第二部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第15期

第16期

決算年月

2018年12月

2019年12月

売上高

(千円)

534,035

664,845

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

14,124

20,195

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

8,937

38,394

包括利益

(千円)

9,650

38,544

純資産額

(千円)

33,324

54,630

総資産額

(千円)

458,833

515,122

1株当たり純資産額

(円)

105.42

94.57

1株当たり当期純損失(△)

(円)

5.06

21.65

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

7.3

10.6

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

111,481

115,505

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

73,049

66,679

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

30,060

36,665

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

196,919

282,324

従業員数

(人)

77

86

(外、平均臨時雇用者数)

(4)

(3)

 (注)1.当社は第15期より連結財務諸表を作成しております。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.当社は第15期において、事業拡大に向けた全社的な組織拡充のために積極採用を進めたことにより、営業部門、開発部門及び管理部門それぞれの組織において、人件費を始めとして費用が増加したことに加えて、製品認知度向上の為の販売促進費や、人員増加によるオフィス拡張等の費用が増加した結果、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。

4.当社は、2020年5月15日開催の取締役会決議により、2020年6月1日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っておりますが、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

5.1株当たり純資産額については、A種優先株式の発行金額を純資産の部の合計金額から控除して算定しております。

6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

7.自己資本利益率は、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。

8.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

9.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト)は年間の平均人員を( )内にて外数で記載しております。

10.第15期及び第16期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

11.第16期より、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を適用しており、第15期については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第11期

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2015年3月

2016年3月

2017年3月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

売上高

(千円)

346,070

239,480

284,869

261,636

516,570

664,845

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

49,330

1,764

412

19,865

25,987

7,140

当期純損失(△)

(千円)

49,816

2,531

2,056

51,269

26,168

49,637

資本金

(千円)

135,360

135,360

135,360

99,000

99,000

99,000

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

 

普通株式

36,070

36,070

36,070

17,670

17,670

20,820

A種優先株式

29,445

29,445

29,445

純資産額

(千円)

100,335

102,867

104,924

42,616

16,447

26,659

総資産額

(千円)

168,642

145,297

168,266

408,765

444,877

491,317

1株当たり純資産額

(円)

2,781.69

2,851.88

2,908.90

10,344.76

109.00

100.14

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

()

()

()

()

()

()

1株当たり当期純損失(△)

(円)

1,381.10

70.19

57.03

1,810.24

14.81

28.00

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

59.5

70.8

62.4

10.4

3.7

5.4

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

(人)

36

20

22

30

38

43

(外、平均臨時雇用者数)

(7)

(5)

(5)

(5)

(4)

(3)

 (注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は第11期から第15期において、事業拡大に向けた全社的な組織拡充のために積極採用を進めたことにより、営業部門、開発部門及び管理部門それぞれの組織において、人件費を始めとして費用が増加したことに加えて、製品認知度向上の為の販売促進費や、人員増加によるオフィス拡張等の費用が増加した結果、経常損失及び当期純損失を計上しております。

3.第12期における売上高及び従業員数が大幅に減少しているのは、企画制作事業部をネットイヤークラフト株式会社(現ネットイヤーグループ株式会社)へ事業移管したことによるものであります。

4.第14期は、決算期変更により2017年4月1日から2017年12月31日までの9ヶ月間となっております。

5.当社は、2020年5月15日開催の取締役会決議により、2020年6月1日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っておりますが、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

6.1株当たり純資産額については、A種優先株式の発行金額を純資産の部の合計金額から控除して算定しております。

7.1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を実施しておりませんので、記載しておりません。

8.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、また、第11期から第16期は、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

9.第11期から第16期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。

10.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

11.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト)は年間の平均人員を( )内にて外数で記載しております。

12.第15期及び第16期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。

なお、第11期から第14期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しておりますが、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

13.第15期より有限責任監査法人トーマツによる監査を受けることとなり、監査の過程で発見された過年度損益を修正すべきものとして、収益計上の変更(日割り計上)、固定資産の減損等について第15期の期首残高に遡って修正を行っております。これにより第15期期首の純資産が39,092千円減少しております。

14.第16期より、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を適用しており、第15期については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

