第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

第5期

決算年月

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

売上高

(千円)

1,335,031

1,969,876

2,280,722

2,953,728

2,983,411

経常利益

(千円)

6,158

105,741

148,924

50,213

210,503

当期純利益

(千円)

4,585

74,098

104,464

19,739

140,930

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

23,500

36,625

36,625

36,625

36,625

発行済株式総数

(株)

1,860

2,210

663,000

663,000

663,000

純資産額

(千円)

88,249

189,456

293,920

313,660

454,392

総資産額

(千円)

382,461

617,383

610,254

750,287

910,105

1株当たり純資産額

(円)

47,446.09

85,338.60

442.03

471.80

684.36

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

()

()

()

()

()

1株当たり当期純利益

(円)

2,638.56

37,518.27

157.56

29.77

212.56

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

23.1

30.5

48.0

41.7

49.9

自己資本利益率

(%)

6.3

53.5

43.2

6.5

36.8

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

123,501

291,016

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

38,807

7,457

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

159,144

42,112

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

272,842

514,289

従業員数

(人)

108

140

30

29

31

(外、平均臨時雇用者数)

(49)

(51)

(69)

(101)

(91)

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在していないため、記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を実施していないため、記載しておりません。

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できないことから記載しておりません。

6.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

7.従業員数は就業人員(当社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(契約社員及びアルバイト)は( )外数で記載しております。従業員数が第2期から第3期において、110名減少しましたのは、主として株式会社光通信及び同社グループからの受入出向の解消によるものであります。

8.当社は、2017年5月15日開催の取締役会決議により、2017年6月29日付で普通株式1株につき300株の株式分割を行っておりますが、第3期の期首に株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

9.第4期及び第5期の財務諸表について、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、三優監査法人の監査を受けております。

なお、第1期、第2期及び第3期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく三優監査法人の監査を受けておりません。

10.当社は、2017年6月29日付で普通株式1株につき300株の株式分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第1期から第3期の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、三優監査法人の監査を受けておりません。

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

第5期

決算年月

 2016年3月

 2017年3月

 2018年3月

 2019年3月

 2020年3月

1株当たり純資産額

(円)

158.15

284.46

442.03

471.80

684.36

1株当たり当期純利益

(円)

8.80

125.06

157.56

29.77

212.56

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(うち1株当たり中間配当額)

(円)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

 当社の前身は、現在の筆頭株主であります株式会社a2mediaにおいて、2009年より同社第6企画営業部にてコールセンター事業を開始したことに始まります。2015年4月1日、株式会社a2mediaからの分社化によって東京都新宿区にブレインプレス株式会社(資本金10,000千円)として新設分割による会社設立に至りました。2017年9月1日より株式会社インバウンドテックに社名を変更しております。

 当社の主な沿革は、次のとおりであります。

 

年 月

事  項

2015年4月

24時間365日、6カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語)対応の多言語コンタクトセンターの運営及びセールスアウトソーシング事業を目的とし、東京都新宿区にブレインプレス株式会社を設立

2015年4月

1分単位で通訳サービスを提供する「エコノミー通訳®」を発表

2016年3月

マルチリンガルCRM事業にてタイ語・ベトナム語対応を常時通訳可能言語に追加。8カ国語対応開始

2016年10月

プライバシーマークを取得

2017年1月

マルチリンガルCRM事業にてロシア語を常時通訳可能言語に追加。9カ国語対応開始

2017年

マルチリンガルCRM事業にてフランス語を常時通訳可能言語に追加。10カ国語対応開始

2017年4月

マルチリンガルCRM事業にてタガログ語を常時通訳可能言語に追加。11カ国語対応開始

2017年9月

株式会社インバウンドテックに社名変更

2018年2月

クラウド型の通訳AIを活用した対面型AI通訳サービスを提供開始

2018年4月

マルチリンガルCRM事業にてネパール語を常時通訳可能言語に追加。12カ国語対応開始

2018年8月

鹿児島県南さつま市にコンタクトセンター(SATSUMA BPOセンター)を開設

2018年8月

セールスアウトソーシング事業にて東京電力グループからの営業代行業務を受託

 

