第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第19期

決算年月

2020年12月

売上高

(千円)

2,790,181

経常利益

(千円)

27,637

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

33,032

包括利益

(千円)

33,495

純資産額

(千円)

455,236

総資産額

(千円)

1,468,294

1株当たり純資産額

(円)

29.10

1株当たり当期純利益

(円)

7.98

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

31.0

自己資本利益率

(%)

7.5

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

132,113

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

83,268

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

90,585

現金および現金同等物
の期末残高

(千円)

372,110

従業員数
 

(名)

91

 

(注) 1.当社は第19期より連結財務諸表を作成しております。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.連結経営指標の売上高と提出会社の経営指標の売上高が一致しているのは、当該連結子会社が完全子会社であり、システム開発や研究に特化しており、売上高のすべてが提出会社となっているためであります。

4.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

6.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

7.第19期は、売上が増加し、かつ、経常利益も増加しておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっているのは、売上債権の増加およびたな卸資産の増加によるものであります。

8.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向を除き、グループ外から当社グループへの出向含む)であり、臨時雇用者数については、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

9.連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式および作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けております。

10.当社は、2021年5月24日付で、A種優先株主による取得請求権の行使に基づき、A種優先株式を自己株式として取得し、対価としてA種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2021年5月31日付で取得したA種優先株式のすべてを消却しております。なお、2021年5月24日開催の取締役会決議により、2021年6月10日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っており、発行済株式数は4,141,620株となっておりますが、第19期の期首に当該株式分割が行われたものと仮定し、1株当たり純資産額および1株当たり当期純利益を算定しております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

売上高

(千円)

998,292

1,383,684

1,473,179

1,717,077

2,790,181

経常利益または経常損失(△)

(千円)

123,965

39,304

66,109

56,570

33,912

当期純利益または当期純損失(△)

(千円)

140,387

31,525

46,750

47,191

39,354

資本金

(千円)

227,000

227,000

227,000

294,000

294,000

発行済株式総数

 

 

 

 

 

 

 普通株式

(株)

120,554

120,554

120,554

120,554

120,554

 A種優先株式

 

17,500

17,500

純資産額

(千円)

41,032

71,950

119,313

421,740

460,849

総資産額

(千円)

602,748

577,176

786,339

1,261,002

1,473,595

1株当たり純資産額

(円)

340.37

596.83

989.71

19.84

30.65

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益または1株当たり当期純損失(△)

(円)

1,164.52

261.51

387.80

13.04

9.50

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

6.8

12.5

15.2

33.4

31.3

自己資本利益率

(%)

55.8

48.9

8.9

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

145,328

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

40,341

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

471,241

現金および現金同等物の期末残高

(千円)

496,345

従業員数

(名)

51

48

57

68

88

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.第15期は経常損失、当期純損失を計上しております。損失の要因は、第14期と比較し売上が減少したことによるものであります。

3.第18期の経常損失の計上は、研究開発への先行投資や販売力のさらなる向上のため社内体制、人材体制の整備を図ったこと等によるものであります。

4.第19期は第16期と比較し、売上が倍増しておりますが、第19期においては、2020年7月にリリースした「SECURE AI STORE LAB」や2020年9月リリースの「SECURE AI Office Base」の投資を行ったことにより利益水準は増加しておりません。

5.1株当たり純資産額については、優先株主に対する残余財産の分配額を控除して算定しております。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

7.第15期および第18期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

8.当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。

9.1株当たり配当額および配当性向は配当を実施していないため記載しておりません。

10.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向を除き、グループ外から当社グループへの出向含む)であり、臨時雇用者数については、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

11.第15期、第16期および第17期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。また、当社は第19期より連結財務諸表を作成しておりますので、第19期のキャッシュ・フローに関する各項目については記載しておりません。

12.第18期および第19期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式および作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けておりますが、第15期および第16期ならびに第17期の財務諸表については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

13.当社は、2021年5月24日開催の取締役会決議により、2021年6月10日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っております。第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額および1株当たり当期純利益または1株当たり当期純損失を算定しております。

14.当社は、2021年5月24日付で、A種優先株主による取得請求権の行使に基づき、A種優先株式を自己株式として取得し、対価としてA種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、2021年5月31日付で取得したA種優先株式のすべてを消却しております。なお、2021年5月24日開催の取締役会決議により、2021年6月10日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っており、発行済株式数は4,141,620株となっております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

