第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第38期

第39期

決算年月

2018年12月

2019年12月

売上高

(千円)

2,747,114

3,188,571

経常利益

(千円)

323,878

459,801

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

236,802

332,074

包括利益

(千円)

236,774

331,750

純資産額

(千円)

1,277,148

1,587,463

総資産額

(千円)

2,282,227

2,540,169

1株当たり純資産額

(円)

178.75

222.18

1株当たり当期純利益

(円)

33.14

46.48

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

56.0

62.5

自己資本利益率

(%)

20.3

23.2

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

361,738

545,821

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

302,052

285,035

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

53,378

108,932

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

472,258

626,463

従業員数

(名)

197

235

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.2020年8月15日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。第38期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

4.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

5.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

6.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第39期の期首から適用しており、第38期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

7.第38期及び第39期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第34期

第35期

第36期

第37期

第38期

第39期

決算年月

2015年
3月

 2016年
 3月

2017年
3月

2017年
12月

2018年
12月

2019年
12月

売上高

(千円)

1,681,274

1,985,467

2,121,417

1,614,542

2,747,114

3,188,571

経常利益

(千円)

30,901

284,811

210,899

58,818

300,696

432,960

当期純利益

(千円)

14,038

213,961

158,891

38,643

213,621

305,233

資本金

(千円)

98,400

98,400

98,400

98,400

98,400

98,400

発行済株式総数

(株)

142,900

142,900

1,429,000

1,429,000

1,429,000

1,429,000

純資産額

(千円)

720,498

927,180

1,071,755

1,108,558

1,307,752

1,591,561

総資産額

(千円)

1,432,072

1,764,457

1,734,114

1,887,230

2,351,907

2,575,078

1株当たり純資産額

(円)

5,041.98

6,488.32

750.00

775.76

183.03

222.75

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

50.00

100.00

10.00

10.00

15.00

15.00

(-)

-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

98.24

1,497.28

111.19

27.04

29.90

42.72

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

50.3

52.5

61.8

58.7

55.6

61.8

自己資本利益率

(%)

2.0

26.0

15.9

3.5

17.7

21.1

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

50.9

6.7

9.0

37.0

10.0

7.0

従業員数

(名)

161

163

172

176

171

197

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.2020年1月15日付で第三者割当増資を行い、資本金は131,800千円、発行済株式総数は1,509,000株となりました。さらに、2020年8月15日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行い、発行済株式総数は7,545,000株となっております。

3.2020年8月15日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。第38期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。

5.株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。

6.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

7.2017年6月29日開催の定時株主総会において、定款の一部変更を決議し、予算編成や業績管理など経営及び事業運営の効率化を図ることを目的として、決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。したがって、第37期は2017年4月1日から2017年12月31日までの9か月間となっております。

8.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第39期の期首から適用しており、第38期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

9.第34期、第35期、第36期及び第37期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任 あずさ監査法人による監査を受けておりません。

10.第38期及び第39期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。

 

11.2017年3月10日付で普通株式1株につき10株、2020年8月15日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第34期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第34期、第35期、第36期及び第37期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

 

回次

第34期

第35期

第36期

第37期

第38期

第39期

決算年月

2015年

3月

2016年

3月

2017年
 3月

2017年

12月

2018年

12月

2019年

12月

1株当たり純資産額

(円)

100.84

129.77

150.00

155.15

183.03

222.75

1株当たり当期純利益

(円)

1.96

29.95

22.24

5.41

29.90

42.72

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

1.00

(-)

2.00

(-)

2.00

(-)

2.00

(-)

3.00

(-)

3.00

(-)

 

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

  1981年4月

顧客企業の立場に立った、通信とコンピューターの最適ソリューションサービスを提供することを目的として、名古屋市熱田区金山に日通システム株式会社(資本金6百万円)を設立

 

オフィスコンピューター・システム開発・通信機器の販売を開始

  1982年4月

本店を名古屋市中区金山に移転

  1990年4月

名古屋市中区伊勢山に流通センター開設

6月

事業拡大につき本店を名古屋市中区伊勢山に移転

  1992年4月

就業管理・給与計算パッケージシステムの開発を開始

  1994年4月

ビルセキュリティ管理システムの販売を開始

 