3【事業の内容】

 当社は、「マルチリンガルCRM事業」と「セールスアウトソーシング事業」を軸とし、クライアントの多様なニーズや課題に対応するビジネスモデルをプログラムし、画一的なサービス提供にとらわれない柔軟なビジネスソリューションを展開しております。特にクライアントに対して要件分析から課題抽出、企画提案、開始準備、業務実行、アフターフォローまで一貫対応できる体制が強みになります。

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 かつて電話やFAXだけであった通信手段は、情報技術の発達に伴いウェブサイト、電子メール、SNS(注1)など選択肢が拡がっております。CRM(注2)においては、電話による「コール」だけではなく、様々な通信手段を利用することによりエンドユーザーとの接点を包括的に示す「コンタクト」という言葉が浸透してきております。当社では、単なるコールセンターに留まらず、エンドユーザーとの多様な接点を有するコンタクトセンターを標榜しております。

 当社では、クライアントとエンドユーザーの接点であるコンタクトセンターを基点としつつ、2つの事業セグメントのサービスメニューを組み合わせることにより、当社の対応領域を拡大させる一方、クライアントに対してCRMをコストセンターからプロフィットセンターへ転換を図るビジネスソリューションを提供し、それを実行する体制を備えております。

 

<当社のサービス提供イメージ>

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 なお、これら2つの事業については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(注)1.SNS:Social Networking Service/インターネット上で人と人とのつながりを促進するサービス

 2.CRM:Customer Relationship Management/顧客満足度の向上を通じて売上・利益拡大を目指す経営手法

 

(1) マルチリンガルCRM事業

  「マルチリンガルCRM事業」は、主にクライアントの顧客(エンドユーザー)向けに展開するサポート業務を当社が受託し、当社のコンタクトセンターにて、エンドユーザーからの問い合わせをクライアントに代わって、当社が対応するサービスを提供しております。当社の特徴としては24時間365日体制で稼動しているため、夜間や休日などでもエンドユーザーからの問い合わせを逃すことなく対応が可能である点、また、日本語を含めた12カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、ロシア語、フランス語、タガログ語、ネパール語)に常時対応している点であります。さらに、エンドユーザーとのコミュニケーションについては電話による音声形式に加え、タブレット型デバイスを使った映像通信、ウェブサイト、電子メール、SNSなど様々な通信手段に対応しており、国内における日本語を対象としたサポートだけでなく、外国語でのサポートや海外マーケティング等が必要な業種など、時間帯・通信手段・言語を問わず幅広い活用が可能になります。また、1人のオペレーターが複数案件対応できるシェアード体制を採っているため、専用の人員を用意する規模にない小型案件にも柔軟に対応でき、かつ、新規案件開始時のオペレーター確保を短期間で行うことができます。さらに、小規模オフィス・店舗向けにクラウド型ビデオ通話システムを利用した1分150円(最低利用限度額3,000円/月)から利用可能な通訳サービス「エコノミー通訳®」を開発し、当社からの直接販売に加えて、代理店への委託による販売や提携企業へのサービス卸売なども行っております。

 クライアントでは、当社の多言語カスタマーサービスを利用することで事業領域を拡大し、その結果、これまで逃していた利益獲得につながる事業展開が可能となっております。

 

<マルチリンガルCRM事業概略図>

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<サービスの例>

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 日本を取り巻くグローバル化の勢いは近年加速を続けており、在留外国人は2019年に293万人(出典:法務省出入国在留管理庁「在留外国人統計」2019年12月末時点)まで増加しております。日本政府は技能実習生に対する現行制度の改善や専門的な技術力や知識を有する高度外国人材の就業促進に向けて取り組んでおり、更なる在留外国人の増加が見込まれます。これまで一部の分野でのみ課題とされてきた海外社会との共生についても、今や国内社会全体に波及するほど身近なテーマとなり、在留外国人をサポートする生活インフラ回りの多言語対応は国を挙げての課題となっております。

