式会社ファインズ・旧株式会社ファインズのいずれにおいても代表取締役社長の地位にあることから、LBOを実行する必要性、手段としての相当性を含め、代表取締役社長三輪幸将が得る経済的利益(注2)について十分に協議、検討する必要がありましたが、この点について検討するための基準や指針、検討をする仕組みが不十分でありました。当社はガバナンス体制の強化を図るため、2020年9月に監査役会を設置し、2022年3月に開催した臨時株主総会において、社外取締役を1名増員し、従前に増してコーポレート・ガバナンスないし内部管理体制を充実させることができたと考えております。
当社取締役会において、過去のLBOの一連の経緯によって代表取締役社長三輪幸将が得た経済的利益について協議した結果、当社の経営を再建させ、企業価値の向上に貢献していることから妥当な利益であると評価しました。
さらには、2022年5月に開催した取締役会において、取締役の指名・報酬等に関する手続の公正性・透明性・客観性を担保することを目的として、任意の指名・報酬委員会を設置しました。2022年6月及び7月に開催した指名・報酬委員会において、今後の経営陣並びに社外取締役の構成、報酬方針・報酬制度の設計について協議しました。また、2022年9月に開催予定の定時株主総会に向けて、経営陣の選解任、報酬制度に基づく具体的な報酬額の決定について協議していく方針であります。
(注)1.吸収合併前の旧株式会社ファインズと、吸収合併後の当社における有利子負債の状況(2019年6月30日現在)を示すと以下のとおりであります。
吸収合併前(千円) |
割合 (%) |
吸収合併後(千円) |
割合 (%) |
||
長期借入金 |
102,988 |
10.7 |
長期借入金 |
602,988 |
58.7 |
社債 |
80,000 |
8.3 |
社債 |
80,000 |
7.8 |
負債合計 |
523,983 |
54.3 |
負債合計 |
1,024,484 |
99.7 |
純資産合計 |
441,789 |
45.7 |
純資産合計 |
3,273 |
0.3 |
負債純資産合計 |
965,772 |
100.0 |
負債純資産合計 |
1,027,757 |
100.0 |
2.時価総額に持ち分比率を乗じた評価額と出資金1,000万円の差分となります。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
|
決算年月 |
2019年6月 |
2020年6月 |
2021年6月 |
|
売上高 |
(千円) |
|
|
|
経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
△ |
|
|
当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
|
|
持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
|
|
|
資本金 |
(千円) |
|
|
|
発行済株式総数 |
(株) |
|
|
|
純資産額 |
(千円) |
|
|
|
総資産額 |
(千円) |
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純利益又は 1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
|
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
配当性向 |
(%) |
|
|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
|
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
|
|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
|
(注)1.当社は、2019年3月15日に株式会社エスピーシーとして設立いたしました。また、2019年6月30日に旧株式会社ファインズを吸収合併し、商号を株式会社ファインズに変更しております。このため、当社の第1期は2019年3月15日から2019年6月30日までとなっております。
2.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
3.売上高には、消費税等は含まれておりません。
4.当社(株式会社エスピーシー(現株式会社ファインズ))はLBOを目的として設立された会社であり、第1期は事業を行っていないため、売上高を計上しておりません。
5.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
6.当社は、第3期の期末以降、新株予約権の行使及び株式分割(普通株式1株につき40株)が行われ、発行済株式総数は4,240,000株となっております。
7.当社は、2020年12月15日開催の取締役会決議に基づき、2021年2月1日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割、2021年9月29日開催の取締役会決議に基づき、2021年11月1日付で普通株式1株につき40株の割合で株式分割を行っております。第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
8.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
