回次 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
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決算年月 |
2015年3月 |
2016年3月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
2019年3月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
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△ |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
|
△ |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
|
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
3.第18期及び第19期の財務諸表につきましては、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。
なお第15期、第16期及び第17期の財務諸表につきましては、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
4.売上高には、消費税等は含まれておりません。
5.当社は、2019年12月1日付で普通株式1株につき10,000株の株式分割を行っており、発行済株式総数は、12,000,000株となっております。
6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額につきましては、第16期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、また、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。また、第15期、第17期、第18期及び第19期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
7.第16期は、営業活動における販売促進費用の増加などの影響で、経常損失及び当期純損失を計上しております。
8.第16期の自己資本利益率は、当期純損失であるため、記載しておりません。
9.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(特定地域に就労する契約社員であり、派遣社員を除く。)の年間平均人員を( )外数で記載しております。
10.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
11.第15期、第16期、第17期及び第19期の1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
12.第15期、第16期及び第17期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんのでキャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
13.当社は、2019年12月1日付で普通株式1株につき10,000株の株式分割を行っております。第18期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
14.2019年12月1日付で普通株式1株につき10,000株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第15期、第16期及び第17期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
|
決算年月 |
2015年3月 |
2016年3月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
2019年3月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
78.23 |
80.89 |
94.31 |
141.31 |
129.37 |
1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△) |
(円) |
12.29 |
△2.38 |
13.42 |
23.37 |
33.27 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 |
(円) |
- |
- |
- |
45.2 |
- |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
(-) |
年月 |
事項 |
2000年10月 |
神奈川県横浜市泉区に、卵殻膜を用いた化粧品・健康食品の製造販売を目的に株式会社アルマード(資本金6,000万円)を設立 |
2000年12月 |
化粧品製造及び販売を開始 |
2001年10月 |
QVCテレビショッピングにて化粧品の販売開始 |
2002年1月 |
QVCテレビショッピングにて健康食品(サプリメント)の販売開始 |
2002年7月 |
東海大学 岩垣丞恒名誉教授と共同研究がスタート |
2003年3月 |
本社を横浜市戸塚区に移転 |
2004年3月 |
本社を東京都中央区に移転 |
