第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第13期

第14期

決算年月

2019年8月

2020年8月

売上高

(千円)

1,144,765

1,398,155

経常利益

(千円)

54,852

101,510

親会社株主に帰属する

当期純利益

(千円)

71,973

68,970

包括利益

(千円)

74,151

68,326

純資産額

(千円)

228,387

296,714

総資産額

(千円)

739,390

1,056,515

1株当たり純資産額

(円)

178.43

231.81

1株当たり当期純利益

(円)

56.23

53.88

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

30.9

28.1

自己資本利益率

(%)

37.6

26.3

株価収益率

(倍)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

16,365

10,764

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

35,712

56,642

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

39,430

119,542

現金及び現金同等物の

期末残高

(千円)

174,514

247,289

従業員数

(人)

70

77

(外、平均臨時雇用者数)

(12)

(11)

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。

3.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

4.従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

5.第13期及び第14期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC京都監査法人の監査を受けております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2016年8月

2017年8月

2018年8月

2019年8月

2020年8月

売上高

(千円)

723,645

638,295

1,362,779

1,078,126

1,320,091

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

3,261

171,945

202,820

93,855

32,448

当期純利益又は

当期純損失(△)

(千円)

3,269

168,047

179,045

107,421

9,344

資本金

(千円)

150,000

150,000

150,000

150,000

150,000

発行済株式総数

(株)

1,280,000

1,280,000

1,280,000

1,280,000

1,280,000

純資産額

(千円)

170,815

2,767

181,813

289,235

279,890

総資産額

(千円)

551,897

690,280

740,728

775,540

1,008,960

1株当たり純資産額

(円)

133.45

2.16

142.04

225.97

218.66

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり

中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は

1株当たり当期純損失(△)

(円)

2.90

131.29

139.88

83.92

7.30

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

31.0

0.4

24.5

37.3

27.7

自己資本利益率

(%)

194.0

45.6

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

(人)

40

40

37

39

43

(外、平均臨時雇用者数)

(7)

(7)

(9)

(11)

(9)

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

   2.第10期は、事業規模拡大施策として借り入れた借入金の利息、廃版となった製品の廃棄損、期中の為替レートの大幅な変動による為替差損の発生により、経常損失を計上しております。

   3.第11期は、第11期に出荷を見込んでいた大型案件が第12期に延びたことにより、経常損失及び当期純損失を計上しております。

   4.第14期は、海外連結子会社の株式評価損と債権に対する貸倒引当金を計上したことにより、当期純損失を計上しております。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

   6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第10期、第12期及び第13期におきましては、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。第11期及び第14期におきましては、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また1株当たり当期純損失のため記載しておりません。

     7.自己資本利益率については、第10期は期首において債務超過であるため、第11期及び第14期は当期純損失計上のため、記載しておりません。

     8.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

     9.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

     10.第10期、第11期、第12期、第13期及び第14期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しております。なお、第13期及び第14期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC京都監査法人の監査を受けておりますが、第10期、第11期及び第12期の財務諸表については、当該監査を受けておりません。

 

2 【沿革】

   当社設立以後の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。

年月

概要

2006年9月

「ITを通じて皆様の会社を笑顔にすること」を目的として、滋賀県大津市に資本金560万円で株式会社アスタリスクを設立。
システムの受託開発を主に事業を開始。

2007年1月

企業向けリモートアクセスサービスの代理販売を開始。

2008年4月

関西地方での事業活動拡大を目的とし、大阪市淀川区に大阪事業所を開設。

「モバイルソリューションのアスタリスク」を会社のコンセプトとする。

2008年6月

資本金1,000万円に増資。

2008年6月

Apple Inc.によるiPhone3Gの発売を機に、これらを用いたシステムの研究を開始。

2010年3月

iPhoneなどを活用したモバイルPOS(「Point Of Sales」(販売時点情報管理)の略)システムSalaseeを発表。現在の主要事業AsReader事業への転換のきっかけとなる。

