第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2018年4月

2019年4月

2020年4月

2021年4月

売上高

(千円)

16,622

866,517

3,478,701

7,636,041

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

3,962

47,258

42,008

1,451,104

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

1,897

29,699

32,435

937,297

持分法を適用した場合の投資損失(△)

(千円)

資本金

(千円)

31,500

31,500

100,000

104,120

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

普通株式

13,750

13,750

1,250,000

1,270,600

A1種優先株式

216,524

216,524

A2種優先株式

125,000

125,000

B種優先株式

424,105

424,105

純資産額

(千円)

60,102

89,801

2,703,801

3,525,678

総資産額

(千円)

67,311

277,593

3,590,681

6,229,760

1株当たり純資産額

(円)

4,371.06

6,531.00

2.39

29.80

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

171.43

2,159.94

1.39

30.97

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

89.29

32.35

75.25

56.54

自己資本利益率

(%)

39.62

2.32

30.12

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

205,179

1,350,439

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

260,459

757,890

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

2,892,149

544,138

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

2,491,645

3,628,274

従業員数

(人)

3

48

150

156

(外、平均臨時雇用者数)

(-)

(-)

(4)

(35)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.第1期から第3期の持分法を適用した場合の投資利益については、持分法を適用する関連会社が存在しないため記載しておりません。第4期は、利益基準及び利益剰余金基準その他の項目から見て重要性が乏しいため記載をしておりません。

4.第1期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、また1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第2期、第3期及び第4期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式が非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

5.第1期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。

6.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

7.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

8.第1期及び第2期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

9.従業員数は就業人員(正社員及び契約社員)であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、年間平均人員を( )外数で記載しております。

10.第3期及び第4期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人の監査を受けております。なお、第1期、第2期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

11.2019年5月24日開催の臨時株主総会により、2019年6月14日付で新たにA2種優先株式の発行を可能とする定款の一部変更を決議するとともに、発行済みの普通株式の一部をA2種優先株式へと内容の変更を行う決議をしております。

12.2021年11月30日付で、A1種優先株主、A2種優先株主及びB種優先株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、全てのA1種優先株式、A2種優先株式及びB種優先株式を自己株式として取得し、対価として当該A1種優先株主、A2種優先株主及びB種優先株主にA1種優先株式、A2種優先株式及びB種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、会社法第178条の規定に基づき2021年12月1日開催の取締役会決議により、同日付で当該種類株式を消却しております。なお、当社は2021年12月8日開催の臨時株主総会において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。

13.当社は、2018年3月22日開催の臨時株主総会決議により、2018年4月11日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

14. 当社は、2019年7月26日開催の取締役会決議により、2019年8月13日付で株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

15. 当社は、2021年12月1日開催の取締役会決議により、2022年1月5日付で株式1株につき15株の割合で株式分割を行っております。第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第1期、第2期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2018年4月

2019年4月

2020年4月

2021年4月

1株当たり純資産額

(円)