PCパッケージソフト(給与・就業管理)及び「NR-1」(タイムレコーダー)の販売を開始

  1995年4月

東京都千代田区外神田に東京営業所(現:東京支店)、大阪市淀川区宮原に大阪営業所(現:大阪支店)を開設

  1998年3月

就業管理ソフト「勤次郎M」の販売を開始

  2001年9月

らくらく給与システム「Q太郎」の販売を開始

    

IDカードタイプの就業情報端末「NRX-1」の販売を開始

  2002年1月

非接触型ICカード/指紋照合タイプの就業情報端末「NRX-1」の販売を開始

  2003年1月

非接触型ICカード/指紋照合タイプの就業情報端末「NRX-m」の販売を開始

  2004年1月

統合ERP(注)1パッケージ「勤次郎Enterprise」の販売を開始

  2005年4月

Linux就業情報端末「NRL-1」「NRL-m」(磁気カード/非接触型ICカード/指紋照合対応)の販売を開始

  2008年3月

エヌイーシステムサービス株式会社より通信機器の設置工事事業(現:営業本部コンサルティング部)を譲受

    5月

電波時計受信装置「勤次郎JustTime」の販売を開始

  2009年4月

本店を名古屋市中区栄に移転

        6月

貸会議室事業を目的として、名古屋市中区栄に子会社ネット・カンファレンス株式会社を設立

   2010年2月

Linux就業情報端末「NRL」シリーズにて静脈認証対応タイプの追加販売を開始

     7月

クラウドサービス「勤次郎Enterprise for SaaS」の販売を開始

   2011年2月

GPS同期型NTP(注)2タイムサーバー「勤次郎JustTime Server」の販売を開始

    4月

株式会社テックユーよりシステム開発事業を譲り受け、名古屋市中区栄に子会社日通システムソリューション株式会社を設立

  2012年3月

子会社であったネット・カンファレンス株式会社(貸会議室事業)を吸収合併

    6月

ソフトウエアパッケージの開発及び販売業を営む株式会社ケーエスビーを子会社化

    9月

買収した株式会社ケーエスビーの製品をクラウドサービスで提供することを目的として、東京都千代田区外神田に子会社KSB for SaaS株式会社を設立

 

 

年月

概要

  2013年2月

GPS時刻補正装置「勤次郎JustTime-GPS」の販売を開始

    3月

子会社であった株式会社ケーエスビーと日通システムソリューション株式会社を吸収合併

    7月

福岡市博多区博多駅前に九州支店を開設

  2014年4月

製品開発を目的として、ベトナム社会主義共和国ハノイ市に子会社日通システムベトナム有限会社(現:連結子会社)を設立

 

「労務環境改善システム」(現:「ヘルス×ライフ」)の販売を開始

    5月

「労務コストマネジメントシステム」の販売を開始

  2015年7月

「マイナンバーセキュリティ管理システム」の販売を開始

    9月

「ストレスチェック ワンストップソリューションサービス」の販売を開始

  2016年3月

札幌市中央区北五条西に札幌支店を開設

      4月

仙台市若林区新寺に東北支店を開設

    12月

マルチブラウザ(Internet Explorer、Google Chrome、Microsoft Edge)対応可能な「勤次郎(就業管理)」の販売を開始

  2017年2月

ヘルスケアソリューション「ヘルス×ライフシステム」の販売を開始

 

健康管理アプリ「ヘルス×ライフ」iPhone版をリリース

     11月

健康管理アプリ「ヘルス×ライフ」Android版をリリース

    12月

子会社であったKSB for SaaS株式会社を吸収合併

  2018年1月

妊活・母子手帳アプリ「ママケリー」をリリース

     7月

勤次郎Enterpriseの機能を絞り込んだ廉価版「勤次郎Smart」の販売を開始

  2019年4月

名古屋市中区栄の拠点を名古屋本部・名古屋支店とし、本店を東京都千代田区外神田に移転

 

「勤次郎Enterprise」働き方改革関連法対応プログラムの販売を開始

    7月

電子カルテシステム「ヘルス×ライフカルテ」の販売を開始

    9月

周産期医療ネットワーク専用システム「周産期WEB」の販売を開始

 2020年3月

健康経営・働き方改革・産業保健 遠隔支援サービス「ケリーオンラインサービスサポート」の販売を開始

 

