第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

提出会社の状況

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

売上高

(千円)

613,864

579,952

664,017

960,986

756,633

経常損失(△)

(千円)

358,313

808,127

1,075,219

996,094

1,225,739

当期純損失(△)

(千円)

356,506

810,967

1,128,917

1,040,521

1,240,167

持分法を適用した場合の
投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,803,240

2,553,240

10,000

343,852

763,310

発行済株式総数

 

 

 

 

 

 

 普通株式

(株)

60,400

60,400

60,400

61,700

25,132,380

 A種優先株式

(株)

355,498

355,498

355,498

355,498

 B種優先株式

(株)

41,666

41,666

41,666

41,666

 C種優先株式

(株)

58,680

58,680

58,680

58,680

 D種優先株式

(株)

85,714

85,714

85,714

85,714

 E種優先株式

(株)

187,500

187,500

187,500

 F種優先株式

(株)

22,224

345,984

純資産額

(千円)

485,805

1,174,837

245,935

2,130,953

1,729,699

総資産額

(千円)

1,131,202

1,855,978

1,199,950

2,999,407

2,919,364

1株当たり純資産額

(円)

51,255.53

64,682.15

83,372.85

4,914.53

68.82

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

5,902.42

13,426.61

18,690.69

850.79

72.24

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

42.95

63.30

20.50

71.05

59.25

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,184,162

1,208,362

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

112,880

204,730

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

2,897,541

1,161,374

現金及び現金同等物の
期末残高

(千円)

1,722,684

1,464,175

従業員数
〔外、平均臨時雇用人員〕

(人)

22

33

45

50

55

5

6

9

14

13

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、持分法を適用する関連会社が存在しないため記載しておりません。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

5.2019年8月9日付で優先株式1株につき普通株式1株の割合で株式の転換を行っております。2019年8月20日付で普通株式1株につき普通株式20株の割合で株式分割を行っております。これにより発行済株式総数は25,132,380株となりました。第13期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

6.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

7.第10期から第14期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。

8.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む就業人員であり、臨時雇用者数は年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

9.主要な経営指標等のうち、第10期から第12期については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

10.第13期及び第14期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。

11.株主からの取得請求権行使に基づき、2019年8月9日付でA種優先株式355,498株、B種優先株式81,664株、C種優先株式78,678株、D種優先株式85,714株、E種優先株式187,500株、F種優先株式405,865株を自己株式として取得し、その対価として普通株式をそれぞれ355,498株、81,664株、78,678株、85,714株、187,500株、405,865株交付しております。また、2019年8月9日付で自己株式として保有するA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式、E種優先株式及びF種優先株式をすべて消却しております。なお、当社は2019年8月20日開催の臨時株主総会において、同日付で種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。

12. 主要な経営指標等のうち、第13期よりキャッシュ・フロー計算書を作成しておりますので、第12期以前のキャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。

13.当社は、2019年8月20日付で株式1株につき20株の割合で株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下の通りとなります。

なお、第10期、第11期及び第12期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

決算年月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

1株当たり純資産額

(円)

△2,562.77

△3,234.10

△4,168.64

△4,914.53

68.82

1株当たり当期純損失(△)

(円)

△295.12

△671.33

△934.53

△850.79

△72.24

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

2 【沿革】

当社の創業者である菅原充は、富士通株式会社及び国立大学法人東京大学との産学共同の開発体制の下、量子ドットレーザ技術開発の先駆者としてスタートし、富士通株式会社及び三井物産株式会社の両社のベンチャーキャピタル資金を活用して、富士通の量子ドットレーザ技術に基づく光デバイスのベンチャー企業として2006年4月に当社を設立いたしました。

 

年月

事項

2006年4月

富士通株式会社と三井物産株式会社のベンチャーキャピタル資金を活用して、富士通株式会社の量子ドットレーザ(※1)技術に基づく光デバイスのベンチャー企業として、東京都千代田区に株式会社QDレーザ(資本金10,020千円)を設立