  なお、第15期、第16期および第17期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

1株当たり純資産額

(円)

11.35

19.89

32.99

19.84

30.65

1株当たり当期純利益または1株当たり当期純損失(△)

(円)

△38.82

8.72

12.93

△13.04

9.50

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(うち1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2002年10月

東京都台東区東上野に有限会社セキュア設立

2004年2月

株式会社セキュアへ組織変更

2005年10月

東京都新宿区西新宿へ本社移転

2006年8月

ドアロック「Sefirio」で経済産業大臣賞を受賞

2010年10月

セキュア第2創業(BtoC ⇒ BtoBへ転換)スタート

オフィス向けの入退室管理システムや監視カメラシステムの本格販売開始

2011年4月

大阪営業所を大阪市中央区に開設

2012年5月

福岡営業所を福岡市博多区に開設

2013年10月

福島営業所を福島県郡山市に開設

2014年8月

東京都新宿区西新宿 新宿住友ビルへ本社移転

2016年5月

クラウド型監視カメラサービス「Secure VSaaS」リリース

2018年10月

AIによる混雑度見える化クラウドサービス「混雑カウント」リリース

2019年10月

東京都多摩市に「Security System Lab」を開設

2020年3月

韓国京畿道城南市に新会社SECURE KOREA, Inc.設立

2020年7月

新宿住友ビルB1階に「SECURE AI STORE LAB」を開設

2020年9月

クラウド型入退室管理サービス「SECURE AI Office Base」リリース

2020年11月

監視カメラ映像のAI解析によるクラウド型の混雑度見える化サービス

「SECURE群衆カウントソリューション」リリース

2021年4月

「SECURE AI STORE LAB」を未来型AI無人店舗「DIME LOUNGE STORE」としてリニューアル

2021年6月

綜合警備保障株式会社と共同開発した「ALSOK混雑状況配信サービス」リリース

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、2010年10月に入退室管理システムおよび監視カメラシステムの本格販売を開始して以降、入退室管理システム、監視カメラシステムを中心としたセキュリティシステム構築における最適化を柱に着実に事業規模を拡大してまいりました。

一昔前の企業におけるセキュリティの定義とは「生命と財産の保全」でした。しかしながら、2010年以降、SNSの普及によって企業は新たに「信用や評判」なども守らなければならない重要な要素となるとともに、IT人材の不足や基幹システムの老朽化に対処するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)への取組みが、喫緊の経営課題となってまいりました。さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって「従業員の健康管理」も企業にとって重要なセキュリティ要素として付け加わりました。これらを踏まえ、セキュリティはあらゆる企業にとって、これまで以上に必要不可欠なものとなっております。

一方、「これらのリスクから如何に守るのか?」という経営課題への対応は、企業毎に組織や物理的ロケーション、取り扱う商品・サービスや技術、重要な情報などがそれぞれ異なるので、対策すべき領域やレベルもそれぞれに異なります。過去において、セキュリティシステムは導入すること自体で犯罪に対する抑止効果を得られ、一定程度の効果を発揮してきましたが、昨今における新たな脅威(リスク)から企業を守るとともにDXを追求していくためには、そのセキュリティシステムの運用を強化することが求められており、そのため企業からのニーズも一層多様なものとなってきております。そうしたニーズに対応できるセキュリティシステムは非常に複雑なものとなっておりシステム導入の主な課題として、様々なデバイスで構成されるセキュリティシステムの互換性をどのように担保すればよいのか、膨大なデータ量が流れるネットワークシステムの安定性とコストをどのように両立させるのか、顔認証などのAI(画像認識)をどのようにセキュリティシステムに実装するのがよいかといった課題があります。

