(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
3.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
4.前連結会計年度(第21期)及び当連結会計年度(第22期)の連結財務諸表については、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
5.2021年4月13日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を、2021年10月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。これに伴い、第21期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額を算定しております。
6.従業員数は期末時点の正社員数であり、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数になります。
7.従業員数〔 〕内に外数で記載しております「平均臨時雇用人員」は、契約社員およびアルバイトの年間平均雇用人員(1日8時間換算)であり、派遣社員を除いております。臨時雇用人員の主たる業務はオペレーターとなります。
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
3.当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。
4.主要な経営指標等の推移のうち、第18期から第20期については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。
5.前事業年度(第21期)及び当事業年度(第22期)の財務諸表については、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
6.従業員数は期末時点の正社員数であり、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数になります。
7.従業員数〔 〕内に外数で記載しております「平均臨時雇用人員」は、契約社員およびアルバイトの年間平均雇用人員(1日8時間換算)であり、派遣社員を除いております。臨時雇用人員の主たる業務はオペレーターとなります。
8.2021年4月13日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を、2021年10月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。これに伴い、第21期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額を算定しております。
9.2021年4月13日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を、2021年10月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第18期、第19期及び第20期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
当社グループはコンタクトセンター・BPO事業のみの単一セグメントとなっております。
当社グループは、自社開発のクラウドPBX(Private Branch eXchange:構内交換機) Omnia LINK(オムニアリンク)等のデジタル技術を活用したコンタクトセンター(注1)・BPOサービスの提供、およびAI・DX(注2)ソリューションの開発・販売を行なっております。BPO(注3)とは、Business Process Outsourcingの略で、企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託することを指します。
当社グループは事業理念である「洞察を通じた社会への貢献」の実践を通じ、コンタクトセンター・BPO事業を通じて、業務の企画・設計などの上流工程から、教育・運営までをワンストップでご提供することで、顧客企業の競争力強化の一助を担ってまいりました。
また、近年では、2016年に子会社化した株式会社アイブリットの開発力を活かしたクラウドPBX(従来は構内に置いていたPBXをクラウド化し、インターネット上で通話・通信を行うことで、従来の電話システム環境を改善することができるシステム)Omnia LINKのご提供をはじめとする自社開発のシステムソリューションの販売も行っております。PBXは、コンタクトセンターに限らず、企業など複数の電話回線を持つ場所には、必須のシステムです。主な役割は、受発信機能(企業にかかってきた電話を適切に振り分けて着信させる機能や、適切な通知番号での発信を可能にする等)や、内線通話、転送、保留など電話に関わる制御を行なう装置です。
