(はじめに)
1.設立から株式上場まで
当社は、2001年6月21日、情報・通信システム及びセキュリティシステムの開発・運用・コンサルティング業務を事業目的として設立された、アンビシス株式会社を前身としております。
その後、統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器(*1)を利用したマネージドセキュリティサービスの提供を開始し、2003年6月14日には、商号をバリオセキュア・ネットワークス株式会社に変更いたしました。(以下、「バリオセキュア・ネットワークス株式会社①」という。)
マネージドセキュリティサービスは、インターネットサービスプロバイダ及び通信事業者向けセキュリティソリューションとして、ファイアウォール等の機器のレンタルを行い、それらに対し24時間体制で運用・監視・保守を提供するサービスです。当社は、VariOS(*2)を搭載した統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器「VSR1000シリーズ」の提供、ICSA(International Computer Security Association)(*3)によるファイアウォール認定を日本企業として初めて取得する等、独立系インターネットセキュリティサービス企業として着実な歩みをたどってまいりました。
そして、2006年6月29日に大阪証券取引所 ニッポン・ニューマーケット「ヘラクレス」(以下、「ヘラクレス市場」という。)に上場いたしました。
(*1)「統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器」とは、当社が提供するサービスで利用する多機能セキュリティ機器を言います。ファイアウォール機能(外部から組織内のコンピュータネットワークへの侵入経路を限定し、不正を防ぐシステム)、IDS(不正侵入を検知するシステム)/ADS(不正侵入から内部ネットワークを自動的に防御するシステム)機能、ウィルスプロテクション(ウィルス検知・防御システム)機能など複数のセキュリティサービスを提供しています。
(*2)「VariOS」とは、当社が開発したセキュリティ機器VSR(Vario Secure Router)の基本ソフトウエアです。
(*3)「ICSA」はVerizon Communications Inc.の独立部門としてメーカーに依存しない公平な立場からセキュリティ製品のテストと認定を行っております。
2.上場廃止
アント・キャピタル・パートナーズ株式会社が無限責任組合員を務める、アント・カタライザー3号投資事業有限責任組合が出資する、エー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社は、2009年7月30日にバリオセキュア・ネットワークス株式会社①の株式及び新株予約権の公開買付(以下、「本公開買付」という。)を実施いたしました。
上場廃止の背景として、米国のサブプライムローンに端を発した信用収縮と世界的な金融危機の影響により、企業収益の悪化や民間設備投資の減少、個人消費マインドの減速等が生じていた中で、当社においても既存顧客からの解約が増加し、サービス提供箇所の増加ペースが鈍化するなど、成長率に徐々に鈍化が見られました。また、その後も、顧客先における設備投資意欲の低下、コスト削減の徹底等が相当期間継続することが予測されたことから、新たな経営戦略のもと、①販売体制の強化、②新規事業の創出、③サービスメニューの強化が急務の経営課題として挙げられ、その対策が講じられました。
常に変化するネットワークセキュリティ市場において、機動的かつ柔軟な経営体制の下で、スピーディーな経営判断を行い、企業価値の向上を図るには先行投資を伴い、一時的な収益悪化を招く可能性があることから、非上場化を図り、企業価値の向上に専念することとし、本公開買付による非公開化という結論に達しました。
また、本公開買付の実施においては本公開買付を含む取引が少数株主にとって不利益なものとならないようにする必要があることから、当社は一般投資家への十分な情報開示に努めるとともに、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立するため、第三者委員会を設置しました。第三者委員会は当社から独立した第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーからの情報を検討し、当社の取締役会に答申を行い、当社取締役会は、当該第三者委員会の答申を最大限尊重しつつ、本公開買付に関する諸条件について慎重に検討いたしました。その結果、公開買付価格1株当たり100,000円は、当社のヘラクレス市場における買付価格決定前日(2009年7月29日)の終値76,500円に対して30.72%、同日までの過去1か月間の終値の単純平均値78,876円に対して26.78%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値75,320円に対して、32.77%、同日までの過去6か月間の単純平均値69,630円に対して43.62%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、当社の株主にとって妥当な価格と判断いたしました。
以上のことから、本公開買付は2009年9月11日に成立し、バリオセキュア・ネットワークス株式会社①はエー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社の子会社となり、2009年12月18日には、ヘラクレス市場の株式上場を廃止いたしました。
エー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社は、2010年6月1日にバリオセキュア・ネットワークス株式会社①を消滅会社とする合併を行い、同日付でバリオセキュア・ネットワークス株式会社に商号変更をしております。(以下、「バリオセキュア・ネットワークス株式会社②」という。)
3.主要株主の異動①
その後、2011年3月31日、1stホールディングス株式会社(現ウイングアーク1st株式会社)は、アント・カタライザー3号投資事業有限責任組合が保有するバリオセキュア・ネットワークス株式会社②の全株式を取得し、両社のリソースを活用した独自のクラウド技術を連携させ、クラウド環境における新たなサービス提供形態の創出を図るため、バリオセキュア・ネットワークス株式会社②を完全子会社としております。