15.2020年5月22日付で、株主からの取得請求権の行使を受けたことにより、A種優先株式を自己株式として取得し、対価として普通株式を交付しております。また、当社が取得したA種優先株式について2020年5月15日開催の取締役会決議により、2020年5月22日付で会社法第178条に基づきすべて消却しております。

16.当社は、2020年5月25日開催の臨時株主総会において、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。

17.当社は、2020年5月15日開催の取締役会決議により、2020年6月1日付で普通株式1株につき100株の分割を行っております。

そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第11期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。

なお、第11期から第14期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

回次

第11期

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2015年3月

2016年3月

2017年3月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

1株当たり純資産額

(円)

△27.82

△28.52

△29.09

△103.45

△109.00

△100.14

1株当たり当期純損失(△)

(円)

△13.81

△0.70

△0.57

△18.10

△14.81

△28.00

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

 

2【沿革】

年月

概要

2004年12月

東京都渋谷区において株式会社日本技芸を設立

Web関連システム・サービスの受託開発ビジネスを開始

2007年5月

東京都新宿区に本社移転

2010年4月

グループウェア『rakumo』シリーズ第1号、Googleカレンダーをリデザインした『rakumoカレンダー』のサービス提供を開始

2010年8月

社内外の連絡先を一元管理できる共有アドレス帳『rakumoコンタクト』をリリース

2011年5月

申請・承認・回覧などの機能を有した電子稟議システム『rakumoワークフロー』をリリース

2011年5月

東京都渋谷区に本社移転

2012年7月

出退勤打刻機能を有した『rakumoタイムレコーダー』をリリース

2012年8月

Salesforceカレンダーと連携した『rakumoソーシャルスケジューラー』をリリース

2013年7月

掲示板型情報共有ツール『rakumoボード』をリリース

10万ライセンスを達成

2013年8月

ネットイヤーグループ株式会社による当社連結子会社化

2014年2月

東京都中央区に本社移転

2014年11月

クラウド型経費精算ソリューション『rakumoケイヒ』をリリース

2015年1月

20万ライセンスを達成

2015年11月

rakumo株式会社に商号変更

2015年12月

30万ライセンスを達成

2016年5月

SalesforceカレンダーとGoogleカレンダーの双方向同期を可能とする『rakumo Sync』をリリース

2017年5月

40万ライセンスを達成

2017年8月

ネットイヤーグループ株式会社との資本関係解消

2017年9月

50万ライセンスを達成

2017年11

東京都千代田区に本社移転

2018年4月

AOI Systems Vietnam Co., Ltd.の全持分を取得し連結子会社化、rakumo Company Limited(ベトナム)に商号変更

60万ライセンスを達成

2019年5月

70万ライセンスを達成

2019年7月

多様な勤務形態に対応した勤怠管理システム『rakumoキンタイ』をリリース

 

3【事業の内容】

当社グループは、当社(rakumo株式会社)及び連結子会社1社(rakumo Company Limited(ベトナム))により構成されており、「仕事をラクに。オモシロく。」というビジョンのもと、企業の業務の生産性向上に貢献するサービスを提供すべく、事業を展開しております。

当社グループの主要サービスは、(1) 当社及び他社のライセンスサービス(*1)の提供である「SaaSサービス」、(2) ライセンスサービスに関する導入支援や業務支援等を中心とした「ソリューションサービス」、(3) ベトナムを拠点にラボ型ITシステム開発等を行う「ITオフショア開発サービス」であります。なお、当社グループは、ITビジネスソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

また、*の用語については後記「用語の定義」をご参照ください。

 

(1)SaaSサービス

企業向けグループウェア製品「rakumo」の開発・販売の他、他社ライセンスの代理店販売を実施しております。

グループウェア(*2)とは、企業など組織内のコンピューターネットワークを活用し、組織メンバーのコミュニケーション円滑化や情報共有、業務効率化等を支援するためのソフトウェアであります。

「rakumo」は、当社グループが企画・開発を手がける企業向けグループウェアにおけるサービス群の総称であり、カレンダーや勤怠管理、経費精算、稟議申請等の各種機能を有しております。rakumoの名称は、ユーザーがサービスをより楽に利用するための「楽(らく)」と、「雲(=クラウド)」をかけたものであります。