9.第1期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。第2期及び第3期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
10.第1期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
11.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
12.当社は第2期よりキャッシュ・フロー計算書を作成しておりますので、第1期のキャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
13.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数については、当該臨時従業員数(アルバイト、人材会社からの派遣社員)の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
14.第2期及び第3期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人による監査を受けております。
なお、第1期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しておりますが、当該各数値については金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。
15.当社は、2021年2月1日付で普通株式1株につき100株の株式分割、2021年11月1日付で普通株式1株につき40株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第1期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
|
決算年月 |
2019年6月 |
2020年6月 |
2021年6月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
0.82 |
33.27 |
97.51 |
1株当たり当期純利益又は 1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△1.68 |
32.45 |
64.23 |
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 |
(円) |
- |
- |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(参考)旧株式会社ファインズの経営指標等
当社は2019年6月30日に旧株式会社ファインズを吸収合併しました。合併後の当社は、旧株式会社ファインズの主たる業務として継続して行っているため、参考として旧株式会社ファインズの経営指標を記載しております。
回次 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
第11期 |
|
決算年月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
2019年3月 |
2019年6月 |
|
売上高 |
(千円) |
1,476,650 |
1,699,492 |
1,985,029 |
532,251 |
経常利益 |
(千円) |
141,322 |
33,927 |
183,329 |
57,280 |
当期純利益 |
(千円) |
90,036 |
22,367 |
112,471 |
44,914 |
持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
- |
- |
- |
- |
資本金 |
(千円) |
150,000 |
150,000 |
150,000 |
150,000 |
発行済株式総数 |
(株) |
35,633 |
35,633 |
35,633 |
35,633 |
純資産額 |
(千円) |
396,392 |
418,760 |
396,874 |
441,789 |
総資産額 |
(千円) |
743,158 |
739,992 |
1,002,232 |
965,772 |
1株当たり純資産額 |
(円) |
11,124.30 |
11,752.03 |
12,802.40 |
14,251.27 |
1株当たり配当額 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
|
1株当たり当期純利益 |
(円) |
2,526.78 |
627.73 |
3,159.75 |
1,448.86 |
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
自己資本比率 |
(%) |
53.3 |
56.6 |
39.6 |
45.7 |
自己資本利益率 |
(%) |
25.6 |
5.5 |
27.6 |
10.7 |
株価収益率 |
(倍) |
- |
- |
- |
- |
配当性向 |
(%) |
- |
- |
- |
- |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
- |
- |
- |
- |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