(注1)顧客対応チャネルを「電話」に絞らず、「メール」「チャット」「WEB」など複数の組み合わせで顧客対応するセンターを「コンタクトセンター」と定義しております。当社は顧客対応チャネルを複数ご提供しており、「電話」に限っていないため、事業内容を「コールセンター」ではなく、「コンタクトセンター」と記載しております。
(注2)デジタルトランスフォーメーションの略。進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念。
(注3)BPOには、広義での捉え方と狭義での捉え方があります。広義での捉え方は、「ITアウトソーシング」との対比で、ビジネスプロセスにおけるアウトソーシングを広義の「BPO」と捉えます。この場合、コンタクトセンターも「BPO」の一部と見ることができます。狭義での捉え方は、広義で捉えた「BPO」のうち、顧客対応を伴わないもの(多くは企業のバックオフィス部門や、受発注や請求などの事務業務)を狭義の「BPO」として捉えます。当社の事業である、「コンタクトセンター・BPO」における「BPO」は狭義の「BPO」の意味合いとして使用しております。
当社グループは当社及び子会社1社で構成され、コンタクトセンター・BPO事業の単一事業としております。コンタクトセンター・BPO事業において、顧客へのサービス提供の際、顧客ごとのニーズを捉え、オーダーメイドで見積もりを提示し、必要なリソースやシステム、環境を用意して顧客に役務の提供を行なっております。しかし、新規顧客にとっては、「オーダーメイド」によって実現するアウトソーシングの具体的内容がイメージしにくいため、当社のサービスを活用するパターンとして4つのサービス区分を用意しております。これらは、サービス区分それぞれを単独で提供するものではなく、あくまで当社が提供できるサービスを例示し顧客にわかりやすくイメージいただくためのものです。そのため、実際のサービス提供においては、顧客企業のニーズに対して最適かつ必要なサービスを、各区分の要素を組み合わせ、総合的なアウトソーシングサービスとして提供しております。
当社グループは、以下の図のようにそのサービスの提供において、顧客企業と一般消費者の間に立ち、顧客企業と業務委託契約を締結した範囲の業務を、当社のノウハウ・アセットを元に遂行しその対価を頂戴する、アウトソーシング事業者としてのビジネスモデルを有しています。
当社グループのアウトソーシングサービスでは、外部資源・情報を戦略的に活用し、コア業務へリソースを集中させることで顧客企業が競争力を高める手段を提供しています。当社のようなアウトソーシング事業者は顧客企業の業務を専門的に請け負うことにより、顧客企業には適正対価での品質・生産性の向上を提供し、また自社にとっては業務の受託規模を増加していくことにより事業を継続的に成長させていくことが可能となります。また、アウトソーシング提供形態には場所・運営・システムまですべてを提供する「フルアウトソーシング」と、場所・システムは顧客が用意し、当社が運営を行う「インソーシング」があります。当社グループにおける2021年5月期売上高の約60%がフルアウトソーシングとなっており、インソーシングよりも場所・運営・システムを含めたフルアウトソーシングの提供に注力しております。
以下の図のように、アウトソーシングサービスの領域は様々です。アウトソーシング業界においては、大きく「IT領域」と「ビジネスプロセス領域」が存在します。当社グループのサービス範囲は、「ビジネスプロセス領域」のうち、着色している「コンタクトセンター」「調達」「購買」「人事・採用」「経理」「業界特化型サービス(注:製品や商品を販売するにあたって、その業界に特化して生じる事務業務のこと)」を対象領域としております。その中でも「コンタクトセンター」は当社グループの売上高の約80%強を占めております。コンタクトセンター領域においては、オリジナル顧客対応メソッド「ミライ転換力」(後述で説明)の確立や、80種類以上のスーパーバイザー(注:オペレーターを指導する立場にあるリーダー的立場のスタッフ)教育コンテンツを有しており、コンタクトセンターサービス提供会社としての専門性を保有し、強みを有する領域となっております。
コンタクトセンター・BPOの主な機能は、オペレーターを介して顧客企業のエンドユーザーや従業員に向けた高品質なサービスを提供することにあります。質の高い対応を行なうことによって最終的にエンドユーザーや従業員の満足度を高めることが、顧客企業の満足度を高めることになり、契約期間や当社の売上高の拡大につながります。
そのために当社として注力するべき事項は、オペレーターやスーパーバイザーなどのオペレーションに関わる人材の教育や、テクノロジーによるスタッフの支援を通じた運営品質や生産性の向上を実現する仕組みを構築し、継続的にQCD(注:Quality<品質>、Cost<費用>、Delivery<納期>)の改善を行うことです。
また、運営を通じてエンドユーザーや従業員の声を受け取り、適切に顧客企業にフィードバックすることで、商品開発やサービス改善のヒントを提供し、受託している業務自体の高付加価値化を目指すことも顧客企業と長く取引を続ける中で大変重要なポイントです。
当社グループのコンタクトセンター・BPO事業のビジネスモデル概念図を以下に記載します。