2.91

4.35

2.39

29.80

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

△0.11

1.44

1.39

30.97

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

年月

概要

2017年5月

東京都新宿区において、いちから株式会社を資本金100万円で設立

2017年11月

東京都新宿区から東京都渋谷区に本店移転

2018年1月

VTuber(注1)グループ「にじさんじ」の始動を発表し、ライバー(注2)募集を開始

2018年2月

第1期の「にじさんじ」所属VTuber8名が活動を開始

2018年5月

ゲーム配信者に特化したVTuberグループ「にじさんじゲーマーズ」を開始

2018年6月

「にじさんじ」の候補生により構成される「にじさんじSEEDs」を開始

2018年12月

「にじさんじ」、「にじさんじゲーマーズ」、「にじさんじSEEDs」の3グループを「にじさんじ」に統合

2019年2月

「にじさんじ」の配信スケジュールサイト「いつから.link」のウェブブラウザ版の提供を開始

2019年4月

中国におけるVTuberグループ「VirtuaReal Project」の始動を発表し、ライバー募集を開始

「いつから.link」のiOS・Androidアプリ版の提供を開始

2019年7月

インドネシアにおけるVTuberグループ「NIJISANJI ID」の始動を発表し、ライバー募集を開始

2019年11月

インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の始動を発表し、ライバー募集を開始

2019年12月

韓国におけるVTuberグループ「NIJISANJI KR」の始動を発表し、ライバー募集を開始

2020年3月

東京都渋谷区から東京都千代田区に本店移転

2020年6月

「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設

2020年9月

「にじさんじ」専用のオンラインショップである「にじさんじオフィシャルストア」を開設

2020年10月

「にじさんじ」公式のファンクラブである「にじさんじ FAN CLUB」の提供を開始

2021年4月

インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止

2021年5月

東京都千代田区から東京都港区に本店移転

商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社に変更

英語圏におけるVTuberグループ「NIJISANJI EN」が活動を開始

2021年6月

VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始

2022年4月

インドネシアにおけるVTuberグループ「NIJISANJI ID」と韓国におけるVTuberグループ「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合

 (注)1.VTuberとは、Virtual YouTuberの略称であり、YouTube(Google LLCが提供する動画配信プラットフォーム)上で独自に製作した動画を継続して公開している人物のうち、2Dまたは3Dのアバターを利用して活動するものの名称であります。

2.ライバーとは、動画配信活動を行う配信者の名称であります。

 

 

3【事業の内容】

(1)コーポレート・ミッション

 当社は「魔法のような、新体験を。」というコーポレート・ミッションを掲げており、今までにない新しいエンターテイメントの体験を世の中に提供することを目的に、サービス展開を行っております。

 テレビ・ラジオをはじめとした従来のメディアにおいては、コンテンツを制作するクリエイターが、視聴するユーザーにコンテンツを提供するという一方通行の形式が主体となっていました。しかし、インターネットを通じて、誰もがコンテンツを発信するクリエイターになることが可能となることで、クリエイターとユーザーの垣根がなくなり、より多くのコンテンツが発信されるようになり、Google LLCが提供する動画配信プラットフォームであるYouTube等を用いたライブストリーミング(注1)によって、ユーザーがリアルタイムで反応ができる双方向性のメディアが新しいメディアの形態として出現してきました。

 当社は、テクノロジーを活用して新しい体験を提供することで、エンターテイメントの更なる可能性を追求し、世の中の人々に楽しみを与えることを目指してまいります。

(注)1.インターネット上で、音声や動画をリアルタイムで配信すること。

 

(2)サービス概要

 当社が運営するVTuberグループ「にじさんじ」は、本書提出日現在で約150名の多種多様なVTuberが所属するVTuberグループであり、ライブストリーミングによる双方向性のコミュニケーションを通じて、ファンコミュニティの構築を図っております。更に、グッズ・デジタル商品の販売やイベントの開催等を通じて、VTuberコミュニティの盛り上がりを高めることができると考えております。

 VTuberとはVirtual YouTuberの略称であり、ライバーと呼ばれる現実の人間を、モーションキャプチャー技術(注1)を利用してバーチャルキャラクター(アニメキャラクター)に置き換えることで、従来のアニメキャラクターでは表現できなかった詳細な表情や仕草を表現して、動画配信を行うことが可能になりました。また、ユーザーはライブ配信のチャット機能を通じて、VTuberとコミュニケーションをとることが可能です。

 

 

「にじさんじ」所属VTuber

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 また、当社は国内だけではなく、英語圏及び中国を中心に海外でもVTuberビジネスを展開しており、各国のネットワークを活かし、VTuberコンテンツを世界へ配信しております。

 

(注)1.モーションキャプチャーとは、現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術であります。

 