同社は2013年3月1日、バリオセキュア・ネットワークス株式会社②の商号をバリオセキュア株式会社に変更(以下、「旧バリオセキュア株式会社」という。)しております。
4.主要株主の異動②
株式会社BAF5は、旧バリオセキュア株式会社の全株式を取得する目的で、アイ・シグマ・パートナーズ株式会社が管理・運営する、アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合による投資のための特定目的会社として2015年9月17日に設立されました。株式会社BAF5は、LBO(Leveraged Buyout)を実施し、自己資金の他、金融機関からの借入を実施することで、2016年6月30日にウイングアーク1st株式会社から、旧バリオセキュア株式会社の全株式を取得し、完全子会社としました。その後、株式会社BAF5は2016年9月1日、旧バリオセキュア株式会社を消滅会社とする合併を行い、当社は同日付でバリオセキュア株式会社に商号を変更し現在に至っております。(以下、「新バリオセキュア株式会社」という。)
5.非上場化の効果
当社は非上場化において、経営体制を刷新し、社内のコスト意識を高めるとともに、既存営業力の強化や新たな販売代理店の開拓をとおし業容の拡大に努めるとともに、継続的にセキュリティサービスの品質向上のための研究開発を行いました。結果として、以下のような成果を挙げられました。
①販売体制の強化
当社は、2010年より新規の販売代理店の開拓のほかに、販売代理店がエンドユーザーに対して当社サービス・製品の取り扱いを促進するため、当社の従業員を販売代理店に常駐させ、エンドユーザーに対する同行販売や技術サポート等を行い、連携の強化を図りました。また、2012年4月に大阪支局、2015年7月に福岡営業所を開設し、日本西域においても販売網を拡張する布石を打ちました。以上の施策の結果、当社の統合型インターネットセキュリティサービスが導入された国内拠点数は上場廃止時点から2019年2月期までに2.2倍以上となり、継続して増加しております。
国内拠点数の推移
年度 |
2009 |
2010 |
2011 |
2012 |
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
拠点数 |
3,073 |
3,170 |
3,154 |
3,301 |
3,637 |
4,293 |
5,023 |
5,490 |
5,959 |
6,403 |
6,900 |
(注)「国内拠点数」とは、各事業年度の年初時点(3月1日)でVSRが設置されている場所の数を指します。
なお、2009年度のみ、8月1日時点の数値となります。
②新規事業の創出
2012年11月より小規模な企業においても高まってきたセキュリティニーズを取り込むため、運用監視サービスを伴わない、簡易で安価なサービスであるセキュリティ機器VCR(Vario Communicate Router)の販売を開始しました。VSRは従業員数が100名~2,000名規模の中堅、中小企業をターゲットとしたサービスである一方、VCRは従業員数が50名未満を対象としており、より小規模な企業のユーザーニーズである安価なセキュリティ機器に対する需要に応えることができるようになりました。また、ネットワークインフラの機器の調達や構築などを行うインテグレーションサービスの提供を開始し、ネットワーク/セキュリティの周辺領域でのソリューションビジネスにも業容を拡大しシステムインフラニーズを取り込みました。さらに、2014年1月にクラウドとアプライアンス機器(注)を利用したハイブリッド型のデータバックアップサービスVDaP(Vario Data Protect)を開始しました。
(注)特定用途向けのOSやソフトウエアをハードウエアに組み込んだ形で提供される専用機器
③サービスメニューの強化
上場廃止以降、統合型インターネットセキュリティサービスをはじめ、さまざまなサービスの投入や機能の拡充を図り、サービスメニューを強化しました。
年 月 |
サービスメニュー |
内 容 |
2010年9月 |
メールセキュリティ機能強化「アタッチ&アップロード」 |
メールで送信される添付ファイルからの情報漏えい対策として、自動的Zip暗号化とパスワード送付に対応しました。 |
2011年8月 |
管理者用コントロールパネルを全面的に刷新 |
サービスをご利用いただくユーザー企業のIT担当者様向けに提供する管理画面を刷新し、サービスの稼働状況をより把握し易くするような改善を実施しました。 |
2012年3月 |
IPv6対応のマネージドセキュリティサービスの提供を開始 |
世界的なIPv4のIPアドレスの枯渇対策として、マネージドセキュリティサービスとしては早期のIPv6対応を実施しました。 |
2012年11月 |
VCRの販売開始 |
Cyberoam Inc.(現SOPHOS Ltd.)からUTM(Unified Threat Management)機器のOEM供給を受け、VCRの販売を開始しました。 |
2013年1月 |
最上位機種VSR5000シリーズの提供開始 |
サービス提供企業規模の拡大を目的とした、大規模ネットワーク対応の最上位機種をリリースしました。 |
2013年5月 |
仮想環境でのマネージドセキュリティサービスを実現する仮想VSRを提供開始 |
サーバーの仮想化やクラウド利用ニーズへの対応として、仮想環境でのマネージドセキュリティをサポートしました。 |
2013年5月 |
VSR による BGP 対応マネージドセキュリティサービスの提供を開始 |
インターネット上で AS(Autonomous System)間の経路情報をやり取りすることから、経路制御プロトコル BGP(Border Gateway Protocol)の運用には高い信頼性が求められます。BGP の運用を、専用機器 VSR と、24時間365日対応の運用・保守を含むサービスとしての提供を開始しました。 |
2014年1月 |
データバックアップサービス(VDaP)開始 |
企業において情報管理やBCP対策が求められる中、データを安全に保管し同時に運用負荷の軽減とコストの面から訴求したサービスの提供を開始しました。 |
2015年6月 |
VDaPの刷新と大容量化への対応 |
