第二部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

提出会社の経営指標等

 

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2014年12月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

売上高

(千円)

116,433

243,140

729,408

1,712,491

2,933,043

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

15,502

341,897

429,041

38,012

87,829

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

15,792

371,895

449,080

35,651

153,562

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

131,750

397,750

397,750

50,000

50,000

発行済株式総数

(株)

925

57,850,000

57,850,000

26,094,400

26,094,400

 普通株式

687

41,700,000

41,700,000

26,094,400

26,094,400

 A種優先株式

115

5,750,000

5,750,000

 B種優先株式

33

1,650,000

1,650,000

 C種優先株式

90

4,500,000

4,500,000

 D種優先株式

4,250,000

4,250,000

純資産額

(千円)

130,732

501,407

52,327

1,230,099

1,090,468

総資産額

(千円)

152,261

582,426

355,107

1,762,965

2,310,889

1株当たり純資産額

(円)

55,910.89

0.47

18.94

47.14

41.26

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

18,601.52

18.03

19.41

1.41

5.88

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

85.86

84.27

11.76

69.77

46.59

自己資本利益率

(%)

5.61

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

263,433

251,886

153,609

192,389

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

7,145

15,932

142,770

411,110

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

542,570

80,000

1,157,904

452,545

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

441,344

253,524

1,422,268

1,656,092

従業員数
(外、平均臨時雇用者数)

(名)

16

58

92

147

246

2

7

15

29

37

 

 

(注) 1.当社は、第10期までは連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については、記載しておりません。

2.売上高には、消費税等は含まれておりません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を実施していないため記載しておりません。

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため、また、第6期、第7期、第8期及び第10期に関しては1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

6.自己資本利益率については、第6期、第7期、第8期及び第10期は当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

7.株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。

8.キャッシュ・フロー計算書に係る各項目については、第6期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため記載しておりません。

9.従業員数は就業人数であり、平均臨時雇用者数は臨時従業員の年間平均雇用人数を( )内に外数で記載しております。

10.第9期及び第10期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、株式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。

また、第7期及び第8期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、株式及び作成方法に関する規則」(1963年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第211条6項の規定に基づき、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準じて、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。

なお、第6期の数値については、「会社計算規則」(2006年法務省令第13号)に基づき算出しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査を受けておりません。

11. 2017年9月4日開催の取締役会決議及び2017年9月13日開催の臨時株主総会決議に基づき、2017年9月28日付で、定款を変更し、A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式を廃止するとともに、発行済株式総数の普通株式が20,696,000株増加しております。

12.当社は、2015年9月7日付で1株につき50,000株の割合で株式分割をしております。また、2017年9月4日開催の取締役会決議及び2017年9月13日開催の臨時株主総会決議に基づき、2017年9月28日付で、当社普通株式2.5株を1株に併合しております。これにより発行済株式総数は26,094,400株となりました。第7期の期首に当該株式分割及び、第9期の期首に併合が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は当期純損失を算定しております。

13.当社は、2015年9月7日付で1株につき50,000株の割合で株式分割をしております。また、2017年9月4日開催の取締役会決議及び2017年9月13日開催の臨時株主総会決議に基づき、2017年9月28日付で、当社普通株式2.5株を1株に併合しております。そこで、東京証券取引所自主規制法人(現日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(2012年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第6期の期首に当該株式分割及び併合が行われたと仮定して算定した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げると以下の通りとなります。

なお、第6期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2014年12月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

1株当たり純資産額

(円)

△2.80

0.47

△18.94

47.14

41.26

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

△0.93

△18.03

△19.41

1.41

△5.88

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

1株当たり配当額
(うち1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

 

 

 

2 【沿革】

 当社は、「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」ことをミッションとして、2009年に創業いたしました。創業以降の当社に係る経緯は以下の通りです。

 

年月

概要

2009年6月

東京都港区に株式会社メドレー(資本金17百万円)を設立

2009年11月

人材採用システム「ジョブメドレー」提供開始(人材プラットフォーム事業)

2012年11月

本社を東京都渋谷区に移転

2015年2月

医療情報提供サービス「MEDLEY」提供開始(医療プラットフォーム事業)

2015年3月

本社を東京都港区に移転

2015年4月

介護施設検索サイト「介護のほんね」を運営するプラチナファクトリー株式会社を完全子会社化

介護施設検索サイト「介護のほんね」運営開始(新規開発サービス)