- |
- |
- |
- |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
- |
- |
- |
- |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
- |
- |
- |
- |
従業員数 |
(人) |
141 |
195 |
182 |
201 |
(注)1.第11期は2019年6月30日に旧株式会社ファインズと株式会社エスピーシーが合併し、新株式会社ファインズとなったため、2019年4月1日から2019年6月29日までの期間を事業年度としております。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、旧株式会社ファインズは関連会社を有していないため記載しておりません。
4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、旧株式会社ファインズ株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
6.株価収益率については、旧株式会社ファインズ株式は非上場であるため、記載しておりません。
7.平均臨時雇用者数については、当該臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
8.旧株式会社ファインズはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
9.第8期、第9期、第10期及び第11期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しておりますが、当該各数値については金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
「第二部 企業情報 第1 企業の概況 (はじめに)」に記載したとおり、当社は2019年3月に設立され、その後、2019年6月に旧株式会社ファインズを吸収合併し、同社の営業活動を承継しております。そこで以下では、旧株式会社ファインズの設立から吸収合併までと、当該吸収合併から現在に至るまでの2つに表を分けております。
<株式会社ファインズ(旧株式会社ファインズ、実質上の存続会社)の沿革>
年月 |
事項 |
2009年5月 |
株式会社フリーセル(現 ブランディングテクノロジー株式会社)の100%子会社として東京都渋谷区南平台町に株式会社ファインズを設立 |
2009年7月 |
モバイルFlashサイト制作の提供開始 |
2010年2月 |
MEO・SEOサービスの提供開始 |
2010年9月 |
スマートフォンサイト制作の提供開始 |
2012年10月 |
事業拡大に伴い、本社所在地を渋谷区道玄坂1丁目へ移転 |
2013年7月 |
大阪営業所を開設 |
2013年8月 |
予約システム「TSUNAGU」「いつあき」の提供開始 |
2014年8月 |
名古屋営業所を開設 |
2014年9月 |
事業拡大に伴い、本社所在地を渋谷区道玄坂2丁目へ移転 |
2015年1月 |
動画サービスの提供開始 |
2015年8月 |
福岡営業所を開設 |
2015年10月 |
株式会社EPARKと業務提携契約を締結し、予約システム「PeakManager」の販売を開始 |
2016年2月 |
デジタルマーケティング支援サービスの提供開始 |
2016年9月 |
仙台営業所を開設 |
2016年11月 |
事業拡大に伴い、本社所在地を渋谷区渋谷2丁目へ移転 |
2017年8月 |
広告配信レポーティングシステム「Raise」の提供開始 |
|
札幌営業所を開設 |
2017年12月 |
自社メディア「manga factory」を公開 |
2019年6月 |
株式会社エスピーシーが旧株式会社ファインズを吸収合併 |
<当社(形式上の存続会社)の沿革>
年月 |
事項 |
2019年3月 |
特別目的会社である株式会社エスピーシーを設立(現当社) |
|
株式会社エスピーシーが旧株式会社ファインズの株式をLBOにより取得し完全子会社化 |
2019年6月 |
株式会社エスピーシーが旧株式会社ファインズを吸収合併し、同日、商号を株式会社ファインズ(新株式会社ファインズ)に変更 |
2019年11月 |
動画配信プラットフォームサービス「Videoクラウド」の提供開始 |
当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、事業を通じてすべてのステークホルダーのみなさまから必要とされる会社を目指しております。顧客、従業員、株主、取引先企業、地域社会に対して1人でも多くの人に喜びや感動、幸せを分かち合い、価値ある商品やサービスを提供し続けることを目指しております。事業内容としましては、創業以来、中小企業事業者や個人事業主などのSMBの領域向けに、モバイルサイトや予約管理システムなどのデジタル化を推進していくサービスを提供しておりました。また、2015年から動画事業に先行投資を行い、動画を制作するだけでなく、視聴データの分析・改善ができるカスタマーサクセス体制を構築してまいりました。現在では動画を活用したDX(注)を提供しております。その結果、当社の累計取引社数は、19,322社(2022年7月末現在)となっております。事業セグメントは、動画を起点に企業のマーケティングDXを支援するVideoクラウド事業と店舗向け予約・顧客管理システムを活用して店舗DXを支援する店舗クラウド事業から構成され、主たる事業のVideoクラウド事業の売上構成比は2021年6月期で83.5%、2022年6月期第3四半期累計期間で90.4%となります。
