第二部 【企業情報】

第1 【企業の概況】

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第14期

第15期

決算年月

2019年3月

2020年3月

売上高

(千円)

2,379,704

2,467,009

経常利益

(千円)

56,639

7,408

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

38,790

765

包括利益

(千円)

38,790

765

純資産額

(千円)

251,781

344,905

総資産額

(千円)

569,647

656,526

1株当たり純資産額

(円)

474.16

499.14

1株当たり当期純利益又は
1株当たり当期純損失(△)

(円)

73.05

1.12

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

44.2

52.5

自己資本利益率

(%)

16.5

0.3

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

86,833

60,713

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

38,988

44,058

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

5,310

93,890

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

248,934

238,053

従業員数

(名)

23

31

〔他、平均臨時雇用人員〕

29

60

 

(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第14期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。また、第15期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できず、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

4.第14期及び第15期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、東陽監査法人により監査を受けております。

5.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は〔 〕に外数で記載しております。なお、臨時雇用者とは、正規従業員以外の有期雇用従業員と派遣社員であります。

6.当社は、2019年4月22日を払込期日とする第三者割当増資により普通株式800株を発行しております。

7.当社は、2020年11月13日開催の取締役会決議により、2020年12月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。これに伴い第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算出しております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第11期

第12期

第13期

第14期

第15期

決算年月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

売上高

(千円)

723,248

1,266,217

2,141,253

2,061,138

2,322,412

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

2,595

37,501

128,370

26,952

2,631

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

4,297

23,694

86,306

14,708

6,905

資本金

(千円)

80,000

80,000

94,985

94,985

144,585

発行済株式総数

(株)

2,140

2,322

2,655

2,655

3,455

純資産額

(千円)

81,821

114,452

226,085

235,483

322,468

総資産額

(千円)

151,940

304,599

476,692

437,199

608,226

1株当たり純資産額

(円)

38,234.19

49,290.52

85,154.45

443.47

466.67

1株当たり配当額

(円)

0.00

2,000.00

2,000.00

2,000.00

1,000.00

〔1株当たり中間配当額〕

-〕

-〕

-〕

-〕

-〕

1株当たり当期純利益又は
1株当たり当期純損失(△)

(円)

2,008.30

 10,204.41

37,139.84

27.70

10.13

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

53.9

37.6

47.4

53.9

53.0

自己資本利益率

(%)

5.1

24.1

50.7

6.4

2.5

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

19.6

5.4

36.1

従業員数

(名)

7

9

12

21

28

〔他、平均臨時雇用人員〕

0

2

3

4

6

 

(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.第12期において株式会社アイ・パートナーズホールディングスの吸収合併にあたり182株の無償割当を行っておりますが、1株当たり当期純利益の計算は期末発行済株式数で算出しております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第11期及び第12期については潜在株式が存在しないため記載しておりません。第13期及び第14期については潜在株式が存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。また、第15期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できず、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

4.株価収益率は、当社株式が非上場であるため記載しておりません。

5.配当性向については、第11期は配当を実施していないため記載しておりません。第15期は当期純損失を計上しているため記載しておりません。

6.主要な経営指標等のうち、第11期から第13期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく東陽監査法人による監査を受けておりません。

7.第14期及び第15期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、東陽監査法人により監査を受けております。

8.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は〔 〕に外数で記載しております。なお、臨時雇用者とは、正規従業員以外の有期雇用従業員と派遣社員であります。

9.当社は、2018年3月30日を払込期日とする第三者割当増資により普通株式333株を発行しております。

10.当社は、2019年4月22日を払込期日とする第三者割当増資により普通株式800株を発行しております。

 

11.当社は、2020年11月13日開催の取締役会決議により、2020年12月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。これに伴い第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算出しております。

12.当社は、2020年12月22日付で普通株式1株につき200株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第11期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第11期、第12期及び第13期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、東陽監査法人の監査を受けておりません。

回次

第11期

第12期

第13期

第14期

第15期

決算年月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

1株当たり純資産額

(円)

191.17

246.45

425.77

443.47

466.67

1株当たり当期純利益又は
1株当たり当期純損失(△)