2010年11月

関東地方での事業活動を目的とし、東京都港区に東京事業所を開設。

2011年5月

本店を大阪市淀川区に移転(大阪市淀川区の大阪事業所を本店に変更)。

2012年5月

モバイル端末用のシステム開発を目的として、中国遼寧省大連市に100%出資の子会社大連明日星科技有限公司(資本金379,848人民元、現 連結子会社)を設立。

2013年10月

iPod touchに接続するバーコードリーダー(AsReader)販売開始。

2014年7月

iPhone、iPod touchに接続するRFIDリーダー/ライター(電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム)(AsReader)販売開始。

2014年8月

iPhoneに接続するバーコードリーダー(AsReader)販売開始。

2015年1月

欧米でのAsReader販売を目的として、米国カリフォルニア州トーランス市に100%出資の子会社AsReader, Inc.(資本金50,000米ドル、現 連結子会社)を設立。

2015年11月

当社開発プログラムSalasee(POSシステム)の著作権をプログラムソース含め他社に譲渡。

2016年3月

ベンチャーキャピタル5社の引受による第三者割当増資を実施。

資本金1億5千万円、資本準備金1億4千万円となる。

2017年10月

研究開発の技術センターとして、中国広東省深圳市に事務所を開設。

2017年10月

iPhone、iPod touchに接続する自動販売機業界向けハンディターミナル(AsReader)販売開始。

2017年12月

iPhone、iPod touchに接続する物流業界向けハンディターミナル(AsReader)販売開始。

2018年2月

欧州でのAsReader販売の拠点として、オランダロッテルダム市に100%出資の子会社AsReader Europe B.V.(資本金50,000ユーロ、現 連結子会社)を設立。

2019年5月

AsReader,Inc.の本店を米国オレゴン州ポートランド市に移転。

2019年5月

伊藤忠紙パルプ株式会社と資本業務提携契約を締結。

2019年6月

東京事業所を東京都中央区に移転。

2020年11月

東海地方での事業活動を目的とし、名古屋市中区に名古屋営業所を開設。

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社(株式会社アスタリスク)と海外連結子会社3社により構成されております。

当社グループは、「モノ認識」と「モバイル」を軸とした事業展開を行っております。独自の自動認識技術の研究開発を行い、画像認識技術やバーコードリーダー、RFID(Radio Frequency Identificationの略。電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム。電波が届く範囲であれば、RFタグが遠くにあっても読み取りが可能。)リーダーから、各業態の基幹システムや業務アプリケーションの運用まで一気通貫でハードウエア(AsReader)とソリューションパッケージを提供し、デジタル技術を活用して省力化や効率化を図るスマートファクトリーやスマートストアといった、様々な業態のスマート化を推進しております。

その中でもRFIDは、RFIDリーダーの電波での呼びかけに対してパッシブタグ(RFタグの1種。電源を内蔵せず、リーダーライターから発信される信号を電力に変換して機能するタイプのRFタグのこと)1個ずつが、それぞれ応答し、RFIDリーダーが情報を読み取ります。あらゆるモノにRFタグがつけられることで、モノまたは人の様々な状況変化を的確に捉えることが可能となります。また、RFIDには以下のような特徴があり、これから多くの業界で導入されると見込んでおり、製品開発や営業活動に力を入れております。

①非接触通信
 電波を用いてRFタグを読み取るため、電波の届く場所であれば、遠くのRFタグも読み取ることができます。例えば高いところにあるRFタグも読み取ることが可能であり、作業時間の短縮、作業者の安全確保に繋がります。

②一括読み取り
 電波の届く範囲のRFタグを一括して読み取ることが可能なため、バーコードのようにひとつひとつ読み取る必要はなく、複数の商品を一括で読み取ることが可能となります。

③透過性
  電波が箱などの中にまで届くため、箱などを開けなくても中のモノを読み取ることが可能です。作業効率が高まります。

当社グループの主力事業は、AsReaderシリーズの開発・販売を行うAsReader事業であります。システムインテグレーション事業は、単独のシステム開発ではなく、AsReaderシリーズを活用するためのシステム開発がメインとなっております。

当社のほか、新製品の研究・開発を主に行う連結子会社1社(大連明日星科技有限公司)、海外におけるAsReaderシリーズの販売を行う連結子会社2社(AsReader,Inc.、AsReader Europe B.V.)にて事業を展開しております。なお、以下の2事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
 