2007年6月 |
東京大学 加藤久典特任教授と共同研究がスタート |
2007年6月 |
東京大学 跡見順子名誉教授(東京農工大学 客員教授兼任)と共同研究がスタート |
2007年12月 |
化粧品製造販売業務許可取得 (13COX10375)、医薬部外品製造販売業許可取得 (13DOX10114) |
2008年3月 |
株式会社セシール(現 株式会社ディノス・セシール)より75%の出資を受け、同社の子会社となる |
2008年12月 |
本社を東京都渋谷区に移転 |
2010年8月 |
本社を東京都中野区に移転 |
2011年5月 |
世界的な細胞と組織の専門誌「Cell & Tissue Research」に卵殻膜に関する共同研究論文掲載 |
2013年10月 |
学術雑誌「Journal of Functional Foods」に卵殻膜に関する共同研究論文掲載 |
2014年10月 |
株式会社ディノス・セシールより58%の自己株式を取得し、親子関係を解消 |
2014年12月 |
世界的総合科学ジャーナル「Nature」を出版するNPGが運営する「Scientific Reports」に卵殻膜に関する共同研究論文掲載 |
2015年2月 |
本社を東京都中央区に移転 |
2017年3月 |
世界的総合科学ジャーナル「Nature」を出版するNPGが運営する「Scientific Reports」に卵殻膜に関する共同研究論文掲載 |
2017年3月 |
大幸薬品株式会社との業務提携基本合意 |
2017年9月 |
アント・キャピタル・パートナーズ株式会社(東京都千代田区)の運用受託するファンドが当社株式の過半数を取得 |
2018年4月 |
自社ECサイトを通じた美容液の定期購買サービスを開始 |
2018年9月 |
東京大学及び当社共同研究成果論文が専門の学術雑誌「Journal of Functional Foods」に掲載(加藤久典研究グループ) |
2018年11月 |
世界的な細胞と組織の専門誌「Cell & Tissue Research」に卵殻膜に関する共同研究論文掲載 |
当社は、「世界の人々の人生に健康と美しさをもたらす。卵殻膜とバイオテクノロジーで。」という経営理念のもと、今後、先進諸国で深刻な社会問題となる高齢化社会到来に対して、『卵殻膜』という素材の持つ美容・健康効果を科学的に解明しながら、卵殻膜商材をより安心・安全・低価格にて市場に供給する事で、アンチエイジングの側面から社会貢献を果たすべく事業を展開しております。
(1)卵殻膜とは
卵殻膜とは鶏卵の殻の内側にある薄い膜で、シスチン(注1)を含む18種類のアミノ酸、プロテオグリカン(注2)、ヒアルロン酸等で構成されており、美容・健康成分が含まれております。バクテリアなどの外敵から卵の中のひなを保護するためのバリアとして機能する他、卵が落下した場合などの物理的なダメージにも耐えられるよう、強固な繊維状のメッシュ構造をしております。また、酸素を透過させ水分を保有する力も有しております。
力士が傷口の治療に用いるなど天然の絆創膏として古くから民間療法で利用されているように、卵殻膜は中国や日本で古くから人体における創傷治癒素材として活用されてきました。その一方で、熱に強く水や油に溶けにくいためそのままでは体内で成分を吸収することができず特殊な加工が必要であり、また、天然素材であるがゆえその効果の検出とメカニズムの解明が難しいとされてきました。しかし、2007年よりスタートしたアルマード産学連携プロジェクトにより、卵殻膜塗布と摂取の両側面からの有用性とメカニズム検証で解明を進め、最近の研究では創傷治癒の早期化(2011年5月 「Cell & Tissue Research」に掲載)のみならず、皮膚の弾力性増加(2018年11月 「Cell & Tissue Research」に掲載)、肝機能の改善(2014年12月 「Scientific Reports」に掲載)への有用性も認められ、また、難病指定されている潰瘍性大腸炎(注3)の改善にも有効であるという研究結果を、2017年3月に米科学誌「Scientific Reports」で発表しております。これら研究の概要につきましては、後述[研究成果解説]をご参照下さい。
これまでの研究が示す卵殻膜の効能
実験方法 |
確認された主な結果 |
主な効能 |
卵殻膜水溶液の塗布 |
・ヒトの真皮繊維芽細胞の増加効果(皮膚の機能を保つために重要な細胞) ・Ⅲ型コラーゲン(注4)の産生促進効果 ・ヒトの肌の弾力性向上及びシワ面積の減少 ・創傷治療の早期化 |
美容 |
卵殻膜の経口摂取 |
・Ⅲ型コラーゲンの産生促進効果 ・腸内フローラの多様化、善玉菌の増加 ・肝臓線維化(注5)への効果を期待 ・炎症性腸疾患への効果を期待 |
健康維持 |
なお、肝臓線維化及び炎症性腸疾患への効果については、ヒトへの臨床試験の途上であり、その効果を保証するものではありません。継続的な研究により、ヒトへの有効性を解明してまいります。
(2)アルマードの卵殻膜加工技術について
卵殻膜は、当社設立より以前から食品及び化粧品の原料として既に流通しておりましたが、天然素材であるがゆえに品質面でばらつきがあり、また、加工コストも非常に高く、その効果を科学的に立証できる研究も十分になされていなかったため、一般に広く受容されるレベルの卵殻膜製品を流通させるのが困難な状況にありました。しかしながら、当社創業者である長谷部由紀夫が中心となり、大学や他企業等の外部機関との研究開発活動を進め、品質面、コスト面での課題を解決する独自の卵殻膜原料の加工技術を開発しました。当社の技術は以下のとおりです。
