(はじめに)
当社は、米国のワシントン州を拠点とし友好的かつ提案型の株主となるべく日本の上場株式への投資を行う投資ファンドであるTaiyo Pacific Partners, L.P.の支援の下、当社のマネジメント・バイ・アウト(MBO)(注1)を目的として設立された株式会社常若ホールディングスによって2014年7月に完全子会社化され、2014年10月に東京証券取引所市場第一部の上場を廃止しました。その後、2015年1月には株式会社常若ホールディングスを消滅会社とし、当社を存続会社とする吸収合併を行い、現在に至っています。
(注1)MBOとは、一般的に、買収対象会社の業務執行取締役の全部又は一部が資金を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として、株式を購入する取引をいいます。
1.MBOに至った経緯とその目的
当社は1972年4月、大阪府大阪市住吉区に設立され、電子楽器の製造・販売事業を開始しました。エレクトロニクスの技術革新に対応した研究開発、国内外の生産拠点拡充及び販売網の確立に努め、その経営規模を拡大していきました。1989年12月には大阪証券取引所(現 株式会社大阪取引所)市場第二部に上場を果たし、1999年9月には東京証券取引所(現 株式会社東京証券取引所)市場第一部銘柄の指定を受けました。電子ピアノ、電子ドラム、シンセサイザー、ギター関連楽器などを国内外で製造・販売し、電子楽器分野では世界的に有名なブランドを確立していきました。
また、1981年5月に電子楽器で蓄積したデジタル技術をコンピュータ周辺機器の分野で活かすことを目的として、アムデック株式会社(1983年にローランド ディー.ジー.株式会社と名称を変更)を設立し、CADの出力用のペンプロッタ(注2)をはじめ、数々の製品を生み出し、当社とともに、グループとして業容及び業績を拡大していきました。
(注2)ペンを装着し、XY軸でペン先を制御して図面データ等を紙に描写する出力機器をいいます。
しかしながら、2008年のリーマンショック以降、景気の低迷、急速かつ長期の円高などによって、当社グループの事業の経営環境が大きく変化し、業績も大きな影響を受けました。特に当社グループのコア事業である電子楽器事業においては、長引くデフレや円高による安価な海外生産品の増加を背景に製品の低価格化による価格競争が進み、当社グループが得意としていた高品質・高価格製品の販売が低迷しました。また、当社グループが開発し一定のシェアを持つ製品についても、デザイン・機能がユーザーの嗜好の変化について行けず、製品戦略についても、需要の見込める市場に対して必ずしも製品投入ができておらず、次第にシェアを落とすこととなりました。
結果的に、当社グループのコア事業である電子楽器事業の業績低迷が長期化し、2010年3月期から2013年3月期までの4期間連続の赤字となる見込みであったことを受け、現代表取締役社長である三木純一のもと、2013年4月より、「Low-Cost Operation - 収益力の改善・基盤づくり」「Glocalization - 地域対応の強化」「Innovation - 製品力の強化」を重要課題とし、構造改革に乗り出したものの、コスト削減以外の中長期的な成長の根幹となる領域について十分な施策が実行できている状況にはありませんでした。
当社グループの収益回復及び中長期的な企業価値の拡大に向けては、「経営資源の選択と集中」、「不採算事業の速やかな整理」、「外部経営資源の活用」、「グローバルレベルでの組織体制・ガバナンス体制・流通販売経路等の整理」、「革新的な製品の市場への継続投入」、「更なる戦略的投資及び機動的な経営判断が可能となる経営体制の構築」等、多くの施策を同時かつ短期的に実行に移す必要がありました。
また、当社が認識していた中長期的な課題として、上場子会社であり、コンピュータ周辺機器事業を営むローランド ディー.ジー.株式会社との親子上場の問題がありました。ローランド ディー.ジー.株式会社は連結売上高ベースで当社グループの半分程度の影響を持つまでに拡大しており、利益ベースでは過半を占めていました。時価総額においても当社の過半数以上となっていたことから、親子上場の解消に向けては継続的に同社との間で協議を進めていましたが、同社は設立当初こそ当社事業に関連する事業を営んでいたものの、近年では事業内容が異なることから、営業上のシナジーも殆どない状況であり、また、同社は独自の企業価値向上を重視した経営戦略を構築・実行したいという独立性維持への強い意向を持っていたため、統合に向けては前向きではありませんでした。親子上場の解消は中長期的に当社が抱える課題ではありましたが、リーマンショックを経て、電子楽器事業の低迷が長期化する中、選択と集中という構造改革の一環としてローランド ディー.ジー.株式会社の事業の売却を実行すべき状況でした。親子上場の解消に向け、同社と分離の方向で考えた結果、当時、中核的といえる規模にまで成長した同社の事業の売却が必要となるものの、売却に際しては財政状態・経営成績に相当のインパクトを受けることは避けられない状況でした。