そうした中で、当社グループでは「SECURE AC(=Access Control:入退室管理システム)」「SECURE VS(=Video Surveillance:監視カメラシステム)」「SECURE Analytics(画像解析サービス)」という3つのサービスを各社のニーズに合ったデバイスとソフトウェアを組み合わせてワンストップで提供することで中小企業から大企業まで幅広い顧客(2021年9月末時点で6,398社)へ販売しております。また入退室管理システムにおける顔認証システムや、監視カメラシステムの一部サービスにはAI(画像認識)の技術を使用しており、当社グループではデバイスとの組み合わせで最適なAIアルゴリズムを外部から調達しAIの実装を含めたシステム構築、導入・施工、アフターフォローまでの一気通貫したソリューションを提供しております。また当社グループでは、2010年にBtoB事業に転換した時からAI(画像認識)技術を監視カメラ等の物理セキュリティシステムに実装し最適化して提供する研究開発を行っており、システム構築の最適化と掛け合わされることでAI(画像認識)の運用効果を高め、より付加価値の高いサービスとして提供することが可能となっております。

例えば、顔認証や人物の行動分析などを行うことにより、犯罪の早期発見や予知などに役立てることが可能となるように、こうしたAI(画像認識)技術を実装した物理セキュリティシステムは、防犯の高度化を追求する一方で、単なる防犯という意味のセキュリティのみならず、業務の分析やマーケティングリサーチ、店舗におけるレジ等の省力化、イベント会場等での本人確認など、セキュリティ以外の様々な分野に応用が可能であり、当社グループでは、こうした顧客の多様なニーズに合わせて最適化したソリューションとして提供しております。

また、物理セキュリティシステム導入にかかる一連のソリューションを一気通貫で提供できることが大きな強みであり、多くのエンドユーザーやパートナー企業の皆さまより信認を得ているものと考えております。今後も、従来からの当社グループの強みである前述のサービスに顔認証、人の行動分析、人検出、群衆解析のテクノロジーを付加し、物理セキュリティシステムとAI(画像認識)技術を掛け合わせた「安心」「安全」とプラスアルファの価値を提供することにより、顧客企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みを積極的にサポートすることを通じて、広く社会に貢献してまいります。


 

(1)当社グループが提供するサービスの内容

当社グループが提供する具体的なサービスの内容は以下の通りとなります。

種類

 商品・サービス

主な特徴

SECURE AC

入退室管理システム

オンプレミス型

入退室管理システム

IP(※)ベースのオンプレ型入退室管理システム。カード認証またはAI(画像認識)を活用した顔認証・指紋認証等のID認証リーダーとサーバーのみの構成で拡張性に優れ、小規模から大規模まで対応が可能。

クラウド型

入退室管理システム

SECURE AI Office Base

オフィスのフリーアドレス化やサテライトオフィスの活用等、新しいワークスタイルを実現するクラウド型入退室管理システム。AI(画像認識)を活用して事前登録を行った社員の入退室管理の他、測温による健康管理や勤怠管理、オフィスの稼働状況、混雑度、勤怠状況、勤務時の表情等様々な分析が可能。

のぞき見防止ソフト

顔認証覗き見ブロッカー

パソコンのぞき見(ショルダーハッキング)による情報漏えいをブロックするAI顔認証ソリューション。登録者以外の顔を検知すると画面をロックし操作中の情報の機密性を担保する。パソコンへのアクセスをコントロールするという概念から、SECURE ACとして分類。

SECURE VS

監視カメラシステム

オンプレミス型

監視カメラシステム

幅広い製品群からクライアントの課題を解決するオンプレミス型監視カメラシステム。アナログカメラ、IPカメラ、レコーダーなど多種多様なラインナップを揃えており、異なる規格のカメラであっても統合して運用することが可能。カメラ4台から10万台を超える大規模システムまで構築運用が可能。監視カメラの映像を分析する専用デバイスも提供。

クラウド型

監視カメラシステム

SECURE VSaaS

初期導入費用を抑え、必要に応じて拡張が可能な小規模向けクラウド型監視カメラシステム。モバイルやPCで高画質な映像を確認することができ、7日間から90日間の録画プランを提供。防犯としての活用方法以外にも各店舗・事業所の業務遂行状況を本社で確認する等、一括管理も可能。

顔認証システム

Face Tracker

 

AI顔認証技術を採用した監視カメラ用顔認証ソリューション。登録人物、非登録人物を識別し、外部への通知と顔情報を管理する。顔認証によるログ検知によって勤怠管理にも応用可能。

