第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第14期

第15期

決算年月

  2019年12月

  2020年12月

売上高

(千円)

459,224

経常損失(△)

(千円)

65,687

親会社株主に帰属する

当期純損失(△)

(千円)

41,181

包括利益

(千円)

40,803

純資産額

(千円)

17,449

総資産額

(千円)

380,639

1株当たり純資産額

(円)

9.24

1株当たり当期純損失(△)

(円)

21.85

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

4.6

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

35,909

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

26,613

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

42,395

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

189,624

従業員数

(人)

22

(外、平均臨時雇用者数)

3

-)

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

   2.当社は第14期に、連結子会社であったf-code (Hong Kong) Co., Ltd.を清算し、また、連結子会社であったf-code (Thailand)Co.,Ltd.が清算手続の進展により重要性が乏しくなったため、第15期より連結の範囲から除外し、連結子会社が存在しなくなったため、第15期より連結財務諸表を作成しておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

4.自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。

6.従業員数は正社員及び契約社員の数であります。

    なお、臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

7.第14期の連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。

8.2021年8月18日開催の取締役会決議により、2021年9月14日付で普通株式1株につき300株の株式分割を行っておりますが、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

 

回次

第11期

第12期

第13期

第14期

第15期

決算年月

  2016年12月

  2017年12月

  2018年12月

  2019年12月

  2020年12月

売上高

(千円)

298,688

394,331

421,535

458,986

531,528

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

33,459

9,137

276,338

64,412

30,940

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

23,746

12,070

336,258

39,906

40,585

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

10,000

10,000

100,000

100,000

100,000

発行済株式総数

(株)

5,525

5,525

6,262

6,294

6,294

純資産額

(千円)

70,279

53,010

40,816

16,189

56,774

総資産額

(千円)

380,385

379,556

381,386

379,210

518,153

1株当たり純資産額

(円)

12,720.25

9,921.48

6,518.08

8.57

30.07

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

又は当期純損失(△)

(円)

4,297.93

2,218.90

57,284.19

21.17

21.49

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

18.5

14.0

10.7

4.3

11.0

自己資本利益率

(%)

40.7

111.2

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

53,338

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

2,893

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

86,906

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

325,207

従業員数

(人)

18

24

27

22

20

(外、平均臨時雇用者数)

3

3

4

3

2

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

3.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第11期については潜在株式が存在しないため、第12期、第13期、第14期については潜在株式が存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、第15期については潜在株式が存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

5.自己資本利益率については、第12期、第13期及び第14期については当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

6.株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。

7.第11期、第12期及び第13期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、また、第14期は連結財務諸表を作成しているため、それぞれキャッシュ・フローに係る各項目については、記載しておりません。

8.従業員数は正社員及び契約社員の数であります。

  なお、臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

9.第14期及び第15期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。

 

  なお、第11期、第12期及び第13期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人による監査を受けておりません。

10.第13期及び第14期については、新規プロダクトの研究開発等によって経費が増加したことにより、経常損失及び当期純損失を計上しておりますが、開発等の大部分が第13期中に完了したことに伴い経費が減少したことや、新規サービスを提供する顧客数が増加したことにより黒字転換し、第15期においては経常利益及び当期純利益を計上しております。

11.2021年8月18日開催の取締役会決議により、2021年9月14日付で普通株式1株につき300株の株式分割を行っておりますが、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

12.当社は、2021年9月14日付で株式1株につき300株の株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第11期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下のとおりとなります。

なお、第11期、第12期及び第13期の数値については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第11期

第12期

第13期

第14期

第15期

決算年月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

1株当たり純資産額

(円)

42.40

33.07

21.73

8.57

30.07

1株当たり当期純利益

又は当期純損失(△)

(円)

14.33

△7.40

△190.96

△21.17

21.49

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2006年3月

東京都目黒区に、WEBコンサルティング事業を提供する会社として創業

2008年10月

東京都新宿区に本社を移転

2012年5月

東京都千代田区に本社を移転

2013年2月

エントリーフォーム最適化ツール「f-traEFO」を提供開始

2015年12月

タイ政府の投資認可「BOI(Board Of Investment)認可」を取得

2016年1月

タイ・バンコクに現地法人「f-code (Thailand)Co.,Ltd.」を設立(2021年9月清算結了)

2016年5月

Web接客ツール「f-traCTA」を提供開始

2016年12月

ブラウザプッシュ通知ツール「f-traPush」を提供開始

2016年12月

香港に現地法人「f-code (Hong Kong)Co.,Ltd.」を設立(2019年3月清算結了)

