回次 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
|
決算年月 |
2016年2月 |
2017年2月 |
2018年2月 |
2019年2月 |
2020年2月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
持分法を適用した場合の 投資利益 |
(千円) |
|
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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普通株式 |
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A種優先株式 |
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B種優先株式 |
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C種優先株式 |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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|
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|
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1株当たり配当額 |
(円) |
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|
|
|
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純損失 (△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
潜在株式調整後1株当たり 当期純利益 |
(円) |
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|
|
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
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|
△ |
△ |
投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
△ |
△ |
財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
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|
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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|
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従業員数 |
(人) |
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|
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有しておりませんので記載しておりません。
4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
6.第6期、第7期、第8期、第9期及び第10期における自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。
7.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
8.当社は、第9期よりキャッシュ・フロー計算書を作成しておりますので、第6期から第8期までのキャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
9.第9期及び第10期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。
なお、第6期、第7期及び第8期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
10.当社は、2019年3月29日付で株式1株につき100株の株式分割及び2020年10月31日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っておりますが、第9期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失(△)を算定しております。
11.従業員数は就業人員(正社員及び契約社員)であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、年間平均人員を( )外数で記載しております。
12.2020年10月14日付で、A種優先株主、B種優先株主及びC種優先株主の株式取得請求権の行使を受けたことにより、全てのA種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式を自己株式として取得し、対価として当該A種優先株主、B種優先株主及びC種優先株主にA種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式1株につき普通株式1株を交付しております。また、同日付で当該A種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式を消却しております。なお、当社は2020年10月23日開催の臨時株主総会において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。