(注)DX:デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称。データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
(事業環境)
我が国の経済は、人口減少や少子高齢化に伴う労働人口の不足により、今後一人あたりのGDP(国内総生産)を維持しながら持続的に経済成長を行っていくためには、「デジタルによる生産性向上」の必要性、さらには今後コロナ禍を契機として、世界規模でデジタル化が促進する中、企業が生き残っていくにはデジタルを業務効率化のツールとして実装するのではなく、新たな価値の創出に活用することで競争優位を獲得していく「DX」の実行が重要であるとされております(注1)。また、経済産業省のDXレポートにおいても2015年には約17万人であったIT人材不足が2025年には約43万人まで拡大し、既存システムが部門ごとに部分最適化され、複雑化、ブラックボックス化しているという状況がDX実現の阻害要因となり、最大年間12兆円の損失が生まれると推定されております(注2)。さらに、続編であるDXレポート2では、実に全体の9割の企業がDXに全く取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっているという状況が明らかになり、改めて2025年の崖について警鐘が鳴らされております(注3)。当社としては、中長期に渡り日本企業全体でDXをいかに実現するかが大きな課題となると同時に、SMBの領域においては特にデジタル人材の不足などの理由によりDXを推進していくことが困難な状況にあるものと考えております。このような環境下において、当社は創業以来顧客のデジタル化を支援するとともに「動画の価値」にいち早く気づき「動画を活用したマーケティングDX」へ先行投資を行うことで「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪をサポートしてまいりました。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大をきっかけとして、リモートワークの普及など社会全体に大きなパラダイムシフトが起こる中、動画を活用した企業活動の活性化により、アフターコロナの社会においても当社がご提供できるビジネス領域はさらに拡大しているものと考えております。具体的には、非対面での営業活動による営業資料の動画化や、オンライン採用需要の高まりによる、採用説明会や会社案内の動画化、マニュアル化やナレッジ共有、社内教育コンテンツの動画化、さらには直接のコミュニケーションに近しい手段としてVR(360°)動画の活用など、個々の企業の課題に応じて動画のDX活用シーンが多様化しました。さらに、今後は5Gの普及も重なることで、「動画から得られる視聴データ」を活かし、マーケティングDXを推進していくニーズもさらに高まってくるものと考えております。当社はこのような環境下において、今後も既存の概念に囚われず、「お客様と共創し、社会全体にさらなる価値をご提供していく」というスタンスで企業のDX化を推進してまいります。
(注)1.総務省 「情報通信白書(令和3年版)(令和3年7月30日公表)」
2.経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜(2018年9月7日公表)」
3.経済産業省「DXレポート2(2020年12月28日公表)」
当社の各セグメントの事業内容は、以下のとおりであります。
(1)Videoクラウド事業
当事業は、主に動画制作サービス、動画配信プラットフォームサービス(Videoクラウド)、DXコンサルティングの3つのサービスを提供しております。当事業の特長は、動画制作を行うだけでなく、専用のプラットフォーム上での配信、分析・改善、データ活用からDXの推進に至るまで、一気通貫したサービス提供を行うことができる点にあります。特に、動画の価値を最大限に発揮することができるVideoクラウドに注力しております。Videoクラウドは、基本機能として企業独自のViewer(再生機能)と正確な視聴データの蓄積・分析を行うことや、拡張機能として次世代型動画であるインタラクティブ動画への対応が可能です。さらには、Videoクラウドから抽出できる動画の視聴データ及び顧客のマーケティングデータを活用したDXコンサルティングサービスを行っております。
当事業の特長は以下のとおりであります。
①豊富な動画制作サービスの取引実績数
当社のVideoクラウド事業における動画制作サービス取引社数は、7,735社(2022年7月末現在)となっております。動画には「短時間で多くの情報を伝えられる」「記憶定着の効果が高い」「知覚情報を伝えられる」という3つの強みがあり、さらに、情報や視聴データを蓄積して資産化することが可能となっています。そのため、コロナ禍でテレワークが普及する中、「付加価値の向上(広告・プロモーション、営業資料、サービス紹介、ブランディング、社員総会、展示会、導入事例紹介、ウェビナー等)」と「業務の効率化(マニュアル・ナレッジ共有、カスタマーサクセス、社内報・コミュニケーション、教育・研修、インターンシップ、会社説明、工場・社内バーチャルツアー、IR・株主総会等)」の両面で動画の活用シーンが広がりを見せております。
②XR(注1)領域の拡張機能