当社は顧客企業(業務発注企業)を委託者としたアウトソーシングサービスに関する業務委託契約を締結します。当社は、受託した業務の遂行のための場所やシステム、オペレーターやスーパーバイザーなどの体制を用意し、顧客企業(業務発注企業)のエンドユーザーへの対応にあたります。主な収益は顧客企業から受け取るスタッフの稼働時間や、システムや場所の提供費用となっております。一部商品販売や販売勧奨を目的としたアウトバウンド業務(注:電話を発信する業務のこと)では、販売実績に応じたインセンティブ請求が発生することがあります。
コンタクトセンター・BPOで使用するシステムは、複数存在します。PBXや通話録音システムなどの電話応対の基幹となるシステムや音声認識システム(音声のテキスト化)や音声合成システム(テキストの音声化)、顧客管理システム、FAQシステム等が存在します。これらの各システム・機能はOmnia LINKの機能として内包されており、コンタクトセンター・BPOにおけるシステム利用料としてOmnia LINK利用料を請求しております。ただし、前述のようにコンタクトセンター・BPOはオーダーメイドの特性を有することから、Omnia LINKの活用範囲を企業ごとにカスタマイズし都度提案を行なっております。また、顧客の要件がOmnia LINKの機能だけでは満たせない場合は、外部の要件が満たされるシステムを仕入れ、提供することもあります。
また、近年ではコンタクトセンター等の業務委託契約のない企業に対して、コンタクトセンターシステムとしてのOmnia LINKのみを販売することもあります。Omnia LINK販売におけるビジネスモデル概念図は以下の通りです。
当社が提供している4つのサービスを以下に具体的に列挙します。
1. 当社グループサービスの特徴
当社グループの事業の特徴といたしましては、「自社開発のクラウドPBX Omnia LINKの保有と活用・展開」「AIを活用した音声自動認識による付加価値の向上」、「AIやRPAなどのデジタルテクノロジーの積極的活用」、「業務設計力の高さ」「確かな品質と教育」の5点が挙げられます。
a 自社開発のクラウドPBX Omnia LINKの保有と活用・展開
PBXとは、「Private Branch eXchange」の略であり、企業で複数の電話機を連動させて利用する際に施設内に設置される電話交換機のことで、一般企業はもとより、コンタクトセンター運営には必要不可欠なシステムです。日本のPBX市場においては、長年米国のメーカーの寡占状態にありました。しかしながら近年は、コンタクトセンターの成熟とともに、日本のPBX市場においても複数のプレイヤーが登場してきております。また、物理的な筐体を建物内に据え付けるオンプレミス型のPBXからクラウド型PBXへの移行も進みつつあります。
以下はオンプレミス型PBXとクラウド型PBXの違いを記載した図です。PBX利用企業にとっては、オンプレミス型PBXの場合、利用する場所自体にPBXを物理的に設置する必要があり、新規設置や増設には初期費用や準備期間が必要な上、利用場所も限られますが、クラウド型PBXの場合は、PBXはデータセンタ上に存在するため、複数の場所において利用規模の変動を含め柔軟に利用することが可能であり、在宅勤務環境を含めて、利用拠点に制限を設けずにPBXを活用することが可能となります。
当社グループではアイブリット社の買収を機に、PBXの自社開発を行なっております。当社グループの調べでは、コンタクトセンター・BPOの提供会社が自社開発のPBXを保有している例は少なく、競合の多くがPBXの開発会社からの仕入れの上、運営をしています。当社グループは、自社開発のPBXを有するコンタクトセンター・BPO提供会社として、稀有なポジションを獲得していると考えております。
当社グループでは、自社の受託業務の中で自社開発のクラウドPBX Omnia LINKを活用しております。Omnia LINKは社内で約2,500ライセンス(2021年11月実績)が利用されており、Omnia LINKの活用を通してコンタクトセンターから開発部門にダイレクトに改善要望が上がります。この改善要望を満たすことを繰り返すことで、Omnia LINKは機能強化を重ねてきました。
現在では、コンタクトセンター等の業務委託契約のない企業に対して、コンタクトセンターシステムとしてOmnia LINKそのものをシステムとして販売を行なっております。
Omnia LINKの特徴は、基本的な電話の受発信の機能やCRM機能(Customer Relationship Management:顧客管理システムのこと)を備えながら、コンタクトセンターにおける通話音声のリアルタイムテキスト化や、AIによる自然言語処理(人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術)を用いたFAQレコメンデーション(それまでの会話内容から予測される想定問答の提示)等、高付加価値でありながら、SaaS(注:Software as a Serviceの略。ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが利用できるサービス)型でご提供していることです。