2006年6月

国立大学法人 東京大学と「量子ドットの結晶成長技術(※2)に関する研究」で共同研究契約締結

2010年4月

業務拡大に伴い、本社を神奈川県川崎市川崎区に移転

2010年9月

光通信用1240-1310nm 量子ドットレーザを世界で初めて実用量産化し、QLF1339シリーズとして商品化

2011年4月

単一モード発振特性(※3)に優れた1030-1180nm 材料加工・センサ用DFBレーザをQLD106xシリーズとして商品化

640-785nm 高出力レーザ(モニタPD付き)をQLF063xシリーズとして商品化

2012年1月

ISO9001認証取得

2013年3月

532, 561, 594nm 小型可視レーザモジュールをQLD0593シリーズとして商品化

2014年2月

1064nm 400mWのDFBレーザモジュール(※4)開発

2014年4月

波長1μm帯DFBレーザモジュール搭載ピコ秒パルスドライバーボードを商品化

2015年9月

臨床試験実施の目的で、ドイツエッセン市に非連結子会社QD Laser Deutschland GmbH(資本金25,000EUR)を設立

2018年4月

レーザアイウェア事業の開発拠点拡張に伴い、神奈川県川崎市幸区に新川崎オフィスを設置

2018年7月

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® Display」販売開始

2019年10月

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® DisplayⅡ」発表・受注開始

EN ISO13485認証取得

2019年12月

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® DisplayⅡ」販売開始

2020年1月

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® メディカル」が新医療機器として製造販売承認を取得

2020年9月

RETISSA® Displayシリーズ累計450台出荷達成

2020年10月

富士通エレクトロニクス株式会社(注)とRETISSA®シリーズに関する販売代理店契約を締結

メガネブランド「Zoff(ゾフ)」を運営する株式会社インターメスティックと業務提携

参天製薬株式会社とRETISSA® メディカルの販売支援契約を締結

 

(注) 富士通エレクトロニクス株式会社は2020年12月29日に加賀FEI株式会社に商号変更する予定となっております。

 

本項「2 沿革」にて使用しております用語の定義について以下に記します。

No

用語

用語定義

量子ドットレーザ

量子ドットレーザは、半導体レーザの活性層(発光部)に半導体のナノサイズの微結晶である量子ドットを使用したレーザです。温度安定性に優れ(-40度Cから120度Cの範囲でレーザ動作特性が殆ど変化しません)、高温にて動作可能です(200度C以上でも動作します)。波長1300nm帯でレーザ発振するためデータ通信用に用いられます。

量子ドットレーザをシリコンに融合させて(フリップチップ接合またはウェハ融着を行っております)、光源とすることでシリコンフォトニクス光源となります。量子ドットレーザはこのシリコンフォトニクス光源として最も優れており、その理由は、1)高温のCPUの近くでも安定して動作する、2)ノイズに強く部品点数を削減・低コスト化できる、3)高温度で動作させても長寿命である、の3点です。光通信で用いられる通信用インジウムリン系半導体レーザではこれらは対応不能です。

結晶成長技術

半導体結晶を半導体基板上に成長させる技術で、当社はその中でも分子線エピタキシー法(MBE法:Molecular Beam Epitaxy)を採用しております。このMBE法では、ヒ素、ガリウム、インジウム等の原料をセルで加熱し、その分子線を基板に到達させて結晶成長を行っております。この結晶成長が、宇宙空間と同等の極めて高い真空の炉の中で行われるため、純度の高い、原子のレベルで精密な半導体結晶を成長することができます。

単一モード発振特性

DFB(DFB:分布帰還型Distributed Feedback)レーザの発振波長は単一モードになります。このレーザの波長特性を単一モード発振特性といっております。ファイバレーザの種光として利用される1064nm DFBレーザの単一モード特性は、希土類をドープした光ファイバの増幅波長に合わせるために使用されます。

DFBレーザ(モジュール)

DFBレーザとはDFB(DFB:分布帰還型Distributed Feedback)レーザの事で、半導体レーザ内部に回折格子を設けて、単一波長でレーザ発振することを可能としたレーザです。ファイバレーザの種光のように狭い波長域に光出力を集中させる必要がある用途に適します。モジュールはそのレーザをユニット化したものです。