バックアップ業務の簡略化を実現するバックアップサービスの刷新と大容量化ニーズへの対応を実施しました。 |
2016年9月 |
VDaPオプションを追加 |
社内データのバックアップやランサムウェア対策を自社内での対応が困難な中小規模企業向けに、マネージドセキュリティサービスのオプションとしてVDaPをご利用いただけるようにしました。 |
2017年8月 |
エンドポイントセキュリティサービスを提供開始 |
サイバー攻撃の巧妙化への対応として、従来のゲートウェイセキュリティにエンドポイントセキュリティを追加し多層防御の強化を図りました。 |
2018年12月 |
ローカルブレイクアウトオプションの提供を開始 |
企業において利用頻度の高いクラウドサービスをより安定的にご利用いただくための機能を追加しました。 |
[用語の説明]
用 語 |
説 明 |
IPv6 |
インターネットプロトコルのバージョンのひとつ。インターネット上の通信における手順などを定めた規格であり、その規格の中にインターネットの住所に該当するIPアドレスが規定され、約340澗(かん)のIPアドレスが用意できる。 |
UTM機器 |
Unified Threat Management(統合脅威管理)の略で、複数のセキュリティ機能を1つに集約して運用するネットワークセキュリティ対策のこと |
OEM供給 |
他社ブランドの製品を製造し供給すること。 |
仮想環境 |
コンピュータ上にソフトウエアによって仮想的に構築されたコンピュータ(仮想マシン)が備える仕様や機能の総体のこと。 |
用 語 |
説 明 |
AS(Autonomous System) |
「自律システム」とも呼ばれ、統一された運用ポリシーによって管理されたネットワークの集まりを意味する。 |
経路制御プロトコル BGP(Border Gateway Protocol) |
現在のインターネットにおいて、相互接続時にお互いの経路情報をやり取りするために使われる経路制御の取り決め。 |
BCP |
企業や官公庁などで、通常業務の遂行が困難になる事態が発生した際に事業の継続や復旧を速やかに遂行するために策定される事業継続計画(Business Continuity Plan)。 |
ランサムウェア |
「ランサム(ransom)」とは、身代金の意味の英単語で、感染するとユーザーに身代金を支払うように要求する犯罪目的のプログラムのこと。 |
エンドポイントセキュリティ |
ネットワークに接続されたパソコンや、スマートフォン、タブレットなどのモバイル端末、サーバーなどのネットワーク端末のセキュリティ対策のこと。 |
ゲートウェイ |
インターネットと企業ネットワーク(LAN)の境界。 |
このような様々な施策を行った結果、インターネットセキュリティサービス企業としてのブランドの再構築、企業の組織力強化を持続的に行い、非上場化の目的であった企業価値の向上を実現することができたと考えております。
6.再上場の目的
当社は非上場化を行ったことで、販売体制の強化や新規事業の創出を通じて、多くの経営課題を解決することができました。組織の面においても、本部制を導入し、責任と権限を明確にすることで迅速な組織運営を行うことのできる体制へと移行することができました。以上のことから、当初の非上場化の目的は達成できたものと考えております。
今後も当社が持続的な成長を実現し、企業価値を高めていくためには、機動的かつ多様な資金調達手段を確保することが重要であります。当社は、再上場することで、当社の社会的信用の更なる向上、優秀な人材の確保や従業員の労働意欲の向上、適正な株価形成と流動性を目指すことができると考えております。
①人材採用の拡大
ネットワークセキュリティ分野では、最先端の技術を持った優秀な技術者による新規技術の研究開発が必要です。上場による知名度・信頼度の向上を得ることで、優秀な技術者を獲得し、当社の基幹技術の更なる発展及び新規サービスの開発を行う予定です。
②経営基盤の強化、従業員のモラル向上
当社はこれまでも、プライバシーマーク、ITSMS(ITサービスマネジメントシステム)の国際規格「ISO20000」、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格「ISO/IEC 27001:2013」、「JIS 27001:2014」認証の取得などを通じ、経営基盤の強化に取り組んできました。そして、上場企業として相応しいJ-SOXやIRへの対応を通じて、更なる経営基盤の充実をめざし、また、上場企業に勤める社員であることを自覚することによる従業員のモラル向上にも期待したいと考えております。
③資金調達の多様化
多様な資金調達手段を確保することで、将来的には、当社の基礎技術をさらにスピーディーに進化させるため、人工知能やIoT(Internet of Things)など新しい技術を持ったベンチャー企業や、ネットワーク周辺領域におけるインテグレーションサービスを手掛ける企業の買収の機会を逃すことなく実行できると考えております。
上場後におきましては、上場企業としてその社会的責任を一層重く受け止め、更なるコンプライアンス経営の強化に取り組むことで、すべてのステークホルダーに安心を届けたいと考えております。
当社の事業運営主体の変遷は以下のとおりです。
また、設立以降の当社の変遷は以下のとおりです。
当社は、日本基準に基づいて財務諸表を作成しておりますが、第4期より国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に基づいた財務諸表も作成しているため、IFRSに基づく経営指標等も参考情報として記載しております。また、旧バリオセキュア株式会社の経営指標等を参考情報として記載しております。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
|
決算年月 |
2016年2月 |
2017年2月 |
2018年2月 |
2019年2月 |
|
売上高 |
(千円) |
|
|
|
|
経常利益又は経常損失 (△) |
(千円) |
△ |
|
|
|
当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
|
|
|
持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
|
|
|
|
資本金 |
(千円) |
|
|
|
|
発行済株式総数 |