(円)

△10.04

51.02

185.70

27.70

△10.13

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額
〔1株当たり中間配当額〕

(円)

0.00

〔-〕

10.00

〔-〕

10.00

〔-〕

10.00

〔-〕

5.00

〔-〕

 

 

 

2 【沿革】

当社の前身である株式会社アイ・ブレーンは、税理士法人アイ・パートナーズのコンサルティング部門の位置づけとして設立され、その後、金融商品仲介業に特化するため、現代表取締役社長田中譲治が資本・経営参加し、社名を株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルに変更いたしました。

年月

概要

2006年2月

横浜市鶴見区に株式会社アイ・ブレーン(現当社)を設立

2007年3月

 

証券仲介業(現金融商品仲介業)を開始するため、日興コーディアル証券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)と証券仲介業に係る業務等委託基本契約を締結

2007年9月

証券仲介業を開始

2009年2月

株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルへ商号変更

2009年4月

委託金融商品取引業者に楽天証券株式会社を追加

2010年4月

横浜市鶴見区に株式会社AIPコンサルタンツを設立

2011年3月

委託金融商品取引業者に株式会社SBI証券を追加

2014年3月

委託金融商品取引業者にエース証券株式会社を追加

2014年3月

横浜市西区に本店を移転

2015年3月

SMBC日興証券株式会社が金融商品仲介業(IFA)ビジネスを終了したため、業務等委託基本契約を解消

2015年9月

 

当社及び株式会社AIPコンサルタンツ(現 連結子会社)が共同して、株式移転により完全親会社たる株式会社アイ・パートナーズホールディングスを設立

2016年8月

 

当社が株式会社アイ・パートナーズホールディングスを吸収合併し、株式会社AIPコンサルタンツを当社の完全子会社化

2020年2月

委託金融商品取引業者にあかつき証券株式会社を追加

 

 

<株式会社アイ・パートナーズホールディングス設立の経緯>

当社は、金融商品仲介業に特化しつつ、お客様へのファイナンシャル・アドバイス業務の一つとして、IFAを委託型募集人とする保険代理店業務を行っておりましたが、2014年5月23日に成立した「保険業法等の一部を改正する法律」における保険募集人に対する規制の整備(第294条の3関係)により、保険募集人との雇用関係が必要となりました。

そのため、当社は、金融商品仲介業での業務委任契約と保険募集人としての雇用契約を同時に締結することを回避するため、当時、税理士法人アイ・パートナーズのグループ会社であった株式会社AIPコンサルタンツへ保険代理店業務を移管することといたしました。株式会社AIPコンサルタンツは、株式会社アイ・ブレーンが株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルに商号変更した後に、税理士法人アイ・パートナーズのコンサルティング業務を行うために設立された会社であり、株主はすべて税理士法人アイ・パートナーズの役職員でした。

このような経緯で、お客様へ提供するサービスを株主構成が異なる両社が提供することになりましたが、将来的な成長にはサービス間のシナジーを高め、スピード感のある経営判断が不可欠であると判断し、株式移転により完全親会社たる持株会社として、株式会社アイ・パートナーズホールディングスを設立いたしました。

 

<税理士法人アイ・パートナーズとの関係>

当社の会社設立時の初代代表取締役は、当時の税理士法人アイ・パートナーズの代表税理士が兼務で就任し、株式会社アイ・パートナーズホールディングスの初代代表取締役にも就任いたしました。

税理士法人アイ・パートナーズを中心としたグループの営業活動の一環として受託していた非金融事業により、株式会社AIPコンサルタンツは赤字となり、かつ、ファイナンシャル・アドバイス業務とのシナジー効果が期待できなかったため、金融商品仲介業に特化した当社が、税理士法人アイ・パートナーズを中心としたグループ内に留まるメリットがないとの結論に至り、2016年8月に当社が株式会社アイ・パートナーズホールディングスを吸収合併し、株式会社AIPコンサルタンツを当社の完全子会社とし、税理士法人アイ・パートナーズとの関係を解消いたしました。