(1) 各事業の内容

〔AsReader事業〕

 AsReaderとは、当社製品のブランド名であります。

当社グループは、「自動認識技術を使った製品・サービス」の開発・販売を行っております。スマートフォンやタブレットなどに代表されるモバイル機器による業務改革をコンセプトに、モバイル機器に装着して使用するバーコードリーダーやRFIDリーダーなどのハードウエアの開発・販売を中心に事業を展開しております。また、スマートフォン内蔵カメラによりバーコードを読み取るタイプの製品も販売しております。現在は、使用場面の広がりに対応して、従来機である手のひらサイズのハンディタイプに加えて、アンテナ搭載でRFタグ(電波を用いて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体。)の読み取り距離10m以上のLongRange対応モデルであるGUNタイプ、RFタグのついた物品の入ったダンボールを台車に乗せたままダンボールから取り出すことなく読み取ることができるゲートタイプ、USB接続機器(パソコンなど)やLightning接続機器(iPhone、iPadなど)を、それぞれのケーブルを用いて有線接続して使用するBOXタイプ、アンテナシャフトが最大2mまで伸縮して倉庫上段などの高い場所にあるRFタグを読み取ることができるエクステンドタイプなどのラインナップをそろえております。
 さらに、スマートストア化のソリューションとして当社の人検出技術、動体追跡技術を用いた新しいタイプのセミセルフレジ・システムを2020年11月に発表しました。
 主力製品であるAsReaderには、1次元、2次元のバーコード(黒と白のバー(棒)で構成されたものが1次元、QRコードなど四角い形をしたものが2次元バーコード。)を読むバーコードリーダーとRFタグのデータを読むRFIDリーダー、自動販売機業界で活用されているIrDA(注1)に対応した赤外線通信リーダー、画像認識技術を用いたセミセルフレジなどがございます。その中で、RFIDリーダー/ライターは、経済産業省が、2017年4月にコンビニ各社と「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」を、2018年3月に一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会と「ドラッグストアスマート化宣言」を発表し、各種運用実験を進めていることもあり、RFタグの低価格化により導入提案がしやすくなってきております。AsReader製品のうち、主力製品であるバーコードリーダーとRFIDリーダー、赤外線通信リーダーの総出荷台数の推移は次のとおりです。

 

総出荷台数推移(単位:台)

 

総出荷台数

2016年8月期

8,634

2017年8月期

8,725

2018年8月期

31,837

2019年8月期

16,328

2020年8月期

16,860

2021年8月期

第3四半期連結累計期間

26,424

 

 

また、AsReaderの販売拡大に伴ってAsReader製品の長期保証サービス(保守売上)も展開しており、2020年8月期での保守売上実績は178百万円となりました。
 AsReaderの製品の製造は海外の生産委託協力会社である韓国のSPS Inc.等に委託しております。中でも主力製品でありますApple Inc.(以下、「Apple社」という)製品への対応品につきましては、開発・製造・販売をする場合にApple社のMFi(Made For iPhone, Made For iDevices)という認証制度があり、当社は当該Apple社のMFiライセンスを保有しています。また、MFi認証製品を製造するには Apple社のMFi認定工場で製造する必要があり、当該製品はMFi認定工場を保有する韓国のSPS Inc.に製造委託しております。

(注1)IrDA:赤外線を利用した近距離データ通信の技術標準を策定する業界団体。自動販売機内の販売情報を取り出す際にも使用されている赤外線通信の規格。

 

〔システムインテグレーション事業(略称:SI事業)〕
 当社グループは、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワークなどを組み合わせて、ユーザーのシステムを構築し、提供しております。「モバイル端末での利用を中心とした業務用アプリケーション」「AsReaderによるクラウド型業務システム」などの業務システムの構築を主力としております。モバイル端末で使用するアプリケーション及びネットワークなどを連携させ一体化することで、業務のスマート化を推進し、業務の効率化に貢献しております。また、当社グループが提供したアプリケーションやシステムについて、運用・保守・管理も実施しております。

