第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2016年9月

2017年9月

2018年9月

2019年9月

2020年9月

売上高

(千円)

1,742,293

2,100,969

2,533,364

3,439,370

4,726,527

経常利益

(千円)

455,932

577,266

730,246

995,806

1,445,235

当期純利益

(千円)

316,232

404,055

521,780

638,124

1,026,386

持分法を適用した場合の
投資利益

(千円)

資本金

(千円)

10,000

10,000

10,000

10,000

10,000

発行済株式総数

(株)

1,000

1,000

1,000

1,000,000

1,000,000

純資産額

(千円)

1,305,005

1,629,061

2,028,611

2,676,095

3,576,648

総資産額

(千円)

1,565,420

1,969,427

2,527,325

3,418,703

4,473,692

1株当たり純資産額

(円)

1,305,005.73

1,629,061.05

2,028,611.62

66.79

89.13

1株当たり配当額

(円)

80,000.00

120,000.00

130.00

205.00

(うち1株当たり
中間配当額)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり
当期純利益金額

(円)

316,232.97

404,055.32

521,780.65

15.95

25.66

潜在株式調整後1株
当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

83.36

82.72

80.27

78.15

79.70

自己資本利益率

(%)

27.00

27.54

28.53

27.15

32.91

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

25.30

29.70

20.37

19.97

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

737,372

1,017,960

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

119,860

143,001

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

4,431

123,135

現金及び現金同等物の
期末残高

(千円)

2,213,303

3,251,129

従業員数

(人)

85

96

114

137

173

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため記載しておりません。

4.2021年1月15日開催の取締役会決議により2021年2月10日付で普通株式1株につき40株の株式分割を行っており、発行済株式総数は40,000,000株となっております。

5.2019年8月26日開催の取締役会決議により2019年8月26日付で普通株式1株につき999株の株式無償割当、2021年1月15日開催の取締役会決議により2021年2月10日付で普通株式1株につき40株の株式分割を行っておりますが、第13期の期首に当該株式無償割当及び株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

6.第10期、第11期及び第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については潜在株式が存在しないため、また第13期及び第14期については、新株予約権の残高がありますが、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

7.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

8.第12期における1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施しておりませんので、記載しておりません。

9.第10期、第11期及び第12期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

10.従業員数は、就業人員であります。なお、平均臨時雇用人員については、従業員数の100分の10未満のため、記載を省略しております。

11.第13期及び第14期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。第10期、第11期及び第12期については、「会社計算規則」(2006年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

12.当社は、2019年8月26日開催の取締役会決議により、2019年8月26日付で普通株式1株につき999株の株式無償割当を行っております。また、2021年1月15日開催の取締役会決議により、2021年2月10日付で普通株式1株につき40株の株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第10期の期首に当該株式無償割当及び株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第10期、第11期及び第12期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2016年9月

2017年9月

2018年9月

2019年9月

2020年9月

1株当たり純資産額

(円)

32.63

40.73

50.72

66.79

89.13

1株当たり
当期純利益金額

(円)

7.91

10.10

13.04

15.95

25.66

潜在株式調整後1株
当たり当期純利益金額

(円)

1株当たり配当額

(円)

2.00

3.00

3.25

5.13

(うち1株当たり
中間配当額)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

2 【沿革】

当社は、2006年に神奈川県横浜市鶴見区においてデータマイニング(注1)のシステム開発、コンサルティング事業の運営を目的とする会社として創業致しました。設立以降の当社に係る経緯は以下のとおりであります。

 