なお、rakumoは、SaaS(Software as a Service(*3))と呼ばれる方式でサービスを提供しております。これは、ユーザー側でソフトウェアを保有するのではなく、サービス提供側がクラウド(*4)上でソフトウェアの機能を提供し、ユーザーはインターネット経由でサービスを利用する形態であります。

 

① 提供サービス

a.Google版rakumo

Google版rakumoは、Google社が提供するグループウェア「G Suite(*5)」と連携し、機能拡張したアドオンツールとして提供しております。G Suiteは一般ユーザー向けに提供が開始されたこともあり、rakumoでは、企業がG Suiteを利用する際に不足する機能の補完や、より使いやすい画面の設計、より便利にご利用いただける機能を提供しております。

各サービス名及び概要は次のとおりです。

サービス名

概要:機能等

rakumoカレンダー

共有カレンダー:

Googleカレンダーとの連携、会議室・設備予約、ケイヒ・キンタイ連携

rakumoコンタクト

共有アドレス帳:

社員名簿、顧客・取引先情報管理、Gmailとの連携

rakumoワークフロー

電子稟議システム:

豊富な承認経路設定、柔軟な申請フォーム作成、ケイヒ・キンタイ連携

rakumoボード

電子掲示板:

コメント・リアクション機能、回覧板、アクセス設定

rakumoケイヒ

経費精算システム:

運賃・乗換情報連携、定期区間設定、カレンダー・ワークフロー連携

rakumoキンタイ

勤怠管理システム:

柔軟な勤務形態設定、ICカード・Web打刻対応、カレンダー・ワークフロー連携

 

b.Salesforce版rakumo

Salesforce版rakumoは、salesforce.com社の営業支援サービスであるSales Cloudなどのサービスと連携し、主に営業担当者の予定調整業務負荷を軽減します。

サービス名

機能等

rakumoソーシャルスケジューラー

共有カレンダー:

Salesforceカレンダーとの連携、取引先・商談データ等との紐付け

rakumo Sync

カレンダー同期サービス:

GoogleカレンダーとSalesforceカレンダーの双方向同期サービス

 

c.他社ライセンスの販売

Google社のG Suiteライセンス販売の他、関連サービスの他社ライセンス販売を行っております。

② rakumoシリーズ共通のコンセプトと特徴

a.導入・利用しやすい料金の実現

rakumoシリーズは、「幅広いお客様の共通業務を支援する安全かつ高品質なITサービスを、多種多様なお客様に、導入しやすいコスト・環境で提供する」という事業開始当初のミッションを実現するため、サービス提供基盤として、従来のサーバー設備投資コストと比べて低コストでの導入が可能な、Google社salesforce.com社のクラウドプラットフォームサービス(*6)を利用しています。

また、全ユーザーが同じバージョン、同じソースコードのソフトウェアを使用するシングルインスタンス(*7)を採用しており、当社グループでの定期的な保守・改修を可能にする一方、顧客側でも動的にカスタマイズが可能な仕組みとなっており、従来のITサービスに比べて導入・保守費用が大きく軽減でき、導入・利用しやすい料金でのサービス提供を可能としております。

各サービスはPCのみならず、スマートフォンでも利用することが可能となっております。また、サービス単体での販売に加え、複数サービスを組み合わせることにより、本来の単価の合算よりも安価にご利用いただけるパック形式での提供も行っております。

 

b.ユーザー体験分析を基としたサービスデザイン

お客様の業務の生産性は業務サービスの操作性と直結しているという認識の下、専任のプロダクトデザイナーがエンドユーザーの様々な利用ケースを分析し、幅広いお客様に利用しやすい操作画面やプロセスのデザインを行っています。

 

c.自社・他社サービスとの連携によるプロセスの自動化・効率化

rakumoは基盤サービスとして広く利用されるGoogle社のG Suiteやsalesforce.com社のSales Cloudといったアプリケーションサービスと様々なデータや機能において連携しています。また、rakumoシリーズでは、カレンダー・経費精算・ワークフロー間の連携のように、個々のサービス同士が連携し、データを別のサービスでも利用することが可能となっております。

これらにより、企業内システムで発生しがちな、異なるITベンダーが提供するサービスを利用することによる手間の軽減、また、データをサービス間で再利用することによる重複入力の削減や入力ミスの低減、プロセスの自動化等を実現しております。