SECURE Analytics

画像解析サービス

客数情報解析アプリケーション

VEMCOUNT

AI(画像認識)専用ステレオカメラで施設の入退場者、滞留人数を正確に計測するサービス。ダッシュボードによる多拠点一括管理が可能。領域制限やアラート出力も可能。

混雑見える化ソリューション

混雑カウント

AI(画像認識)専用ステレオカメラによって人数を計測し、5段階のアイコン表示で混雑具合を見える化するサービス。一般利用者向けにWebサイトにて各種施設(温泉・商業施設等)の混雑具合を表示させたり、従業員向けに社内ポータルサイト等にてカフェ・食堂等の混雑度をリアルタイムで表示することが可能。運営開始後は蓄積した混雑度のデータを解析し、1週間の混雑度予測も可能。

 

IP:インターネットプロトコルの略であり、インターネット上で情報のやり取りをする際の通信方式

 

 

(2)当社グループの事業の特徴

①優れた研究開発力

当社グループでは「Security System Lab」と「SECURE AI STORE LAB」という2つのラボ(研究開発施設)と、韓国京畿道城南市に「SECURE KOREA, Inc.」を保有し、AI(画像認識)技術と物理セキュリティを掛け合わせたシステムの価値を向上させるための研究開発を行なっております。

 

a 「Security System Lab」(最適化に向けたシステム研究)

物理セキュリティシステムは、それぞれメーカーの違う多数のセキュリティデバイスやソフトウェア・サーバー・ネットワーク機器を用いて構成される非常に複雑なシステムです。また、設置するためにはITネットワークの設計だけでなく、建築・施工のノウハウも必要となります。さらに、物理セキュリティシステムを導入する際に適したデバイスの選定やシステムへのAI(画像認識)の実装方法は、非常に幅広い分野のテクニカルスキル・ノウハウを要し、デバイスの設置位置や設定方法ひとつで認証精度は大きく変化します。

当社グループの「Security System Lab」では、無数にある物理セキュリティシステムの構築パターンから、顧客が求めるパフォーマンス・安定性・コストなどを考慮の上で最適化されたシステムの研究に取組んでおります。これらの研究開発の成果を最大限に発揮できるデバイスと組み合わせることにより、多様な顧客ニーズに対応可能な最適化されたセキュリティシステムの構築が可能となっております。AI(画像認識)を活用するサービス(顔認証による入退室管理システムおよびVSの一部サービス)においては、顧客のニーズに合ったAIアルゴリズムの性能・コスト・安定性を考慮・研究・評価し、それを搭載するのに最適なデバイスを選定した上でこれらを調達⇒AIを実装したアプリケーション開発を行っております。また同時に、こうした最適化されたセキュリティシステムを物理セキュリティシステム導入にかかる一連のソリューションとして提案できる専門人材の育成についても本Labにて実施しております。

その結果、当社グループでは、AIアルゴリズムの調達からAIの実装を含めたシステム設計、導入・施工、アフターフォローまでの一気通貫で提供することを可能としており、多くのエンドユーザーやパートナー企業の皆さまより信認を得ているものと考えております。

 


 

b 「SECURE AI STORE LAB(無人店舗)」(さらなるAI(画像認識)活用方法の研究)

「SECURE AI STORE LAB」では、当社グループの入退室管理システムと監視カメラシステムを応用することで、顔認証によって手ぶらで買物ができる次世代型無人化店舗の実験運用を行っております。

当該AIの開発にあたっては、無人化店舗が実際に利用されるロケーションにて獲得されたデータを基に学習させる必要があります。

当社グループの「SECURE AI STORE LAB」では、実験運用を行うことで獲得するデータ等を基に実際のリテールのシーンで活用可能なAIの開発のみならず、リテール企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)のための商品開発にも取組んでおります。

 

 


         AI STORE LABの全景

 

c 「SECURE KOREA, Inc.」(新たなサービスの開発)

「SECURE KOREA, Inc.」は、当社グループの技術を活用した新たなサービスの開発を行うため、韓国京畿道城南市に2020年3月に設立した子会社です。

グローバルな視点における顔認証技術に関する最先端かつ高度な知識と経験を有する技術者を配置して、当社グループの技術を活用した新たなサービスの開発に取組んでおり、直近の研究開発内容としては「SECURE AI Office Base」が挙げられます。