 

 

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、非連結子会社QD Laser Deutschland GmbH(ドイツ)で構成されております。

当社はレーザ(※)技術を用いた製品の開発・製造・販売を行っており、レーザデバイス事業とレーザアイウェア事業を展開しております。非連結子会社QD Laser Deutschland GmbHはレーザアイウェア事業における欧州での臨床検査試験を目的としております。

当社のコア技術として、下記6点があります。

● 半導体結晶成長・・・半導体基板の上に半導体材料を作製することを半導体結晶成長といいます。

● レーザ設計・・・所望の機能を満たす半導体レーザを作製するために、必要なパラメータ(例えば半導体レーザの長さ)を決定することです。

● 小型モジュール・・・半導体レーザは半導体レーザチップをパッケージの中に入れますが、そのパッケージのことをモジュールと言い、当社の532nmや561nmレーザのモジュールサイズは、他社に比べて小さいため、小型モジュールと呼んでおります

● VISIRIUM Technology・・・メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接画像を投影する技術です。

● 回折格子・・・半導体レーザ内部に波長を選択するための周期100ナノメール程度の凹凸を作り込んでおり、これを回折格子と呼んでおります。

● 量子ドット・・・半導体材料で出来たナノメートルサイズの塊で、電子をこの中に閉じ込めることによって、温度特性を改善させることでできます。

 

 


 

※ レーザ(Laser)とは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)の頭文字を取ったもので、共振器を用いて電磁波を増幅して得られる人工的な光であり、指向性や収束性に優れ、また波長を一定に保つことができる等の物理的な特長があります。

 

(レーザデバイス事業)

当社のレーザデバイス事業は、結晶成長を自社で実施し、半導体レーザチップ加工及びモジュール実装を、社外協力会社に製造委託する水平分業体制によるファブレス製造を実現し、ハイエンド技術を基にした事業となっております。

当社は半導体レーザの特性を決める活性層成長を担っており、特に量子ドットの結晶成長については他社にはないノウハウを有しております。また、研究機関からの基礎技術の研究開発や、メーカの新規アプリケーションの光源開発を行う開発受託業務も行っています。

 

当社の技術が使われている製品は以下の通りとなっております。

名称

用途等

 

1240-1310nm量子ドットレーザ


 

 

量子ドットレーザは、半導体レーザの活性層(発光部)に量子ドット構造を採用しており、温度安定性に優れ、高温にて動作可能であります。このような温度安定性は、レーザの評価や調整を、従来の量子井戸レーザ(※)に比べて極めて容易に行うことができます。波長1300nm帯でレーザ発振するため、データ通信用の光源として利用されています。

※量子井戸レーザとは、一般に使用される高速長距離光通信用レーザです。

 

 

1300nm高温度動作量子ドットレーザ

 


 

 

量子ドットレーザは、温度依存性が小さいため、従来の量子井戸レーザよりも高温での動作が可能となります。高温度動作量子ドットレーザは、150℃以上での動作に向けた温度耐性のある波長1300nm量子ドットFPレーザであります。このレーザは砂漠や工場、地中資源探査といった過酷な温度環境下でのデータ伝送やセンシング等様々な応用に適しております。

 

シリコンフォトニクス用量子ドットレーザ


 

 

シリコンフォトニクス用量子ドットレーザは、量子ドットレーザを一つのチップ上に並べて、複数の発光点を持つマルチチャネル型です。

この量子ドットレーザをシリコンに融合させて(フリップチップ接合を行っております)、光源とすることでシリコンフォトニクス光源となります。量子ドットレーザは、このシリコンフォトニクス光源として最も優れており、その理由は1)温度が100℃以上の高温のCPUの近くでも安定して動作する、2)ノイズ(主に反射戻り光によるものです)に強く、部品点数を削減・低コスト化できる、3)高温度で動作させても長寿命である、の3点です。光通信で用いられる通信用インジウムリン系半導体レーザでは、これらには対応不能です。

 

 

1030-1180nm 材料加工・センサ用DFBレーザ


 