13.当社は、2019年3月29日付で株式1株につき100株の株式分割及び2020年10月31日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。なお、第6期、第7期及び第8期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
回次 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
|
決算年月 |
2016年2月 |
2017年2月 |
2018年2月 |
2019年2月 |
2020年2月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
29.44 |
39.28 |
4.31 |
62.73 |
41.83 |
1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△37.08 |
△46.63 |
△34.97 |
△11.01 |
△20.91 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
当社は、創業者であり元代表取締役社長大津裕史と現代表取締役社長大淵亮平がデジタルマーケティングにおけるコンサルティングサービスを提供することを目的に、2010年9月に株式会社WACUL(出資金7,000千円)として東京都文京区に設立いたしました。
会社設立後の事業の沿革については、以下の通りであります。
年 月 |
沿 革 |
2010年9月 |
創業。デジタルマーケティングのコンサルティング事業を開始 |
2011年4月 |
成果コミット型デジタルマーケティングのコンサルティング事業を開始。成果予測のために現在の「AIアナリスト」の前身となる社内利用向けのアクセス解析データ自動分析ツールを開発開始 |
2014年8月 |
社内利用向けの自動分析ツールをSaaS(Software as a Service)として改良し、アクセス解析データ分析レポートサービス「Sure!」のベータ版をリリース |
2015年4月 |
「Sure!」事業の後継として、アクセス解析・改善提案サービス「AIアナリスト」をベータ版としてリリース |
2015年6月 |
ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合から資金調達 |
2015年11月 |
「AIアナリスト」をサブスクリプションモデルに変更、正式版としてリリース |
2016年9月 |
ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合から追加の資金調達 |
2017年1月 |
電通デジタル投資事業有限責任組合から資金調達 |
2018年4月 |
コンテンツマーケティングサービス「AIアナリストSEO」をベータ版で提供開始 |
2018年11月 |
株式会社リコー、株式会社マイナビ、TIS株式会社、みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合などより資金調達。株式会社リコーのプロダクトに対し「AIアナリスト」の一部機能を提供する協業契約を提携 |
2019年1月 |
コンテンツマーケティングサービス「AIアナリストSEO」正式版を提供開始 「AIアナリスト」の知見を活かし、集客から接客までを一貫で行うべく自動広告運用サービス「AIアナリストAD」を提供開始 |
2019年2月 |
社内研究所として「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を設立。研究顧問として国立大学法人東京大学・国立大学法人京都大学・学校法人明治大学よりAIやマーケティングの専門家を招聘 |
2020年2月 |
「AIアナリスト」をデータ分析でデジタルマーケティングのPDCAを支援するサービスとしてアップデート |
2020年10月 |
株式会社JTBコミュニケーションデザインと観光業デジタルトランスフォーメーションを支援する「AIアナリスト forツーリズム」共同開発・リリース |
・事業の概要
当社は「知を創集し道具にする」をミッションとして掲げ、世界に遍在するデータや知見を集め、またそこから知見を新たに創り出す活動を継続し、それら集合知を、テクノロジーを用いて誰にでも使える道具(ツール)へと変えて、広くあまねく提供することで、「テクノロジーでビジネスの相棒を一人一人に」というビジョンを実現すべく、事業を行っています。
デジタルを活用したビジネス変革を推進するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX、*1)に取り組もうと考える企業が増える中、多くの企業はそもそも何から手を付ければ良いかわからない、データがあっても活用方法がわからない等の課題感を持っており、主に知見不足故にDXを推進出来ていないと当社は認識しております。
当社は世界に偏在する知を創集し、その集合知を誰にでも使える道具へと変え、すべての企業や人に開放することを目指します。当社の主力サービスである「AI analyst」(以下、「AIアナリスト」)はWebサイトに関する知見、各社に閉じていたWebサイトのデータを集め、誰にでもデジタルマーケティングにおける分析と改善が行える道具(ツール)に変えSaaS(*2)として提供しています。
当社はデジタルマーケティングを中心に、あらゆるビジネスのデータを優れたテクノロジーによって、整理・分析だけでなく課題特定・解決まで行うことで、ビジネスパーソンの生産性を高め、クリエイティビティの最大化を支援しております。
現在、当社は既存のオペレーションのデジタルによる置き換えにとどまらない「構造的なデジタル変革」を顧客の経済活動において実現すべく、成長著しいDX市場において、(1) データ分析でデジタルマーケティングのPDCA(*3)を支援するサービス「AIアナリスト」を中心に、マーケティングのDXを推進するワンストップ・サービス「AIアナリスト・シリーズ」(*4)を提供するプロダクト事業と、(2) DX実現のための戦略立案や組織・オペレーション設計等のコンサルティングを行う「DXコンサルティング」、そして企業・学術機関と共にPoC(*5)等を行う社内研究所「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」などを持つインキュベーション事業により、主に企業の生産性向上と収益向上に資する課題解決ソリューションの提供を行っています。