① 高品質の卵殻膜原料(*)の製造技術(微粉砕技術及び加水分解技術)
② 当社卵殻膜原料を活用した食品加工、化粧品加工の技術
(*)卵殻膜を構成する主成分の損失が少なく、かつ、臭気強度が低く抑えられた原料
なお、創業来19年間蓄積をしてきた卵殻膜に関する技術・知見の一部は、特許として出願しており、他社と比較して多くの卵殻膜関連特許(国内においては本書提出日現在、権利継続11件、出願中10件)を有しております。
また、当社の卵殻膜研究及び研究に裏打ちされた素材ポテンシャルは、以下のような理由から、成長好循環を生むと考えております。
・卵殻膜にフォーカスした大学や他企業等との共同研究により、豊富なエビデンスや卵殻膜応用ノウハウを蓄積
・これまでの研究により証明された卵殻膜の素材ポテンシャルと商品開発力により、顧客支持を獲得
・顧客支持が収益獲得能力を底上げし、積極的な広告展開や研究開発を可能にする
・積極的な広告展開や研究開発が収益獲得能力を向上させ、更なる広告展開や研究開発を可能にする
(3)卵殻膜ヘルスケア事業について
当社は、卵殻膜原料を活用した食品及び化粧品の製造販売を、単一事業として行っております。なお、食品及び化粧品の製造はすべて外注先に委託をしております。
したがって当社の事業は「卵殻膜ヘルスケア事業」の単一セグメントであるため、以下においては当社事業の特徴について販売チャネル別に記載しております。
①TVショッピング販売(以下「TV通販」)
TVショッピング専門チャンネルであるQVCテレビショッピングにおいて、当社が企画・開発した卵殻膜食品及び卵殻膜化粧品について、TV放送を通じて視聴者に紹介し、株式会社QVCジャパン(以下「QVC」)がお客様より受注した数量を当社からQVCに納品し、QVCがお客様へ出荷するという販売を行っております。主要商品としては、化粧品のOdeシリーズ、健康食品のTO-Ⅱ等がございます。
②外部間接販売(以下「外販」)
a.OEM製品の販売
取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社製造委託先にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。
b.卸販売(一般流通)
当社が企画・開発した製品を、ドラッグストアを中心とした量販店、理美容室及び他社通信販売業者等に卸売販売をする形態です。主要商品としては、Ⅲ型ビューティードリンク、Ⅲ型サプリメント等がございます。
③自社直接販売(以下「直販」)
自社ECサイト、他社ECサイト等を通じて、当社が最終消費者から直接注文を受け、製品を配送する販売を行っております。主要商品としては、化粧品のCELLULAシリーズ等がございます。
2018年4月に自社ECサイトを通じた定期購買サービスを開始して以降、定期顧客会員数は着実に増加しており、会員数は3万7千人に達しております(2019年12月末時点)。
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2018年 6月末 |
2018年 9月末 |
2018年 12月末 |
2019年 3月末 |
2019年 6月末 |
2019年 9月末 |
2019年 12月末 |
会員数(人) |
8,481 |
15,350 |
18,968 |
22,849 |
28,998 |
34,916 |
37,960 |
(注)定期顧客:自社ECサイトの定期便をご利用のお客様
[事業系統図]
当社の事業系統図は、次のとおりであります。
[研究成果解説]
創傷治癒の早期化 (2011年5月掲載)
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「掲載論文タイトル」 Hydrolyzed eggshell membrane immobilized on phosphorylcholine polymer supplies extracellular matrix environment for human dermal fibroblasts
「要約」 適度な量の卵殻膜が創傷治療プロセスに必須のⅢ型コラーゲン遺伝子発現を促進することを細胞レベルで証明した。 創傷治療プロセスにおいては、コラーゲン繊維を含む細胞外マトリクスの働きが鍵となり、止血・炎症・細胞増殖・再生という4つの過程が連続的に起こることが知られている。皮膚の損傷治療のみならず、正常な皮膚組織の構造維持と水分保持に重要な役割を担うこの細胞外マトリクス(注6)は、真皮線維芽細胞(注7)によって遺伝子発現・分泌される。そこで卵殻膜が細胞外マトリクス遺伝子をどの程度発現させるかについて、定量的な発現解析を行った。 その方法として、細胞を撒いてから24時間後に、皮膚組織に強度と弾力性を与える遺伝子群と、組織内の水分保持に重要な役割を担う遺伝子群の両方について発現状況を調査した。結果として、前者からはⅢ型コラーゲンとMMP2(注8)が、後者からはデコリン(注9)の発現が、少量の卵殻膜断片が作る線維構造上において、従来の細胞培養ディッシュ上での発現と比べて2倍以上高いことが判明した。これら3つの遺伝子セットは、いずれも創傷治療プロセスの増殖初期段階に発現が高くなることが知られている遺伝子であり、特にⅢ型コラーゲンは皮膚の大部分を構成するⅠ型コラーゲンに先行して発現することも報告されている。 また、卵殻膜濃度を高めていった場合であっても、当該3つの遺伝子セットの発現が明確に高くなることはなかった。このことにより、適度な量の卵殻膜が創傷治療の早期化に有効であると結論づけた。