「アイ・パートナーズフィナンシャル」の商号については、2019年3月29日に商標権の出願を行い、2020年1月31日に登録終了しております。「AIPコンサルタンツ」の商号については、2019年3月29日に商標権の出願、2020年11月4日に登録終了しております。

なお、現在、当社と税理士法人アイ・パートナーズの間には、出資及び人的な関係並びに業務上の提携及び制約は一切ございません。

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社と株式会社AIPコンサルタンツ(連結子会社)の2社で構成されており、「日本のリテール金融改革を通じて社会に貢献します。」の経営理念のもと、「IFAビジネスに関わる全ての人々の幸せを目指します。」をビジョンに掲げ、金融商品仲介業を基軸としたIFAによる金融サービスの提供事業を展開しております。

 

(1)金融商品仲介業とは

金融商品仲介業とは、金融商品取引法第2条第11項に掲げる有価証券の売買の媒介等の行為に係る業務をいい、同法第66条の規定により内閣総理大臣の登録を受けた者を金融商品仲介業者といいます。

金融商品仲介業は、幅広い投資者に証券市場への参加を促すことを目的とし、2003年5月に証券取引法が改正され、2004年4月1日より証券仲介業として始まり、8か月後の2004年12月には、銀行等の金融機関にも証券仲介業が解禁されました。2007年9月の金融商品取引法の施行に伴い、「証券仲介業」は「金融商品仲介業」に名称変更されました。

金融商品仲介業者は、法律上、金融商品取引業者の委託を受けて証券会社が取り扱う金融商品をお客様に仲介しますが、複数の証券会社と業務委託契約を締結することが可能なため、特定の証券会社に属さない独立・中立の立場から、お客様のライフステージに応じた金融商品・サービスの提案と金融商品取引の取次ぎを行うことができます。

なお、金融庁が公表している「金融商品仲介業者登録一覧」によりますと、2020年12月31日現在の登録業者数は881業者(法人612、個人269)となっております。

金融商品仲介業者、証券会社、お客様の関係を図に表すと以下のとおりとなります。

 


(出所)第22回金融審議会「市場ワーキング・グループ」配布資料、事務局説明資料

 

(2)IFAとは

IFAとは、Independent Financial Advisorの略で、明確な定めはないものの、一般的には、証券会社や銀行等特定の金融機関と従属関係になく、独立した立場で顧客へ金融商品・サービスの提案を行う金融商品仲介業者及び金融商品仲介業者の登録外務員を指すと言われており、IFAの特徴として、以下が挙げられます。

 

✔特定の金融機関(証券会社等)に所属せず、独立した立場

✔自社運用商品販売のしがらみがなく、顧客との利益相反が生じない

✔金融機関のようなノルマに基づく営業がない

✔会社都合の転勤がなく、顧客と長期にわたる接点継続が可能

✔「金融機関の代理人」ではなく、「顧客の代理人」

(出所)みずほ総合研究所株式会社 独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する研究

 

IFAは、金融商品仲介業者の登録外務員として独立・中立の立場からお客様に寄り添った資産運用のアドバイスを行う金融サービスの担い手として、大きな期待が寄せられております。

日本証券業協会によりますと、2020年12月末現在、金融商品仲介業者(法人)の登録外務員数は4,264名、個人金融商品仲介業者数(個人金融商品仲介業者の代表者)は268名で、合計で4,532名と増加傾向にあります。     

なお、登録外務員数にはIFA業務の担い手以外も含まれます。

 


 

(出所)日本証券業協会資料より、当社作成

 

(3)事業の特徴

当社の事業の特徴としては、対面型営業の金融機関において実在する「事業者とお客様の利益相反」や「事業者に所属する販売員の葛藤」等のお客様本位の業務運営を阻害する制度及び仕組みを反面教師としたビジネスモデル、具体的には、「IFAとの契約形態」と「プラットフォーム提供の対価(システム使用料)の徴収」の2点にあります。

当社が行うIFAビジネスでは、お客様に資産運用のアドバイスを行うIFAと当社は主として業務委任契約の関係にあり、IFAは委託金融商品取引業者及び当社の都合に縛られることなく、自分とお客様のためだけに自分の時間と能力のすべてを費やし、真のお客様重視を実現することができます。