(株) |
|
|
|
|
純資産額 |
(千円) |
△ |
|
|
|
総資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
△ |
|
|
|
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
|
|
|
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
△ |
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
|
配当性向 |
(%) |
|
|
|
|
営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
|
投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
△ |
△ |
財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
|
|
|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
|
|
(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記
載しておりません。
2.売上高には、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)は含まれておりません。
3.第1期は2015年9月17日から2016年2月29日までであります。実質的な営業活動は旧バリオセキュア株式会社が行っているため、売上高はございません。
4.第2期は2016年3月1日から2017年2月28日まででありますが、2016年9月1日に旧バリオセキュア株式会社を吸収合併し営業活動を全面的に継承しており、第2期の実質的な営業活動期間は2016年9月1日から2017年2月28日までであります。
5.第3期の当期純利益の大幅な増加は、第2期に吸収合併した旧バリオセキュア株式会社の営業活動が通年で寄与したこと等によるものであります。
6.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
7.当社は、2019年10月30日開催の臨時取締役会決議により、2019年11月21日付で普通株式1株につき、20株の株式分割を行っており、発行済株式総数は3,726,600株となっております。
8.当社は、2019年10月30日開催の臨時取締役会決議により、2019年11月21日付で普通株式1株につき、20株の株式分割を行いましたが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
9.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第1期につきましては、潜在株式がありませんので記載しておりません。
10.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第2期から第4期につきましては、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
11.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
12.1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を行っておりませんので、記載しておりません。
13.第1期の自己資本利益率については、当期純損失のため記載しておりません。
14.第1期及び第2期はキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
15.第3期より、「『税効果会計に係わる会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を早期適用したため、第3期については、遡及適用後の数値を記載しております。
16.従業員数は、就業人員数であります。臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
17.第3期及び第4期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。
なお、第1期及び第2期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
18.当社は、2019年10月30日開催の臨時取締役会決議により、2019年11月21日付で普通株式1株につき、20株の株式分割を行っております。
そこで、東京証券取引所自主規制法人(現日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第1期及び第2期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
回次 |
第1期 |
第2期 |
第3期 |
第4期 |
|
決算年月 |
2016年2月 |
2017年2月 |
2018年2月 |
2019年2月 |
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
△16.99 |
488.74 |
562.68 |
625.85 |
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△17.49 |
9.07 |
73.94 |
63.17 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
1株当たり配当額 (うち1株当たり中間配当額) |
(円) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
(参考情報)
参考情報として、旧バリオセキュア株式会社の第7期から第9期までの経営指標を記載しております。なお、第9期は2016年3月から2016年8月までの期間を事業年度としております。
旧バリオセキュア株式会社の経営指標等
回次 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
|
決算年月 |
2015年2月 |
