(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.当社は2015年8月3日設立のため、第1期の会計期間は、2015年8月3日から2016年3月31日までの7ヶ月と29日となっております。
3.売上高には、消費税等は含まれておりません。
4.第2期、第3期及び第4期の持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため記載しておりません。
5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
6.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
7.第1期、第2期、第3期及び第4期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。
8.1株当たり配当額及び配当性向については、無配のため、記載しておりません。
9.第1期及び第2期については、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。
10.従業員数は就業人員(社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
11.第3期及び第4期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。なお、第1期及び第2期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく当該監査を受けておりません。
12.第1期から第4期の経常損失及び当期純損失の計上は、研究開発及び業容拡大のため、積極的に人員採用等を行ったこと等によります。
13.当社は、2018年7月19日付で株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失金額を算定しております。
14. 当社は、2018年7月19日付で株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第1期及び第2期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
当社は、生産性向上のためのAIプラットフォームを提供することを目的とし、2015年に設立いたしました。その後、現在に至るまでの沿革は、以下のとおりであります。
2015年8月 東京都渋谷区にAI inside株式会社設立、AI手書き文字認識サービスを提供開始
2016年12月 「NVIDIA Inception Program」(注1)のパートナー企業として認定
2017年10月 業務拡張のため、本社を東京都渋谷区渋谷三丁目の渋谷第一生命ビルディングに移転
2017年11月 「DX Suite」、AI-OCR(注2)サービス「Intelligent OCR」を提供開始
2018年9月 帳票の仕分けAIサービス「Elastic Sorter」を提供開始
2019年1月 東日本電信電話株式会社と「DX Suite」OEM製品「AIよみと~る」を共同発表、提供開始
2019年3月 株式会社エヌ・ティ・ティ・データと、行政専用の閉域ネットワークであるLGWANを活用した
「DX Suite」を、地方公共団体向けに提供開始
2019年6月 非定型帳票AI-OCRサービス「Multi Form」を提供開始
エッジコンピューティング用ハードウェア「AI inside Cube」を提供開始
(注)
1.NVIDIA Inception Programは、AIとデータサイエンスで産業に革命を起こすスタートアップ企業の成長をNVIDIA Corporationが様々な特典で支援する仮想インキュベーター プログラムです。
2.OCR(Optical Character Recognition/Reader、光学的文字認識)とは、印刷された文字や手書き文字に光を当てて読み取り、デジタルの文字コードに変換する技術やソフトウェアです。
<外部環境について>
現在、国内において生産年齢人口は1995年をピークに減少傾向にあり、2020年に7,341万人程になると見込まれております。20年後の2040年には現在と比較し1,554万人程が減少し、5,787万人程になると予想されております(注3)。そのような背景の中、これまで人が行ってきた業務を機械化し、生産性を維持・向上させること、また、業務を高付加価値なものにすることがこれまで以上に強く求められております。しかしながら、これまで人が行ってきた業務は、機械やソフトウェアで代替することが困難な業務が多い故に、人が行ってきておりました。
昨今は、そういった複雑な業務を人のようにこなせる「AI」が注目されており、実証実験や一部の社会実装が始まっているという情勢であります。当社は、AIは今後より急速に社会に普及していくと考えております。
また、その急速な普及のため、政府においてはAIを各専門分野に応用できる人材を年間25万人育成する目標も公表されており(注4)、社会普及の実現には、AI開発と運用をよりスムーズに行えるようインフラも整える必要があると考えております。
(注)
3.出所 総務省「平成29年情報通信白書」2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を除く)、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)
4.出所 首相官邸「統合イノベーション戦略推進会議(第4回)」AI戦略(有識者提案)及び人間中心のAI社会原則(案)についての資料
<AI inside について>
当社のミッションは、世界中の人・物にAIを届け、豊かな未来社会に貢献することです。