また、業務委任契約であるが故、営業成績に基づく昇給や昇格・昇進という概念は存在せず、IFAは個人事業主としてお客様との長期的な信頼関係を構築することが不可欠となります。IFAは、お客様からの信頼がIFAの経営基盤のすべてであり、お客様からの信頼を失ったIFAはその事業を継続することはできません。

当社は、IFAが金融商品取引法等の法令や金融商品取引業者が定める諸規則を遵守しているかの管理・指導を行うとともに、当社が定める「IFAの誓い」に基づき、各IFAが真のお客様重視を実践できているかの啓発を日々行っております。

   「IFAの誓い」は、当社が当社所属IFAに対し求めている行動規範であるとともに、IFAとして成功するために実践すべきと考えるバイブルでもあり、その内容は以下のとおりです。

1. 真の独立・中立の旗のもとアドバイスを行います。

2. 常にお客様の意向と実状の理解に努めます。

3. 不断の研鑽で能力向上に努め、環境変化に対応します。

4. 健全な倫理意識を保持し、お客様の信頼に応えます。

5. 公共心を持ち、法令はその背景の理解に努め遵守します。

6. 投資の価値を伝え、業務を通じて社会に貢献します。

7. お客様の成功を共に喜び、自身の豊かさを実現します。

 

当社は、「真のお客様重視を実現する金融サービス」を追求するためには、IFAがお客様のために個々の能力や人間性を発揮できる環境が不可欠であるとの考えのもと、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できるプラットフォームを提供し、IFAからその対価としてシステム使用料を徴収しております。

IFAとして独立することは起業することであり、自身で起業した場合には金銭面だけでなく事務・管理面等の業務に忙殺され、お客様へのサービス提供に支障が生じるケースが少なくありません。ファイナンシャル・アドバイス業務を行う上での情報が不足することも考えられます。

当社は、個人事業主であるIFAが本業に特化できるビジネス環境提供の対価としてシステム使用料を徴収することで、IFA数の増加に伴い安定的かつ継続的な収入を獲得し続けることができるため、当社とIFAはWin-Winの関係にあると考えております。

このように当社は、お客様重視・お客様本位を志す者の自己実現を支援することを通じ、IFAビジネスに関わるすべての人々の幸せを目指し、社会に貢献したいと考えております。

 

(4)具体的なサービスの内容

当社グループは、「IFAによる金融サービス提供事業」の単一セグメントでありますが、「金融商品仲介業」と「その他金融サービス」の2つのサービスを展開しております。

当社グループは、当社と100%出資の連結子会社(株式会社AIPコンサルタンツ)の2社で構成されており、当社はIFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できるビジネスプラットフォームを提供する金融商品仲介業者として「金融商品仲介業」を展開し、子会社は保険その他お客様の幅広いニーズに対応する「その他金融サービス」を担っております。

 

当社グループが展開する具体的なサービスの内容は、以下のとおりです。

    ① 金融商品仲介業

「平均的な高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額は約5万円となっており、この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。」という内容が話題となった金融審議会の報告書には、「個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在が重要であり、顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定等の総合的なアドバイスを提供できるアドバイザー」の必要性が記載されております。

また、個人のライフスタイルの多様化や人生100年時代の到来を背景に各人が金融面での対応や備えを行っていく必要性が増し、幅広い世代における金融リテラシーの向上が不可欠となっているなかで、金融サービスの担い手の一つとしてIFAの存在感は急速に高まっており、その将来性が注目されております。

近年、金融庁は金融事業者のとるべき行動について、顧客本位の業務運営を実現するための明確な方針を策定し、この方針に基づいて業務運営を行うことを求めてきております。その影響から、大手金融機関が金融商品の販売で営業社員に課す「ノルマ」を廃止するとの動きが報じられておりますが、従来のビジネスモデルを転換するのは容易ではないとも報じられております。このような背景などから高い志を持って金融機関を退職しIFAとして独立する人、あるいは独立を検討する人が増加しているものと考えております。