2017年7月

インドネシア・ジャカルタに現地事務所を開設(2020年6月閉鎖)

2018年7月

Web接客ツール「CODE Marketing Cloud」を提供開始

2018年8月

東京都新宿区に本社を移転

 

 

 

3 【事業の内容】

(1)ミッション

当社は「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」というミッションを掲げ、未だ無限の可能性を秘めた事業活動のデジタル化の領域において、経験を有するコンサルタントによる直接的なサービスと、その知見を具現化したソフトウェアの提供により、事業者とその先にいる生活者(注1)との豊かな関係をつなぐハブになるべく、デジタルマーケティングナレッジを提供しております。

 情報化の進展した現代にあっても、事業者の所在地やデジタル人材の獲得の難しさ、資金力の有無などによって最先端のビジネスに関する人・モノ・情報へのアクセスは、依然として事業者ごとに偏りが見られ、デジタル社会の高度化に伴いその差はむしろ拡大している側面すらあります。進化し続けるデジタルテクノロジーと複雑化が進むマーケティングノウハウを背景として、この状況は今後ますます拡大していくことが想定されますが、その一方で、事業者自身は特定業務のデジタルへの置き換えといった初歩的なことから、さらにはビジネス変革、事業成長へとつなげるデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX、注2)への取り組み意識まで、デジタル技術活用の事業戦略上の重要性をよりいっそう大きなものとして認識している現状があります。
 また、商品・サービスの提供者側のDXが活発化する中、最終的に情報・サービスを受け取る生活者側がDX化のメリットを十分に享受してカスタマー・ エクスペリエンス(以下、CX、注3)を充実したものへ高めることが、生活者と事業者の豊かな関係を育むうえで重要ですが、価値観が多様化し、デジタル技術の進展により情報接点の氾濫した環境において、生活者と事業者とのコミュニケーションは複雑さを増しており、かえって望む情報と出会うこと・届けることが難しくなっている側面が出てきております。
 このように複雑化した生活者と事業者との関係性、及びデジタルを取り巻く状況下では、従来のIT化のような技術的側面からのアプローチではなく、深いインサイトに基づいて情報社会における生活者のかかえる課題を理解する視点に立ったコミュニケーション設計と同時に、そのコミュニケーションを実現するに至らしめる高度な技術設計の2つの要素が必要不可欠であると当社は考えております。
 当社は、CXにおけるこれらの高度なコミュニケーションの設計及び分析と、DXにおいてそれらを実現及び推進する技術力とを合わせ持つ「マーケティングテクノロジスト」集団として、複雑化した生活者と事業者の関係性を最適化しマーケティング革新に寄与することで、世界中の企業においてDXを推進し、より豊かな情報社会の実現を目指してまいります。

 

(注1)本文中において、世の中一般の不特定多数の人々を「生活者」、当社がサービスを提供する相手を「事業者」、当社がサービスを提

        供する相手に限定しない不特定多数のサービス利用者を「顧客」と表記しております。

(注2)DXとは、Digital Transformationの略で、新しいデジタル技術を活用し、企業におけるこれまでの組織やシステム、ビジネスモデル

        等を、より付加価値の高いものへと変貌させ、利益や生産性の向上を図ることをいいます。

(注3)CXとは、Customer Experienceの略で、一般的に「顧客体験」と訳されますが、顧客がよいと感じられる体験、つまり「顧客が体験

        して得られる価値」までも含めて定義しております。 

 

(2)事業の概要

 ①当社が考えるDX

 DXの領域においては、例えばCRM(注4)等による顧客管理の自動化やレコメンド等によるデジタル広告の自動・最適化、VOC(注5)データ等の分析による営業活動改善、あるいはRPA(注6)等を活用した日常業務等の自動化など、具体化された課題領域が多種多様にわたっており、また、個々の課題それぞれに対してソリューションを提供するような個別のシステムやサービスが数多く存在しております。

DXを進めるにあたっては、市場に存在するこれらの個別のシステムやサービスを課題ごとに取り入れた結果、デジタル施策等はそれらが機能する領域のみにおいて推進され、部分最適に陥り、最終的に情報を受け取る生活者にとっては、むしろ望むタイミングで望む情報と出会うことが難しくなってしまうケースがあると考えられます。