2016年2月 |
2016年8月 |
|
売上高 |
(千円) |
2,036,459 |
2,194,651 |
1,072,608 |
経常利益 |
(千円) |
626,988 |
646,784 |
322,169 |
当期純利益 |
(千円) |
300,757 |
340,716 |
185,351 |
持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
- |
- |
- |
資本金 |
(千円) |
310,000 |
310,000 |
310,000 |
発行済株式総数 |
(株) |
33,001 |
33,001 |
33,001 |
純資産額 |
(千円) |
4,172,960 |
4,313,676 |
3,999,028 |
総資産額 |
(千円) |
4,509,462 |
4,667,817 |
4,263,435 |
1株当たり純資産額 |
(円) |
126,449.51 |
130,713.52 |
121,179.00 |
1株当たり配当額 |
(円) |
9,600.30 |
6,060.42 |
15,151.06 |
(うち1株当たり中間配当額) |
(-) |
(-) |
(-) |
|
1株当たり当期純利益 |
(円) |
9,113.59 |
10,324.43 |
5,616.54 |
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
- |
- |
- |
自己資本比率 |
(%) |
92.54 |
92.41 |
93.80 |
自己資本利益率 |
(%) |
7.19 |
8.03 |
4.46 |
株価収益率 |
(倍) |
- |
- |
- |
配当性向 |
(%) |
105.3 |
58.7 |
269.8 |
営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
- |
- |
- |
投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
- |
- |
- |
財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
- |
- |
- |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
- |
- |
- |
従業員数 |
(人) |
46 |
49 |
53 |
(外、平均臨時雇用者数) |
(5) |
(5) |
(5) |
(注)1.旧バリオセキュア株式会社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.第9期は2016年9月1日に旧バリオセキュア株式会社と株式会社BAF5が合併し、新バリオセキュア株式会社となったため、2016年3月1日から2016年8月31日までの期間を事業年度としております。
4.持分法を適用した場合の投資利益については、旧バリオセキュア株式会社は関連会社を有していないため記載しておりません。
5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、旧バリオセキュア株式会社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
6.株価収益率については、旧バリオセキュア株式会社株式は非上場であるため、記載しておりません。
7.第7期、第8期及び第9期はキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
8.従業員数は、就業人員数であります。臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
9.第7期、第8期及び第9期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
IFRSに基づく経営指標等
回次 |
国際会計基準 |
||
第3期 |
第4期 |
||
決算年月 |
2018年2月 |
2019年2月 |
|
売上収益 |
(千円) |
|
|
税引前利益 |
(千円) |
|
|
当期利益 |
(千円) |
|
|
当期包括利益 |
(千円) |
|
|
持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
|
|
資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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資本合計 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり資本合計 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
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基本的1株当たり当期利益 |
(円) |
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希薄化後1株当たり当期利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記
載しておりません。
2.売上収益には、消費税等は含まれておりません。
3.第4期より、IFRSに基づいた財務諸表を作成しておりますが、比較情報として第3期よりIFRSに基づいた財務諸表を作成しております。
4.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
5.当社は、2019年10月30日開催の臨時取締役会決議により、2019年11月21日付で普通株式1株につき、20株の株式分割を行っており、発行済株式総数は3,726,600株となっております。
6.当社は、2019年10月30日開催の臨時取締役会決議により、2019年11月21日付で普通株式1株につき、20株の株式分割を行いましたが、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり資本合計及び基本的1株当たり当期利益を記載しております。