(*1)DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。当該市場は、株式会社富士キメラ総研「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」(2020年9月)によると、2023年に1兆7,848億円まで拡大することが見込まれています。
(*2)Software as a Serviceの略称。ソフトウェアを利用者(顧客)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するもの。
(*3)Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、業務を継続的に改善していくサイクルおよび手法のこと。
(*4)「AIアナリスト」を中心に、「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」などを含む、ソリューション群の総称。
(*5)Proof of Conceptの略称。新規アイディアのフィジビリティ・スタディなどの検証・実証のトライアル活動のこと。
当社は「DX事業」の単一セグメントでありますが、以下に各事業の内容および当社の事業の特徴を記載いたします。
1.プロダクト事業
プロダクト事業では、当社が「AIアナリスト」をリリースする2015年まで属人的かつ高コストに提供してきた“データ分析にもとづくデジタルビジネスの改善活動”を、蓄積された知見をもとにテクノロジーを活用し、自動化したツールである「AIアナリスト・シリーズ」として顧客に提供しています。
多くの企業は、デジタルを活用してビジネスを変革するDXの重要性を認識しながらも、そもそも何から手をつければいいか分からない、現状を正しく認識できていない、データがあっても分析や示唆の抽出ができない、分析の工数がとれないといった様々な課題を持っていると当社は認識しております。そうした企業は、DXによって大きく事業を成長させられるポテンシャルを持っていても、改善計画の策定・管理(Plan)、改善施策の実行(Do)から施策の成果測定(Check)そして次の改善方針の見直し(Act)というPDCAサイクルを実行できず、そのポテンシャルを発揮することができていないと考えられます。
「AIアナリスト・シリーズ」は、これまで高いコストをかけてそうしたPDCA活動を外部に委託してきた企業や、内部で膨大な工数をかけていた企業はもちろん、そもそも費用面や知見不足からそういった改善活動を行えなかった企業まで、“データ分析にもとづくデジタルビジネスの改善活動”を求めるすべての企業にむけて提供されています。
現在、プロダクト事業ではレポーティング、データ分析および改善方針の提案と改善幅予測、また実行された施策の成果検証を行う「AIアナリスト」と、「AIアナリスト」の改善方針に従い、実行を支援するサービスラインナップとして、SEO(*6)コンテンツ制作などコンテンツマーケティング支援を行う「AIアナリストSEO」、Webサイトにおけるお問い合わせや購買などのゴールまでを考慮したWeb広告の運用を代行する「AIアナリストAD」などのソリューションを展開しており、「AIアナリスト・シリーズ」と総称しております。
プロダクト事業のソリューションは、一定期間の利用を前提としたリカーリングレベニュー方式(*7、継続収益方式)を採用しています。そのため、解約されないかぎり継続的に収益をあげることができます。
以下に主なソリューションである「AIアナリスト」「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」について、詳細を記載します。
(*6)Search Engine Optimizationの略称。検索エンジン最適化とは、検索エンジンの検索結果において特定のWebサイトが上位に表示されるようWebサイトの構成やコンテンツなどを調整すること。
(*7)ビジネスモデルのひとつ。モノ・サービスの販売契約をおこなったあと、継続的に売上が発生するビジネスモデル。将来の収益が安定的であるのが特徴。
1-A.AIアナリスト
「AIアナリスト」は顧客がGoogleアナリティクスから得られる自社Webサイトのアクセス解析データ等をクラウド上で連携するだけでレポートの作成、データ分析結果からの改善提案、実施した改善施策の記録と成果の測定などが可能となる、デジタルマーケティングのPDCAをサポートするプラットフォームです。
昨今、多くの企業が顧客獲得のために自社Webサイトを保有しています。また、GoogleアナリティクスなどのテクノロジーツールをWebサイトに導入し、自社のWebサイト上における消費者のページ遷移等の行動データを収集し分析することで、Webサイト訪問者の行動の理解とそれに沿ったWebサイトの最適化をおこなうデジタルマーケティング活動を行っています。
このような中、「AIアナリスト」は、AI(*8)が行動データを分析し、レポートとして現状を「見える化」するだけでなく、そこから改善すべき点を示して「分かる化」することに特徴があります。この改善提案機能がある点が、サービスのクオリティ面での大きな差別化につながっていると考えています。
また、「AIアナリスト」はフリーミアムモデルを採用しており、当社はユーザーに対し無料で「AIアナリスト」の基本機能を開放するかわりに、そのユーザーが保有するWebサイトの行動データを獲得しています。2020年12月末時点で3万4千サイト以上のデータを保有しているため、このビッグデータを元に、類似サイト群からなるベンチマーキング(*9、類似サイト比較)を提供することが可能です。顧客はベンチマークとの比較を通じて、自社の強みと弱みを認識し、成長戦略の策定に活かすことができます。
一方、コスト面では、「AIアナリスト」はSaaSとして、シングルソース・マルチテナント型(*10)を採用することにより、すべての顧客が共通のソースコードで作られた同一のアプリケーションを使用しています。そのため、当社は常にひとつのソースコードを通じて、機能の強化・拡張を行っていくことができます。開発者はひとつのソースの開発に集中できるので比較的少ないリソース(コスト)で開発することが可能です。そのため、顧客に対しても比較的低価格でのサービス提供が可能となっております。