この「SECURE AI Office Base」は、AI(画像認識)を活用したクラウド型の入退室管理システムであり、既存のオンプレミス型入退室管理システムにはなかったリモートによるオフィスの入退室状況・混雑状況の把握や従業員の出退勤および在籍管理・健康管理(体温・表情等)までを一元的に管理できる新システムで、2020年9月よりサービスの提供を開始いたしました。

 

②顔認証などのAI(画像認識)技術の最適化

当社グループでは、AI(画像認識)の代表的な技術である顔認証技術をカメラ等の多数の物理的なデバイスにおいて最適化することで、特定の人物の特徴を分析して映像から顔を検出し、属性の分析を行い、その結果をリアルタイムに通知することで様々なソリューションを提供しております。なお、当社グループで取り扱っている顔認証のソリューションは、ビジュアルベース(2D認証)とIRベース(3D認証)の2つの方式を採用しています。

<ビジュアルベース(2D認証)>

・撮影した画像から「輪郭」や「目・鼻・口」といったパーツの位置関係を計測

・計測した顔をテンプレート化して、それを基に登録されている個人かどうかを特定する方式

<IRベース(3D認証)>

・ビジュアルベースに加え、赤外線カメラによって顔の凹凸など奥行き情報をデータ化して、登録されている人物かどうかを特定する方式

  当社グループでは、こうした顔認証に用いるアルゴリズムを外部から調達・選択し、最適化した上で物理セキュリティシステムに実装することで、より高い付加価値のあるセキュリティシステムとして提供しています。その結果、AI顔認証関連の商品はライセンス・デバイスを合わせて2021年9月末時点で5,190件(うちライセンスは約34%程度)の導入実績があり、入退室管理用途の顔認証シェアは2019年実績で28.8%、2020年見込で37.7%(数量ベース)となっております(出典:富士経済「2020セキュリティ関連市場の将来展望」)。

 

③顧客ニーズに合わせた付加価値の高いサービスの提供

当社グループでは、単一的なサービスの提供に限らず、顧客の多様なニーズに沿った付加価値の高いサービスを提供することが可能となっております。例えば、入退室管理システムの導入においては、顔認証による扉の施錠管理のみならず、扉の開閉に連動した勤怠管理や、顔認証による測温等の健康管理、監視カメラシステムと連動したオフィスの混雑度の見える化など、物理セキュリティシステムの導入に係る顧客ニーズを解決するための一連のソリューションとして提供することが可能となっているため、その結果として多くの中小企業から大企業に至るまで、幅広い顧客層から選ばれているものと考えております。

 


 

④販売パートナーとの連携

当社グループでは、当社が直接エンドユーザーに接触する直販のみならず、2021年9月末時点において211社の販売パートナー(代理店)企業を有しており、これらの販売パートナーが有する顧客基盤に対しての代理販売を展開していることも大きな特徴であり、販売パートナー経由での売上比率は約9割を占めております。

オフィスデザイン会社・警備会社・OA機器販売会社等、企業におけるオフィス移転などの情報を瞬時に感知できる業種を中心に幅広い販売パートナー網を構築することにより、迅速かつ広範な需要の発掘と提案機会の拡大、迅速なソリューションの提案と高い競争優位性を確保することが可能となっております。

今後も、こうした販売パートナーの発掘・深耕を積極的に展開し、効率的かつ強力な営業基盤を維持・拡大し続けてまいります。

 

(3)事業系統図の概要

当社グループの事業系統図を図式化すると、下記の通りとなります。

 


 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

主要な事業
の内容

議決権の所有
(または被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

当社セキュリティシステムの開発

役員の兼任2名

SECURE KOREA, Inc.

韓国京畿道

城南市

100,000千

ウォン

セキュリティソリューション事業

100.0

 

(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

 2.特定子会社に該当する会社はありません。

 3.有価証券届出書または有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2021年10月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

セキュリティソリューション事業

99

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向を除き、グループ外から当社グループへの出向含む)であり、臨時雇用者数については、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.当社グループはセキュリティソリューション事業の単一セグメントとなっているため、連結会社の従業員数の合計を記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2021年10月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

95

38.2

4.0

5,561

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向を除き、グループ外から当社グループへの出向含む)であり、臨時雇用者数については、臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、セキュリティソリューション事業の単一セグメントとなっているため、セグメント別の記載を省略しております。

4.従業員数が最近1年間において6名増加しましたのは、主として事業拡大に伴う採用によるものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。