当社は、このようなケースが散見される中、従来のマーケティングにおける仮説ベースで設計された個々のデジタル施策には生活者の体験観点が限定的であると考え、購買現場、すなわち「生活者の目線」をCXのデータ解析により理解し、CXのデータに基づいた実証ベースによって個々のデジタル施策を設計することが、CXを損なうことなくDX推進を図るうえで重要であると認識しております。

当社では、現代における事業者と生活者とのデジタル上における複雑化したコミュニケーションの環境をふまえて、DX領域における多種多様な個別課題の背景に存在している"デジタル上での顧客接点がどうあるべきか"というCXの全体観を整理・設計したうえで、DXによって解決すべき課題とその優先順位を明確化し、個々のデジタル施策等が戦略上一体となって効果を発揮するようなDX推進サービスを展開しております。

 

(当社が考えるDXの本質)

 


 

②独自のCXデータ基盤をコアとするDX

当社では、かねてよりコンサルタントによる直接的な人的支援によって、事業者がかかえる事業課題と紐づいたデジタルマーケティングの戦略立案・支援サービスを提供してきており、これまでの実績・経験から、事業課題に即したソリューション提供の数々の事例を再現可能な形にするためにノウハウ・知見として蓄積してまいりました。

また、これまでのサービス提供の過程において、CXの重要性に着目し、2013年より10年近くにわたりSaaS(注7)型のマーケティングツールとして、エントリーフォーム最適化ツールやブラウザプッシュ通知ツール、Web接客ツールなど、広告配信データやサイト解析データだけではなく、エントリーフォームの入力事項やサイト内のチャット等の反応といったユーザーとの深いコミュニケーション領域におけるデジタルマーケティングサービスを提供してまいりました。

このような業歴から、EFO(注8)データやVOCデータ、Web接客データといった「ユーザーの生の声」とも言えるCX領域のデータを長年にわたり蓄えるとともに、業界別・課題別の知見・ノウハウとして参照可能なデータ基盤へと強化してまいりました。

 

さらに、サービス提供の進捗を通じて事業者の課題ごとに最適化されていく当社のソリューションは、新たなフィードバックとしてCXデータ基盤のアップデートへとつながり、これまでに培った知見・ノウハウ及び蓄えられた独自のCXデータは累計にして1,000社、アカウント数は3,000件を超えるユニークなCXデータ基盤として進化を続けており、より質の高いDX推進サービスのために不可欠なものとなっております。

 

 

(当社の保有する独自のCXデータ基盤)

 


 

当社は、この独自のCXデータ基盤を保有することで、業界別・課題別に顧客企業にとってあるべきCX体験を分析、CXの全体観を設計し、そのために必要なDX施策を選択・実行していきます。

顧客経営レベルの戦略策定と課題の解決の場面においてデジタル化が浸透していない現状に対し(未だに断片的な市場データ等から人力と経験による仮説を重ねるアプローチが主流である状態)、これまでに構築してきたCXデータ基盤等のデータアセットをコアに、DX推進へ取り組むにあたりプロジェクト開始時点から参照し、顧客企業の属する市場の調査や同業他社の戦略分析から戦略策定まで、顧客経営レベルの課題解決に向けたDX推進サービスの提供を目指しております。

 

 

(当社が提供するDX推進サービスの流れ)

 


 

(注4)CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、顧客との取引や関係を見直すことで、売上や利益率を向上させる仕組みのこ

    とを意味します。

(注5)VOCとは、Voice of Customerの略で、顧客からの実際に寄せられる、商品サービスや企業に対するフィードバックをまとめたデータ

       のことを意味します。

(注6)RPAとは、Robotic Process Automation略で、ロボットによる業務自動化の取り組みを指します。

(注7)SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアを利用者(顧客)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働

    しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するものをいいます。

(注8)EFOとは、Entry Form Optimizationの略で、Webサイトの申し込みフォームの入力完了率を高めるために、フォームを改善する施策

    のことを意味します。

(注9)LTVとは、Life Time Valueの略で、顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のことを指し、1人のユーザー獲得にかけることができ

    る費用(マーケティングコスト)を算出するための指標を表します。 

 

(3)サービスの概要

当社はDX事業の単一のセグメントにて事業を行っております。

CX領域のデータ基盤をコアに企業のDX推進をワンストップで支援しておりますが、顧客課題及びニーズ、フェイズなどを考慮して、「デジタル顧客獲得支援サービス」「デジタル顧客育成支援サービス」の2つのDX支援のサービス領域に大別したうえでサービスを展開しております。

以下にそれぞれの支援領域ごとの内容を記載いたします。

 