「AI inside X」というビジョンで、「X=様々な環境」に溶け込むAIを実装し、誰もが特別な意識をすることなくAIを使える、その恩恵を受けられる、といった社会を目指しています。
当社はまず「AI inside [Company]」というビジョンで、人々がAIを使って働き方や生き方をより良いものにしていくことをサポートしており、当社の製品により、ユーザの働き方をどれだけ変えられたか、どれだけ働きやすくなったのかにフォーカスしています。そのため、高品質なユーザ体験を届けることは当社にとって最優先の事項です。この徹底したユーザ重視の姿勢は、当社の重要な文化であり、下記の3点をユーザにコミットします。
・高品質・高価値なAIを提供するために最善を尽くします。
・製品をより使いやすく、より優れたユーザ体験を届けるため、継続的に行動します。
・短期的な経済的利益のために、ユーザ重視の姿勢を妥協しません。
当社の経営は、徹底したユーザ重視を基本方針としています。
<AI inside のストーリー>
当社はその創業にあたり、「企業の業務プロセスの内、人の手で行われているものを、AIでサポートすること」を目指しました。そこで「企業が既に外部委託している業務プロセス」を調査し、まず初めに、データ入力業務をAIでサポートすることを目的に、研究開発を始めました。その後の最新調査によると、データ入力業務を含む「非IT系の外部委託市場」については2016年度で1.66兆円の実績、2017年度で1.7兆円の実績とされております(注5)。
その結果、当社は人がルールを設計し、そのルールをプログラミングすることで開発する文字認識技術を一切排除し、コンピュータが自動的に文字画像データを学習しルールを設計する、ディープラーニングによる手書き文字認識AIを開発しました。このAIを、日々の業務で誰もが使えるようにするため、AI-OCRサービス「DX Suite」として企業へ提供しております。これまで2億回を超える読取りを行い、企業の生産性向上に貢献してきました。
製品の提供方式として、現在主力製品となっているクラウドコンピューティング(AI inside Cloud)だけではなく、クラウドにアクセスすることなくユーザの元でAI処理を行う、エッジコンピューティング用ハードウェア「AI inside Cube」を自社で開発製造しました。これにより、地方公共団体などプライバシー保護がより一層重要視される業界への導入拡大も実現しています。
(注)
5.出所 株式会社矢野経済研究所 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 2018-2019
なお、当社は人工知能事業の単一セグメントであるため、以下ではサービス別の事業内容を記載しております。また、当社が展開するサービスは、継続的に収益が計上されるリカーリング型モデルと取引毎に収益が発生するセリング型モデルにより構成されております。
<サービスの内容>
当社は、人がルールを設計し、そのルールをプログラミングすることで開発する文字認識技術を一切排除し、文字画像データを学習し、コンピュータが自動的にルールを設計する、ディープラーニングによる手書き文字認識AIを開発しました。このAIを、日々の業務で誰もが使えるようにするため、ユーザインターフェースを備えたAI-OCRサービス「DX Suite」として開発し、ユーザへ提供しております。
上図 手書き文字認識技術をベースにしたAI-OCRサービス「DX Suite」
「DX Suite」は、その内部に「Intelligent OCR」「Elastic Sorter」「Multi Form」というアプリケーションを有しており、組み合わせて契約、利用することができます。
「Intelligent OCR」:手書き文字認識技術をベースに、「定型帳票」を読取り、デジタルデータ化するサービスです。「定型帳票」とは、帳票レイアウトが統一されており、事前に読取り箇所を指定することができる帳票を指します。具体的には、各種申込書や受発注帳票、アンケートなどの帳票をデータ化できます。
料金体系としまして、リカーリング型モデルの月額固定費用、読取りごとに発生する月額従量費用と、セリング型モデルの初期費用により構成されております。
上図 「Intelligent OCR」の手書き文字読み取り精度事例。乱筆や欠け文字の読取りや、訂正印の飛ばし読みを行う。
「Elastic Sorter」:「Intelligent OCR」のオプションとして、複数種類の帳票を順不同にまとめてスキャンしてある場合に、同種類の帳票をAIが選び取り、仕分けるサービスです。具体的には、免許証や保険証、住民票など複数種類ある本人確認書類や各種申込書類を種類ごとに仕分け、仕分け後に「Intelligent OCR」で読取りを行うなどの業務に利用できます。
料金体系としまして、セリング型モデルの初期費用は無く、リカーリング型モデルの月額固定費用、読取りごとに発生する月額従量費用により構成されております。
「Multi Form」:「Intelligent OCR」のオプションとして、「定型帳票」以外の「非定型帳票」を読取り、データを構造化含めデジタルデータ化するサービスです。「非定型帳票」とは、記載される項目は同じでも、記載される場所、レイアウトが無数にあり、書類の種類数が限定的で無いため、「Elastic Sorter」では仕分けることのできない帳票を指します。具体的には請求書や領収書、住民票やレシートなどといった帳票を事前の準備・設定不要で、データの構造化含め、デジタルデータ化できます。
料金体系としまして、セリング型モデルの初期費用は無く、リカーリング型モデルの読取りごとに発生する月額従量費用のみの構成となっております。
上図 「Multi Form」は、請求書・領収書・レシートなどの、レイアウトが定まっていない”非定型帳票”も事前の準備・設定不要で読取る。