上場したままこれら2つの課題を同時に解決しようとした場合、業績そのものへのインパクトに加え、短期的には株価を大幅に押し下げることが想定され、当時の一般株主に対して多大なる悪影響を与えることが想定されました。
このような中、上場を維持しつつ当社グループの構造改革を実行することは困難であるとの判断に至り、2008年より長期にわたり当社の株主でありエンゲージメントファンド(注3)であるTaiyo Pacific Partners, L.P.と協働し、抜本的な構造改革と企業価値の向上を目的としたMBOにより、株式非公開化を実行することを決断するに至りました。
(注3)企業価値の向上を目的とし、投資先企業に対して建設的な目的を持って会話を行う投資ファンドをいいます。
2.MBO後の経営改革
MBO後、当社グループは構造改革、成長戦略の実行を支えるグループガバナンスの強化について取り組みました。主なものは以下の通りです。
経営改革を実現するためのガバナンスの強化
・経営力の強化
適時適切な経営判断を行うために、意識改革のみならず、グループ全社の会計期間を12月期へ統一の上、経営ダッシュボード(注4)、ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)・資本コスト等の経営指標を新たに導入し、またキャッシュ・マネジメント・システムの導入等を通じた運転資本や生産効率性等の様々な経営の見える化にも取り組みました。
当社グループの売上構成の過半数は海外が占めるため、海外子会社の管理は重要事項であり、非公開化以降、海外子会社のガバナンス体制を強化しました。従来、海外販売子会社は現地パートナーとの合弁によりジョイント・ベンチャーとして設立されるケースが多く、海外子会社の運営に際しては現地経営者の意向が強く働く傾向にあり、無駄・非効率が存在しました。非公開化後は、販売強化や戦略の浸透だけではなく、ガバナンス強化の観点から、必要に応じてジョイント・ベンチャーの解消を図ることで子会社の資本関係の整理を行いました。また、報酬体系の抜本的な見直しを行い当社グループとして収益最大化を図るインセンティブを持たせるような仕組みを作りました。
(注4)経営に必要な情報を抽出し、当社グループ全体の損益情報を月次単位で可視化した経営管理資料をいいます。
・経営体制の強化
MBO前の取締役会構成を刷新し、社外役員(本書提出日現在で社外取締役4名、うち独立社外取締役2名、社外監査役3名、うち独立社外監査役3名)を招聘するとともに、取締役会の体制をスリム化することで、迅速な意思決定とガバナンス体制の強化を図りました。また取締役会構成の多国籍化を通じた多様化を実現することができました。
・中長期的な成長を見据えた経営
構造改革にとどまらず、中長期的な成長を実現するための中期経営計画の策定、最適な資本構成の実現に向けた取り組み、中期経営計画実現に向けた成長投資を実行しました。
上述の経営改革を実現するためのガバナンスの強化が大きく貢献し、MBO後の構造改革、成長投資に取り組むことができました。主なものは以下の通りです。
構造改革
・開発プロセスの見直し
ビジネスユニット制を導入し、製品開発に係る権限を各ビジネスユニットに委譲したほか、開発初期段階における顧客へのインタビュー導入等により、機動的かつ柔軟に製品を開発できる体制を構築しました。今後も顧客ニーズの理解に加え、開発社員自身もワクワクするような製品の開発、発売に果敢にチャレンジすることで、革新的な製品を生み出し続けることを目指しています。
・選択と集中
2014年5月14日の取締役会において、MBOへの賛同の意見を表明するとともに、保有するローランド ディー.ジー.株式会社の株式の一部の売却についても決議し、同社の自己株公開買付に応募することで、同社の事業の売却を実行に移しました。また、2015年8月の売出しにより、持分法適用関連会社からも外れることとなり、ローランド ディー.ジー.株式会社の事業の売却を完了しました。これ以後、当社グループは電子楽器専業の会社として事業の集中を実現しました。
・不採算事業の整理/保有資産の効率化
音楽教室事業の再構築、オルガン事業の売却を実行しました。また、国内の遊休資産の売却、海外子会社の不動産売却、並びに上場時より保有していた上場企業の有価証券の売却等による保有資産の効率化を実行しました。
・国内人事制度の刷新