 

③ rakumoサービスのビジネスモデルについて

a.SaaS方式での容易なサービス導入の実現

従来、企業内の情報共有ツールであるグループウェアは、利用企業の自社内でサーバーや通信回線設備、ソフトウェア等を保有・運用する形態で、大企業向けが主流でありました。これらは、セキュリティ面での優位性やカスタマイズが容易といったメリットがある一方、設備調達やカスタマイズの為、導入までに一定の期間が必要であり、また、導入後もソフトウェアの改修や設備の運用コストが多額に発生する等、中小企業への導入は難しい面がありました。

一方、当社グループが採用している「クラウド」方式では、従来のようにユーザー側でサーバーやソフトウェア等の設備を利用企業側で保有するのではなく、インターネットを介してサービスを利用するため、低コストかつ短期間での導入が可能であります。

また、ソフトウェアサービスを、インターネットを介して(クラウド上で)提供し、利用者が必要な機能を必要な分だけ利用できる「SaaS」方式を採用しております。これにより、ソフトウェアの保守や機能追加等はサービス提供側で一括して実施するため、運用コストも安価であり、中小企業での導入も容易となっております。

 

b.サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルによる安定性と成長性の実現

当社グループの主要サービスである「rakumo」の収益構造は、サービス料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション(*8))として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー(*9))を得ることができる「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル(*10)」となっております。

売り切り型ではなく、継続的なサービス提供を前提としており、継続的に収益が積み上がっていくストック型ビジネスとしての安定性がありながら、新規契約数の増加に伴う高い成長も目指すことができるビジネスを展開しております。

また、年間契約や複数月契約が主体であり、契約金額を一括前払いで回収しているため、キャッシュ・フローの観点で有利なことも特徴です。

 

c.Google社及びsalesforce.com社のサービスとの連携

当社グループのサービスは、Google社及びsalesforce.com社のサービスと密接に連携したサービスであり、それぞれのサービスをご利用いただいているお客様には、利用者の操作面や管理操作面での利便性向上、操作の効率化が可能になります。当社グループとしては、両社サービスとの連携を更に深め、また、両社の基盤を最大限に活用することにより、当社グループの事業の安定と成長に繋げられるように事業を展開していく方針であります。

 

d.販売パートナー等との連携による安定性と成長性の実現

自社販売だけでなく、販売パートナー及び紹介パートナーを多数有していることも当社グループの特徴であります。2つの販売チャネルを効果的に機能させることで、導入企業数及びユーザー数の更なる増加による事業の安定性及び成長性の実現に尽力しております。

 

e.継続的なサービス開発を背景としたクロスセル及び低解約率の実現

顧客のサービス利用期間における満足度を高めることが契約更新に繋がることから、当社グループでは、プロダクト開発力の強化や継続的な製品改修、顧客サポートの品質向上、定期的な新サービスのリリース等に努めております。これらの施策や販売・マーケティング施策等により、既存顧客に対しては、契約更新のみならず、他のサービスや関連商品等の購入(クロスセル)に繋げていただけるよう尽力しております。

また、導入の容易さや安価な利用料金により、着実なユーザー数の増加、高い継続率を実現しており、多種多様な業界、中小企業から大企業に至るまで1,939社(2020年6月末時点)の企業に導入いただいており、少数の特定顧客に依存しない収益構造となっております。

グループウェアの入れ替えには全社的な対応が必要となることも多く、容易に解約される性質の製品ではないと考えられ、ライセンスの販売額に対する月間解約率は低位(2020年上期平均1%未満)で推移しております。

 

なお、当社グループのクライアント数及びユニークユーザー数の推移は以下の通りです。

 

0201010_001.png

 

(2)ソリューションサービス

当社及び他社SaaSサービスの導入支援や業務支援等のソリューションサービスに加え、ライセンスサービスに関連した他社ハードウェアの販売等を行っております。

当社製品は、直感的に理解でき、幅広いお客様に利用しやすい操作画面やプロセスのデザインにより、原則として導入作業から運用段階まで、導入企業自ら実施いただけるよう設計しております。一方で導入企業からのご要望にお応えするため、前システムからの移行作業や、関連サービスも含めた導入時の初期設定作業、管理者や各ユーザー向けの操作説明等を実施しております。これまでのサービス開発・運用経験やノウハウを活かし、高度なIT及び業務スキルをもった当社コンサルタントにより、各種ソリューションサービスを提供しております。