また、東日本電信電話株式会社との協業で、「DX Suite」のOEM製品“AIよみと〜る”を販売しております。”AIよみと〜る”は、MM総研大賞2019において、スマートソリューション部門 AI/IOT分野 で最優秀賞を受賞しました。
これらサービスは、現在は主に大企業での導入実績割合が高く、当社顧客の内、第5期第2四半期末時点で売上高1,000億円以上の企業が26.0%、100億円~999億円の企業が26.6%を占めています。システム開発、銀行、証券、保険、小売、エネルギー、物流、製薬、不動産、製造、印刷等、業態を問わず導入されております。
「Intelligent OCR」は、第5期第2四半期末時点で契約件数361契約となり、サービス開始から100契約獲得まで15カ月となっております。「Elastic Sorter」は、第5期第2四半期末時点で206契約となり、サービス開始から100契約獲得まで7カ月となっております。「Multi Form」は、第5期第2四半期末時点で238契約となっており、サービス開始から100契約の獲得まで15日となっております。また、2017年11月からこれらのサービスの累計リクエスト数が2億1,249万8,714回となっております。
「DX Suite」は、ユーザ企業にて帳票をデータ化するリクエスト数(読取り回数)を基に算出される月額従量費用や、オプション機能の月額固定費用といったリカーリング型モデルの収益と、初期費用等のセリング型モデルの収益で売上を構成しております。なお、「DX Suite」の初期費用についてはサービスの提供期間にわたり売上高を按分計上しております。
(1-1)「AI inside Cube」
当社の主力製品は「DX Suite」クラウド版ですが、官公庁・地方公共団体などではオンプレミス(注6)環境での利用ニーズがあります。しかしながらオンプレミス環境の構築は、機器選定、購入、システムインテグレーションなど様々な工程に時間と人的リソースを必要とするため、ユーザ企業、当社双方にスケールしにくい分野です。
そこで当社は、クラウドにアクセスすることなくユーザの元でAI処理を行う、エッジコンピューティング用ハードウェア「AI inside Cube」を自社開発しました。ユーザは、「AI inside Cube」に「DX Suite」をインストールし、利用できます。特別なインテグレーションは必要なく、誰でも使えるよう、電源とデータ送信用のLANケーブルを差し込むだけで使える仕組みです。「AI inside Cube」は、月額定額のリカーリング型モデルで提供をしています。
上図 30cmのアルミ立方体に、AIの処理に最適なチップ、コンピュータが集約されている。
また、地方公共団体向けに、株式会社エヌ・ティ・ティ・データとの協業により、地方公共団体の組織内ネットワーク(庁内LAN)を相互に接続した、行政専用の閉域ネットワーク “LGWAN”内データセンターに「AI inside Cube / DX Suite」を提供しています。
(注)
6.オンプレミスとは、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを企業などの使用者が管理する設備内に設置することにより、自社運用をすることを指します。
(1-2)「AI inside Computing Engine」
当社のAIは、クラウド環境、オンプレミス環境共にソフトウェアインフラ基盤「AI inside Computing Engine」の上で稼働しております。「AI inside Computing Engine」を使わない従来方式では、ソフトウェアやAIを動作させるためのサーバの構築は、各種設定を時間をかけて人が行う必要があります。そうして作り上げた環境を、別のサーバにも適用させる場合、同じように人が行う必要があり、コストと時間がかかります。
「AI inside Computing Engine」を使うと、一度作り上げたサーバ環境をコンテナとしてコピーして立ち上げることができます。従来、人が行っていた作業を数十秒で自動実行できるため、コストと時間がほとんどかからず、例えば、大量のリクエストに対しても、自動でサーバを増減させることが可能になります。 コンテナの中に入れるソフトウェアやAIは、コンテナと依存関係に無く入れ替えることもできるので、一度作ったコンテナで多種類のソフトウェアやAIを最適に自動運用することができます。
(1-3)「AI inside Learning Center」
当社で提供しているAIは、下図のように、ユーザが日々の業務で使うほど、さらなる追加学習のためにデータフィードバックがなされ、精度が向上するという特徴を備えております。その学習部分を担う当社内部の仕組みが「AI inside Learning Center」です。そのため、ユーザが増加するほど加速度的に品質が高まる仕組みとなっております。
同時に、大規模化による低コスト構造の実現と、AIを動作させるためのハードウェアを自社開発・自社利用することにより、ユーザへより低価格での提供が可能な構造となっております。当社は、この好循環サイクルにより契約数の拡大とユーザの継続利用、ビジネスの継続的強化を実現しています。
[事業系統図]
(注)1.パートナーは、当社の製品・サービスをユーザ企業に販売する代理店です。
2.サーバ事業者は、当社が契約するクラウドコンピューティングサービスを提供する事業者です。
用語解説
「事業の内容」における用語の定義を以下に記します。
該当事項はありません。
2019年10月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員(社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.従業員数が最近1年間において、18人増加しましたのは、主として業容拡大に伴う中途採用によるものであります。
4.当社は、人工知能事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。