さらに、当社は継続的に機能アップデートが実施される体制を構築しており、毎週何かしらの修正がプロダクトに施されるなど、常に最新機能を顧客に提供しております。そのため、顧客に対する提供価値の陳腐化を防ぎ、当社の優位性を維持することが可能です。
よって、当社は比較的高いコストパフォーマンスで、顧客に対する提供価値の向上に持続的に取り組むことが可能です。
「AIアナリスト」の画面イメージ
1-B.AIアナリストSEO
「AIアナリストSEO」は、「AIアナリスト」の改善提案を考慮するなど、一部「AIアナリスト」の持つ機能を活用しながら“コンバージョン(*11)=購買・商談機会の獲得”を意識したコンテンツをサイト運営者に代わって制作する、コンテンツマーケティング支援サービスです。
近年、多くの企業が自社で保有するWebサイト(オウンドメディア)などを活用し、コンテンツマーケティングに力を入れています。コンテンツマーケティングとは、見込み客の疑問や関心に沿ったコンテンツを提供し、それによって見込み客を引き寄せ、最終的に自社製品やサービスの購買へと導くマーケティング手法です。
このコンテンツマーケティングにおいて重要となるものが、見込み顧客を誘引する「キーワード選定」、そのコンテンツが狙ったキーワードの検索結果における「コンテンツの検索順位」そして「Webサイト内における設置場所の決定」です。
第一に「キーワード選定」についてですが、現在多くのコンテンツマーケティング支援企業は、インターネット上にオープンになっている情報をもとに”サイトへの流入=集客”にフォーカスしたキーワード選定を行っています。しかし、本来コンテンツマーケティングの目的は“コンバージョン=購買・商談機会の獲得”です。したがって、効果的なコンバージョン獲得のためには、クローズドな情報である“サイト内の行動データ”の分析を行い、コンテンツを制作することが不可欠です。当社では、サイトへの流入ではなくコンバージョンにフォーカスし、サイト内の行動データも分析したうえでキーワード選定を行っています。
第二に「コンテンツの検索順位」についてですが、当社ではGoogleからの高い評価を期待できるコンテンツのアウトライン作成の工程を一部システム化することで、SEO対策コンテンツの制作を再現性高く、従来より低コストに提供することを可能としました。
第三に「Webサイト内における設置場所の決定」についてですが、当社ではコンテンツを置くべき場所の選定を、「AIアナリスト」の分析結果から得られる最適導線の提案に従って行うことで、コンテンツの価値を引き出します。
当社は「AIアナリスト」を利用する顧客に対して、その改善に日々向き合っているため、コンテンツマーケティングを実施すべきかどうか、実施する際にはどのような形で行うべきかを把握することができ、顧客のシチュエーションに合わせた提案を行っております。
1-C.AIアナリストAD
インターネット広告媒体費は成長が続き、広告媒体費が初めて1兆円を超えた2016年に引き続き、その後も広告媒体費全体で好調に推移しています(広告媒体費データは株式会社電通「2019年 日本の広告費」より引用)。このような中、当社では、広告枠の買い付けなどのWeb広告業務の一部をシステム化し、Web広告の運用を代行するサービス「AIアナリストAD」を提供しております。
Webサイト内のデータを保有・分析できる「AIアナリスト」を提供する当社ならではの強みを活かし、「AIアナリスト」と「AIアナリストAD」を共に導入いただくことで“訪問数を増やすWeb広告”ではなく“コンバージョンを増やすための、Web広告とWebサイトの一体運用”をサイト運営者に代わって行い、広告効率をより高めます。具体的には、Web広告を高いコストパフォーマンスで運用するには、どういった広告からWebサイト内のどのコンテンツに誘導すればよいかまでを踏まえて運用します。こうした取り組みにより、顧客はコンバージョンにつながらない広告費の削減や、広告をクリックした人々がお問い合わせや購入に至る率を向上することができます。
同時に、当社では多くの顧客のデータを保有し分析しているため、顧客の属性にあわせて、検索連動型広告やSNS広告、記事広告など多様な広告媒体を横断的に提案し、最適化を図っております。実運用については、広告運用が自動化されている外部ツールを利用することで、工数を削減しつつも効率的な広告運用が可能です。当社は、コアバリューである分析および提案に特化しております。
(*8)Artificial Intelligence(人工知能)の略称。
(*9)企業が製品、サービス、プロセス、慣行を継続的に測定し、優れた競合他社やその他の優良企業のパフォーマンスと比較・分析する活動のこと。
(*10)1つのソースコードで書かれたソフトウェアを、多数のユーザーで、共同で利用する形式のこと。1つのソースコードを改良することで、多数のユーザーがその恩恵を受けることができるため、効率的に改善が可能。
(*11)Webサイトにおける最終的な成果・目的のことを指す。主なものとして、商品の購入・予約、会員登録、資料請求、お問い合わせなどがある。
2.インキュベーション事業
インキュベーション事業では、最先端のデータ分析に基づいたデジタルマーケティングを推進する企業に対し、コンサルティングのサービスを提供しています。さらにアカデミアおよびビジネスの先端をいく人材を顧問とする社内研究所である「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を2019年2月に社内研究所として立ち上げ、AIやマーケティングを専門とする大学教授などを顧問に迎えるなど、先端テクノロジーの導入と知見の磨き上げに力を入れています。また、そうした活動で得られた知見をソリューションに落とし込む形で「AIアナリスト・シリーズ」などの新規ソリューションの立ち上げおよび「AIアナリスト・シリーズ」の機能拡張に活かしてきております。本事業は、知見の獲得および各種ソリューションの開発・機能強化を目的としているため、2020年2月期において全体に占める売上高の割合は10%未満となっております。