 また、足元では新型コロナウイルス感染症の影響が認められるものの、訪日外国人旅行者(インバウンド)は2019年に3,188万人を超え(出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)、さらに今後2021年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックや2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)といった全世界が注目する国際イベントの開催を控えることから、インバウンド対策にも官民問わず需要が高まっております。

 こうした中、日本がグローバル化を進める上で大きな壁となる「言語」の部分において、当事業は言語の壁を越えた共生社会を実現するコミュニケーション・インフラの形成に大きく貢献する事業であると考えております。

 さらに当事業では、当社のコンタクトセンターにてクライアントの顧客向けサービスを提供する他に、コンタクトセンター自体の設計、運用検討、オペレーターの採用及び研修、マニュアルやトークスクリプト作成等の構築サービスも提供しております。

 「マルチリンガルCRM事業」自体が成長途上の市場であり、当社のように専門で行っている競合他社は小規模の非上場企業が中心であります。当社は同業他社のアウトソーシングを含めて当事業を運営しております。

 

(2) セールスアウトソーシング事業

「セールスアウトソーシング事業」では、主に当社がクライアントに代わって、クライアントの見込み顧客に対して営業を行うサービスを提供しております。一般的な「セールスアウトソーシング事業」では、成果報酬型と呼ばれる契約形態が多く、見込み顧客との契約が成立した段階でクライアントへの売上が発生するため、業務に従事する営業スタッフがどれだけ契約を獲得できるかという点がポイントになるビジネスモデルですが、当社では営業スタッフの契約獲得量のみではなく、稼動人数あたりの固定売上が併せて支払われる契約を前提とする方針の下で活動しております。このため、より安定した収益構造が形成されている点、及び、クレームになるような過剰な販売勧誘を抑止するコンプライアンス体制である点が特徴であります。

 当事業は、当社がクライアントに代わって、当社のコンタクトセンターや業務委託先から、クライアントの見込み顧客に対して、商品等の紹介、販売勧誘、アンケート調査等の営業活動を電話(アウトバウンド)及び訪問により行うことに加え、クライアントの営業員や営業スタッフに対する研修の展開など、営業に関連する様々な業務を請け負っております。さらにクライアントの事務所内において、オペレーターの採用・育成、業務設計、並びにオペレーターを指導・監督するスーパーバイザー(SV)業務など、営業に関する業務を一括して受託する場合もあります。

 こうした柔軟な運用体制が当社の「セールスアウトソーシング事業」における最大の特徴となっております。

 

 事業系統図は、以下のとおりであります。

0201010_005.png

 

4【関係会社の状況】

 関係会社の状況は、次のとおりであります。

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(その他の関係会社)

株式会社a2media(注)1

東京都中央区

62,300

企業コミュニケーションツールの企画・制作

被所有

23.3

なし

株式会社リンクアンドモチベーション(注)2、3

東京都中央区

1,380,610

経営コンサルティングサービスの提供

被所有

23.3

(23.3)

なし

 (注)1.有価証券届出書または有価証券報告書は提出しておりません。

2.有価証券報告書の提出会社であります。

3.議決権の被所有割合の( )内は間接所有であり、内数であります。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2020年10月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

31

(99)

32.3

2.8

4,916

 

セグメントの名称

従業員数(人)

マルチリンガルCRM事業

20

(92)

セールスアウトソーシング事業

4

(4)

報告セグメント計

24

(96)

全社(共通)

7

(3)

合計

31

(99)

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(契約社員及びアルバイト。)は、( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は正社員を対象に算出しております。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門及び内部監査室に所属しているものであります。

 

(2)労働組合の状況

当社において労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。