 

(2) 当社の提供する主なソリューション領域

① 製造業界

2014年7月にRFIDリーダー/ライター(AsReader)が国内自動車メーカーに納品され、以来、完成した車のヤード、新車点検センター、販売店、ユーザーへの納車に至るまでの在庫管理、新車搬入管理、生産ラインの点検、部品の調達から廃棄までの追跡などに利用されております。工場からの出荷後、車体に備え付けられたRFタグ付の車両管理票と保管用駐車スペースに埋め込まれたRFタグをAsReaderで読み取ることで、それぞれの車体のトレーサビリティー(注2)を確保し、出荷、移動や、コーティングなどのオプション装備を的確に指示できる体制の構築を可能にしました。物流センターや販売会社への新車搬入管理のRFID化などにも、使用が拡大しています。他に、機械メーカーなどでも、生産ラインの点検用や、部品のトレーサビリティーなどへの応用も進んでおります。
(注2)トレーサビリティーとは、trace(追跡)とability(できること)を組み合わせた言葉。
 その製品が「いつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費又は廃棄まで追跡可能な状態にすること。

 

② 物流業界

2014年8月にAsReader(1次元バーコード用)が倉庫での物品管理、配送管理に利用開始されました。また、大手運送会社向けには、2017年9月から2020年12月までに約25,000台を納入、個人宅配送用に利用されております。AsReader導入により、宅配の依頼者及び宅配受領者が配送状況をリアルタイムに把握することで、正確な配送到着時間を把握することが可能となり、導入企業の顧客満足度の向上と業務効率化に貢献し、さらには電子サインによる受領証など、電子帳票化によるペーパーレスも可能にしました。当社グループは、さらに配送品管理の実証を重ねつつ、物流業界でのシェア拡大を図っております。また、配送情報をスマートフォンに表示させるシステムや、検品システムなど、ハードウエアだけでなくトータルソリューションパッケージとして提供しております。こうしたソリューションの組み合わせにより、たとえばネット通販等で注文した商品が現在どこにあるのかを顧客のスマートフォンアプリでリアルタイムに地図上で検索表示できる仕組みが構築されております。延いては物流に留まらずサプライチェーン全体として「いつ」「どこから」出荷や配送をすべきなのか、全体を俯瞰しながら指示することが可能となりました。大手運送会社では、法人向け配送にもAsReaderが採用され始めたことから、案件が増加しています。さらには、既に活用が始まっているパレット(荷物を載せるための荷役台)やカゴ台車、オリコン(折りたたみコンテナ)などへRFタグを付けて、パレット等の単位で物品管理を行うRFID運用が、積荷の個別管理にも広がりつつあります。

 

③ 小売業界

小売業界では、まずソフトウエア開発で取引のあるチョコレートの輸出入・製造・販売会社にて、AsReader(バーコード)が催事店舗のPOSレジとして導入されました。ネットワークなどのインフラが整っていない場所でもスマートフォンの回線を利用することで、リアルタイムな売上情報が本部に共有されることから、ソリューションとして現在でも利用されております。当社では店舗での利用を主要市場と位置づけて、市場開拓に注力してきました。本格導入のきっかけは、大手雑貨専門店への納入であり、全店舗のスタッフが1人1台のAsReader(2次元バーコード用)を携帯し、在庫管理や発注業務で導入いたしました。また、端末がスマートフォンに装着されている利便性を活かし、翻訳アプリを使用することで海外のお客様とのコミュニケーションツールとして利用したり、地図アプリを使った他店舗の案内など、接客ツールとしても活用されました。店舗での利用は拡大しており、化粧品、眼鏡、酒類、チョコレートなどの販売店舗や、ホームセンター、大型雑貨店などに順次導入が進んでおります。ネットスーパーにおいては、商品のピッキング及び配送現場での使用も始まっております。
 また、スーパーマーケットを意識したPOSレジセルフ化に対応したソリューションも2020年11月に発表しました。当社開発の「人検出・動体追跡」技術により、購買客が有人レジでの購買品登録後、複数設置された自動精算機のどれを選択しても、正しく精算が可能になるというセミセルフレジです。レジ係員の現金等の受け渡しといった負担が軽減され、動体追跡と精算データを紐付けることで、精算自動化の懸念点である不正精算(不払い)の抑止も可能にするソリューションです。