これまでにも、AIについては2015年に国立大学法人東京大学松尾研究室とのコラボレーションリサーチを実施し、当社としてサイト分析システムで特許を取得しております(特許第6056094号)。また、深層学習(*12)(ディープラーニング)など、新たな技術を活用した機能・ソリューション開発も行っており、現在特許を出願中です(特開2018-136845)。さらに、顧客とともに深層学習を用いたアプリ内における行動分析や、顧客の行動分析に基づくWebと店舗の最適なつなぎあわせなどのプロジェクトを実施してきております。
当社のDXコンサルティングでは、継続的に顧客から「AIアナリスト」を通じて共有される最新のPDCAデータから、過去に成果が出ることの多かった事例を抽象化した“勝ちパターン”を見出し、最も効果の見込める施策を短時間・少工数で提供することが可能です。また、当社はコンサルティング業に源流を持つため、社内のコンサルティングに関する知見の蓄積を活かして、事業全体の再構築や、KPI設計、組織設計、オペレーション構築等のコンサルティングサービスを提供しています。
(*12)多層の人工ニューラルネットワークによる機械学習手法。ディープラーニングとも呼ばれる。2010年代に普及しはじめ、第3次AIブームを牽引することとなった革新的な技術。
・当社の事業の特徴
①企業規模や業種・業態によらず、幅広く提供可能なサービスラインナップ
当社のソリューションは「AIアナリスト」はもちろん「AIアナリスト・シリーズ」すべてが、大企業から中小企業まで企業規模を問わず提供されています。また、ECサイトなどWeb上で購買の完結するビジネスだけでなく、Webで問い合わせをうけた後に営業人員が商談を行い契約まで導くビジネスなど、顧客の業種や業態を問わず提供されております。
②「AIアナリスト」を司令塔とした付帯サービスのクロスセル
当社は「AIアナリスト」による改善提案だけでなく、その改善提案と紐づく形で実行・実装を行う「AIアナリストSEO」や「AIアナリストAD」といった付帯サービスを顧客にあわせて提案することで、同一顧客に複数ソリューションを提供するクロスセルを行っています。
顧客は「AIアナリスト」だけでなく改善を実行・実装することができるソリューションを組み合わせて利用することで、スムーズにデジタルマーケティングの改善ができるので、顧客満足度の向上につながり、さらに他のサービスの追加契約につながっています。
③プロダクト事業とインキュベーション事業のシナジー
当社の事業は、プロダクト事業とインキュベーション事業とが相互に価値向上に貢献しあうという“正のスパイラル”によって、企業のDX実現のための課題解決力を高めることで、市場により高い価値を創出しています。
当社では、インキュベーション事業で得られた新たな知見を仕組み化し、プロダクト事業で提供するソリューション群の新規機能の追加や既存機能の強化を行います。また逆に、プロダクト事業で得られたデータ基盤はインキュベーション事業で新たな知見の創出を行ううえでの源泉となり、DXコンサルティングでの提案活動に活かされております。こうした2事業の互恵関係による“正のスパイラル”が当社の価値となっています。
④事業成長と参入障壁を実現する独自PDCAデータの蓄積
当社の「AIアナリスト」は、基本的な機能を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するフリーミアムモデルで提供されています。そのため、当社はユーザーに対し無料で基本機能を開放するかわりに、そのユーザーのデータを獲得しています。
当社は多数存在するWeb上の行動データを記録するツールの中でも、日本の上場企業の90.67%(株式会社DataSign「DataSign Report 2020.3 上場企業調査」)が利用し、トップシェアを持つGoogleアナリティクスと連携し、Googleアナリティクス利用者のデータを、顧客からの許可を得た上でGoogleを通じて提供を受けています。このため、Webサイトにタグを埋め込むなどの作業を必要とするWeb行動データ分析ツールでは、タグの埋め込みの開発やデータの蓄積など実際にデータを分析するまでに作業と時間を要しますが、当社の「AIアナリスト」ではそういったリードタイムが必要なく、その場ですぐに分析を始めることが可能です。こうした導入ハードルの低さや高い利便性から、「AIアナリスト」の登録サイト数の増加と当社の保有データの蓄積につながっていると考えています。
「AIアナリスト」登録サイト数の推移
※登録サイト数とは、有料版/無料版を問わず、当社「AIアナリスト」にGoogleアナリティクスが連携された数を示しています。
また、当社は顧客から共有されるクローズドなビッグデータとWeb上に存在するオープンデータを合わせて分析し、顧客に改善ポイントの提案を行っています。顧客が改善施策を実行したのち、当社はその成果を測定します。こうしたPDCAデータを当社は蓄積することで、改善提案の質の向上に役立てています。改善提案の質の向上は、さらなる顧客数の増加や定着につながる好循環を生むと考えています。
改善施策の立案からその実行そして成果測定に至るまでのPDCAデータは、当社独自のものです。この独自のPDCAデータを分析することで当社は“デジタルビジネスの勝ちパターン”を蓄積しており、当社の課題解決力の強化ひいては事業における競争力につながると認識しています。
こうした好循環は、Data Network Effectsとよばれ、追随しようとする他社に対する参入障壁となり、当社の先行優位性をより強固にすると考えています。
当社の各事業とデータの関係
<事業系統図>
該当事項はありません。
(1)提出会社の状況
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2020年12月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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( |
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(注)1.従業員数は就業人員(正社員及び契約社員)であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)労働組合の状況
当社において労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。