Videoクラウドでは、動画の再生機能やデータの取得などの基本機能に加え、XR領域への拡張機能として最新の動画手法であるインタラクティブ及びVR(360°)動画を実装することが可能となっております。従来の動画では、企業側は視聴者に対して、再生開始から終了まで一方的な情報発信をすることしかできませんでした。そのため、ニーズが潜在的な視聴者には早期に離脱され、動画を思うように視聴してもらえないなどの弱点がありました。しかしながら、インタラクティブ動画では、企業と視聴者が双方向でコミュニケーションを取ることが可能となりました。視聴者が動画の中で興味のある箇所をタップすることで、さらに情報を掘り下げて理解することができ、視聴者が個人の興味関心に合わせて、ストーリーを自ら選択していくことができます。また、シナリオがリアルタイムで変化する仕掛けとなっており、動画の中でアンケートの回収や、気になった商品やサービスの購入及び問い合わせまでのプロセスを一気通貫で完了させることが可能です。このような双方向コミュニケーション型動画によって、ユーザーに新しい顧客体験をもたらします。さらに、従来不透明であった「動画の効果を可視化」することが可能となっており、動画の中で視聴者が「どこに興味を持ったのか」などの興味関心のデータを詳細に取ることができるようになりました。
(注)1.XR:Extended realityの略称。「VR(仮想現実)(注2)」「AR(拡張現実)(注3)」「MR(複合現実)(注4)」など、現実世界には存在しないものや情報を表現・体験できる技術の総称
2.VR:Virtual Realityの略称。ヘッドマウントディスプレイなどを装着し、人工的に作られたバーチャル空間を表示させて仮想空間を現実かのように体感させる技術
3.AR:Augmented Realityの略称。実際の画像や映像とCGの映像を合成し、現実感のある仮想空間を作り出す技術
4.MR:Mixed Realityの略称。現実世界と仮想世界の座標空間を精緻に重ね合わせ、現実世界と仮想世界を同時に体験可能にする技術
③DXコンサルティング
当社では、動画を起点としたマーケティングDXコンサルティングを行っております。SMBの多くの企業では、マーケティング領域における動画の活用に関してのノウハウはもちろん、DX推進においても「何から始めていいのかわからない」「データを活用できずに放置されている」などの課題を持たれているものと認識しております。そのため、データの活用コンサルティングを中心に、サイト制作、デジタルマーケティング、採用支援におけるDX推進のためのコンサルティングサービスを展開しております。また、SMBの領域では事業規模が限られているという性質上、一つの課題を解決していく過程において、周辺領域の課題解決需要まで発展するケースもあります。そのため、カスタマーサクセス部門を構え、顧客と継続的な関係性を構築することで顧客のDXを推進することに努めております。
(2)店舗クラウド事業
①予約サービスの構築・運用
当事業は、店舗と利用ユーザーの間をつなぎ、ユーザーが会員登録をしなくても、24時間予約可能な予約・顧客管理システム「TSUNAGU」及び「いつあき」の提供を行っております。「TSUNAGU」は来店したユーザー情報の管理台帳機能やメルマガ配信機能により、再来店を促進しながら24時間いつでも、簡単に、予約管理及び顧客管理が可能なシステムとなっております。「いつあき」はさらに機能を簡素化し、シンプルに予約まで完結できる操作性により、スピードと便利さを強みとすることで、主に小規模事業者のDXを支援しているサービスとなっております。予約システムについては、直接的な市場環境のデータは少ないものの、国内における個人のインターネットの利用率は82.9%(注1)となっており、インターネットの利活用が広がりを見せる中、店舗のオンライン予約についても一定数のニーズが存在するものと認識しております。小規模事業者におけるITを導入する際の課題として、「導入の効果がわからない・評価できない」「コストが負担できない」に続き、「従業員がITを使いこなせない」が33.7%、「ITの旗振り役がいない」が26.0%となっており(注2)、ITリテラシーの不足やIT人材の不足により、予約・顧客管理システムについては、機能面が豊富なサービスよりも最低限の操作性や機能面の方が導入しやすいと考える事業者は一定数存在するものと考えております。また、小規模事業者に向け、直近3年間の売上高の傾向を間接業務(顧客管理を含む)のIT導入度別で行った調査結果(注2)において、売上高の傾向が増加傾向だと判断している割合は、IT未導入の場合24.9%であるのに対して、IT導入を積極的に行っている場合39.6%であることから14.7%の差があるという結果も出ております。当サービスを導入いただくことで店舗のDXを推進することが可能になると考えております。
(注)1. 総務省 「情報通信白書(令和4年版)(令和4年7月5日公表)」
2.中小企業庁「小規模企業白書(2018年版)(2018年4月20日公表)」
②販売代理事業
株式会社EPARKリラク&エステが展開するリラクゼーション・エステ・整体院に特化したオンラインプラットフォーム「EPARKリラク&エステ」と連携した「PeakManager(予約管理システム)」の販売代理業を行っております。EPARKリラク&エステでは、オンラインプラットフォームを通じて店舗クライアントの集客及び経営・業務効率の改善を支援しており、PeakManagerでは、予約管理機能・売上管理・分析機能・顧客管理機能・メール配信機能等、充実した機能をご提供しております。
(事業の優位性)