7.希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有する潜在株式が存在しないため記載しておりません。
8.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
9.1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を行っておりませんので、記載しておりません。
10.従業員数は、就業人員数であります。臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
11.第3期及び第4期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けております。
上記(はじめに)に記載したとおり、当社は、2015年9月17日にアイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合による投資のための特定目的会社として株式会社BAF5の商号で設立され、2016年6月30日にウイングアーク1st株式会社から旧バリオセキュア株式会社の全株式を取得して完全子会社化したうえで、同年9月1日に吸収合併し、同日に株式会社BAF5からバリオセキュア株式会社に商号変更(新バリオセキュア株式会社)し、現在に至っております。
以下におきましては、新バリオセキュア株式会社及び、新バリオセキュア株式会社設立以前の沿革を記載しております。
<当社の沿革>
年月 |
概要 |
2015年9月 |
アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合による投資のための特定目的会社として株式会社BAF5を東京都千代田区に設立 |
2016年6月 |
アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合はウイングアーク1st株式会社から旧バリオセキュア株式会社の株式を株式会社BAF5経由で取得し完全子会社化 |
2016年9月 |
株式会社BAF5が旧バリオセキュア株式会社を吸収合併し、同日、商号をバリオセキュア株式会社に変更(新バリオセキュア株式会社) |
同 |
本社を東京都渋谷区に移転 |
2016年10月 |
本社を東京都千代田区に移転 |
2019年3月 |
ブルーシフト株式会社からデータバックアップサービスを提供するデータプロテクト事業を譲受 |
<当社設立以前の沿革>
年月 |
概要 |
2001年6月 |
情報・通信システム及びセキュリティシステムの開発・運用・コンサルティング業務を事業目的とした、アンビシス株式会社を東京都港区に設立 |
2001年9月 |
インターネットサービスプロバイダ及び通信事業者向けセキュリティソリューションとしてファイアウォール等を運用するマネージドセキュリティサービスの提供を開始 |
2002年5月 |
VariOSを搭載した統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器を利用したマネージドセキュリティサービスを提供開始 |
2002年7月 |
本社を東京都港区に移転 |
2003年6月 |
アンビシス株式会社から商号を、バリオセキュア・ネットワークス株式会社に変更 |
2003年9月 |
ICSA(International Computer Security Association)によるファイアウォール認定を日本企業で初めて取得 |
2006年6月 |
バリオセキュア・ネットワークス株式会社が大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場 |
2009年12月 |
バリオセキュア・ネットワークス株式会社が大阪証券取引所ヘラクレス市場の上場廃止 |
2010年6月 |
ファンド出資の受け皿として設立されたエー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社がバリオセキュア・ネットワークス株式会社を吸収合併し、同日、バリオセキュア・ネットワークス株式会社に商号変更 |
2011年3月 |
1stホールディングス株式会社(現ウイングアーク1st株式会社)はアント・カタライザー3号投資事業有限責任組合からバリオセキュア・ネットワークス株式会社の全株式を取得し完全子会社化 |
2012年7月 |
本社を東京都渋谷区に移転 |
2012年11月 |
Cyberoam Inc.(現SOPHOS Ltd.)からUTM(Unified Threat Management)機器のOEM供給を受け、VCR(Vario Communicate Router)の販売を開始 |
2013年3月 |
商号をバリオセキュア・ネットワークス株式会社からバリオセキュア株式会社(旧バリオセキュア株式会社)に変更 |
2013年12月 |
VSRを利用したネットワークインフラの構築及び運用に加え、ネットワークにおける機器の調達や、LAN構築・サーバー構築等をサポートするVario Plus(現IS)サービスの提供開始 |
2014年1月 |
データバックアップサービスVDaP(Vario Data Protect)の提供開始 |
当社は、「インターネットを利用する全ての企業が安心で快適にビジネスを遂行できるよう、日本そして世界へ全力でサービスを提供する。」という経営理念のもと、インターネットに関するセキュリティサービスを提供する企業として、インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、またウィルスの感染やデータの盗用といった各種の脅威から企業のネットワークを守り、安全にインターネットを利用することができるようにする総合的なネットワークセキュリティサービスを提供しております。
(1)事業の特徴
a.独自のビジネスモデル
当社は、セキュリティサービスで利用する機器の調達、機器にインストールする基幹ソフトウエアの開発、機器の設置/設定、機器設置後の監視/運用までをワンストップで行っております。
エンドユーザーは、機器の選定や運用サービスを個別に検討する必要がなく、手間がかからずにサービスを利用することが可能となります。また、当社がワンストップでサービスを提供しているため、問題が発生した際に原因の究明と対応が行い易く、エンドユーザーは、問い合わせやトラブルに対するサポートを迅速に受けることができます。