 

波長1000-1180nmの高出力の単一モードDFBレーザであり、連続動作から短パルス動作まで極めて安定に動作します。

単一モード安定性は、精密加工用ファイバレーザの種光、ガスセンシング等様々な応用に適しております。

 

 

 

 

640–940 nm高出力FPレーザ(モニタPD付き)

 


 

 

波長640,660,785,830及び940nmの高出力ファブリペローレーザで、主に産業用途をターゲットとしており、マシンビジョン、パーティクルカウンター、モーションセンシング、セキュリティ及びレベラー等の様々なアプリケーションに最適であります。

 

532,561,594nm 小型可視レーザモジュール

 


 

 

波長532,561及び594nmの小型可視レーザモジュールであります。波長1064-1188nmの半導体DFB(Distributed Feedback)レーザと非線形光学素子PPLN(Periodically Poled LiNbO3)を組み合わせた波長変換技術を使用しております。

GaAsベースの半導体レーザを用いているため、低消費電力を実現しております。DPSS(半導体励起固体)レーザと異なり、100MHzまでのパルス変調動作が可能です。

また半導体レーザをゲインスイッチ動作させることで、ピコ秒での動作も可能であります。顕微鏡、フローサイトメータ、分光及びセンシング等のアプリケーションに利用可能です。

 

高品質エピタキシャルウェハ

 


 

 

様々な光デバイス・電子デバイス用途に、カスタマイズした分子線エピタキシー(MBE)装置を用いたGaAs基板上の高品質エピタキシャルウェハです。量子ドットウェハには、テレコム/データコム用温度安定レーザや、220℃までの高温度環境で動作するレーザで、世界最高水準の量子ドット技術が適用されております。

 

 

 

上記製品を搭載している主な製品機器の一例として、次のようなものがあります。

1.光通信・シリコンフォトニクス(※1)

名称

用途等

製品特性・概要

 

シリコンフォトニクス

 


 

 

シリコン半導体とレーザを融合して、電気信号の代わりに光でデータの通信をする技術です。データセンターのコンピュータ間の伝送や、将来的にはコンピュータのボード内の通信、さらにはLSI内部の通信への利用が期待されております。LSI内部の通信とは、LSI オンチップ光配線(シリコンによる信号処理と光配線を同一チップ内で行い、LSIからの出力を光で行う方式)のことです)。

 

高温度安定動作量子ドットレーザ(量産中)

量子ドット技術を使った半導体レーザで、高温での動作が可能で、また高温まで特性変化が少ないことが主の特長になります。

高温度動作、反射戻り光に強い量子ドットレーザの特性を活かし、光インターコネクト用シリコンフォトニクスの主要な光源として期待されております。

 

 

2.バイオ系検査装置

名称

用途等

製品特性・概要

 

フローサイトメータ(※2)

(細菌検査装置)


 

細胞の測定装置で、細胞の浮遊液や懸濁液を細管に通し、細胞数の計測、蛍光や散乱光の測定等を、短時間で多量に行っております。分子生物学、病理学、免疫学、植物生物学、海洋生物学等各種分野にて応用されております。

 

 

世界初、緑・黄緑・橙半導体レーザ(量産中)

1um帯DFBレーザ技術と波長変換技術を組合せた小型モジュールになります。黄緑・橙色は直接半導体では発光できない波長帯で、独自の技術をもって実現しております。

小型・低消費電力特性を活かし、フローサイトメータ(細胞検査装置)やバイオメディカル用顕微鏡光源として採用されております。

 

蛍光顕微鏡


 

 

蛍光タンパク質や蛍光抗体を標識に用いて、細胞やタンパク質を生きたままで観察できる顕微鏡で、生物学・医学における研究、臨床検査、浸透探傷検査等に使用されております。

 

 

3.精密加工

名称

用途等

製品特性・概要

 

ファイバレーザ(※3)


 

 

固体レーザ(※4)の一種ですが従来の固体レーザに比べ、繰り返し周波数の自由な設定が可能、ビーム品質が高い、小型軽量で電気-光変換効率が高い、長寿命といった特徴があり、金属やセラミック、ガラス等のマーキング、微細加工、溶接、切断等に使用されます。