年月

内容

2006年12月

神奈川県横浜市鶴見区において、イージーコンサルティング株式会社設立

2007年3月

東京都港区三田に本社移転

2007年10月

株式会社プラスアルファ・コンサルティングに商号変更

2008年5月

SaaS(注2)型テキストマイニング(注3)サービス「見える化エンジン」提供開始

2010年4月

東京都港区芝浦に本社移転

2011年7月

BtoC事業者向けの統合マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」提供開始

2011年8月

大阪府大阪市中央区淀屋橋に大阪支社開設

2012年11月

東京都港区浜松町に本社移転

2014年5月

福岡県福岡市中央区天神に福岡支社開設

2014年10月

合同会社シンタックスを子会社化

2016年9月

タレントマネジメントシステム「タレントパレット」提供開始

2017年4月

大阪府大阪市北区中之島に大阪支社移転

2019年7月

合同会社シンタックスを吸収合併

 

(注) 1.データマイニング:大量のデータから統計学や人工知能などの分析手法を駆使して、「知識」を見出すための技術。

2.SaaS:「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略。ソフトウェアをインターネットを通じて遠隔から利用者に提供する方式。利用者はWebブラウザなどのクライアントを用いて事業者の運用するサーバへアクセスし、ソフトウェアを操作・使用する。

3.テキストマイニング:SNSや口コミ、アンケート回答など自由な形式で記述された文章を単語や文節に分割して、その出現頻度や相関関係、いつ発言されたものなのかといったことを分析し、有益な情報を探し出す技術。

 

3 【事業の内容】

当社は、「プラスアルファの価値を生み出すことで『つきぬける感動』と『広がる可能性』を提供します」を企業理念に掲げ、ミッション(Mission)である「お客様のビジネスにプラスアルファの価値を創造します。」を達成するため、自然言語処理とデータマイニングの技術から成るテキストマイニングの技術をベースに、「見える化プラットフォーム企業を目指します。」のビジョン(Vision)のもと、世の中に溢れる膨大な情報を「見える化」するサービスを中核に事業展開しております。

膨大な量の情報が溢れ、駆け巡る現代の社会において、定性・定量を問わず多種多量な情報からなるビッグデータを活用し、その分析結果を様々な分野や事業領域に積極的に取り入れることにますます注目が集まっております。これまでは取扱うことができなかったビッグデータを「見える化」することにより、企業は今までにない、新たな「気づき」(顧客である導入先企業の中で埋没しているニーズ)を得ることが可能となりました。この新たな「気づき」が、企業における新しいアイデアの創出やビジネスの発展を加速度的に促進するキーファクターとなります。当社は、サブスクリプション(注1)モデルにより、世の中に溢れる可視化されていない情報を直感で分かる形に「見える化」し、その上でプログラミングや統計処理の知識がなくても自由に複雑な分析を実行することができるSaaS型ソリューションの提供を通じて、導入先企業のビジネスにプラスアルファの価値を創造してまいります。

当社の事業の最大の特徴は、「見える化」するSaaS型ソリューションの開発力もさることながら、顧客業務に関する知識や分析手法についての知見・経験をもったコンサルタントによるコンサルティング/サポート(当社サービスの活用支援にとどまらず、顧客業務に合わせたサービス利用方法の提案や、データ解析手法・ノウハウの提供等)の充実にあります。当社のコンサルティングチームによる導入先企業に寄り添ったコンサルティング/サポートを実施することにより、導入先企業の担当者は、当社の提供するサービスを「使える」から「使いこなせる」、そして「結果を出せる」レベルに到達できると考えております。このコンサルティング/サポートの過程で導入先企業との間に信頼関係が構築されるとともに、当社は様々な「気づき」を得ることが可能となります。ここで得た「気づき」が、当社のコンサルティングチームから開発・営業チームへとタイムリーに共有されることとなります。このようにコンサルティング・開発・営業チームが、「気づき」をタイムリーに共有し、密に連携することで、導入先企業からのフィードバックを素早く新機能開発・機能改善に取り込み、一早く市場に新たな提案を行うことが可能となるなど、チームを超えた連携開発プロセスを高速に進める仕組みを構築しております。当社では、このような高速進化の流れをPACサイクル(Plus Alpha Consultingサイクル)と呼んでおります。このPACサイクルにより、当社の提供するサービスは、導入先企業である顧客資産をベースに新機能の速やかな市場投入を進めており、その結果、機能の高速進化による差別化、サービスの高付加価値化によるARPU(注2)上昇、充実したサポートによる解約率低減とLTV(注3)向上などを実現しております。また、業界を主導する先進的な取り組みを行っている導入先企業について、当社のコンサルティング活動を通じて当該マネジメント層の協働パートナーとして新手法の開発をリードしており、高付加価値のサービス提供を実現する推進力となっております。このように高付加価値で差別化されたサービスは、高い効率で顧客を獲得することが可能となっております。