(注)1.ERPはEnterprise Resource Planning(経営資源計画)の略で、企業の基幹業務を効率化するための業務系システムのことをいいます。

   2.NTPはNetwork Time Protocolの略で、コンピューター機器内の時刻をネットワーク経由で同期させるための通信規約のことをいいます。

 

 

3 【事業の内容】

(1)事業の概要

当社グループは、当社と日通システムベトナム有限会社(連結子会社)の2社で構成されており、「想像から創造へ」のもと「CSR&イノベーション」を企業理念として、コアコンピタンス(競争優位の源泉)を強化し、徹底して他社との差別化を図り、Human Resource Management事業(以下、「HRM事業」という。)においてステークホルダーの期待を重視し、顧客企業の満足度向上を追求することを経営方針としております。

当社グループの事業セグメントは、「HRM事業」及び「その他」により構成されております。

HRM事業は、多業種の事業者向けの就業・人事・給与マネジメントシステムと「ヘルス×ライフ」等のソフトウエア製品及びハードウエア製品(就業情報端末)の開発及び販売、並びにこれらの製品を活用するクラウドサービス及びコンサルサポート(注)1、プレミアムサポート(注)2、等の提供を主に行っております。また、HRM事業は、当社グループの事業戦略上、クラウド事業(注)3、オンプレミス事業(注)4、の2つの事業に区分して推進しておりますので、以下に記載いたします。

 

セグメントの名称

事業区分

(会社名)

製品とサービス

HRM事業

クラウド事業

 

(当社)

(日通システムベトナム有限会社)

クラウドサービス

統合ERP

「勤次郎Enterprise」

(就業ソリューション)勤次郎、勤次郎Smart

(人事ソリューション)人事郎

(給与ソリューション)Q太郎

(健康管理ソリューション)ヘルス×ライフ

(電子カルテシステム)ヘルス×ライフカルテ

コンサルサポート

クラウドコンサルサポート

NRLコンサルサポート

就業情報端末

NRL-m、NRL-ms、NRL-1、NRL-2

オンプレミス事業

 

(当社)

(日通システムベトナム有限会社)

統合ERPパッケージ

「勤次郎Enterprise」

(就業ソリューション)勤次郎、勤次郎Smart

(人事ソリューション)人事郎

(給与ソリューション)Q太郎

(健康管理ソリューション)ヘルス×ライフ

コンサルサポート

ソフトウエアコンサルサポート

NRLコンサルサポート

就業情報端末

NRL-m、NRL-ms、NRL-1、NRL-2

プレミアムサポート

ソフトウエアプレミアムサポート

NRLプレミアムサポート

その他

貸会議室事業

 

(当社)

貸会議室

ネット・カンファレンス

 

(注)1.コンサルサポートは、顧客企業への当社グループ製品・サービスの導入に際し、顧客企業のシステム環境の設定、ソフトウエアのインストール、就業情報端末の設置及び利用のための講習等を行うことをいいます。

2.プレミアムサポートは、オンプレミス事業において顧客企業で利用されているソフトウエア及び就業情報端末に障害が生じた場合の修理並びに法令の改正変更に対応した最新プログラムの提供を行うことをいいます。

 

3.「クラウド」とは、クラウドコンピューティングの略称であり、提供者が情報システムの設備(ハードウエア)を保有又は利用し、その設備において運用することをいいます。

「クラウド事業」では、従来は手元のコンピューターにインストールして利用していたようなソフトウエアやデータ、あるいはそれらを提供するための技術基盤(サーバーなど)を、インターネットなどのネットワークを通じて提供して(クラウドサービス)、当該ソフトウエアの利用権を販売する(クラウドライセンス売上)ほか、それに付随するサービスを提供しております。

4.「オンプレミス」とは、利用者が情報システムの設備(ハードウエア)を保有し、利用者の設備において運用することをいいます。

「オンプレミス事業」では、利用者の設備にインストールするソフトウエアを販売するほか、それに付随するサービスを提供しております。

 

当社グループは、重要な経営資源である人材面に関し、「働き方改革&健康経営」による企業経営と従業員の最適な関係構築を提案し、企業の労働関係法の遵守とともに従業員が健康で働きがいを感じながら生き生きと働くことのできる職場づくりやワーク・ライフ・バランスへの対応、女性活躍を推進することが、労働生産性を高め、豊かで活力ある企業・社会の実現を図ることができるものと考えております。