現在は、システム販売としてのOmnia LINKのさらなる市場浸透に向けて取り組んでおり、2021年11月時点で930ライセンスが外販で利用されています。
Omnia LINKの主な機能は以下の通りです。
Omnia LINKは以下4点の要因から当社グループの競争力の源泉となっております。
① システム内製化によるコスト削減
上述のようにPBXはコンタクトセンター運営に必要不可欠なシステムであることから、過去、当社グループがコンタクトセンターサービスをご提供するにあたっては、米国メーカーを中心に複数企業の製品に対するシステム投資コストおよび保守コストが発生しておりました。PBXの調達そのものを内製化したことにより、拠点新設や増強時のコストについて、その規模にもよりますが10百万円~100百万円程度のコスト削減が可能になり、Omnia LINKの社内利用を本格的に開始した2016年頃と比較しても、当社グループの利益水準は改善しております。
② Omnia LINK外販を通じた売上・利益の増大
自社でOmnia LINKを利用するだけでなく、Omnia LINKそのものをクラウドサービスとして外部企業へ販売する戦略を採用したことで、より安定した全社収益確保の一助となり、当社グループの業績に貢献しております。また、Omnia LINKはコンタクトセンターの基幹システムであるため、導入時にはオペレーションフローの見直しを含めた業務への影響が生じることから契約が長期化する傾向にあります。そのため、より安定した収益を生み出しやすくなる事業モデルへと、当社グループの事業構造の転換が進んでおります。
③ 機動的な開発体制による付加価値向上
自社開発のPBXを当社のスーパーバイザー等約1,500名(注1)がユーザー利用していることから、現場の声に基づきPBXの機能に限らない通話録音システムやFAQシステム等のコンタクトセンター運営に必要な周辺機能の充実が機動的に行われております。そのため他社製品であれば複数商品に投資し、システム間連携にインテグレーション(システム連携のための開発)が必要となってしまうような付加機能が、標準かつオールインワンでOmnia LINK内に内包されており、顧客サービス自体の付加価値向上とコスト削減に貢献しております。
(注1)リードスーパーバイザー、スーパーバイザー、リーダーを含む。2021年11月時点の人数。
④ 柔軟な拠点戦略
当社グループのコンタクトセンター新拠点は、標準PBXとしてOmnia LINKを起用しております。従来のPBXの場合、筐体やライセンスの納品まで時間を要すため、拠点新設の意思決定から実行までのリードタイムが長期化しておりました。Omnia LINKは自社保有かつクラウド型のため最短数日での導入が可能です。これにより拠点新設や増強のリードタイムが大幅に改善しました。その結果、顧客の要望に沿った業務実施場所の柔軟性の獲得とともに、サテライトオフィスや在宅を活用した運営も可能となりました。顧客提案時における機会損失を防止し、タイムリーな提案を行うことで受注を拡大し、コンタクトセンターサービスの成長につなげております。機会を逃さずに高収益案件を獲得することができるため、1席あたりの月次売上高(注:アウトソーシング業務の月次売上高/月次稼働席数。オペレーションブースの収益面での効率性を現す指標)もOmnia LINKの利用拡大とともに約1.3倍(2015年6月と2021年6月の比較)と増加傾向にあります。
また、新型コロナウイルス感染拡大の状況下においては、自社のクラウドPBXを保有していたことから、感染拡大の早い局面(2020年6月)で在宅コンタクトセンターサービスである「Bewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)を開始いたしました。2021年8月には約1,000名のオペレーターが在宅でのオペレーションを行なっており、オペレーターの安全性の確保、BCP対策、柔軟な増席対応につながっております。
b AIを活用した音声自動認識による付加価値の向上
Omnia LINKの特徴として、音声自動認識による「通話音声のリアルタイムテキスト化」が挙げられます。音声自動認識によるリアルタイムテキストの活用は複数の目的での活用が可能です。主な活用例を以下に記載いたします。
① 顧客の声の分析による商品戦略・マーケティング戦略への活用
コンタクトセンターは以前より「お客様の声が集まる宝の山」と言われてきました。
これまでの「お客様の声」はオペレーターが顧客の要望を要約して顧客管理システムに入力したテキストをベースに分析されていました。しかしこの方法の場合、オペレーターの入力内容はテンプレート化などを中心とした効率化・標準化がなされていることから画一化されやすく、企業のアイデアにつながるような個別の新しいマーケットの声の発見にはなかなか至らないという課題もありました。