人員数の最適化を図ったほか、2016年12月期以降、これまで硬直的であった人事制度を見直し、より公平・公正な人事評価、キャリアパスの柔軟化、賞与制度の見直し等を含む新人事制度を導入しました。
・生産拠点の集約
国内外の製造拠点の集約を行い、国内は1拠点に集約しました。また、海外での生産体制は、従来複数の国で製造を行っていたことで発生していた輸送コストの高騰や生産から販売までのリードタイムの長期化等の問題に対処すべく、2015年7月にマレーシアの自社工場が稼働し、順次各工場や委託先から生産移管を進めることで、原価低減を図ることが可能になりました。
・サプライチェーンマネジメント(SCM)への取り組み
多品種の製品を製造・販売することから、在庫管理の徹底と在庫削減が大きな課題でしたが、MBO後は各拠点での在庫管理を厳格化すること並びにマレーシア・欧州のハブ倉庫を活用することで、在庫圧縮並びに資金効率の向上を図りました。また2017年4月にはマレーシアにロジスティクス最適化のための地域統括会社を設立し、2018年より本格稼働しています。
・海外販売体制の見直し
欧州では2014年2月に英国に設立した統括会社において、欧州市場全体における販売企画、マーケティング等を担うことで、各販売子会社でのコスト削減並びに迅速な営業戦略の展開と売上拡大を可能にしました。
成長著しい中国においては、販売加速のため、現地の100%子会社へ商流を集中し、経営体制を見直し、販売・マーケティング活動を強化し、奏功しています。
米国や一部の業績が低迷していた販売子会社についてトップの交代を実行し、外部人材の招聘により販売力の向上を図りました。
成長投資
・新たなゲームチェンジャー製品の投入、主力分野の新製品の投入によるブランド力の回復
当社グループの付加価値やブランド力の源泉は、創業以来培ってきた高い専門性に裏付けられたハードウェア技術、ソフトウェア技術に加え、それらを最適に合わせ込む長年のノウハウ、過去の開発に裏付けられた暗黙知ともいえるアートウェア(注5)にあります。これら3つの要素を高いレベルで保有していることが電子楽器の「楽器」としての完成度を高めるうえで非常に重要だと考えています。
当社グループは、エレクトロニクスの技術進歩にあわせ、絶え間なく研究開発を行い、世界に先駆けた多くの技術を生み出し、楽器市場へ新たな価値を提案してきました。結果として新たな製品カテゴリーを創出してきたほか、既存市場の発展に貢献する製品を数多く生み出してきました。当社グループでは、これら製品を「ゲームチェンジャー」と呼んでおり、MBO後には、電子カホン(打楽器の一種)や電子管楽器といった革新的な製品の投入を行いました。
また、当社グループの主力製品である電子ピアノ、電子ドラム、シンセサイザー等については、顧客ニーズに対応した新製品をタイムリーに投入していくことに加え、エントリー価格帯への製品投入も進めることで、顧客層の拡大を図りました。
(注5)当社内の造語であり、アーティストの感性に響く楽器独自の高い表現力を持つ商品を生み出すノウハウを、アートウェアと呼んでいます。
(革新的な製品と市場を創出してきた実績)
・新興国の売上拡大
2014年6月にシンガポールオフィスを設置し、2016年5月には当該オフィスをマレーシアに移転、新興国市場の目線で市場地域特有の伝統楽器や音色嗜好等を組み込んだ製品の投入を行う等、新興国へのアプローチを強化しました。また、2018年7月に安定的な成長市場であるメキシコに販売子会社を設立しています。
・グローバル・ブランディングの強化
従前、グローバルでの統一したマーケティング体制、ブランド戦略が取れず、マーケティングに係るコスト管理とブランドマネジメントが課題となっていましたが、非公開化後、グローバルなブランド戦略を担当する部門を設置し、ブランドマネジメントを強化し、マーケティング方針の統一、各国のウェブサイトを統一することにより「One Roland」の意識醸成を図りました。その後、全世界でマーケティング企画立案・実行・効果測定を統括するマーケティングユニットを設立し、効率よくマーケティングを行う体制に移行し、特にこれまで導入が遅れていたデジタルマーケティングの活用をグローバルで推進しています。
・業務提携や企業買収を通じたDJ分野ビジネスへの進出
2016年5月にDJ分野のソフトウェアでトップシェアを誇るニュージーランドのSerato Limitedと業務提携し、当社グループ初となるDJコントローラーを開発し、DJ市場へ参入しました。加えて、2016年5月にDJ分野で定評のあるヘッドホンメーカーであるV-MODA,LLCを買収し、V-MODAブランドにて、DJ向けヘッドホンやプロデューサー向けヘッドホンなどを展開しています。
・共通音源プラットフォーム、新世代音源の開発