 

①HRM事業

当社グループのHRM事業の基本方針は、顧客企業の「働き方改革&健康経営」の実現のため、顧客企業の従業員の適正な労働時間管理、健康維持・増進により労働生産性を向上させることを通じて、顧客企業の業績向上、企業価値向上に貢献をすることとしております。その事業領域は、主に中核である就業マネジメント領域とヘルスケア領域によって構成され、当社グループ製品の統合ERP「勤次郎Enterprise」において、クラウドとオンプレミスで製品サービスの提供を行っております。

当社グループの販売チャネルには、当社が製品及びサービスを顧客企業に直接販売する「直販」と、当社からシステムやIT機器を取り扱う販売パートナーに製品及びサービスを卸し、販売パートナー経由で顧客企業が当社グループの製品及びサービスを利用する「パートナー販売」があります。

なお、「勤次郎」シリーズの就業マネジメントシステムは5,000を超す企業・団体への導入実績があります。これは当該ソフトウエアが使いやすく満足度が高いことによるものであると自負しており、実際に多くの顧客企業・団体で広く利用されております。

 

(クラウド事業)

 

人と時間とテクノロジーのより良い関係を求めたHRM事業において、統合ERP「勤次郎Enterprise」の「勤次郎」「人事郎」「Q太郎」や「ヘルス×ライフ」などのクラウドサービスにより、顧客企業の「働き方改革&健康経営」を支援し、顧客企業の財務基盤強化と企業価値の向上を図ってまいります。

 

これらのクラウドサービスは顧客企業の様々なニーズに応えるべく、ソフトウエアの売り切り型ではなく、利用しやすい月額料金方式で、顧客企業はサーバーの初期コストと保有コスト、システム運用担当者の人件費そしてパッケージの維持コストが不要なため、中堅中小企業でも当社グループの統合ERP「勤次郎Enterprise」の「勤次郎」「人事郎」「Q太郎」や「ヘルス×ライフ」などの機能を利用することができます。また、顧客企業の従業員がPCやスマートフォンアプリケーションで利用することができる使いやすいサービスとして、2010年7月から「勤次郎Enterprise for SaaS」の提供を開始しております。

 

当社グループにとっては、クラウドサービスは新たな多くの企業の利用と売上向上につながっております。さらに、中堅中小企業の求める共通機能に絞り込むことで、取り扱いやすく従来サービスより安価な月額料金とした「勤次郎Smart」を製品ラインナップに加え、新たな顧客(直販)の獲得と裾野市場の開拓を進めております。近年では、大企業もクラウドサービスの利用が潮流となっており、当社グループのクラウドサービスの利用も一層進んでいくものと期待しております。

 

 

当社グループでは、このクラウドサービスを通じ、顧客企業の満足度向上を図ることで、将来にわたるリカーリングレベニュー(継続的な収益)を得ることが可能であると考えております。

 

当社グループのクラウドサービスにおける利用者数及び契約社数の推移は次のとおりです。

 

利用者数(人)

契約社数(社)

2014年12月末

29,960

165

2015年12月末

51,025

281

2016年12月末

72,226

381

2017年12月末

105,360

532

2018年12月末

178,529

766

2019年12月末

246,358

1,036

2020年6月末

286,549

1,187

 

(注)「利用者数」は契約ライセンス数を集計しております。なお、契約ライセンス数は、顧客企業の1従業員が複数サービス(就業・人事・給与・ヘルス×ライフ等)の利用がある場合でも1人として集計しています。また、「契約社数」は複数サービスを契約している顧客企業も1社として集計しております。

 

また、顧客企業の満足度向上に取り組んだ結果、解約に至るケースも少なく、クラウドサービスの解約率は0.2%を下回る水準で推移しております。

 


 

(注)クラウドサービスの解約率は、「対象月を含む過去12か月のクラウドライセンス解約金額合計÷同期間のクラウドライセンス前月売上金額合計」にて算出しております。クラウドライセンス解約金額とは、ライセンス契約の解除により減少するクラウドライセンス売上(月額)をいいます。

 

(オンプレミス事業)

 