 

 


 

このようなPACサイクルにより、短い期間に多くの機能を追加することが可能となり、サービスを高速進化させることにつながっております。例えば、下記はタレントパレットのバージョンアップ機能数(累積)となりますが、2016年9月のリリースから約4年の間にバージョンアップが40回、実装機能数は2,300件(設計・開発・テストの一連のプロセスを経て進行する開発案件数をカウント)を超えており、平均で1日1件以上の機能が新たに実装されております。

また当社では、自社技術により開発した自然言語処理エンジン「Waters」を提供しており、全てのサービスに組み込むことで活用しております。Watersは形態素・構文解析エンジンの商用サービスの先駆けとして、長期にわたり民間や研究機関など、多くの顧客からの要望・要求に応える形で機能の強化・改良を継続してきております。また頻繁に辞書アップデートを行うことで経年による言葉・口語表現の変化へタイムリーに対応しており、解析精度の高さが特徴となっております。解析スピードが速いことから、実用においてデータ量がボトルネックとならず、ビッグデータ時代に対応した技術となっております。

これらの技術により、アンケートやSNSなどの大量の顧客の声(文章)を単語レベルの分類にとどまらず、構文解析により主語・述語・形容詞等への分類とその関係について把握した上で、文章の内容をポジティブ・ネガティブなどに整理し、即時に単語マップ(主語・述語・形容詞・名詞の関係とその意味)が一目で理解できる形に表現する、などが可能となっております。このように当社独自の機能をサービス内に実装することで、分析の品質や解析スピードの点において、他社との差別化を図っております。

 

 


 

当社は3つの事業に区分しており、その内容は次のとおりであります。なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項」に掲げるセグメント区分と同一であります。

 

(1) 見える化エンジン事業

見える化エンジン事業では、大量の顧客の声を「見える化」するマーケティング領域のテキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供しております。主に一般消費者向けに商品・サービスを提供する企業のコンタクトセンターやマーケティング部門において導入され、2008年5月のサービス開始以来、累計で1,674社(2021年月31日時点)に導入されております。顧客アンケートやNPS(顧客推奨度)(注4)、コールセンターのログ、SNSやブログ等の膨大な顧客の声、営業員の営業日報、テキスト化した音声データ、特許・論文等の知的資産情報など、幅広いデータソースによる情報をテキストマイニングで分析し、顧客の不満やニーズを「見える化」できるサービスとなっているほか、直感的に操作できるインターフェースなどの特徴により、顧客の商品・サービスの改善や新商品の開発などに活用されております。

テキストマイニングは、大きく「自然言語処理」と「データマイニング」という二つの技術で構成されています。「自然言語処理」は、コンピュータでは処理しづらい文章の要素や構造、意味の解析技術のことをいい、「データマイニング」とは統計処理や多変量解析(注5)、AIなどの機械学習等の手法を用いてデータから一定の相関関係やパターンを見つけ出す技術のことをいいます。当社は、自社技術により自然言語処理エンジンを開発し、長い年月をかけて、日本語特有の多岐にわたるルールに対応するため、継続的な研究・開発を進めてまいりました。そのため、毎年誕生する新たな若者言葉のような独特な表現にも適時に対応することが可能であります。こうしたテキストマイニング技術のアップデートにあたっては、時代の変遷に伴う表現の変化の情報を一つひとつ積上げ、解析ルールをチューニングし続ける必要があります。このことが、日本語特有の複雑さに高い精度で対応した解析サービスの提供につながっています。