事業の優位性は以下のとおりであります。
①データを活用し、安定して案件を獲得できる販売体制
当社では、主に中小企業がメインのターゲットであり、案件の獲得を代理店やパートナーに依存することなく、見込み顧客へアプローチ、その後リードナーチャリング(注1)を行い、案件化に至るまで、自社のみで行える直販体制を構築し、安定的に案件を獲得することが可能となっていると考えております。まず、マーケティング専門チームが、RPA(注2)を活用して効率的に見込み顧客を抽出・リスト化しております。そして、国内6拠点(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)(2022年7月末現在)において、160名以上のノウハウを持ったコンサルタントが在籍し、付加価値の高いコンサルティング提案を行うことで、潜在的なニーズの顧客層から案件を獲得できる直販体制を有しております。また、失注した案件についても、企業ごとにスコアリングを行い、スコアに合わせたリードナーチャリングを行うことによって、再度アプローチを図るための仕組みを構築しております。このように、当社は見込み顧客のセグメントに応じたマーケティングを行うことで、リスクを分散するとともに、規模・業種・業態を問わず幅広い企業にアプローチすることが可能です。
また、当社では豊富な取引実績から得られた顧客の経営課題やクリエイティブのデータベースを蓄積・分析しております。この取り組みにより、ナレッジを共有でき付加価値の高い提案の再現性を持たせることや、属人化しにくい早期教育体制を構築にもつながっており、今後セールスコンサルタント人員が増加していったとしても、継続的に案件獲得ができる体制を構築しております。
(注)1. リードナーチャリング:見込み顧客(リード)に対してメルマガやセミナー、Webコンテンツなどを通して有益な情報を中長期的かつ適切なタイミングで提供し、自社の製品やサービスへの購買意欲を高め、将来的な受注につなげるためのマーケティング手法
2. RPA:ロボティック・プロセス・オートメーションの略称。これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みの総称
②一気通貫したサービス提供による高収益体制
当社では、機能別の分業体制を構築することで、営業活動から制作、その後のDXを推進するサポートまで、一気通貫したサービス提供を行っております。コンサルタントは顧客の課題に合わせたソリューション提案に専念し、クリエイティブ部門では、ディレクションや制作などそれぞれの専門分野の知識やノウハウを深化させることに専念できるようにしております。また、カスタマーサクセス部門では、Videoクラウドに蓄積された視聴データだけでなく、顧客のWebサイトなどのマーケティングデータをもとに課題の共有と改善を繰り返し続けることで、顧客のDXを推進することに専念しております。さらに、顧客のニーズや課題は独自のデータベース上でリアルタイムに共有できるようになっており、社内の部門間でも仮説検証のサイクルを回しながらナレッジ共有を行うことで、高品質なサービス提供とコンサルタントによる付加価値の高い提案を実現させることが可能と考えております。加えてクリエイティブ部門においては、独自のデータベース内にディレクションから制作まで、豊富な実績によるノウハウが蓄積されており、高品質化と内製化を推進することで、収益性の向上に努めております。その結果、全体の営業利益率は2021年6月期で17.0%、2022年6月期第3四半期累計期間で23.2%になっております。
[事業系統図]
当社の事業系統図は以下のとおりであります。
該当事項はありません。
(1)提出会社の状況
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2022年7月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
Videoクラウド事業 |
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店舗クラウド事業 |
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報告セグメント計 |
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全社(共通) |
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合計 |
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(注)1.従業員数は就業人員であります。
2.臨時従業員数(アルバイト、人材会社からの派遣社員)の総数が従業員数の100分の10未満のため、平均臨時従業員数の記載は省略しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.店舗クラウド事業では主に、過去に取引のある既存顧客から追加のサービスをご成約頂くことを想定しているため従業員数を記載しておりません。
5.最近日までの1年間において従業員が39名増加しております。主な理由として、事業拡大を目的とした人員採用を積極的に行ったためであります。
6.全社(共通)として記載されている従業員数は、報告セグメントに属さない管理部門等に所属しているものであります。
(2)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。