 

④ 自動販売機業界

2017年10月に自動販売機設置事業者向け専用のAsReader(赤外線通信)を開発しました。従来の携帯電話とJVMA(注3)仕様の専用ハンディターミナルの2台を、AsReaderを装着したスマートフォンの1台に統合することが可能になりました。従来の専用ハンディターミナルでは自動販売機から取得したデータをバッチ処理(一定量のデータを集め、一括処理する処理方法)で一括送信をする必要があり、途中でハンディターミナルが壊れた場合、バッチ処理前のデータがすべて失われるリスクがありましたが、AsReader導入後は、スマートフォンの公衆回線を利用してリアルタイムでデータ送信を行っているため、端末故障によるデータ喪失のリスクが解消されました。さらにリアルタイムなデータ収集が可能となったことによって、迅速なデータ分析や顧客対応が可能になり、情報管理の高度化などにも繋がっています。現在では、複数の大手飲料メーカー(ベンダー)や自動販売機オペレーター各社で導入されています。ハードウエア・ソフトウエア両面で対応できる当社の特徴を活かして、ハンディターミナルとプリセッタ(自動販売機設定用ソフトウエア)開発をセットで受注するケースも増えています。

(注3)JVMA:一般社団法人 日本自動販売システム機械工業会。

 

⑤ 医療業界

最初の導入は2014年1月の大学附属病院による3点照合(担当看護師、患者のID、薬剤)での利用でした。医療現場向けの販売は主に代理店経由になっており、看護業務での3点照合や、薬剤のピッキングなどで利用されております。導入以前は入院病棟での薬剤投与の際、パソコンが積まれたワゴンと共に有線接続のバーコードリーダーを病室に持っていき、薬剤と投与対象患者を照合することで誤投与(人違い、薬剤違い等)防止をされていました。これらワゴンに積まれたノートパソコンに有線で接続されたバーコードリーダーをスマートフォンへのリプレイス、電子カルテシステムの導入に伴う採用といった形でスマートフォンとケースタイプのAsReaderの普及が進みました。現在では、各電子カルテメーカーとの連携が進んでおり、2021年7月末時点で約300施設の病院で利用されています。また、3点照合は一般的にバーコードリーダーの使用が主流でしたが、中部地方の大学附属病院が日本で初めてUHF帯RFID(長距離通信が可能なRFID)を用いた3点照合の実証実験をAsReaderで行い、現在は、複数の大学附属病院においてAsReader(RFID)が導入されています。さらに、AsReader(NFC(注4)+バーコード)の導入によりバーコードでの3点照合に加え、NFCによる体温やSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)、血圧等、バイタルデータの自動取得・電子カルテへの自動登録などにも運用されています。
 さらに院内物流管理システム(SPD:Supply Processing Distribution)でも導入されております。通信キャリア系システム会社のシステムで運用され、医材システムと病院情報システム(HIS:Hospital Information System)、電子カルテシステムとの連携という流れの下で、AsReader導入がスマートホスピタル化の有効な手段となっております。
(注4)NFC:Near field communicationの略で、日本語では近距離無線通信という意味。

端末をかざすだけで通信ができる技術のこと。

 