また、「見える化エンジン」は、これまでのVOC(注6)活用支援の実績に裏付けられるとおり、 膨大なテキストデータを直感的に「見える化」するUI(注7)と多数の機能を搭載しております。「見える化エンジン」は、企業の様々なVOC活用シーンにおいて必要な機能を有しており、あらゆるアクションを「見える化エンジン」のプラットフォーム上で運用することが可能です。主な機能は次のとおりであります。

 

 

機能

内容

仮説検証型分析機能

発言内容の話題・フレーズ毎にランキング化、商品発売日等を起点にした時系列分析、話題構成のマップ化など、顧客の声から仮説を検証する際に有効な分析機能

ニーズ発見型分析機能

“鳥の目”で俯瞰して話題全体の傾向を把握するための発言話題の自動グループ化、“虫の目”で発言の真意を探り詳細把握するための1クリック原文参照、特徴的な発言を商品や顧客層等の属性別に抽出した比較分析など、攻めのVOC活用を実現する顧客ニーズ発見型の分析機能

気づきポータル機能

コールログ、SNSデータ、アンケートなどの異なる顧客の声分析結果を一つに集約しリアルタイムに展開・共有可能なダッシュボード機能、顧客の声の社内浸透を促進するプッシュメール配信機能、リスクワード情報を自動検出し通知するアラートメール送信機能など、多岐にわたる顧客の声分析結果を一元管理しリアルタイムに展開・共有できる社内共有機能

改善カフェ機能

改善課題や社内アイデアの集約管理、得られた「気づき」を改善タスクとした進捗管理機能など、顧客の声を全社的な改善アクションに繋げる改善活動機能

データ収集機能

顧客の声の自動インポート機能、CSV形式によるあらゆるテキストデータの取込み、Twitterをはじめとする各種SNSのデータ・画像収集への対応、Twitterリアルタイム分析レポートの出力など、様々な顧客の声の多彩なデータ収集・取込みを可能にする機能

 

導入先企業が顧客の声を最大限に活用するためには、顧客の声を収集、分析、共有、改善するという4つのサイクルを繰り返し行う必要があります。「見える化エンジン」により、この一連のサイクルを実施することをVOCマネジメントサイクルと呼称しております。当社は、「見える化エンジン」というサービスの提供にとどまらず、VOCマネジメントサイクルを効率的に循環させるためのコンサルティングを行うところまでを徹底して実践しております。顧客の声を最大限に有効活用するためには、導入先企業自身が、顧客の声を適切に把握、整理、選択できることが重要であり、当社は、企業の意図した製品体験価値と顧客が実際にその製品を使用して受け止めた価値のギャップをフィードバック(「顧客体験フィードバック」)することで、導入先企業の求める顧客の声を適切に「見える化」し、導入先企業に対し精度の高い「気づき」を与えることが可能になると考えております。

 

(2) カスタマーリングス事業

カスタマーリングス事業では、BtoC事業者向けの統合マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を提供しております。「カスタマーリングス」は、EC事業者(アパレル/健康食品/化粧品/雑貨など)や小売業などの企業を中心として、オンライン・マーケティング施策の検討やその実行のために採用されております。2011年7月のサービス開始以来、累計で592社(2021年月31日時点)に導入されており、その実績から培ったCRM(注8)ノウハウとデータマイニングなどの分析技術を凝縮したマーケティングオートメーション(注9)の二つを融合させることで、最新のトレンドに合わせて常に進化を続けております。

近年、マーケティング対象となるデータの多種多量化かつ複雑化が進展しております。このような状況下で、マーケティングオートメーションツールを導入する場合、通常は、各種データ(商品購買情報、顧客属性、顧客の購買履歴、Webサイトへのアクセスログ、アンケート解答、IoTデバイス情報など)を整理・統合し、分析可能な状態にするために多大な時間とコストを投じて要件定義を行う必要があります。しかしながら、「カスタマーリングス」では、ファイル数/ファイル容量の制限なく、ノンカスタマイズで自由な連携を実現しながら環境を構築することができる「はじめやすさ」に特徴があります。