b.リカーリングレベニューの構造
当社は、監視/運用サービスを基本に各種セキュリティサービスを月額費用により提供しております。導入企業が増加すれば、年々収益が積み上がる「リカーリングビジネス」と呼ばれるモデルであり、収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。2020年1月末で、全国47都道府県に7,258拠点(VSR設置場所数)のマネージドセキュリティサービスを提供しており、継続的な収益の安定化を実現しております。第4期事業年度の「リカーリングビジネス」であるマネージドセキュリティサービスによる売上収益の売上収益全体に占める比率は85.7%です。
[リカーリングレベニューモデル]
c.ビジネスパートナー(販売代理店)モデル
当社の販売モデルは、販売代理店を介した間接販売及び当社による直接販売に分類できますが、間接販売が中心となっております。通信事業者やインターネットサービス事業者、データセンター事業者など、当社のサービスを付帯することでお客様へ付加価値を提供することを期待する販売代理店と契約しております。これら販売代理店と日本全国をカバーする販売網を構築し、継続的な営業案件の創出が可能となっております。
販売代理店は、「相手先ブランド提供パートナー(以下、「OEMパートナー」という。)」及び「再販売パートナー」に大別されます。「OEMパートナー」とは、販売代理店自らのブランドでセキュリティサービスを提供し、顧客(エンドユーザー)と直接、契約を締結するパートナーを指します。「再販売パートナー」とは、当社の代理店として顧客(エンドユーザー)の開拓、営業活動を行い、顧客(エンドユーザー)との契約主体は当社となるパートナーを指します。
当社では、さらに営業活動を推進するためにセキュリティの専門家である当社が、販売代理店の代わりにお客様に対して直接技術面の説明をする営業同行や、サービスの導入から設置までワンストップで支援することも実施しております。
(2)サービスの概要
当社は、インターネットセキュリティサービス事業の単一セグメントであることから、セグメント別の記載は省略しており、サービス毎に記載しております。当社が提供しているサービスは次のとおりであります。
a.マネージドセキュリティサービス
マネージドセキュリティサービスで提供している商品は、VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービスとデータのバックアップサービス(VDaP)の2種類があります。
(a)VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービス
インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、またウィルスの感染やデータの盗用といった各種の脅威から企業のネットワークを守り、安全にインターネットの利用を行えるようにする総合的なネットワークセキュリティを提供するものです。
当社の統合型インターネットセキュリティサービスでは、ファイアウォール、IDS(不正侵入検知システム)、ADS(自動防御システム)などの多様なセキュリティ機能を1台に統合した自社開発のネットワークセキュリティ機器VSRをインターネットとユーザーの社内ネットワークとの間に設置し、攻撃や侵入行為、ウィルスといった脅威を取り除くいわばフィルタとして作動します。VSRは、当社データセンターで稼働する独自の運用監視システムにより自動的に管理・監視され、運用情報の統計情報や各種アラートが人手を介することなくリアルタイムに処理されます。統計情報やアラートはコントロールパネルと呼ぶレポーティング機能により、インターネットを介してユーザー企業の管理者にリアルタイムに提供されます。また、当社では24時間365日のサポートセンターを構築しており、国内全都道府県に対応した保守網並びに機器の設定変更等の運用支援体制を構築しております。
従来は、前述のようなセキュリティシステムを導入するには、各種のセキュリティ機器を購入し、これらを自社で導入、メンテナンスする必要がありました。そのためには高度な技術を有する技術者や、高額な投資を要求されることから多くの企業では十分なネットワークセキュリティ対策を導入することが困難な状況でした。また、セキュリティシステム導入後も監視やアラートへの迅速な対応、ソフトウエアのアップデートなどの運用面での負担は非常に大きい状況でした。
当社のサービスではVSRが1台で多様なセキュリティ機能を提供します。機器の購入は不要でレンタル機器にてセキュリティシステムを導入することができます。また、セキュリティ機能ごとに月額費用が設定されており、ユーザー企業は多様なセキュリティ機能の中から必要なオプションを選択することができ、VSRは様々なニーズに対応可能です。ユーザーは、契約の開始時点のみ発生する初期費用及び月額費用を払うだけで、コントロールパネルの利用や設定変更、ソフトウエアのアップデート、監視や出張対応による現地での保守など、ネットワークセキュリティの運用に際して必要となる殆どの工数を当社に委託することができ、業務負担を低減することができます。
このように、当社の統合型インターネットセキュリティサービスは、ネットワークセキュリティの導入から管理、運用・保守までをサービスとしてワンストップで提供し、ユーザーから初期費用及び定額の月額費用を徴収する積み上げ型のビジネスモデルとなっております。
ユーザーは、自社で専門技術を持つIT責任者を設置することが困難な中堅、中小企業がメインです。2020年1月末で2,912社に導入され、7,258拠点(VSR設置場所数)の日本全国で稼働しております。
当社のVSRは自社開発品です。自社の技術者やシステムインテグレーター(SIer)(*1)を通じてセキュリティ機器を導入・運用する企業は、海外の仕様書を見ながら初期設定やカスタマイズを施し、自社で定期的なソフトウエアのアップデートを行い、トラブル発生の際には海外メーカーに数日間かけて問い合わせるなど、一般的には多大な労力と時間を必要とします。当社は自社開発品を初期導入から運用・保守までワンストップで提供しているため、迅速な対応が可能となっております。不具合やトラブルは、顧客(エンドユーザー)から当社又は販売代理店への問い合わせのほか、当社がリモート監視により能動的に検知してサポートを行っております。運用・保守は、当社のエンジニアが可能な限り、遠隔操作により対処します。ハードウエア等の故障については、業務委託先の倉庫等全国74か所(2020年1月末)に在庫を配備し、4時間以内の駆け付け目標により機器交換に迅速に対応しております。