⑥ アパレル業界

アパレル業界での導入は、カジュアルウェア量販店、レディスファッション販売会社、紳士服量販店など様々な分野に広がりを見せ、用途も多岐にわたっています。
 現在、各業界でRFタグ導入の動きが加速していますが、その先陣を切っているのがアパレル業界です。顧客嗜好の多様化による商品ライフサイクルの短縮、リードタイムの削減、生産拠点のグローバル化及び消費者の厳しい目など、取り巻く環境の変化に対応するためにRFタグによる業務改革が必要との認識が広まっています。販売スタッフの勤務時間における約3割が棚卸・入荷検品などバックヤード業務に割かれているといわれていますが、RFタグを導入することにより、バックヤード業務時間の削減が可能になります。また、レジでも複数商品の情報を一括で読み取ることができるため、時間短縮になり、レジ待ちや前捌きなども解消されています。当社が発明・開発したセルフレジシステム(AsReader Wired BOXタイプとRFID Reading Tubのパッケージ。RFタグのついた商品を専用のレジ棚に載せるだけでスキャニングすることができる製品)を利用することで、時間短縮かつ簡単で正確な精算システムを実現しました。また、販売スタッフは接客に費やす時間が増えることで、顧客満足度の向上や、販売機会損失の削減にも繋がっています。
 また、RFIDはレジでの利用だけでなく、様々な用途での活用が可能です。読み取った情報は、リアルな売上状況や在庫状況の把握を可能とし、店頭オペレーションの高度化や、より細やかな接客、売り場の改善などが可能になります。

 

⑦ 海外

当社グループは、米国カリフォルニア州トーランス市(現在はオレゴン州ポートランド市に移転)、オランダロッテルダム市に、当社100%連結子会社を設立し、営業活動を展開しております。バーコードリーダーやRFIDリーダーの世界市場は日本市場よりも大きいことから、当社グループの成長戦略の1つとして、当該2拠点を軸とした海外販売を積極的に進めております。

米国ではAsReader,Inc.を2015年1月に設立いたしました。病院などの医療機関での在庫管理、イベント会社や国際宇宙ステーション、米国海軍での備品管理、警察署でのIDカードのバーコード読み取りによる個人管理と入退室管理、牧場での家畜の個別識別管理、消防署での鎮火後の消火現場での備品管理、大手飲料メーカーでの商品管理など幅広い業界において導入・活用いただいております。直近では米国大手飲料メーカーの商品管理用に約17,500台の販売契約を締結いたしました。当面は、米国、同社のカナダ地域における商品管理に使用が予定されております。

欧州ではAsReader Europe B.V.を2018年2月に設立いたしました。英国のシューズブランド、物流会社でもAsReaderが導入され活用いただいております。

 

 

[事業系統図]

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

主要な事業

の内容

議決権の

所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

大連明日星科技有限公司

中国

遼寧省大連市

379

千人民元

システムインテグレーション事業

AsReader事業

100.0

・当社からの委託によるソフトウエア開発

・ハードウエアの一部の開発

・アジア市場へのハードウエア販売

・役員の兼任

(連結子会社)

 

 

 

 

 

AsReader,Inc.

(注)3、4、5

米国オレゴン州

ポートランド市

50,000

米ドル

AsReader事業

100.0

・米国及び欧州市場へのハードウエア販売

・役員の兼任1名

(連結子会社)

 

 

 

 

 

AsReader Europe B.V.

(注)6

オランダ

ロッテルダム市

50,000

ユーロ

AsReader事業

100.0

・欧州市場へのハードウエア販売

・役員の兼任1名

 

(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

   2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

  3.特定子会社に該当しております。

4.AsReader,Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

    主要な損益情報等 ① 売上高       142,546千円

             ② 経常損失(△)   △20,678 〃

             ③ 当期純損失(△)  △20,837 〃

             ④ 純資産額      △56,616 〃

             ⑤ 総資産額       43,018 〃

  5.債務超過会社であり、2020年6月末時点で債務超過額は56,616千円であります。

  6.債務超過会社であり、2020年6月末時点で債務超過額は35,670千円であります。

 

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2021年7月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

AsReader事業

34

 (13)

システムインテグレーション事業

39

 (1)

全社(共通)

10

 (3)

合計

83

 (17)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.最近日までの1年間において従業員が13名増加しておりますが、主な理由は新卒採用や中途採用による増員によるものであります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理統括室(総務セクション、広報セクション、経営管理セクション)に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2021年7月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

50

43.4

4.7

4,450,936

(15)

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

AsReader事業

28

 (11)

システムインテグレーション事業

12

 (1)

全社(共通)

10

 (3)

合計

50

 (15)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.最近日までの1年間において従業員が12名増加しておりますが、主な理由は新卒採用や中途採用による増員によるものであります

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理統括室(総務セクション、広報セクション、経営管理セクション)に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合はありませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。