昨今、AIの進化により、会話データの音声認識技術の活用が進み、顧客が発した言葉全文をテキスト化の上解析し、顧客企業の商品開発やサービス改善に活かすことが現実的になりました。この解析データは、企業の商品開発やサービス改善において重要な位置づけを占めつつあります。当社グループにおいては、Omnia LINKによってこれらのデータ提供を容易にすると同時に、解析データを効果的に活用するべく、VoC(Voice Of Customer)アナリスト(顧客との対話テキストを統計手法を活用して分析し企業に有益なお客様の声をフィードバックする担当者)を育成し、日々、コンタクトセンターのテキストデータの解析を行い、その結果から提案を実施することを通じて、コンタクトセンターの高付加価値化を図っております。
② オペレーター育成速度の加速化
労働力人口の低下に伴い、人手不足が慢性化する中、リアルタイムテキスト化したデータを活用したオペレーター支援プロダクトも開発しております。
seekassist(シークアシスト)はOmnia LINKに付随するシステムで、AIによる自然言語処理を駆使し、お客様との応対中にリアルタイムで対話内容を分析して、必要なFAQの候補を予測し画面に表示させるオペレーションナビゲート機能です。AIがオペレーターと顧客の会話を読み取って、必要なFAQを先読みした上で自動表示させるため、実業務に就くまでのオペレーターの研修時間の削減や、オペレーターによる個々の応対の通話時間の短縮が可能になります。
Qua-cle(クオクル)は、コンタクトセンターにおける応対品質の課題を解決するために必要な、「学び」・「トレーニング」・「フィードバック」の一連のサイクルを実現する、コンタクトセンター向け品質改善プラットフォームとなるシステムです。大きな特徴として、応対内容自動評価機能があげられます。この機能は、応対内容のテキストデータを解析し、テキストから見える応対力(話癖や敬語、あいさつ、会話の速さ等)を当社グループのこれまでのノウハウを用いた独自基準で自動評価することで、スーパーバイザーの品質管理にかかる時間の短縮を可能にし、オペレーターの自律的成長の支援を図ることが可能です。
c AIやRPAなどのデジタルテクノロジーの積極的活用
労働力人口の低下や働き方改革の視点で、企業のデジタル技術活用が注目されております。当社グループにおいてもデジタル&オペレーションというサービス区分において、受託する業務のプロセスの一部を、AIやRPAなどのデジタル技術による自動化によって、効率性の向上や正確性の向上を実現するアウトソーシングサービスをご提供しております。
デジタル化によって工数が削減されることで、稼働時間等でご請求している業務においては売上が減少する可能性もありますが、長期的な取引の継続にはデジタルを活用した効率化提案は必要不可欠と考えております。受託業務のオペレーションを担う各部門では部門目標として、RPAやAIの導入によって削減できた工数を「デジタル効率化時間」としてKPI設定し、モニタリングすることで、現場からお客様への新たな価値の提案を促しております。
d 業務設計力の高さ
特にBPOにおいては、企業の業務プロセスにおける現状の可視化と、アウトソーシングの実現性を検討し、適切な領域をアウトソーシングすることが、その効果を高める上で重要なポイントです。しかし、そのような作業を顧客企業内で担当者が実施するには高度なスキルと膨大な作業量が必要となり、自社だけで対応することが難しいケースも散見されます。そのため業務の可視化とアウトソーシングの実現性の検討、及びアウトソーシング後のデジタル活用による生産性向上などを含めた、企業にとって最適な業務再構築案を提案するのが当社グループのBPOコンサルタントです。BPOコンサルタントは、業務の再構築に必要となるロジカルシンキングやIT知識、人事BPOにおける労務知識、経理BPOにおける会計知識などの専門教育を受けており、当社グループにおける業務設計ノウハウである「BMA思想」の習得をしております。BMAとはBusiness Model Architectureの略で、当社が保有する「経営資源を効率的に配分するための思想」であり、企業の経営資源の分配状況を「組織」「業務プロセス」「情報」「情報基盤」の四つのカテゴリで可視化し、20に及ぶフレームワークを用いて、企業戦略に整合するように再設計するメソッドとなります。当社はこのBMA思想を用いてコンサルタントが描き業務設計した業務の「あるべき姿」を示すだけではなく、「業務の再構築」の手段としてBPOをご提案します。一般的なコンサルティング会社では、業務の遂行までは担いませんが、当社はBPOコンサルタントが示した「あるべき姿」を実現するための担い手として、当社グループのオペレーション部門が業務の実行までを一貫して行うことで、着実に「あるべき姿」を実現し、またその先にある「さらなる改善」までも責任をもって実現することが可能です。
e 確かな品質と教育
当社グループは、オペレーションセンターに求められることを「オペレーターのスキルとマインド」「スーパーバイザーの運営力と指導力」「センターミッション(センターの役割、ビジョン、目標)の実現」の3つの要素で定義しております。
「オペレーターのスキルとマインド」を高めるために、現場のスーパーバイザーによる品質管理、改善指導に加え、本社の専門部門によるモニタリングを年間約3,000本、合わせてQua-cleによる自動モニタリングを年間4,000本実施しております。専門部門による全社の品質管理を行うことで、様々な業界業種の特性や傾向を分析し、応対品質の改善活動に活かしています。また品質の低下が見られる場合は、専門部門から対象センターに入り、改善指導を行なうこともあります。