一方、海外に目を向けますと、IFAビジネスのモデルとなる米国の独立アドバイザーは、約12万人と大手証券会社の営業社員の数を上回り、対面チャネル営業員数の4割強を占める等、米国人の資産形成になくてはならない重要な役割を担っております。老後の資産を自助努力で形成することが求められる今後の日本において、米国のように独立アドバイザーのニーズが高まり、その数が増加する可能性は高いと考えられます。

これまで当社は金融商品仲介業者として、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できる環境を提供してまいりました。当社に所属するIFAは下図のとおり増加の一途を辿っておりますが、お客様に必要とされる金融サービスはIFAが担うとの信念のもと、当社が提供するIFAビジネスプラットフォームの付加価値を高めることで、更なる事業規模の拡大を図ってまいります。

 


 

 

a 資産の運用・保全・形成のための金融商品仲介業務

2020年12月末現在、当社は楽天証券株式会社、株式会社SBI証券、エース証券株式会社、あかつき証券株式会社と金融証券仲介業に係る業務委託契約を締結し、当社が運営する全国20のIFAオフィスに所属するIFAがお客様に金融商品・サービスの提案を行いつつ、株式や債券、投資信託等の金融商品の売買注文を証券会社へ取次ぎます。当社は、お客様が金融商品の売買や預かり資産残高に応じ証券会社へ支払った手数料のうち所定割合を証券会社から報酬として受け取り、その報酬のうち所定割合をIFAへ報酬として支払います。

適正かつ安定的な報酬を得るためには、お客様から信頼され、お客様の金融資産をお預けいただくことが重要となりますが、当社が証券会社へ媒介する資産残高や口座数は、順調に増加しております。

 


 

b IFAビジネスプラットフォーム提供等のIFAサポートサービス

当社は、IFAビジネスの拡大にはIFAの知名度向上の他、IFAへのサポート力の向上が不可欠だと考えており、前記のとおり、IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できる環境やIFAとしてのスキル向上を図る研鑽機会等のIFAビジネスプラットフォームを提供しております。更に、社内掲示版やSNSを用いた成功事例やビジネスの切り口の全体共有、IFAビジネスの進捗状況を踏まえた個別コンサルティングの実施等、国内有数のIFAを擁する金融商品仲介業者としてのアドバンテージと黎明期よりIFAビジネスに邁進した多数の役社員の知見を活かしたサポートを行っております。

一方、管理・指導の面においては、証券会社からの指示・指導とは別に、当社の独自基準や観点から、当社内部管理責任者がIFAの提案する取引内容や提案時及び注文取次ぎ時の音声をモニタリングし、個々のIFAへフィードバックしております。個人事業主であるIFAが一生涯このビジネスを行ううえでの生命線はコンプライアンスであり、また、当社のコンプライアンス体制及びIFA管理体制が強固であればこそ、高い志とスキルを有した良質なIFAとの契約が増えると考えるためです。

このように当社は、米国における「スーパーOSJ(注1)」や「TAMP(注2)」の役割を担う金融商品仲介業者として、IFAに対し多岐にわたるサポートサービスを提供し、その対価として月額約10万円(本書作成時点での新規契約者の場合)を徴収しております。当社が提供するビジネスプラットフォーム及びサポートの概要は以下のとおりです。

(注) 1.OSJは「Office of Supervisory Jurisdiction」の略で、証券外務員の監督者のいる支店を指す。監督業務からさらに踏み込み、マーケティング、経営・営業指南、研修、営業ツール等の支援を独自に開発・提供するOSJは「スーパーOSJ」と呼ばれている 

2.TAMPは「Turnkey Asset Management Platform」の略で、独立系RIA(登録投資アドバイザー)のバック・ミドル業務のアウトソーシングを請け負うプロバイダー

 

(a) ファシリティ

      オフィスの賃貸、事務机、コンピュータシステム一式、電話、通話録音装置、等

(b) 投資情報・啓発研修システム

投信運用会社や上場企業のIR等投資情報の提供、IFAのスキル向上のための研修プログラム・コンテンツ、等

(c) 人的サポート

不在時等の受電応対や注文の代理発注等を行う事務局業務、IFAビジネス遂行上のコンサルティング、等

(d) 内部管理(本書提出日現在、6名の専任内部管理責任者を配置)