オンプレミス事業においても、クラウド事業と同じく、顧客企業の「働き方改革&健康経営」に資する統合ERPパッケージ「勤次郎Enterprise」として「勤次郎」「人事郎」「Q太郎」や「ヘルス×ライフ」などを広く提供しております。

 

これらのソフトウエアのパッケージを購入した顧客企業・団体においては、当社グループが継続的なプレミアムサポートを提供することで、安心して利用することができ、当社グループにとっては、プレミアムサポートの年額料金又は月額料金によりリカーリングレベニュー(継続的な収益)を得ることが可能であり、安定した収益確保につながっております。

 

 

当社グループでは、クラウドサービス(「勤次郎」「人事郎」「Q太郎」や「ヘルス×ライフ」など)及びプレミアムサポートの2つのリカーリングレベニュー(継続的な収益)並びにこれらのソフトウエアのオンプレミスでの拡販により、一定の成長力を確保し安定した収益計上を図っております。

 

②その他

その他の事業として、スペースの有効活用を目的とした貸会議室事業を行っており、イベント、セミナー、会議・打ち合わせなど、多目的な用途に応じて利用できるスペースを、設備とともに一定時間で貸出提供しております。

また、顧客の利便性を高めるため、各会議室(東京、大阪)をテレビ会議システムで接続し、拠点間でのテレビ会議を可能とするサービスを提供しております。

 

(2)当社グループの主要製品及びサービスについて

クラウド事業において統合ERP「勤次郎Enterprise」、オンプレミス事業において統合ERPパッケージ「勤次郎Enterprise」を提供しております。また、就業・人事・給与等にまつわる多種多様な顧客企業のニーズとしてのコンプライアンス遵守、生産性向上・健康経営・戦略的人材マネジメント等に対応するための業務ソリューションパッケージ・サービスをラインナップしております。

 

<統合ERP「勤次郎Enterprise」の各ソリューション>

■ 働き方改革ソリューション

a 勤次郎(就業ソリューション)

多様化する雇用・勤務・賃金形態に幅広くスピーディーに対応し、複雑で細かな就業情報の自動集計と計算を瞬時にすることができます。Web環境を活用することにより、必要な時に、必要な情報だけを職務権限に応じてデータ提供できるのみならず、コンプライアンスにも対応した次のソリューションを提供しております。

(a)業務の効率化

ペーパーレス化や計算業務の簡略化、導入コストの圧縮等の「間接業務の効率化・合理化」の実現を支援します。

(b)多様な働き方への対応

業時間帯(シフト)の設定は、46,000種類以上の登録が簡単に設定でき、パートタイマー・アルバイトはもちろん、複雑な雇用形態にも柔軟に対応できます。締め日は雇用形態などに合わせ、1社あたり5回まで設定できます。また1日2回までの複数回勤務や勤務間インターバル制、フレックス勤務、変形労働時間制、交代勤務、テレワークにも対応しています。

(c)法改正への対応

2019年4月より施行された「働き方改革関連法」に対応し、顧客企業の必要とする「働き方改革」を次のように支援いたします。

・年次有給休暇の年5日以上取得の義務化に伴う取得状況チェックを、法定要件に合わせて適切に行い、年次有給休暇の管理業務にかかる負荷を軽減することができます。

・フレックスタイム制の総労働時間に対する過不足時間の清算期間上限の3か月延長に対応し、新しい労働環境に合った就業管理を実現できます。

・36協定の罰則付き上限の設定に対応した新たな管理方法として、また、意図せぬ過重労働を防ぎ、企業の労務リスクを軽減するため、アラーム機能によるメール通知を従業員本人や管理者及び人事部門へ配信し、効率的な時間外労働時間の管理に貢献することができます。

 

(d)打刻方法

オフィスワークや外勤などシーンに合わせて選べる、多彩な打刻方法があります。

就業情報端末(タイムレコーダー)によるICカード打刻・指静脈認証打刻、パソコンによるWeb打刻・ICカード打刻・指静脈認証打刻、スマートフォン、タブレットによる打刻が可能です。

(e)高いカスタマイズ性

トップ画面、表示項目を自由にカスタマイズすることができます。

職務権限ごとに5パターンまで設定できるため、権限ごとにトップ画面に表示させたいメニューや項目を自由に設定・変更することもできます。

(f)申請・承認の電子化

残業、休暇等の各種申請は全てWeb上で実施することができます。承認ルートも部門ごと・個人ごとに申請の種類に応じて設定することができるため、昨今のテレワーク環境下においても、適切な申請・承認業務を行うことができます。