(*1)システムインテグレーター(SIer)とは、情報システムの設計、構築、運用等の業務を顧客より請け負う情報通信企業を言います。
(b)データのバックアップサービス(VDaP)
一般的に企業の大切なデジタルデータが、インターネットの脅威から隔離され、障害が発生した場合でもそれまでの事業の継続性を担保することが、企業の大きな課題となっております。
国内データ保護ソリューション市場(注1)は、2017年の879億円から2022年には982億円に拡大すると予測されています。そのうちデータのバックアップサービス(注2)は89億円から169億円に成長するとされております。(出所:IDC「国内データ保護ソリューション市場予測、2018年~2022年」2018年9月発行)
(注1)データ保護ソリューションは、ソフトウエア(データ保護/リカバリーソフトウエア)、サービス(クラウドベースのバックアップサービス)、ハードウエア(データ保護向け外付型エンタープライズストレージシステムとテープストレージ)を含んでおります。
(注2)バックアップサービスは、クラウドベースのバックアップサービスであり、ユーザーが保有するクライアントPCやサーバーのデータ保護をSaaS(Software as a Service)として提供するものと、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)で稼働しているシステムのデータ保護オプションを提供するサービスの両方を含んでおります。
当社のバックアップサービスは、ハードウエアの機器にバックアップデータが保存されるVDaPとデータセンターへの保存を組み合わせたバックアップサービスとなっております。一時的に企業のデジタルデータをVDaPにバックアップした後に、自動的にデータセンターへもデータを転送することで、より一層の耐障害性を高めております。バックアップデータの保持は、最新及び過去のデータがバージョン管理されたデータとして保持しております。データの復旧を行う際にも、お客様が利用しやすいインターフェースを提供することで、必要なデジタルデータを簡単に選択して、復旧することができます。
VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービスでの、監視/運用サービスでの経験を活かし、機器の設置、障害時の対応に関しても、その仕組みを活かすことで効率的に全国をカバーしたサービス提供を実施しております。
b.インテグレーションサービス
当社のインテグレーションサービスには、中小企業向け統合セキュリティ機器(UTM)であるVCR(Vario Communicate Router)の販売とネットワーク機器の調達や構築を行うネットワークインテグレーションサービス(以下、IS)があります。
(a)VCR
サイバーセキュリティ基本法の改定といった法規制の影響もあり、より小規模(従業員数50名未満)の事業者やクリニックなどでセキュリティ意識が高まっていることを受け、セキュリティアプライアンス機器であるVCRの販売も行っております。VCRは、マネージドセキュリティサービスと異なり、中小企業を専門とする販売代理店を通じて、UTM製造の世界有数の企業であるSOPHOS Ltd.の製品を自社ブランドとして輸入し、エンドユーザーに販売する事業として実施しております。なお、販売した機器、ハードウエア障害などについては、当社又は販売代理店のサポート窓口経由で、メーカーが保証期間に亘りサポートしております。
(b)ネットワークインテグレーションサービス(IS)
統合型インターネットセキュリティサービスでは、外部へのアクセスを可能にするインターネットと社内のネットワークの境界を監視するゲートウェイとして当社機器を設置することから、企業よりゲートウェイ周辺で利用するネットワーク機器の調達や設定、インターネットへの接続全般の設計や構築のニーズがあります。そのため、通信ネットワーク及び機器等の導入のための設計、調達、構築を専門に行う人員を配置し、ネットワークの設計/調達/構築全般を実施し、企業ネットワーク領域全般への業容拡大を図っております。なお、販売した機器、ハードウエア障害などについては、当社又は販売代理店のサポート窓口経由で、メーカーが保証期間に亘りサポートしております。
[事業系統図]
当社の事業系統図は以下のとおりです。
注:販売代理店との間の契約では、一部、顧客(エンドユーザー)と当社が直接代金の授受及びサポートを行う契約があります。
当社の株式過半数を保有するアイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合は企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」16項(4)の規定により、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」に基づく親会社には該当しません。
なお、当社が採用するIFRSにおいては、アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合が親会社となります。
(1)提出会社の状況
2020年1月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
71(1.5) |
39.4 |
5.4 |
6,912,438 |
当社はインターネットセキュリティサービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称 |
従業員数(人) |
|
マネージドセキュリティサービス |
31 |
(―) |
インテグレーションサービス |
6 |
(1.2) |
その他 |
34 |
(0.3) |
合計 |
71 |
(1.5) |
(注)1.従業員数は、就業人員数であります。
2.臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(2)労働組合の状況
当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。