独自音源LSIであるBMC(Behavior Modeling Core)チップを開発し、これまでの当社グループの音源技術を集約した、様々な楽器を生み出すことのできる共通プラットフォームを構築しました。この共通プラットフォームにより、生産コストの削減、高品質、高機能製品の早期開発や、競争力のある価格が可能となりました。
また、新世代音源「ZEN-Core」を開発し、音源メモリの拡大による楽器の表現力、解像度を上げたコントロールによる滑らかな演奏表現、また異なる製品間で同じサウンドを再現することができる音色互換を実現しました。「Zen-Core」についてはソフトウェア化にも取り組み成功しています。これらによりハードウェア間のみならず、ハードウェアとソフトウェア間での音色互換も実現し、今までにない利便性をお客様に提供することが可能になりました。「BMC」や「ZEN-Core」を活用し、引き続き多くのゲームチェンジャー製品を生み出すことを目指します。
・Roland Cloudの展開により、ハードウェアメーカーからソリューションプロバイダーへ
当社は今後の成長戦略として、音楽を楽しむために必要な、魅力的な楽器、コンテンツ、サービス、アプリなどのトータルソリューションを、スマホを通じて広く提供することを将来ビジョンとしています。
2015年には米国のソフトウェアサービス、メディアソリューションのプロバイダーであるVirtual Sonics Inc.と合弁会社を設立し、2017年にはクラウドを利用したソフトウェア音源のサブスクリプション(月額/年額の定額会費制)サービスであるRoland Cloudを開始しました。また2019年には米国のOpen Labs,LLCの音楽制作ソフトウェアを買収し、その技術をベースにマルチプラットフォームで使用できる音楽制作ソフトウェア「Zenbeats」を開発・リリースしました。
今後Roland Cloudにおいて、アクティブな楽器演奏者のみならず、過去に楽器演奏を楽しんでいた方、またこれから楽器演奏、音楽制作を楽しんでみたい方にも裾野を広げられるよう、手軽なソフトウェアの提供や、Roland Cloud上におけるコミュニティ、マーケットプレイス、バーチャルコンサート、楽器レッスン、ユーザーコンテンツのシェアといった様々なサービス提供を通じて、会員数の増加を目指します。会員数が増加することでRoland Cloudには様々なユーザーコンテンツの蓄積が可能となります。これらコンテンツと互換性のある当社ハードウェアの魅力は更に高まり、当社のハードウェアを購入する層が増えることを見込んでいます。当社ハードウェアユーザーが増えることで、さらに会員数やコンテンツの増加につながります。このような好循環を生み出し、顧客のLTV(Life time value)を最大化することで、収益の拡大を目指します。
(MBOとその後の経営改革)
2014年3月期から2020年12月期第3四半期における当社グループの売上高、営業利益並びに営業利益率の推移は以下の通りです。
(単位:百万円)
(注)1. 2014年3月期については、電子楽器事業のみを抜粋。営業利益率は小数点第2位を四捨五入しています。
2. 2015年3月期並びに2015年12月期は、変則決算となっており、比較が困難であることから割愛しています。
3. 調整後営業利益は、営業利益に上場に関連する一時的な費用、上場後に行使可能なストック・オプションに係る費用、欧州競争法に係る弁護士費用及び会計処理変更による一過性費用を加算したものです。
4. 為替調整後営業利益は、調整後営業利益について、2018年度の為替レートを基準とし、各期間における為替影響額を算出し、2018年度の為替レート(米ドル:110.44円、ユーロ:130.45円、マレーシアリンギット:27.40円)と他の期間の為替の差異をそれぞれの為替影響額に掛け合わせて算出しています。なお、2017年12月期以前は、2018年12月期よりマレーシアの物流子会社が本格稼働したことにより商流が異なることから同一の前提での算出が困難であるため記載していません。
3.再上場の目的
当社はMBO後、業績低迷からの脱却を目指した構造改革を実行するとともに、今後の成長に向けた投資の双方を実施することにより、開発・生産・マーケティング・販売・ガバナンスに至るまであらゆる体制を刷新し、中長期的に競争力を維持・拡大させるための事業基盤を確立することができました。また、当社グループの強みである革新的な製品・サービスを生み出す企画力、技術力、チャレンジ精神を十分に発揮できる体制を再構築・強化できたものと考えています。