 

1064nm帯短パルスレーザ(量産中)

結晶成長技術、グレーティング設計技術、半導体レーザ設計技術により1064nm DFBレーザのナノ秒、ピコ秒の短パルス動作を実現しております。

ナノ秒・ピコ秒の短パルス特性を活かし、ファイバレーザの種光として、多くのファイバレーザメーカに採用されております。

 

 

4.各種センサ

名称

用途等

製品特性・概要

 

パーティクルカウンター(※5)

 


 


 

 

マシンビジョン(※6)

 


 

 

空気中や液体中にある塵・ホコリ・異物・ダスト等をカウントする計測器で、工業用クリーンルームと医薬品・食品及びバイオテクノロジー分野向けとして、主に空気中の浮遊微粒子や微生物を制御・管理したクリーンルームやクリーンベンチの管理目的で使用されます。

 

640-940nmセンサ用レーザ(量産中)

640, 660, 785, 830, 905および940nmでレーザ発振する半導体レーザで各種センサ、マシンビジョン、水準器、距離計等の産業用途にレーザを提供しております。

レベラー、パーティクルカウンター、マシンビジョン、血液検査系、距離計等各産業用センサに採用されております。

 

光電センサ


 

 

物体の有無や表面状態の変化等を検出するセンサで、工場等での外観検査、自動搬送器、駅のホームドア等幅広い用途に使用されます。

 

ローティングレーザ

水準器

 


 

 

本体からレーザを回転しながら射出し、レーザを受光するセンサ(レベルセンサ)によって、水平方向の高さ位置を速やかに検出することができるツールで、墨出し等の内装作業や基礎コンクリート打設作業、造成・整地工事での水平、勾配設定作業をはじめ、重機マシンコントロールシステムでの施工高管理工事使用が可能であります。

 

 

 

距離計

 


 

 

スマートフォンのイヤホンジャックに挿して電源を入れ、計測ガイド(測定点を表示するガイド)用のレーザを照射させ、部屋の壁面等2点間の距離を測定します。

 

 

 

(レーザアイウェア事業)

レーザアイウェア事業は、レーザ網膜投影技術を使ったメガネ型ディスプレイ(網膜走査型レーザアイウェア)を、ファブレス製造にて、製品開発・製造を行っております。

ファブレス製造とは、製品の企画、設計を自社内で行い、部品製造及びコントローラーユニットと、メガネユニットの製造から組立てを協力会社に依頼しているものです。当社からは、コントローラーユニット・メガネユニットの製造・調整に必要な製品仕様、部品リスト、部品仕様書、回路図、実装図、プリント配線板製造データ、組み立て指示書、検査指示書、ソフトウエアを協力会社に供給し、製品製造・検査を委託しております。

また販売に関しましては、一般顧客向けには販売パートナー(メガネ店、通販業者)を通じ販売し、法人顧客向けには直販を行っております。

網膜走査型レーザアイウェアは、メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接画像を投影(VISIRIUM Technology)し、装着者の視力やピント位置に影響を受けることなく、カメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せることができる製品となっております。装着者のピント調整能力に依らず、ボケのない画像を見せられる(フリーフォーカス)ことから、全盲ではないものの、視覚に障がいのあるロービジョン(矯正視力が0.3未満(WHO定義)及び0.5未満(米国定義))と一部の社会的失明者(矯正視力が0.05未満(WHO定義))に対する視覚支援機器として、生活の質の向上に資する性質を有しております。なお、ロービジョン人口(日本国内)については、約145万人と推計されております。(2009年日本眼科医会資料「本邦の視覚障害者の数 現況と将来予測」より抜粋)

 

 

 

網膜走査型レーザアイウェアの仕組みは以下の通りとなります。

 


 

網膜走査型レーザアイウェアは、民生用機器と医療用機器を展開し、民生用機器を「Vシリーズ」とし、医療用機器を「Rシリーズ」としております。

民生用機器「Vシリーズ」は、「RETISSA® Display」を2018年7月より販売を開始しております。また、「RETISSA® DisplayⅡ」を2019年12月に販売を開始しております。