(3)当社の事業分野別の内容

 当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであり、主な事業はVTuberグループ「にじさんじ」の運営であり、YouTubeにおいて動画配信を行うライブストリーミング領域を中心としながら、動画配信以外の接点を提供してVTuberの活動の幅を拡大する「コマース領域(VTuberグッズ等のコンテンツ販売・イベント)」、当社が保有する当社所属VTuberに関するIP(Intellectual Property:知的財産)を用いて、顧客企業の商品やサービスのプロモーションを行う「プロモーション領域」でビジネスを展開しております。また、新規ビジネス領域として海外VTuberビジネスを運営しております。

 

 

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① ライブストリーミング領域

 ライブストリーミング領域においては、VTuberグループ「にじさんじ」の運営を中心に、VTuberとの双方向のコミュニケーションを通じてファンコミュニティの創出を図っております。

 新規VTuberのデビューにあたっては、VTuberの容姿を含む、キャラクター設定を当社でデザイン・設計し、当社が開催するオーディションへの応募者の中からライバーを選考しております。その後、オーディションで選ばれたライバーとの間で業務委託契約を締結したうえで、当社が作成したVTuber活動に必要なアバター、VTuberの名称、当社が開発した自宅から自分一人で2D及び3Dでの配信を可能にするツール、YouTube等の配信アカウントやソーシャルネットワークサービス(以下「SNS」という。)アカウントをライバーに貸与しています。

 以上のプロセスを経て活動を行うVTuberは、SNSや配信等を通じてファン等と相互のコミュニケーションが可能であり、各VTuberはバーチャル世界におけるタレントとして、テレビ番組に出演する等様々な活動領域に進出しております。

 当社に所属するVTuberは、YouTubeにおいて主にライブ配信動画を中心とした動画配信活動に従事しています。ユーザーはVTuberによるライブ配信を視聴する中で、YouTubeに搭載されているチャット機能を通じて、VTuberと交流することが可能です。また、ライブ配信動画は、リアルタイムでのライブ配信を視聴できなかったユーザーも、各VTuberのYouTubeチャンネルに過去動画が蓄積されており、ユーザーは当該動画を視聴することが可能です。

 当社は、収益の拡大に向けてVTuberに対してYouTubeにおける動画配信活動のサポートその他の各種サポートを行うとともに、「にじさんじ」グループとしての動画番組制作のサポート、自宅から配信可能な機材の貸与や配信スタジオの提供、動画内で使用される社外の著作物に関する権利確認や各種ガイドラインに沿った研修の実施等によるコンテンツの健全化対応、インターネット上での炎上事案を発生させないためのVTuberへのコンプライアンス研修、VTuberに対する誹謗中傷が発生した場合は、誹謗中傷に該当する発信の削除請求や警察への被害相談等を行っております。

 ライブストリーミング領域における収益は主にSuper Chat、YouTubeメンバーシップ、Google AdSense収益の3つで構成されています。Super Chatとは、YouTubeが提供するサービスであり、YouTubeのライブ配信におけるチャット機能のうち、ユーザーが有料課金を行うことで当該ユーザーのコメントが目立つように固定表示される機能です。ユーザーはその課金額に応じて、自分自身のチャットの色と固定表示される時間の長さが変わり、ユーザーは自分自身のコメントを色付けして強調させることで、VTuberにコメントを認識してもらう機会が増え、VTuberとユーザー間、ファン同士のコミュニケーションが促進されることに加え、ファンコミュニティにおけるユーザーの認知度を高めることにもつながります。

 YouTubeメンバーシップについても、YouTube上でのサービスの一つであり、ユーザーが一定の月額料金を支払うことによってYouTubeチャンネルのメンバーとなり、メンバーシップに加入したユーザー向けの限定動画、その他のアイテム等のメンバーシップ限定の特典を得られる制度です。Google AdSense収益は、当社所属VTuberのYouTube上の動画を閲覧しているユーザーが、YouTube上に流れる広告を閲覧することにより、収益の一部をGoogle LLCから受領することによる収益です。