 

(3)ITオフショア開発サービス

日本国内における各企業のIT開発部門においては、開発案件の増加や新技術の開発等により、最新のITスキルを有した人材が求められる一方、IT業界の人材供給は限られており、慢性的な人材不足に直面する等、開発コストが増加する一因ともなっております。当社グループでは、他社企業からの開発依頼にお応えするため、連結子会社であるrakumo Company Limited(ベトナム)を拠点として、ITオフショア開発サービスを提供しております。

メインに実施している「ラボ型」のシステム開発では、顧客ごとに特定のエンジニアを確保し、専属のチームを組成の上、一定期間継続的に開発業務を行います。チームメンバーが固定されていることにより、企業独自の開発要件やノウハウ等の蓄積も可能となり、人材確保や人件費面以外においてもコスト削減メリットが生じます。

なお、ITオフショア開発サービスは中長期での契約となる場合が多く、SaaSサービス同様にお客様の業務に組み込まれることとなり、安定的な収入を生み出せる構造となっております。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

0201010_002.png

 

[用語の定義]

本書記載内容に対する理解を容易にするために、また、正しい理解をいただくために、本書で使用する用語の定義と解説を以下に記載します。

なお、番号は本項「3 事業の内容」の文中において*で示した用語と対応しております。

番号

用語

用語の定義、解説

*1

ライセンスサービス

「サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル」で提供される自社及び他社のライセンスビジネス。

*2

グループウェア

企業など組織内のコンピューターネットワークやインターネットを活用し、組織メンバーのコミュニケーション円滑化や情報共有、業務効率化等を支援するためのソフトウェア。

*3

SaaS

Software as a Serviceの略称。クラウドで提供されるソフトウェアサービスのこと。ユーザー側でソフトウェアを保有するのではなく、サービス提供側がソフトウェアの機能をクラウド上で提供し、インターネットを介してユーザーがサービスを利用する形態。

*4

クラウド

クラウドコンピューティングの略語で、従来のようにユーザー側でサーバーやソフトウェア等を保有するのではなく、インターネットを介してサービスを利用するもの。サーバー等の初期費用や、ソフトウェアも含めたシステム全体の開発・保守・運用負担を抑えることが可能。

*5

G Suite

Google社が提供するクラウド型グループウェア。

*6

クラウドプラットフォームサービス

ネットワークやサーバー、アプリケーションサービス、データ保存等ができる基盤(プラットフォーム)をインターネットを介して(クラウド上で)提供しているサービス。自社でこれらの設備を用意・保有する必要がなく、容易かつ即座にサービスの利用が可能。

*7

シングルインスタンス

全ユーザーが同じバージョン、同じソースコードのソフトウェアを使用する方式。

*8

サブスクリプション

ソフトウェアのライセンス契約方式においては、売買ではなく特定期間内の使用権を販売する方式のこと。料金は定額で、契約期間内においては、ソフトウェアのアップデートなどは追加料金を支払うことなく受けることが可能。

*9

リカーリングレベニュー

継続収益。リカーリングビジネスにより得られる収益のこと。リカーリングは「繰り返される」「循環する」という意味。リカーリングビジネスとは、一度の取引で完了するのではなく継続して取引をおこない、安定した収益を得ることができるビジネスモデル。

*10

サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル

サービス料金を使用期間やユーザー数等に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングレベニュー)を得るビジネスモデル。

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

rakumo Company Limited

(注)2

ベトナム国ホーチミン市

千ベトナムドン

4,165,600

ITオフショア開発

100.0

当社製品の開発を行っております。

役員の兼任あり。

 (注)1.当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

2.特定子会社に該当しております。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2020年7月31日現在

従業員数(人)

90

(5)

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2020年7月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

47

(4)

35.5

4.1

5,603

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー・アルバイト)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3)労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりません。

連結子会社rakumo Company Limited(ベトナム)においては、労働組合が結成されております。

なお、労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。