名称

用途等

 

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® DisplayⅡ」

 


 

 「RETISSA® Displayシリーズ」のフリーフォーカスの特性は、見ることが次第に困難となってきた高齢者の見え方を助けることができます。さらに、装着者に対して完全な拡張現実(Augmented Reality: AR、現実の視界に情報を重ね合わせて表示すること)を実現できるため、組み立て作業中に手順書を見ることや医師が手術中に画像診断情報を見ること等の作業支援用途や、スポーツ観戦や観劇において、解説情報や多言語対応の情報を見せる等の情報支援用途にも応用が可能となっております。
視力0.8相当の高解像度とレーザディスプレイならではの高い色再現性によって、美しい映像をご覧いただけます。

 

 

医療用機器「Rシリーズ」は現在、日本で医療機器としての承認を取得しており、ヨーロッパで医療機器としての治験実施及び許認可の申請を行っております。Rシリーズは、眼鏡フレームの中央にカメラを内蔵した網膜走査型レーザアイウェアで、カメラで撮影した画像をリアルタイムに装着者の網膜に投影します。

日本においては2018年10月に治験を終了し、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得いたしました。

ヨーロッパでは2018年8月に治験を開始し、2019年10月に治験は終了いたしました。

名称

用途等

 

不正乱視向け視力補正機器

網膜走査型レーザアイウェア

「RETISSA® メディカル」

 

 

 


カメラで撮影した画像を網膜に投影することによって、次の3つの効果が期待されます。

①遠くを見る視力の向上

②読書の速度の向上

③読書で文字を読むときの視力の向上

出典:前眼部疾患に起因する低視力患者を対象とした網膜走査型レーザアイウェアの検証的試験 治験総括報告書第1.0版

医療機器承認番号:30200BZX00025000

使用目的:本品は、不正乱視によって視力が障害された患者(既存の眼鏡又はコンタクトレンズを用いても十分な視力が得られない患者)に対し、視力補正をする目的で使用されます。

 

 

 

当社の事業構造につきましては、下記の通りとなっております。

(レーザデバイス事業)

独自技術を駆使した半導体ウェハを作成し、協力会社に当該ウェハを組み込んだ半導体レーザチップの作製及びモジュールの実装を委託し、当社で品質基準への適合性を検査した後、お客様に製品をお届けしております。

 

(レーザアイウェア事業)

網膜走査型レーザアイウェアを製造しております。一般顧客の場合、販売パートナーを通し、法人顧客からは当社が直接受注しております。製造は協力会社に対して、当社が供給した仕様書に基づき、メガネユニット及びコントロールユニットの製造及び組立を委託し、当社にて検査を行った後に販売パートナーまたは直接お客様へ製品をお届けしております。

 

当社の「レーザデバイス事業」及び「レーザアイウェア事業」の事業系統図は以下の通りとなります。


 

本項「3.事業の内容」にて使用しております用語の定義について以下に記します。

 

No

用語

用語定義

 

 

シリコンフォトニクス

 

 

シリコンフォトニクスとは、 LSI(大規模集積回路)やIC(集積回路)に使用されるシリコン基板上に、光集積回路を作製し、様々な光機能をシリコン上に作製する技術です。

 

 

 

フローサイトメータ

 

 

 

フローサイトメトリーと呼ばれる分析手法に用いられる分析装置です。主に細胞を個々に観察する際に用いられます。フローサイトメトリーとは、細胞を含む流体にレーザ光を当てて、その散乱光や蛍光検出により細胞を特定する手法です。

 

 

 

ファイバレーザ

 

 

 

ファイバレーザとは、希土類を添付した光ファイバを増幅媒体とするレーザの一種です。光ファイバ、種光、励起光で構成されております。ビーム品質が高い、小型化可能、長寿命と従来の固体レーザに比べてメリットが多いです。

固体レーザ

固体レーザとはYAG結晶等の絶縁性固体材料を増幅媒質とするレーザです。

 

 

 

 

 