 ライブストリーミング領域における3つの収益のうち、Super Chat収益とYouTubeメンバーシップ収益については、Google LLCへの手数料を控除したネット金額を受領しておりますが、財務諸表上の収益にはSuper Chat収益とYouTubeメンバーシップ収益の総額を計上し、費用にGoogle LLCへの手数料を計上しております。Google AdSense収益については、Google LLCからの受領額(ネット金額)を収益に計上しております。また、ライバーに対しては、各VTuberのYouTubeチャンネルから稼得された収益のうち一部を支払います。

 

② コマース領域(コンテンツ販売・イベント)

 当社のコマース領域は、ライブストリーミング領域で培ったファンコミュニティに、ライブ配信以外の接点を提供してVTuberの活動の幅を拡大するとともに、より一層ファンとの接点を増加していくことを目的としております。コマース領域は主にコンテンツ販売とイベント企画・運営の2つのサービスで構成されています。

 

コンテンツ販売

 当社はライブ配信で培ったファンコミュニティに向けて、ライブ配信以外でのVTuberと接する機会を増加させる観点から、様々な当社オリジナルのグッズやVTuberの音声を録音したデジタル商品(以下グッズとデジタル商品を総称して「コンテンツ」という。)を販売しております。コンテンツには、常時販売されている常設コンテンツの他、季節限定コンテンツや受注生産コンテンツ、イベント限定コンテンツ等の様々な形態があります。加えて、VTuberの活動の幅の拡がりに応じて、歌手デビューを行うVTuberも増えており、それに応じて楽曲の販売等、新しいコンテンツ販売も増加しております。

 販売チャネルについては、「にじさんじ」公式のオンライン販売ウェブサイトである「にじさんじオフィシャルストア」を中心としながら、当社が主催するイベント会場における販売等と多岐にわたっております。また、コンテンツの販売に加えて、2020年10月より、「にじさんじ」の公式ファンクラブである「にじさんじ FAN CLUB」の提供を開始しており、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを提供しております。当社では、販売するコンテンツの企画立案、コンテンツデザイン、コンテンツ制作の発注等を行っており、コンテンツを継続的に提供できるよう努めております。コンテンツ収益には、コンテンツ販売による売上を計上しております。また、ライバーに対しては、各VTuberに直接的に紐づくコンテンツの収益のうち一部を支払います。

 

イベント開催

 コンテンツ販売に加え、当社はVTuberの魅力をイベント会場で体感してもらうことを目的に、当社所属のVTuberが出演する、音楽をはじめとしたイベントを主催しております。過去に実施したイベントとして、2019年10月に幕張メッセイベントホールにて開催した「にじさんじMusic Festival」、2019年12月に両国国技館で開催した「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」、2020年2月から4月にかけて全国5都市6公演にて開催された「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」(うち、2020年3月5日に開催予定であった東京公演は新型コロナウイルス感染症の影響で中止、2020年4月5日に開催の追加難波公演は無観客開催)等を開催してきました。いずれのイベントも会場に集客して開催することに加えて、インターネットを通じた有料オンライン配信にも対応しており、会場に足を運ぶことができないファンの方々にも視聴いただくことが可能となっております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、2021年2月に開催した「にじさんじ Anniversary Festival 2021」では、完全オンラインでのイベント開催を実現しております。

 また最近では、2021年7月31日、8月1日の2日間で「にじさんじAR Stage “LIGHT UP TONES”」を開催しました。このイベントではAR技術(注1)とVTuberの組み合わせによるイベント体験を提供しています。

 当社では、イベントの企画立案及び外部のイベント制作企業と協業しながらイベントの制作等を行っており、VTuberファンの方々にさらにファンになっていただけるよう努めております。また、音楽レーベルとの関係を構築し、過去に複数の音楽レーベルから当社所属のVTuberが制作した楽曲の販売を行っております。イベント収益には、イベント開催に伴うチケット収入等(共催の場合には、共催比率を乗じた金額)を計上しております。