また、「カスタマーリングス」では、誰でも、すぐに、欲しいデータを抽出することを可能にする自由なセグメンテーション力に特徴を有しています。複数セグメントにおける多様な条件設定に合致したリアルタイムなデータ抽出を可能としており、このような自由なセグメンテーションにより顧客一人ひとりを自在に「見える化」することができます。例えば、利用者は、購買パターン分析機能により、顧客の商品購買データ等から一人ひとりの顧客行動を可視化し、リピート購入するような優良顧客がたどってきた購買経路等を把握することが可能となっております。その結果、メール一斉送信のような従来のメールマーケティングにとどまらず、メール・SMS・チャット・アプリなど多様なチャネルへ対応した上で、推奨商品、配信対象、配信方法、配信タイミングなどの要素を考慮に入れながら、直感的に操作できるインターフェースにより、顧客に合わせたきめ細かなマーケティング・シナリオを構築し、その実行までを自動化することが可能となっており、導入先企業における最適なマーケティングアクションを実現しております。

 

 

さらに、「カスタマーリングス」は、実行した施策の検証や販促の企画立案に役立つ専門的な分析機能を多数搭載しております。主な分析機能は次のとおりであります。

機能

内容

顧客基本分析

顧客種類別の購入商品傾向、特定顧客の購入価格帯や購入回数、顧客としての残存期間や離脱期間、顧客別の購入頻度・間隔や最頻購入時間等の顧客属性・購買行動情報を有効に把握するための、顧客時系列推移分析、購入傾向分析、顧客エリア分析などの分析機能

顧客ランク分析

優良顧客や離反リスクのある顧客の発見による販促の効率化、購入傾向に応じた顧客ランク分けによる顧客別の育成施策の実施といったクライアントの要望を実現するためのRFM分析(注10)、デシル分析(注11)、CPM分析(注12)などの分析機能

顧客LTV分析

初回定期率やF2転換率(注13)等の情報を効果的に把握するためのLTV分析、ステップメール(注14)効果分析、顧客引き上げ集計機能、定期顧客離脱集計機能などの分析機能

商品分析

商品別の販売実績・傾向、売れ筋商品とシーズン別の推移、顧客層(初回、優良等)別の購入商品傾向等の情報を効果的に把握するための売れ筋商品集計表、顧客時系列推移分析、ABC分析(注15)などの分析機能

マイニング分析

優良/新規顧客の特徴、新規/常連/優良といった顧客育成プロセス(顧客進化パターン)の発見、同時購入やまとめ買い傾向の高い商品の発見といったクライアントの要望を実現するための顧客・商品特徴抽出、購入傾向比較分析、相関ルール(併売)分析、まとめ買い分析、購入パターン分析などの分析機能

プロモーション効果分析

キャンペーンの反響や広告効果といったCPA(注16)情報、メール販促の効果(開封率、コンバージョン率(注17)、顧客引き上がり率等)、新規顧客獲得に向けた広告出稿効果等の情報を把握するための、キャンペーン反応率分析、広告効果分析、メール効果分析、ABテスト結果分析などの分析機能

 

上記の分析機能に加えて、「カスタマーリングス」は、顧客一人ひとりを「見える化」できる「顧客実感機能」を有しております。マーケティング施策実施データを一気通貫で分析することにより、次のアクションプランイメージを導入先企業の担当者が持ちやすくなり、また、特定の顧客を対象に分析結果を詳細に因数分解して分析することで、施策実施前に立てた仮説の検証を行うことができるようになります。

このように「カスタマーリングス」は、良質な顧客体験の実現に必要な機能・サービスを提供することで、導入先企業におけるマーケティングのPDCA高速化を支援しております。

 