2015年7月

完全子会社のプラチナファクトリー株式会社を吸収合併

2016年2月

オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」提供開始(医療プラットフォーム事業)

2016年6月

「日経メディカル ワークス」開始(日経BP社と共同運営、人材プラットフォーム事業)

2018年3月

個人情報保護認証「TRUSTeマーク」を取得

2018年4月

クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」提供開始(医療プラットフォーム事業)

2018年11月

医療ヘルスケア分野における技術のオープン化及び情報活用を推進するために、他の企業に対して資金支援や業務支援をする「MEDLEY DRIVE」プロジェクトを開始

2018年12月

オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」及びクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」において国際規格に基づくISMSクラウドセキュリティ認証を取得

2019年3月

日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」の開発を担う株式会社NaClメディカル(島根県)を完全子会社化

2019年4月

医療情報標準規格であるFHIRを活用し、厚生労働省からの受託事業である「電子処方箋の本格運用に向けた実証事業」を完了

2019年6月

創業10周年の節目に合わせ当社ミッションを「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」から「医療ヘルスケアの未来をつくる」に変更

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社(完全子会社)の株式会社NaClメディカルの2社で構成されております。

当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。

 

現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」及び「MEDLEY」を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下の通りです。

 

(1) 人材プラットフォーム事業

高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」を運営・提供しております。

 

ジョブメドレーは、各々の事業所による積極的な採用活動を通して求人事業所と求職者のマッチング数を最大化することを目指しており、その実現のため以下のような特長を備えております。

 

① 採用成功時の成果報酬を低単価に設定

ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルとなっています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、興味のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。

 

このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができております。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20〜35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2〜13%(注2)という水準となっております。

 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う40以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。

    2. 当社の成果報酬の年収比は平成30年賃金構造基本統計調査より算出しています(各分野から代表的な職種を抽出した年収額は、概数で看護師480万円、保育士358万円、理学療法士408万円、歯科医師849万円、介護職340万円)。

 

 

② 医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する

日本における約700万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約3割が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約7割の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2019年9月末時点で53.3万人に達しております。

 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。

 

③ ダイレクトリクルーティングの機能

医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2019年12月期第3四半期会計期間においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は43.5万通に上っております。

 

上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の65.9万事業所(注4)のうち約27%に相当する17.5万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、19.1万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。ジョブメドレーの顧客事業所数及び顧客事業所当たり売上は下表の通りです。

該当四半期

顧客事業所数

顧客事業所当たり売上(円)

2017年12月期第1四半期末

93,487

2,395

2017年12月期第2四半期末

99,345

4,390

2017年12月期第3四半期末

103,393

3,094

2017年12月期期末

118,159

3,216

2018年12月期第1四半期末

124,243

3,493

2018年12月期第2四半期末

132,857

7,280

2018年12月期第3四半期末

140,944

4,395

2018年12月期期末

148,263

4,090

2019年12月期第1四半期末

156,122

4,842

2019年12月期第2四半期末

165,252

9,300

2019年12月期第3四半期末

174,662

5,631

 

 (注)4. 厚生労働省及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。

    5. 顧客事業所数及び求人案件数はいずれも2019年9月末日現在。顧客事業所数の内訳は医科1.5万、

      薬局3.8万、歯科1.4万、介護7.5万、その他3.3万。

 

(2) 医療プラットフォーム事業

日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」や予約管理システム「CLINICS予約」の機能拡張を行い、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルでクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。

 

また、医療プラットフォーム事業では、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。当社グループが医療プラットフォーム事業として提供するシステム及びサービスの特長は以下の通りです。

 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。

 

① CLINICSオンライン診療、CLINICS予約

CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。そのような中、2018年4月には厚生労働省からの指針公布や診療報酬改定が行われ、「オンライン診療料」や「オンライン医学管理料」、「オンライン在宅管理料」等のオンライン診療に対する保険点数が新設されることとなりました。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。

 

CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができるようになります。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しており、株式会社矢野経済研究所による「2018年版次世代医療ICT市場の現状と展望〜医療クラウド・関連市場・AI〜」のレポートでは「導入施設数、売上高ともに同種競合サービスの中で最もプレゼンスが高く、現在の遠隔診療市場を牽引」する存在として評価されております。

 

また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。

 

 

② CLINICSカルテ

CLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。

 