 

(注)1.ARとはAugmented Reality(拡張現実)の略称であり、現実世界に仮想世界を重ね合わせて表示する技術を指す言葉です。AR技術により、現実の風景の中にCGでつくられた3D映像やキャラクターなどのデジタルコンテンツやデータを重ねて表示することで現実世界を拡張することができます。

 

③ プロモーション領域

 プロモーション領域における収益は主にタイアップ広告、IPライセンス、メディア出演(以下タイアップ広告、IPライセンス、メディア出演を総称して「企業案件」という。)の3つで構成されています。タイアップ広告とは、顧客企業の商品やサービスを動画等によりVTuberがプロモーションを行うもので、当社は顧客企業よりプロモーションの対価を受領します。IPライセンスとは、当社が保有する当社所属VTuberに関するIP(Intellectual Property:知的財産)を顧客企業の商品やサービスに使用許諾を行うというもので、当社は顧客企業よりIPの使用料を受領します。メディア出演とは、当社に所属するVTuberがテレビ、ラジオ、雑誌、インターネット配信その他の顧客企業のメディアに出演するもので、当社は所属VTuberの出演料を顧客企業より受領します。当社では、顧客企業に対してVTuberのIP利用を提案し、企業案件受注後は実施に向けて顧客企業とVTuberの間に入ってサポートを行っています。

 VTuberの活動領域が拡がっていくことで、VTuberの認知度が高まり、IPとしての価値は次第に高まっていき、メディアでの活動の幅・出演機会は今後も増えていくものと考えています。

 また、当社はステルスマーケティング(注1)を防止すること及び優良誤認を防止することを目的に提供表示に関するガイドラインを策定しており、顧客企業やファンからの信頼獲得に努めております。企業案件収益には、顧客企業から受領した報酬を売上高として計上しております。また、企業案件に従事したライバーに対して一定の報酬を支払います。

 

(注)1.何らかの宣伝・広報であることを消費者に隠して行う活動のこと。

 

 海外VTuberビジネス

 当社は英語圏及び中国を中心に海外でもVTuberビジネスを展開しており、各地域に向けたライバーは国内VTuberビジネスと同様の要領でのオーディションにより選考を行っており、各地域の言語や文化に精通した候補者がオーディションに応募しております。また、ライバーと業務委託契約を締結し、VTuberとしてデビューして以降も、国内VTuberビジネスと同様に、YouTubeを中心とした動画配信、コンテンツ販売、イベント、企業案件といった展開を行っております。

 北米を中心とする英語圏においては、2021年5月に「NIJISANJI EN」からVTuberユニット「Lazu Light」として3名のVTuberがデビューしており、本書提出日現在では20名のVTuberが英語圏で活動しています。

 中国においては、VTuberグループ「にじさんじ」に所属するVTuberが、bilibili(Bilibili Inc.のグループである上海寛娯数碼科技有限公司と上海幻電信息科技有限公司が中国で運営する動画配信プラットフォーム)において配信活動を行っております。また、当社はBilibili Inc.のグループである上海ビリビリ科技有限公司との間で合弁会社を設立し、当該合弁会社を通じて中国におけるVTuberグループ「VirtuaReal Project」の運営に関与しております。また、中国においてもコマース領域、プロモーション領域でのビジネス展開を行っております。

 

[事業系統図]

 以上に述べた当社の事業を、事業系統図によって示すと以下のとおりとなります。

 

 

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4【関係会社の状況】

 当社は、非連結子会社1社及び持分法非適用関連会社を1社有しておりますが、重要性が乏しいため記載を省略しております。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2022年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

216

25

30.2

1.6

4,575

 (注)1.従業員数は就業人員(正社員及び契約社員)であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、正社員、契約社員のみで算定しております。

4.当社は、動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2)労働組合の状況

 当社において労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。