(3) タレントパレット事業

タレントパレット事業では、人事情報・社員を「見える化」するHR・人事領域のタレントマネジメントシステム「タレントパレット」を提供しております。主に人事部門において、人材活用により社員パフォーマンスの向上に取り組む人事の企画・戦略において活用されております。社内に散在する社員のスキル、適性、モチベーション、キャリア、人事評価、従業員アンケート、採用情報等の人事情報を集約し、分析・「見える化」することにより、最適配置や離職防止、採用効率化を科学的視点により実現する科学的人事(注18)のプラットフォームとなっております。本サービスの特徴の詳細は、以下のとおりであります。

(人材の見える化・意思決定のエビデンス・最適配置機能)

「タレントパレット」では、社員の顔写真を一覧化でき、クリックするだけで、社員に関するあらゆる人事データを閲覧することが可能な機能を有しています。社員に関する集約された人事情報を閲覧・分類しながら、ドラッグ&ドロップで人事異動シミュレーションを行うことも可能であります。また、スキル情報や自己申告書、アンケートの回答などを集約した人事情報から、特定プロジェクトの人材抜擢、有望な社員の戦略的な育成を支援します。社員については、社員プロフィール・職務経歴・評価シート・スキルシート・勤怠データ・ライフログなど社員にまつわる情報から手間なく、簡単に情報を検索することも可能であります。後継者人材の選抜や、成長度合いの確認など社内の人事情報を最大限活用することで、社員の成長を加速させることができます。この機能により、人事異動や新規事業・プロジェクト立ち上げに必要な社員の発見及び抽出を瞬時に行うことが可能となります。

またタレントパレットでは、サンクスポイントなど、社員同士が自発的にお互いの努力や成果を積極的に評価・賞賛・承認できる機能が実装されております。これら機能の活用により、社内コミュニケーションの活性化を図ることに活用できるものとなっております。また社員間で発生する大量の連携データを社員間ネットワーク図として可視化する形で表現することができるため、個々の社員や部署間のコミュニケーションの量や質を理解した上で、組織役割の見直しや人事異動などの施策へ反映することが可能となっております。

 

(人事情報分析・育成・評価機能)

「タレントパレット」では、単一項目での分析だけでなく、あらゆる項目を掛け合わせての人材情報分析が可能であります。人材情報分析の種類としては、社員・組織の比較分析、異動シミュレーション分析、社員満足度分析、労務分析、離職防止分析、スキルアップ分析、ハイパフォーマー分析、マインド分析といったものがあり、目的に応じた様々な分析機能が搭載されています。社員満足度分析に際しての、社内アンケートのテンプレートも複数搭載しており、これらを活用して、簡単に社員満足度アンケートを実施することができます。

当社が開発したスキルチェックシートを活用することで、一時点の社員のスキルを「見える化」することもできれば、定点的にスキルチェックを実施し、蓄積された回答結果を時系列に並べることで、社員の成長を「見える化」することができます。また、社員が受講した研修/eラーニングの受講情報管理を行うことも可能であるため、社員のスキルレベルに合わせて、その社員が受講することが望ましい研修/eラーニングを推奨する機能も搭載しています。これにより、社員のアダプティブラーニング(適応学習)を促進します。

「タレントパレット」の評価(ミッション)の特徴は、自社に合わせた柔軟なカスタマイズが可能な点にあります。評価項目、評価フロー、係数設定等、豊富な評価機能が標準搭載されています。現在の評価シートのシステム化だけでなく、将来的な人事評価制度改定にも対応できるため、中長期的な運用が可能なものとなっております。また、社員の360度評価についても「タレントパレット」上からスムーズに実施することができます。リアルタイムフィードバック機能を使えば、社員が立てた目標に対して社員がかけた時間、目標に対して感じた達成感をリアルタイムに「見える化」し、目標と日々の活動を紐付けることできるため、目標に対して、軌道修正を素早く行うことが可能となります。また、目標に達成感を紐づけることで、目標達成に向けた上司とのコミュニケーションの活性化も期待することができます。