 

 

パーティクルカウンター

 

 

 

 

 

 

 

パーティクルカウンター(Particle Counter)とは、空気中や液体中にある塵・ホコリ・異物・ダスト等をカウントする計測器のことで、日本では微粒子計と呼ばれることもあります。
 パーティクルカウンターは、一般にICR(Industrial Clean Room)と呼ばれる工業用クリーンルームと、BCR(Biological Clean Room)と呼ばれる医薬品・食品及びバイオテクノロジー分野向けとして、主に空気中の浮遊微粒子や微生物を、制御・管理したクリーンルームやクリーンベンチの管理目的で使用されております。

 

 

 

 

 

マシンビジョン

 

 

 

 

 

マシンビジョン(Machine Vision, MV)とは、産業(特に製造業)でのコンピュータビジョンの応用を意味し、自動検査、プロセス制御、ロボットのガイド等に使われます。

コンピュータビジョン(人間の視覚システムをコンピュータが代替する技術)とは、ロボットの目の役割(様々な自動機械が画像認識をする)を果たすものです。

 

 

 

窓形成

 

 

 

半導体レーザの劣化の要因の一つには、端面領域において光を吸収することにより、チップ前後の端面が光により破損してしまうことが挙げられます。それを防ぐために端面領域での光吸収を抑制する構造を導入することを窓形成と呼びます。

 

 

回折格子形成

 

 

半導体レーザにおいて単一波長で発振するレーザを、DFB(Distributed Feedback Laser)レーザといっております。波長を選択するためにレーザ内部に周期的な凹凸を形成しますが、それを回折格子形成と呼びます。

 

 

 

クラッド再成長

 

 

 

半導体レーザ用結晶の成長においては、まず半導体レーザの発光層となる量子ドットや量子井戸を形成します。その後、波長を選択する回折格子を形成します。その上部に光を閉じ込める層であるクラッド層を形成します。この層を形成する工程をクラッド再成長と呼びます。

10

 

 

電極プロセス

 

 

半導体レーザ作製には、クラッド再成長後に光を導波させるためのメサ構造や、電流を注入するための電極形成が必要になります。それらの工程を総称して電極プロセスと呼びます。

11

 

端面コート

 

半導体レーザをレーザ発振させるために、チップ前後に光を反射させる膜を形成する必要があります。この膜形成の工程を端面コートと呼びます。

12

 

チップ選別検査工程

 

協力会社にて作製した半導体レーザチップを、当社において光出力や波長を検査する工程をチップ選別検査工程と呼びます。

13

 

 

 

光学調整・実装

 

 

 

網膜走査型レーザアイウェアでは、コントローラに内蔵しているファイバから出る光を、メガネ部分に実装されているMEMSやミラーを介して網膜に照射しております。MEMSやミラーが適切な位置に実装されている必要があり、これらの調整工程を光学調整・実装工程と呼びます。

14

 

 

MEMSミラー

 

 

網膜走査型レーザアイウェアで画像を網膜に投影する場合、青・緑・青の光を縦・横に走査させます。それを可能にするデバイスがMEMSミラーであり、その作製工程をMEMSミラー製造と呼びます。

 

 

4 【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

又は

出資金

主要な事業の

内容

議決権の所有割合、又は被所有割合(%)

関係内容

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

富士通株式会社

神奈川県川崎市中原区

3,246億円

テクノロジー
ソリューション

ユビキタス
ソリューション

デバイス
ソリューション

 

 

被所有

29.89

資材購買業務の代行委託

代行購買手数料の支払

出向社員給与の支払

事務所賃借料の支払

知的財産権実施料の支払

製品の販売

 

(注) 1.「議決権の所有割合、又は被所有割合」の欄は間接所有であります。

2.「有価証券報告書」の提出会社であります。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2020年11月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

50

(14)

50.33

3.38

7,668,508

 

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

レーザデバイス事業

24

(7)

レーザアイウェア事業

17

(4)

全社(共通)

9

(3)

合計

50

(14)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、経営企画室 管理部、品質保証室、薬事推進室の合計であります。

 

(2) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。