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肝機能の改善 (2014年12月掲載)
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「掲載論文タイトル」 Eggshell membrane ameliorates hepatic fibrogenesis in human C3A cells and rats through changes in PPARγ-Endothelin 1 signaling
「要約」 四塩化炭素誘導肝障害モデルラットを用いた実験から、微粉砕された卵殻膜の摂取により肝障害の症状が改善され、さらに遺伝子レベルでの解析により炎症や肝線維化形成が抑制される方向の変化が誘導されることを見出した。 そのメカニズムは、PPARγ-Endothelin 1シグナリング(※)における調節によると推察されている。四塩化炭素は肝臓に炎症を誘導し、長期間の投与では肝硬変のモデルとして動物実験において広く用いられている。肝臓機能に着目したのは、初期に行った正常ラットにおける遺伝子発現の網羅的解析により、肝線維化抑制に関わる変化が予想されていたためであり、本研究の成果から、従来、産業廃棄物とされていた卵殻膜の機能性を明らかにすることで、新たな機能性食品の創出や産業への貢献が期待できる。 ヒトでも同様の効果があるかについては今後の検討課題ではあるが、ヒトを対象とした試験も準備を進めており、結果を報告できると考えている。また、他の疾患モデルにおいての検討も順次開始している。
※ PPARγ:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ Endothelin 1:エンドセリン1
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炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)の改善 (2017年3月掲載)
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「掲載論文タイトル」 Eggshell membrane powder ameliorates intestinal inflammation by facilitating the restitution of epithelial injury and alleviating microbial dysbiosis
「要約」 炎症性腸疾患(IBD)は腸管に炎症を引き起こす慢性持続性の非特異性疾患であり、潰瘍性大腸炎とクローン病に分類される。 当研究では、デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎マウスを用いた実験から、微粉砕された卵殻膜の摂取により、腸内細菌叢における①細菌多様性の増加(腸内細菌の種類が増えた)、②病原性細菌の絶対数の減少(病原性細菌の数が減った)、③腸内毒素分泌の減少により炎症性サイトカイン産生の抑制、④(腸間膜リンパ節における自己免疫疾患の病態形成への関与が知られる)Th17細胞増殖の抑制、といったメカニズム作用が発生することを発見した。 これらの機能的な調節は、宿主において上皮の修復、エネルギー必要量の調整、最終的には腸管上皮粘膜炎症の軽減に寄与することから、卵殻膜には、腸管上皮損傷の修復と腸内細菌dysbiosis(腸内細菌バランス失調)を軽減させることで、炎症性疾患を改善する効果があることがわかった。さらに卵殻膜によるこのような細菌叢調節及び炎症性腸疾患抑制への最初の洞察は、IBDの予防・治療に新たな視点を提供できるものと考えられる。 本研究では卵殻膜をデキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎マウスに給餌し、腸管上皮損傷の修復と炎症性腸疾患の改善効果を明らかにした。 ヒトでも同様の効果があるかについては今後の検討課題ではあるが、ヒトを対象とした試験も準備を進めており、結果を報告できると考えている。
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皮膚の弾力性増加 (2018年11月掲載)
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「掲載論文タイトル」 Solubilized eggshell membrane supplies type Ⅲ collagen-rich elastic dermal papilla
「要約」 卵殻膜が創傷治療プロセスに必須の皮膚真皮乳頭層にあるⅢ型コラーゲン遺伝子発現を1.6倍促進させることを実証した。 当研究では、卵殻膜塗布によるⅢ型コラーゲン関連遺伝子発現が非塗布群と比較すると約1.6倍増加する点及びその増加箇所は皮膚の「真皮乳頭層」である点が、ヘアレスマウスの実験で明らかになった。加えて、そのⅢ型コラーゲンの比率が20%のゲル環境下(皮膚環境が最も良いとされる胎児と同環境)では、他の比率時と比較するとⅢ型コラーゲン合成量が有意に増加し、またミトコンドリアを活発化することが実証された。細胞機能は加齢とともに低下していくが、卵殻膜塗布が刺激となり細胞機能そのものが改善、正常化されることが本実験により実証された。以下、当研究結果のハイライト。