① デジタル顧客獲得支援サービス

デジタル顧客獲得支援サービスにおいては、顧客企業の属する市場調査や同業他社の戦略分析から戦略策定、また、戦略実行段階を担う人材育成など、デジタル戦略全般に影響を及ぼす戦略設計・組織設計の支援を行い、それらが整理された段階では、顧客企業と生活者とのデジタルを通したコミュニケーション構築の支援までを行っております。

具体的には、当社の膨大なCXデータ基盤を活用した同業他社との比較分析と、当社コンサルタントによるデジタル戦略立案の支援や、DX推進の人材不足が発生するケースにおいて若手幹部人材への研修実施等のDX人材育成プログラムの提供をしております。また、全体的な戦略が決定している段階においては、Web媒体上での集客等を目的とした広告運用をデータ分析・改善に至るまでを担うコンサルティング、顧客WEBサイトの集客力を継続的に維持向上させるためにコンテンツの企画・制作・分析・改善までの施策を一貫して支援するなど、豊富な経験を有する当社コンサルタントの直接支援を通じて個別のデジタルサービスを顧客ごとの課題に即して提供しております。

 

② デジタル顧客育成支援サービス

デジタル顧客育成支援サービスにおいては、獲得したリード(注10)に対して成約率上昇・継続率上昇のための支援を中心に行っております。

具体的には、自社プロダクト「CODE Marketing Cloud」を活用したUI/UX(注11)の改善支援や、Webサイト上での生活者とのコミュニケーション接点構築後、CTI連携(注12)によってコール営業のデータ分析から商談成約率向上支援などのインサイドセールス(注13)改善支援を顧客ごとの課題に即して提供しております。

 

なお、当社がサービスを提供する対象領域自体については、特定のDX領域に限定されることはなく、広告領域・UI/UX・営業活動・CRM領域等、企業の様々なDXニーズに対応するべく幅広い市場に展開している状況です。

このような複数・広範囲のサービス提供によって、当社の顧客数は増加傾向にあり、また顧客単価も上昇傾向にあり、引き続き顧客基盤の拡大を目指しております。

 

項目

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

顧客数(社数)

240

254

273

303

顧客単価(千円)

1,643

1,660

1,672

1,759

 

 

 

また、CXデータ解析によって最適化されたデジタル施策等は顧客企業のかかえるDXの課題に対して効果的であると考えられ、顧客企業のうち一定期間以上継続的に当社サービスを利用する割合は大きく、全体の売上高に占める継続型売上(注14)は第16期第3四半期末において80%を超える水準となっております。

 

(注10)リードとは、マーケティング用語で見込客のことを意味します。

(注11)UI/UXとは、User Interface/User Experienceの略で、UIとはデザイン、フォントや外観などユーザーの視覚に触れるすべての情報

        のことであり、UXとはユーザーがこれらUIを実装したサービスを通じて得られる体験のことを意味します。

(注12)CTIとは、Computer Telephony Integrationの略で、コンピューターと電話やFAXを統合させたシステムのことを意味し、CTI連携と

     は、CTIとCRM機能などを連携して、着信のある電話番号に関連する顧客情報を表示させたり、コンピューターの画面上から電話発信

        を行ったりする機能を意味します。

(注13)インサイドセールスとは、社内においてメールや電話等で営業活動を行う営業部隊のことを意味します。

(注14)ここで用いる継続型売上とは、原則として6カ月以上の継続業務発注のある取引先からの売上高のことを意味します。

 

1)デジタル顧客育成支援において提供する当社のマーケティングツールについて

当社は、創業当初より行うデジタルコンサルティング、デジタル広告運用などの実績・経験から得られた知見・ノウハウをSaaS型ソフトウェアとして昇華し、2013年2月よりマーケティングツールとして提供しております。

これまで、エントリーフォーム最適化ツール「f-tra EFO」(2013年2月提供開始)、Web接客ツール「f-tra CTA」(2016年5月提供開始)、ブラウザプッシュ通知(注15)ツール「f-tra Push」(2016年12月提供開始)など、広告データやサイト解析データだけではなく、エントリーフォーム入力事項やサイト内のチャット等の反応といったユーザーとの深いコミュニケーション領域におけるマーケティングツールの開発に取り組んでまいりました。

これらのツールから、コミュニケーション領域における最も深いユーザーデータを取得・蓄積することが可能となり、これまで各ツールが提供してきたサービスを統合・強化したプラットフォームの開発に着手し、2018年にWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」(2018年7月提供開始)へと発展させました。