(g)データ分析支援

担当部門が戦略的ミッションに取り組むための時間を作り出すと同時に、「生産性分析・人員の適正配置などに活用可能なデータ」の作成を支援します。

これら以外にも、スケジュール機能を有しており、顧客企業が登録した「就業時間実績」、「公休残日数」、「人件費の目安」を確認しながら、従業員の勤務スケジュールを作成し、データに基づく適正な人員配置を支援します。

 

b 人事郎(人事ソリューション)

従業員の個人情報管理業務に対しては、アクセス権限の設定などの個人情報セキュリティ環境を構築し、顧客企業が独自に管理したい人事項目を追加することができます。また、多様な条件で情報を検索することができ、的確な人材の選択や意思決定への必要データの抽出が可能となっております。

・情報セキュリティ

従業員の個人情報管理業務に対して、職務に応じた9段階の権限設定で、適切な情報セキュリティを構築します。

・履歴管理

従業員の役職や所属部門の履歴を「過去・現在・未来」の各時点で区切って分析・照会することが可能です。

・個人情報管理

定型項目(25項目)に加え、顧客企業が独自に管理したい項目を無制限に追加することが可能です。

また、独自に追加した項目に関しても履歴管理が可能です。

・任意情報検索

多様な条件で情報を検索することが可能で、検索した結果はCSV形式(テキストデータ)のファイルに出力することもできます。また、的確な人材の選択や意思決定への必要データの抽出が可能です。

・帳票出力

「辞令」「通知書」「届出」など各種帳票は、顧客企業が利用しているフォーマットに合わせてフォントサイズ・レイアウトなどを自由に変更可能です。

・各種届出/承認業務の効率化

定型の届出情報の他、顧客企業独自の届出情報を自由に追加登録することが可能です。承認ルートも複数設定できるため届出情報別の承認ルート設定や、代理承認設定のほか、申請者が任意に権限者の中から承認者を設定することも可能です。

 

 

c Q太郎(給与ソリューション)

雇用形態に合わせ1か月につき5回までの複数の給与締めができるよう対応しており、顧客企業が登録した賃金テーブル情報に更新があった場合、明細データの自動更新が可能であるという汎用性を有しております。勤務データを「勤次郎」から自動連携することで、転記・給与計算の手間を省き、また、給与明細書・源泉徴収票(PDF形式)の自動配信・メール配信を可能とすることで給与業務の生産性向上につながっております。

・汎用性

給与・賞与の支給・控除については9,999項目の登録ができ、雇用形態に合わせ1か月につき5回までの複数の給与締め日に対応することが可能です。

1年につき給与12回、賞与5回、予備3回の処理が可能です。振込み先銀行は5行まで設定することができ、振込み先が複数になる場合は定額指定・定率指定双方での配分が可能です。

会計システムとの連携を考慮し、支給控除項目ごとに仕訳区分・集計区分として99種類の項目設定が可能です。

・複雑な給与計算にも対応

顧客企業が登録した賃金テーブル情報に更新があった場合、当該テーブル情報と連携し、明細データを自動更新することが可能です。

・給与計算業務のスピード化

勤務データを「勤次郎」から自動連携させ、転記・給与計算の手間を省きます。給与規定見直しや期間限定の手当支給などに伴う設定変更も事前登録が可能なため、繁忙期を避けた計画的な運用を行うことができます。

・Web環境の利用

給与明細書・源泉徴収票(PDF形式)の自動配信・メール配信が可能です。分散処理により、毎月の勤務データや、年末調整データをWeb上で入力するなどの処理を、複数担当者が同時に行うことができます。

 

◆ 労務コストマネジメントシステム

顧客企業の労務コストを正確に捉え「見える化」することで、労務コスト計画の作成、人員計画の作成に必要なデータを集計し、時系列・前期比較、予算実績比較、売上比較を時間・日・月・四半期・年の単位で検討することができ、適正な労務コストへの改善に取り組むことができます。

なお、労務コストは、給与・各種手当・賞与・退職金などの全ての人件費を対象にすることが可能です。

 

 オフィスヘルパー(統合ポータルシステム)