・ヘアレスマウスへの卵殻膜塗布で、Ⅲ型コラーゲン、デコリン、MMP2等の遺伝子発現が約1.6倍に増加(卵殻膜非塗布と比較)。前回2011年の研究では、培養皿上での実験により当発見がなされたが、マウス上で同結果が再現された点で意義は大きい。 ・Ⅲ型コラーゲン関連遺伝子は、加齢で減少するとされる皮膚真皮乳頭層で有意に増加。 ・Ⅲ型コラーゲン20%の環境下ゲル(胎児の肌環境と同様)において肌の弾力性が最も高くなる(Ⅰ型コラーゲンのみの環境ゲルと比較)。 ・そのⅢ型コラーゲン20%の環境下ゲルでは、線維芽細胞におけるⅢ型コラーゲンタンパク質の合成量が有意に増加し、ミトコンドリア活性も高くなる。 ・卵殻膜入り溶液塗布により、腕の皮膚弾力性が塗布前に比較して卵殻膜群のみで有意に増加、卵殻膜無し群と比較してシワが有意に改善(医薬部外品の試験と同じ二重盲検法での実施結果)。
|
[用語解説]
注1 |
シスチン |
髪の毛や爪に多く含まれるアミノ酸の1種で、システインが2つ繋がったもの。透き通る美しさをサポートする成分として注目されている。 |
注2 |
プロテオグリカン |
肌の細胞の増殖や、ヒアルロン酸、Ⅰ型コラーゲンの産生を促し、かつそれ自体高い保水能力を持ち、肌荒れ、シワ、肌の弾力、メラニン生成抑制作用や色素沈着改善作用があり、若々しい肌を保つのに役立つ。 |
注3 |
潰瘍性大腸炎 |
炎症性腸疾患のひとつで、大腸の粘膜に炎症が起きることによりただれや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気。主な症状としては、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などがある。また、様々な合併症が発現することがある。 |
注4 |
Ⅲ型コラーゲン |
3つのアルファ1(Ⅲ)鎖からなるらせん構造を持った線維型タンパク質。胚発生の初期胚の頃から発現し、皮膚や心血管系の発生に重要である。成体では、Ⅲ型コラーゲンは皮膚(真皮)、血管、肺、内臓器官の細胞外マトリクスの成分で、正常な生理機能を維持するために重要。例えば、Ⅲ型コラーゲンの遺伝子の異常は、血管や皮膚がもろく、関節がぐらぐらするエーラスダンロス症候群を引き起こす。さらに、Ⅲ型コラーゲンは皮膚やその他の組織で、治療回復している場所に顕著に存在している。 |
注5 |
線維化 |
内臓などの組織を構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する現象のこと。 |
注6 |
細胞外マトリクス |
組織中の細胞外の空間を満たしている生体高分子の複雑な集合体。すべての組織にあり、結合組織には多量に存在する。皮膚ではⅠ型、Ⅲ型コラーゲンを含む異なる種類の様々な線維が細胞外マトリクスの主要な構造成分で、皮膚に強度と弾力性を与えている。 |
注7 |
真皮線維芽細胞 |
皮膚の真皮にある線維芽細胞。真皮は、皮膚を形成する結合組織で、基底膜を隔てて表皮の下層にある。真皮にはコラーゲン線維や弾性線維、プロテオグリカンなど皮膚を物理的に支える構造物があるほか、細胞成分として線維芽細胞や肥満細胞などが存在する。線維芽細胞は楕円形の核を内部にもつ紡錘状の形態をしており、コラーゲンやプロテオグリカンなどの細胞外マトリクスを分泌する。 |
注8 |
MMP2 |
マトリクスメタプロテアーゼ2。細胞外マトリクスを分解する酵素の一種。マトリクスメタロプロテアーゼ2は様々な皮膚の生物学や生態学に役割を果たし、例えば創傷治療プロセスでは初期には発現している。 |
注9 |
デコリン |
プロテオグリカンの一種で、鎖状のコアタンパク質にグリコサミノグリカンと呼ばれる二糖の繰り返し構造を持つ糖鎖多数結合した、試験管ブラシのような構造をしている。多数のマイナス電荷をもち、水やイオンを多量に吸着する性質がある。デコリンは結合組織に存在し、組織を組み立てるのに重要な働きをしている。デコリンの量や質に異常があると、張りのない皮膚になってしまったり、傷の治りが遅くなったりする。 |
該当事項はありません。
(1)提出会社の状況
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|
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|
2020年1月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
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( |
|
|
|
当社は卵殻膜ヘルスケア事業の単一セグメントであるため、部門別に記載しております。
部門の名称 |
従業員数(人) |
|
営業部門 |
17 |
(2) |
企画・製造部門 |
4 |
(-) |
管理企画部門 |
9 |
(-) |
合計 |
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( |
(注)1. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
2. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(特定地域に就労する契約社員であり、派遣社員を除く。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
(2)労働組合の状況
当社において労働組合は組織されておりませんが、労使関係は良好であります。