現在は、SaaS型ソフトウェアとして「CODE Marketing Cloud」を主力として、その一部の機能を独立して提供する「f-tra EFO」とともにサービス提供を行っております。

 

(注15)ブラウザプッシュ通知とは、通知を許可したユーザーにWebブラウザ経由で、受信操作をせずにメッセージが自動表示される通知方

    式のことを意味します。

 

a. CODE Marketing Cloud

CODE Marketing Cloudは、企業ウェブサイトに来訪したユーザーに対し、ユーザーのサイト内での行動情報・購買情報などをもとに最適なタイミングでポップアップバナーなどの適切なコンテンツを自動提示し、サイト内の顧客体験をより良質なものへと改善することができるウェブ接客ツールを提供するサービスです。
 アクセスログや顧客企業の保有するデータなどを元に、サイトを訪れたユーザーに対して必要と考えられるコンテンツを自動提示することで、既存のページを大きく改修することなく、購入率・購入単価・顧客ロイヤリティの向上を図ります。継続的に機能の開発・拡張を行なっており、ウェブサイトの上に重ねて表示する視認性の高いポップアップバナーに加え、顧客企業のウェブサイト自体を書き換え、サイトの一部として溶け込んだ、より自然な印象での情報告知・ページ導線の追加を行うことが可能になっております。
 また、ツール提供に加えて、専門スタッフのみで組まれた導入後の運用支援体制を整備し、長期的な支援を可能としております。

 

b. f-tra EFO

f-tra EFOは、PCサイトまたはスマートフォンサイト内に設置されたエントリーフォームの入力支援機能を提供するサービスです。顧客企業のサイト内におけるユーザーの最終アクションともいえるエントリーフォームへの入力作業において、ユーザーの離脱を防止するために、入力形式の指示やエラー表示によってエントリーフォームを最適化し、ユーザーの入力ストレス・ミスの低減を通してフォーム完了率を向上させ、コンバージョン率(実際に購買や資料請求、お問い合わせ、会員登録などが行われた率)の改善を図り、金融業、不動産業、小売業(EC)などの業種への導入実績を有しております。

 

(4)当社事業の強み・特徴

当社事業の強みは、創業当初より蓄積されたCX領域のデータとノウハウの特殊性によりもたらされております。

1,000社を超える事例は、デジタル顧客獲得支援サービスから吸い上げられるデジタル広告等の関連データや、デジタル顧客育成支援サービスから取得されるUI/UX等に関するデータなど、顧客の業種、事業課題と紐づいた形で整理され、業種や業態だけではなく、顧客のテーマに合わせて分析可能なデータ基盤として完備されており、戦略立案から認知・獲得、獲得したリードの育成まで、一気通貫のノウハウとして当社の競争力の源泉となっております。

 

①DX領域を横断的に支援

DX領域においては、デジタルマーケティングにおける市場分析・戦略立案、広告展開提案、サイト解析、解析結果をうけた課題解決の実行など、それぞれの領域を推進することに特化した企業を中心にサービスが展開されておりますが、現状では各領域を横断的にワンストップで推進・支援するサービス提供者は不足していると考えられます。これに対して当社では、CXデータ解析をコアに横断的にDXサービスを展開し、今後のDXニーズの拡大に伴い必要とされるサービスを目指しております。

 

 

②DX人材の育成

当社は、高まるDXニーズに対して、市場において実際に提供されているサービスは個別課題へフォーカスされた施策が中心で、多様なDX領域を横断的に推進できる担い手が不足しており人材供給が難しい状況であると考えております。当社では、CXデータ基盤をはじめとする、これまでのデジタルコンサルティングの事例におけるベストプラクティスを自社参照可能なノウハウとして人材育成にも活用しており、市場で不足するDXを推進できる人材の再生産を可能とする人材育成ノウハウが強みとなっております。

 

(市場における課題と当社事業の特徴)

 


 

[事業系統図]

 


 

4 【関係会社の状況】

   該当事項はありません。

  なお、連結子会社でありましたf-code (Thailand)Co.,Ltd.が清算手続の進展により重要性が乏しくなったため、

 当事業年度より連結の範囲から除外されましたが、2021年9月17日付で清算が結了いたしました。

  このため、当事業年度末において、当社の関係会社はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

 

 2021年9月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

21

3

34.65

4.0

6,463

 

(注) 1.従業員数は正社員及び契約社員の数であります。

  なお、臨時雇用者数は、( )内に最近1年間の平均人員を外数で記載しております。

   2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

   3.当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 (2) 労働組合の状況

   当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。