今後、更なる企業価値の向上を図るためには、革新的な製品の開発に携われる人材や新規事業領域の発展に向け、これまでになかった発想を当社グループに吹き込むことができる優秀かつ多様な人材を確保すること、また、第三者との連携やM&Aも含む、新規事業領域への積極的な投資や新しい事業領域への進出を追求できるだけの信用力の強化と資金調達手段の多様化が重要になります。再上場により、これらを実現し、音楽シーンに革新を起こし続けるグローバル・ブランドとして、更なる経営基盤の拡充と企業価値の向上を目指したいと考えています。
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれていません。
2. 1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益については、その算定にあたり期末発行済株式総数及び期中平均株式数の計算において控除する自己株式に、「役員向け株式給付信託」、「従業員向け株式給付信託」及び「従業員持株会支援型信託」に残存する自社の株式が含まれています。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載していません。
4.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載していません。
5. 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第48期の期首から適用しており、第47期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっています。
6. 第47期及び第48期の連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けています。
7. 当社は、2020年8月26日開催の取締役会決議により、2020年9月14日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っていますが、第47期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しています。
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれていません。
2. 1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益については、その算定にあたり期末発行済株式総数及び期中平均株式数の計算において控除する自己株式に、「役員向け株式給付信託」、「従業員向け株式給付信託」及び「従業員持株会支援型信託」に残存する自社の株式が含まれています。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第43期は潜在株式が存在しないため記載していません。第44期、第45期、第46期、第47期及び第48期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載していません。
4.株価収益率については、当社株式が非上場であるため記載していません。
5.配当性向については、第43期、第44期、第45期及び第46期は配当がないため記載していません。
6. 臨時雇用者数については、当該臨時従業員の総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しています。
7. 第43期の当期純利益の増加は、主に子会社であったローランド ディー.ジー.株式会社の自己株式の公開買
付けに応募し、当該株式を売却したことによるものです。
8. 第44期は、決算期変更に伴い、2015年4月1日から2015年12月31日までの9か月間となっています。
9. 第47期の売上高、経常利益の減少は、主に一部機能をマレーシアの子会社に移転したことによるものです。
10. 主要な経営指標等の推移のうち、第43期から第46期については、会社計算規則(2006年法務省令第13号)の規程に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けていません。
11. 第47期及び第48期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、太陽有限責任監査法人により監査を受けています。
12. 当社は、2020年8月26日開催の取締役会決議により、2020年9月14日付で普通株式1株につき30株の株式分割を行っていますが、第47期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しています。