電話録音のモニタリングに基づくフィードバック、顧客対応上の懸念事項の相談対応、等

 


   (IFAブース)                                     (セミナールーム)

 


   (IFAが安心して業務に専念できる環境)

 

 

 

 

 

 

 

② その他金融サービス

資産運用以外にも、保険、不動産、相続・贈与、事業承継、等々、お客様にはライフステージに応じたニーズや悩みがあり、解決するためには個々の案件毎に専門家に相談しなければならず、その都度背景や経緯を説明する必要があります。

また、定期的・継続的なコンタクトを通じ、長年にわたり関係を構築してきたアドバイザーは、遠方に住むご家族よりも先にお客様の健康状態の異変を察知することがあるともいわれております。

このようにIFAはお客様のライフサイクルの伴走者として、そして、お客様のワンストップ・チャネルとして、一義的にはお客様のすべてのニーズや悩みに対処でき、「複数の専門家のハブ機能」と「お客様のライフ・パートナー」の観点からもその役割を期待される存在に成り得ると考えられるため、当社グループとしてはその他金融サービスの拡充に努めております。

 

    a ライフサイクルへの総合コンサルティングとしての保険募集業務

昨今、保険・証券の総合コンサルティングに対する有用性の認識が高まり、保険代理店を母体とした金融商品仲介業者も増加しております。当社子会社は以前より、保険の取扱いを希望するIFAと雇用契約を結び保険募集人とする形で保険代理店を営んでおりましたが、保険募集業務は金融商品仲介業との親和性が高く、当社グループとしてのシナジーが発揮できることから、積極的に保険募集人の獲得に努め、お客様のライフイベントに沿った総合コンサルティングの実施に取り組んでおります。

 


 

    b 複数の専門家のハブ機能としてのマッチングサービス

現在提供しているマッチングサービスは、概ね以下のように分類されます。お客様の様々なニーズに対応するワンストップ・チャネルとしての付加価値を向上させるため、今後もマッチングラインナップの拡充を続ける方針であります。

(a)不動産

(b)M&A

(c)オペレーティングリース

(d)企業向け(福利厚生、人事評価システム、確定拠出年金導入)

(e)その他(上場企業IR、PEファンド、介護施設、コインランドリー事業他)

 

当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

 

 [事業系統図]

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社AIPコンサルタンツ

神奈川県横浜市西区

20,000

保険代理店業

100.0

役員の兼任3名

顧客紹介

当社事業所の一部賃貸借

 

(注)1.特定子会社であります。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2021年1月31日現在

事業部門の名称

従業員数(名)

金融商品仲介業

22

(1)

保険代理店業

1

(60)

その他

15

(4)

合計

38

65

 

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )に外数で記載しております。なお、臨時雇用者とは正規従業員以外の有期雇用従業員と派遣社員であります。

2.当社グループは、単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。

3.「その他」は、管理部門など金融商品仲介業、保険代理店業以外の従業員数を記載しております。

4.最近日までの1年間において従業員数が22名増加しておりますが、主に保険代理店業の営業社員12名、金融商品仲介業の営業兼IFAサポート要員6名など、業容の拡大に伴う採用によるものであります

 

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2021年1月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

34

5

43.9

2.7

8,670

 

 

事業部門の名称

従業員数(名)

金融商品仲介業

22

(1)

その他

12

(4)

合計

34

5

 

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )に外数で記載しております。なお、臨時雇用者とは正規従業員以外の有期雇用従業員と派遣社員であります。

2.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与・報酬を含んでおります。

3.当社は、単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。

4.「その他」は、管理部門など金融商品仲介業以外の従業員数を記載しております。

5.最近日までの1年間において従業員数が10名増加しておりますが、主に金融商品仲介業の営業兼IFAサポート要員6名、内部管理責任者1名など、業容の拡大に伴う採用によるものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。