また、CLINICSカルテは、利用医療機関が効率的な診療を実現するための特長として、国内有数の市場シェアを持つ日本医師会標準レセプトソフト(注3)であるORCAを内包しております。これにより、利用医療機関はレセプトソフトを別途操作する必要がなく、患者受付・診察・会計・レセプト処理まで全ての業務を統一されたユーザーインターフェースで操作することができるため、業務効率を大幅に向上させることができます。

 

医療プラットフォーム事業において、当社グループではCLINISオンライン診療、CLINICS予約、及びCLINICSカルテの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数の推移は下表の通りであり、2019年12月期第3四半期末における利用医療機関数(注4)である1,176医療機関は、日本の医療機関全体に対する比率として約1.2%(注5)となっております。

該当四半期

利用医療機関数

2017年12月期第1四半期末

298

2017年12月期第2四半期末

443

2017年12月期第3四半期末

581

2017年12月期期末

667

2018年12月期第1四半期末

798

2018年12月期第2四半期末

803

2018年12月期第3四半期末

882

2018年12月期期末

972

2019年12月期第1四半期末

1,032

2019年12月期第2四半期末

1,087

2019年12月期第3四半期末

1,176

 

 (注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。

    3. レセプトソフトとは、医療機関がレセプト(診療報酬明細書)を支払基金や国民健康保険団体連合会に提出するための診療報酬計算を行う医事会計ソフトウェアを指します。

    4. 利用医療機関数とは、当該日時点でシステムの利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。

    5. 全国の一般診療所数を約10万件として計算。出典:厚生労働省「医療施設調査・病院報告の結果の概要」

 

 

③ 医療情報提供サービス「MEDLEY」

当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しています。MEDLEYは、当社グループ所属の医師による編集や700人を超える外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、1,400以上の病気、3万以上の医薬品、16万以上の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。

 

④ 株式会社NaClメディカル

当社グループは、2019年3月に株式会社NaClメディカルを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」(医事会計ソフトウェア)の開発を長年担ってきた株式会社ネットワーク応用通信研究所の医療システム開発チームを、会社分割により関連する事業とともに承継することで2019年2月に設立された新設会社です。同社の事業は、日本医師会ORCA管理機構株式会社からのORCAソフトウェア開発案件の受託事業と、同社の所在地周辺に拠点を有する診療所に向けてORCAの活用・保守を提供するサポート事業の2つから構成されております。当社グループでは、同社が有するレセプトソフト開発ノウハウを活用し、これに当社グループが従前から有していたインターネット技術をかけあわせることで、高い付加価値を持ったプロダクト開発に取り組んでおります。

 

(3) 新規開発サービス

当社グループでは、当社グループの中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。

かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、10万件以上の介護施設情報を掲載するサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が、介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。

介護のほんねでは、現在は顧客である介護施設への入居者紹介の成果報酬が主な収益形態となっておりますが、新規事業であることから、収益形態は将来的に変更される可能性もあり、最適な収益構造については現時点でも模索中です。

 

 

[事業系統図]


 

(注)1. 新規開発サービス(介護のほんね)については、様々な収益形態を模索しておりますが、現時点で実施している事業形態を記載しております。

2. 株式会社NaClメディカルは、2019年3月に当社が全株式を取得し、完全子会社(連結子会社)といたしました。

 

 

4 【関係会社の状況】

2018年12月末時点においては、関係会社を有しておりませんが、2019年3月27日に株式会社NaClメディカルの全株式を取得したことに伴い、同社を連結子会社にしております。

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

 

株式会社NaClメディカル
 

島根県松江市

500

医療プラットフォーム事業

100.0

役員の兼任

資金援助

システム開発の業務委託

管理業務の業務受託

債務保証

 

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2019年9月30日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

人材プラットフォーム事業

195(11)

医療プラットフォーム事業

93(18)

新規開発サービス

20(1)

全社(共通)

49(3)

合計

357(33)

 

(注) 1.従業員数は就業人数であり、平均臨時雇用者数は臨時従業員の年間平均雇用人数を ( )内に外数で記載しております。 

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属している者の人数であります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2019年9月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

343(32

30.4

1.1

4,623

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

人材プラットフォーム事業

195(11)

医療プラットフォーム事業

79(17)

新規開発サービス

20(1)

全社(共通)

49(3)

合計

343(32)

 

(注) 1.従業員数は就業人数であり、平均臨時雇用者数は臨時従業員の年間平均雇用人数を ( )内に外数で記載しております。 

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属している者の人数であります。

4.最近日までの1年間において従業員数が106名増加しております。主な理由は、事業の拡大に伴い期中採用を積極的に実施したことによるものです。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。