13. 当社は、2020年9月14日付で株式1株につき30株の株式分割を行っています。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第43期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下の通りとなります。 なお、第46期以前の数値(1株当たり配当額については全ての数値)については、太陽有限責任監査法人の監査は受けていません。
当社グループは、当社、子会社29社及び関連会社1社で構成されており、電子楽器の開発、製造、販売を主たる事業とする、グローバルに幅広い製品群を提供する電子楽器専業メーカーです。
1972年の設立以来、エレクトロニクスの技術進歩にあわせ絶え間なく研究開発を行い、世界に先駆けた多くの技術や製品を生み出し、楽器市場へ新たな価値を提案することで、電子楽器の分野で世界的なブランドを確立してきました。現在では、電子ピアノ、電子ドラム、シンセサイザー、ギター関連機器等、様々な製品ラインを総合的にバランスよく展開しており、また「音」と「映像」の融合にもいち早く取り組み、映像関連機器の開発から販売までを事業として確立しています。海外展開については、創業当初の1970年代後半から販売会社の設立を積極的に行い、世界中のあらゆる地域において製品展開しており、当社グループの収益の85%は(2019年12月期現在、小数点第一位を四捨五入)日本国外から得ています。
特に、近年では、成長著しい新興国市場に対して、現地の音楽文化や需要に即した製品投入を行っていくことで、販売拡大に注力しています。製造については、海外生産を基本として、製品特性に応じて自社工場と外部委託から最適な拠点を選択することで、柔軟な体制を築いています。
当社グループは、「電子楽器事業」の単一セグメントで活動しており、その内容と主な関係会社は次の通りです。
・主要な製品カテゴリー
・電子楽器市場と当社グループの位置付け
Music Trades誌によると、各地域における楽器市場の規模は以下の通りであり、北米が最大の市場となっています。また、各地域の年平均市場成長率を見ると、日本は低迷している一方、中国をはじめとする海外市場においては伸びが見られ、楽器市場の成長は海外が牽引しているものと考えています。
当社グループは、創業当初より海外市場にフォーカスしており、高い海外販売比率を支えるグローバル・ネットワークを構築してきました。
(地域別楽器売上市場規模及び年平均成長率)
(注)1. 欧州はオーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、 スウェーデン、スイス、トルコ、英国が含まれます。北米にはアメリカとカナダが含まれます。中国は中国本土を指します。
2. 2018年における市場規模です。
3. 2010年から2018年での年平均成長率です。北米以外について、2010年及び2018年12月末におけるIMFの為替レートを使用し、欧州についてはユーロ、中国については元、日本については円に、それぞれ当社にて米ドルから換算の上算出しています。
4.本調査結果は当社のために作成されたものではなく、また、Music Tradesは本調査結果の正確性及び完全性に対して責任を負うものではありません。
(出典)米国 Music Trades誌(2011年12月、2019年12月)
また、当社グループは電子楽器市場に100%フォーカスしていますが、電子楽器市場とアコースティック楽器市場の比較においては、最大の楽器市場である米国では、主力製品であるピアノ市場、ドラム市場について、電子楽器の成長率はアコースティック楽器の成長率を上回っています。
(ピアノとドラムにおける電子楽器比率(米小売市場))
(注)1. 電子ピアノにはデジタルピアノと自動演奏ピアノ、アコースティックピアノはグランドピアノとアップライトピアノが含まれます。
2. 電子ドラムは電子ドラムのみ、アコースティックドラムは、アコースティックドラムセット及びアコースティックドラム関連楽器・ハンドパーカッション等が含まれます。
3.本調査結果は当社のために作成されたものではなく、また、Music Tradesは本調査結果の正確性及び完全性に対して責任を負うものではありません。
(出典)米国 Music Trades誌(2020年4月)
当社グループは、電子楽器市場では、下表の通り、重要かつ安定的な成長市場である米国において、主力製品で高い市場シェアを有しています。
(主要製品の市場シェア (米国))
(注)本調査結果は当社のために作成されたものではなく、また、MI Sales Trak は本調査結果の正確性及び完全性に
対して責任を負うものではありません。
(出典) 米国 MI Sales Trak Report(2019)