「スーパーバイザーの運営力と指導力」については、アセスメント活用教育を取り入れております。当社は全国約1,500名のスーパーバイザー等が所属しており、1人1人の「スキルマップ習得度」と「コンピテンシー習得度」を年に1回調査しております。「スキルマップ」は対応できる業務の幅を示しており、「コンピテンシー」は業務の深さを把握するものです。このデータから全体傾向をつかむことでスーパーバイザー向けの研修やトレーニングメニューの開発に活かしており、「階層別研修(スキルマップコンピテンシー複合型)」「技能研修(講義・スキルマップ型)」「技能研修(実践・コンピテンシー型)」のスーパーバイザー向け教育コンテンツが80程度存在しており、必要なものを選んでいつでも受講できる仕組みとなっております。
「センターミッションの実現」に向けては、顧客企業に合わせた「顧客理解教育」におけるオリジナル教育メソッド「ミライ転換力」を活用した品質向上を図っております。このメソッドは、どの業界業種でも当てはまる「顧客理解教育」となっており、このメソッドを活用した教育プログラムの外販も実施しております。また社内資格制度「ミライ転換力マイスター」認定によって、メソッドの指導者を養成しています。
2. 親会社グループにおける当社の位置付け
親会社となる株式会社パソナグループを頂点とする企業グループは、連結子会社の「株式会社パソナ(人材派遣、委託・請負、人材紹介、再就職支援)」を中核とし、その他の連結子会社61社、非連結子会社13社、持分法適用会社10社、ならびに持分法を適用しない非連結子会社及び関連会社9社(2021年5月現在)で構成されており、「エキスパートサービス(人材派遣)、BPOサービス(委託・請負)、キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援)、福利厚生アウトソーシング」等の人材関連事業や地方創生事業等を行っております。
当社グループの「コンタクトセンター・BPO事業」は、㈱パソナグループの連結グループの事業セグメントにおいては「HRソリューション:エキスパートサービス、BPOサービス他」に属しております。
当社は、親会社グループ内においては「コンタクトセンターサービスを専門的に提供する唯一の事業会社」として明確な棲み分けがなされており、自社開発クラウドPBX Omnia LINKを強みとした、国内でも特徴のあるコンタクトセンターサービスを展開するとともに、これまでに培ってきた「業務の運営」を主軸としたBPOサービスの経験・ノウハウ等により、親会社グループ内外にかかわらず、独立性と競争優位性を持って事業を展開しております。
当社グループは経営の独立性を維持しながら、事業競合するサービスを含めて、親会社グループ各社と時には競い合い、時には連携することで当社グループの事業拡大を目指すと共に親会社グループ全体の事業拡大にも寄与し、人材サービス業界におけるプレゼンスを高め、当社グループ及び親会社グループの双方の企業価値向上を目指してまいります。
(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.有価証券報告書の提出会社であります。
3.特定子会社であります。
(注)1.当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一グループセグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
2.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数になります。
3.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
4.臨時従業員は契約社員及びアルバイトであり、派遣社員を除いております。臨時従業員の主たる業務はオペレーターとなります。
5.最近日までの1年間において従業員数が 55(697)名増加しておりますが、主として事業拡大による増員によるものであります。
(注)1.当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
2.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
3.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
4.臨時従業員は、契約社員及びアルバイトであり、派遣社員を除いております。臨時従業員の主たる業務はオペレーターとなります。
5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
6.最近日までの1年間において従業員数が 52(696)名増加しておりますが、主として事業拡大による増員によるものであります。
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。