(採用強化・エンゲージメント測定・離職防止機能)

「タレントパレット」では、採用ミスマッチを防止するために、適性検査TPI(Talent Performance Indicator)機能が標準搭載されています。TPIは、ビッグデータ(検査結果)を用いた最新のアクションリサーチの下に、当社独自で開発した適性検査であります。1.社交性、2.協調性、3.環境順応性、4.情動性、5.感受性、6.革新性、7.活動性、8.積極性の8つの座標を持ち、検査後、即座に結果を表示します。

採用時に応募者に適性検査を実施し、面接の際の面談結果と検査結果との乖や、適性検査の結果をもとに採用者と在籍者の類似性を確認することで、採用活動にかかる精度向上につなげることが可能となります。「タレントパレット」では、優秀社員のスキルや内面のプロファイルをもとに今後に採用すべき人物像を捉え、戦略的な求人広告、採用面談を行うことが可能であります。

採用時の情報を社員情報と紐づけることができる人材活用プラットフォームを構築することは、人材情報を活用した採用力の強化につながります。例えば、社内の活躍人材の入社前の特徴を知ることができ、活躍人材の特徴を抽出することで、自社でより活躍する可能性の高い人材を採用時点でミスマッチを起こすことなく発見することができると考えております。

 


 

「タレントパレット」のモチベーション調査では、スマートフォンやパソコンの画面で簡単なアンケートを取るだけで手軽に社員のモチベーションを収集することができます。設問も自由に設定できるので、独自の設問を作り、エンゲージメントを測ることも可能となっています。これに加えて、「タレントパレット」のテキストマイニング技術により、アンケートや自己申告書などで入力したテキストを最新の自然言語解析により分析し、その結果に基づき発言ボリュームが分かる単語ランキングに集計したり、離職した社員の発言傾向と現職の社員の発言を比較したりすることで、離職の危険がある社員を自動で抽出することができます。収集したアンケートのテキストデータからは、年代別の発言傾向の違いや、全社員の発言を俯瞰して把握することもできます。「タレントパレット」の利用により、これまで活用できていなかった社員のモチベーションに関するテキストデータを有効活用することで、定性情報からエンゲージメントを「見える化」することが可能となりました。

「タレントパレット」では、社員の離職防止にも注力し、離職防止を実現する機能を搭載しています。離職傾向の分析にあたっては、本人入力による仕事の楽しさ、辛さ、責任の重さの感じ方等のモチベーションの変化や自己申告アンケートで過去離職した社員の「離職ワード」出現頻度等を分析し、モチベーション変化の大きな社員に関する上司へのアラートメール発信や上司や人事部の社員モニタリング情報画面に表示することで、同様の傾向にある社員を上司や人事部が早期に発見して仕事の与え方の変更や配置転換等の離職を思いとどまらせる行動をとるよう導入先企業に促すものです。異動の前後での改善状況の把握等、人事施策による本人就業意欲変化をウッチできるツールとなっています。導入先企業はこの機能により、予兆の無い突然の離職者が現れないようにすることができると考えます。

 

離職者の予兆を察知し、早期フォローにより対応可能とする仕組み


 

各サービスにおける契約件数(※1)、契約平均単価(※2)、解約率(※3)の推移は、以下のとおりであります。

サービス名

指標

前事業年度

(2019年9月30日)

当事業年度

(2020年9月30日)

2021年9月期

第2四半期累計期間

(2021年3月31日)

見える化エンジン

契約件数(件)

496

473

458

契約平均単価(千円)

243

268

279

解約率(%)

1.2

1.1

1.2

カスタマーリングス

契約件数(件)

278

299

297

契約平均単価(千円)

317

343

351

解約率(%)

1.0

0.9

0.9

タレントパレット

契約件数(件)

230

430

568

契約平均単価(千円)

266

311

343

解約率(%)

0.8

0.6

0.5

全社合計

契約件数(件)

1,004

1,202

1,323

契約平均単価(千円)