・組織体系
当社及び各関係会社の機能は、次のように大別できます。
まず当社は、当社製品の企画やR&D(研究開発)といった開発活動を担っています。また、グループ全体の監督、予算及び事業計画の承認も、当社の重要な機能の一つとなっています。他にも当社は、本社機能に加えて、主に映像関連機器の生産を担う製造工場としての機能や、日本国内市場に向けて当社製品を販売する販売機能も兼ね備えています。
次いで、当社製品の生産の大部分を担う製造子会社が2社あります。そのうち、2014年に設立されたRoland Manufacturing Malaysia Sdn. Bhd.は、主に電子ピアノや電子ドラム等の主力製品の生産を担っているマレーシア工場で、当社グループの主力生産拠点です。
また、当社製品の販売に携わる主要な販売子会社が計18社あり、内訳としましては、米州地域に主力販売子会社のRoland Corporation U.S.を含む4社、欧州地域に欧州販売会社を統括するRoland Europe Group Ltd.をはじめとする12社、アジア・オセアニア地域に2社を設置しています。北米、欧州、中国・アジア、日本という世界の主要市場を中心に販売活動を展開しており、それぞれの市場や商習慣に合わせた販売活動に注力しています。
他には、マレーシアで2017年に設立されたMI Services Malaysia Sdn. Bhd.が、製造子会社2社の株式保有及び事業活動統括を担っている他、製造子会社と販売子会社の間に立って当社製品の仕入販売及び物流管理の業務を担っています。
事業の系統図は、次の通りです。
*1:製造機能を有する連結子会社 2社
*2:電子楽器等の仕入販売、物流管理、子会社統括に関わる連結子会社 1社
*3:販売機能を有する連結子会社 16社
販売機能を有する持分法非適用非連結子会社 2社
販売機能を有する持分法非適用関連会社 1社
(その他)
・音楽/メディア制作者向けソフトウェアの開発及び販売に関わる連結子会社 2社
・ヘッドホン製品の販売に関わる連結子会社 5社
・電子オルガンの製造及び販売に関わる連結子会社 1社
連結子会社
2019年12月31日現在
その他4社(計27社)
(注) 1. 議決権の所有割合の( )内は間接所有割合を内数で記載しています。
2.Roland Europe Group Ltd. 、Roland Brasil Importacao, Exportacao,Comercio,
Representacao e Servicos Ltda. 、Roland VS LLC 、V-MODA, LLC 、MI Services MalaysiaSdn. Bhd.
及びRoland Organ Corporationは特定子会社に該当します。
3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4.2019年3月15日付で、Roland VM CorporationがV-MODA, LLCの全株式を取得したため、V-MODA, LLCとその
子会社は、当社の100%間接子会社となりました。
5.2019年7月29日付で、Roland RVS Holdings Inc.がRoland VS LLCの全株式を取得したため、Roland VS LLC
は当社の100%間接子会社となりました。
6.Roland Organ Corporationは休眠会社となっており、清算を予定しています。
7.売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)が連結売上高の10%を超える連結子会社の2019年12月期におけ
る主要な損益情報等は、次の通りです。
当社及び連結子会社の事業は、電子楽器の製造販売であり区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメン卜となっており、セグメン卜情報に関連付けては記載していません。
2020年 9月30日現在
(注)従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2020年 9月30日現在
(注)1.従業員数は就業人員です。なお、臨時従業員数は従業員の総数の100分の10未満であるため、記載を省略
しています。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
当社は、ローランド労働組合を組成しています。なお、ローランド労働組合は、上部団体には加入していません。
2020年9月30日現在、当社従業員のうち、組合員数は569人です。なお、労使関係は円滑に推移しており、労働組合との間に特記すべき事項はありません。