統合ポータルシステムとして次のWebワークフローシステムを提供し、オフィスワークの効率化を支援しております。

・工数管理、日報管理、出張申請管理、立替金精算、稟議申請管理、設備予約管理、食券発行管理
 

■ 健康管理ソリューション

d ヘルス×ライフ(健康管理ソリューション)

ヘルスケア分野においては、改正労働安全衛生法により2015年12月から企業によるストレスチェックが義務化されました。また、経済産業省が東京証券取引所と共同で上場企業の中から選定する『健康経営銘柄』が公表され、新たに大規模法人や中小規模法人に向けては、2016年度から経済産業省等による『健康経営優良法人認定制度』がスタートしております。この「健康経営」は、従業員の健康増進及び活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上につながる新しい企業価値の向上策の一つに取り上げられております。

このような働く人の健康管理・健康増進の社会的要請のもと、当社グループは健康管理ソリューションとして「ヘルス×ライフ」を顧客企業に提供しております。

製品・サービス機能として、従業員の健康診断とストレスチェックの結果、日常の活動情報・バイタル情報(心拍数や血圧などの生体情報)、「勤次郎」から取り込んだ就業情報をリアルタイムに顧客企業に提供することが可能です。

 

この機能を活用することで、人事・総務の担当者によるスピーディーな組織の労務環境分析や、産業医・保健師等専門家による従業員への早期のカウンセリング・アドバイス及び診断を可能にするものです。

また、「ヘルス×ライフ」を利用しやすくするため、スマートフォンアプリケーションも提供しており、顧客企業の従業員が自分のスマートフォンにより、自身の現在の健康状態をリアルタイムに確認でき、日々の生活改善を行うことにより生活習慣病の予防を図ることができます。

 

◆ ケリーオンラインサービスサポート

「ヘルス×ライフ」の新たなサービスとして、従業員の勤務・健康データ(健康診断結果とストレスチェック結果)を見える化し、労働生産性損失コスト(残業コスト、アブセンティーイズム(注)1、プレゼンティーイズム(注)2)を自動集計した分析結果を提供し、顧客企業が行う従業員の健康改善への取組みのサポートを行います。

産業医によるオンライン面談及び産業医と保健師による労務環境改善サポート、従業員の健康改善サポート及び健康ポイント管理を行うことで、顧客企業の労働生産性向上や健康経営優良法人認定などの健康経営に向けた取組みを支援するサービスサポートです。

(注)1.アブセンティーイズム:体調不良等での年間不就労日数

2.プレゼンティーイズム:体調不良等による生産性低下

 

前述のように企業の「健康経営」に資する「ヘルス×ライフ」は、コンプライアンス面からも必要とされ、ニーズ性のある製品・サービスであり、働く人、企業、社会への貢献につながっていくものと考えております。

 

◆ ママケリー

妊活支援・母子健康手帳・育児手帳の機能を有するアプリケーションとして、お子様の誕生前から、母子の身長・体重、病院での受診内容、保健指導内容を写真や動画とともに記録できます。専門家の育児情報も掲載されており、出産・育児でのママの悩みや不安を少しでも和らげ、安心して楽しく子育てができるよう支援しております。ママケリーを通して、パパ・ママそしておじいちゃん・おばあちゃんがお子さん・お孫さんの成長をともに感じて、ご家族の思い出をいつまでも大切にできます。

 

e ヘルス×ライフカルテ(電子カルテシステム)

クラウドサービスによる電子カルテシステムで、医療機関を対象として、「ヘルス×ライフ」アプリケーションとオンライン診療システムとの連携で、患者のデータを一括管理します。患者の受付から会計までのフローを快適に行えるように画面設計しております。

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

日通システムベトナム

有限会社

ベトナム社会主義共和国

ハノイ市

6,310,800

千ベトナムドン

HRM事業

100.0

開発業務の委託

役員の兼任2名

資金の貸付け

 

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.特定子会社であります。

3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2020年8月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

HRM事業

238

その他

1

全社(共通)

27

合計

266

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

2.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

3.最近日までの1年間において従業員数が43名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴う採用の増加によるものであります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2020年8月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

222

37.5

6.3

5,647

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

HRM事業

196

その他

1

全社(共通)

25

合計

222

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

4.最近日までの1年間において従業員数が34名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴う採用の増加によるものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。