268

301

322

解約率(%)

1.1

0.9

0.8

 

※1 契約件数は、各事業年度末及び2021年9月期第2四半期末の数値を記載しております。

※2 契約平均単価は、各事業年度中及び2021年9月期第2四半期中の平均月額課金額を同期間の平均契約件数で除して計算した数値を記載しております。

※3 解約率は、月額課金額のうち各事業年度中及び2021年9月期第2四半期末までに発生した解約により減少した当月の平均解約金額を前月の平均月額課金額で除して計算した数値(直近12ヵ月の平均)を記載しております。

 

[事業系統図]

当社の事業系統図は以下のとおりであります。当社では、各事業の拡大を図るにあたり販売代理店を活用するケースがあり、当該ケースにおいては当社サービス提供の対価の受領は販売代理店を経由して行われております。

 


 

(注) 1.サブスクリプション:「定期購読」という意味で、消費者が製品やサービスごとにお金を支払うのではなく、それを一定期間利用できる「権利」に対してお金を支払うビジネスモデル。

2.ARPU:「Average Revenue Per User」の略。月額収入の総額を顧客数で除して算出。

3.LTV:「Life Time Value」の略。顧客生涯価値。

4.NPS:「Net Promoter Score」の略。企業やブランドへの愛着や信頼度を数値化する指標。顧客推奨度とも呼ばれる。

5.多変量解析: 互いに関連する複数の要因から成る問題を、統計的に分析する方法の総称。

6.VOC:「Voice Of Customer」の略。顧客の声。

7.UI:「User Interface」の略。コンピュータとそれを使う人間の間にあって、人間の指示をコンピュータに伝えたり、コンピュータからの出力結果を人間に伝えたりするためのソフトウエアやハードウエアの総称。

8.CRM:「Customer Relationship Management」の略。顧客情報や顧客対応履歴を蓄積・活用することで、顧客関係の構築、顧客情報の管理を行う方法。

9.マーケティングオートメーション:獲得した見込み客の情報を一元管理し、主にデジタルチャネル(メール、SNS、Webサイトなど)におけるマーケティングを自動化、可視化する方法。

10.RFM分析:データベースを使ったターゲット・マーケティングで、顧客の過去の購買履歴を分析する手法。RはRecencyでもっとも最近購入された年月日であり、FはFrequencyで過去1年などの一定期間に何回購入されたかの購入回数、MはMonetaryで一定期間での購買金額を意味する。

11.デシル分析:顧客の購買履歴の分析方法の一つであり、顧客を累積購買金額の多い順に並べ、10等分したグループに分類する分析手法。

12.CPM分析:「Customer Portfolio Management(顧客ポートフォリオマネジメント)」の略。顧客をグループ分けし、それぞれの属性に合った施策を行いながら定期的に顧客の育成状況をチェックする手法。

13.F2転換率:初回購入をした顧客のうちどれだけ回目の購入に至ったのかを表す指標。

14.ステップメール:見込み客に有益な情報を段階的に届け、購買意欲を高めるコミュニケーション手法。

15.ABC分析:多くの指標からランク付けで重点ポイントの優先度を決め管理する分析手法。

16.CPA:「Cost Per Acquisition」の略。1人あたりの顧客獲得コスト。

17.コンバージョン率:Webサイトを訪れたユーザーのうち成果に至った割合を示す指標。

18.科学的人事:経験や勘ではなく人材データの活用により人事戦略を進める取り組みのこと。

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

2021年30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

186

32.1

3.4

5,984

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

見える化エンジン事業

34

カスタマーリングス事業

47

タレントパレット事業

81

全社(共通)

24

合計

186

 

(注) 1.従業員数は就業人員であります。

2.平均臨時雇用人員については、従業員数の100分の10未満のため、記載を省略しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.従業員数が最近1年間において、20名増加しておりますが、これは業容拡大に伴う人員の増加によるものであります。

5.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 労働組合の状況

当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。